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明細書 :デジタル情報送信機能付変周式ATS地上子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4140038号 (P4140038)
公開番号 特開2000-351370 (P2000-351370A)
登録日 平成20年6月20日(2008.6.20)
発行日 平成20年8月27日(2008.8.27)
公開日 平成12年12月19日(2000.12.19)
発明の名称または考案の名称 デジタル情報送信機能付変周式ATS地上子
国際特許分類 B61L   3/12        (2006.01)
FI B61L 3/12 C
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願平11-162950 (P1999-162950)
出願日 平成11年6月9日(1999.6.9)
審査請求日 平成17年6月14日(2005.6.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
発明者または考案者 【氏名】新井 英樹
【氏名】佐藤 和敏
【氏名】鈴木 洋司
【氏名】神宮寺 健
個別代理人の代理人 【識別番号】100075306、【弁理士】、【氏名又は名称】菅野 中
審査官 【審査官】日比谷 洋平
参考文献・文献 特開平08-150933(JP,A)
特開平08-020337(JP,A)
実開平03-017975(JP,U)
実開昭64-033707(JP,U)
調査した分野 B61L 1/00 - 29/32
特許請求の範囲 【請求項1】
変周コイルに、デジタル情報送信コイルを併設したデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子であって、
前記変周コイルは、車上子に変周周波数信号を出力するものであり、数字の0の字を象って巻かれ、
前記デジタル情報送信コイルは、ブレーキパターンを車上に形成させるデジタル情報波を出力するものであり、数字の8の字を象って巻かれ、変周コイルの0の字上に、外形をあわせて、重ねられて地上子のケース内に収容されたものであることを特徴とするデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子。
【請求項2】
前記変周コイルは、外側面が開放された0型の形枠内に巻かれ、形枠には、0の字を横切って8の字を形成する横桟が取付けられ、
前記デジタル情報送信コイルは、ループを形成する隣り合う巻線を、同一平面に並列に並べつつ一定回数巻いて8の字の一方のループを作り、同様に隣り合う巻線を同一平面に並列に並べつつ一定回数巻いて他方のループを作り、ループの巻線は、形枠の上面及び横桟の上面に横並びに配列され、変周コイルが巻かれた形枠とともに地上子のケース内に収納されていることを特徴とする請求項1に記載のデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子。
【請求項3】
前記デジタル情報送信コイルの8の字の中心は、列車の進行方向に対し、変周コイルのQの変化が許範囲内での横方向のずれを許容して変周コイルの0の字の中心に合致させて重ねられていることを特徴とする請求項1に記載のデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子。
【請求項4】
デジタル情報送信コイルの巻線が8の字にクロスする位置を0の字の変周コイルとともに車上子の中心に対して軌道の中心線寄りにずらせることによって、列車の横揺れの大小に関わらず、デジタル情報送信コイルから発信されるデジタル情報波が車上子の二次コイルに受信されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子。
【請求項5】
車上に警報機能指令を発信するATS地上子の変周コイルに加え、車上に防護機能指令を送信するデジタル情報波送信コイルを付加したデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子であって、電源回路にリレー動作用電源部と、デジタル情報送信用電源部とを有し、
警報機能は、進行する列車の前方信号機の現示が停止現示であることを車上に警報する機能であり、
