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明細書 :全種イオン加速器及びその制御方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3896420号 (P3896420)
公開番号 特開2006-310013 (P2006-310013A)
登録日 平成19年1月5日(2007.1.5)
発行日 平成19年3月22日(2007.3.22)
公開日 平成18年11月9日(2006.11.9)
発明の名称または考案の名称 全種イオン加速器及びその制御方法
国際特許分類 H05H  13/04        (2006.01)
FI H05H 13/04 M
H05H 13/04 N
請求項の数または発明の数 4
全頁数 28
出願番号 特願2005-129387 (P2005-129387)
出願日 平成17年4月27日(2005.4.27)
審査請求日 平成17年8月23日(2005.8.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504151365
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
発明者または考案者 【氏名】高山 健
【氏名】下崎 義人
【氏名】鳥飼 幸太
【氏名】荒木田 是夫
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100093816、【弁理士】、【氏名又は名称】中川 邦雄
審査官 【審査官】林 靖
参考文献・文献 特開2000-232000(JP,A)
高山 健,誘導加速シンクロトロンの実証とその応用,日本物理学会誌,日本,日本物理学会,2004年 9月 5日,第59巻・第9号,第601頁~第610頁
調査した分野 H05H 13/04
特許請求の範囲 【請求項1】
イオンビームの通過シグナル及びイオンビームに印加された誘導電圧値を知るための誘導電圧シグナルを基に、閉込用デジタル信号処理装置及び閉込用パターン生成器で閉込用ゲート信号パターンを生成し、閉込用誘導加速セルのオン及びオフを閉込用インテリジェント制御装置により制御し、閉込用誘導加速セルによってイオンビームに印加する誘導電圧の発生タイミング及び印加時間をフィードバック制御し、
イオンビームの通過シグナル、位置シグナル及びイオンビームに印加された誘導電圧値を知るための誘導電圧シグナルを基に、加速用デジタル信号処理装置及び加速用パターン生成器で加速用ゲート信号パターンを生成し、加速用誘導加速セルのオン及びオフを加速用インテリジェント制御装置により制御し、加速用誘導加速セルによってイオンビームに印加する誘導電圧の発生タイミング及び印加時間をフィードバック制御し、
全てのイオン種の周回に同期させ、加速することを特徴とする全種イオン加速器。
【請求項2】
イオンビームの設計軌道が中にある環状の真空ダクト、前記設計軌道の曲線部に設けられイオンビームの円軌道を保持する偏向電磁石、前記設計軌道の直線部に設けられイオンビームの拡散を防止する収束電磁石、前記真空ダクトの中に設けられイオンビームの通過を感知するバンチモニター、前記真空ダクトの中に設けられイオンビームの重心位置を感知する位置モニター、前記真空ダクトに接続されたイオンビームを進行方向に閉じ込めるための誘導電圧を印加する閉込用誘導加速セル及び前記閉込用誘導加速セルの駆動を制御する閉込用インテリジェント制御装置からなる閉込用誘導加速装置、及び前記真空ダクトに接続されたイオンビームを加速するための誘導電圧を印加する加速用誘導加速セル及び前記加速用誘導加速セルの駆動を制御する加速用インテリジェント制御装置からなる加速用誘導加速装置から構成される誘導加速シンクロトロンと、
前記誘導加速シンクロトロンに、イオン源で発生したイオンを前段加速器で一定エネルギーレベルまで加速し、イオンビームを入射する入射機器からなる入射装置と、前記誘導加速シンクロトロンからイオンビームをイオンビーム利用ラインに取り出す出射装置とからなり、
前記閉込用インテリジェント制御装置が、前記バンチモニターからの通過シグナル及びイオンビームに印加した誘導電圧値を知るための電圧モニターからの誘導電圧シグナルを受けて、前記閉込用誘導加速セルを駆動する閉込用スイッチング電源のオン及びオフを制御する閉込用ゲート信号パターンを生成する閉込用パターン生成器の閉込用ゲート信号パターンの基になる閉込用ゲート親信号を計算する閉込用デジタル信号処理装置によって、前記閉込用誘導加速セルに印加する誘導電圧の発生タイミング及び印加時間をフィードバック制御し、
前記加速用インテリジェント制御装置が、前記バンチモニターからの通過シグナル、前記位置モニターからの位置シグナル及びイオンビームに印加した誘導電圧値を知るための電圧モニターからの誘導電圧シグナルを受けて、前記加速用誘導加速セルを駆動する加速用スイッチング電源のオン及びオフを制御する加速用ゲート信号パターンを生成する加速用パターン生成器の加速用ゲート信号パターンの基になる加速用ゲート親信号を計算する加速用デジタル信号処理装置によって、前記加速用誘導加速セルに印加する誘導電圧の発生タイミング及び印加時間をフィードバック制御し、
全てのイオン種の周回に同期させ、加速することを特徴とする全種イオン加速器。
【請求項3】
加速用誘導加速セルと、閉込用誘導加速セルとを組み込んだ円形加速器において、イオンビームの通過シグナル及びイオンビームに印加された誘導電圧値を知るための誘導電圧シグナルを基に、閉込用誘導加速セルからイオンビームに印加する誘導電圧の発生タイミング及び印加時間をフィードバック制御し、
イオンビームの通過シグナル、位置シグナル及びイオンビームに印加された誘導電圧値を知るための誘導電圧シグナルを基に、加速用誘導加速セルからイオンビームに印加する誘導電圧の発生タイミング及び印加時間をフィードバック制御し、
全てのイオン種の周回に同期させ、加速することを特徴とするイオンビームの加速方法。
【請求項4】
イオンビームの通過シグナル及びイオンビームに印加された誘導電圧値を知るための誘導電圧シグナルを基に、閉込用デジタル信号処理装置及び閉込用パターン生成器で閉込用ゲート信号パターンを生成し、閉込用誘導加速セルのオン及びオフを閉込用インテリジェント制御装置により制御し、閉込用誘導加速セルによって前段加速器により入射されたイオンビームに印加する誘導電圧の発生タイミング及び印加時間をフィードバック制御し、
イオンビームの通過シグナル、位置シグナル及びイオンビームに印加された誘導電圧値を知るための誘導電圧シグナルを基に、加速用デジタル信号処理装置及び加速用パターン生成器で加速用ゲート信号パターンを生成し、加速用誘導加速セルのオン及びオフを加速用インテリジェント制御装置により制御し、加速用誘導加速セルによって前記イオンビームに印加する誘導電圧の発生タイミング及び印加時間をフィードバック制御し、
全てのイオン種の周回に同期させ、加速することを特徴とする全種イオン加速器の制御方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンを加速する加速器に係り、特に、あらゆる種類のイオンを加速することができる誘導加速シンクロトロンを含む加速器及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで、イオンとは元素の周期表のある種の元素が一定の電価状態にあることをいう。また、全種イオンとは、元素の周期表にある全ての元素であって、前記元素が原理的に取り得る全ての電価状態のことをいう。
【0003】
加速器は、電子、陽子及びイオンなどの荷電粒子を数百万電子ボルト(数MeV)から数兆電子ボルト(数TeV)程度の高エネルギー状態に加速する装置であり、加速原理により大別すると高周波加速器と陽子用の誘導加速シンクロトロンがある。
【0004】
高周波加速器には、加速方法により区別すると、線形加速器、サイクロトロン、高周波シンクロトロンなどがある。さらに高周波加速器の大きさも用途により多種多様であり、大きなエネルギーを得る高周波加速器として原子核・素粒子物理学研究用の大型加速器から、最近では、比較的低エネルギーレベルのイオンビームの供給を行う癌治療専用の小型の高周波シンクロトンまである。
【0005】
高周波加速器では、荷電粒子の加速のために高周波加速空洞を用いてきた。この高周波加速空洞は、荷電粒子の走行に同期して数MHz~数10MHzの高周波電場を高周波空洞の共鳴振動による励振によって発生させる。この高周波電場によるエネルギーを荷電粒子に供給している。荷電粒子ビームのエネルギー変化に応じて高周波加速器の設計軌道上での周回周波数が増大するので、概ね上記範囲程度で共振周波数を変動させる。
【0006】
図10に従来の高周波シンクロトロン複合体一式34を示した。特に、高周波シンクロトロン35は、原子核物理・高エネルギー物理の実験に不可欠であった。高周波シンクロトロン35は、共鳴加速、強収束及び位相安定性の原理により荷電粒子を所定のエネルギーレベルまで高めるための加速器であり、以下の構成よりなる。
【0007】
従来の高周波シンクロトロン複合体一式34は、イオン源16で発生させたイオンを高周波線形加速器17bで光速の数パーセントから数十パンセントの速さまで加速し、高周波線形加速器17bからセプタム電磁石、キッカー電磁石、バンプ電磁石などからなる入射機器18を用いて後続の環状の高周波シンクロトロン35に入射する入射装置15と、所定のエネルギーレベルまで加速する高周波シンクロトロン35と、所定のエネルギーレベルまで加速されたイオンビーム3を実験装置21bなどが置かれた施設21aであるイオンビーム利用ライン21に取り出す各種電磁石からなる出射機器20を含む出射装置19などからなる。各装置間は輸送管16a、17a、20aで連結されている。
