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明細書 :移動体通信装置、移動体通信システム、及び移動体通信方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3782654号 (P3782654)
公開番号 特開2002-111702 (P2002-111702A)
登録日 平成18年3月17日(2006.3.17)
発行日 平成18年6月7日(2006.6.7)
公開日 平成14年4月12日(2002.4.12)
発明の名称または考案の名称 移動体通信装置、移動体通信システム、及び移動体通信方法
国際特許分類 H04L  12/46        (2006.01)
H04Q   7/38        (2006.01)
H04L  12/28        (2006.01)
H04L  12/66        (2006.01)
FI H04L 12/46 Z
H04B 7/26 109M
H04L 12/28 310
H04L 12/66 Z
請求項の数または発明の数 10
全頁数 20
出願番号 特願2000-298235 (P2000-298235)
出願日 平成12年9月29日(2000.9.29)
審査請求日 平成15年2月24日(2003.2.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】鈴木 尚子
【氏名】関 清隆
個別代理人の代理人 【識別番号】100100413、【弁理士】、【氏名又は名称】渡部 温
【識別番号】100110777、【弁理士】、【氏名又は名称】宇都宮 正明
審査官 【審査官】矢頭 尚之
参考文献・文献 特開2000-032032(JP,A)
特開2000-101652(JP,A)
調査した分野 H04L 12/28
H04L 12/66
H04Q 7/38
特許請求の範囲 【請求項1】
列車などの移動体に設けられ、列車内LANなどの移動体内LANと接続するインタフェースを持つ移動体通信装置であって、
情報の入出力を行う通信端末に接続され、各通信端末を制御する1以上の通信制御手段と、
通信の宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを対応させたIPテーブルや通信の伝送媒体の状態を示す状態テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
外部から通信の要求があった場合、当該通信に最適な任意の数の伝送媒体を、前記テーブル記憶手段に記憶している前記状態テーブルに基づいて判断して決定する最適伝送媒体判断手段と、
前記テーブル記憶手段に記憶されている前記IPテーブルに基づいて、宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを変換する名前変換手段と、
を備え、
前記最適伝送媒体判断手段において決定された任意の数の伝送媒体を制御する当該前記通信制御手段を介して、前記名前変換手段において変換されたアドレス情報に基づいて情報の通信を行う、
ことを特徴とする移動体通信装置。
【請求項2】
通信ネットワークを介して、列車などの移動体との通信を行う移動体通信システムであって、
前記移動体内から情報の通信要求を行う端末や移動体業務装置などの通信要求装置と、
前記移動体に設けられ、前記通信要求装置からの通信要求に応じて、最適な通信の伝送媒体を確保して情報の通信を行う移動体通信装置と、
前記通信ネットワークに接続され、前記移動体通信装置との間で情報の送受信を行う地上通信装置と、前記地上通信装置で受信した情報を処理する地上業務装置とを有する地上通信サーバと、
を備え、
前記移動体通信装置は、
前記通信の伝送媒体を制御する1以上の通信制御手段と、
通信の宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを対応させたIPテーブルや前記通信の伝送媒体の状態を示す状態テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
前記通信要求装置から通信の要求があった場合、当該通信に最適な任意の数の前記通信の伝送媒体を、前記テーブル記憶手段に記憶している前記状態テーブルに基づいて判断して決定する最適伝送媒体判断手段と、
前記テーブル記憶手段に記憶されている前記IPテーブルに基づいて、宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを変換する名前変換手段と、
を備え、
前記移動体通信装置は、前記最適伝送媒体判断手段において決定された任意の数の伝送媒体を制御する当該前記通信制御手段を介して、前記名前変換手段において変換されたアドレス情報に基づいて情報の通信を行い、
前記地上通信装置は、
通信の宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを対応させたホスト変換テーブルや通信の伝送媒体のIPアドレスや状態を示すIPアドレス・状態テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
情報の通信要求を行う端末や前記地上業務装置から要求された通信に最適な任意の数の前記通信の伝送媒体を、前記テーブル記憶手段に記憶している前記IPアドレス・状態テーブルに基づいて判断して決定する最適伝送媒体判断手段と、
前記テーブル記憶手段に記憶されている前記ホスト変換テーブルに基づいて、宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを変換する名前変換手段と、
を備える、
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項3】
通信ネットワークを介して、列車などの移動体との通信を行う移動体通信システムであって、
第1の移動体から第2の移動体へ情報の通信要求を行う第1の業務処理装置と、
前記第1の移動体に設けられ、前記第1の業務処理装置からの通信要求に応じて、最適な伝送媒体を確保して情報の通信を行う第1の移動体通信装置と、
前記通信ネットワークに接続され、前記第1の移動体通信装置からの情報を受信する第1の地上通信装置と、前記第1の地上通信装置から情報を受け取って前記第2の移動体に情報を送信する第2の地上通信装置と、を有する地上通信サーバと、
前記第2の移動体に設けられ、前記地上通信サーバの前記第2の地上通信装置から情報を受信する第2の移動体通信装置と、
前記第2の移動体通信装置から前記情報を受け取って処理する第2の業務処理装置と、
を備え、
前記第1及び第2の各装置は同一の前記構成を備え、第2の業務処理装置により第2の移動体から第1の移動体へ情報の通信要求を行うことができる、
ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項4】
前記第1及び第2の移動体通信装置は、
通信要求装置である情報の入出力を行う通信端末に接続され、各通信端末を制御する1以上の通信制御手段と、
通信の宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを対応させたIPテーブルや通信の伝送媒体の状態を示す状態テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
前記第1の移動体通信装置に対して第1の業務処理装置から、又は、第2の移動体通信装置に対して第2の業務処理装置から通信の要求があった場合、当該通信に最適な任意の数の伝送媒体を、前記テーブル記憶手段に記憶している前記状態テーブルに基づいて判断して決定する最適伝送媒体判断手段と、
前記テーブル記憶手段に記憶されている前記IPテーブルに基づいて、宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを変換する名前変換手段と、
を備え、
前記第1及び第2の移動体通信装置は、前記最適伝送媒体判断手段において決定された任意の数の伝送媒体を制御する当該前記通信制御手段を介して、前記名前変換手段において変換されたアドレス情報に基づいて情報の通信を行い、
前記第1及び第2の地上通信装置は、
通信の宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを対応させたホスト変換テーブルや通信の伝送媒体のIPアドレスや状態を示すIPアドレス・状態テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
前記第2の地上通信装置に対して第1の地上通信装置から、又は、第1の地上通信装置に対して第2の地上通信装置から要求された通信に最適な任意の数の伝送媒体を、前記テーブル記憶手段に記憶している前記IPアドレス・状態テーブルに基づいて判断して決定する最適伝送媒体判断手段と、
前記テーブル記憶手段に記憶されている前記ホスト変換テーブルに基づいて、宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを変換する名前変換手段と、
を備える、
ことを特徴とする請求項記載の移動体通信システム。
【請求項5】
さらに、前記地上通信サーバは、前記第1の地上通信装置を前記第1の移動体通信装置に対応させ、前記第2の地上通信装置を前記第2の移動体通信装置に対応させて備える、ことを特徴とする請求項又は記載の移動体通信システム。
【請求項6】
さらに、前記移動体通信装置、前記第1及び第2の移動体通信装置、前記地上通信装置、及び前記第1及び第2の地上通信装置は、前記テーブル記憶手段に記憶されている各テーブルを所定のタイミングで更新するテーブルメンテナンス手段を備えることを特徴とする請求項又は記載の移動体通信システム。
【請求項7】
さらに、前記通信ネットワークに接続され、列車番号などの論理番号や機能番号とホスト名を組み合わせた組ホスト名とその一般IPアドレスを対応させた列番IP対応テーブルを有する列番IP管理サーバを備える、ことを特徴とする請求項乃至記載の移動体通信システム。
【請求項8】
前記通信ネットワークは、インターネット又はイントラネットであることを特徴とする請求項乃至記載の移動体通信システム。
【請求項9】
通信ネットワークを介して、列車などの移動体との通信を行う移動体通信方法であって、
移動体において
通信の宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを対応させたIPテーブルや通信の伝送媒体の状態を示す状態テーブルを記憶し、
情報の送信要求に応じて、情報通信における伝送媒体を前記状態テーブルに基づいて確保し、
確保した前記伝送媒体を介して、前記IPテーブルのアドレス情報に基づいて情報の通信を行う、
ことを特徴とする移動体通信方法。
【請求項10】
通信ネットワークを介して、列車などの移動体間で通信を行う移動体通信方法であって、
第1の移動体に、伝送媒体を自動的に確保して情報の送受信を行う第1の通信部を設け、
第2の移動体に、伝送媒体を自動的に確保して情報の送受信を行う第2の通信部を設け、
第1の移動体と第2の移動体の間に、情報の中継を行う地上通信サーバを設け、
前記地上通信サーバ内に、前記第1の移動体の前記第1の通信部に対応する第1のサーバ側通信部と、前記第2の移動体の前記第2の通信部に対応する第2のサーバ側通信部とを設け、
前記第1の移動体から前記第2の移動体への通信要求があった場合、
前記第1の移動体の前記第1の通信部から前記地上通信サーバの前記第1のサーバ側通信部へ情報を送信し、
前記地上通信サーバの前記第1のサーバ側通信部から前記第2のサーバ側通信部へ前記情報を渡し、
前記地上通信サーバの前記第2のサーバ側通信部から前記第2の移動体の前記第2の通信部へ前記情報を送信する、
ことを特徴とする移動体通信方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両(列車)などの移動体との間で情報などの通信を行う移動体通信装置、移動体通信システム、及び移動体通信方法に関する。特には、インターネットなどの通信ネットワークを利用し、利用者が通信の伝送方式を意識することなく列車などの移動体との間で情報などの通信を行うことができる移動体通信装置、移動体通信システム、及び移動体通信方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、複数のコンピュータを通信回線などによって接続し、データやプログラムなどを複数のコンピュータ同士で蓄積交換したり、データなどを共有するコンピュータ・ネットワーク(以下、単に「ネットワーク」とも言う)が構築されている。
【0003】
このようなネットワークの方式としては、所定の通信プロトコルなどに準拠すれば、原則として自由にコンピュータの接続ができるオープン型ネットワーク方式と、ネットワークをホスト・コンピュータなどで管理し、接続されるコンピュータなどの端末装置に一定のセキュリティなどの制限を設けて、管理外のコンピュータ・ノードをネットワークに接続させないようにするクローズ型ネットワーク方式がある。
【0004】
上述のオープン型ネットワーク方式の代表的なものとして、インターネットがある。このインターネットにおいては、通信プロトコルにTCP(Transfer Control Protocol)/IP(Internet Protocol)が採用されており、原則としてこの通信プロトコルを遵守したコンピュータであればネットワークに接続することができる。
【0005】
