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明細書 :制振用ブロックおよびその施工方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4383571号 (P4383571)
公開番号 特開2000-240087 (P2000-240087A)
登録日 平成21年10月2日(2009.10.2)
発行日 平成21年12月16日(2009.12.16)
公開日 平成12年9月5日(2000.9.5)
発明の名称または考案の名称 制振用ブロックおよびその施工方法
国際特許分類 E02D  31/08        (2006.01)
FI E02D 31/08
請求項の数または発明の数 9
全頁数 15
出願番号 特願平11-047114 (P1999-047114)
出願日 平成11年2月24日(1999.2.24)
審査請求日 平成17年10月21日(2005.10.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
【識別番号】596004761
【氏名又は名称】イノアックエラストマー株式会社
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000134903
【氏名又は名称】株式会社ニシヤマ
発明者または考案者 【氏名】上小澤 秀夫
【氏名】鈴木 実
【氏名】伊藤 幹彌
【氏名】御船 直人
【氏名】高瀬 直輝
【氏名】羽矢 洋
【氏名】西村 昭彦
【氏名】行武 治彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100076048、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 喜幾
審査官 【審査官】河原 英雄
参考文献・文献 特開昭50-037209(JP,A)
特開平08-074272(JP,A)
特開昭49-085807(JP,A)
特開昭50-009908(JP,A)
特開昭55-009971(JP,A)
特開平02-108730(JP,A)
特開平09-268570(JP,A)
特開平08-092989(JP,A)
特開平06-073740(JP,A)
特開平06-306876(JP,A)
特開平08-060689(JP,A)
特開平06-182779(JP,A)
調査した分野 E02D 31/00 - 31/14
E02D 27/00 - 27/52
特許請求の範囲 【請求項1】
多数の弾性体細片を所要形状に成形したブロック(10,18)を、外部振動源からの振動の伝播経路に位置する地盤(G)に開削した溝(58)に層状に埋設し、この埋設ブロック層(K)により前記振動の伝播を低減させるようにした制振用ブロックにおいて、
前記ブロック(10,18)への土砂等の侵入防止機能と前記振動の低減機能とを併有する機能領域(14)を該ブロック(10,18)の所要の表面に付帯させると共に、
これらブロック(10,18)を整列的に積層した際に、上下の関係で相互に連通し合う貫通孔(28)を夫々のブロック(10,18)に形成し、
前記貫通孔(28)の内部に中空パイプ状の緩衝部材(30)を設けた
ことを特徴とする制振用ブロック。
【請求項2】
前記ブロック(10,18)の上面に突設した複数の突設部(32)と、該ブロック(10,18)の下面に穿設されて、前記突設部(32)との対応的な嵌入を許容する複数の凹部(34)とからなる係合部(26)を備え、突設部(32)および凹部(34)の間を貫通するように前記貫通孔(28)が穿設される請求項1記載の制振用ブロック。
【請求項3】
前記緩衝部材(30)は、スポンジ状のものが用いられる請求項1または2記載の制振用ブロック。
【請求項4】
前記弾性体細片を、湿分硬化型樹脂または熱硬化型樹脂で接着して成形した請求項1~の何れか一項に記載の制振用ブロック。
【請求項5】
前記機能領域(14)は、前記ブロック(10,18,24)の制振材本体(12)を構成する個々の弾性体細片より小さい寸法の弾性体細片で形成した表面層である請求項1~の何れか一項に記載の制振用ブロック。
【請求項6】
前記機能領域(14)は、土砂等の侵入を防止し得る密度のスポンジシートまたはソリッドシートであって、該シートが前記ブロック(10,18,24)の制振材本体(12)の表面に接着される請求項1~の何れか一項に記載の制振用ブロック。
【請求項7】
前記ブロック(10,18,24)の制振材本体(12)を構成する個々の弾性体細片は、ゴムチップである請求項1~の何れか一項に記載の制振用ブロック。
