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明細書 :磁極が異なる複数のバルク超電導磁石連結体の着磁方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4194061号 (P4194061)
公開番号 特開2001-093728 (P2001-093728A)
登録日 平成20年10月3日(2008.10.3)
発行日 平成20年12月10日(2008.12.10)
公開日 平成13年4月6日(2001.4.6)
発明の名称または考案の名称 磁極が異なる複数のバルク超電導磁石連結体の着磁方法
国際特許分類 H01F  13/00        (2006.01)
H02K  15/03        (2006.01)
FI H01F 13/00 B
H02K 15/03 ZAAG
請求項の数または発明の数 2
全頁数 6
出願番号 特願平11-271195 (P1999-271195)
出願日 平成11年9月24日(1999.9.24)
審査請求日 平成17年12月16日(2005.12.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】391004481
【氏名又は名称】財団法人国際超電導産業技術研究センター
【識別番号】000242644
【氏名又は名称】北陸電力株式会社
発明者または考案者 【氏名】長嶋 賢
【氏名】村上 雅人
【氏名】宮本 毅
【氏名】小林 敦之
【氏名】塚本 修巳
個別代理人の代理人 【識別番号】100088270、【弁理士】、【氏名又は名称】今井 毅
審査官 【審査官】近藤 聡
参考文献・文献 実公平5-14490(JP,Y2)
実公平2-49684(JP,Y2)
調査した分野 H01F 13/00
H02K 15/00
特許請求の範囲 【請求項1】
複数のバルク超電導磁石材の隣り合うバルク超電導磁石材同士を重ね合わせ・開放自在に連結した後、各バルク超電導磁石材の全てを重ね合わせてこの状態のままで磁化処理を行い、次いで磁化後の各バルク超電導磁石重ね合わせ体の各々を交互に開いて並列させることを特徴とする、磁極が異なる複数のバルク超電導磁石連結体の着磁方法。
【請求項2】
バルク超電導磁石材の重ね合わせ体を磁化処理を、バルク超電導磁石材の重ね合わせ面を密着させることなく互いの面が角度を成す半開き状態を保って行うことを特徴とする、請求項1記載の磁極が異なる複数のバルク超電導磁石連結体の着磁方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、磁極が交互に変化するように磁化されて配列された複数のバルク超電導体から成る“超電導磁石連結体”の着磁方法に関し、例えばリニアモ-タ-,回転式モ-タ-,アクチュエ-タ,磁気分離装置等に好適な磁場発生部材を提供するものである。
【0002】
【従来技術及びその課題】
近年、臨界温度が液体窒素温度を超える酸化物超電導体の発見が契機となって様々な高温超電導材料の提供がなされるようになり、最近ではこのような材料を使った高温超電導コイルやバルク超電導体の応用技術が盛んに検討されている。
【0003】
ところで、例えば特開平7-111213号公報にも説明されているように、RE-Ba-Cu-O系酸化物高温超電導バルク体(但し、 REはY,La,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,Yb等の希土類元素)等のバルク超電導体は、その体内に形成されるピンニングセンタ-の大きなピン止め効果を利用して強磁場を捕捉させることが可能であることから、これを疑似永久磁石として利用できることが知られており、既に10Tを超える磁場を捕捉する材料も得られている。
そして、このようなバルク超電導体の強力な捕捉磁場を利用し、これを回転式モ-タ-,リニアモ-タ-,アクチュエ-タ等の原動機や、混合物から磁性物質を分離する磁気分離装置(例えば鉱石の選鉱,工場廃水等の処理,紙の再生工程等で用いられる)等に適用することも検討されている。
【0004】
ただ、磁力による推進力は磁場の強さだけではなく磁場勾配にも大きく依存する。即ち、磁場が幾ら大きくても磁場勾配がゼロであれば磁性体に推進力は働かない。
そのため、永久磁石等によって磁気推進力を得るためには、複数の磁石を磁極が変化するように配列して磁気勾配を発生させることが必要である。
従って、例えば前記回転式モ-タ-,リニアモ-タ-,アクチュエ-タ,磁気分離装置等では、隣り合う磁石の極性が交互に異なるような磁石配置として磁場勾配が発生するように図られる。
【0005】
なお、このような磁石配置を実現するためには、複数の磁石材を個々に磁化処理して着磁させてからこれらを極性が交互に変化するような配置で並べるか、あるいは所定配置に並べた磁石材の個々に磁化処理用コイルを配して隣り合う磁石の極性が交互に異なる状態となるように各磁石材の着磁を行う必要があった。
【0006】
しかしながら、「磁石材の個々に磁化処理用コイルを配して着磁させる手法」では磁化装置が複雑で冗長になってしまい、単なる研究用としては容認できるかもしれないが、工業的手段としての採用にはコストや作業能率の点で大きな問題があった。
【0007】
一方、「磁石材を個々に着磁させてから極性が交互に変化するように配置する方法」では、磁石材がバルク超電導体の場合には次の問題があり、やはり実際的な手段とは言えなかった。
即ち、バルク超電導磁石の着磁方法としては、通常、超電導コイルマグネットが発生する磁場空間にバルク超電導体を配置し、この状態でバルク超電導体の臨界温度以下にまで磁場中冷却した後、磁場を取り去る方法(磁場中冷却法)が採用される。
