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明細書 :橋脚の耐震補強工法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4055295号 (P4055295)
公開番号 特開2000-336617 (P2000-336617A)
登録日 平成19年12月21日(2007.12.21)
発行日 平成20年3月5日(2008.3.5)
公開日 平成12年12月5日(2000.12.5)
発明の名称または考案の名称 橋脚の耐震補強工法
国際特許分類 E01D  19/02        (2006.01)
E01D  22/00        (2006.01)
E04G  23/02        (2006.01)
FI E01D 19/02
E01D 22/00 B
E04G 23/02 F
請求項の数または発明の数 4
全頁数 6
出願番号 特願平11-150927 (P1999-150927)
出願日 平成11年5月31日(1999.5.31)
審査請求日 平成17年8月23日(2005.8.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
発明者または考案者 【氏名】岡本 大
【氏名】宮城 敏明
【氏名】冨川 哲
【氏名】玉井 真一
【氏名】佐藤 勉
【氏名】谷村 幸裕
【氏名】稲熊 弘
【氏名】安原 真人
【氏名】吉田 幸司
個別代理人の代理人 【識別番号】100080252、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 征四郎
審査官 【審査官】深田 高義
参考文献・文献 特開平09-228657(JP,A)
特開平09-221719(JP,A)
特開平11-050673(JP,A)
調査した分野 E01D 19/02
E01D 22/00
E04G 23/02
特許請求の範囲 【請求項1】
橋脚の躯体周囲を鋼板により巻き立てて耐震補強する工法において、上記躯体の基部における上記鋼板の外側であって、その橋脚軸に対して直角方向に型鋼を沿設すると共に、該鋼をアンカー鉄筋により上記橋脚のフーチングに定着し、さらに、上記鋼板と型鋼の間に縁切り材を挟設することを特徴とする橋脚の耐震補強工法。
【請求項2】
上記型鋼がH型鋼であることを特徴とする請求項1に記載の橋脚の耐震補強工法。
【請求項3】
上記縁切り材が発泡スチロール等の緩衝材であることを特徴とする請求項1または2に記載の橋脚の耐震補強工法。
【請求項4】
橋脚の躯体周囲を鋼板により巻き立てて耐震補強する工法において、上記鋼板の内側にズレ止め手段を設けたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の橋脚の耐震補強工法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、橋脚の耐震補強工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、既存の鉄筋コンクリート橋脚においては、その躯体周囲を鋼板により巻き立てて耐震補強を施す工法が行われている。しかし、特に図2に示すような壁式鉄筋コンクリート橋脚に鋼板を巻き立てたものにおいては、図2(C)に仮想線で示すように、地震時に鋼板が外側に膨らみ、その結果、橋脚の主鉄筋の座屈が発生し易くなったり、躯体基部のせん断ずれが起き易くなる等の不都合があった。
【0003】
これらの不都合を防止するために、従来、図3(A)に示すように、既設橋脚に貫通孔を開けて貫通ボルトを挿設し、上記巻き立て鋼板の膨らみを防止したり、あるいは、図3(B)に示すように、巻き立て鋼板の下端部にアングルを沿設すると共に溶接して一体化し、さらに該アングルをアンカー鉄筋によりフーチングに固定し、既設橋脚の曲げ耐力を向上させる耐震補強工法があった。
【0004】
しかしながら、上記従来の耐震補強工法のうち貫通ボルトを使用するものにおいては、貫通孔を削孔する際に主鉄筋等を切断してしまう恐れがあるだけでなく、この従来工法では、柱基部のせん断ずれを防止することは出来ない等の問題点があった。また、後者のアングルを溶接する工法では、耐震性能を改善するだけでなく曲げ耐力をも増加させてしまうので、フーチングに比べて躯体の耐震性能が過剰に増強され、その結果、フーチングの補強も必要となってくる等の問題点があった。
【0005】
さらに、上記壁式鉄筋コンクリート橋脚は、一般に、図4に示すように、主鉄筋の段落としを有するものが多いが、このような段落とし橋脚の補強工法として鋼板巻き立てを行う場合、橋脚の躯体コンクリートと巻き立て鋼板の付着が十分でないと、段落とし補強も不完全になる等の問題点もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、躯体に貫通孔を開けたりフーチングの補強をすることなく、主鉄筋の座屈を防止したり、躯体基部のせん断ずれを防止することが可能で、また、段落とし補強を向上せしめることが可能な橋脚の耐震補強工法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の橋脚の耐震補強工法は、橋脚の躯体周囲を鋼板により巻き立てて耐震補強する工法において、上記躯体の基部における上記鋼板の外側であって、その橋脚軸に対して直角方向に型鋼を沿設すると共に、該鋼をアンカー鉄筋により上記橋脚のフーチングに定着し、さらに、上記鋼板と型鋼の間に縁切り材を挟設することを特徴とする。上記型鋼がH型鋼であることも特徴とする。さらに、上記縁切り材が発泡スチロール等の緩衝材であることも特徴とする。
