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明細書 :擁壁面の緑化方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3793914号 (P3793914)
公開番号 特開2002-097652 (P2002-097652A)
登録日 平成18年4月21日(2006.4.21)
発行日 平成18年7月5日(2006.7.5)
公開日 平成14年4月2日(2002.4.2)
発明の名称または考案の名称 擁壁面の緑化方法
国際特許分類 E02D  29/02        (2006.01)
FI E02D 29/02 311
請求項の数または発明の数 6
全頁数 7
出願番号 特願2000-292252 (P2000-292252)
出願日 平成12年9月26日(2000.9.26)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成12年5月31日 社団法人地盤工学会発行の「第35回地盤工学研究発表会 平成12年度発表講演集(2分冊の1)」に発表
審査請求日 平成16年4月30日(2004.4.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】390039907
【氏名又は名称】株式会社クレアテラ
発明者または考案者 【氏名】伊藤 浩
【氏名】舘山 勝
【氏名】小島 謙一
【氏名】貝瀬 弘樹
【氏名】柳田 友隆
個別代理人の代理人 【識別番号】100080252、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 征四郎
審査官 【審査官】草野 顕子
参考文献・文献 実開昭57-110144(JP,U)
特開平11-280041(JP,A)
特公昭43-009476(JP,B1)
登録実用新案第3073746(JP,U)
調査した分野 E02D 29/02
特許請求の範囲 【請求項1】
擁壁の適宜位置に植栽孔を形成して、該植栽孔内に補助育成基盤材を挿設し、該補助育成基盤材に植栽した植物の根を、上記擁壁背部の砕石などの透水層に活着させて育成し、上記擁壁の表面を緑化する擁壁面の緑化方法において、上記植栽孔を排水孔と兼用または同じ位置に設けることを特徴とする擁壁面の緑化方法。
【請求項2】
上記透水層の活着部分を、育成基盤材と置き換えることを特徴とする請求項1に記載の擁壁面の緑化方法。
【請求項3】
上記植栽孔の周囲の擁壁表面に集水路を設けることを特徴とする請求項1または2に記載の擁壁面の緑化方法。
【請求項4】
上記補助育成基盤材を充填した育成用ケースにより予め植物を育成してから、上記補助育成基盤材を上記育成用ケースに入れたまま、または、上記育成用ケースから引き抜いて、上記植栽孔に挿設することを特徴とする請求項1、2または3に記載の擁壁面の緑化方法。
【請求項5】
上記透水層の活着部分に保水手段を設けたことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の擁壁面の緑化方法。
【請求項6】
上記擁壁の表面に生長誘引手段を一体的に形成して、植物の生長方向を誘引することを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の擁壁面の緑化方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、擁壁面の緑化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の技術としては、例えば、特開平6-108485号公開公報に開示されているように、擁壁背部の透水層を通過して、地山にまでパイプを通し、植物の根を地山に活着させるものや、特開平9-111767号公開公報に開示されているように、擁壁に筒状孔を穿って緑化基盤材を収容せしめ、この育成基盤材の表層部に植物の種を蒔いたり苗を植栽するものがあった。
【0003】