【0008】
高周波シンクロトロン35は高真空状態に保たれた環状の真空ダクト4と、設計軌道に沿ってイオンビーム3を偏向させる偏向電磁石5、真空ダクト4の中のイオンビーム3を水平方向と垂直方向の両方向に強収束を保証するように配置された四極電磁石などの収束電磁石6、真空ダクト4の中のイオンビーム3に対して高周波加速電圧を印加してイオンビーム3を加速する高周波加速空洞36a及び印加高周波を制御する制御装置36bからなる高周波加速装置36と、真空ダクト4の中のイオンビーム3の位置を測定する全周に渡って分布する位置モニター35a及びこの位置モニター35aによって得られたイオンビーム3の位置情報からイオンビーム3の軌道(Closed Orbit Distortionと呼ばれる)を補正するためのステアリング電磁石35b、イオンビーム3の通過を感知するバンチモニター7などからなる。
【0009】
上記構成による高周波シンクロトロン複合体一式34において、高周波線形加速器17bよって一定のエネルギーレベルまで加速、入射されたイオンビーム3は、進行軸方向に一様に連続な電荷密度分布を持って真空ダクト4の内の設計軌道を周回する。このとき高周波加速空洞36aに高周波電圧を印加すると、進行方向への収束力により、イオンビーム3は高周波電圧のある位相を中心にして荷電粒子群(以下、バンチという。)を形成する。
【0010】
その後、イオンビーム3の設計軌道を保持する偏向電磁石5の励磁パターンに同期して、高周波加速空洞36aに印加する電圧の周波数を上昇させる。又、バンチ中心の高周波電圧に対する位相を加速位相側にずらすことで、周回するイオンビーム3の運動量が増加する。高周波の周波数はイオンの周回周波数の整数倍の関係にある。
【0011】
ここで、イオンビーム3の中の荷電粒子の電荷をe、運動量をp、磁束密度をB、磁場での偏向による曲率半径をρとすると、p=eBρの関係にあることが知られており、また、イオンビーム3を水平方向及び垂直方向へ収束させるための四極電磁石の磁場強度もイオンビーム3の運動量の増加に同期して増加させる。この結果、真空ダクト4の内を周回するイオンビーム3は予め定めた固定の軌道に常に位置する。この軌道のことを設計軌道という。
【0012】
イオンビーム3の運動量増加率と磁場強度の変化率との間で同期を取る方法としては、偏向電磁石5の磁場強度を磁場測定用サーチコイルで測定し、磁場強度の変化毎に制御クロック(Bクロック)を発生し、Bクロックを基に高周波の周波数を決定する方法がある。
【0013】
偏向電磁石5の磁場強度変化と高周波周波数変化の完全な同期が取れないと、イオンビーム3は周回軌道が縮んだり又は膨らんだりして、設計軌道から外れ、真空ダクト4などに衝突して失われる。そこで、運動量ずれを検出する位置モニター8によってイオンビーム3の設計軌道からの変位を測定し、イオンビーム3が設計軌道を周回するために必要な高周波電圧の位相を算出し、適切な位相で高周波加速電圧がバンチ中心に印加するようなフィードバックが働く様なシステム構成になっている。
【0014】
この高周波加速電圧によって進行方向への収束力を受けて、個々のイオンはバンチ化し、そのバンチ中をイオンビーム3の進行方向に往きつ戻りつしながら高周波シンクロトロン35の中を周回する。これは高周波シンクロトロン35の位相安定性と呼ばれている。
【0015】
図11に従来の高周波シンクロトロン35の高周波によるバンチの閉じ込めと加速の原理(位相安定性)を示した。
【0016】
高周波シンクロトロン35における荷電粒子の進行軸方向の閉じ込めとその加速方式では、バンチ3aを閉じ込めることができる位相空間領域の、特に進行軸方向(時間軸方向)が原理的に制限されることが知られている。具体的には高周波37が負の電圧になる時間領域ではバンチ3aは減速され、電圧勾配の極性が異なる時間領域では荷電粒子は進行軸方向に発散し、閉じ込められない。すなわち、概ね点線の間を示す加速電圧37aの時間帯しかイオンビーム3の加速に使用することができない。
【0017】
加速電圧37aの時間帯では、バンチ中心3bに常に一定の電圧である中心加速電圧37bを印加するように高周波37を制御することから、バンチ頭部3cに位置する粒子は、バンチ中心3bよりエネルギーが大きく、より速く高周波加速空洞36aに到達するため、バンチ中心3bが受ける中心加速電圧37bより小さい頭部加速電圧37cを受け減速する。一方、バンチ尾部3dに位置する粒子は、バンチ中心3bよりエネルギーが小さく、遅く高周波加速空洞36aに到達するため、バンチ中心3bが受ける中心加速電圧37bより大きい尾部加速電圧37dを受け加速する。加速中、粒子はこの過程を繰り返す。
【0018】
加速し得るイオンビーム電流の最大値はビームの進行軸に対して垂直な方向にイオンビーム3自身が作る電磁場に起因する発散力である空間電荷力の大きさによって決まる。加速器内の荷電粒子は収束磁石による力を受けてベータートロン振動と呼ばれる調和振動子と類似の運動をしている。イオンビーム電流がある大きさを超えると荷電粒子のベータートロン振動の振幅が真空ダクト4のサイズまでに達して失われる。これを空間電荷制限と呼ぶ。
【0019】
厳密には局所電流値すなわち線電流密度の最大値によって制限される。従って特別な工夫をしない限り高周波シンクロトロン35ではバンチ中心3bの密度が最大になり、バンチ中心3bと、バンチ頭部3c、バンチ尾部3dなどのバンチ外縁での電流密度のアンバランスは避けられない。そしてバンチ中心3bの電流密度はこの制限以下でなければならない欠点があった。
【0020】
すなわち、高周波加速空洞36aの共振周波数frfは高周波加速空洞36aの電気パラメーター(インダクタンスL、容量C)を用いるとfrf=1/4(L・C)1/2によって与えられる。ここでインダクタンスは主に高周波加速空洞36aに装荷した磁性体の形状(長さl、内径a、外径b)とその比透磁率μ*を用いてL=l・(μμ/2π)log(b/a)で与えられる。
【0021】
加速と共に周回周波数が変化する粒子周回と同期を取るため常に粒子の周回周波数fと高周波加速空洞36aの共振周波数frfは常にfrf=hf(h:整数)の関係を維持しなくてはならない。これには磁性体をバイアス電流と呼ばれる別付けの電流で励磁することによってB-Hカーブ上の動作点を移動させ、比透磁率をμを制御することによって実現している。
【0022】
通常使用される高周波加速空洞36aの磁性体であるフェライトでは、最も大きなインダクタスはバイアス電流が0A近傍のときであるが、その動作点で決まる共振周波数が最小の共振周波数となる。
【0023】
陽子や特定のイオンに限定して設計・建設された高周波シンクロトロン35では高周波加速空洞36a自身と駆動電源である高周波電力増幅器(三極、或いは四極電力真空管)が持つ有限な周波数の可変幅によって許される範囲でしかイオン種と電価数を選べない
【0024】
従って、従来の高周波シンクロトロン35では、一旦加速するイオンの種、加速エネルギーレベル、加速器周長を決定すると、高周波37の周波数バンド幅が一意に決まる。
【0025】
図12に種々のイオンを高エネルギー加速器研究機構(以下、KEKという。)の500MeVブースター陽子シンクロトロン(以下、500MeVPSという。)で加速する場合の入射から加速終了までの高周波シンクロトロン35の周回周波数を示した。縦軸が周回周波数(メガヘルツ)、横軸が加速時間(ミリ秒)である。なお、KEKの500MeVPSは周長約35メートルの陽子専用の高周波シンクロトロン35である。
【0026】
H(1,1)、U(238,39)及びU(283、5)は、それぞれ、陽子、39価のウランイオン及び5価のウランイオンを意味し、各々について加速周波数変化をグラフに示した。
【0027】
図12の結果から、陽子や軽イオンの加速を目的に作られた高周波シンクロトロン35ではウラン等の重いイオンを著しく周回周波数の低い低エネルギーレベルから高いエネルギーレベルまで加速することはできないことがわかる。なお、縦の破線両矢印が示す範囲に陽子より重く5価のウランイオンより軽いイオンの周波数変化は存在する。
【0028】
他方、多種イオンを加速する加速器としてサイクロトロンが昔から使用されてきた。これも高周波シンクロトロン35と同様に高周波加速空洞36aをイオンビーム3の加速装置として使用する。従って、高周波37を使用する原理的限界から、加速できるイオンの質量番号Aと電価数Zの比であるZ/Aがほぼ等しいイオン種と電価状態に限られるという欠点がある。
【0029】
さらに、イオンビーム3の周回軌道はイオン源16のある中心部から取り出し軌道となる最外部まで一様な磁場で保持され、必要な磁場は鉄を磁性体とした双極の電磁石で発生させる。しかし、このタイプの電磁石には物理的大きさに限界があるという欠点がある。
【0030】
従って、これまで建設されたサイクロトロンにおける加速エネルギーの最大値は核子当たり520MeVである。因みに鉄の重量は4000トンに及ぶ。
【0031】
そこで、高周波加速器と異なる加速器として、近年、陽子の円形加速器として誘導加速シンクロトロンが提案された。陽子用の誘導加速シンクロトロンとは、上記の高周波シンクロトロン35の欠点を回避できる加速器である。すなわち、制限電流値以下で線密度を一定に保ったまま、進行軸方向に大幅に陽子を詰め込むことができる加速器である。