近年において、インターネットのような自由なネットワーク環境を背景に、WWW(World Wide Web)などのマルチメディア環境が整備されてきた。特に、最近では、このインターネットを利用した通信サービスが多く提案され運営されている。
【0006】
このインターネットにおける通信サービスには、携帯電話などを利用した移動体通信サービスも存在している。
【0007】
また、現在、鉄道において、列車内の乗務員や車上機器と地上の指令や通信装置との間の通信は、列車無線や乗務員無線、あるいは携帯電話を用いて音声通話やデータ通信を行っている。また、旅客は列車内から携帯電話や小型情報端末等を用い、インターネットサービスプロバイダ(ISP:Internet Service Provider)などのアクセスポイントに個別に発呼してメールやWeb等のサービスを利用している。
【0008】
また、その他に、駅で無線LAN(Local area Network)や事業者用簡易無線などを用いたポイント伝送なども行われている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上述したような列車などの移動体から通信を行う場合、列車無線や携帯電話等の個々の伝送方式が、個々のアプリケーションごとにばらばらに用意されているため、指令、乗務員、旅客などの通信の利用者が利用する伝送方式を判断し、例えば、列車から携帯電話を利用する場合には、ISPのアクセスポイントに発呼して接続するなどの、意識的に通信の伝送路を確保しなければならなかった。
【0010】
また、指令から列車の乗務員の携帯電話に電話をかける場合、乗務員の乗務している列車番号とその携帯電話の番号とを関連付けて知っておく必要があった。
【0011】
また、移動体IP(Internet Protocol)通信においては、携帯電話や小型情報端末などでISPにPPP(Point to Point Protocol)で接続し続けてインターネットを利用することはできるが、逆に、地上から列車上に対してのアクセスができないという問題があった。
【0012】
また、一旦接続が途絶すると、再接続の際にはDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)により端末のIPアドレスが変更されてしまうという問題があった。
【0013】
さらに、「特定の列車中にある任意の通信システム」をホストとして指定したい場合、物理的に同じ列車が、運行スケジュールに応じて適宜列車番号を変えて走行するので、通常のDNS(Dynamic Name System)が使えないという問題があった。
【0014】
従って、本発明の目的は、移動体との間の通信において、利用者が通信の伝送方式や通信状態を意識することなく、シームレスな通信を行うことができる移動体通信装置、移動体通信システム、及び移動体通信方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の移動体通信装置は、列車などの移動体に設けられる移動体通信装置であって、情報の入出力を行う通信端末に接続され、各通信端末を制御する1以上の通信制御手段と、通信の宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを対応させたIPテーブルや通信の伝送媒体の状態を示す状態テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、外部から通信の要求があった場合、当該通信に最適な任意の数の伝送媒体を、テーブル記憶手段に記憶している状態テーブルに基づいて判断して決定する最適伝送媒体判断手段と、テーブル記憶手段に記憶されているIPテーブルに基づいて、宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを変換する名前変換手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
さらに、テーブル記憶手段に記憶されているIPテーブル及び状態テーブルを所定のタイミングで更新するテーブルメンテナンス手段を備えることができる。
【0017】
また、上記課題を解決するため、本発明の第1の態様の移動体通信システムは、通信ネットワークを介して、列車などの移動体との通信を行う移動体通信システムであって、移動体内から情報の通信要求を行う端末や移動体業務装置などの通信要求装置と、移動体に設けられ、通信要求装置からの通信要求に応じて、最適な通信の伝送媒体を確保して情報の通信を行う移動体通信装置と、通信ネットワークに接続され、移動体通信装置との間で情報の送受信を行う地上通信装置と、地上通信装置で受信した情報を処理する地上業務装置とを有する地上通信サーバと、を備え、移動体通信装置は、通信の伝送媒体を制御する1以上の通信制御手段と、通信の宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを対応させたIPテーブルや通信の伝送媒体の状態を示す状態テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、通信要求装置から通信の要求があった場合、当該通信に最適な任意の数の通信の伝送媒体を、テーブル記憶手段に記憶している状態テーブルに基づいて判断して決定する最適伝送媒体判断手段と、テーブル記憶手段に記憶されているIPテーブルに基づいて、宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを変換する名前変換手段と、を備え、地上通信装置は、通信の宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを対応させたホスト変換テーブルや通信の伝送媒体のIPアドレスや状態を示すIPアドレス・状態テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、情報の通信要求を行う端末や前記地上業務装置から要求された通信に最適な任意の数の通信の伝送媒体を、テーブル記憶手段に記憶しているIPアドレス・状態テーブルに基づいて判断して決定する最適伝送媒体判断手段と、テーブル記憶手段に記憶されているホスト変換テーブルに基づいて、宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを変換する名前変換手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0018】
