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明細書 :タイプレート式レール締結装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3655140号 (P3655140)
公開番号 特開2001-081704 (P2001-081704A)
登録日 平成17年3月11日(2005.3.11)
発行日 平成17年6月2日(2005.6.2)
公開日 平成13年3月27日(2001.3.27)
発明の名称または考案の名称 タイプレート式レール締結装置
国際特許分類 E01B  9/38      
FI E01B 9/38
請求項の数または発明の数 1
全頁数 8
出願番号 特願平11-257077 (P1999-257077)
出願日 平成11年9月10日(1999.9.10)
審査請求日 平成14年2月13日(2002.2.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】590003825
【氏名又は名称】北海道旅客鉄道株式会社
【識別番号】000143019
【氏名又は名称】株式会社ミツテック
発明者または考案者 【氏名】阿部 則次
【氏名】若月 修
【氏名】川崎 祐征
【氏名】沼田 哲
【氏名】平田 和敏
【氏名】小室 俊一
【氏名】宮▲崎▼ 亮勲
【氏名】横田 昌武
個別代理人の代理人 【識別番号】100089761、【弁理士】、【氏名又は名称】八幡 義博
審査官 【審査官】西田 秀彦
参考文献・文献 実開平02-084801(JP,U)
実公昭47-005122(JP,Y1)
実開平07-015801(JP,U)
特開平07-238501(JP,A)
実開昭57-119801(JP,U)
実公昭36-023634(JP,Y1)
調査した分野 E01B 9/30
E01B 9/38
E01B 9/62
特許請求の範囲 【請求項1】
次の各手段を有することを特徴とするタイプレート式レール締結装置。
(イ)レールとまくらぎの間に設置されるものであって、レール底部がかかる幅の左右に、レール頭部が受けてレール底部に伝達される横圧力を受け止めるショルダーが、必要とするレール扛上量に対応した高さで、レールの長さ方向に沿って、板ばね幅が入る間隔を置いた2箇所に隆起形成され、その間隔部には締結ボルトが貫通し得る左右長穴を有し、且つ装着される板ばねのばね尻がレールの左右方向に移動するのを防止するためのばね尻受け凹部が形成されている鋼鉄製のタイプレート
(ロ)横断面が湾曲横U字状で、U字の尻部分が下方へ曲がり、U字開口部の下端側はレール底部を抑えるクランク形状であり、横U字の上下を締結用ボルトが貫通し得る左右長穴を有する金属製の板ばね
(ハ)締結用のナットと板ばねの間に入れられるものであって、締結用ボルトが貫通しうる長穴を有し、平面上に置いた場合に上面が長穴の長手方向に傾斜するような足部が長穴長手方向の前方下部および後方下部の少なくとも一方に設けられており、前記板ばねの湾曲横U字状上側片の湾曲部に長穴方向を同じくして載置したとき、その長穴方向に移動させたり、向きを逆にすることにより、前記板ばねの長穴方向の傾斜が変わっても、上面を締結用ボルトの軸方向に対し垂直な面に合わせることのできる金属製板状の補助ばね
(ニ)まくらぎの、前記タイプレート設置位置に植設され、装着される前記タイプレート、板ばねおよび補助ばねの長穴を貫通することになる締結用ボルト
(ホ)前記締結用ボルトにねじ込んで締め付ける締結用ナット
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道において、レールをまくらぎに締結する技術の分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
寒冷地における鉄道においては、道床の凍結によって霜柱が立ち軌道が持ち上げられ(凍上と言う)、レールの高さが変わるという現象を呈する。この凍上は場所によって一様ではないからレールの上下方向の不整による軌道の高低狂いを生ずる。
そこで、この狂いを解消するためにレールの高さを調整(レール高低調整)するという作業が行われる。このレール高低調整はレールをまくらぎへ締結するレール締結装置のところで行われている。
【0003】
従来のレール締結装置を図3に示す。
PCまくらぎ21の上にレール高低調整用のはさみ木19を置き、その上に軌道パッド10を置きその上にレール11のレール底部13が据え置かれる。その左右にはPCまくらぎ21にねじ込み植設された締結用ボルト6が立っており、この締結用ボルト6に、湾曲横U字状の板ばね4の上下貫通の長穴を嵌め込み、U字開口部下端のクランク部22がレール底部13にかかるようにし、一方ばね尻15がばね受台14におさまるように位置決めした後に、締結用ボルト6に平座金18を嵌めて締結用ナット7をねじ込み締め付けることにより、レール11を締結している。
【0004】
このようなレール締結装置において、レール11の高低調整は、はさみ木19の厚さ寸法の違うものを入れ替えることによって行われる。
