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明細書 :トンネル壁面の展開画像作成装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4368008号 (P4368008)
公開番号 特開2001-043353 (P2001-043353A)
登録日 平成21年9月4日(2009.9.4)
発行日 平成21年11月18日(2009.11.18)
公開日 平成13年2月16日(2001.2.16)
発明の名称または考案の名称 トンネル壁面の展開画像作成装置
国際特許分類 G06T   1/00        (2006.01)
G01C   7/06        (2006.01)
G01C  15/00        (2006.01)
FI G06T 1/00 280
G01C 7/06
G01C 15/00
請求項の数または発明の数 3
全頁数 15
出願番号 特願平11-217092 (P1999-217092)
出願日 平成11年7月30日(1999.7.30)
審査請求日 平成18年6月1日(2006.6.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000200345
【氏名又は名称】JFE電制株式会社
発明者または考案者 【氏名】小久保 将寿
【氏名】神保 吉克
【氏名】舟橋 秀麿
【氏名】和仁 幸也
【氏名】林 直樹
【氏名】田近 利幸
【氏名】鵜飼 正人
【氏名】太田 勝
【氏名】佐藤 仁
【氏名】高木 薫
個別代理人の代理人 【識別番号】100082500、【弁理士】、【氏名又は名称】足立 勉
【識別番号】100106035、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 敏博
【識別番号】100082500、【弁理士】、【氏名又は名称】足立 勉
審査官 【審査官】▲広▼島 明芳
参考文献・文献 特開平09-161068(JP,A)
調査した分野 G06T 1/00
G01B 11/00 - 11/30
G01C 7/06
G01C 15/00
特許請求の範囲 【請求項1】
トンネル内を移動可能な車両と、
前記車両に搭載され、前記トンネルの周方向に沿ったラインを複数に分割した分割ラインのそれぞれに対応づけられて設置され、その対応づけられた分割ラインを撮影して分割ラインデータとして出力する複数のラインセンサカメラと、
所定タイミングごとに前記複数のラインセンサカメラが出力した分割ラインデータを取り込むデータ取込手段と、
前記データ取込手段によって取り込まれた各分割ラインデータにつき、分割ラインデータを構成する各画素の位置をラインセンサカメラの結像面上からトンネル壁面上に変換し、該変換後の位置間隔を求め、その位置間隔に応じて分割ラインデータの画素間隔を補正する画素間隔補正手段と、
前記画素間隔補正手段による補正後の分割ラインデータに基づいて前記トンネル壁面の展開画像を作成する展開画像作成手段と
を備え
さらに、
前記車両のカントを検出可能なカント検出手段を備え、
前記画素間隔補正手段は、前記カント検出手段により検出されたカントを加味した上で前記分割ラインデータを構成する各画素の位置をラインセンサカメラの結像面上からトンネル壁面上に変換すること
を特徴とするトンネル壁面の展開画像作成装置。
【請求項2】
トンネル内を移動可能な車両と、
前記車両に搭載され、前記トンネルの周方向に沿ったラインを複数に分割した分割ラインのそれぞれに対応づけられて設置され、その対応づけられた分割ラインを撮影して分割ラインデータとして出力する複数のラインセンサカメラと、
所定タイミングごとに前記複数のラインセンサカメラが出力した分割ラインデータを取り込むデータ取込手段と、
前記データ取込手段によって取り込まれた各分割ラインデータにつき、分割ラインデータを構成する各画素の位置をラインセンサカメラの結像面上からトンネル壁面上に変換し、該変換後の位置間隔を求め、その位置間隔に応じて分割ラインデータの画素間隔を補正する画素間隔補正手段と、
前記画素間隔補正手段による補正後の分割ラインデータに基づいて前記トンネル壁面の展開画像を作成する展開画像作成手段と
を備え、
さらに、
前記車両のカントを検出可能なカント検出手段と、
前記カント検出手段により検出されたカントに基づいて前記分割ラインデータの各画素のトンネル周方向の位置を補正するカント補正手段と、を備え、
前記展開画像作成手段は、前記カント補正手段により補正された場合にはその補正後の分割ラインデータに基づいて前記トンネル壁面の展開画像を作成すること
を特徴とするトンネル壁面の展開画像作成装置。
【請求項3】
トンネル内を移動可能な車両と、
