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明細書 :パンタグラフのカーボンすり板及びその取付け方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4518644号 (P4518644)
公開番号 特開2002-044803 (P2002-044803A)
登録日 平成22年5月28日(2010.5.28)
発行日 平成22年8月4日(2010.8.4)
公開日 平成14年2月8日(2002.2.8)
発明の名称または考案の名称 パンタグラフのカーボンすり板及びその取付け方法
国際特許分類 B60L   5/08        (2006.01)
FI B60L 5/08 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願2000-222030 (P2000-222030)
出願日 平成12年7月24日(2000.7.24)
審査請求日 平成19年5月21日(2007.5.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】390021717
【氏名又は名称】株式会社アクロス
【識別番号】000220435
【氏名又は名称】株式会社ファインシンター
発明者または考案者 【氏名】久保 俊一
【氏名】池内 実治
【氏名】土屋 広志
【氏名】中川 隆夫
【氏名】吉原 芳男
【氏名】澤井 一義
【氏名】齋藤 浩次郎
【氏名】森田 好信
個別代理人の代理人 【識別番号】100065215、【弁理士】、【氏名又は名称】三枝 英二
【識別番号】100076510、【弁理士】、【氏名又は名称】掛樋 悠路
【識別番号】100086427、【弁理士】、【氏名又は名称】小原 健志
【識別番号】100090066、【弁理士】、【氏名又は名称】中川 博司
【識別番号】100094101、【弁理士】、【氏名又は名称】舘 泰光
【識別番号】100099988、【弁理士】、【氏名又は名称】斎藤 健治
【識別番号】100105821、【弁理士】、【氏名又は名称】藤井 淳
【識別番号】100099911、【弁理士】、【氏名又は名称】関 仁士
【識別番号】100108084、【弁理士】、【氏名又は名称】中野 睦子
審査官 【審査官】東 勝之
参考文献・文献 特開2000-050407(JP,A)
実開平04-072801(JP,U)
特開平11-341603(JP,A)
実開平07-016503(JP,U)
特開2001-011479(JP,A)
調査した分野 B60L 5/00 - 5/42
特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも一端部及び他端部の底面に雌ねじが形成され、前記雌ねじへのボルトの締め付けにより、パンタグラフの舟体に取り付けるパンタグラフのカーボンすり板であって、
前記カーボンすり板の内部の前記雌ねじが形成される箇所には、一対のピン状の金属部材が前記雌ねじの径より小さい離隔で併設して埋め込まれており、各金属部材の双方に亘るように前記雌ねじが形成されていることを特徴とするパンタグラフのカーボンすり板。
【請求項2】
少なくとも一端部及び他端部の底面に雌ねじが形成され、前記雌ねじへのボルトの締め付けにより、パンタグラフの舟体に取り付けるパンタグラフのカーボンすり板であって、
前記カーボンすり板の底面は、前記雌ねじが形成される箇所に補強金属板が配置されるとともに、前記補強金属板を配置する部分が前記補強金属板の板厚の分だけ削り取られており、前記補強金属板を貫通して前記雌ねじが形成されていることを特徴とするパンタグラフのカーボンすり板。
【請求項3】
カーボンすり板の少なくとも一端部及び他端部において、前記カーボンすり板の内部に一対のピン状の金属部材を所定の間隔で併設して埋め込むとともに、各金属部材の双方に亘るように、前記金属部材の間隔よりも大きい径の雌ねじを前記カーボンすり板の底面に形成し、前記雌ねじにボルトを締め付けることにより、前記カーボンすり板をパンタグラフの舟体に取り付けることを特徴とするパンタグラフのカーボンすり板の取付け方法。