図4、図5は、はさみ木19を順次厚くしていった場合の締結状態を示すものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、はさみ木をどんどん厚くしてレールを高くしていくと、板ばね4のクランク部も当然上に上がって行き、レール11の左右の板ばね4,4は八の字状に立ち上がってくる。
【0006】
ばね4の傾斜が大きくなってくると、板ばね4から締結用ナット7に加わる力が締結用ナット7を傾けるような力となり、締結ボルト6に発生する曲げ応力も過大になり好ましくないという問題がある。
このような問題があるため、はさみ木の厚さを替えてのレール高低調整の安全な範囲は0~15mm程とされている。
しかるに、近年の凍上によるレール高低調整の実績では高低調整範囲の更なる拡大が求められている。
【0007】
本発明の目的は、上記従来のレール締結装置の問題点に鑑みて、レールの位置が高くなり板ばねが傾斜しても締結ナットの下面には一様な力が加わるようにする補助ばねを用いることにより締結ボルトに過大な曲げ応力がかからないようにしたタイプレート式レール締結装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のタイプレート式レール締結装置は、以下の各構成からなることを特徴とする。
(イ)レールとまくらぎの間に設置されるものであって、レール底部がかかる幅の左右に、レール頭部が受けてレール底部に伝達される横圧力を受け止めるショルダーが、必要とするレール扛上量に対応した高さで、レールの長さ方向に沿って、板ばね幅が入る間隔を置いた2箇所に隆起形成され、その間隔部には締結ボルトが貫通し得る左右長穴を有し、且つ装着される板ばねのばね尻がレールの左右方向に移動するのを防止するためのばね尻受け凹部が形成されている鋼鉄製のタイプレート
(ロ)横断面が湾曲横U字状で、U字の尻部分が下方へ曲がり、U字開口部の下端側はレール底部を抑えるクランク形状であり、横U字の上下を締結用ボルトが貫通し得る左右長穴を有する金属製の板ばね
(ハ)締結用のナットと板ばねの間に入れられるものであって、締結用ボルトが貫通しうる長穴を有し、平面上に置いた場合に上面が長穴の長手方向に傾斜するような足部が長穴長手方向の前方下部および後方下部の少なくとも一方に設けられており、前記板ばねの湾曲横U字状上側片の湾曲部に長穴方向を同じくして載置したとき、その長穴方向に移動させたり、向きを逆にすることにより、前記板ばねの長穴方向の傾斜が変わっても、上面を締結用ボルトの軸方向に対し垂直な面に合わせることのできる金属製板状の補助ばね
(ニ)まくらぎの、前記タイプレート設置位置に植設され、装着される前記タイプレート、板ばねおよび補助ばねの長穴を貫通することになる締結用ボルト
(ホ)前記締結用ボルトにねじ込んで締め付ける締結用ナット
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は、従来通りのばね受台、軌道パッドを用いて、まくらぎの上へタイプレートを、その長穴にまくらぎに植設されている締結用ボルトを貫通させるようにして配設し、タイプレートの左右のショルダーの間にレール高低調整用の調整パッキンを置きその上に軌道パッドを敷きその上にレールの底部を載せる。次に板ばねをその長穴に締結ボルトを貫通させそのクランク部がレールの底部にかかるように且つばね尻がばね尻受け凹部に収まるように配置する。その板ばねの上に、補助ばねをその長穴に締結用ボルトを貫通させるように置き、更に平座金を置いて締結用ボルトをねじ締めていく。
【0010】
このとき、ねじ締め終わったときに補助ばねの上面が水平になるように、左右の向きおよび左右位置を調節しておく。補助ばねの足は左右で高さが異なっており、一方板ばねの上面は湾曲しており、また調整パッキンの高さによっては左右に傾くので、補助ばねの長穴に沿って左右の位置をずらしたり、あるいは左右を逆にすることによって補助ばねの上面を水平に持って行くことができる。
【0011】
このように、補助ばねを用いたことにより締結用ナットに加わる力は、締結用ボルトの軸方向のみの力となり、従来のように締結用ボルトに過大な曲げ応力が作用するということがなくなり、締結用ボルトの劣化や損傷がなくなる。このためレールの高さを40mmまで扛上できる。
【0012】
また、レールに横圧が加わってもレールの横圧力はレール底部がタイプレートのショルダーに当接しているのでショルダーが受け止めることになり、板ばねにかかるということがない。
従って、レールにかかる横圧によって板ばねのばね尻部分に発生する応力が過大となることがなく折損の恐れがない。更に板ばねのばね尻はばね尻受凹部に収まっているので左右にずれることがなく板ばねの劣化や損傷の恐れがない。このためレールの高さを40mmまで扛上できる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明のタイプレート式レール締結装置の実施例を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例の構造図であり(a)は平面図、(b)は断面図である。PCまくらぎ21の上には、従来と同様にばね受台14とゴムパッド9が置かれ、その上にタイプレート1が置かれている。タイプレート1にはレール11のレール底部13の左右の位置に、ショルダー2が2箇所ずつ計4箇所隆起形成されており、左側の2箇所の間および右側の2箇所の間には締結用ボルトが貫通する長穴23が設けられ、更にタイプレート1の左右両端近くには突起3が設けられており、両端部のせり上がりとで板ばね4のばね尻15を受けるためのばね尻受凹部を形成している。締結用ボルト6は従来通りのものである。