前記車両に搭載され、前記トンネルの周方向に沿ったラインを複数に分割した分割ラインのそれぞれに対応づけられて設置され、その対応づけられた分割ラインを撮影して分割ラインデータとして出力する複数のラインセンサカメラと、
所定タイミングごとに前記複数のラインセンサカメラが出力した分割ラインデータを取り込むデータ取込手段と、
前記データ取込手段によって取り込まれた各分割ラインデータにつき、分割ラインデータを構成する各画素の位置をラインセンサカメラの結像面上からトンネル壁面上に変換し、該変換後の位置間隔を求め、その位置間隔に応じて分割ラインデータの画素間隔を補正する画素間隔補正手段と、
前記画素間隔補正手段による補正後の分割ラインデータに基づいて前記トンネル壁面の展開画像を作成する展開画像作成手段と
を備え、
さらに、
車両の車輪が所定量回転するごとに所定タイミングを発生させるタイミング発生手段を備え、
前記データ取込手段は、このタイミング発生手段が発生する所定タイミングごとに複数のラインセンサカメラが出力した分割ラインデータを取り込み、
さらに、
前記データ取込手段によって取り込まれた分割ラインデータと前記タイミング発生手段の発生する所定タイミングに基づいて得られる距離データとを対応づけるデータ加工手段と、
前記所定タイミングの発生する間隔が予め設定した所定距離と一致しているか否かを判断する判断手段と、
前記所定タイミングの発生する実際の間隔が前記所定距離と一致していないと前記判断手段により判断された場合には、その実際の間隔に応じて前記距離データを補正する距離補正手段と
を備えたこと
を特徴とするトンネル壁面の展開画像作成装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道・道路トンネル等のトンネル壁面の覆工面の変状を追跡調査するのに適したトンネル壁面の展開画像作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネルは、地山の土圧・凍上圧・有害水などの外因、設計・施工の不適切、経年による材質劣化などの内因によって、クラック、目地切れ、食い違い、コンクリートの剥離・剥落などの変状現象が生じる。
【0003】
従来、これらの変状の追跡は、人間が列車の走る合間を縫って、目視を主体に実施し、進行の顕著なものは計器による測定(例えばひび割れ間隔の測定)ならびに覆工背面の調査などを行い、原因を明らかにして、補修・改良につなげている。また、変状の記録は、現地のスケッチをもとにトンネル展開図を作成し、クラックの幅・長さなどについて前回と今回の検査結果の比較を行い、健全性の判定を行っている。
【0004】
一方、人間が手作業でこのようなトンネル変状の追跡を行う方法では、変状の見落としや位置の間違い・個人差による判定のバラツキなどがあり、信頼性に欠けることがある。
【0005】
この点に鑑み、トンネル変状の追跡を行うための装置が開発されている。例えば、特開平6-42300号公報には、トンネル内を走行する車両上に設置されたトンネル壁面撮影用センサカメラを用い、カメラ前面に配置した曲面鏡を介してトンネル壁面に対して進行方向と直角方向のトンネル断面スキャンを行い、車上に設置されたデータ蓄積装置に順次そのデータを蓄積することにより、トンネル壁面の展開画像を得るトンネル検査装置が開示されている。このトンネル検査装置では、トンネル壁面を曲面鏡に映し、これを1台の1次元センサカメラで撮影して、トンネル周方向のラインデータとし、このラインデータを移動距離に応じて並べることにより、トンネル壁面の展開画像を得ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6-42300号公報のトンネル検査装置では、トンネルの断面形状に合わせて、曲面鏡の形状設計及びカメラのレンズの光学設計を行わなければならないが、トンネルの断面形状は一定ではないため、この設計作業が非常に複雑になるという問題がある。
【0007】
また、進行方向のある位置におけるトンネルの周方向のラインを曲面鏡に映し出し、これを一台のラインセンサで撮影するため、画像分解能が低くなり、幅の細いクラックなどを捉えることが難しく、また、トンネルの周方向のライン上の各点とラインセンサとの距離の最小、最大の差が大きくなり、画像のボケとなってあらわれるという問題がある。
【0008】
そこで、このような問題点に鑑み、複数のラインセンサカメラを備えた車両をトンネル検査装置として採用することが考えられる。この装置では、各ラインセンサカメラは、トンネルの周方向に沿ったラインを複数に分割した分割ラインのそれぞれに対応づけられて設置されており、その対応づけられた分割ラインを撮影して分割ラインデータとして出力する。この装置によれば、特開平6-42300号公報のトンネル検査装置に比べて、光学系の構造が簡素化されるうえ、一台のラインセンサがライン全体を撮影するのではなく複数のラインセンサがそれぞれに対応する分割ラインを撮影するため画像分解能が高くなる。