【0032】
陽子用の誘導加速シンクロトロンの特徴は、第1に、誘導加速セルに発生させる正負対の誘導電圧で進行軸方向に陽子ビームを閉じ込め、マイクロ秒オーダーの長大な陽子群(スーパーバンチ)を作ることができる。
【0033】
第2に別の誘導加速セルに発生させる長い印加時間の誘導電圧で閉じ込められたスーパーバンチを加速することができるというものである。
【0034】
つまり、従来の高周波シンクロトロン35が進行軸方向について陽子の閉じ込めと加速を共通の高周波37で行う機能結合型であるのに対して、誘導加速シンクロトロンは閉じ込めと加速を分離した機能分離型といえる。
【0035】
陽子の閉じ込めと加速の機能を分離することは、別々の機能を発揮する誘導加速装置によって可能になった。誘導加速装置は、磁性体のコアを持つ1体1のトランスである陽子の閉じ込を専門に行う誘導加速セル及び加速を専門に行う誘導加速セルと、前記各々の誘導加速セルを駆動する各スイッチング電源などからなる。
【0036】
誘導加速セルに陽子ビームの周回周波数に同期してパルス電圧を発生させる。例えば周長300メートルクラスの加速器であれば、CW1MHzの繰り返しでパルス電圧を発生しなくてはならない。
【0037】
この陽子用の誘導加速シンクロトロンの直接的応用として、次世代のニュートリノ振動を探査する陽子駆動加速器や衝突型加速器(コライダー)が提案されている。これによれば、従来の高周波シンクロトロン35で構成される陽子加速器の陽子ビーム強度より4倍程度高い陽子ビーム強度が実現できると予想されている。
【0038】
誘導加速シンクロトロンを応用した衝突型加速器をスーパーバンチ・ハドロンコライダーと呼ぶ。スーパーバンチを閉じ込め・加速できる誘導加速シンクロトロンの特徴を最大限活かしたスーパーバンチ・ハドロンコライダーでは、従来の高周波37を使用するシンクロトロンを基礎にした同サイズのコライダーより1桁大きなルミノシティーが期待されている。これは建設費3,000億円程度のコライダーを10基建設するのと等価になる。
【0039】
ここで、誘導加速シンクロトロンの加速原理について説明する。誘導加速セルに極性の異なる誘導電圧を発生させる。バンチ中心3bに位置する理想的粒子の運動量より大きい運動量をもった陽子の速度は理想粒子のそれより大きいので前に進む、そしてバンチ頭部3cに到る。そこに到ったとき負の誘導電圧で減速され、運動量を減じ、理想粒子のそれより速度が遅くなり、バンチ3aの後方へ動き出す。これがバンチ尾部3dに達すると正の誘導電圧を受け始め、加速される。この結果運動量が理想粒子のそれを越える。加速中、陽子ビームは上記過程を繰り返す。
【0040】
これは従来から知られている高周波シンクロトロン35の位相安定性(図11)と本質的に同じものである。この性質によって陽子はバンチ3aの形で進行軸方向に閉じ込められる。
【0041】
しかし、極性の異なる誘導電圧だけでは陽子は加速できない。そこで、別途一様な誘導電圧を印加することのできる誘導加速セルで陽子を加速する。閉じ込めと加速の機能分離の結果、進行軸方向のビームハンドリングの自由度が大幅に増すことが知られており、実証されつつある。
【0042】
CW1MHzの繰り返しで2kVの誘導電圧を発生させる誘導加速装置が完成し、KEKの12GeV陽子高周波シンクロトロン(以下、12GeVPSという。)に導入された。なお、12GeVPSは周長約340メートルの陽子専用の高周波シンクロトロン35である。最近の誘導加速の実験において500MeVで入射された陽子ビームを8GeVまで誘導加速することに成功している。

【非特許文献1】日本物理学会誌 vol.59,No.9(2004)p601-p610
【非特許文献2】Phys.Rev.Lett.Vol.94,No.144801-4(2005).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
しかし、一台の加速器で様々な電価状態にある多種のイオンを加速して、高いエネルギーを得ることはこれまで不可能と考えられていた。
【0044】
なぜなら、従来の高周波シンクロトロン35では、加速に用いる空洞共振器としての高周波加速空洞36aのクオリィティーファクターが高く、有限なバンド幅の高周波37しか励起できなかった。従って、その高周波シンクロトロン35の周長、用いる偏向電磁石5の強さ、使用する高周波37のバンド幅を決めると、相対論的に速度が大幅に変動する低エネルギー領域では、加速し得るイオンの質量数Aと電価数Zはほぼ一意に決まり、限られたイオンしか加速できなかった。
【0045】
一方、サイクロトロンでも、加速し得るイオンは高周波37のバンド幅に対応して、質量数と電価数の比が一定のものに限られている。又、任意のイオンを加速できるバンデグラフ等の静電加速器では機器の耐圧の問題から、加速エネルギーは20MeVが限界であった。
【0046】
また、線形誘導加速器では、数百MeV以上のエネルギーを得ることは不可能ではないが、そのコストと線形誘導加速器の物理的サイズは膨大なものになる。1億円/1MeV、1メートル/1MeVが概ね現在得られている線形誘導加速器のパラメーターである。従って、1GeVのエネルギーのイオンビームを得るには、コストは1,000億円を要し、加速器全長は1kmになる。
【0047】
さらに、前記、陽子専用の誘導加速シンクロトロンでは、入射エネルギーが既に十分高エネルギーであり、ほぼ光速度の速さを持った陽子のみの加速しか考慮されていなかった。すなわち、陽子ビームは、前段加速器の加速ですでに、入射直後からほぼ、光速近くまで加速されていることから、陽子を誘導加速シンクロトロンで加速する場合は、誘導加速セルの誘導パルス電圧を一定間隔で発生させればよかった。従って、陽子ビームに印加される誘導電圧の発生タイミングは、加速時間とともに変化することを必要としていなかった。
【0048】
しかし、全種イオンを一台の誘導加速シンクロトロンで加速する場合は、イオン種によって、誘導電圧の発生タイミングを変動しなければならない。なぜなら、図12で示したようにイオンの種類によってと周回周波数は大幅に異なるからである。
【0049】
そこで、本発明は、全種イオンを、使用する電磁石で発生する磁場強度が許す任意のエネルギーレベル(以下、任意のエネルギーレベルという。)に同一の加速器で加速することのできる加速器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0050】
本発明は、上記の課題を解決するために、イオンビーム3の設計軌道4aが中にある環状の真空ダクト4、前記設計軌道4aの曲線部に設けられイオンビーム3の円軌道を保持する偏向電磁石5、前記設計軌道4aの直線部に設けられイオンビーム3の拡散を防止する収束電磁石6、前記真空ダクト4の中に設けられイオンビーム3の通過を感知するバンチモニター7、前記真空ダクト4の中に設けられイオンビーム3の重心位置を感知する位置モニター8、前記真空ダクト4に接続されたイオンビーム3を進行方向に閉じ込めるための誘導電圧を印加する閉込用誘導加速セル10及び前記閉込用誘導加速セル10の駆動を制御する閉込用インテリジェント制御装置11からなる閉込用誘導加速装置9、及び前記真空ダクト4に接続されたイオンビーム3を加速するための誘導電圧を印加する加速用誘導加速セル13及び前記加速用誘導加速セル13の駆動を制御する加速用インテリジェント制御装置14からなる加速用誘導加速装置12から構成させる誘導加速シンクロトロン2と、前記誘導加速シンクロトロン2に、イオン源16で発生したイオンを前段加速器17で一定エネルギーレベルまで加速し、イオンビーム3を入射する入射機器18からなる入射装置15と、前記誘導加速シンクロトロン2からイオンビーム3をイオンビーム利用ライン21に取り出す出射装置19とからなり、前記閉込用インテリジェント制御装置11が、前記バンチモニター7からの通過シグナル7a及びイオンビーム3に印加した誘導電圧値を知るための電圧モニター9dからの誘導電圧シグナル9eを受けて、前記閉込用誘導加速セル10を駆動する閉込用スイッチング電源9bのオン及びオフを制御する閉込用ゲート信号パターン11aを生成する閉込用パターン生成器11bの閉込用ゲート信号パターン11aの基になる閉込用ゲート親信号11cを計算する閉込用デジタル信号処理装置11dによって、前記閉込用誘導加速セル10に印加する誘導電圧の発生タイミング及び印加時間をフィードバック制御し、前記加速用インテリジェント制御装置14が、前記バンチモニター7からの通過シグナル7b、前記位置モニター8からの位置シグナル8a及びイオンビーム3に印加した誘導電圧値を知るための電圧モニター12dからの誘導電圧シグナル12eを受けて、前記加速用誘導加速セル13を駆動する加速用スイッチング電源12bのオン及びオフを制御する加速用ゲート信号パターン14aを生成する加速用パターン生成器14bの加速用ゲート信号パターン14aの基になる加速用ゲート親信号14cを計算する加速用デジタル信号処理装置14dによって、前記加速用誘導加速セル13に印加する誘導電圧の発生タイミング及び印加時間をフィードバック制御し、全種イオンを任意のエネルギーレベルに加速制御することを特徴とする全種イオン加速器1の構成とした。
【発明の効果】
【0051】
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。第1に、従来の高周波シンクロトロン35を高周波加速装置36以外の装置をそのまま再利用して、低コストで、本発明である全種イオン加速器1に変更することができる。