防護機能は、警報機能が解除されても、車上にブレーキパターンを作成させ、列車がこのパターン速度を超過して引き続き走行を続けるときには、ブレーキ動作指令信号となるデジタル情報を車上に送信する機能であり、
リレー動作用電源部は、外部から供給された交流電源を整流して信号機器具箱から主ケーブルを通して地上子に送電し、地上子の変周コイルの共振回路切替用リレーに給電するものであり、
デジタル情報送信用電源部は、外部から供給された交流電源を降圧して信号機器具箱から主ケーブルを通して地上子に送電し、地上子側で分岐させた分岐配線上で整流し、デジタル情報送信コイルにデジタル情報を発信するデジタル情報送信器に、直流電源を給電するものであり、主ケーブルに通ずる信号機器具箱内のリレー動作用電源部の配線には、信号機内のリレーによって制御され、信号現示が停止(赤)現示のときに接点を開放するリレー接点が接続され、デジタル情報送信用電源部の配線には、信号機内のリレーによって制御され、信号現示が停止(赤)現示のときに接点を閉じるリレー接点が接続されていることを特徴とするデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転手の注意力には頼らない運転保安システムを実現するデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子に関する。
【0002】
【従来の技術】
現行のJR各社の殆どの区間においては、変周式ATS-S形システム(ATS-Automatic Train Stop自動列車停止装置)が列車運行の保安装置として使用されている。
【0003】
変周式ATS-S形システムは、地上子-車上子間の変周作用を利用し、列車の前方信号機の現示が停止現示であることを運転手に警報する機能を有するものである。本発明において、以下この機能を警報機能と云う。
【0004】
変周式ATS-S形システムの警報機能が実行されたにも関わらず、運転手がその警報に気が付かず、停止信号機の内方に進入しようとした場合には、自動的に非常ブレーキが作動する。
【0005】
この変周式ATS-S形システムの導入により、列車の追突事故は激減した、といわれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような変周式ATS-S形のシステムでは、警報に対し、運転手が確認扱いを行った後は、もはやATSとしての警報機能は失われ、列車の停止扱いは、専ら運転手の注意力に委ねられることになる。
【0007】
したがって、運転手が、確認扱いをしたにも関わらず、うっかりブレーキ操作を失念した時や、不測の事態が発生して運転手にブレーキ操作が出来ないようなときには、列車を止めることができず、その結果、列車が停止信号の内方区間に暴走し、追突事故を引き起こすというような大きな危険がある。
【0008】
この様な危険な事態の発生を回避するために、トランスポンダ式のATS-P形システム(以下トランスポンダ式ATSという)が新しく開発された。
【0009】
このシステムは、トランスポンダを用い、地上から車上に対し、停止信号機までの距離情報をデジタル符号として送信し、停止信号機までの距離情報をもとに、車上にてブレーキパターンを作成し、列車速度がこのパターン速度を超過したときに、自動的にブレーキ指令を出力する、というものである。
【0010】
このように、トランスポンダ式ATSは、運転手の注意力には頼らないという運転保安システムである。トランスポンダ式ATSは、変周式ATS-S形システムに比べ、システムとしての機能は勿論優れている。
【0011】
しかし、トランスポンダ式ATSは、その地上設備および車上設備の導入コストが変周式ATS-S形システムに比べて高いという問題があって、いまだ、このシステムについては、広域的な拡張には至っていないのが実状である。
【0012】
これに対し、変周式ATS-S形システムは、現在、JR各社の在来線の殆どの区間に設置されているにも関わらず、システムとしてトランスポンダ式ATSにみられるような運転保安システムは、確立されていない。
【0013】
トランスポンダ式のATSのシステムと、変周式のATS-S形システムとは、情報送信方式および使用周波数帯域が全く異なるため、各々の地上設備設置区間に跨って運行される列車に対しては、トランスポンダ式のATSのシステムと、変周式のATS-S形システムとの2種類の車上子および、車上装置を搭載しなければならない。