【0009】
一般に、ラインセンサカメラの結像面とトンネル壁面とが平行な場合は、ラインセンサの各画素には撮影対象のトンネル壁面が等間隔に投影される。ところがこれら両方の面が平行になっていることは殆どないため、ラインセンサの結像面上の間隔は一定であったとしても、ラインセンサカメラの結像面に投影された実際のトンネル壁面上の間隔は一定ではない。このためラインセンサカメラで撮影された画像をそのまま用いて、クラックの幅・長さ等を測定したとしても、実際のクラックの幅・長さ等を正確に計測したことにはならない。
【0010】
また、線路のカーブ等のように路面にカントがある箇所では、カントがない箇所に対して、ラインセンサのアングルがトンネルの周方向にずれることになるので、やはり、撮影した画像を元にしてトンネル壁面のクラックの幅・長さ等を正確に算出することができなくなる。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、光学系の構造を簡素化でき、画像分解能を高めることができるうえ、トンネル壁面の展開画像からトンネル壁面の変状を正確に把握できるトンネル壁面の展開画像作成装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するため、本発明のトンネル壁面の展開画像作成装置は、
トンネル内を移動可能な車両と、
前記車両に搭載され、前記トンネルの周方向に沿ったラインを複数に分割した分割ラインのそれぞれに対応づけられて設置され、その対応づけられた分割ラインを撮影して分割ラインデータとして出力する複数のラインセンサカメラと、
所定タイミングごとに前記複数のラインセンサカメラが出力した分割ラインデータを取り込むデータ取込手段と、
前記データ取込手段によって取り込まれた各分割ラインデータにつき、分割ラインデータを構成する各画素の位置をラインセンサカメラの結像面上からトンネル壁面上に変換し、該変換後の位置間隔を求め、その位置間隔に応じて分割ラインデータの画素間隔を補正する画素間隔補正手段と、
前記画素間隔補正手段による補正後の分割ラインデータに基づいて前記トンネル壁面の展開画像を作成する展開画像作成手段と
を備えたことを特徴とする。
【0013】
この展開画像作成装置は、曲面鏡を使用しないため、特開平6-42300号公報に開示された装置に比べて、曲面鏡の形状をトンネル形状に合わせて設計するという複雑な作業が不要となり、光学系の構造が簡素化される。また、一台のラインセンサカメラがライン全体を撮影するのではなく、複数のラインセンサカメラがそれぞれに対応する分割ラインを撮影するものであるため、前出の公報に開示された装置に比べて、画像分解能が高くなる。更に、ラインセンサカメラで撮影された分割ラインデータの各画素の位置をラインセンサカメラの結像面上からトンネル壁面上に変換し、変換後の位置間隔に応じて分割ラインデータの画素間隔を補正した後、展開画像を作成する。つまり、ラインセンサカメラの結像面に投影された実際のトンネル壁面上の間隔は一定でないため、結像面上での各画素の位置をトンネル壁面上に変換することによりトンネル壁面の形状を考慮した画素間隔とした上で、展開画像を作成する。この結果、展開画像に現れるクラックの幅・長さ等は、実際のクラックの幅・長さ等を測定したのと同等になり、トンネル壁面の展開画像からトンネル壁面の変状を正確に把握できる。なお、変換に当たっては、毎回演算を行ってもよいが、予め変換前と変換後との対応関係を記憶媒体に記憶しておき、この対応関係に基づいて変換してもよい。
【0014】
本発明の展開画像作成装置は、車両のカントを検出可能なカント検出手段を備え、画素間隔補正手段は、カント検出手段により検出されたカントを加味した上で分割ラインデータを構成する各画素の位置をラインセンサカメラの結像面上からトンネル壁面上に変換するように構成してもよい。この場合、カメラ結像面上からトンネル壁面上への変換をより正確に行うことができるので、トンネル壁面の展開画像からトンネル壁面の変状をより正確に把握できる。
【0015】
また、本発明の展開画像作成装置は、車両のカントを検出可能なカント検出手段と、このカント検出手段により検出されたカントに基づいて前記分割ラインデータを補正するカント補正手段とを備え、展開画像作成手段は、カント補正手段により補正された場合にはその補正後の分割ラインデータに基づいて前記トンネル壁面の展開画像を作成するように構成してもよい。この場合、カントによる展開画像の歪みを解消することができ、トンネル壁面の展開画像からトンネル壁面の変状をより正確に把握できる。なお、カント検出手段としては、例えば周知のジャイロや傾斜計を使用可能である。
【0016】
