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明細書 :電気車における交流電流式自動離線測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3662490号 (P3662490)
公開番号 特開2002-176701 (P2002-176701A)
登録日 平成17年4月1日(2005.4.1)
発行日 平成17年6月22日(2005.6.22)
公開日 平成14年6月21日(2002.6.21)
発明の名称または考案の名称 電気車における交流電流式自動離線測定装置
国際特許分類 B60L  3/00      
G01R 31/02      
FI B60L 3/00 Q
G01R 31/02
請求項の数または発明の数 1
全頁数 8
出願番号 特願2000-375448 (P2000-375448)
出願日 平成12年12月11日(2000.12.11)
審査請求日 平成15年3月14日(2003.3.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】福谷 隆宏
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
【識別番号】100096426、【弁理士】、【氏名又は名称】川合 誠
審査官 【審査官】本庄 亮太郎
参考文献・文献 特開平02-041605(JP,A)
特開昭59-002501(JP,A)
特開昭63-048101(JP,A)
調査した分野 B60L 3/00
G01R 31/02
特許請求の範囲 【請求項1】
トロリ線から電力を給電する複数のパンタグラフを備え、これらのパンタグラフ間を高圧母線で接続する電気車における交流電流式自動離線測定装置において、
(a)前記パンタグラフの電流による離線信号の検出手段と、
(b)前記パンタグラフに接続される主回路配線と、
主回路配線に接続される電気車主変圧器の電流検出装置と、
)一定時間で連続してサンプリングされる前記電気車主変圧器の電流値とその先行値の電流差の検出手段と、
)前記電気車主変圧器電流の最小電流の判定手段と、
)前記電気車主変圧器電流の電流減少による判定手段と、
)前記電気車主変圧器電流の電流増加による判定手段と、
)前記最小電流による判定情報と電流減少による判定情報と、電流増加による判定情報との相互関係により、電流急変時における誤動作出力の可能性があるか否かの判定を行う判定手段と、
)該相互関係による判定手段の出力の連続性の判定手段と、
)該連続性の判定情報に基づいて前記離線信号の出力を制御する出力制御手段とを具備することを特徴とする交流電流式自動離線測定装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気車における交流電流式自動離線測定装置に係り、特にその交流電流式自動離線測定装置の電流変化時における誤動作出力の抑止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような分野の技術としては、以下に開示するものがあった。
【0003】
図4はかかる従来の交流電流式離線測定の概念図である。
【0004】
この図において、20はトロリ線、21は第1のパンタグラフ、22は第2のパンタグラフ、23は第1のパンタグラフ21に接続される第1の主回路配線、24は第2のパンタグラフ22に接続される第2の主回路配線、25は第1のパンタグラフ21と第2のパンタグラフ22間に接続される高圧母線(ブス)、26は第1の主回路配線23に接続される第1の電気車主変圧器、27は第2の主回路配線24に接続される第2の電気車主変圧器、28は第1の電気車主変圧器26に接続される第1のモータ、29は第2の電気車主変圧器27に接続される第2のモータ、30,31は車輪、32はレールである。
【0005】
このように、2個のパンタグラフ21,22間に高圧母線(ブス)25が接続されているとき、一方のパンタグラフがトロリ線20から離れる(以下、離線という)と、当該パンタグラフ電流はゼロになり、他方のパンタグラフ電流は増加する。
【0006】
図5はかかるパンタグラフ電流の状況を示す図であり、この図において、上段(a)は第1のパンタグラフ電流を、下段(b)は第2のパンタグラフ電流を示している。
【0007】
この図に示すように、Aの時点では、第1のパンタグラフの電流は0となり、第2のパンタグラフは第1のパンタグラフが離線したので、集電電流が増加する。
【0008】
従って、パンタグラフが離線したか否かは、パンタグラフ電流を測定することで把握できる。
【0009】
図6はかかるパンタグラフの交流電流式離線検出システムの概略構成図である。
【0010】
この図において、41はパンタグラフ電流、42は速度信号・マーカー等、43は交流電流式離線検出装置、44はデータ処理装置、45はモニタ出力装置である。
【0011】
この装置は、パンタグラフ電流41を入力することにより、離着線信号を出力する(着線時は0V、離線時は5V)。
【0012】
図7はかかる装置を使用して離線を検出した波形を示す図である。
【0013】
図7(a)は第1のパンタグラフの電流波形図、図7(b)は第2のパンタグラフの電流波形図、図7(c)は図7(a)に対応した第1のパンタグラフの離着線信号、図7(d)は図7(b)に対応した第2のパンタグラフの離着線信号である。
【0014】
