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明細書 :ガス検出方法、及びガス検出器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4092400号 (P4092400)
公開番号 特開2005-043091 (P2005-043091A)
登録日 平成20年3月14日(2008.3.14)
発行日 平成20年5月28日(2008.5.28)
公開日 平成17年2月17日(2005.2.17)
発明の名称または考案の名称 ガス検出方法、及びガス検出器
国際特許分類 G01N  29/00        (2006.01)
FI G01N 29/18
請求項の数または発明の数 14
全頁数 7
出願番号 特願2003-200473 (P2003-200473)
出願日 平成15年7月23日(2003.7.23)
審判番号 不服 2006-000893(P2006-000893/J1)
審査請求日 平成15年7月23日(2003.7.23)
審判請求日 平成18年1月12日(2006.1.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504151365
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
発明者または考案者 【氏名】近藤 良也
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
【識別番号】100101096、【弁理士】、【氏名又は名称】徳永 博
【識別番号】100086645、【弁理士】、【氏名又は名称】岩佐 義幸
【識別番号】100107227、【弁理士】、【氏名又は名称】藤谷 史朗
【識別番号】100114292、【弁理士】、【氏名又は名称】来間 清志
【識別番号】100119530、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 和幸
参考文献・文献 特開2000-249435(JP,A)
特開平8-94590(JP,A)
特開2001-56320(JP,A)
実開平5-84847(JP,U)
特開平9-79934(JP,A)
特開平10-306312(JP,A)
特開2001-242145(JP,A)
特開昭49-27284(JP,A)
調査した分野 G01N29/00-29/28
G01M3/00-3/40
特許請求の範囲 【請求項1】
検出ガスの存在しない雰囲気中に音波を放出し、このときに受信した音波を第1の入力電気信号として直接計測する工程と、
前記雰囲気中に前記音波と同一の音波を放出し、このときに受信した音波を第2の入力電気信号として直接計測する工程と、
前記第1の入力電気信号と前記第2の入力電気信号との位相差を得ることにより、前記検出ガスの存在を検出する工程と、
を具えることを特徴とする、ガス検出方法。
【請求項2】
前記第1の入力電気信号及び前記第2の入力電気信号はパルス列信号であることを特徴とする、請求項1に記載のガス検出方法。
【請求項3】
前記第1の入力電気信号及び前記第2の入力電気信号の位相差は、所定の帰還回路において得ることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガス検出方法。
【請求項4】
前記帰還回路は、フェイズロックドループを構成することを特徴とする、請求項3に記載のガス検出方法。
【請求項5】
前記フェイズロックドループにおいて、前記第1の入力電気信号の位相に対してVCO電気信号の位相を同期させることを特徴とする、請求項4に記載のガス検出方法。
【請求項6】
所定の音波を発生するための音波発生源と、
前記音波を空間中に放出するための音波放出手段と、
前記音波を受信するための音波受信手段と、
前記空間中に所定の検出ガスが存在しない場合における前記音波受信手段の出力を第1の入力電気信号として直接検出するとともに、前記空間中に前記検出ガスが存在する場合における前記音波受信手段の出力を第2の入力電気信号として直接検出し、前記第1の入力電気信号と前記第2の入力電気信号との位相差を得て、前記検出ガスの存在を検出する計測手段と、
を具えることを特徴とする、ガス検出器。
【請求項7】
前記第1の入力電気信号及び前記第2の入力電気信号はパルス列信号であることを特徴とする、請求項6に記載のガス検出器。
【請求項8】
前記計測手段は、所定の帰還回路を含み、前記第1の入力電気信号及び前記第2の入力電気信号の位相差は、前記帰還回路において得るようにしたことを特徴とする、請求項6又は7に記載のガス検出器。
【請求項9】
前記帰還回路は、フェイズロックドループを構成することを特徴とする、請求項8に記載のガス検出器。
【請求項10】
前記第1の入力電気信号と前記第2の入力電気信号との位相差に応じて生成した差分電気信号を前記検出ガスの検出信号として出力する出力手段を具えることを特徴とする、請求項6~9のいずれか一に記載のガス検出器。
【請求項11】
前記出力手段は警報設定器であることを特徴とする、請求項10に記載のガス検出器。
【請求項12】
前記音波発生源は水晶発振器であることを特徴とする、請求項6~11のいずれか一に記載のガス検出器。
【請求項13】
前記音波放出手段は超音波スピーカーであることを特徴とする、請求項6~12のいずれか一に記載のガス検出器。
【請求項14】