ところで、ラインセンサカメラで撮影した画像を元にしてトンネル壁面のクラックの幅・長さ等を正確に算出するためには、車両の速度等にかかわらず所定距離進むごとに1ラインずつ画像データを取り込むことが望ましい。この点を考慮すれば、本発明の展開画像作成装置は、車両の車輪が所定量回転するごとに所定タイミングを発生させるタイミング発生手段を備え、データ取込手段は、このタイミング発生手段が発生する所定タイミングごとに複数のラインセンサカメラが出力した分割ラインデータを取り込むように構成することが好ましい。
【0017】
このようにタイミング発生手段を備えた場合には、更に、データ取込手段によって取り込まれた分割ラインデータと所定タイミングに基づいて得られる距離データとを対応づけるデータ加工手段と、所定タイミングの発生する間隔が予め設定した所定距離と一致しているか否かを判断する判断手段と、所定タイミングの発生する実際の間隔が所定距離と一致していないと判断手段により判断された場合にはその実際の間隔に応じて距離データを補正する距離補正手段とを備えていることが好ましい。このような構成を採用することにより、トンネル壁面の展開画像からトンネルの奥行き方向の長さをより正確に求めることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態のトンネル壁面撮影装置の概略斜視図、図2はラインセンサカメラの配置図である。本実施形態のトンネル壁面展開画像作成装置10は、単線トンネル撮影用であり、移動車両11と、ラインセンサカメラC1~C4と、照明器具14と、カントセンサ15と、制御装置17と、画像蓄積装置18と、画像処理装置19とを備えている。
【0019】
移動車両11は、トンネル51内をレール52に沿って走行可能であり、操縦部11aの後ろにコンテナボックス11bを牽引したものである。スライドアングル12、13は、コンテナボックス11bにおいて上段及び下段にそれぞれ設置されており、コンテナボックス11bの内外をスライド可能なスライド部12a、13aと、このスライド部12a、13aの先端側にてマクラギと平行な回動軸12b、13b周りに回動可能なフレーム部12c、13cとを備えている。
【0020】
第1及び第4ラインセンサカメラC1、C4は、下段のスライドアングル13のフレーム部13cに取り付けられ、第2及び第3ラインセンサカメラC2、C3は、上段のスライドアングル12のフレーム部12cに取り付けられている。各ラインセンサカメラC1~C4は、露光量に応じて蓄積された一次元CCD上の電荷が電圧として出力される周知のカメラで、オートフォーカス機能が付いたもので且つラインを撮影可能なものであり、レール方向に走査されることにより平面的な画像が得られるものである。
【0021】
各ラインセンサカメラC1~C4は、図2に示すように、トンネル51の周方向(縦断方向)に沿ったラインLを概ね4つに分割した第1~第4分割ラインL1~L4のそれぞれに対応づけられて設置されている。但し、第1~第4分割ラインL1~L4は隣り合うもの同士が重複部分を有するように定められている。また、コンテナボックス11bの右側に配置された第1及び第2ラインセンサカメラC1、C2がラインLの左側半分に対応づけられ、コンテナボックス11bの左側に配置された第3及び第4ラインセンサカメラC3、C4がラインLの右側半分に対応づけられている。各ラインセンサカメラC1~C4は、スライドアングル12、13や他のカメラが視野に入らないように配置されている。
【0022】
複数の照明器具14、14、…は、ラインセンサカメラC1~C4によって撮影されるラインLを同じ明るさになるように照射するために、図1に示すように、スライドアングル12、13のフレーム部12c、13cに合計10個前後取り付けられている。これにより、撮影に必要な照度がラインLに濃淡なく照射される。
【0023】
カントセンサ15は、移動車両11の左右傾斜角度つまりカントを検出するものであり、図1に示すように、移動車両11のコンテナボックス11bの内部に設けられている。本実施形態ではカントセンサ15として、リアルタイムに精度よくカントデータを得るために周知のジャイロを用いている。
【0024】
距離積算計16は、車輪の車軸に取り付けたロータリエンコーダ22がパルス信号を発生するごとに、図示しない内部カウンタのカウント値をカウントアップし、そのカウント数が所定数(例えば移動距離1mに相当するカウント数)に達した時点で距離積算値をカウントアップしていくものである。
【0025】
制御装置17は、図示しない周知のCPU、ROM、RAMなどから構成された装置であり、移動車両11のコンテナボックス11bの内部に設けられている。この制御装置17は、カントセンサ15、距離積算計16、ロータリエンコーダ22から信号を入力できるように電気的に接続され、また、画像蓄積装置18に信号を出力できるように電気的に接続されている。この制御装置17は、ロータリエンコーダ22のパルス信号に基づいて移動車両11が一定距離進んだことを検知すると、各ラインセンサカメラC1~C4から分割ラインデータ(画像データ)を取り込むと共にカントセンサ15からカントデータ、距離積算計16から距離データを取り込み、それらを一つのデータに統合し統合ラインデータとして画像蓄積装置18に記憶させる。なお、統合ラインデータの構成を図3に示す。