【請求項4】
カーボンすり板の少なくとも一端部及び他端部において、前記カーボンすり板の底面に補強金属板を配置するとともに、前記補強金属板を配置する部分を前記補強金属板の板厚の分だけ削り取って前記補強金属板が前記カーボンすり板の前記補強金属板が配置されない他の部分の底面と同一面上になるように調整した後、前記補強金属板の所定箇所に前記カーボンすり板の底面に亘って雌ねじを形成し、前記雌ねじにボルトを締め付けることにより、前記カーボンすり板をパンタグラフの舟体に取り付けることを特徴とするパンタグラフのカーボンすり板の取付け方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
パンタグラフは、頂部に舟体を備え、その舟体にすり板を取り付けた構成である。パンタグラフの一種に、主成分(matrix)が炭素質材料からなるすり板のものがあり、そのすり板はカーボンすり板と称されている。
【0002】
本発明は、パンタグラフのカーボンすり板及びその取付け方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来、電車のパンタグラフのカーボンすり板は舟体にろう付けするのが困難であるところから、パンタグラフの舟体に取り付けるには、ボルト・ナットで舟体に固定される、さやと称される金属製の蟻溝型の部材を取り付け媒体として、パンタグラフの舟体にカーボンすり板を取り付けるという方法がとられている(図13~図17参照)。
【0004】
カーボンすり板は、下部を前記さやの蟻溝に合う蟻形の横断面形状とされ、その蟻形下部を、蟻溝形さやの内向きに傾斜するフランジとフランジの間に挟まれる形で保持される。カーボンすり板の底面には、ボルトの頭部を受け入れるための凹部がすり板全長に亘って形成される。ここに明らかなように、この従来技法は、前記さやを一種のジグとして、舟体に対するカーボンすり板の一体化を図るものである。
【0005】
図13~図17で、20がカーボンすり板、21が舟体、22が蟻溝形のさや、23がさや22のフランジ、24がボルト、25がナット、26がボルトの頭部を受け入れるための凹部である。図15において、舟体21、さや22、ボルト24、ナット25は、カーボンすり板20との区別を分かり易くするために破線で示した。
【0006】
パンタグラフの舟体にカーボンすり板を取り付けるのに、実開平4-2901号公報や実開平4-72801号公報のように、特殊形状の取付けジグ゛を用いるものもある。このようにカーボンすり板の取付けにジグを必要とすることは、ジグのために舟体の重量が増加するので、すり板が架線と接触しながら高速移動する際、架線との離線が多くなる。そのため、架線とすり板との間に生じるアーク放電も多くなる.このアーク放電による熱の発生で、すり板が変質したり部分溶融する等して、すり板の損耗が加速される。こうして、すり板の損耗が多くなると舟体にもアークが飛ぶようになり、舟体が破損し、架線が損傷したり切断したりすることもある。
【0007】
更に、従来のカーボンすり板は蟻溝形さやの内向きに傾斜するフランジとフランジとで挟持されているので、耐用限に達し蟻溝形さやから外して廃棄する場合、取り外しの作業性が悪い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は従来技術による前記諸問題を解消することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題解決のため本発明では、(1)カーボンすり板の少なくとも一端部及び他端部において、前記カーボンすり板の内部に一対のピン状の金属部材を所定の間隔で併設して埋め込むとともに、各金属部材の双方に亘るように、前記金属部材の間隔よりも大きい径の雌ねじを前記カーボンすり板の底面に形成し、前記雌ねじにボルトを締め付けることにより、前記カーボンすり板をパンタグラフの舟体に取り付けるようにしている、又は(2)カーボンすり板の少なくとも一端部及び他端部において、前記カーボンすり板の底面に補強金属板を配置するとともに、前記補強金属板を配置する部分を前記補強金属板の板厚の分だけ削り取って前記補強金属板が前記カーボンすり板の前記補強金属板が配置されない他の部分の底面と同一面上になるように調整した後、前記補強金属板の所定箇所に前記カーボンすり板の底面に亘って雌ねじを形成し、前記雌ねじにボルトを締め付けることにより、前記カーボンすり板をパンタグラフの舟体に取り付けるようにしている。