【0008】
また、橋脚の耐震補強工法は、橋脚の躯体周囲を鋼板により巻き立てて耐震補強する工法において、上記鋼板の内側にズレ止め手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。図1(A)(B)において、1は壁式鉄筋コンクリート橋脚であって、主として、壁状の躯体1aと橋座部1bとフーチング1cから構成されている。なお、躯体1aの上端部を橋座部1bとしてもよい。2は巻き立て鋼板であって、上記躯体1の周囲に巻き立てられている。
【0010】
3はH型鋼であって、上記壁式鉄筋コンクリート橋脚1の躯体1aの基部における上記巻き立て鋼板2の外側の橋軸直角方向に沿設されている。図1(C)からも明らかなように、上記H型鋼3は、そのフランジ部3aが垂直方向を、また、ウエブ部3bが水平方向を向くように配向されている。4はアンカー鉄筋であって、上記フーチング1cに定着されており、その上端部は、上記H型鋼3のウエブ部3bを貫通して、ナット4aによりH型鋼3を締め付け固定している。
【0011】
5は発泡スチロールのような緩衝材であって、壁式鉄筋コンクリート橋脚1の躯体1aの基部における上記巻き立て鋼板2と上記H型鋼3のフランジ部3aとの間に挟設されており、鋼板2とH型鋼3を縁切りして、壁式鉄筋コンクリート橋脚1の補強後の曲げ耐力を補強前と変更しないようにしている。その結果、上記フーチング1cを補強する必要がない。
【0012】
また、上記H型鋼3と上記フーチング1cの間の空隙には、充填モルタル6を注入して、上記アンカー鉄筋4の水平方向変形を防止している。
【0013】
図1(D)において、7はズレ止め鉄筋であって、上記巻き立て鋼板2の裏面(橋脚1側)に溶接により一体的に付設されている。なお、該ズレ止め鉄筋7の太さ、長さ、本数、配置方向や密度等は、目的の応じて適宜に選択設定する。橋脚1の躯体1aと巻き立て鋼板2の隙間には充填モルタル8が注入されている。
【0014】
上記実施例では、鋼板2の膨らみを防止する型鋼としてH型鋼3を使用しているが、本発明の型鋼はこれに限定するものではなく、アングル(山型鋼)、L型鋼、溝型鋼等の従来公知の型鋼であって、フーチングに固定可能であればいずれでもよい。
【0015】
また、上記実施例では、鋼板2とH形鋼3との縁切り材として発泡スチロールを使用しているが、本発明はこれに限定するものではなく、H形鋼3と橋脚1との付着をなくして橋脚1の曲げ耐力を強化しない充填材料であればいずれでもよい。
【0016】
さらに、上記実施例では、巻き立て鋼板2のズレ止め手段として、鋼板2の裏面に鉄筋7を溶接すると共に、隙間に充填モルタル8を注入しているが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、鋼板2をプレス加工などにより少なくとも裏側に凹部(コッタ)や凸部を形成する等、鋼板2と充填モルタル8が確実かつ強力に一体化される構成や形状であればいずれでもよい。
【0017】
【発明の効果】
1)橋脚の躯体周囲を鋼板により巻き立てて耐震補強する工法において、上記躯体の基部における上記鋼板の外側の橋軸直角方向に型鋼を沿設すると共に、該形鋼をアンカー鉄筋によりフーチングに定着し、さらに、上記鋼板と型鋼を縁切りするようにしたので、躯体に貫通孔を開けたりフーチングの補強をすることなく、主鉄筋の座屈を防止したり、躯体基部のせん断ずれを防止することが可能である。
2)橋脚の躯体周囲を鋼板により巻き立てて耐震補強する工法において、上記鋼板の内側にズレ止め手段を設けたので、鋼板の橋脚躯体に対する付着を高めその結果、段落とし補強を向上せしめることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐震補強を施した本発明の橋脚の一実施例を示すもので、図1(A)は橋軸方向から見た図、図1(B)は橋軸直角方向から見た図、図1(C)は(B)の範囲イの拡大図、および図1(D)は(B)の範囲ロの拡大断面図である。
【図2】既存の橋脚に巻き立てた鋼板の膨らみの説明図である。
【図3】従来の耐震補強工法の説明図(A)および(B)である。
【図4】段落とし橋脚の配筋説明図(A)および(B)である。
【符号の説明】
1 壁式鉄筋コンクリート橋脚
1a 躯体
1b 橋座部
1c フーチング
2 巻き立て鋼板
3 H型鋼
3a フランジ部
3b ウエブ部
4 アンカー鉄筋
4a ナット
5 緩衝材
6 充填モルタル
7 ズレ止め鉄筋
8 充填モルタル
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3