【0026】
画像処理装置19は、図示しない周知のCPU、ROM、RAM等で構成された装置であり、移動車両11のコンテナボックス11bに搭載されていてもよいが、移動車両11とは別に設置されていてもよい。この画像処理装置19は、ラインセンサカメラC1~C4ごとの分割ラインデータを移動車両11の移動距離に応じて並べることにより分割展開画像を作成し、更に、各ラインセンサカメラC1~C4ごとに作成した分割展開画像を繋ぎ合わせることによりトンネル51の壁面の展開画像を作成するものである。そして、この展開画像をディスプレイ20に表示したり、プリンタ21を通じて用紙に印字したりするものである。
【0027】
次に、本実施形態の展開画像作成装置10の動作について説明する。まず、オペレータは、展開画像作成装置10の移動車両11のコンテナボックス11bを開けて、スライドアングル12、13のスライド部12a、13aを外へ引き出し、スライド部12a、13aとほぼ重なっていたフレーム部12c、13cを回動軸12b、13b周りに約90°回動する。すると、トンネル壁面展開画像作成装置10は図1に示す状態になる。続いて、オペレータは、すべての照明器具14、14、…、ラインセンサカメラC1~C4及び制御装置17のスイッチを入れ、移動車両11の操縦部11aに乗り込み、単線トンネル51のレール52に沿って、トンネル入口に向けて走行を開始する。
【0028】
制御装置17は、図示しないスタートスイッチが入れられると、データ取込処理のプログラムを実行する。このプログラムが開始されると、制御装置17は、図4のフローチャートに示すように、まず制御装置17の図示しない内部カウンタのカウント値mをリセットする等の動作を含む初期設定を行い(S10)、次いでロータリエンコーダ22からパルス信号が入力されたか否かを判断し(S11)、パルス信号が入力されていなければ(S11でNO)、そのまま待機する。一方、ロータリエンコーダ22からパルス信号が入力されたならば(S11でYES)、カウント値mを一つ繰り上げ(S12)、そのカウント値mが所定値Mと一致するか否かを判断し(S13)、一致しなければ(S13でNO)、再びS11に戻る。ここで所定値Mは次のようにして定められた値である。即ち、移動車両11の移動距離と車輪の回転量との関係から、移動車両11が一定の移動距離(ここでは1mm程度)を進むのに必要な車輪の回転量を正確に求め、その車輪の回転量に応じたパルス信号の発生回数を求め、これを所定値Mと設定したものである。さて、S13において、カウント値mが所定値Mと一致したならば(S13でYES)、移動車両11が一定の移動距離を進んだと判断し、各ラインセンサカメラC1~C4から分割ラインデータ、カントセンサ15からカントデータ、距離積算計16から距離データを取り込み、図3に示す統合ラインデータとして画像蓄積装置18に蓄積する(S14)。その後、カウント値mをリセットし(S15)、次いでこのプログラムの終了を指示する入力がなされたか否かを判断し(S16)、かかる入力がなされていなければ(S16でNO)、再びS11に戻り、かかる入力がなされたならば(S16でYES)、このプログラムを終了する。
【0029】
移動車両11がトンネル出口から出た後、オペレータは移動車両11を停止させ、すべての照明器具14、14、…、ラインセンサカメラC1~C4、制御装置17のスイッチを切る。制御装置17のスイッチが切られると、図4のS16にて肯定判定され、データ取込処理のプログラムが終了する。続いて、オペレータは、画像処理装置19と画像蓄積装置18とを接続し、画像処理装置19のスイッチを入れる。すると、画像処理装置19は、図5に示すように、画素間隔補正ルーチン(S21)、カント補正ルーチン(S22)、分割展開画像作成ルーチン(S23)、トンネル壁面展開画像作成ルーチン(S24)を順に実行する。以下、各ルーチンについて説明する。
【0030】
図6に示す画素間隔補正ルーチンでは、画像処理装置19は、まず、画像蓄積装置18に蓄積されたすべての統合ラインデータから一つの統合ラインデータを読み出し(S30)、その統合ラインデータに含まれるカントデータを読み出してカントがあるか否かを判断する(S31)。なお、カントとは、水平方向に対する移動車両11がなす角度をいい、△θで表す。S31でカントなし即ち△θがゼロと判断されたならば(S31でNO)、画像処理装置19の図示しない内部カウンタのカウント値kをリセットし(S33)、次いでそのカウント値kを1つカウントアップし(S34)、その統合ラインデータに含まれる分割ラインデータを構成する画素群の中からk番目の画素の情報を読み出す(S35)。この画素の情報は、ラインセンサカメラの仮想結像面上の点をレンズ中心を原点とするカメラ座標系で表した点(f,Vk)として得られる(図7参照)。なお、仮想結像面とは、説明の便宜上、レンズ中心を対象心として実結像面を点対称させた面であり、実質的に実結像面上の点と同一である。そして、この座標点(f,Vk)をトンネル壁面上の点(Xk,Yk)に変換する(S36)。