【0052】
第2に、本発明である全種イオン加速器1は1台で全種イオンを、任意のエネルギーレベルまで加速することができる。
【0053】
具体的には、KEKの500MeVPSと12GeVPSを本発明である全種イオン加速器1に変更することで、500MeVPSでは、現時点では、最大規模の理化学研究所のサイクロトロンでも到達できないエネルギーレベルまで各種イオンを加速することができ、一方、12GeVPSでは、全種イオンを核子当たり最大約4GeVまで加速できることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
本発明である全種イオン加速器1を構成する誘導加速シンクロトロン2の収束電磁石6の配位は従来の高周波シンクロトロン35と同じ強収束配位とする。高周波加速装置36を閉込用誘導加速装置9と加速用誘導加速装置12に置き換える。前記閉込用誘導加速装置9及び加速用誘導加速装置12を構成する閉込用誘導加速セル10及び加速用誘導加速セル13は、高繰り返し動作可能なパルス電圧10fを発生させる閉込用及び加速用スイッチング電源9b、12bで駆動される。閉込用及び加速用スイッチング電源9b、12bのオン及びオフ動作は閉込用及び加速用スイッチング電源9b、12bに使われるMOSFET等のスイッチング素子のゲート駆動を司る閉込用及び加速用ゲート信号パターン11a、14aの制御で行なわれる。
【0055】
閉込用及び加速用ゲート信号パターン11a、14aは閉込用及び加速用パターン生成器11b、14bで生成される。閉込用及び加速用パターン生成器11b、14bは閉込用及び加速用ゲート親信号11c、14cにて動作を開始する。
【0056】
閉込用ゲート親信号11cは、バンチモニター7で検出したイオンビーム3の通過シグナル7a、及び閉込用誘導加速セル10によってイオンビーム3に印加した誘導電圧値を知るための誘導電圧シグナル9eを基に閉込用デジタル信号処理装置11dにより、予めプログラムされた処理法によってリアルタイムで生成される。
【0057】
加速用ゲート親信号14cはバンチモニター7、及び位置モニター8で検出したイオンビーム3の通過シグナル7b及びイオンビーム3の位置シグナル8aと、加速用誘導加速セル13によってイオンビーム3に印加した誘導電圧値を知るための誘導電圧シグナル12eを基に加速用デジタル信号処理装置14dにより、予めプログラムされた処理法によってリアルタイムで生成される。
【0058】
イオン源16で生成されたイオンを前段加速器17で一定の速度に加速されたイオンビーム3をある一定時間連続的に誘導加速シンクロトロン2に入射する。次に、閉込用誘導加速セル10をオンにして負及び正のバリアー電圧26、27(以下、単にバリアー電圧という。)を発生させる。続いて、このバリアー電圧発生間隔30を徐々に狭め、設計軌道4aの全周に渡って分布するイオンビーム3を、加速用誘導加速セル13で発生させる加速電圧28の印加時間28aの長さ程度のバンチ3aにする。この後、誘導加速シンクロトロン2の偏向電磁石5及び収束電磁石6を励磁する。
【0059】
バンチモニター7から得られるイオンビーム3の通過情報である通過シグナル7a、及びイオンビーム3に印加された誘導電圧値を知るための誘導電圧シグナル9eを基に、閉込用誘導加速セル10の負及び正のバリアー電圧26、27のパルス電圧10fを制御して、閉込用ゲート信号パターン11aを磁場の励磁に合わせて発生し、同期させる。
【0060】
バンチモニター7、位置モニター8から得られる通過シグナル7b、位置シグナル8a及びイオンビーム3に印加された誘導電圧値を知るための誘導電圧シグナル12eを基に、加速用誘導加速セル13の加速電圧28及びリセット電圧29(以下、単に加速用の誘導電圧という。)のパルス電圧10fを制御して、加速用ゲート信号パターン14aを磁場の励磁に合わせて発生し、同期させる。
【0061】
このような一定電圧のバリアー電圧及び加速用の誘導電圧の発生を時間的に制御して磁場の励磁に合わせてイオンビーム3の加速を追従させる。この結果必然的にイオンビーム3はバンチ3aとなって加速される。イオンビーム3を閉じ込め、加速するこの一連の制御装置を閉込用及び加速用インテリジェント制御装置11、14という。
【0062】
従って、この閉込用及び加速用インテリジェント制御装置11、14によるフィードバック制御をイオンの種類、目的のエネルギーレベルによって閉込用及び加速用デジタル信号処理装置11d、14dのプログラム設定を変更するだけで、全種イオンを任意のエネルギーレベルに加速することができる。
【0063】
最後に、加速終了後(最大磁場励磁状態)、所定のエネルギーレベルまで加速されたイオンビーム3を、イオンビーム利用ライン21に取り出す。取り出し方法としては、キッカー電磁石などの速い出射機器20にてバンチ3aの構造を維持したまま1ターンで取り出す方法、及びバリアー電圧発生間隔30を周回時間相当まで徐々に広げ、その後一端閉込用誘導加速セル10を駆動する閉込用スイッチング電源9b、12bのゲート駆動をオフにしてバンチ3aの構造を崩し、DCビーム状のイオンビーム3にした後、ベータートロン共鳴等を用いる出射機器20にて少量ずつ何ターンにも渡って連続的にイオンビーム3を取り出す方法がある。これらの取り出し方法は、イオンビーム3の利用用途に応じて選択することができる。
【実施例1】
【0064】
以下に、添付図面に基づいて、本発明である全種イオン加速器1について詳細に説明する。図1は本発明である全種イオン加速器の全体図である。なお、本発明である全種イオン加速器1は、イオンビーム3の加速を制御する閉込用誘導加速装置9及び加速用誘導加速装置12、高周波線形加速器17b以外の装置は、従来の高周波シンクロトロン複合体一式34で使用されていた装置を用いることができる。
【0065】
全種イオン加速器1は、入射装置15、誘導加速シンクロトロン2、及び出射装置19からなる。入射装置15は、誘導加速シンクロトロン2の上流にあるイオン源16、前段加速器17、入射機器18及びそれぞれの装置を連結し、イオンの連絡通路である輸送管16a、17aからなる。
【0066】
イオン源16は、電子サイクロトロン共鳴加熱機構を利用したECRイオン源やレーザー駆動イオン源などがある。
【0067】
前段加速器17は、電圧可変の静電加速器や線形誘導加速器などが汎用である。また、利用するイオン種が決まっている場合は小サイクロトロン等も使用可能である。
【0068】
入射機器18は、高周波シンクロトロン複合体一式34で使用されていた機器が利用される。特に本発明である全種イオン加速器1において特別な装置、方法は必要ない。
【0069】
以上の構成よりなる入射装置15は、前記誘導加速シンクロトロン2にイオン源16で発生したイオンビーム3を前段加速器17で一定のエネルギーレベルまで加速し、入射機器18で入射するものである。
【0070】
誘導加速シンクロトロン2は、イオンビーム3の設計軌道4aが中にある環状の真空ダクト4、前記設計軌道4aの曲線部に設けられイオンビーム3の円軌道を保持する偏向電磁石5、前記設計軌道4aの直線部に設けられイオンビーム3の拡散を防止する収束電磁石6、前記真空ダクト4の中に設けられイオンビーム3の通過を感知するバンチモニター7、前記真空ダクト4の中に設けられイオンビーム3の重心位置を感知する位置モニター8、前記真空ダクト4に接続されたイオンビーム3を進行方向に閉じ込めるための誘導電圧を印加する閉込用誘導加速セル10及び前記閉込用誘導加速セル10の駆動を制御する閉込用インテリジェント制御装置11からなる閉込用誘導加速装置9、及び前記真空ダクト4に接続されたイオンビーム3を加速するための誘導電圧を印加する加速用誘導加速セル13及び前記加速用誘導加速セル13の駆動を制御する加速用インテリジェント制御装置14からなる加速用誘導加速装置12から構成させる。
【0071】
閉込用とは、入射装置15より誘導加速シンクロトロン2に入射されたイオンビーム3を、誘導加速セルによる所定の極性の異なる誘導電圧よって別の誘導加速セルで誘導加速できるように一定の長さのバンチ3aまで縮めたり、その他種々の長さのイオンビーム3に変える機能と、加速中のイオンビーム3のバンチ3aに位相安定性を持たせる機能を有しているとの意味である。
【0072】
加速用とは、イオンビーム3のバンチ3aを形成後に、バンチ3a全体に加速用の誘導電圧を与える機能を有しているとの意味である。
【0073】
閉込用誘導加速装置9と加速用誘導加速装置12の装置自体は同一のものであるが、イオンビーム3に対する機能が異なる。これ以降、誘導加速装置というときは閉込用誘導加速装置9及び加速用誘導加速装置12の両方を意味する。同様に誘導加速セルというときは閉込用誘導加速セル10及び加速用誘導加速セル13の両方を意味する。さらに、電磁石という場合は、偏向電磁石5及び収束電磁石6の両方を意味する。
【0074】
出射装置19は、前記誘導加速シンクロトロン2で所定のエネルギーレベルまで達したイオンビーム3を利用する実験装置21bなどが設置された施設21aに連結する輸送管20aとイオンビーム利用ライン21に取り出す出射機器20からなる。なお、実験装置21bには、治療に用いられる医療設備等も含まれる。
【0075】
出射機器20は、速い取り出しができるキッカー電磁石、又はベータートロン共鳴等を利用した遅い取り出しを行う装置などがあり、イオンビーム3の種類、用途に応じて選択することができる。
【0076】