また、上記課題を解決するため、本発明の第2の態様の移動体通信システムは、通信ネットワークを介して、列車などの移動体との通信を行う移動体通信システムであって、第1の移動体から第2の移動体へ情報の通信要求を行う第1の業務処理装置と、第1の移動体に設けられ、第1の業務処理装置からの通信要求に応じて、最適な伝送媒体を確保して情報の通信を行う第1の移動体通信装置と、通信ネットワークに接続され、第1の移動体通信装置からの情報を受信する第1の地上通信装置と、第1の地上通信装置から情報を受け取って第2の移動体に情報を送信する第2の地上通信装置と、を有する地上通信サーバと、第2の移動体に設けられ、地上通信サーバの第2の地上通信装置から情報を受信する第2の移動体通信装置と、第2の移動体通信装置から情報を受け取って処理する第2の業務処理装置と、を備える、ことを特徴とする。
【0019】
ここで、第1及び第2の移動体通信装置は、通信要求装置である情報の入出力を行う通信端末に接続され、各通信端末を制御する1以上の通信制御手段と、通信の宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを対応させたIPテーブルや通信の伝送媒体の状態を示す状態テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、第1又は第2の業務処理装置から通信の要求があった場合、当該通信に最適な任意の数の伝送媒体を、テーブル記憶手段に記憶している状態テーブルに基づいて判断して決定する最適伝送媒体判断手段と、テーブル記憶手段に記憶されているIPテーブルに基づいて、宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを変換する名前変換手段と、を備え、第1及び第2の地上通信装置は、通信の宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを対応させたホスト変換テーブルや通信の伝送媒体のIPアドレスや状態を示すIPアドレス・状態テーブルを記憶するテーブル記憶手段と、第1の地上通信装置から要求された通信に最適な任意の数の伝送媒体を、テーブル記憶手段に記憶しているIPアドレス・状態テーブルに基づいて判断して決定する最適伝送媒体判断手段と、テーブル記憶手段に記憶されているホスト変換テーブルに基づいて、宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを変換する名前変換手段と、を備える、ことができる。
【0020】
さらに、地上通信サーバは、第1の地上通信装置を第1の移動体通信装置に対応させ、第2の地上通信装置を第2の移動体通信装置に対応させて備える、ことができる。
【0021】
さらに、移動体通信装置、第1及び第2の移動体通信装置、地上通信装置、及び第1及び第2の地上通信装置は、テーブル記憶手段に記憶されている各テーブルを所定のタイミングで更新するテーブルメンテナンス手段を備えるようにしてもよい。
【0022】
さらに、通信ネットワークに接続され、列車番号などの論理番号や機能番号とホスト名を組み合わせた組ホスト名とその一般IPアドレスを対応させた列番IP対応テーブルを有する列番IP管理サーバを備えることもできる。
【0023】
ここで、通信ネットワークは、インターネット又はイントラネットにするとよい。
【0024】
また、上記課題を解決するため、本発明の第1の態様の移動体通信方法は、通信ネットワークを介して、列車などの移動体との通信を行う移動体通信方法であって、移動体において、通信の宛先と送信元のIPアドレスやホスト名などを対応させたIPテーブルや通信の伝送媒体の状態を示す状態テーブルを記憶し、情報の送信要求に応じて、情報通信における伝送媒体を状態テーブルに基づいて確保し、確保した伝送媒体を介して、IPテーブルのアドレス情報に基づいて情報の通信を行う、ことを特徴とする。
【0025】
また、上記課題を解決するため、本発明の第2の態様の移動体通信方法は、通信ネットワークを介して、列車などの移動体間で通信を行う移動体通信方法であって、第1の移動体に、伝送媒体を自動的に確保して情報の送受信を行う第1の通信部を設け、第2の移動体に、伝送媒体を自動的に確保して情報の送受信を行う第2の通信部を設け、第1の移動体と第2の移動体の間に、情報の中継を行う地上通信サーバを設け、地上通信サーバ内に、第1の移動体の第1の通信部に対応する第1のサーバ側通信部と、第2の移動体の第2の通信部に対応する第2のサーバ側通信部とを設け、第1の移動体から第2の移動体への通信要求があった場合、第1の移動体の第1の通信部から地上通信サーバの第1のサーバ側通信部へ情報を送信し、地上通信サーバの第1のサーバ側通信部から第2のサーバ側通信部へ情報を渡し、地上通信サーバの第2のサーバ側通信部から第2の移動体の第2の通信部へ情報を送信する、ことを特徴とする。
【0026】
IPテーブルや伝送状態テーブルの利用により、移動体からの通信において、利用者が通信の伝送方式や通信状態を意識することなく、シームレスな通信を行うことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の移動体通信装置、移動体通信システム、及び移動体通信方法の実施の形態を説明する。ここで、本発明の移動体通信装置、移動体通信システム、及び移動体通信方法においては、インターネットやイントラネットなどの通信ネットワークを利用し、ユーザ側からの情報に基づいて、を提供する。
【0028】
図1は、本発明の移動体通信装置を適用した移動体通信システムの一形態を示す図である。この移動体通信システムは、インターネットやイントラネットなどのコンピュータネットワークである通信ネットワーク80と、移動体であるA列車20a及びB列車20bの各列車に設置され、A列車車上通信プログラム及びB列車車上通信プログラムなどの車上通信プログラムを実行する移動体通信装置22a、22bと、移動体であるA列車20a及びB列車20bの各列車に設置され、旅行商品販売、車上機器制御やモニタリング、異常時情報収集と提供などを行うアプリケーションであるA列車車上業務プログラム及びB列車車上業務プログラムなどの車上業務プログラムを実行する移動体業務装置21a、21bと、各列車20a、20bの無線通信を行う列車無線システム30と、列車無線システム30と通信ネットワーク80との間で情報の中継を行う列車無線中央局50と、各列車20a、20bの列車内LANとの無線通信を行う駅無線LAN41と、駅無線LAN41と通信ネットワーク80との間で情報の中継を行う駅ネットワーク40と、各列車20a、20bからの携帯電話やPHS(Personal Handy phone System)方式による通信を中継する基地局60と、基地局60と通信ネットワーク80を接続する携帯電話網90と、情報の蓄積交換や処理などを行うホスト70と、各列車20a、20bで実行される車上業務プログラムや車上通信プログラムに対応する、A列車地上業務プログラム11a、B列車地上業務プログラム11b、A列車地上通信プログラム12a及びB列車地上通信プログラム12bなどを実行して処理する地上通信サーバ10と、を備えている。