このように構成することにより、パンタグラフの離着線状態を検出することができる。このような従来の技術としては、本願発明者による鉄道総研報告(RTRI REPORTVol.14,No.6,2000.6が挙げられる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の交流電流式離線検出装置では、通常の状態では離線を正常に検出することができるが、切替セクション通過時や、運転手がノッチを大きく変化させた場合に離線検出が異常となることがある。
【0016】
なお、切替セクションとは、電源の位相が変化する箇所で、列車が走行中に変電所の遮断機を入り切りさせて電源を切り替える区間のことを言う。切替セクションは変電所間やき電区分所間のような位相が変化する箇所に設置されている。その切替セクションを通過中の列車は、瞬間的に停電する。
【0017】
このような状況になると、離線率(=総離線時間/観測時間)や最大離線時間等が異常になり、正常な統計処理ができなくなってしまう。
【0018】
本発明は、上記問題点を除去し、交流電流式自動離線測定装置の電流変化時における誤動作出力を抑止し、信頼性の向上を図ることができる電気車における交流電流式自動離線測定装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕トロリ線から電力を給電する複数のパンタグラフを備え、それらのパンタグラフ間を高圧母線で接続する電気車における交流電流式自動離線測定装置において、前記パンタグラフの電流による離線信号の検出手段と、前記パンタグラフに接続される主回路配線と、この主回路配線に接続される電気車主変圧器の電流検出装置と、一定時間で連続してサンプリングされる前記電気車主変圧器の電流値とその先行値の電流差の検出手段と、前記電気車主変圧器電流の最小電流の判定手段と、前記電気車主変圧器電流の電流減少による判定手段と、前記電気車主変圧器電流の電流増加による判定手段と、前記最小電流による判定情報と電流減少による判定情報と、電流増加による判定情報との相互関係により、電流急変時における誤動作出力の可能性があるか否かの判定を行う判定手段と、この相互関係による判定手段の出力の連続性の判定手段と、この連続性の判定情報に基づいて前記離線信号の出力を制御する出力制御手段とを具備することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の第1実施例を示す電気車における交流電流式自動離線測定装置の構成図、図2は本発明の実施を示す電気車における交流電流式自動離線測定装置の波形図である。
【0022】
これらの図において、電気車における交流電流式自動離線測定装置10は、電流差検出部1、最小電流による判定部2、電流減少による判定部3、電流増加による判定部4、判定部2と3と4との相互関係により判定を行う判定部5、連続性の判定部6の判定情報に基づいて、前記離線信号の出力を制御する出力制御部7、中央処理装置8、記憶装置9から構成されている。また、Ia は離線信号、It は主変圧器電流、Is は主変圧器最小電流、Id は主変圧器電流減少最大値、Ic は主変圧器電流増加最大値、IO は誤動作を抑止した離線出力である。
【0023】
そこで、この交流電流式自動離線測定装置の動作について説明する。
(1)まず、実行フラグの初期化を行う。すなわち、電気車における交流電流式自動離線測定装置10を実行するための各要素の初期設定を行うためにフラグを立てる。En はそのフラグ値〔図2(4)~(8)の縦軸に対応)を示しており、ここでは、まず、全てのサンプリングホールド時間TS におけるフラグ値を真「1」としている。
【0024】
n =真(n=0,1,2,…,nmax)
そこで、図2(1)に示すように、従来例で説明したようにパンタグラフの電流による離線の検出を行う。
(2)次に、図2(2)に示すように、電気車主変圧器電流の実効値をIn 〔図2(2)の太線〕とする。IS は主変圧器最小電流、TS はサンプリングホールド時間である。
(3)次図2(3)に示すように、電気車主変圧器電流の実効値In とそのサンプリングホールド時間TS の実効値In とその前の実効値(先行値)In-1 との差であるDn =In -In-1 〔図2(3)の太線〕を計算する。
(4)次に、主変圧器最小電流IS による判定を行う(惰行時・切替セクション内)。
【0025】
ここで、図2(2)を参照して、n <Is ならば、En-spreからEn+spost を偽「0」とする。すなわち、サンプリングホールド時間TS の実効値In 主変圧器最小電流IS より小であるならば、En-s の先行値に基づいて、その先行値の後のEn+s を偽とする〔図2(4)参照〕。
(5)次に、主変圧器電流減少最大値Id による判定を行う(ノッチ戻し時・切替セクション突入時)。
【0026】
ここで、図2(3)を参照して、n <Id ならば、En-dpreからEn+dpost を偽とする。すなわち、サンプリングホールド時間TS の実効値In とその前の実効値(先行値)In-1 との差であるDn が、主変圧器電流減少最大値Id より小であるならば、En-d の先行値に基づいて、その先行値の後のEn+d を偽とする〔図2(5)参照〕。
(6)次に、主変圧器電流増加最大値IC による判定を行う(ノッチ進め時・切替セクション脱出時)。
【0027】