上記構成によって、本発明である全種イオン加速器1は1台で全種イオンを任意のエネルギーレベルに加速することができるようになった。
【0077】
図2は本発明である全種イオン加速器を構成する閉込用誘導加速セルの断面模式図である。
【0078】
本発明に利用する閉込用及び加速用誘導加速セル10、13はこれまで作られてきた線形誘導加速器用の誘導加速空洞と原理的には同じ構造である。ここでは閉込用誘導加速セル10について説明する。閉込用誘導加速セル10は、内筒10a及び外筒10bからなる2重構造で、外筒10bの内に磁性体10cが挿入されてインダクタンスを作る。イオンビーム3が通過する真空ダクト4と接続された内筒10aの一部がセラミックなどの絶縁体10dでできている。誘導加速セルは使用により発熱することから、外筒10bの内部には冷却用のオイルなどを循環させることがあり、絶縁体のシール10jを必要とする。
【0079】
磁性体10cを取り囲む1次側の電気回路にDC充電器9cからパルス電圧10fを印加すると1次電流10g(コア電流)が流れ、磁性体10cが励磁されるのでトロイダル形状の磁性体10cを貫く磁束密度が時間的に増加する。このとき絶縁体10dを挟んで、導体の内筒10aの両端部10hである2次側にファラデーの誘導法則に従って電場10eが誘導される。この電場10eが加速電場となる。この加速電場が生じる部分を加速ギャップ10iという。従って、閉込用誘導加速セル10は1対1のトランスであるといえる。
【0080】
閉込用誘導加速セル10の1次側の電気回路にパルス電圧10fを発生させる閉込用スイッチング電源9bを接続し、前記閉込用スイッチング電源9bを外部からオン及びオフすることで、加速電場の発生を自由に制御することができる。これはイオンビーム3の加速がデジタル制御され得ることを意味する。
【0081】
前記加速ギャップ10iにイオンビーム3のバンチ頭部3c(ここにはバンチ中心3bにあるイオンより幾分エネルギーの高いイオンが存在する)が進入するとき、閉込用誘導加速セル10であれば、進行方向と逆向きの電場10eを与える頭部の時間幅に対応する長さの誘導電圧(以下、負のバリアアー電圧という。)を発生させる。この負のバリアー電圧を感じてイオンのエネルギーは減じる。イオンビーム3のバンチ中心3bが通過する時間帯は誘導電圧を一切発生させない。
【0082】
バンチ尾部3d(ここにはバンチ中心3bにあるイオンより幾分エネルギーの低いイオンが存在する)が通過する時間帯には進行方向と同じ向きの電場10eを与える誘導電圧(以下、正のバリアー電圧という。)を発生させる。この符号の異なる誘導電圧を感じたイオンのエネルギーは増す。
【0083】
イオンビーム3が上述の符号の異なる誘導電圧を何度も繰り返し受けると、始めバンチ中心3bのイオンのエネルギーより大きなエネルギーを持ったイオンのエネルギーがバンチ中心3bのイオンエネルギーより低くなり、閉込用誘導加速セル10に到達する時刻が遅れ始め、いずれバンチ尾部3dに位置することになる。今度は、バンチ尾部3dで前述のごとく、イオンビーム3の進行方向と同じ向きの電場10eを与える誘導電圧を感じ、暫くすると到達の遅れとは逆過程のバンチ中心3bの追い抜きと閉込用誘導加速セル10への早期到達という現象が起こる。イオンビーム3は、この一連の過程を繰り返しながら加速する。このことをイオンビーム3の進行方向の閉じ込めという。
【0084】
これは、従来の高周波シンクロトロン35による位相安定性(図11)と同じ効果をイオンビーム3に与えるものである。閉込用誘導加速セル10の機能は、従来の高周波加速空洞36aの閉じ込めの機能だけを分離したものと等価である。また、このような誘導電圧をイオンビーム3にパルス電圧10fとして不連続に印加することから、イオンビーム3が有ろうが無かろうが常時高周波37が励起された状態にある高周波加速空洞36aに対して誘導加速セルはデジタル的動作特性を持つといってよい。
【0085】
一方、加速用誘導加速セル13では、その加速ギャップ10iにイオンビーム3が通過している間、進行方向と同一の方向に加速電場が発生するように誘導電圧(以下、加速電圧という。)を発生させる。但し、磁性体10cの磁気的飽和を避けるため、イオンビーム3の通過後、次にイオンビーム3が周回して来る間の任意の時間に誘導電圧を発生させた時とは逆向きの誘導電圧(以下、リセット電圧という。)を加速用誘導加速セル13に印加(リセット)しなければならない。閉込用誘導加速セル10の場合はリセットの結果発生する誘導電圧も有効に進行方向の閉じ込めに使用されている。
【0086】
なお、ここでは1つの誘導加速セルを用いて説明したが、誘導加速セルの数は、加速するイオンビーム3に必要な誘導電圧の印可時間及び到達エネルギーレベル等によって選択する。但し、電圧ドループの小さい誘導加速セルの設計が求められる。
【0087】
図3は誘導加速装置の構成とイオンビームの加速制御方法を示す図である。
【0088】
閉込用誘導加速装置9は、イオンビーム3を進行方向に閉じ込めるための極性の異なる誘導電圧であるバリアー電圧を発生させる閉込用誘導加速セル10、前記閉込用誘導加速セル10に伝送線9aを介してパルス電圧10fを与える高繰り返し動作可能な閉込用スイッチング電源9b、前記閉込用スイッチング電源9bに電力を供給するDC充電器9c、前記閉込用スイッチング電源9bのオン及びオフの動作をフィードバック制御する閉込用インテリジェント制御装置11、前記閉込用誘導加速セル10より印加された誘導電圧値を知るための電圧モニター9dからなる。
【0089】
この伝送線9aは閉込用スイッチング電源9bに使用するスイッチが半導体などの高放射線環境下での動作に耐えられない場合に使用する。放射線ダメージが問題ないスイッチ素子、もしくは低放射線環境を維持できる場合は不必要であり、閉込用スイッチング電源9bと閉込用誘導加速セル10は直結できる。
【0090】
閉込用インテリジェント制御装置11は、前記閉込用スイッチング電源9bのオン及びオフの動作を制御する閉込用ゲート信号パターン11aを生成する閉込用パターン生成器11b、及び前記閉込用パターン生成器11bによる閉込用ゲート信号パターン11aの生成のもと情報である閉込用ゲート親信号11cを計算する閉込用デジタル信号処理装置11dからなる。
【0091】
前記閉込用ゲート親信号11cは、設計軌道4aに置かれたイオンビーム3の通過を感知するバンチモニター7によって測定されるイオンビーム3の通過シグナル7a、及びイオンビーム3に印加された誘導電圧値を知るための電圧モニター9dによって測定される誘導電圧シグナル9eを基に、予めプログラムされている処理法に従い閉込用デジタル信号処理装置11dによって計算され、リアルタイムに生成される。
【0092】
具体的には、前記閉込用デジタル信号処理装置11dにおいて、前記通過シグナル7aから印加するバリアー電圧の発生タイミングを、前記通過シグナル7a及び誘導電圧シグナル9eからバリアー電圧の印加時間の長さを計算し、デジタル信号に変換され、閉込用パターン生成器11bに出力される。
【0093】
閉込用ゲート信号パターン11aには、イオンビーム3に印加する負のバリアー電圧26、正のバリアー電圧27及び電圧オフの3つのパターンがある。なお、負のバリアー電圧値及び正のバリアー電圧値はイオンビーム3の特性や種類により異なるが、加速中は一定でよいので予め閉込用デジタル信号処理装置11dにプログラムしておけばよい。使用するDC充電器9c、バンクコンデンサー23の出力電圧により誘導電圧値は定まる。
【0094】
加速用誘導加速装置12の構成は、イオンビーム3を進行方向に加速させるための加速電圧及び磁性体10cの磁気的飽和を避けるためのリセット電圧からなる加速用の誘導電圧を発生させる加速用誘導加速セル13、前記加速用誘導加速セル13に伝送線12aを介してパルス電圧10fを与える高繰り返し動作可能な加速用スイッチング電源12b、前記加速用スイッチング電源12bに電力を供給するDC充電器12c、前記加速用スイッチング電源12bのオン及びオフの動作をフィードバック制御する加速用インテリジェント制御装置14、前記加速用誘導加速セル13より印加された誘導電圧値を知るための電圧モニター12dからなる。
【0095】
加速用誘導加速装置12は、イオンビーム3に与える誘導電圧の機能が異なるが、電気的には閉込用誘導加速装置9と同じである。磁性体10cの磁気的飽和を避けるため発生させるリセット電圧はイオンビーム3に何の働きもしないということ、リセット電圧の発生タイミングはイオンビーム3が通過していない時間帯に選ばれることが閉込用誘導加速装置9の場合と異なる。
【0096】
加速用インテリジェント制御装置14は、前記加速用スイッチング電源12bのオン及びオフの動作を制御する加速用ゲート信号パターン14aを生成する加速用パターン生成器14b、及び前記加速用パターン生成器14bによる加速用ゲート信号パターン14aの生成のもと情報である動作を制御する加速用ゲート親信号14cを計算する加速用デジタル信号処理装置14dからなる。
【0097】
前記加速用ゲート親信号14cは、設計軌道4aに置かれたイオンビーム3の通過を感知するバンチモニター7によって測定されるイオンビーム3の通過シグナル7b及びイオンビーム3の重心位置を感知する位置モニター8によって測定される位置シグナル8aと、イオンビーム3に印加された誘導電圧値を知るための電圧モニター12dによって測定される誘導電圧シグナル12eを基に、予めプログラムされている処理法に従い加速用デジタル信号処理装置14dによって計算され、リアルタイムに生成される。