【0029】
ここで、1列車ごと(各A列車20a及びB列車20bごと)に地上通信サーバ10と各A列車20a及びB列車20b上にペアとなる通信プログラムが存在し、各列車上と地上通信サーバ10との通信は、必ずこの通信プログラムのペアを介して行われる(以下、ペアとなる地上及び車上の通信プログラムをそれぞれ「地上通信プログラム」「車上通信プログラム」ともいう)。したがって、A列車20aと地上通信サーバ10との関係では、「A列車地上通信プログラム12a」と「A列車車上通信プログラム(移動体通信装置22aで実行される)」がペアとなり、B列車20bと地上通信サーバ10との関係では、「B列車地上通信プログラム12b」と「B列車車上通信プログラム(移動体通信装置22bで実行される)」がペアとなる。
【0030】
また、通信ネットワーク80は、インターネットやイントラネットを利用して構築することができる。この場合、インターネットの通信プロトコルに準拠した既存のアプリケーションやシステムを使用することができるので、低コストで本発明の移動体通信システムを実現することができる。
【0031】
また、図1に示したように、走行している列車20a、20bと地上通信サーバ10が通信を行う際には、通信の伝送方式として携帯電話や列車無線、乗務員無線、また駅に停車した時などにポイント的に利用する駅無線LAN41やPHSなどが考えられる。それぞれの伝送方式には、鉄道沿線でほぼ連続的に利用できるタイプ、比較的広いカバーエリアであるが時として弱電波・不感地帯もあるタイプ、特定の場所でのみ利用可能なタイプなどがある。また単位時間で送ることのできるデータ量も伝送方式によって様々である。
【0032】
図2は、図1に示した列車20a、20bなどの列車内に構築される列車内ネットワークシステムの一例を示す図である。図2において、列車内ネットワークシステムは、列車20内で携帯電話26、無線LAN端末27、列車無線端末28などに接続され、車上通信プログラムを実行して各端末26、27、28の伝送方式を提供する移動体通信装置22と、移動体通信装置22、メールサーバ機能を有するメールサーバ24、インターネットなどに接続可能なPC(Personal Computer)25などを接続する列車内LAN23と、を備えている。
【0033】
図2に示したように、1編成の列車20内には全車両を通して列車内LAN23が構築され、メールサーバ24や車両制御機器(図示せず)、旅客や乗務員が持ち込むPC25、及び通信プログラムサーバである移動体通信装置22などが接続されており、1編成で1つのサブネットを構成している。ここで、利用出来る伝送方式としては、携帯電話、無線LAN、列車無線などがある。
【0034】
図3は、本発明の移動体通信システムの地上ネットワークの一例を示す図である。この地上ネットワークにおいては、インターネットやイントラネットの通信ネットワーク80に、携帯電話26の中継基地局となるアクセスポイント61と、駅無線LAN41の中継システムとなる駅ネットワーク40と、列車無線システム30の中継基地局となる列車無線中央局50と、各情報の処理を行うホスト70と、列車のIPアドレスなどを管理する列番IP管理サーバ71と、DNSサーバ72と、地上通信サーバ10が接続されている。
【0035】
また、地上通信サーバ10には、各列車毎に対応する地上通信プログラムを実行する地上通信装置12が設けられている。
【0036】
図3に示すように、列車20上と地上ネットワークシステムが何らかの伝送媒体40、50、61を選択して接続されると、走行列車の列車車上業務プログラムを実行する移動体業務装置と地上通信サーバ10の列車地上業務プログラムを実行する地上業務装置との間のデータ通信は、必ず地上通信サーバ10上の自列車に対応する地上通信プログラムを実行する地上通信装置及び走行列車内通信プログラムを実行する移動体通信装置22を介して行われる。
【0037】
また、図3中の点線は、列車番号13Wの移動体業務装置(図示せず)が車上の移動体通信装置22(図2)に伝送媒体(図3では携帯電話26の場合を示す)を準備してもらい、地上通信サーバ10のバーチャル列車13Wの地上通信装置12を介して目的のホスト70とメッセージ交換などを行っていることを示している。
【0038】
地上通信サーバ10の地上業務装置で実行される業務プログラムからは、走行列車13Wの移動体業務装置で実行される業務プログラムと通信したい場合、対応する地上通信サーバ10にメッセージすればよく、バーチャルに走行列車内ネットワークが地上通信サーバ上に固定IPネットワークとして存在しているように見える。走行列車20の移動体通信装置22(車上通信プログラム)からは、全てのメッセージ交換を地上通信装置12(地上通信プログラム)とのみ行えばよい。
【0039】
図4は、列車20内及び地上通信サーバ10内に設けられた、業務装置11、21及び通信装置12、22の一例を示す図である。図4において、列車20内及び地上通信サーバ10内に設けられた、移動体業務装置21及び地上業務装置11は、実行する列車車上業務プログラムや列車地上業務プログラム、メッセージなどを記憶するプログラム・メッセージDB31を備えている。
【0040】
また、列車20内及び地上通信サーバ10内に設けられた、移動体通信装置22及び地上通信装置12は、各テーブルや通信環境情報を記憶するテーブル・通信環境情報DB32と、各テーブルをメンテナンスするテーブルメンテナンス部34と、アドレス変換を行う名前解決部35と、列車の無線通信を制御する列車無線制御部36と、無線LANの通信を制御する無線LAN制御部37と、携帯電話の通信を制御する携帯電話制御部38と、通信に最適な伝送媒体を判断して決定する最適伝送媒体判断部33と、を備えている。
【0041】
ここで、列車無線制御部36は、列車に設けられている車上無線機を特定するための車上無線機IDを記憶する車上無線機ID・DB36aを備えている。また、携帯電話制御部38は、固定番号である地上電話番号と可変番号である車上電話番号とを記憶する電話番号DB38aを備えている。
【0042】
ここで、地上通信サーバ10内に設けられた地上通信装置22においては、列車無線制御部36、無線LAN制御部37及び携帯電話制御部38を必ずしも備える必要はない。
【0043】
ここで、移動体業務装置21及び地上通信サーバ10の地上業務装置11で実行される業務プログラムは、アプリケーション、例えば、旅行商品販売、車上機器制御やモニタリング、異常時情報収集と提供などを実行するプログラムであり、列車20内のコンピュータシステム及び地上通信サーバ10のコンピュータシステムに存在している。任意のアプリケーションの実行のために、別の、例えば、他の列車やホストの業務プログラムとデータ通信を行いたい場合、通信プログラムに「通信の相手先、即時性、送信したいデータサイズ、通信の信頼性」などの希望と属性を依頼条件として伝える。ここで、通信の相手先は、「ホスト名」あるいは「URL(Uniform Resource locator)」などで指定する。