【0031】
ここで変換操作につき、図7に基づいて説明する。各変数の定義は図7に記載したとおりである。さて、カメラ座標系においては下式▲1▼が成り立つ。また、トンネル座標系は、カメラ座標系を時計方向に角度θだけ回転し、さらにx方向にx0、y方向にy0だけ平行移動したものであるため、カメラ座標系における点(Xk,Yk)は、下記式▲2▼によりトンネル座標系における点(xk,yk)に変換することができる。更に、点(xk,yk)は半径rの円弧上に存在することから下記式▲3▼が成り立つ。したがって、下記式▲2▼と下記式▲3▼とから下記式▲4▼が得られる。下記式▲1▼と下記式▲4▼につきXk,Yk以外の値はすべて既知なので、下記式▲1▼と下記式▲4▼の連立方程式を解くことにより、Xk,Ykが得られる。
【0032】
【数1】
JP0004368008B2_000002t.gif
【0033】
一方、S31でカントありと判断されたならば(S31でYES)、既知の値を補正する(S32)。このときの様子を図8に示す。すなわち、上記各式におけるθの代わりにθ+△θとし、上記各式における点(x0,y0)の代わりに点(x0',y0')とする。なお、点(x0',y0')は点(x0,y0)及びカント△θに基づいて数学的に算出される。その後、既述したとおりのS33~S36の処理を行う。このように、カント△θを考慮しているため、正確に仮想結像面上の点をトンネル壁面上の点に変換することができる。
【0034】
S36の処理が終了した後、カウント値kが1つの分割ラインデータの総画素数nと一致するか否かを判断し(S37)、一致していなければ(S37でNO)、S30で読み出した統括ラインデータに含まれる分割ラインデータを構成する画素群のうち未処理のものが残っているため、再びS34~S36の処理を繰り返す。一方、カウント値が総画素数nと一致したならば(S37でYES)、仮想結像面上に観測されるすべての点(f,Vk)に対して座標値(Xk,Yk)が得られたことになるため、S38に進む。なお、k=1,2,…,nであり、本実施例ではn=4096である。
【0035】
S38では、変換後の座標点に基づいて画素間隔を補正する。つまり、仮想結像面上における点(f,V1)~(f,Vn)をみると各画素間隔はすべて等しいのであるが、点(f,V1)~(f,Vn)に対応するトンネル壁面上の点(X1,Y1)~(Xn,Yn)をみると隣合う二点の間隔はそれぞれ異なっているため、この異なる二点間隔を仮想結像面上における点(f,V1)~(f,Vn)の並びに反映させるのである。なお、トンネル壁面上の隣合う点つまり(Xk,Yk)と(Xk+1,Yk+1)との間隔は下記式▲5▼より求めることができる。
【0036】
例えば、図9に示すように、仮想結像面上における各画素間隔をaとし、点(X1,Y1)と点(X2,Y2)との間隔が点(X2,Y2)と点(X3,Y3)との間隔や点(X3,Y3)と点(X4,Y4)との間隔の2倍だったとすると、画素間隔を補正した後の画素の並びは図9の右側のようになる。但し、仮想結像面上では画素間隔つまり一画素あたりの画像幅は正規化され整数値であるため、トンネル壁面上の点間隔が端数を含む場合には正規化処理を行う。
【0037】
【数2】
JP0004368008B2_000003t.gif
【0038】
そして、S39において、画像蓄積装置18に蓄積されたすべての統合ラインデータにつきS30~S38の処理を行ったか否かを判断し、否定判定されたならば(S39でNO)、未処理の統合ラインデータにつき再びS30以降の処理を実行する。一方、S39で肯定判定されたならば(S39でYES)、この画素間隔補正ルーチンを終了する。この画素間隔補正ルーチンが終了すると、統合ラインデータ中の分割ラインデータはトンネル壁面の形状に即した画素間隔に補正されたことになる。
【0039】