ここで、図2(3)を参照して、n >IC ならば、En-cpreからEn+cpost を偽とする。すなわち、サンプリングホールド時間TS の実効値In とその前の実効値(先行値)In-1 との差であるDn が、主変圧器電流増加最大値IC より大であるならば、En-C の先行値に基づいて、その先行値の後のEn+c を偽とする〔図2(6)参照〕。
(7)次いで、上記(4)と(5)と(6)に基づく判定を行う。すなわち、上記(4)と(5)と(6)の何れかが偽である場合には、En を偽とする〔図2(7)参照〕
(8)次に、主変圧器電流連続性の判定を行う〔図2(8)参照〕
【0028】
n-epreからEn-e のいずれかが偽ならばEn を偽とする。
(9)次に、Em (mはn-spre,n-dpre,n-cpreのうち最小のもの)が真ならば該当する期間の離線信号を出力し、偽ならば出力しない〔図2(9)参照〕
(10)次に、n=n+1として(2)に戻る。
【0029】
上記したソフトウエアによる処理に代えて、ハードウエアにより構成することもできる。
【0030】
図3は本発明の第2実施例を示す電気車における交流電流式自動離線測定装置の要部回路図である。
【0031】
これらの図において、11は電流差回路、12は最小電流による判定回路、13は電流減少による判定回路、14は電流増加による判定回路、15は判定回路12と13と14の第1の論理積回路、16は連続性の判定回路、17は連続性の判定回路16と離線信号Ia との第2の論理積回路、Ia は離線信号、It は主変圧器電流、Is 主変圧器最小電流、Id は主変圧器電流減少最大値、Ic は主変圧器電流増加最大値である。
【0032】
そこで、この電気車における交流電流式自動離線測定装置の動作について説明する。
【0033】
まず、図2(1)に示すように、従来例で説明したパンタグラフの電流に基づく離線信号Ia の検出を行い、次に、図2(2)に示すように、電気車主変圧器電流の実効値In の測定を行う。ここで、IS は最小電流である。次に、図2(3)に示すように、電流差回路11により電流差の判定を行い、次に、図2(4)に示すように、最小電流による判定回路12により最小電流による判定を行い、次に、図2(5)に示すように、電流減少による判定回路13により電流減少による判定を行い、次に、図2(6)に示すように、電流増加による判定回路14により電流増加による判定を行い、次に、図2(7)に示すように、最小電流による判定回路12と電流減少による判定回路13と電流増加による判定回路14の出力信号の論理積を第1の論理積回路15により出力する。次に、図2(8)に示すように、連続性の判定を連続性の判定回路16により行う。最後に、図2(9)に示すように、連続性の判定回路16と離線信号Ia との論理積を第2の論理積回路17によりとって、誤動作を抑止した離線出力を得る。
【0034】
このように構成したので、電気車主変圧器電流の実効値を監視するだけで、電気車における交流電流式自動離線測定装置の電流急変時における誤動作出力を抑止することができる。
【0035】
また、惰行、ノッチの進め戻し、切替セクション通過時の電流急変による交流電流式自動離線測定装置の誤動作出力を抑止することができる。
【0036】
更に、ハードウェア、ソフトウェアのいずれでも実現可能である。
【0037】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0038】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0039】
(A)電気車主変圧器電流の実効値を監視するだけで、電気車における交流電流式自動離線測定装置の電流急変時における誤動作出力を抑止することができる。また、測定中、リアルタイムでの離線特性の把握が可能である。
【0040】
(B)惰行、ノッチの進め戻し、切替セクション通過時の電流急変による交流電流式自動離線測定装置の誤動作出力を抑止することができる。また、測定後、直ちにドラム毎の離線特性の確認が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例を示す電気車における交流電流式自動離線測定装置の構成図である。
【図2】 本発明の実施を示す電気車における交流電流式自動離線測定装置の波形図である。
【図3】 本発明の第2実施例を示す電気車における交流電流式自動離線測定装置の要部回路図である。
【図4】 従来の電気車における交流電流式離線測定の概念図である。
【図5】 離線時のパンタグラフ電流の状況を示す図である。
【図6】 従来のパンタグラフの交流電流式離線検出システムの概略構成図である。
【図7】 従来の装置を使用して離線を検出した波形を示す図である。
【符号の説明】
1 電流差検出部
2 最小電流による判定部
3 電流減少による判定部
4 電流増加による判定部
5 判定部2と3と4との相互関係により判定を行う判定部
6 連続性の判定部
7 連続性の判定部6の判定情報に基づいて前記離線信号の出力を制御する出力制御部
8 中央処理装置
9 記憶装置
10 交流電流式自動離線測定装置
11 電流差回路
12 最小電流による判定回路
13 電流減少による判定回路
14 電流増加による判定回路
15 判定回路12と13と14の第1の論理積回路
16 連続性の判定回路
17 連続性の判定回路と離線信号との第2の論理積回路
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6