【0098】
具体的には、前記加速用デジタル信号処理装置14dにおいて、前記通過シグナル7b及び位置シグナル8aから印加する加速用の誘導電圧の発生タイミングを、前記通過シグナル7b及び誘導電圧シグナル12eから加速用の誘導電圧の印加時間の長さを計算し、デジタル信号に変換され、加速用パターン生成器14bに出力される。
【0099】
加速用ゲート信号パターン14aには、イオンビーム3に印加する加速電圧28、リセット電圧29及び電圧オフの3つのパターンがある。また、加速電圧値及びリセット電圧値はDC充電器12cとバンクコンデンサー23の出力電圧で決まる。なお、加速電圧28は全種イオン加速器1の電磁石の励磁パターンに同期して発生させる。
【0100】
リアルタイムに生成される閉込用及び加速用ゲート信号パターン11a、14aが、ほぼ0Hzから閉込用及び加速用誘導加速セル10、13を駆動する閉込用及び加速用スイッチング電源9b、12bの半導体スイッチング素子の動作限界に近い1MHzまで自在に可変生成できることを実証した。このことは、従来は高周波加速空洞36aから得られる陽子の周回に同期した高周波シグナルを用いていたが、前述のごとく、イオンの種類によって、高周波加速空洞36aを使用することができないことから、バンチモニター7からイオンビーム3の通過シグナル7a、7bを得て、閉込用及び加速用ゲート信号パターン11a、14aを生成することことに起因する。
【0101】
具体的なフィードバック機能を持った閉込用及び加速用デジタル信号処理装置11d、14dの閉込用及び加速用ゲート親信号11c、14cの処理は以下のようになされる。理想的加速を保証する誘導電圧より高い誘導電圧がイオンビーム3に与えられると、イオンビーム3は設計軌道4aから外側にずれる。このようなことは、現実にDC充電器9c、12cの電圧設定精度誤差があると起こる。このような場合、閉込用及び加速用スイッチング電源9b、12bのバンクコンデンサー23の充電電圧が理想値からずれる。その結果、閉込用及び加速用誘導加速セル10、13に発生する誘導電圧が加速に必要な値からずれる。
【0102】
そこで、位置モニター8で検出した位置シグナル8aでイオンビーム3の軌道のズレを検知し、運動量のずれを知る。このズレの補正に必要な分だけ加速電圧28の発生を意図的に停止するよう、加速用デジタル信号処理装置14dで計算し、加速用ゲート親信号14cの生成をストップする。なお、位置モニター8は、複数使用することもできる。位置モニター8を複数使用することで、より精度よくイオンビーム3の加速が制御されイオンビーム3の損失を避けることができる。
【0103】
このようなフィードバック制御によるイオンビーム3の加速によって、イオンビーム3の設計軌道4aを保持し、全種イオンを任意のエネルギーレベルまで安定に加速することができることとなった。
【0104】
図4は閉込用誘導加速装置の等価回路図である。閉込用誘導加速装置の等価回路22は図で示すように、DC充電器9cから常時給電を受ける閉込用スイッチング電源9bが伝送線9aを経由して閉込用誘導加速セル10に繋がる。閉込用誘導加速セル10はL、C、Rの並列回路で示す。並列回路の両端電圧がイオンビーム3の感じる誘導電圧である。
【0105】
図4の回路状態は、第1及び第4スイッチ23a、23dが閉込用ゲート信号パターン11aによりオンになっており、バンクコンデンサー23に充電された電圧が閉込用誘導加速セル10に印加され、加速ギャップ10iにイオンビーム3を閉じ込めのための誘導電圧が生じている状態である。次にオンになっていた第1及び第4スイッチ23a、23dが閉込用ゲート信号パターン11aによりオフになり、第2及び第3スイッチ23b、23cが閉込用ゲート信号パターン11aによりオンになり、前記加速ギャップ10iに前記誘導電圧と逆向きの誘導電圧が生じるととともに、磁性体10cの磁気的飽和をリセットする。そして、第2及び第3スイッチ23b、23cが閉込用ゲート信号パターン11aによりオフになり、第1及び第4スイッチ23a、23dがオンになる。この一連のスイッチング動作を閉込用ゲート信号パターン11aにより繰り返すことで、イオンビーム3を閉じ込めることができる。
【0106】
前記、閉込用ゲート信号パターン11aは、閉込用スイッチング電源9bの駆動を制御する信号であり、イオンビーム3の通過シグナル7b、及び印加した誘導電圧値を知るための誘導電圧シグナル9eを基に、閉込用デジタル信号処理装置11d及び閉込用パターン生成器11bからなる閉込用インテリジェント制御装置11でデジタル制御される。
【0107】
イオンビーム3に印加された誘導電圧は、回路中の電流値とマッチング抵抗24との積から計算された値と等価である。従って、電流値を測定することで印加した誘導電圧の値を知ることができる。そこで、電流計である電圧モニター9dで得られる誘導電圧シグナル9eを閉込用デジタル信号処理装置11dにフィードバックし、次の閉込用ゲート親信号11cの生成に利用する。
【0108】
図5は閉込用誘導加速セルによるイオンビームの閉じ込め過程を示した図である。図5(A)は、閉じ込め開始直後のイオンビーム3の様子を示している。横軸が時間で縦軸が誘導電圧値である。両矢印はイオンビーム3が設計軌道4aを1周する周回時間25を表している。(B)においても同じ。
【0109】
設計軌道4aの全体に広がっているイオンビーム3を閉込用誘導加速セル10に進行方向と逆向きの誘導電圧である負のバリアー電圧26が発生するよう閉込用スイッチング電源9bの各スイッチをオンにしてイオンビーム3の先端を捕捉する。この負のバリアー電圧26のイオンビーム3に対する印加時間26aは短くてよい。ついで、閉込用誘導加速セル10にイオンビーム3の末端となるイオンビーム3の周回時間25の終点で、イオンビーム3の進行方向と同じ向きの正のバリアー電圧27が発生するよう閉込用スイッチング電源9bの各スイッチをオンにしイオンビーム3の末端を捕捉する。この正のバリアー電圧27は、磁性体10cの磁気的飽和を回避することにも使用されるから、負のバリアー電圧26と誘導電圧値は等価であることが必要である。従って、イオンビーム3に対する印加時間27aも短時間で、負のバリアー電圧26と同じ誘導電圧を印加したならば、印加時間27a同じ時間となる。これらのバリアー電圧によって、誘導加速シンクロトロン2に入射され、設計軌道4aの全体に分布するイオンビーム3の全体が閉じ込められる。
【0110】
図5(B)は、先の図5(A)で閉じ込められたイオンビーム3を時間的に有限な加速用の誘導電圧で加速するために、イオンビーム3のバンチ3aの進行方向における長さを小さくする過程が示されている。
【0111】
イオンビーム3の先端を補足している負のバリアー電圧26と、イオンビーム3の末端を補足している正のバリアー電圧27とを発生させる時間間隔(以下、バリアー電圧発生間隔30という。)を縮め、別の加速用誘導加速セル13に生じる加速電圧28の印加時間28aでイオンビーム3を加速できるように、イオンビーム3を加速電圧28の印加時間28a内の長さのバンチ3aにする。
【0112】
具体的には、負のバリアー電圧26の発生タイミングを固定し、正のバリアー電圧27の発生タイミングを早める制御を閉込用インテリジェント制御装置11により行う。なお、白抜きの左矢印が正のバリアー電圧27の発生タイミングの移動方向である。
【0113】
図6は本発明を構成する誘導加速シンクロトロンによって、イオンビームが加速されるときの様子を示す図である。V(t)は誘導電圧値を意味する。
【0114】
図6(A)は、加速途中のある時間でのイオンビーム3のバンチ3a及びスーパーバンチ3eの設計軌道4aでの存在位置を表している。図6では、設計軌道4aに対峙する各々1つの閉込用誘導加速セル10、加速用誘導加速セル13でイオンビーム3の閉じ込めと加速を行う場合について説明する。イオンビーム3の通過はバンチモニター7の通過シグナル7a、7bで確認する。
【0115】
図6(B)は、閉込用誘導加速セル10によるイオンビーム3の閉じ込めの様子を示している。t(a)は、バンチ3aまたはスーパーバンチ3eが閉込用誘導加速セル10に到達した時間を基準にした、バリアー電圧の発生タイミングと印加時間26a、27aである。点線で示した縦線がバンチ3aまたはスーパーバンチ3eの周回時間25を意味する。図6において同じ。
【0116】
バンチモニター7から得られる通過シグナル7aを基に、閉込用デジタル信号処理装置11dでバンチ3aまたはスーパーバンチ3eが閉込用誘導加速セル10に到達する時間を計算し、負のバリアー電圧26を発生するよう閉込用ゲート信号パターン11aを生成し、バンチ頭部3cまたはスーパーバンチ3eの頭部に負のバリアー電圧26が印加される。
【0117】
バンチモニター7から得られる通過シグナル7aを基に、閉込用デジタル信号処理装置11dでバンチ3aまたはスーパーバンチ3eの尾部が閉込用誘導加速セル10に到達する時間を計算し、正のバリアー電圧27を発生するよう閉込用ゲート信号パターン11aを生成し、バンチ尾部3dまたはスーパーバンチ3eの尾部に正のバリアー電圧27が印加される。
【0118】
このようにして、バンチ3aまたスーパーバンチ3eを閉じ込めることができる。印加された負及び正のバリアー電圧26、27は、電圧モニター9dからの誘導電圧シグナル9eを基に閉込用デジタル信号処理装置11dで計算され、次の閉込用ゲート親信号11cに利用される。なお、イオンビーム3が短いバンチ3aであってもバリアー電圧発生間隔30を短くするだけで対応できる。
【0119】