図10に示すカント補正ルーチンでは、画像処理装置19は、画素間隔補正ルーチンの終了した統合ラインデータの中から一つの統合ラインデータを読み出し(S40)、その統合ラインデータに含まれるカントデータを読み出してカントがあるか否かを判断し(S41)、カントがなければ(S41でNO)、S43に進み、カントがあれば(S41でYES)、その統合ラインデータに含まれる分割ラインデータを構成する各画素のトンネル周方向の位置をカント△θに応じて補正し(S42)、その後S43に進む。S42のカント補正は、例えば、ラインセンサカメラのレンズ中心からトンネル壁面までの距離を超音波センサ等の距離センサにより測定し、その距離にsin△θを乗じた値を補正量とし、画素のトンネル周方向の位置をこの補正量で補正する。図11はカント補正の説明図である。カント補正を行う前では、トンネル51の所定高さを表す線は、移動距離に応じてカントが変化することにより本来直線状に表れるべきものが歪んだ曲線状に表れたのに対して、カント補正を行った後では、この線は直線状に表れる。そして、S43では、画像蓄積装置18に蓄積されたすべての統合ラインデータにつきS40~S42の処理を行ったか否かを判断し、否定判定されたならば(S43でNO)、未処理の統合ラインデータにつき再びS40以降の処理を実行する。一方、S43で肯定判定されたならば(S43でYES)、このカント補正ルーチンを終了する。このカント補正ルーチンが終了すると、統合ラインデータ中の分割ラインデータを構成する各画素のトンネル周方向の位置が正されたことになる。
【0040】
図12に示す分割展開画像作成ルーチンでは、画像処理装置19は、カウント値kをリセットし(S50)、続いてこのカウント値kを一つカウントアップし(S51)、カント補正ルーチンの終了した統合ラインデータの中から第kラインセンサカメラの統合ラインデータを読み出し、この統合ラインデータに含まれる距離データ即ち移動距離に応じて同じくその統合ラインデータに含まれる分割ラインデータを並べることにより、第kラインセンサカメラが撮影した画像即ち第k分割展開画像を作成する(S52)。その後、カウント値kがラインセンサカメラの総数(本実施例では4)と一致するか否かを判断し(S53)、一致しなければ(S53でNO)、再びS51以降の処理を実行し、一致したならば(S53でYES)、この分割展開画像作成ルーチンを終了する。この分割展開画像作成ルーチンが終了すると、図14に示すような第1~第4分割展開画像DDP1~DDP4が得られる。
【0041】
図13に示すトンネル壁面展開画像作成ルーチンでは、画像処理装置19は、第1~第4分割展開画像DDP1~DDP4を読み出し(S60)、次いで図14に示すように隣合う分割展開画像の重複部分をパターン認識により一致させて繋ぎ合わせることによりトンネル51の壁面の展開画像DPを作成する(S61)。なお、重複部分につき、パターン認識を用いる代わりに例えばオペレータが画像処理装置19の図示しない入力手段(キーボードあるいはマウス)を介して重複部分を指示してもよい。
【0042】
ここで、本実施形態の構成と本発明の構成との関係について説明する。本実施形態の制御装置17が、本発明のタイミング発生手段及びデータ取込手段に相当し、図4のS11~S13がタイミング発生手段の処理に相当し、図4のS14がデータ取込手段の処理に相当する。また、本実施形態の画像処理装置19が、本発明の画素間隔補正手段、カント補正手段及び展開画像作成手段に相当し、図6のフローチャートが画素間隔手段の処理に相当し、図10のフローチャートがカント補正手段の処理に相当し、図12及び図13のフローチャートが展開画像作成手段の処理に相当する。
【0043】
上記本実施形態のトンネル壁面の展開画像作成装置10によれば以下の効果が得られる。
▲1▼特開平6-42300号公報に記載されたトンネル検査装置に比べて、曲面鏡を使用しないため、曲面鏡の形状をトンネルの形状に合わせて設計するという複雑な作業が不要となり、光学系の構造が簡素化される。
▲2▼特開平6-42300号公報に記載されたトンネル検査装置に比べて、一台のラインセンサカメラがライン全体を撮影するのではなく、複数のラインセンサカメラC1~C4がそれぞれに対応する分割ラインL1~L4を撮影するものであるため、画像分解能が高くなる。具体的には、幅1mm程度のクラックまで認識できる。
▲3▼ラインセンサカメラC1~C4で撮影された分割ラインデータの各画素の位置を結像面上からトンネル壁面上に変換し、変換後の位置間隔に応じて分割ラインデータの画素間隔を補正した後、展開画像を作成するため、展開画像から測定される変状の幅・長さ等は、実際のトンネル壁面の変状の幅・長さ等を正確に反映したものであり、トンネル壁面の展開画像からトンネル壁面の変状を正確に把握できる。
▲4▼分割ラインデータの各画素の位置を結像面上からトンネル壁面上に変換する際にカント△θを加味したうえで変換しているため、展開画像に表れるクラックの幅・長さ等をより実際に近づけることができ、トンネル壁面の変状を一層正確に把握できる。
▲5▼カントによるトンネル壁面の展開画像の歪みを補正しているため、トンネル壁面の変状を一層正確に把握できる。
【0044】
尚、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0045】