【0014】
本発明の目的は、在来線の大部分を占める変周式ATS-S形システムにおいて、既存の設備を有効に活用しながらデジタル情報を車上に送信して運転手の注意力に頼らない運転保安システムを構築するデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によるデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子においては、変周コイルに、デジタル情報送信コイルを併設したデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子であって、
前記変周コイルは、車上子に変周周波数信号を出力するものであり、数字の0の字を象って巻かれ、
前記デジタル情報送信コイルは、ブレーキパターンを車上に形成させるデジタル情報波を出力するものであり、数字の8の字を象って巻かれ、変周コイルの0の字上に、外形をあわせて、重ねられて地上子のケース内に収容されたものである
【0019】
また、変周コイルは、外側面が開放された0型の形枠内に巻かれ、形枠には、0の字を横切って8の字を形成する横桟が取付けられ、
デジタル情報送信コイルは、ループを形成する隣り合う巻線を、同一平面に並列に並べつつ一定回数巻いて8の字の一方のループを作り、同様に隣り合う巻線を同一平面に並列に並べつつ一定回数巻いて他方のループを作り、ループの巻線は、形枠の上面及び横桟の上面に横並びに配列され、変周コイルが巻かれた形枠とともに地上子のケース内に収納されているものである。
【0020】
また、前記デジタル情報送信コイルの8の字の中心は、列車の進行方向に対し、変周コイルのQの変化が許範囲内での横方向のずれを許容して変周コイルの0の字の中心に合致させて重ねられているものである。
【0021】
また、デジタル情報送信コイルの巻線が8の字にクロスする位置を0の字の変周コイルとともに車上子の中心に対して軌道の中心線寄りにずらせることによって、列車の横揺れの大小に関わらず、デジタル情報送信コイルから発信されるデジタル情報波が車上子の二次コイルに受信されるようにしたものである。
【0022】
また、車上に警報機能指令を発信するATS地上子の変周コイルに加え、車上に防護機能指令を送信するデジタル情報波送信コイルを付加したデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子であって、電源回路にリレー動作用電源部と、デジタル情報送信用電源部とを有し、
警報機能は、進行する列車の前方信号機の現示が停止現示であることを車上に警報する機能であり、
防護機能は、警報機能が解除されても、車上にブレーキパターンを作成させ、列車がこのパターン速度を超過して引き続き走行を続けるときには、ブレーキ動作指令信号となるデジタル情報を車上に送信する機能であり、
リレー動作用電源部は、外部から供給された交流電源を整流して信号機器具箱から主ケーブルを通して地上子に送電し、地上子の変周コイルの共振回路切替用リレーに給電するものであり、
デジタル情報送信用電源部は、外部から供給された交流電源を降圧して信号機器具箱から主ケーブルを通して地上子に送電し、地上子側で分岐させた分岐配線上で整流し、デジタル情報送信コイルにデジタル情報を発信するデジタル情報送信器に、直流電源を給電するものであり、主ケーブルに通ずる信号機器具箱内のリレー動作用電源部の配線には、信号機内のリレーによって制御され、信号現示が停止(赤)現示のときに接点を開放するリレー接点が接続され、デジタル情報送信用電源部の配線には、信号機内のリレーによって制御され、信号現示が停止(赤)現示のときに接点を閉じるリレー接点が接続されているものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図によって説明する。図1は、本発明によるデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子を組み込んだATS-S形システムの構成を示す図である。図1において、列車は、車上子1を搭載し、その車上子1からは常時、105kHzの周波数信号が帰還発振されている。
【0024】