しかしながら、上記植物の根を地山に活着させるものは、植物を直接地山に植え付ける方法であるため、既設の擁壁には適用不能であるだけでなく、植物の茎の長さが擁壁厚と透水層厚を合わせた分だけ必要となり、蔓類以外の植物の植え込みは困難であるだけでなく、育成基盤材の表層部に種を蒔く方法も、植栽可能な植物が限られる等の問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、既設・新設の擁壁を問わず、各種の樹木や草花類を容易かつ迅速に植栽することができるだけでなく、確実かつ安定して育成することができる擁壁面の緑化方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の擁壁面の緑化方法は、擁壁の適宜位置に植栽孔を形成して、該植栽孔内に補助育成基盤材を挿設し、該補助育成基盤材に植栽した植物の根を、上記擁壁背部の砕石などの透水層に活着させて育成し、上記擁壁の表面を緑化する擁壁面の緑化方法において、上記植栽孔を排水孔と兼用または同じ位置に設けることを特徴とする。また、上記透水層の活着部分を、育成基盤材と置き換えることを特徴とする。さらに、上記植栽孔の周囲の擁壁表面に集水路を設けることを特徴とする。又更に、上記補助育成基盤材を充填した育成用ケースにより予め植物を育成してから、上記補助育成基盤材を上記育成用ケースに入れたまま、または、上記育成用ケースから引き抜いて、上記植栽孔に挿設することを特徴とする。更に又、上記透水層の活着部分に保水手段を設けたことを特徴とする。また、上記擁壁の表面に生長誘引手段を一体的に形成して、植物の生長方向を誘引することを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1において、1は擁壁、2はその背部に裏込めされた砕石などの透水層、3は盛土や切土などの地山であって、上記擁壁1の適宜位置に植栽孔4を形成し、該植栽孔4内に補助育成基盤材5を挿設して、該補助育成基盤材5に植栽した植物6の根6aを、上記透水層2の活着部分2aに根付かせて育成し、上記擁壁1の表面を緑化するようになっている。上記擁壁1は、例えば、鉄道、道路、宅地などの土留め用として構築されるコンクリート擁壁、モルタル擁壁、ブロック擁壁などの擁壁である。
【0007】
上記植栽孔4は円筒状に限定するものではなく、楕円形、三角形、四角形、多角形などいずれの形状でも、また、テーパー状に形成してもよい。さらに、上記植栽孔4の向きは水平に形成するだけでなく、上記透水層2の方向に下がるように傾斜させたり、逆に、擁壁1の表面方向に下がるように傾斜させてもよい。擁壁1が既設のものである場合には、これに穿設されている排水孔を植栽孔4として兼用させてもよい。擁壁1を新設する場合には、図2に示すように、排水孔を設置する個所に、一回り大きなサイズの孔をあけて、排水孔7付きの植栽孔4としてもよい。
【0008】
上記補助育成基盤材5は、上記植物6の根6aが、上記透水層2の活着部分2aに根付くまで育成するための補助資材であって、例えば、ヤシダストなどのような保水性が高くて上記植栽孔4から流出しない材料であればいずれでもよい。
【0009】
上記植物6としては、擁壁1の表面や裏側における環境条件に耐える植物であれば種類を限定するものではなく、低木や中木であってもよい。以下に、本発明方法による植栽可能で壁面緑化に適した植物の例を挙げる。例えば、ミヤギノハギ、ピラカンサ、マツバギク、ハマナス、モッコウバラ、スイカズラ、ノウゼンカズラ、カロライナジャスミン、テイカカズラ、ヘデラ、ヒメウツギ、ヤマブキ、ロニセラ・ニティダ、コトネアスター、ツルマサキ、ツルニチニチソウ、フィカスプミラなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0010】
図3は、上記透水層2の活着部分2aの別の実施例を示すもので、この活着部分2aの透水層2を、例えば、発泡錬石などの育成基盤材8と置き換えることにより、透水層2と同等の構造物としての強度や透水性の機能を保持させながら、植物6の根6aの活着を増進させるようにしている。擁壁1を新設する場合には、上記透水層2を設置する際に、その活着部分2aに育成基盤材8を設置する。既設の擁壁1では、植栽孔4を通じて活着部分2aの透水層2を掘出し、育成基盤材8を詰め込む。
【0011】