【0010】
本発明に係るカーボンすり板は、構断面形状を例えば長方形、台形、三角形等にすることができる。
【0011】
本発明において、カーボンすり板は、炭素質材料と金属材料との複合材料からなる高強度で耐摩耗性の大きい炭素/金属複合材を充当することができる。ここで、炭素質材料とは、炭素質粉末の他、炭素質粉末を加圧成形した後に焼結した焼結体、炭素繊維強化炭素焼結体等を含む意である。また、炭素質材料と金属材料との複合方法としては、炭素質粉末と金属粉末とを混合し、加圧成形し、焼結する方法や、上記焼結体の炭素質材料に金属を含浸させる方法等を例示することができる。そのような炭素/金属複合材料としては、本発明者等が開発したものとして特願平11-88329号明細書に開示された炭素/金属複合材料を例示することができる。
【0012】
【作用】
1.本発明ではカーボンすり板をパンタグラフの舟体に直接、ボルトで取り付け得るため、在来から使用されている舟体を改変することなく、そのまま適用できる。
2.本発明においては、カーボンすり板の取り付けを金属さやに依存せずに行えるので、カーボンすり板の取付け構造を従来に比べ大幅に軽量化できる。
3.本発明によると、カーボンすり板の取り付けに金属さやを必要としないため、さやとカーボンすり板または舟板との間に雨水等水分や塵などが侵入して、さやが錆びたり腐蝕したりする従来の問題を解消する。
4.本発明のすり板には、さやに挟持される突起がないので、アークカット板の取付けが容易である。
5.本発明のすり板によれば、さやを介さずに集電できるため、従来品より集電性が良化される.
6.所要部に埋込み金属部材を設け、その埋込み金属部材の箇所でカーボンすり板に雌ねじを施す本発明(上記(2)の発明)では、埋込み金属部材なしの本発明(上記(1)の発明)より、カーボンすり板に対するボルトの締め付けを強固に行うことができ、パンタグラフの舟体に対するカーボンすり板の一体化を強固に行い得る。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態につき、図面を参照して次に説明する請求項1に係る本発明の好ましい実施形態を図1~図3に示し、請求項2に係る本発明の好ましい一実施形態を図4~図6に示し、請求項2に係る本発明の好ましい他の実施形態を図7~図9に示し、請求項3に係る本発明の好ましい他の実施形態を図10~図12に示した。図1~図12において、1がカーボンすり板である。
【0014】
図1~図3の実施形態では、カーボンすり板1の一端部及び他端部の底面に直接、雌ねじ2が施されている。雌ねじ2をカーボンすり板1に施すには、カーボンすり板1の所要部に穴を穿ち、その穴に雌ねじ2を加工する。雌ねじ2のねじ穴の深さは、カーボンすり板1の使用限界厚Hより低い高さ(深さ)hとするのがよい。
【0015】
図4~図6の実施形態では、カーボンすり板1の一端部及び他端部に金属部材3aがカーボンすり板1の長さ方向となるよう埋め込まれ、この埋込み金属部材3aの箇所ですり板1底面に雌ねじ2が施されている。前記埋込み金属部材3aは、雌ねじ2の径より小さい離隔ですり板1所要部に併設して加工され、それら金属部材3a、3aの双方に亘って雌ねじ2が形成されている。雌ねじ2のねじ穴の深さは、すり板1の使用限界厚Hより低い高さ(深さ)hとするのがよい。このケースで、埋込み金属部材3aは雌ねじ2の加工に相当する箇所に配置される。すり板1の一端部及び他端部に対する金属部材3aの埋込みは、すり板1の端面に穴を穿ち、その穴にピン状の金属部材3aを固嵌め下に挿入する仕様を例として挙げることができる。
【0016】