図6(C)は、加速用誘導加速セル13によるイオンビーム3の加速の様子を示している。t(b)は、バンチ3aまたはスーパーバンチ3eが加速用誘導加速セル13に到達する時間を基準にした、加速用の誘導電圧の発生タイミングと印加時間28a、29aである。
【0120】
加速電圧28が、バンチモニター7から得られる通過シグナル7bを基に、加速用デジタル信号処理装置14dでバンチ3aまたはスーパーバンチ3eが加速用誘導加速セル13に到達する時間を計算し、加速電圧28を発生するよう加速用ゲート信号パターン14aを生成し、バンチ3aまたはスーパーバンチ3eの全体に印加される。
【0121】
リセット電圧29は、加速用デジタル信号処理装置14dにより計算され設計軌道4aのイオンビーム3が存在しない時間帯に、磁性体10cの磁気的飽和を回避するため、加速電圧28と逆極性の誘導電圧として印加される。このようにして、バンチ3aまたスーパーバンチ3eを加速することができる。なお、(1/2)Tとは、図6(B)のt(a)と図6(C)のt(b)の時間基準が周回時間25の半分だけずれていることを意味する。
【0122】
図6(D)は、ある時間でのバンチ3aまたはスーパーバンチ3eの加速の様子を示している。すなわち、図6(B)と図6(C)を合成したものである。従って、横軸のtは、閉込用誘導加速セル10と加速用誘導加速セル13の時間基準に1/2の周回時間25のズレがある時間基準である。図7のtにおいても同じ。
【0123】
図7は、イオンビーム3を複数のバンチ3aにした後に、加速する方法について示した図である。この方法によればバリアー電圧の誘導電圧値が小さくて済む利点がある。
【0124】
イオンビーム3を複数のバンチ3aにした後に、加速する方法は、入射されたDCビーム状のイオンビーム3を予め複数のバンチ3aとし、最終的に単一のバンチ3a(スーパーバンチ3e)として図7(A)から(E)の順に従うことにより可能となる。
【0125】
縦軸が誘導電圧値であり、横軸は時間である。破線で示した縦軸までの長さを示す破線の横両矢印は、入射直後のイオンが設計軌道4aを一周するのに要する周回時間25である。すなわち真空ダクト4の周長である。
【0126】
図7(A)は、前段加速器17によって一定のエネルギーレベルまで加速されたイオンビーム3が、真空ダクト4に多重回入射された直後の様子を示している。入射されたイオンビーム3は、設計軌道4aの全体に渡ってDCビーム状のイオンビーム3として存在している。この時の周回時間25は10μ秒、入射時の周回周波数は100kHz程度の39価のウランイオンを例に説明する。
【0127】
図7(B)は、閉込用誘導加速セル10で印加されるバリアー電圧によって、設計軌道4aの全体に存在するイオンビーム3を複数のイオンビーム3として閉じ込める方法を示している。負及び正のバリアー電圧26、27の間を示す実線の横両矢印は、バリアー電圧発生間隔30を意味する。負のバリアー電圧間を示す実線の横両矢印は、同極のバリアー電圧の発生タイミングの間隔(以下、同極のバリアー電圧発生間隔31という。)を意味する。
【0128】
このように、設計軌道4aの全体に存在するイオンビーム3を複数のイオンビーム3に分断することで、各々のイオンビーム3を加速電圧28の印加時間28aになるよう効率的に短くすることができる。閉込用誘導加速セル10のバリアー電圧の印加時間26a、27aが各々十分に0.5μ秒以下であれば、10個のイオンビーム3の断片に分断することができる。
【0129】
図7(C)は、分断されたイオンビーム3を複数のバンチ3aにする方法を示している。バリアー電圧発生間隔30を徐々に短くするとともに、同極のバリアー電圧発生間隔31も短くすること加速電圧28を受けられるようにする。さらに、隣り合うバンチ3a間(以下、バンチ間隔32という。)を短くするように、正のバリアー電圧27の次に発生させる負のバリアー電圧26の間隔を短くし閉じ込めたバンチ3a同士を接近させる。
【0130】
図7(D)は、イオンビーム3を分断してなる複数のバンチ3aを結合して単一のバンチ3aとする過程を示している。隣り合うバンチ3a、または複数のバンチ3aの最初の負のバリアー電圧26と最後の正のバリアー電圧27以外の負及び正のバリアー電圧26b、27bの印加を行わないことで、複数のバンチ3aを結合すことができる。最終的に単一のバンチ3aにする。この印加しない負及び正のバリアー電圧26b、27bの選択は閉込用インテリジェント制御装置11の閉込用デジタル信号処理装置11dに予めイオンの種類、到達エネルギーレベルによってプログラムされた処理方法に従いリアルタイムに閉込用ゲート信号パターン11aを生成することで可能である。同様に不必要な加速電圧28b、リセット電圧29bの選択、印加中止は加速用インテリジェント制御装置14で計算される。
【0131】
さらに、イオンビーム3を単一のバンチ3aにする前に、加速用誘導加速セル13の加速電圧28の印加時間28aの範囲内にバンチ3aを閉じ込めまたは結合できたら、加速電圧28及びリセット電圧29の発生を加速用インテリジェント制御装置14によって制御することで、より効率的にイオンビーム3を設定エネルギーレベルまで加速することができる。
【0132】
図7(E)は、イオンビーム3を完全に単一のバンチ3a(スーパーパンチ)にし、閉じ込め及び加速しているときの様子を示している。図7に示す(A)~(E)のような過程をとることで、図5及び図6に示す閉じ込め及び加速方法より効率的にイオンビーム3を設定エネルギーレベルまで加速することができることとなる。このような方法を採用することができるのは、閉込用及び加速用スイッチング電源9b、12bの駆動周波数が0Hzから1メガヘルツまで自在に可変可能であること、閉込用及び加速用ゲート信号パターン11a、14a、閉込用及び加速用デジタル信号処理装置11d、14d及び閉込用及び加速用パターン生成器11b、14bでリアルタイムに生成することができることによる。
【0133】
図8は、複数の誘導加速セルによるイオンビームの加速方法を示す図である。一般にバリアー電圧は短い印加時間26a、27aで相対的に高圧、加速電圧28は長い印加時間28aで相対的には低圧、リセット電圧29は、加速電圧28とエネルギー的に等価になるよう印加時間29aと電圧値が要求される。複数の閉込用及び加速用誘導加速セル10、13を用いることで、前記要求を満足させることができる。そこで、以下に3連の閉込用及び加速用誘導加速セル10、13を用いたときの運転パターンについて説明する。この方法によれば、イオンの選択、エネルギーレベルの選択の自由度を増すことできる。
【0134】
図8(A)は、3連の閉込用誘導加速セル10によって与えられるバリアー電圧の大きさと、印加時間を示している。縦軸が誘導電圧値であり、横軸がバリアー電圧の印加時間26a、27aを意味する。(1)、(2)及び(3)はそれぞれ第1閉込用誘導加速セル10、第2閉込用誘導加速セル10及び第3閉込用誘導加速セル10を意味する。また(4)は3連の閉込用誘導加速セル10によって、イオンビーム3に印加された合計の負及び正のバリアー電圧26f、27fを示している。
【0135】
3連の閉込用誘導加速セル10に到達したイオンビーム3のバンチ3aに(1)から(3)の順に先ず負のバリアー電圧26c、26d、26eを印加する。このときバンチ3aは高速であるため、ほぼ同時に負のバリアー電圧26c、26d、26eを印加すればよい。同様に正のバリアー電圧27c、27d、27eをバンチ尾部3dに印加する。従って、バンチ頭部3c、バンチ尾部3dには、(4)に示す合計の負及び正のバリアー電圧26f、27fと等しいバリアー電圧がバンチ3aに印加されたこととなる。このように閉込用誘導加速セル10を連ねることで、実効的に必要なバリアー電圧を得る。すなわち、各々の閉込用誘導加速セル10により印加されるバリアー電圧値26g、27gが低くても、高いバリアー電圧値26h、27hを得ることができることになる。
【0136】
図8(B)は、3連の加速用誘導加速セル13によって与えられる加速用の誘導電圧の大きさと印加時間を示している。縦軸が加速用の誘導電圧値であり、横軸が加速用の誘導電圧の印加時間28a、29aを意味する。(1)、(2)及び(3)はそれぞれ第1加速用誘導加速セル13、第2加速用誘導加速セル13及び第3加速用誘導加速セル13を意味する。また(4)は3連の加速用誘導加速セル13によって、バンチ3aに印加された合計の加速電圧28f及び合計のリセット電圧29fを示している。
【0137】
3連の加速用誘導加速セル13に到達したイオンビーム3に(1)から(3)の順に先ず一定の加速電圧値28hである加速電圧28c、28d、28eを印加する。このとき(1)から(3)のように印時間をずらすことでイオンビーム3の全体に加速電圧28c、28d、28eを印加することができる。従って、イオンビーム3の全体に(4)に示す合計の加速電圧28fの印加時間28gを確保することができる。1つの加速用誘導加速セル13では短い印加時間28aしか加速電圧28を印加できなくても、このように加速用誘導加速セル13を連ねることで長い印加時間28aを確保することが可能になる。つまり、低圧の誘導電圧を発生させ得る共通規格の誘導加速セルの組み合せだけで、閉じ込めと加速の二つの目的に対応できる。ゆえに、誘導加速装置の製造コストが低く抑えられる。
【0138】