図4は、上記植栽孔4付近の擁壁1の表面の別の実施例を示すもので、図4(A)に示すように、植栽孔4が開口している擁壁1の表面に集水路9を形成して、擁壁1の表面に降り注いで流下する雨水の一部を集水し、植栽孔4内に積極的に導入するように構成されている。上記集水路9は、図4(B)に示すような集水溝9a、あるいは、図4(C)に示すような集水突起9bのいずれでもよい。図4(A)に示すように、上記集水溝9aや集水突起9bを植栽孔4の開口上部に形成すると、図4(D)から明らかなように、植栽孔4の表面側が下方に傾斜している構造であっても、雨水を確実に導入することができる。本発明の集水路9は雨水を導入できる位置であれば、その植栽孔4の開口に対する位置は、図示のものに限定するものではない。
【0012】
図5(A)は、透水層2の活着部分2aにおける更に別の実施例を示すもので、該活着部分2aに保水機能を持たせて植物6の根6aへの水供給を助けるようになっている。保水機能を持たせる具体例としては、図5(B)に示すように、塩化ビニールなどから成る底付き保水用筒体10であって、上部に穴10aをあけたものや、図5(C)に示すように、上部に切欠き部10bを設けた保水用筒体10や、さらに、図5(D)に示すように、不透水シートなどによって形成した保水凹部11などが考えられるが、本発明の保水手段はこれに限定するものではなく、根6aへの給水を助けるものであればいずれでもよい。また、図5(E)に示すように、植栽孔4が前下がりの勾配となっていても、透水層2を流下する雨水などを植栽孔4に導入することができる。
【0013】
図6は、植物の育成に係る別の実施例を示すもので、植栽する植物6を育成用ケース12内で予め育成し、植物6がある程度大きくなってから、この育成用ケース12を上記植栽孔4内に挿入し、根6aを背部の透水層2に活着せしめる。育成された植物6を上記育成用ケース12から取り出して、植栽孔4内に挿入してもよい。上記育成用ケース12は、環境上、生崩壊(自然に分解)性の材料により構成するのが好ましい。13は底面給水用トレーである。
【0014】
図7は、擁壁1の表面の更に別の実施例を示すもので、擁壁1の表面に張り付いた状態で延びる蔓植物6′においては、擁壁1の表面に生長誘引手段14を形成して、生長方向を誘引するようになっている。生長誘引手段14としては、例えば、図7(B)に示すような突状生長誘引手段14aや、図7(C)に示すような溝状生長誘引手段14bなどが考えられる。これらの生長誘引手段14の表面を粗くすることにより、蔓植物6′の張り付きが良くなる。擁壁1の表面に一体的に形成した上記生長誘引手段14は、ネットなどに比べて擁壁面から外れるおそれがない。
【0015】
【発明の効果】
1)既設・新設の擁壁を問わず、擁壁に植栽孔をあけるだけで、蔓植物だけでなく、樹木や草花類によるコンクリート擁壁などの表面の緑化が容易にできる。
2)擁壁背部の透水層の間隙水を利用することができるため、一度、根が活着すれば、乾燥時においても枯れる心配が極めて少ない。従って、灌水作業およびそのための設備が不要となる。
3)補助資材を用いずに、蔓植物の誘引ができ、効率的な面的緑化が可能となる。
4)万が一、植物が枯れた場合の撤去、植え替えが容易である。また、緑化を取りやめる場合でも、植栽孔をコンクリート等で充填することにより、通常のコンクリート擁壁などに戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】植栽孔の別の実施例を示す断面図である。
【図3】活着部分の別の実施例を示す断面図である。
【図4】の実施例を示した説明図である。
【図5】擁壁表面の別の実施例を示す説明図である。
【図6】植栽孔の後部の別の実施例を示す説明図である。
【図7】擁壁表面の更に別の実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 擁壁
2 透水層
2a 活着部分
3 地山
4 植栽孔
5 補助育成基盤材
6 植物
6′蔓植物
6a 根
7 排水孔
8 育成基盤材
9 集水路
9a 集水溝
9b 集水突起
10 保水用筒体
10a 孔
10b 切欠き
11 保水凹部
12 育成用ケース
13 底面給水用トレー
14 生長誘引手段
14a 突状生長誘引手段
14b 溝状生長誘引手段
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6