【0044】
また、移動体通信装置22で実行される列車車上通信プログラムは、自分の列車20で利用可能な「回線容量、コスト、信頼性、プロトコル」などの伝送方式の特性とステータスを把握している。また通信環境として「現在の自分の位置、各伝送手段が利用できる場所」を知っている。これとほとんど同じ機能と情報を持った地上通信装置12で実行される通信プログラムが、地上通信サーバ10上にも存在する。
【0045】
以下、通信装置で実行される通信プログラムの動作について説明する。発呼する側(地上、車上どちらからでも可能)の通信プログラムは、業務プログラムからの送信依頼を受け、その依頼条件と現在の伝送媒体のステータスから自律的に最適な伝送方式を選択する。そして、通信プログラムのサブ機能である各伝送媒体制御部36~38へ回線の準備命令を出す。
【0046】
ここで、伝送媒体制御部36~38は、伝送方式ごとに1つずつ存在している。通信プログラムの判断によっては、通信に利用される回線が1種類だけ選択されるとは限らず、複数選択もあり得る。準備命令を受け取った伝送媒体制御部36~38は、回線を接続すると準備完了(接続ができなかった場合は準備不可)を最適伝送媒体判断部33へ通知する。
【0047】
最適伝送媒体制御部33は、回線の準備が出来次第業務プログラムへ準備完了(あるいは準備不可)を伝える。その後、業務プログラムからデータの送信が行われる。業務プログラムから送信完了を伝えられると、通信プログラムは、用意した回線を開放し、モニタ状態に移る。
【0048】
通信装置12、22内には、伝送手段の特性とステータス情報などの通信環境情報と、ルーティングにおけるIPアドレス解決のための各テーブルを記憶するテーブル・通信環境情報DB32を有する。テーブル・通信環境情報DB32に記憶されているテーブルは、初期動作、あるいは1走行中の適当なタイミングで更新される必要があり、その処理を行うのがテーブルメンテナンス部34である。
【0049】
名前解決部35は、IPテーブルなどからホスト名とIPアドレスの対応を管理し、DNSサーバ72のように動作する。以下に、地上通信サーバ10と列車20間でIPプロトコルを用いて通信を行う際に、パケットのルーティング及びIPアドレス解決のために必要なテーブルについて述べる。
【0050】
図5は、通信装置22(以下、「車上通信プログラム22」ともいう)が持っているIPテーブルを示す。ここで、「車上限定IPアドレス」とは、車上ネットワーク上のホストだけで利用するクローズしたIPアドレス体系であると定義する。また、「一般IPアドレス」とは、車上、地上のどのホストにもオープンにされているIPアドレスであり、そのIPアドレスで一意にホストが決まるアドレスであると定義する。
【0051】
また、「ホスト名(限定、一般)」とは、列車内ネットワーク上だけのクローズした環境で使われるホスト名が「限定」、この通信システムが利用される地上、車上のネットワークの中で一意に決まるホスト名が「一般」と定義する。
【0052】
図6は、車上通信プログラム22が持っている通信ポート状態テーブルを示す。車上通信プログラムは、通常のDNSサーバ72の代わりに、図5及び図6のようなテーブルをDB32に持っている。
【0053】
図5により、地上あるいは他の列車のホスト70の宛先アドレスが解る。ここで、地上一般IPアドレスは、あまり変化しないと考えられるが、他列車一般IPアドレスは、刻々と変化するため、何らかのタイミングでリフレッシュさせる必要がある。図6は、通信ポートの状態テーブルで、これにより各伝送方式の状態が把握できる。
【0054】
図7は、通信装置12(以下、「地上通信プログラム12」ともいう)が持っているホスト変換テーブルを示す。図7において、「ホスト名(一般)」は、基本的に「列車番号-ホスト名(限定)」とする。
【0055】
図8は、地上通信プログラム12が持っているIPアドレス・状態テーブルを示す。また、図9は、列番IP管理サーバ71の有する列番IP対応テーブルを示す。
【0056】
図8の伝送方式ごとの「一般IPアドレス」は、接続のたびにDHCPによって割り振られるため、リンクするたびにその値が変化する。
【0057】
また、図9は、図7のホスト名(一般)及び一般IPアドレスの一群を列番IP管理サーバ71に登録することで作成される。
【0058】
ここで、図9の列番IP対応テーブルとは、普通のDNSサーバ72のほかに必要な、一般IPアドレスに関するテーブルである。これにより、走行列車内のネットワークが仮想的に固定ネットワークのように地上通信サーバ10上にあるようなイメージとなる。この地上列番IP対応テーブルは、列番IP管理サーバ71によって管理される。
【0059】
図10は、本発明の移動体通信システムの動作を示すフローチャートである。また、図11は、図10に示したステップ1001の処理を示すフローチャートである。以下、本発明の移動体通信システムの動作について説明する。
【0060】
先ず初期動作(ステップ1001)について説明する。図1~図11において、A列車20aの運転士等は、A列車20aが出庫する前に、携帯電話の番号や列車番号を車上通信プログラム22aに登録する(ステップ1101)。
【0061】
A列車20aが出庫し、通信可能な地点に到着した時、A列車車上通信プログラム22aは、「接続先情報(電話番号、列車無線中央局機器ID)」を車上無線機DB36a及び電話番号DB38aに登録し、図5に示した「IPテーブル」、「接続元情報(A列車の列車番号、A列車の携帯電話番号、A列車の無線機ID)」などの通信設定情報を地上通信サーバ10のA列車地上通信プログラム12aに送る(ステップ1102)。地上-車上間通信は、この通信プログラムのペア22a、12aどうしで行う。地上通信サーバ10には、各列車毎に対応した地上通信プログラム12が存在し、仮想的に地上通信サーバ10に走行列車内の固定ネットワークが存在するかのようになる(図3参照)。
【0062】
ペアの地上通信サーバ10にあるA列車地上通信プログラム12aは、接続先情報(A列車の列車番号、A列車の携帯電話番号、A列車の無線機ID)を持っている。また、A列車上通信プログラム22a(走行列車20a)は、GPS(Global Positioning system)などの車内機器(図示せず)から位置情報を入手する。また、利用できる回線(伝送方式)の属性、例えば、伝送容量、利用できる場所、信頼性、コスト等を保持している。
【0063】
この初期動作(ステップ1001)が終了すると、移動体通信装置22(A列車車上通信プログラム22a)は、待機状態となる(ステップ1002)。