一方地上子(デジタル情報送信機能付変周式ATS地上子)2は、信号機3から一定距離の地点(通常、地上子の設置場所は、信号機の手前約800メートルの地点である)に設置されており、当該信号機3が停止現示である時に地上子2は、130kHzの共振周波数を発振し、それ以外の現示の場合は、103kHz共振周波数を発振している。
【0025】
信号機3にさしかかる列車5の車上子1が地上子2から発振された130kHzの変周周波数信号を受信すると、105kHz常時発振周波数が変周されることになり、105kHz信号用フィルタ4の出力がなくなり、リレー6が落下する。これをトリガとし、車内警報が鳴り、前方信号機3が停止現示であることを報知する。このような警報機能は、従来と同じである。
【0026】
図2において、運転手がこの警報に気付かず、5秒以上確認扱いをしなかった場合には、ATS-S形車上装置から非常ブレーキ指令が出力され、列車5は、信号機3の手前で自動停車する。この機能が、ATS機能と云われるものである。
【0027】
しかし、運転手が確認扱いをした時には、前述のようにその後、ATS機能は解除され、運転手がブレーキ操作を行わない限り、列車を止めることができない。
【0028】
本発明においては、変周式ATS-S形地上子の警報機能が解除されても、列車が一定以上の速度で走行を続ける限り、車上子1にブレーキパターンを作成し、列車5がこのパターン速度を超過した時には、ATS機能を復活させ、自動的にブレーキ指令を出力させるものである。本発明において、この機能を防護機能という。
【0029】
本発明は、変周式ATS-S形システムの地上子2の有する警報機能指令の発信機能に加え、デジタル情報波発信による防護機能指令の発信機能を付加したものである。
【0030】
防護機能指令に用いるデジタル情報は、たとえば、信号機種別情報、信号現示情報および信号機までの距離情報などの情報であり、これらの情報は、デジタル信号を用いて車上に送信される。
【0031】
したがって、本発明による地上子2上を列車5が通過した場合には、従来通りの変周波による警報機能指令の発信とは別に、防護機能指令が発信され、車上においては、その指令をうけて、防護機能を実行するための照査ブレーキパターンを車上に作成することが可能となる。
【0032】
図1において、地上装置の地上子2は、変周コイル7と、変周コイル7に並列に結線されたコンデンサC1、又はコンデンサC1及びC2との共振回路であり、リレーRを有し、リレーRは共振回路切替用であり、制御信号によって動作し、そのリレー接点Crの開放時は、変周コイル7とコンデンサC1との共振回路が構成され、リレー接点Crが構成された時に、コンデンサC1及びC2と変周コイル7との共振回路が形成される。
【0033】
車上装置の車上子1は、105kHzで常時発振し、フィルタ4を通してリレー6を動作させているのは、前述の通りである。本発明においては、地上装置にデジタル情報送信器8を設置し、デジタル情報送信コイル9を変周コイル7に併設したものである。
【0034】
デジタル情報送信コイル9は、変調器10を介してデジタル情報送信器8に接続されている。一方、車上装置には、車上子1のコイルを通じてデジタル情報送信コイル9から発振された情報を受信するデジタル情報受信器11が装備されている。
【0035】
デジタル情報送信コイル9は、変周コイル7のQに影響を与えないようにコイルの巻線を「8の字」に巻いて変周コイル7の上にセットしている。図3に地上子のコイル部の構造を示す。変周コイル7は、外側面が開放された0型の形枠12内に「0の字」を象って巻かれ、形枠12には、「0の字」を横切って8の字を形成する横桟13が取付けられている。
【0036】
図3(d)において、デジタル情報送信コイル9の巻線は、「8の字」の右側のループと左側のループとに渡り、「8の字」を象って巻かれるが、その巻き方については、例えば「8の字」の左側から巻き始め、隣り合う線は、同一平面に並列に並べつつ一定回数(たとえば15回)巻いて左側のループを作り、次いで右側に移り、同様に隣り合う線を同一平面に並列に並べつつ一定回数(たとえばT=15回)巻いて右側のループを作るように巻かれ、図3(b)および(c)に示すように、コイルの巻線は、形枠12の上面及び横桟13の上面に横並びに配列され、形枠12と共に地上子2のケース14内に収納される。
【0037】
