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明細書 :鉄道保安装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4582902号 (P4582902)
公開番号 特開2002-178920 (P2002-178920A)
登録日 平成22年9月10日(2010.9.10)
発行日 平成22年11月17日(2010.11.17)
公開日 平成14年6月26日(2002.6.26)
発明の名称または考案の名称 鉄道保安装置
国際特許分類 B61L   3/08        (2006.01)
B61C  17/12        (2006.01)
H04L  27/10        (2006.01)
FI B61L 3/08 A
B61C 17/12 Z
H04L 27/10 Z
請求項の数または発明の数 1
全頁数 5
出願番号 特願2000-376738 (P2000-376738)
出願日 平成12年12月12日(2000.12.12)
審査請求日 平成19年6月14日(2007.6.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
発明者または考案者 【氏名】渡辺 郁夫
【氏名】新井 英樹
【氏名】清水 雄一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100093920、【弁理士】、【氏名又は名称】小島 俊郎
審査官 【審査官】白石 剛史
参考文献・文献 特開平11-298541(JP,A)
実開昭61-097247(JP,U)
特開2000-318611(JP,A)
特開昭60-237748(JP,A)
特開平03-295760(JP,A)
調査した分野 B61L 1/00-29/00
B61C 17/12
H04L 27/10
特許請求の範囲 【請求項1】
列車の速度制御を行う制御情報を地上装置から車上装置へ伝送し、又は隣接軌道の地上装置間でレールを伝送路として制御情報を伝送する鉄道保安装置において、
制御情報をMSK信号波で送信し、受信したMSK信号波の雑音を除去後にピークレベル補正処理を行ない、ピークレベル補正した受信波の波形を定振幅化した後に遞倍処理し、遞倍処理した受信波の高域をハイパスフィルタで選別してMSK信号波のデータ信号「1」を表す符号「1」を含む搬送波を得て、遞倍処理した受信波の低域をローパスフィルタで選別してMSK信号波のデータ信号「0」を表す符号「0」を含む搬送波を得ることを特徴とする鉄道保安装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、列車の運行を制御する鉄道保安装置、特に制御情報の安定した伝送を図り、列車制御における保安度の向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レールを伝送路として列車の運行を制御する情報を伝送する場合、伝送速度は伝送路に存在する雑音成分、主に電源高調波成分を考慮して決定される。このため、限られた周波数帯域を効率的に使用することを考えた場合、帯域通過ディジタル通信方式として周波数占有帯域が周波数シフトキーイング(FSK)方式や位相シフトキーイング(PSK)方式に比べて狭帯域となるMSK(Minimum shift keying)方式が利用されている。このMSK信号を復調する方法として、現状では、従来のFSK信号の復調方式と同様に、受信したFSK信号をバンドパスフィルタで雑音除去後、符号「1」の搬送波(fc+ΔF)を選別するためのバンドパスフィルタと符号「0」の搬送波(fc-ΔF)を選別するためのバンドパスフィルタを設けた復調回路を用いて復調している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
2元MSK信号の周波数偏移ΔFは、符号「1」と符号「0」の異なった周波数の継続時間Tとすると、ΔF=1/2Tで定められ、信号波形の基本周波数をfhとすると、fh=1/2T、ΔF=fhとなり、変調度mf=0.5となる。このMSK信号を復調するときに、符号「1」と符号「0」の符号間干渉が大きいため、変調度mf=0.5のままでバンドパスフィルタにより符号の成分を選別するときに、符号「1」と符号「0」の成分の選別がしにくく、使用する搬送波と伝送速度の組み合わせによっては対雑音性が非常に弱くなる場合も生じてくる。
【0004】
また、バンドパスフィルターを使用した周波数選別方式のほかにMSK信号の位相情報を利用した同期検波方式もあげられるが、列車制御に使用した場合、情報内容の更新時間が周波数選別方式と比較して遅れるとともに、符号「1」と符号「0」の周波数(fc±ΔF)に対して基準搬送波の再生が必要で、復調回路が複雑になるという短所がある。
【0005】
この発明は係る短所を改善し、簡単な復調回路を使用してMSK信号を復調し、制御情報の安定した伝送を図るとともに列車制御における保安度の向上を図ることができる鉄道保安装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る鉄道保安装置は、列車の速度制御を行う制御情報を地上装置から車上装置へ伝送し、又は隣接軌道の地上装置間でレールを伝送路として制御情報を伝送する鉄道保安装置において、制御情報をMSK信号波で送信し、受信したMSK信号波の雑音を除去後にピークレベル補正処理を行ない、ピークレベル補正した受信波の波形を定振幅化した後に遞倍処理し、遞倍処理した受信波の高域をハイパスフィルタで選別してMSK信号波のデータ信号「1」を表す符号「1」を含む搬送波を得て、遞倍処理した受信波の低域をローパスフィルタで選別してMSK信号波のデータ信号「0」を表す符号「0」を含む搬送波を得ることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の鉄道保安装置は、レールを搬送路に利用した軌道回路の列車の進入側の境界点と進出側の境界点に信号発生部と送信器と受信器及び信号検出部を有する。信号発生部は列車の運行を制御する符号「1」と符号「0」のディジタルの各種制御信号を発生する。送信器は信号発生部から送られる制御信号をMSK方式で変調して整合変成器を介して前方の軌道回路に送信する。受信器は軌道回路を通して送信されたMSK信号を整合変成器を介して受信し、受信したMSK信号を復調して符号「1」と符号「0」のディジタル信号を出力する。この受信したMSK信号を復調するときに、受信信号の高域をハイパスフィルタで選別してMSK信号波のデータ信号「1」を表す符号「1」を含む搬送波を得て、遞倍処理した受信波の低域をローパスフィルタで選別してMSK信号波のデータ信号「0」を表す符号「0」を含む搬送波を得て、符号「1」と符号「0」のディジタル信号にする。信号検出部は受信器から出力するディジタル信号から各種制御情報を検出する。