【請求項8】
多数の弾性体細片を所要形状に成形してなるブロック(10,18)を、外部振動源からの振動の伝播経路に位置する地盤(G)に開削した溝(58)に層状に埋設することで、前記振動の伝播を低減させ得る埋設ブロック層(K)の施工方法において、
これらブロック(10,18)を整列的に積層した際に、上下の関係で相互に連通し合う貫通孔(28)を形成したブロック(10,18)を使用し、
最下層となる前記ブロック(10,18)の貫通孔(28)にガイド棒(36)を内挿し、
次いで該ブロック(10,18)に上積みされるべき別のブロック(10,18)の貫通孔(28)を前記ガイド棒(36)に外挿し、
前記ガイド棒(36)に沿って上積みされるべきブロック(10,18)を順次挿入させる積層作業を行ない、
前記埋設ブロック層(K)が設置された前記溝(58)を埋め戻した後に、前記貫通孔(28)から前記ガイド棒(36)を抜き取り、該貫通孔(28)に前記弾性体細片または土砂(D)を充填するようにした
ことを特徴とする埋設ブロック層の施工方法。
【請求項9】
前記貫通孔(28)の内部に、中空パイプ状の緩衝部材(30)を設けた請求項記載の埋設ブロック層の施工方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ゴムを制振材とする制振用ブロックと、その該ブロックの施工方法に関し、更に詳細には、鉄道や道路等の陸上交通路から列車や自動車等の車両が通行するに際し発生する振動の伝播を低減させる制振用ブロックおよびその施工方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来技術】
特開平9-248587号公報に記載されているように、従来、鉄道や道路などの陸上交通路の周辺においては、列車や自動車等の車両の走行に伴って発生する振動が大きな問題となり、この振動を低減することが課題となっていた。前記振動を低減するための対策としては、▲1▼走行する車両自体や走行路である軌道または構造物に施す発生源対策、▲2▼振動が伝播する地盤等に施す伝播路対策、▲3▼振動を受ける家屋等に施す受信部対策の3つがある。
【0003】
このうち、前記伝播経路対策としては、一般に振動発生源と受信部との中問部の地盤中に振動を遮断し得る構造物、例えば地中壁を構築する方法が採用されていた。前記地中壁としては、鋼矢板を連接させて構成した鉄製のもの、コンクリート壁、予め地中に溝を堀削して、該堀削溝内に所要形状に形成された発泡スチロール樹脂(以下EPSとする)を積層して壁状構造として用いるもの等が知られており、何れも一定の振動遮断効果が確認されている。
【0004】
しかるに前述した各地中壁は何れの方式であっても、工事単価が高く、長距離に亘って施工が必要となる鉄道および道路等では、全体の工事費が莫大な額となるという問題が指摘される。また鋼矢板を用いる方式では、鋼材が腐食する畏れがある。一方、EPSを用いる方式では、地中内の圧力等により形状を保持できず粉砕される畏れがある。また耐熱および耐薬品性が低く、事故に伴う火災、薬品等の流出に対して非常に脆く、不安定であり実用的でないことも指摘される。
【0005】
前記欠点を克服するため、制振材として、例えば古タイヤの破砕屑やタイヤ製造工程上不要物として排出されるゴム屑等の所謂ゴムチップを利用した制振用ブロックにより地中壁を形成する方法が提案されている。前記制振用ブロックは前記ゴムチップを、不織布または織布を裁断、袋形状に形成した容器内に所定量収納して該布を縫製して略直方体に成形することで製造される。そして、図19に示す如く、鉄道用レール52からの振動を地盤Gに伝達しないよう、擁壁54(一般的にはコンクリート製)および盛土56の間や、該擁壁54および地盤Gの間に土中壁としての埋設ブロック層Kを、例えば人力積みまたは後述する機械による積層法によって設置するものである。
【0006】
前記埋設ブロック層Kを機械を用いて積層する設置方法について述べると、図20(a)に示す如く、地盤Gおよび盛土56の所定位置(図20の場合、コンクリート擁壁54に隣接する位置であって振動伝播路上)に溝58を開削する。この溝58を開削するには、公知の堀削方法が用いられ、必要に応じて土留めやケーシングを施す。また図20(b)に示すように、予めコンクリートパネル(以下コンパネという)60等の型枠に前記制振用ブロック50を密着的に並べた状態で取り付けて一体化させることで前記埋設ブロック層Kを形成する。この場合に制振用ブロック50の形状は、コンパネ60を立設した際に安定的にされるよう直方体形状が一般に推奨される。