また、デジタル情報送信コイル(8の字コイルという)9の巻き方を変えたときに、変周コイル(0の字コイルという)7のQに影響を与えることがある。図4において、8の字コイルの交差する部分を列車の進行方向右にずらせて行くことによって、0の字コイルのQの変化が大きくなる。Qの低下の許容限界を93%としたときには、実用上のずれの限界は5cmである。
【0038】
図5に、本発明によるデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子に用いる電源回路17の一例を示す。電源回路17は、共振回路切替用リレーRに制御信号を給電する既存のリレー動作用電源部17aと、新たに増設したデジタル情報送信用電源部17bとからなっている。
【0039】
リレー動作用電源部17aは、外部から供給された交流電源20を整流し、直流電源を地上子2に送電して共振回路切替用リレーRに給電するものであり、新たに増設したデジタル情報送信用電源部17bは、外部から供給された交流電源20を降圧して地上子2に送電し、地上子側で整流してデジタル情報送信器8に、直流電源を給電するものである。
【0040】
信号機器具箱18内には、リレー動作用電源部17aの整流器19と、デジタル情報送信用電源部17bのトランス21が収容されている。既存のリレー動作用電源部17aの配線22は、主ケーブル23に接続して信号機器具箱18から引き出されており、信号機器具箱18と地上子2間は、主ケーブル23で接続され、主ケーブル23には、前記リレーRが結線されている。
【0041】
新たに増設したデジタル情報送信用電源部17bの配線24は、信号機器具箱18内で主ケーブル23に接続され、地上子2内で分岐してその分岐配線25に、整流器26を介し、前記デジタル情報送信器8が接続されている。
【0042】
前述のように、新たに増設したデジタル情報送信用電源部17bに供給される交流電源20は、降圧されて交流のまま地上子2に送電される。地上子2内に送電された交流電源は、整流器26で整流され、その直流電源をもって、デジタル情報送信器8が駆動され、デジタル情報信号を発し、そのデジタル情報信号は、デジタル情報送信コイル9より空中に発振される。
【0043】
信号機器具箱18内の電源部17aの配線22には、信号機内のリレー(図示略)によって制御されるリレーHRの定位接点(HR1)が接続されている。リレーHRの定位接点(HR1)は、信号機3の現示が停止(赤)現示以外のときに動作して接点を構成し、共振回路切替用リレーRへ直流電源を供給するが、信号機3の現示が停止(赤)現示のときに接点を開放して、地上子2側への通電を絶つものである。
【0044】
一方、新たに増設したデジタル情報送信用電源部17bの配線24には、信号機内のリレー(図示略)によって制御されるリレーHRの反位接点(HR2)が接続されている。
【0045】
リレーHRの反位接点(HR2)は、信号機3の現示が停止(赤)現示以外のときに接点を開放し、地上子2側への交流電源の供給を停止しているが、信号機3の現示が停止(赤)現示のときに接点を閉じて、地上子2側へ交流電源を通電する。交流電源は、地上子2内の整流器26で整流され、直流電源をデジタル情報送信器8に給電する。
【0046】
信号機3の現示が停止(赤)現示のときには、リレーHRの定位接点(HR1)は開放され、共振回路切替用リレーRへの通電は遮断されるが、デジタル情報送信用電源部17bに供給された交流電源電圧は、地上子2に送電され、地上子2内で整流されてデジタル情報送信器8に給電されるため、信号機が赤信号のときに、デジタル情報送信器8は、給電された直流電圧で動作し、必要なデジタル情報をデジタル情報送信コイル9に送り込む。
【0047】
信号機3の現示が停止(赤)現示のとき、共振回路切替用リレーRには、交流電源が供給されるが、デジタル情報送信用電源部17bの交流電源電圧を共振回路切替用リレーRの許容値以下に降圧しておくことによって、共振回路切替用リレーRの不正動作を防止できる。
【0048】
デジタル情報送信器8に記憶させる情報は、防護機能指令である。防護機能指令は、デジタル情報波として、デジタル情報送信コイルからデジタル情報波として発信される。発信されたデジタル情報波は、地上子2上を通過する列車5の車上子1のコイルに受信され、デジタル情報受信器11で復調され、防護機能を実行する列車5の制御指令信号として出力される。
【0049】