例えば、上記実施形態のトンネル壁面展開画像作成装置10は単線トンネル51の壁面を撮影するものとして例示したが、図15に示すような複線トンネル61の壁面を撮影する場合には、移動車両11に2台のラインセンサカメラC1、C2を搭載し、複線トンネル61の左側半分を往路、右側半分を復路で撮影するようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では鉄道トンネルの壁面を撮影する装置について説明したが、移動車両11に例えばタイヤを取り付けて自動車トンネル内を走行できるようにして、自動車トンネルの壁面を撮影したり、工事用のトンネルの壁面を撮影してもよい。
【0047】
更に、上記実施形態では、カント補正を行う際、トンネル壁面までの距離にsin△θを乗じた値を補正量としたが、カントセンサ15から各地点ごとのカント量(図8参照)がわかるので、直接この量を補正量として用いてもよい。あるいは、カントを考慮した補正処理(つまりS31で肯定判断された後のS32~S36の処理)を行った後に、カントありの区間(つまり△θがゼロから徐々に増加して所定量に達し、その後徐々に減少してゼロになるまでの区間)でのラインの相関をとり、その区間におけるずれの推移から補正量を求めてもよい。
【0048】
更にまた、上記実施形態では、ロータリエンコーダ22から出力されるパルス信号に基づいて所定タイミングを発生させているため、車輪が空転したりスリップしたりすることにより所定タイミングが所定距離と一致しなくなることがあるが、この場合には、距離データを適宜補正をすることが好ましい。すなわち、このように所定タイミングを発生させている場合には、データ取込手段によって取り込まれた分割ラインデータと所定タイミングに基づいて得られる距離データとを対応づけるデータ加工手段と、所定タイミングの発生する間隔が予め設定した所定距離と一致しているか否かを判断する判断手段と、所定タイミングの発生する実際の間隔が所定距離と一致していないと判断手段により判断された場合にはその実際の間隔に応じて距離データを補正する距離補正手段とを備えていることが好ましい。例えば上記実施形態における制御装置17をデータ加工手段とし、画像処理装置19を判断手段及び距離補正手段とすることができる。具体的には、車輪が空転すると、空転した区間は画素間隔が狭くなり、例えば本来10m分が撮影されるべきところを9m分しか撮影されなかったことになるため、全体が9mとなるように空転区間の距離データを補正する。また、車輪がスリップすると、スリップした区間は画素間隔が広くなり、例えば本来10m分が撮影されるべきところを11m分撮影されてしまうため、全体が11mとなるようにスリップ区間の距離データを補正する。このような構成を採用することにより、トンネル壁面の展開画像からトンネルの奥行き方向の長さをより正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態のトンネル壁面撮影装置の概略斜視図である。
【図2】 本実施形態のラインセンサカメラの配置図である。
【図3】 統合ラインデータの構成を表す説明図である。
【図4】 制御装置のデータ取込処理を表すフローチャートである。
【図5】 画像処理装置の全体的な処理を表すフローチャートである。
【図6】 画像処理装置の画素間隔補正ルーチンを表すフローチャートである。
【図7】 カントなしの場合の画素間隔補正の説明図である。
【図8】 カントありの場合の画素間隔補正の説明図である。
【図9】 画素間隔補正処理の前後の分割ラインデータを表す説明図である。
【図10】 画像処理装置のカント補正ルーチンを表すフローチャートである。
【図11】 カント補正の説明図である。
【図12】 画像処理装置の分割展開画像作成ルーチンのフローチャートである。
【図13】 画像処理装置のトンネル壁面画像作成ルーチンのフローチャートである。
【図14】 分割展開画像及びトンネル壁面展開画像の説明図である。
【図15】 複線トンネルを撮影する際の説明図である。
【符号の説明】
10・・・トンネル壁面展開画像作成装置、11・・・移動車両、11b・・・コンテナボックス、12、13・・・スライドアングル、14・・・照明器具、15・・・カントセンサ、16・・・距離積算計、17・・・制御装置、18・・・画像蓄積装置、19・・・画像処理装置、51・・・単線トンネル、52・・・レール、C1~C4・・・第1~第4ラインセンサカメラ、DDP1~DDP4・・・第1~第4分割展開画像、DP・・・展開画像、L・・・ライン、L1~L4・・・第1~第4分割ライン。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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