【0007】
次にクレーン等の重機を使用して、前記埋設ブロック層K(に一体化した複数の制振用ブロック50)を前記溝58内に吊り下げて載置し、倒れ防止のために鉄筋62で補強することで立設させる(図20(c)参照)。そして埋設ブロック層K表面の露出側にコンクリートCを流し込む(図20(d)参照)。最後に前記制振用ブロック50を立設状態に保持していたコンパネ60および鉄筋62を取り除き、これにより生じた空隙へ土砂Dを埋め戻すことで設置を完了する(図20(e)参照)。このように振動伝播経路を遮え切る形で埋設ブロック層Kが施工され、この埋設ブロック層Kを構成する制振用ブロックはゴムチップを材質としているので、該ゴムチップの弾性変形やズレ移動等によって振動を有効に吸収し制振機能を発揮する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述した方法で制振用ブロックの埋設層を施工する場合、流し込んだコンクリートや溝を埋め戻すのに使用した土砂が、該制振用ブロックの表面に開口する隙間から該ブロック内部に入り込み、弾性変形やズレ移動を阻害することで制振機能を低減させる欠点がある。
【0009】
また前記制振用ブロックを積層状態を保持したまま埋設するために、コンパネ等の型枠を別途利用しているので、ブロックを該型枠に取り付けたり、土砂Dの埋め戻し前に該型枠を取り除いたりする必要があり、多くの繁雑な作業を必要とする欠点を内在している。
【0010】
更に、制振用ブロックからなる埋設ブロック層Kを立設状態に保持しているコンパネおよび鉄筋を取り除いた後には、該埋設ブロック層Kを立設状態に保持する手段がなくなってしまうので、積層状態にある制振用ブロックが溝内で崩れてしまう危険性がある。殊に、最近はより高い制振効果を得るべく相当の深さまで溝を開削し、ここに制振用ブロックを施す工事も行なわれるので、該ブロックが崩れた場合の作業ロスは大きなものとなる。また溝内に作業者が入って作業している場合は、制振用ブロックの崩壊に巻き込まれ重大な事故となる危険性が指摘される。
【0011】
【発明の目的】
この発明は、従来技術に係る制振用ブロックおよびその施工方法に内在していた問題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、ゴムチップから構成される制振用ブロックにより埋設ブロック層を形成するに当たり、この制振用ブロック全面または当該側面に土砂等の侵入を防止すると共に振動を低減させる機能領域を配することにより、該制振用ブロック内への土砂およびコンクリート等の流入を防止することで制振機能を損なわない制振用ブロックを提供すると共に、施工時の簡便性および安全性を向上させる施工方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明に係る制振用ブロックは、
多数の弾性体細片を所要形状に成形したブロックを、外部振動源からの振動の伝播経路に位置する地盤に開削した溝に層状に埋設し、この埋設ブロック層により前記振動の伝播を低減させるようにした制振用ブロックにおいて、
前記ブロックへの土砂等の侵入防止機能と前記振動の低減機能とを併有する機能領域を該ブロックの所要の表面に付帯させると共に、
これらブロックを整列的に積層した際に、上下の関係で相互に連通し合う貫通孔を夫々のブロックに形成し、
前記貫通孔の内部に中空パイプ状の緩衝部材を設けたことを特徴とする。
【0014】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本願のまた別の発明に係る埋設ブロック層の施工方法は、
多数の弾性体細片を所要形状に成形してなるブロックを、外部振動源からの振動の伝播経路に位置する地盤に開削した溝に層状に埋設することで、前記振動の伝播を低減させ得る埋設ブロック層の施工方法において、
これらブロックを整列的に積層した際に、上下の関係で相互に連通し合う貫通孔を形成したブロックを使用し、
最下層となる前記ブロックの貫通孔にガイド棒を内挿し、
次いで該ブロックに上積みされるべき別のブロックの貫通孔を前記ガイド棒に外挿し、
前記ガイド棒に沿って上積みされるべきブロックを順次挿入させる積層作業を行ない、
前記埋設ブロック層が設置された前記溝を埋め戻した後に、前記貫通孔から前記ガイド棒を抜き取り、該貫通孔に前記弾性体細片または土砂を充填するようにしたことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る制振用ブロックおよびその施工方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、図19および図20で説明した従来の施工方法に既出の部材については、同じ符号で示すものとする。