前記音波受信手段は超音波マイクであることを特徴とする、請求項6~13のいずれか一に記載のガス検出器。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期かつ連続的にガス検出を必要とする分野、特に鉱工業、石油化学、及び高圧ガス製造施設などにおけるガスの漏洩などの検出に好適に用いることのできるガス検出方法、及びガス検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、大気中で存在するガスの検出方法として、ガルバニ電池式や定電位電解式などの化学反応を利用したもの、気体の熱伝導差を利用したものなどがあり、これらのガス検出方法によれば、目的とするガスを高感度及び高精度で検出することができる。
【0003】
しかしながら、上述した従来のガス検出方法では、化学反応や熱伝導を用いているため、使用するセンサー自体が基本的に消耗してしまうという問題があった。このため、前述した方式を用いたガス検出器においては、定期的にセンサーを交換しなければならず、長期かつ連続的な使用には適していない。また、熱伝導を用いる検出方法においては、使用前及び使用中において、適宜検出器のゼロ点調整を行う必要があり、安定度に問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ゼロ点調整などを頻繁に行うことなく、極めて簡易に長時間安定して目的とするガスを検出することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は、
検出ガスの存在しない雰囲気中に音波を放出し、このときに受信した音波を第1の入力電気信号として直接計測する工程と、
前記雰囲気中に前記音波と同一の音波を放出し、このときに受信した音波を第2の入力電気信号として直接計測する工程と、
前記第1の入力電気信号と前記第2の入力電気信号との位相差を得ることにより、前記検出ガスの存在を検出する工程と、
を具えることを特徴とする、ガス検出方法に関する。
【0006】
本発明のガス検出方法は、所定の空間中において、目的とする検出ガスが存在しない状態、大気中における音波の伝播速度(音速度)と、前記空間内に検出ガスが存在する状態で音波の伝播速度(音速度)とが異なることを利用し、これらの音波を入力電気信号として直接計測するとともにそれらの位相差得ることにより、前記検出ガスの存在を検出するようにしている。したがって、化学反応や熱伝導を利用することにより生じていたセンサー交換などを行うことなく、長時間安定して目的とするガスの検出を行うことができる。
【0007】
また、前記音波を発生させるための発生源を、水晶発振器などのように極めて安定して音波信号を発生できるものから構成することにより、初期設定としてゼロ点調整を行えば、その後にゼロ点調整を頻繁に行わなくても良い。したがって、ガスの検出操作を簡易化することができる。
【0008】
本発明の好ましい態様においては、前記第1の入力電気信号及び前記第2の入力電気信号の位相差を所定の帰還回路において得る。この場合、前記第1の入力電気信号及び前記第2の入力電気信号は、パルス列信号変換されるとともに、種々の制御を受けてノイズなどが除去されるようになるので、前記位相差を簡易かつ高精度に得ることができる。さらに、前記検出ガスが存在する間、前記位相差を常に演算し、この位相差に起因した電気信号を出力することができるようになる。したがって、検出ガスのその後の残存状態までも検出することができる。
【0009】
本発明の他の好ましい態様においては、前記帰還回路がフェイズロックドループ(PLL)を構成するようにする。この場合、前記帰還回路において、検出ガスが存在しない状態における第1の入力電気信号に対して、位相が同期(ロック)するようにして所定の電気信号を印加するようにしておくことができ、前記検出ガスが存在する場合においては、第2の入力電気信号が前記帰還回路内に導入されることにより、第1の入力電気信号及び前記第2の入力電気信号の位相差が生じるので、その位相差に応じて生じた差分電気信号を検出することにより、前記検出ガスの存在を簡易に検出することができるようになる。
【0010】
上述したガス検出方法では、例えば、検出した差分電気信号により警報設定器を駆動させ、音声あるいはブザーなどを発して、作業者などに検出ガスの存在を知らせることができる。
【0011】
また、本発明のガス検出器は、上述したガス検出方法を実行するためのものであり、
所定の音波を発生するための音波発生源と、
前記音波を空間中に放出するための音波放出手段と、
前記音波を受信するための音波受信手段と、
前記空間中に所定の検出ガスが存在しない場合における前記音波受信手段の出力を第1の入力電気信号として直接検出するとともに、前記空間中に前記検出ガスが存在する場合における前記音波受信手段の出力を第2の入力電気信号として直接検出し、前記第1の入力電気信号と前記第2の入力電気信号との位相差を得得て、前記検出ガスの存在を検出する計測手段と、
を具えることを特徴とする。
【0012】
この場合、上述したガス検出方法と同様の理由から、前記計測手段が、所定の帰還回路を含むことが好ましく、前記帰還回路はPLLを構成することが好ましい。
本発明のその他の特徴及び詳細については以下に詳述する。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のガス検出器の一例を示す構成図であり、図2及び図3は、図1に示すガス検出器を用いた場合の検出方法を説明するための図である。
図1に示すガス検出器10は、順次に配列された、水晶発振器などから構成される音波発生源としての基準信号発生器11と、この発生器からの音波を空間中に放出するための音波放出手段としての超音波スピーカー13と、前記空間中に放出された前記音波を受信するための音波受信手段としての超音波マイク14とを具えている。
【0014】
