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明細書 :冷凍機を用いた物品の冷却方法、及び冷凍機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3864228号 (P3864228)
公開番号 特開2005-048991 (P2005-048991A)
登録日 平成18年10月13日(2006.10.13)
発行日 平成18年12月27日(2006.12.27)
公開日 平成17年2月24日(2005.2.24)
発明の名称または考案の名称 冷凍機を用いた物品の冷却方法、及び冷凍機
国際特許分類 F25B   9/00        (2006.01)
FI F25B 9/00 H
請求項の数または発明の数 6
全頁数 6
出願番号 特願2003-204710 (P2003-204710)
出願日 平成15年7月31日(2003.7.31)
審査請求日 平成15年7月31日(2003.7.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504151365
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
発明者または考案者 【氏名】鈴木 敏一
【氏名】新冨 孝和
【氏名】都丸 隆行
【氏名】春山 富義
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
審査官 【審査官】長崎 洋一
参考文献・文献 特開平02-309174(JP,A)
特開2003-075004(JP,A)
特開2000-292022(JP,A)
調査した分野 F25B 9/00
特許請求の範囲 【請求項1】
2対の冷凍管を、対をなす冷凍管同士を結ぶ線が略直交するようにしてコールドエンドに接続し、一方の対の冷凍管に高圧のガスを供給し、他方の対の冷凍管に低圧のガスを供給するようにして、不動点をコールドエンド上に形成し、コールドエンドの不動点上に物品を取り付けて、物品の冷却を行うことを特徴とする、冷凍機を用いた物品の冷却方法。
【請求項2】
前記コールドエンドは高剛性材料から構成し、前記高圧ガスと前記低圧ガスとの供給位相差を180°にすることにより、前記コールドエンドの振動を抑制し、前記コールドエンドの全面に不動点を形成することを特徴とする、請求項1に記載の冷凍機を用いた物品の冷却方法。
【請求項3】
2対の冷凍管と、これらの冷凍管が接続されてなるコールドエンドとを具え、
前記2対の冷凍管は、対をなす冷凍管同士を結ぶ線が略直交するようにして前記コールドエンドに接続され、一方の対の冷凍管に高圧のガスが供給され、他方の対の冷凍管に低圧のガスが供給されるようにして、前記コールドエンド上に不動点を形成するようにしたことを特徴とする、冷凍機。
【請求項4】
前記コールドエンドは略円形状を呈し、前記不動点は前記コールドエンドの略直径上に形成することを特徴とする、請求項3に記載の冷凍機。
【請求項5】
前記不動点は、前記コールドエンドの略中心に形成することを特徴とする、請求項4に記載の冷凍機。
【請求項6】
前記コールドエンドは高剛性材料から構成され、前記高圧ガスと前記低圧ガスとの供給位相差を180°にすることにより、前記コールドエンドの振動を抑制し、前記コールドエンドの全面に不動点を形成することを特徴とする、請求項5に記載の冷凍機。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍機を用いた物品の冷却方法、及び冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】
IT通信分野の超電導フィルタ、医療分野の超伝導MRI、及び基礎科学の分野などでは、高精度電子顕微鏡、高感度のサブミリ波や赤外線に対する検出器などの超高性能精密機器の熱攪乱を排除するために冷却は必須の要件である。このような超高性能精密機器の冷却には、液化ガスや小型冷凍機などが用いられてきた。近年、小型冷凍機は達成可能な温度域が拡大し、従来は液体ヘリウムなどの極低温寒剤でしか実現できなかった4K以下までスイッチひとつで得られるようになった。
【0003】
図1は、従来のGM(GiffordMcMahon)型の冷凍機の構成を示す概略図である。図1に示す冷凍機10は、コンプレッサ11と、冷凍機コールドヘッド12とを有している。冷凍機コールドヘッド12内には、蓄冷器13及びディスプレーサ14が設けられており、下部にはコールドエンド16が設けられている。蓄冷機13ディスプレーサ14をあわせて冷凍管と呼ぶコンプレッサ11からは高圧及び低圧のガスがフレキシブルホース15を通り、切り替えバルブ17を介して冷凍機本体12に交互に送られ、冷凍機コールドヘッド12内で圧縮及び膨脹が繰り返される。
【0004】
モータ18でディスプレーサ14を駆動させることにより、ガスの膨脹によって生じた寒冷を次回の膨脹に重ね合わせるようにしている。周期的な膨脹を経ることによって生成された寒冷は蓄冷器13内に蓄積され、この結果、コールドエンド16が極低温にまで冷却される。そして、冷却すべき物品をコールドエンド16に接触させることにより、前記物品の冷却を行う。
【0005】
図2は、従来のパルス管型の冷凍機の構成を示す概略図である。図2に示す冷凍機20は、コンプレッサ21と、冷凍機コールドヘッド22とを有している。冷凍機コールドヘッド22内には、蓄冷器23及びパルス管24が設けられており、下部にはコールドエンド26が設けられている。蓄冷機23とパルス管24をあわせて冷凍管と呼ぶコンプレッサ21からは高圧及び低圧のガスがフレキシルホース25を通り、切り替えバルブ27を介して冷凍機コールドヘッド22に交互に送られ、冷凍機本体22内で圧縮及び膨脹が繰り返される。