【0009】
【実施例】
図1はこの発明の一実施例の構成を示すブロック図である。図に示すように、レールを搬送路に利用した軌道回路BTの列車の進入側の境界点1に設置された列車保安装置の機器には信号発生部3aと送信器4aと受信器5a及び信号検出部6aを有し、軌道回路BTの列車の進出側の境界点2に設置された列車保安装置の機器には、信号発生部3bと送信器4bと受信器5b及び信号検出部6bを有する。各信号発生部3a,3bは列車の運行を制御する符号「1」と符号「0」のディジタルの各種制御信号を発生する。軌道回路BTの列車の進入側の境界点1に設けられた送信器4aは信号発生部3aから送られる制御信号をMSK方式で変調し、MSK信号を整合変成器7aを介して前方の軌道回路ATに送信する。軌道回路BTの列車の進出側の境界点2に設けられた送信器4bは信号発生部3bから送られる制御信号をMSK方式で変調し、MSK信号を整合変成器7bを介して軌道回路BTに送信する。軌道回路BTの列車の進入側の境界点1に設けられた受信器5aは送信器4bから軌道回路BTに送信されたMSK信号を整合変成器7aを介して受信し、受信したMSK信号を復調して符号「1」と符号「0」のディジタル信号を出力する。信号検出部6aは受信器5aから出力するディジタル信号から各種制御情報を検出する。
【0010】
このようにMSK信号を受信して復調する受信器5a,5bには、図2のブロック図に示すように、受信したMSK信号の直流分をカットするハイパスフィルタ(HPF)8と、雑音を除去するバンドパスフィルタ(BPF)9と、波形成形をするリミッタ10とBPF11と、ピークレベル補正12と、遞倍処理13と、オフセットを除去するHPF14と、周波数偏移ΔFの高域を選別するHPF15と、搬送波を除去するLPF16と、周波数偏移ΔFの低域を選別するLPF17と、搬送波を除去するLPF18と、減算器19及びコード出力作成部20の回路を有する。
【0011】
上記のように構成した受信器5aで軌道回路BTから符号「1」と符号「0」の情報を含む信号波形30のMSK信号を受信すると、受信したMSK信号の通過帯域をメインローブ分(伝送速度の約1.5倍)確保し、HPF8で直流分を除去し、BPF9で雑音成分を除去して信号波形31を得る。この信号波形31をリミッタ10とBPF11で波形成形し、波形成形した信号波形が定振幅の正弦波になるようにピークレベル補正12で補正する。次ぎに、逓倍処理13により搬送波周波数を逓倍して逓倍信号波形33とし、符号「1」と符号「0」間の干渉を抑える。この遞倍信号波形33のオフセットをHPF14で除去し、遞倍信号波形33の高域をHPF15で選別して符号「1」を含む信号波形34を得る。この符号「1」を含む信号波形34の搬送波をLPF16で除去し、符号「1」の波形35を得る。また、遞倍信号波形33の低域をLPF17で選別して符号「0」を含む信号波形36を得る。この符号「0」を含む信号波形36の搬送波をLPF18で除去し、符号「0」の波形37を得る。このようにして得た符号「1」の波形35と符号「0」の波形37を減算器19で減算処理した後、コード出力作成部20で「1」,「0」のコード波形38とし制御情報として信号検出部6aに出力する。
【0012】
このように遞倍信号波形33に含まれる符号「1」と符号「0」をHPF15とLPF17を用いて選別することにより、周波数切り替え時の応答性を良くすることができるとともに、帯域内雑音成分を含んで逓倍した場合でも復調結果に対する影響を抑え対雑音性を高めることができる。また、レールを伝送路として利用することにより、情報伝送用のケーブルを削減することができる。
【0013】
上記実施例は地上装置間でレールを伝送路として情報伝送をする場合について説明したが、地上装置から車上装置に情報を伝送する場合にも同様にして適用することができる。
【0014】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、情報内容をMSK信号波で送信し、受信したMSK信号波の雑音を除去後にピークレベル補正処理を行ない、ピークレベル補正した受信波の波形を定振幅化した後、遞倍処理して復調するようにしたから、符号「1」と符号「0」間の干渉を抑えることはでき、符号「1」と符号「0」の成分を容易に選別することができる。
【0015】
また、遞倍処理した受信波を復調するときに、バンドパスフィルタではなくハイパスフィルタとローパスフィルタを用い符号「1」の搬送波と符号「0」の搬送波に選別するようにしたから、周波数応答特性を善くするとともに、帯域内雑音を含んで遞倍処理した場合でも復調結果に対する影響を抑え、耐雑音性を高めることができる。したがってMSK方式による符号伝送をシステムに導入し易くなるとともに対雑音性に強く、安定して情報伝送を行なうことができ、列車制御における保安度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】受信器の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
3;信号発生部、4;送信器、5;受信器、6;信号検出部、
7;整合変成器、8;HPF、9;BPF、10;リミッタ、
11;BPF、12;ピークレベル補正、13;遞倍処理、
14;HPF、15;HPF、16;LPF、17;LPF、
18;LPF、19;減算器、20;コード出力作成部。
図面
【図1】
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【図2】
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