【0064】
次に、移動体通信装置22(A列車車上通信プログラム22a)の待機状態からリンクセットアップ(伝送方式の選択)及びデータ送信(ステップ1002~ステップ1004)までの処理について説明する。
【0065】
先ず、移動体業務装置21(A列車車上業務プログラム21a)から地上通信サーバ10の地上業務装置11(A列車地上業務プログラム11a)にデータを送信する場合について説明する。
【0066】
図12は、移動体業務装置21(A列車車上業務プログラム21a)から地上通信サーバ10の地上業務装置11(A列車地上業務プログラム11a)にデータを送信する場合のフローチャートである。なお、地上ネットワーク内だけでクローズした通信は、従来のインターネット通信と変わりない。
【0067】
図1~図12において、A列車車上業務プログラム21aが業務プログラムデータを送信したい場合、送信条件の設定を行い(ステップ1201)、A列車車上通信プログラム22aに送信依頼条件を伝える(ステップ1202)。
【0068】
これにより、A列車車上通信プログラム22aは、待機状態(ステップ1002)から稼動状態になり、A列車車上業務プログラム21aとのリンクを確立後、通信ポート状態テーブル(図6)を参照して伝送方式の状態を確認する(ステップ1203)。
【0069】
その時点で何れかの伝送方式のステータスが確保されていた場合には、その伝送方式を利用するかどうか依頼条件から判断する(ステップ1204)。
【0070】
既に確保されている伝送方式を利用しない、または伝送方式が確保されていない場合(ステップ1204)には、A列車車上通信プログラム22aは、A列車車上業務プログラム21aの希望に適した伝送方式を判断して確保する(ステップ1205)。
【0071】
利用する伝送方式が確保されたら(ステップ1204、ステップ1205)、A列車車上通信プログラム22aは、A列車車上業務プログラム21aに準備完了(送信準備OK)を返す。これにより、A列車車上通信プログラム22aから準備完了をもらったA列車車上業務プログラム21aは、宛先となるA列車地上業務プログラム11aとのデータ通信が行えるようになり、以下の送信処理(ステップ1206)が行われる。
【0072】
この送信処理(ステップ1206)においては、先ず、A列車車上業務プログラム21aは、A列車車上通信プログラム22aに対して、割り当てられたA列車地上業務プログラム11aの宛先アドレスを問い合わせる。A列車車上業務プログラム21aは、A列車車上通信プログラム22aからA列車地上業務プログラム11aの宛先アドレスを入手すると、この宛先アドレスによって、A列車地上業務プログラム11aへデータの送信を行うことができる。
【0073】
A列車車上通信プログラム22aは、A列車車上業務プログラム21aからのデータを受信すると、宛先アドレスに基づいて、A列車地上業務プログラム11aへデータの送信を行う(ステップ1207)。
【0074】
データ送信が正常に完了したら、A列車車上通信プログラム22aは、A列車車上業務プログラム21aに送信終了を通知する(ステップ1208)。このとき、送信方式の断などによってデータ送信が正常に完了しなかった場合には(ステップ1207)、ステップ1205の伝送方式の確立から再び処理を繰り返すとよい。
【0075】
A列車車上業務プログラム21aは、全ての送信データの処理が終了したら(ステップ1209)、送信終了の通知をA列車車上通信プログラム22aに送る(ステップ1210)。
【0076】
A列車車上通信プログラム22aは、A列車車上業務プログラム21aから送信終了の通知を受け取ると、A列車車上業務プログラム21aとのリンクを切断し、待機状態に戻る(ステップ1002)。
【0077】
以上のようにして、A列車車上業務プログラム21aからA列車地上業務プログラム11aへのデータ送信が行われる。
【0078】
次に、地上業務プログラム11から車上業務プログラム21にデータ送信する場合について説明する。この場合の処理を示すフローチャートは、上述した図12と同様の内容となる。
【0079】
即ち、地上業務プログラム11から車上業務プログラム21への送信要求が発生すると、地上通信プログラム12に依頼条件を伝える(ステップ1201、1202)。地上通信プログラム12は、待機状態(ステップ1002)から稼動状態に移行し、IPテーブル(図5)を参照し、その時点で伝送方式のステータスが確保されていた場合は、それを利用するかどうか判断する(ステップ1203、1204)。
【0080】
その伝送方式を利用しない、または伝送方式が確保されていない場合(ステップ1204)、地上通信プログラム12は、地上業務プログラム11の希望に適した伝送方式を判断して確保し、地上業務プログラムに準備完了を返す(ステップ1205)。
【0081】
地上通信プログラム12から準備完了をもらった地上業務プログラム11は、宛先となる車上業務プログラム21とのデータ通信が行えるようになる(ステップ1206~1211)。
【0082】
次に、車上業務プログラム21から別の車上業務プログラム21(例えば、A列車車上業務プログラム21aからB列車車上業務プログラム21b)にデータ送信をする場合について説明する。
【0083】
図13は、A列車車上業務プログラム21aからB列車車上業務プログラム21bへデータ送信を示す図である。
【0084】
図13に示すように、仮想的な走行列車ネットワークが地上通信サーバ10上にあるため、本発明によって、従来技術では困難であった列車間通信が可能となった。A列車20a内からB列車20b内に通信を行う場合は、図13のようなデータの流れとなる。このとき、リンクセットアップの動作は、上述した車上業務プログラム21から地上業務プログラム11にデータ送信をする場合と同じになる。
【0085】
なお、本発明の移動体通信システムによるデータ送信を終了するときは、各プログラムの停止などの最終処理を行って終了する(ステップ1005)。これは、走行列車が列番の変更を行う時(終点到着時、列車分割/併合時)や、乗務員が携帯電話を持って降車した時などのタイミングで行われる。この最終処理(ステップ1005)では、車上及び地上にいる両通信プログラムが持つIPテーブルの書き換えや初期化が行われる。
【0086】
次に、データ伝送の詳細について説明する。ここでは、地上業務プログラム11と車上業務プログラム21が通信可能となった後の、IPパケットの流れと、ホスト名、IPアドレスの変換動作についての詳細を述べる。
【0087】
図14は、車上業務プログラム21から地上業務プログラム11へのホスト名とIPアドレスの変換動作を示す図である。図14において、先ず、車上業務プログラム21は、目的の地上業務プログラム11(図14においては、travel01)のIPアドレスを車上通信プログラム22の名前解決部35に問い合わせ、名前解決部35から通知されたIPアドレス(192.244.165.3)を宛先にセットする。また、送信元アドレスとして自分(mail)のアドレス(車上で使っている限定IPアドレス(192.168.0.2))をセットし、車上通信プログラム22に送信依頼する。