【0021】
【第1発明の実施例】
本発明の好適な第1実施例に係る制振用ブロック10は、図1に示す如く、予め5~10mm程度に破砕加工された弾性体細片としてのゴムチップを後述する方法で接着・成形した制振材本体12と、土中に埋設した際に土砂またはコンクリート等に接触する該制振材本体12の両側面に備えられる機能領域14とから基本的に構成される。この機能領域14は、後に更に詳述するが、制振用ブロック10の制振材本体12へ土砂等が侵入するのを防止する機能と、振動の吸収による低減機能とを併有する部材である。また本実施例では、弾性体細片としてゴムチップを好適に利用しているが、他にTPO,TPUまたはTPEに代表される熱可塑性エラストマーを採用してもよい。
【0022】
前記制振材本体12の1つの対向する面の所定位置には、該対向面間を貫通(この図1において上下方向)する複数の貫通孔28(本実施例では2個)が穿設されている。この貫通孔28には、後述する制振用ブロック10による埋設ブロック層Kの形成・施工時に金属を材質とするガイド棒36が内挿され、該ガイド棒36を案内部材として、前記制振用ブロック10を順次落下させ積層させ得るようになっている。すなわち前記貫通孔28およびガイド棒36は、制振用ブロック10同士の積層を容易にするものであり、同時に前記制振用ブロック10から形成される埋設ブロック層Kを自立状態に保持し得るものである。前記制振材本体12を形成するゴムチップの大きさは、制振用ブロック10として成形した際に形状を保持できる程度であれば殊に限定されないが、その大きさが5mm以下であると、予め施される破砕工程で時間および手間がかかりコストが増大するので好ましくない。
【0023】
前記機能領域14は、前記制振用ブロック10から埋設ブロック層Kを形成した際に、前記制振材本体12内に土砂またはコンクリート等が侵入して前述した制振機能が低下することを防止するために設けられるものである。そしてこの機能領域14として、前記制振材本体12を形成するゴムチップより小さい2mm程度のゴムチップから成形される表面層や、土砂および流動状態にあるコンクリートの侵入を防止し得る密度であって、前述したゴムまたは熱可塑性エラストマーを材質としたスポンジシートまたはソリッドシートが好適に使用される。
【0024】
前記ゴムチップから成形される表面層は、ゴムチップの大きさに相違があっても前記制振材本体12と同じ材質であるので制振機能を阻害することはない。このような小径のゴムチップを使用することで、前記表面層に形成される空隙寸法は充分に小さなものとできるので、土砂等の流動性が小さいものや粒径の大きなものの場合は前記制振材本体12内への流入は防止し得るものであり、前記ゴムチップ径が2mm以下であればより好ましい。またこの表面層は、前記制振材本体12の成形後に後付けしたり、同時に一体成形したりすることで取り付けられる。
【0025】
前記スポンジシートまたはソリッドシートは、その材質としてEPDM(エチレンプロピレンジエン三元共重合体)またはNBR(アクリルニトリルブタジエンゴム)等が好適である。前記スポンジシートの場合、土砂またはコンクリートの流入の防止効果を向上させるために、スポンジを形成する泡が独立している所謂独立泡であるものが好適に使用される。このシートは、前記表面層に較べて目が細かく、かつ材質として前述したゴム等の弾性体が好適に使用されているので、該表面層に較べて更に高い物質遮断性と、同様の制振性を発揮し得るものである。また表皮(所謂スキン層)を加工して発泡層を露出させた状態で使用すると、土砂等との接触度が高くなり更なる制振機能が期待できる。前記スポンジシートまたはソリッドシートの材質として、他にNR(天然ゴム)、CR(クロロブレンゴム)または樹脂シート等の選択肢が考えられるが、NR(天然ゴム)の場合、土中に埋設するとバクテリアにより生物分解され、CR(クロロブレンゴム)の場合は火災時に不完全燃焼によるダイオキシンに代表される有害物質の生成等の問題が指摘され、また樹脂シートの場合には、一般的に硬度が高く制振効果が期待できず、弾性を有する樹脂シートの場合は高価であり、何れも本発明の用途には適さない。
【0026】
本実施例においては機能領域14を、制振材本体12における土砂またはコンクリートに接触する夫々の側面に配置するようにしたが、殊にこれに限定されるものではなく、側面全周に亘ってまたは全面に亘って配置するようにしてもよい。
【0027】