図7~図9の実施形態では、カーボンすり板1の一端部及び他端部の底面に金属部材3bが埋め込まれ、その埋込み金属部材3bに雌ねじ2が施されている。このケースで、金属部材3bの埋込み度合いは、カーボンすり板1の使用限界厚Hより低い高さ(探さ)hとするのがよい。この実施形態では、埋込み金属部材3bに雌ねじ2が加工され、その雌ねじ2にボルト6がねじ込まれている。カーボンすり板1の一端部及び他端部に対する金属部材3bの埋込みは、カーボンすり板1の底面に穴を穿ち、その穴に金属部材3bを固嵌め下に挿入する仕様を例として挙げることができる。
【0017】
前記カーボンすり板1は、パンタグラフの舟体4に設けられたボルト穴5にボルト6を挿し、所要部の底面に施した雌ねじ2に締め付けて、舟体4に固定される。
【0018】
図10~図12の実施形態では、カーボンすり板1の一端部及び他端部に補強金属板3cが配置され、この補強金属板3cの箇所ですり板1底面に直接、雌ねじ2が施されている。雌ねじ2をカーボンすり板1に施すには、カーボンすり板1底面において、補強金属板3cを配置する部分を補強金属板3cの板厚の分だけ削り取り、カーボンすり板1底面と補強金属板3cが同一面上になるように調整した後、穴をあけその穴に雌ねじ2を補強金属板3cと同時に加工する。雌ねじ2のねじ孔の深さはカーボンすり板1の使用限界Hより低い高さ(深さ)hとするのがよい。こうして形成された雌ねじ2に、舟体4のボルト穴5を介してボルト6を螺入し、カーボンすり板1を舟体4に固定する。
【0019】
【発明の効果】
本発明によると、次の効果が奏功される。
(1) カーボンすり板をパンタグラフの舟体に直接、ボルトで取り付け得るため、在来から使用されている舟体を改変することなく、そのまま適用できる。
(2) 金属さやを必要とせずにカーボンすり板を舟体に取り付け得るので、カーボンすり板取付け構造を大幅に軽量化でき、架線に対するすり板の離線を低減でき、すり板と架線との間のアーク放電の発生、及びアーク放電によるすり板の損耗を少なくする。また、アーク放電により舟板が破損し、架線が損傷したり切断するのを軽減する。
(3) カーボンすり板の取り付けに金属さやを必要としないため、さやとカーボンすり板または舟板との間に雨水等水分や塵などが侵入して、さやが錆びたり腐蝕したりする従来の問題を解消する。
(4) 本発明のすり板には、サヤに挟持される部分がないのでアークカット板の取り付けが容易である。
(5) 従来の金属製すり板用の舟体を改変せずにそのまま使用可能で互換性が高い。
(6) すり板を挟持するさやのない分、廃棄に際するすり板と金属部分との分離が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る本発明すり板の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示したすり板の正面図を示す。
【図3】図1のすり板を舟体に取り付けた状態の横断面図である。
【図4】請求項2に係る本発明すり板の一例を示す平面図である。
【図5】図4に示したすり板の正面図を示す。
【図6】図4のすり板を舟体に取り付けた状態の横断面図である。
【図7】請求項2に係る本発明すり板の一例を示す平面図である。
【図8】図7に示したすり板の正面図を示す。
【図9】図7のすり板を舟体に取り付けた状態の横断面図である。
【図10】本発明すり板の一例を示す平面図である。
【図11】図10のすり板の正面図である。
【図12】図10のすり板を船体に取り付けた状態の横断面図である。
【図13】従来のカーボンすり板の平面図を示す。
【図14】図1のすり坂の正面図を示す。
【図15】図1のすり板を舟体に取り付けた状態を示す横断面図である。
【図16】図1のすり板を舟体に取り付けた状態の平面図を示す。
【図17】図13の正面図である。
【符号の説明】
1 カーボンすり板
2 雌ねじ
3a 埋込み金属部材
3b 埋込み金属部材
3c 補強金属板
4 舟体
5 ボルト穴
6 ボルト
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16