防護機能指令は、地上から車上に照査用ブレーキパターンを発生させさせる情報であり、この防護機能指令は、このパターンを車上に送信し、車上においては、運転手が確認扱いをした後においても、列車が予め定められたブレーキパターンを越えるときに、ブレーキ動作指令信号となるデジタル情報を出力し、車上では、自動的にブレーキ指令が出力されて防護機能が実行される。
【0050】
本発明において、地上子2上を通過する列車5に対して、変周コイル7から発せられる警報機能指令と共に、デジタル情報波による防護機能指令を発信するために、車上においては、この指令をうけて防護機能を実行することによって、運転手の注意力に頼らない運転保安システムが実現される。
【0051】
なお、本発明において、防護機能のブレーキ動作指令信号となるデジタル情報の符合伝送仕様の一例を以下に示す。
【0052】
デジタル符合伝送の仕様
搬送波 :465kHz
偏移周波数 :±12kHz
変調方式 :FSK変調
伝送速度 :48kbps
電文フォーマット:HDLC準拠
伝送情報内容 :1電文長54bit、情報部22bit(図7参照)
【0053】
なお、列車には、走行中に横揺れが生じる。横揺れの幅は、最大80mmと言われている。図6において、車上子1が左に80mm変位したとき、地上子2のデジタル情報送信コイル9の信号は、車上子1の二次コイル15には受からなくなる。
【0054】
このようなときに、デジタル情報送信コイル9の信号を車上子1の一次コイル16に受け取らせることも考えられるが、一次コイル16から常時発振される信号用の高調波に妨げられて一次コイル16で受信することは困難にになる。
【0055】
この様な問題は、デジタル情報送信コイルが象る8の字がクロスする位置を調節することによって解決できる。車上子1及び地上子2は、軌道の中心線から、210±10mmの位置に中心がくるように設置される。
【0056】
デジタル情報送信コイル9から車上子1の二次コイル15に信号を確実に伝えるには、デジタル情報送信コイルの8の字がクロスする位置を軌道の中心線CL寄りに例えば10mmずらせることによって、列車の横揺れの大小に関わらず、車上子1は、防護機能を実行するためのデジタル情報の受信を確実に行うことが出来る。
【0057】
【発明の効果】
以上のように、本発明によるときには、変周式ATSの設備を有効に生かしながら地上からデジタル情報を車上に送信し、そのデジタル情報を用いて、車上に速度照査パターンを作成し、列車速度がこのパターン速度を超過した場合に、自動的にブレーキ指令を出力することが可能となり、変周式ATS-Sシステムにおいても運転手の注意力には頼らない運転保安システムを構築できる効果を有する。
【0058】
また、本発明において、変周式地上子には、変周コイルのQに影響を殆ど与えることなくデジタル情報送信コイルを組合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すシステムの構成図である。
【図2】ATS保安システムのもとでの運転パターンを示す図である。
【図3】地上子のコイル部を示す図であり、(a)は、形枠の平面図、(b)は、(a)のB-B線断面図、(c)は、(a)のC-C線断面図、(d)は、デジタル情報送信コイルの巻き方を示す図である。
【図4】デジタル情報送信コイル(8の字コイル)の巻方を変えたときに変周コイル(0の字コイル)に与えるQの影響を調べるときの両コイルの配置関係を示す図である。
【図5】本発明によるデジタル情報送信機能付変周式ATS地上子に用いる電源回路の一例を示す図である。
【図6】地上子と、車上子との配置関係を示す図である。
【図7】デジタル情報送信に用いるデジタル符合伝送仕様の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 車上子
2 地上子
3 信号機
4 信号用フィルター
5 列車
6 リレー
7 変周コイル
8 デジタル情報送信器
9 デジタル情報送信コイル
10 変調器
11 デジタル情報受信器
12 枠体
13 横桟
14 地上子のケース
15 車上子の二次コイル
16 車上子の一次コイル
17 電源回路
17a リレー動作用電源部
17b デジタル情報送信用電源部
18 信号機器具箱
19 整流器
20 交流電源
21 トランス
22 信号機器具箱内のリレー動作用電源部の配線
23 主ケーブル
24 信号機器具箱内のデジタル情報送信用電源部
25 分岐配線
26 整流器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6