また前記貫通孔28の内部に、図2に示す如く、中空パイプ状の緩衝部材30を設けてもよい。この緩衝部材30は、後述する施工方法によって制振用ブロック10をガイド棒36(後述)に沿って落下させた際に該本体12を構成するゴムチップが剥がれることを防止し得る効果を有する。前記緩衝部材30としては、樹脂またはゴム等を材質として、衝撃吸収および制振性に優れるスポンジ状のものが好適である。
【0028】
【第1発明の実施例に係る制振用ブロックの施工方法】
次に第1実施例に係る制振用ブロックの施工方法を説明すると、図3に示す如く、予め開削された溝58の埋設ブロック層Kを埋設する所定位置に制振用ブロック10を並列的に載置する(図3(a)参照)。そして前記制振用ブロック10の各貫通孔28にガイド棒36となる金属棒を内挿する(図3(b)参照)。このとき使用される金属棒は、その外径が前記貫通孔28に内挿し得る程度に、長さが前記溝58と略同等以上に設定される。
【0029】
次に溝58の底部に載置して土台となっている各制振用ブロック10の上に、前記ガイド棒36を案内部材として上方から制振用ブロック10を落下させ、該ガイド棒36に積層させるブロック10の貫通孔28を外挿させることで順次積層させていく。このとき1段目を構成する各制振用ブロック10と、2段目を構成する各制振用ブロック10とは、図3(c)に示す如く、位置をずらした状態に積層させていく。このように積層させてゆけば、並列的に載置される各制振用ブロック10の並列方向の補強になると共に、該制振用ブロック10の落下積層時に関与しない隣接するガイド棒36を固定することで、ブロック落下時の衝撃によるズレを防止し得る(例えば図3(c)において、Bの制振用ブロック10を落下させるとき、2つのbのガイド棒36,36は該Bの制振用ブロック10を通すため固定状態とすることが困難であるが、Bの制振用ブロック10に隣接する2つのaのガイド棒は36,36を固定することで、下段のAの各制振用ブロック10,10を固定し得る)。
【0030】
このようにして前記溝58の所定位置に埋設ブロック層Kを形成したら、従来の施工方法と同様に、またはガイド棒36を固定することで該埋設ブロック層Kの立設状態に支持しつつ土砂DまたはコンクリートC等を該溝58内に順次注入すればよい。前記ガイド棒36は、土砂DまたはコンクリートCの注入により埋設ブロック層Kの倒壊危険性が無くなった時点で抜き取る。そして残った各貫通孔28に、制振用ブロック10を構成するゴムチップを充分に充填することで完了する。前記ガイド棒36が前記貫通孔28に挿入されたままだと、制振機能が低下してしまい、また該ガイド棒36を抜き取った貫通孔28にゴムチップを充填せずに中空状態としておくと、制振機能が発揮されないだけでなく該貫通孔28部分の強度が充分でなく制振用ブロック10自体が振動によって破壊される危険性が指摘される。また前記貫通孔28に充填する充填物質として土砂等を利用することも考えられる。
【0031】
前述の施工方法では、制振用ブロック10を順次ガイド棒36の案内で落下させて埋設ブロック層Kを形成したが、図4に示す如く、予め地上で所定数の前記制振用ブロック10をガイド棒36を用いて積層させた後に、前記溝58内に設置してもよい。
【0032】
【第1発明の別の実施例】
前述した実施例に係る制振用ブロック10は、複数の貫通孔28を穿設することで施工時の安全性およ簡便性を確保したが、別の実施例に係る制振用ブロック16は、図5に示す如く、制振材本体12の一方の面上に複数(本実施例では2つ)の突設部32を、対向する他方の面に該突設部32が嵌合し得る複数の凹部34を夫々設けることで複数の制振用ブロック16を積層させて埋設ブロック層Kを容易に形成し得るようにしたものであり、前記制振材本体12の両側面に機能領域14が備えられている。すなわち前述の実施例に係る制振用ブロック10の貫通孔28に替わって突設部32および凹部34が設けられ、この突設部32および凹部34が係合部26としての役割を果たす構成となっている。
【0033】
このブロック16を使用しての埋設ブロック層Kの形成は、溝58の所定位置に突設部32を上方に向けて該ブロック16を載置し、該突設部32に次のブロック16の凹部34を係合させるように順次積層させていくことで行なわれる。前述の実施例と違ってガイド棒36等の別部材を用意する必要がないので、更に簡便に埋設ブロック層Kを形成し得る。
【0034】
【第1発明の更に別の実施例】
本実施例に係る制振用ブロック18は、図6に示す如く、前述した2つの実施例の双方の構成を具備するもので、制振材本体12の一方の面上に複数(本実施例では2つ)の突設部32と、対向する他方の面に該突設部32が嵌合し得る複数の凹部34とを夫々設けると共に、該突設部32および凹部34の間を貫通するように貫通孔28が穿設されているものである。そして前述の2つの実施例と同様の施工方法によって施工されるものである。