【0088】
次に、送信データを受け取った車上通信プログラム22は、図5のIPテーブルから、送信元である車上業務プログラム21(mail)のIPアドレス(192.168.0.2)を一般IPアドレス(202.1.0.2)に変換する。また、ヘッダの宛先を地上通信プログラム12の一般IPアドレス(192.244.165.4)、送信元を車上通信プログラム22の一般IPアドレス(202.1.1.1)として、その真の宛先(travel01)と送信元(mail)のヘッダをカプセル化し、送信する。
このデータを受け取った地上通信プログラム12は、カプセル化されていた真の宛先と送信元ヘッダのIPパケットを取りだし、宛先の地上業務プログラム11(travel01)に向けて送信する。
【0089】
図15は、地上から車上へのホスト名とIPアドレス変換動作を示す図である。図15において、先ず、地上業務プログラム11は、目的の車上業務プログラム21(図15においては1A-mail)の一般IPアドレスを図9の列番IP対応テーブルから参照し、そのアドレス(202.1.0.2)を宛先にセットする。また、送信元アドレスとして自分(travel01)の一般IPアドレス(192.244.165.3)をセットし、地上通信プログラム12に送信する。
【0090】
送信データを受け取った地上通信プログラム12は、図8の伝送方式IPアドレス及び状態テーブルから、ヘッダの宛先を利用する伝送方式の一般IPアドレス(202.1.1.1)とし、送信元を地上通信プログラム12の一般IPアドレス(192.244.165.4)として、その真の宛先(mail)と送信元(travel01)のヘッダをカプセル化し、送信する。
【0091】
そして、データを受け取った車上通信プログラム12は、カプセル化されていた真の宛先(mail)と送信元(travel01)のヘッダのIPパケットを取りだし、図5のIPテーブルから宛先車上業務プログラム(mail)の一般IPアドレス(202.1.0.2)を限定IPアドレス(192.168.0.2)に変換して送信する。
【0092】
図16は、車上から車上へのホスト名とIPアドレスの変換動作を示す図である。図16に示すように、車上から車上へのホスト名とIPアドレスの変換動作は、上述した図14及び図15の変換動作の組み合わせとなる。
【0093】
【発明の効果】
以上述べた通り、本発明の移動体通信装置、移動体通信システム、及び移動体通信方法によれば、複数の伝送方式が利用できる場合、通信装置が最適な伝送方式を選択して提供するため、移動体通信システムがアプリケーションプログラムや送受信メッセージの性質を自律的に判断し、最適な伝送方式をを確保することができるようになった。
【0094】
また、列車番号-IP対応テーブルやIPアドレスの自動ルーティングにより、移動体IPルーティングとして提案されている既存の技術(DNS、Mobile IPなど)では解決できないIPルーティングを、独自のテーブル管理によって解決できるようになった。さらに、鉄道における、同一車両での列車番号の変化に伴うホスト名の指定にも対応できるようになった。
【0095】
即ち、本発明の移動体通信装置、移動体通信システム、及び移動体通信方法によれば、利用者やアプリケーションに伝送方式の種類やステータスを意識させずに、列車-地上間のデータ通信に関する全ての準備、提供、管理を代行することができるようになった。
【0096】
したがって、本発明の移動体通信装置、移動体通信システム、及び移動体通信方法によれば、利用者は伝送方式が何であるか、その利用可能状態はどうであるのかを一切気にする必要がなくなり、シームレスな通信サービスを利用できるようになった。また、アプリケーションと伝送方式とが分離され、1つの伝送方式が利用できなくても、他の伝送方式によって目的を達することができるようになった。さらに、地上から列車へ向けたIPパケットの伝送は、既存の方式を変える必要がなく、また、地上-地上間の通信だけを行っているシステムを変更することがない。このため、今までは困難であった移動体間の通信を、容易に実現することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の移動体通信システムの一例を示す図である。
【図2】移動体における通信システムの一例を示す図である。
【図3】地上通信システムの一例を示す図である。
【図4】通信装置及び業務装置の一例を示す図である。
【図5】IPテーブルの一例を示す図である。
【図6】通信ポート状態テーブルの一例を示す図である。
【図7】ホスト変換テーブルの一例を示す図である。
【図8】IPアドレス・状態テーブルの一例を示す図である。
【図9】列番IP対応テーブルの一例を示す図である。
【図10】本発明の移動体通信システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明の移動体通信システムの初期動作の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の移動体通信システムのデータ送信の動作の一例を示すフローチャートである。
【図13】列車間通信の動作概念を示す図である。
【図14】IPアドレス変換の一例を示す図である。
【図15】IPアドレス変換の一例を示す図である。
【図16】IPアドレス変換の一例を示す図である。
【符号の説明】
10 地上通信サーバ
11、21 業務装置
11a、11b 地上業務装置(地上業務プログラム)
21a、21b 移動体業務装置(移動体業務プログラム)
12、12a、12b 地上通信装置(地上通信プログラム)
20 列車
20a A列車
20b B列車
22、22a、22b 移動体通信装置(車上通信プログラム)
23 列車内LAN
24 メールサーバ
25 PC
26 携帯電話
27 無線LAN
28 列車無線
30 列車無線システム
31 プログラム・メッセージDB
32 テーブル・通信環境情報DB
33 最適伝送媒体判断部
34 テーブルメンテナンス部
35 名前解決部
36 列車無線制御部
36a 車上無線機ID・DB
37 無線LAN制御部
38 携帯電話制御部
38a 電話番号DB
40 駅ネットワーク
41 駅無線LAN
50 列車無線中央局
60 基地局
61 アクセスポイント
70 ホスト
71 列番IP管理サーバ
72 DNSサーバ
80 通信ネットワーク
90 携帯電話網
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15