【0014】
タイプレート1の左右のショルダー2の間には、厚さを選ぶことによってレールの扛上量を調整するための調整パッキンが置かれるが図1の(b)では、調整バッキンが置かれず軌道パッド10のみの状態が示されている。その軌道パッド10の上にレール11が置かれている。そのレール底部13の両側に板ばね4のクランク部22がかかるように締結用ボルト6に板ばね4の長穴を嵌め、その上に補助ばね5および平座金18が置かれ、締結用ナット7によって締め付けられている。この締結用ナット7の締め付けによりタイプレート1および板ばね4がレール11とともにPCまくらぎ21に固定されることになる。
【0015】
そして、レール11にかかった横圧はタイプレート1のショルダー2によって受け止められ板ばね4にはかからない。また、板ばね4のばね尻15はタイプレート1の突起3と両端のせり上りによって形成される凹部に収まるので左右方向に移動することもない。
【0016】
図2は、図1の(b)の状態に対して、タイプレート1と軌道パッド10の間にレールを高くするための調整パッキン8が挿入された状態を示す図であり、図2の(a)は調整パッキンが薄い場合であり、(b)は厚い場合を示している。調整パッキン8はレールの扛上量調整範囲に応じて複数段階の厚さのものが用意され、必要な扛上量に応じて選択される。
【0017】
図1の(b)、図2の(a)、図の2の(b)は順次レール11の扛上量を大きくしていったことを示しているが、これにより当然板ばねの傾斜が変化する。図1の(b)では量も低い場合で、板ばね4の上面はレール11寄りに下がって行く傾斜となっている。この場合補助ばね5は長い足17をレール側にすることにより、板ばね4の傾斜を補って補助ばね5の上面は水平となっている。次に図2の(a)のように調整パッキン8が挿入されると板ばね4のレール11寄りの端部は持ち上がってくるがこのときには、板ばね4の上面が湾曲しているので補助ばね5をレール11寄りにずらすことによって上面を水平に保つことができる。補助ばね5にはこのような左右方向の移動が可能なように締結用ボルト6の貫通する穴は左右方向の長穴となっている。
【0018】
更に、図2の(b)のように、調整パッキンが厚くなりレール11の扛上量が大きくなってくると、板ばね4の上面はレール11寄りに上がり傾斜となってくる。このような場合には、補助ばね5を左右逆にして長い足17が外側に来るようにすることにより補助ばね5の上面を水平に保つことができる。このような補助ばね5を用いることにより締結用ナット7の締め付けによる反力は常に締結用ボルト6の軸方向の力のみとなり締結用ボルト6に対して過大な曲げ応力が作用することがない。
【0019】
以上のような構造の採用により、従来、レール高低調整範囲が0~15mm程度であったのが、0~40mmまで安全に拡張することができるようになった。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のタイプレート式レール締結装置は、左右の足の高さの異なる補助ばねを用いることにより拡大されたレールの高低調整範囲に渡って締結用ボルトに折損の原因となる曲げ応力を作用させることがなくなるという利点がある。
また、タイプレートの固定と板ばねの固定を1本の締結用ボルトと1個の締結用ナットで行っている点も、従来のタイプレートと板ばねの固定を別のボルト・ナットで行っていたのに較べ部品点数の削減、設置工数の削減という点で利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイプレート式レール締結装置の構造図である。
【図2】本発明のタイプレート式レール締結装置においてレール高低調整用の調整パッキンを挿入した場合の構造図である。
【図3】従来のレール締結装置の構造図である。
【図4】従来のレール締結装置でレール高低調整用のはさみ木を図3よりも厚くした構造図である。
【図5】従来のレール締結装置でレール高低調整用のはさみ木を図4よりも厚くした場合の構造図である。
【符号の説明】
1 タイプレート
2 ショルダー
3 突起
4 板ばね
5 補助ばね
6 締結用ボルト
7 締結用ナット
8 調整パッキン
9 ゴムパッド
10 軌道パッド
11 レール
12 レール頭部
13 レール底部
14 ばね受台
15 ばね尻
16 足
17 足
18 平座金
19 はさみ木
20 はさみ木
21 PCまくらぎ
22 クランク部
23 長穴
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4