【0035】
前述した何れの実施例においても、制振材本体12に設けられる貫通孔28、突設部32および凹部34の数量、大きさおよび形状等は殊に定まっておらず、形成される埋設ブロック層Kの高さ、制振用ブロックの重量ならびに施工される溝58の位置および大きさ等の要素によって適宜好適なものが選択される。
【0036】
【第2発明の実施例】
第2発明の好適な実施例に係る制振用ブロック20は、該制振用ブロック20の何れかの側面側にコンクリートCを注入して、埋設ブロック層Kを形成する場合に好適に採用される形式のものであり、図7に示す如く、基本的には前述した各実施例の制振用ブロックと同様の構成を有している。そしてコンクリートCが流し込まれる側面に機能領域14を介して略Z字形状のアンカー部材38が設けられている。このような構成とすることで、前述した第1発明と同様の施工方法実施時において、図8に示す如く、コンクリートCが流し込まれる側に前記アンカー部材38が突設されるように制振用ブロック22を載置、積層させていき、該ブロック20を硬化したコンクリートCに対して固定するものである。このようにコンクリートCに固定された制振用ブロック20から形成される埋設ブロック層Kは、倒壊することが無いので以後の作業を安全に行なえるものである。
【0037】
この実施例の形式であると、前記アンカー部材38が制振用ブロック20の側方より突出した構成となるが、該アンカー部材38を、図9に示す如く、基礎部38aと係止部38bと分離可能に構成するようにしてもよい。この場合、前記基礎部38aおよび係止部38bを、制振用ブロック20側面に合わせて分離できるようにすれば、該制振用ブロック20の運搬時には余分な係止部分が無くなり、取扱性が向上する効果を奏する。また前記基礎部38aおよび係止部38bの接合部については、例えば一方に雄ネジ部を設け、他方に雌ネジ部を設けるようにして、必要な機械的強度を満たすよなものであればどのような形式のものでも採用し得る。
【0038】
【第3発明の実施例】
前述した第2発明の実施例では、埋設ブロック層Kを形成した後にコンクリートCを注入する施工方法に使用し得る制振用ブロック20について述べたが、作業の工程または作業現場によっては埋設ブロック層Kが埋設される溝58のどちらか一方に、予めコンクリートC等から構成される擁壁54が設けられていることが考えられる。このような場合、図10に示す如く、基本的には前記制振用ブロック20と同様で、前記擁壁54側の側面に第1嵌合部41としてのアンカー部材44が設けられた制振用ブロック22が使用される。この制振用ブロック22に配設されるアンカー部材44は、その形状が制振用ブロック20に利用されるアンカー部材38の略Z字形状とは違い、直線的になるよう構成されている。
【0039】
前記制振用ブロック22に突設して設けられる前記アンカー部材44に対応する擁壁54の所定位置には、図11に示す如く、ドリル等の穿設手段Aを用いて予め該アンカー部材44を取付ける第2嵌合部42としての取付孔45を穿設しておき(図11(a)参照)、この取付孔45にグリップ部材46を介してアンカー部材44を挿入することで、制振用ブロック22を擁壁54に対して固定するものである(図11(b)参照)。ここで前記アンカー部材44は、前記擁壁54に対して垂直に挿入されるようになっているが、該アンカー部材44の取付角度およびこれに対応する前記取付孔45の穿設角度は殊にこれに限定されるものではなく、例えば若干下方向に傾斜していてもよい。この場合、該擁壁54への取付が容易になる効果を奏する。
【0040】
前記アンカー部材44としては、前述したようなグリップアンカーが好適に使用され、グリップ部材46を介して制振用ブロック22を物理的に擁壁54に対して固定されるものである。このとき必要に応じて擁壁54への嵌合部となる取付部44bにエラストマー系の接着剤を用いて取付固定強度を向上させるようにしてもよい。また制振材本体12に埋込まれる基礎部44aは、完全に固定されて抜けないよう構成されており、好適には該制振用ブロック22の製造時に同時に埋込んで製造される(製造方法は後述)。ここでは制振用ブロック22の取付固定にグリップアンカーを使用しているが、このグリップアンカーに換えて、取付孔45とアンカー部材44との間に樹脂を充填させて、該樹脂の充填固化による機械的な結合力を用いる所謂ケミカルアンカーも好適に採用し得る。更に前述の制振用ブロック20に採用されるアンカー部材38と同様に、本実施例に採用されるアンカー部材44も基礎部44aと係止部44bと分離可能に構成するようにしてもよい。