基準信号発生器11及び超音波スピーカー13間には、スピーカー13を駆動させるとともに前記音波を増幅させるためのスピーカー駆動増幅器12が設けられており、超音波マイク14の後方には、受信した音波を増幅するための前置増幅器15及び前記受信した音波の波形を整形するための波形整形器16が設けられている。
【0015】
波形整形器16の後方には、PLLを構成する帰還回路20が設けられている。帰還回路20内には、位相比較器21、ローパスフィルタ22及び電圧周波数発振器23が設けられている。また、帰還回路20の後方には、警報設定器31が設けられている。
【0016】
なお、図1に示すガス検出器10は、超音波スピーカー13及び超音波マイク14間に、検出すべきガスを通すように構成している。
【0017】
図1に示すガス検出器10において、基準信号発生器11から所定の電気信号が発せられ、この電気信号は、スピーカー駆動増幅器12を経て増幅された後、超音波スピーカー13から超音波として空間中に放出される。次いで、前記超音波は、超音波マイク14で受信された後、電気信号に変換され、前置増幅器15で増幅された後、波形整形器16で波形整形を受ける。その後、前記電気信号は帰還回路20内に導入される。
【0018】
帰還回路20はPLLを構成するため、帰還回路20内では、図2に示すように、前記空間内に検出ガスが存在しない場合の、受信したパルス列の入力電気信号の受信波形に対して、電圧周波数発振器23より位相同期させた所定のパルス列の電気信号(VCO電気信号)を印加してロックする。すなわち、帰還回路20では、検出ガスが存在しないときの入力電気信号をロックするようにしている。このとき位相比較器21からは、ロック時のパルス列信号が出力され、ローパスフィルタ22からは、このパルス信号を積分したロック時の基準電圧が得られるようになる。
【0019】
但し、本例では、図2に示すように、位相比較器21からの出力をゼロとしているので、ローパスフィルタ22からの出力もゼロとなっている。
【0020】
一方、前記空間内に検出ガスが存在する場合は、超音波スピーカー13から放出された超音波の、前記空間内の伝播速度が異なるようになるため、図3に示すように、受信した前記超音波の入力電気信号は、前記検出ガスが存在しない場合の入力電気信号、すなわちこの入力電気信号と同期させたVCO電気信号と位相がずれるようになる。その結果、位相比較器21では、前記入力電気信号と前記VCO電気信号との位相差(差分)に応じた所定の電気信号が生成され、ローパスフィルタ22を介して出力される。
【0021】
このようにして得た差分電気信号は警報設定器31内に導入され、音声やブザーなどの方法によって、作業者などの検出ガスの存在を認知させる。
【0022】
また、帰還回路20のフィードバック機構内で、入力電気信号及びVCO電気信号の位相差は位相比較器21によって常に比較され、差分電気信号が出力される。この差分電気信号前記位相差が消滅するまで出力されるようになる。すなわち、前記空間に検出ガスが存在しなくなるまで、自動的に位相比較器21から差分電気信号が出力されるので、検出ガスが存在することにより前記位相差が存在する場合は、常に差分電気信号を出力し、警報設定器31を通じて作業者に認知させるように構成されている。したがって、検出ガスのその後の残存状態までも検出することができる。
【0023】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【0024】
上記具体例においては、超音波スピーカー13と超音波マイク14とを対向するようにして配置し、これらの間に検出ガスを流すようにしているが、超音波スピーカー13から放出された超音波が超音波マイク14に導入されるように構成されていれば、その具体的構成については限定されるものではない。例えば、超音波スピーカー13から放出された超音波が、図示しない壁面で反射されて超音波マイク14内に導入されるようにすれば、超音波スピーカー13及び超音波マイク14を背中合わせで逆向きに配置することもできる。この場合、検出ガスは、前記超音波が伝播する任意の空間に配置すれば良い。
【0025】
また、上記具体例においては、超音波スピーカー13及び超音波マイク14を準備し、超音波を用いてガスを検出するようにしているが、検出すべきガスの種類などに応じて、その他の任意の音波、例えば、可聴帯域の音波などを使用することもできる。
【0026】
また、上記具体例においては、PLL帰還回路を用いているが、このような帰還回路を用いなくても、検出ガスの存在有無による音波の伝播速度差に基づく位相差を計測できれば、使用する電気回路の種類などは限定されない。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ゼロ点調整などを頻繁に行うことなく、極めて簡易に長時間安定して目的とするガスを検出することができるガス検出方法及びガス検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のガス検出器の一例を示す構成図である。
【図2】 図1に示すガス検出器を用いた場合の検出方法を説明するための図である。
【図3】 同じく、図1に示すガス検出器を用いた場合の検出方法を説明するための図である。
【符号の説明】
10 ガス検出器
11 基準信号発生器
12 スピーカー駆動増幅器
13 超音波スピーカー
14 超音波マイク
15 前置増幅器
16 波形整形器
20 帰還回路
21 位相比較器
22 ローパスフィルタ
23 電圧周波数発振器
31 警報設定器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2