【0006】
パルス管24では、連続して設けられたバッファタンク28にオリフィス29を通して出入りするガスのタイミングを調節することで、膨脹によって生じた寒冷を次回の膨脹に重ね合わせるようにしている。周期的な膨脹を経ることによって生成された寒冷は蓄冷器23内に蓄積され、この結果、コールドエンド26が極低温にまで冷却される。そして、冷却すべき物品をコールドエンド16に接触させることにより、前記物品の冷却を行う。
【0007】
【解決しようとする課題】
上述したGM型冷凍機及びパルス管型冷凍機のいずれにおいても、コンプレッサ11及び21からは、冷凍機コールドヘッド12及び22内を高圧及び低圧のガスが循環するようになるので、これによってコールドエンド16及び26には、長手方向において冷凍管の弾性伸縮のため約10μm程度の振幅で避けることのできない振動が生じる。しかしながら、上述した超高性能精密機器における振動の許容範囲はサブミクロンのレベルであり、上述した比較的大きな振動が印加されると内部構造や制御性が破壊されたりすることによって、前記機器が機能不全に陥る場合がある。
【0008】
本発明は、上述した超高性能精密機器などの物品に振動を与えることなく、極低温まで冷却することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は、
2対の冷凍管を、対をなす冷凍管同士を結ぶ線が略直交するようにしてコールドエンドに接続し、一方の対の冷凍管に高圧のガスを供給し、他方の対の冷凍管に低圧のガスを供給するようにして、不動点をコールドエンド上に形成し、コールドエンドの不動点上に物品を取り付けて、物品の冷却を行うことを特徴とする、冷凍機を用いた物品の冷却方法に関する。
【0010】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を実施した。その結果、以下の事実を見出すに至った。
【0011】
コールドエンドを円板状に形成し、このコールドエンドの主面上に、対をなす冷凍管同士を結ぶ線が略直交するようにして2対の冷凍管を配置し、一方の対の冷凍管に高圧のガスを供給し、他方の対の冷凍管に低圧のガスを供給するようにすると、前記コールドエンドは図3に示すように変化する。図3から明らかなように、前記コールドエンド全体の形状は経時的に変化するが、略直径方向、特に略中心部分においては前記コールドエンドがほとんど変化せずに不動であることを見出した。
【0012】
したがって、前記コールドエンドの不動部分に不動点を設定し、この部分を利用して所定の物品を冷却するようにすれば、前記物品に対してほとんど振動を与えることなく極低温まで冷却することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図4は、本発明の冷凍機の一例を示す構成図であり、図5は、図4に示す冷凍機における冷凍管の、コールドエンドに対する接続状態を示す図である。なお、図4において、コンプレッサは省略し、冷凍機コールドヘッドのみを示している。
【0014】
図4に示す冷凍機コールドヘッド30は、2対の冷凍管31及び32と、これら冷凍管が接続されたコールドエンド36とを有している。31及び32の下部にはコールドエンド36が設けられている。
【0015】
図5に示すように、冷凍管31及び32は、対をなす冷凍管31同士を結ぶ線Xと、対をなす冷凍管32同士を結ぶ線Yとが略直交するようにして、コールドエンド36に接続されている。そして、冷凍管31に高圧のガスを供給し、冷凍管32に低圧のガスを供給するようにしている。コールドエンド36の、高圧ガスが負荷された部分は下方に変形し、低圧のガスが負荷された部分は上方に変形するようになる。
【0016】
しかしながら、上下に変形する部分の中間の直径Zに相当する部分はほとんど変形せず、特に中心Oはほとんど変形しなくなる。したがって、直径Z上には不動点が形成される。図4に示す冷凍機本体30では、不動点である中心Oに取り付け部39を設けている。この結果、取り付け部39に所定の物品を取り付けることにより、前記物品に対してほとんど振動を負荷することなく、冷却することができるようになる。
【0017】
また、冷凍31に対するガス供給と、冷凍32に対するガス供給との供給位相差を180°に設定し、コールドエンド36を十分な肉厚を持たせたタングステンカーバイドなどの高剛性材料から構成すれば、コールドエンド36自体の振動を抑制することができ、コールドエンド36の全面に不動点を形成することができる。
【0018】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、超高性能精密機器などの物品に振動を与えることなく、極低温まで冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のGM(Gifford- McMahon)型の冷凍機の構成を示す概略図である。
【図2】 従来のパルス管型の冷凍機の構成を示す概略図である。
【図3】 本発明の冷凍機におけるコールドエンド下面の変形態様のイメージ図である。
【図4】 本発明の冷凍機コールドヘッドの一例を示す構成図である。
【図5】 図4に示す冷凍機コールドヘッドにおける冷凍管の、コールドエンドに対する接続状態を示す図である。
【符号の説明】
11、21 コンプレッサ
12、22 冷凍機コールドヘッド
13、23 冷凍管(蓄冷器
14 ディスプレーサ
15、25 フレキシブルホース
16、26、36 コールドエンド
17、27 切り替えバルブ
18 モータ
24 冷凍管(パルス管)
28 バッファタンク
29 オリフィス
30 冷凍機コールドヘッド
31、32 冷凍管
39 物品取り付け部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4