【0041】
【第3発明の別の実施例】
また図12に示す如く、前記制振用ブロック22に突設されるアンカー部材44に換えて、取付部48を穿設し、前記擁壁54に穿設される取付孔45に換えて突設部材47を設けるようにしてもよい。すなわち第1嵌合部41および第2嵌合部42の嵌合、被嵌合を入替えた構成であり、図13に示す如く、埋設ブロック層Kをビル等の防振対象物に隣接させて埋設・施工する場合等に好適に利用される。この場合、前記ビル等の構造物の土台部が擁壁54に相当し、そしてこの土台部の製作時に使用される型枠の形状維持のために用いられて、該土台部完成時に突出した形で残っているセパレータ(所謂支持部材)が突出部材47として利用される(図13(a)参照)。そして前記突設部材47を取付部48に嵌合させ、制振用ブロック22を擁壁54に順次取付けることで埋設ブロック層Kを形成する(図13(b)参照)。この際、必要に応じて前記突設部材47および取付部48に対してエラストマー系の接着剤を付与し、取付固定強度を向上させるようにしてもよい。
【0042】
前述の土中に製作されるビル等の土台部に隣接させて、本実施例の制振用ブロック22を配置する場合、該土台部の製作時に必要不可欠であるセパレータを突出部材47として利用し得るので、通常の土台部製作時に不可欠である該セパレータの除去作業等が不要となり、作業工程を簡易化する効果も期待できる。このほか埋設ブロック層Kの設置作業の状況または条件等により、制振用ブロック側に突設部材を備えることができない際に、この嵌合、被嵌合を入替えた構成が好適に採用される。
【0043】
本第3発明に係る各実施例において、擁壁54と接する側にも機能領域14が設けられているが、既に硬化養生完了後のコンクリートC等から構成された擁壁54の場合、制振用ブロック22の制振材本体12内に該コンクリートCが侵入して制振機能を阻害することがないので、擁壁54側の機能領域14については必須ではない。また各嵌合部41,42として設けられる各部材44,45,47および48の数量は、擁壁54への固定状態や、埋設ブロック層Kの深さ等の設置要因によって適宜好適なものが採用される。
【0044】
この第3発明に関して、図14に示す如く、第1嵌合部41として取付部48を、第2嵌合部42として取付孔45を夫々設け(図14(a)参照)、これら取付部48および取付孔45に夫々内挿することで、嵌合固定し得る連結嵌合部材80を用いて前記制振用ブロック22を擁壁54に対して固定してもよい(図14(b)参照)。ここで前記制振用ブロック22を擁壁54に穿設される取付部48および取付孔45の深さ方向の長さの合計は、前記連結嵌合部材80の長さと略同等になるように設定され、固定強度から該取付部48および取付孔45の夫々の深さ方向の長さも略同等とすることが望ましい。また前記連結嵌合部材80の材質としては、嵌合固定を維持し得るものであれば、殊に限定されるものではなく、更に制振機能を向上させるべくスポンジ状の緩衝材等で、該連結嵌合部材80の周り全体を覆うようにしてもよい。
【0045】
【第4発明の実施例】
また図15に示す如く、前記第1嵌合部41に換えて擁壁54側面に接着手段49を備えるようにした制振用ブロック24を用いてもよい。すなわち図16に示す如く、前記接着手段49が有する接着力により前記制振用ブロック24を擁壁54に固定し、埋設ブロック層Kを溝58内に形成・施工するものである。この場合も、前述の第3発明の各実施例と同様に、すでに擁壁54が設けられている場合に採用される発明であるので、擁壁54側の機能領域14については必須ではない。
【0046】
ここで採用される接着手段49としては、被接着表面状態が粗い場合であっても、充分な追従性を発揮すると共に、コンクリート製の擁壁54に対して化学的にも接着可能であるブチル両面テープが好適に使用される。前記ブチル両面テープは、ゴムチップと同様に制振機能も併せ持つので、更に高い制振性が期待できる。また前記接着手段49は、対応する側面全面に亘って貼付する必要はなく、前記制振用ブロック24が擁壁54に接着され、剥がれ落ちない程度に貼付されていればよい。他に直接接着剤を塗布する方法も考えられるが、この場合、制振効果が期待できず、かつ該接着剤の塗布に時間が必要となるので実用的ではない。また本実施例では擁壁54として、一般的なコンクリート製のものを例示しているが、他の材質を用いた擁壁54であっても接着手段49の利用は可能である。
【0047】
【製造方法の一例】