3連の加速用誘導加速セル13にイオンビーム3が存在しない時間帯に加速用誘導加速セル13の磁気的飽和を回避するためリセット電圧29c、29d、29eを印加する。リセット電圧値29gは、各加速用誘導加速セル13の磁気的飽和を回避する必要があるから、各加速用誘導加速セル13に発生さる。理論的には、このリセット電圧29c、29d、29eを印加する時間帯以外は、加速電圧28を印加する時間として利用することができるため、全種イオンをスーパーバンチ3eとして加速することが可能である。
【0139】
バリアー電圧発生間隔30を閉込用スイッチング電源9bに使用するスイッチング素子の閉込用ゲート信号パターン11aを自由にコントロールすることができるので、従来の高周波シンクロトロン35では原理的に不可能であったバンチ3aを進行方向に長い状態で保持できるので、一度に加速することのできるイオン数が大幅に増大することとなった。
【0140】
図9は既存のKEKの500MeVPSと12GeVPSを本発明である全種イオン加速器に改装した場合に可能になる、最大電価数を持った種々のイオンの核子当たりの到達エネルギーを計算した結果を示す図である。
【0141】
イオンビーム3のソースは、H(水素)、C(炭素)、N(窒素)、Ne(ネオン)、Al(アルミニウム)、Ca(カルシウム)、O(酸素)、Mg(マグネシウム)、Ar(アルゴン)、Ni(ニッケル)、Zn(亜鉛)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)、Er(エルビウム)、Ta(タンタル)、Bi(ビスマス)、U(ウラン)、Te(テルル)、Cu(銅)、Ti(チタン)など、軽い原子である陽子から重イオンであるウランまで試みた。
【0142】
グラフの横軸は原子番号であり、左から原子番号小さいものから順にプロットした。グラフの縦軸は、各加速器で加速した、或いは予測されるイオンの核子当たりのエネルギー量を意味する。左軸の単位はメガボルト(MeV)で、右軸の単位はギガボルト(GeV)である。なお右軸は改装12GeVPSの結果を参照する場合のみ使用する。
【0143】
■は、KEKの現500MeVPS(現在の共振電源である電磁石電源をそのまま使用)、●は、KEKの改装500MeVPS(現在の共振電源である電磁石電源をパターン電源に置き換えた場合)、▲は、KEKの12GeVPSをそれぞれ本発明である全種イオン加速器1に変更した場合の各種イオンビーム3の到達エネルギーの予測結果である。
【0144】
なお、従来の加速器と比較するため、国内最大のサイクロトロンである理化学研究所で稼働しているリングサイクロトロンにおけるイオンビーム3の加速実績(破線内)も示した。破線で囲まれた○は、各種イオンビーム3を前記サイクロトロンに高周波線形加速器入射33したときの各種イオンビーム3の到達エネルギーである。一方の破線で囲まれた□は、各種イオンビーム3を前記サイクロトロンにAVFサイクロトロン入射33aしたときの各種イオンビーム3の到達エネルギーである。
【0145】
イオンの進行軸に対して垂直方向の閉じ込めは従来の強収束方式を採用する。パターン制御電源にて駆動する電磁石を用いるスローサイクルシンクロトロンでは取り出しエネルギーは可変となる。又、共振回路で駆動する電磁石を用いるラッピドサイクルシンクロトロンでは核子当たりの加速エネルギーはイオンの質量数と電価数によって決まる。
【0146】
図9の結果から、本発明である全種イオン加速器1によって、以下のことがいえる。
【0147】
第1に、500MeVPS(■、●)は従来のサイクロトロンでは到達できないエネルギー領域をカバーする。即ち、従来の特定の重イオンを加速できる高周波線形加速器入射33(○)であっても、高周波線形加速器17bの加速距離及びサイクロトロン用電磁石の物理的限界により、加速できるイオンに制限があり、また前記物理的限界により到達できるエネルギーレベルにも限界がある。加速可能なイオンは、陽子からTaまでであり、その到達エネルギーも格子当たり7~50MeVまでである。
【0148】
一方、AVFサイクロトロン入射33a(□)では、高周波線形加速器入射33(○)よりも、陽子のような軽いイオンであれば、ある程度の高いエネルギーレベル(約200MeV)程度までイオンを加速することが可能であるが、やはり入射器の制限から加速可能なイオンはCu、Znまである。
【0149】
第2に、改良12GeVPSでは全てのイオンを核子当たり約4GeV以上のエネルギーまで高めることができる。
【0150】
従って、本発明である全種イオン加速器1を用いることで、従来のサイクロトロン、高周波シンクロトロン35では、不可能であった重イオンを含む全種イオンを任意のエネルギーレベルまで容易に高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明である全種イオン加速器1は上記効果が得られることから、最近癌治療用に供給されるようになった炭素線だけではなく、任意の電価状態の更に重い重イオンを供給できるので、粒子線癌治療の対象部位が大幅に増すと共に、治療法の自由度が広がると考えられる。また医療用RIの製造、短寿命核による放射化分析及び半導体損傷試験の幅が大幅に広がる。さらに宇宙空間で用いる衛星に搭載される各種電子機器の重イオン宇宙線による損傷予測のための地上試験が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明である全種イオン加速器の全体構成図である。
【図2】誘導加速セルの断面図である。
【図3】誘導加速セル及び閉込用及び加速用インテリジェント制御装置の模式図である。
【図4】誘導加速装置の等価回路である。
【図5】閉込用誘導加速セルによってイオンビームを閉じ込める様子を示す図である。
【図6】誘導加速セルによってイオンビームを加速させる様子を示す図である。
【図7】誘導加速セルによるイオンビームの断片的閉じ込め及び加速させる様子を示す図である。
【図8】3連の誘導加速セルによる閉じ込めと加速制御を示す図である。
【図9】各種イオンを加速した場合の到達エネルギーレベルを表す図である。
【図10】従来の高周波シンクロトロン複合体一式の全体構成図である。
【図11】高周波シンクロトロンの位相安定性原理を示す図である。
【図12】現行のKEK500MeVPSによって加速した場合の各種イオンの入射から加速終了までの周回周波数変化(推定)を示す図である。
【符号の説明】
【0153】
1 全種イオン加速器
2 誘導加速シンクロトロン
3 イオンビーム
3a バンチ
3b バンチ中心
3c バンチ頭部
3d バンチ尾部
3e スーパーバンチ
4 真空ダクト
4a 設計軌道
5 偏向電磁石
6 収束電磁石
7 バンチモニター
7a 通過シグナル
7b 通過シグナル
8 位置モニター
8a 位置シグナル
9 閉込用誘導加速装置
9a 伝送線
9b 閉込用スイッチング電源
9c DC充電器
9d 電圧モニター
9e 誘導電圧シグナル
10 閉込用誘導加速セル
10a 内筒
10b 外筒
10c 磁性体
10d 絶縁体
10e 電場
10f パルス電圧
10g 1次電流
10h 端部
10i 加速ギャップ
10j シール
11 閉込用インテリジェント制御装置
11a 閉込用ゲート信号パターン
11b 閉込用パターン生成器
11c 閉込用ゲート親信号
11d 閉込用デジタル信号処理装置
12 加速用誘導加速装置
12a 伝送線
12b 加速用スイッチング電源
12c DC充電器
12d 電圧モニター
12e 誘導電圧シグナル
13 加速用誘導加速セル
14 加速用インテリジェント制御装置
14a 加速用ゲート信号パターン
14b 加速用パターン生成器
14c 加速用ゲート親信号
14d 加速用デジタル信号処理装置
15 入射装置
16 イオン源
16a 輸送管
17 前段加速器
17a 輸送管
17b 高周波線形加速器
18 入射機器
19 出射装置
20 出射機器
20a 輸送管
21 イオンビーム利用ライン
21a 施設
21b 実験装置
22 閉込用誘導加速装置の等価回路
23 バンクコンデンサー
23a 第1スイッチ
23b 第2スイッチ
23c 第3スイッチ
23d 第4スイッチ
24 マッチング抵抗
25 周回時間
26 負のバリアー電圧
26a 印加時間
26b 負のバリアー電圧
26c 負のバリアー電圧
26d 負のバリアー電圧
26e 負のバリアー電圧
26f 合計の負のバリアー電圧
26g バリアー電圧値
26h バリアー電圧値
27 正のバリアー電圧
27a 印加時間
27b 正のバリアー電圧
27c 正のバリアー電圧
27d 正のバリアー電圧
27e 正のバリアー電圧
27f 合計の正のバリアー電圧
27g バリアー電圧値
27h バリアー電圧値
28 加速電圧
28a 印加時間
28b 加速電圧
28c 加速電圧
28d 加速電圧
28e 加速電圧
28f 加速電圧
28g 印加時間
28h 加速電圧値
29 リセット電圧
29a 印加時間
29b リセット電圧
29c リセット電圧
29d リセット電圧
29e リセット電圧
29f 合計のリセット電圧
29g リセット電圧値
30 バリアー電圧発生間隔
31 同極のバリアー電圧発生間隔
32 バンチ間隔
33 高周波線形加速器入射
33a AVFサイクロトロン入射
34 高周波シンクロトロン複合体一式
35 高周波シンクロトロン
35a 位置モニター
35b ステアリング電磁石
36 高周波加速装置
36a 高周波加速空洞
36b 制御装置
37 高周波
37a 加速電圧
37b 中心加速電圧
37c 頭部加速電圧
37d 尾部加速電圧




図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11