本発明で用いられる弾性ブロック体は、例えば図17に示すような、特開平6-182779号公報に開示の弾性ブロックの成形方法で用いられる製造装置70を使用して製作される。第1発明の実施例に係る制振用ブロックを例にとって説明すれば、該ブロックの型枠72を製造装置70内部に設置し、該型枠72内の空隙に、予め破砕される等して粒度の調整されたゴムチップと、湿分硬化型接着剤とを混合してなる混合物Mを充填する。そして前記混合物Mに対して水蒸気Sを導入し、該混合物M中の湿分硬化型接着剤を硬化させることにより、所望形状の制振用ブロックを形成するものである。
【0048】
その他に制振材本体12内に緩衝部材30を介在させた制振用ブロックの製造方法としては、図18に示す如く、予め制振用ブロックの貫通孔28となる部位に、挿入されるガイド棒36と同一寸法のダミー体74に緩衝部材30を巻き付けるか、または外挿することで取付けると共に、該貫通孔28と外形寸法を同一に設定した準備体76を前記製造装置70内部の型枠72の所定位置に固定すると共に、前記混合物Mを充填する。そして前記混合物Mに対して水蒸気Sを導入し、該混合物M中の湿分硬化型接着剤を硬化させることにより、所望形状の制振用ブロックを形成する方法が挙げられる。
【0049】
この前述の成形方法においては、ゴムチップの接着・成形に湿分硬化樹脂を使用したが、この湿分硬化型樹脂の代わりに熱硬化型樹脂を採用し、公知の熱プレス法によって加圧下で熱を供給する方法で前記制振用ブロックを成形してもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明に係る制振用ブロックおよびその施工方法によれば、振動源から到来する振動の伝播を防止する制振用ブロックを構成するゴムチップの空隙に、土砂およびコンクリート等が侵入しないように機能領域を設けたので、該ゴムチップの弾性変形およびズレ移動が阻害されなくなり、制振効果の低減を防止し得る特徴を有する。また複数の制振用ブロックを積層する作業を容易にし、かつ埋込前の積層状態にある埋設ブロック層の倒壊を防止し得る等の有益な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明の実施例に係る制振用ブロックを一部切り欠いて示す概略斜視図である。
【図2】図1に示した制振用ブロックの貫通孔に緩衝部材を組み込んだ制振用ブロックの改良例を一部を切り欠いて示す概略斜視図である。
【図3】第1発明の実施例に係る制振用ブロックの施工方法の手順を示す工程図である。
【図4】第1発明の実施例に係る制振用ブロックの別の施工方法を概略斜視図である。
【図5】第1発明の別の実施例に係る制振用ブロックを示す概略斜視図である。
【図6】第1発明の更に別の実施例に係る制振用ブロックを一部切り欠いて示す概略斜視図である。
【図7】第2発明の実施例に係る制振用ブロックを示す概略斜視図である。
【図8】図7に示した制振用ブロックから埋設ブロック層を形成した際のアンカー部材の状態を示す側面断面図である。
【図9】図7に示した制振用ブロックのアンカー部材を分離可能とした制振用ブロックの改良例を示す概略斜視図である。
【図10】第3発明の実施例に係る制振用ブロックを示す概略斜視図である。
【図11】図10に示した制振用ブロックをコンクリート擁壁に取付ける工程を示す概略図である。
【図12】第3発明の別の実施例に係る制振用ブロックを示す概略斜視図である。
【図13】図12に示した制振用ブロックを土台部(擁壁)に取付けた状態を示す側面断面図である。
【図14】第3発明の第1嵌合部および第2嵌合部に連結嵌合部材を用いて制振用ブロックを擁壁に取付ける工程図である。
【図15】第4発明実施例に係る制振用ブロックを示す概略斜視図である。
【図16】図15に示した制振用ブロックをコンクリート擁壁に接着する状態を示す側面断面図である。
【図17】本発明に係る制振用ブロックを製造する際に、好適に用いられる製造装置の概略縦断面図である。
【図18】本発明に係る制振用ブロックを製造する際に、好適に用いられる製造装置の概略縦断面図である。
【図19】従来技術に係る制振用ブロックを用いた施工方法を示す概略図である。
【図20】図19に示す施工方法の手順を説明する工程図である。
【符号の説明】
10 制振用ブロック
12 制振材本体
14 機能領
8 制振用ブロッ
4 制振用ブロック
26 係合部
28 貫通孔
32 突設部
34 凹部
36 ガイド
9 接着手
8 溝
K 埋設ブロック層
G 地盤
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
19