しかし、着磁後のバルク超電導磁石は極低温に冷却されている上、磁力が極めて強力であるので、これらの磁石を磁化方向(極性)が個々に変化するように並べて磁場勾配が発生するように配置することは非常に困難でかつ危険を伴い、そのため、「磁石材を個々に着磁させてから極性が交互に変化するように配置する方法」はバルク超電導磁石の場合には工業的手段として不適であると判断せざるを得なかった。
この問題は、優れた性能が期待される捕捉磁場の大きいバルク超電導磁石ほど深刻であった。
【0008】
このようなことから、本発明が目的としたのは、磁場勾配が発生するように磁極を交互に変化させて配置した複数のバルク超電導磁石から成る“超電導磁石連結体”を容易にかつ低コストで製造する手段を確立することであった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、「バルク超電導磁石材を磁化する際、 複数のバルク超電導磁石材を蝶番等の折り曲げ自在な連結機構により折り畳み・引き延ばし自在に連結しておき、 これらを折り畳んだ状態で一括して着磁処理した後、 これを引き延ばして開放することによって、 交番磁場を有し大きな磁気勾配を持った超電導磁石連結体が簡単・容易に得られる」という新規で特異な知見を得ることができた。
【0010】
本発明は、上記知見事項等を基に完成されたものであり、次に示す「磁極が異なる複数のバルク超電導磁石連結体の着磁方法」を提供するものである。
(1) 複数のバルク超電導磁石材の隣り合うバルク超電導磁石材同士を重ね合わせ・開放自在に連結した後、各バルク超電導磁石材の全てを重ね合わせてこの状態のままで磁化処理を行い、次いで磁化後の各バルク超電導磁石重ね合わせ体の各々を交互に開いて並列させることを特徴とする、磁極が異なる複数のバルク超電導磁石連結体の着磁方法。
(2) バルク超電導磁石材の重ね合わせ体を磁化処理を、バルク超電導磁石材の重ね合わせ面を密着させることなく互いの面が角度を成す半開き状態を保って行うことを特徴とする、前記 (1)項記載の磁極が異なる複数のバルク超電導磁石連結体の着磁方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
続いて、本発明を実施形態例に係る図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る“磁極が異なる複数のバルク超電導磁石連結体の製造方法”の実施手順例を示した説明図である。
本発明法に従えば、まず、複数個のバルク超電導磁石材{例えばRE-Ba-Cu-O系酸化物高温超電導バルク体(但し、 REはY,La,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,Yb等の希土類元素)等}を蝶番等のような折り曲げ自在な自在連結具(ステンレス鋼製等)で重ね合わせ(折り畳み)自在に連結される〔図中の工程▲1▼〕。
【0012】
続いて、これらのバルク超電導磁石材を折り畳んで重ね合わせた状態でソレノイドコイル内に挿入して磁化処理を行い、その状態のままでバルク超電導体の臨界温度以下にまで磁場中冷却する〔図中の工程▲2▼〕。
そして、ソレノイドコイルによる磁場を取り去ってから、着磁したバルク超電導磁石の重ね合わせ体をソレノイドコイルから取り出す。
【0013】
次に、予め準備しておいた“ガイドネジ”や“てこ”等によって着磁したバルク超電導磁石の重ね合わせ体を交互に開いて引き延ばし〔図中の工程▲3▼〕、図1中の工程▲4▼に示したように並列させて固定する。
【0014】
このような手法により、図1中の工程▲4▼に示した“異なる方向に磁化されたバルク超電導磁石が交互に並んだ配列を採るバルク超電導磁石連結体”を、小さなボア径のコイル1つを使った一度の着磁処理のみで簡単・容易に製造することができる。
【0015】
また、着磁したバルク超電導磁石の重ね合わせ体を開放するために上述したような“ガイドネジ”や“てこ”を利用すれば、強力に密着しているバルク超電導磁石同士の引き離し(開放)と並列化を容易に行うことができ、先に述べた“バルク超電導磁石の配置作業に伴う危険や困難”を十分に回避できる。
【0016】
なお、バルク超電導磁石材の重ね合わせ体を磁化処理する際に、バルク超電導磁石材の重ね合わせ面を密着させることなく互いの面が角度を成す半開き状態を保って磁化処理するようにすれば、着磁したバルク超電導磁石重ね合わせ体の開放が一層容易となる。これは、磁石の吸着力は“距離の2乗”の比率で増減するため、着磁したバルク超電導磁石重ね合わせ体が半開き状態であると開放に要する力が著しく減少するからである。
ここで、バルク超電導磁石重ね合わせ体を半開き状態に保つ手段としては、例えばバルク超電導磁石材を重ね合わせて磁化処理する際、各磁石材の開放端に磁化に悪影響を及ぼさない周知の材料を挟み込んでおく等の方法を適用することができる。
【0017】
なお、上記磁化処理の際にバルク超電導磁石材の重ね合わせ面同士がなす角度を大きくすれば大きくするほど着磁後の重ね合わせ体の開放が容易になるが、一方で着磁場は小さくなってしまう。従って、できるだけ着磁場が大きく、かつ重ね合わせ体の開放が容易である角度(バルク超電導磁石材の重ね合わせ面同士がなす角度)を個々のケ-スに応じて検討し、これらを満足する最適な角度をケ-スバイケ-スで選ぶのが良い。
【0018】
ところで、図1では磁極が異なる複数のバルク超電導磁石が直線状に並列した連結体の製造例を示すに止まったが、着磁前のバルク超電導磁石材の重ね合わせ方を工夫すれば、例えば図2に示すように、磁極が異なる複数のバルク超電導磁石が二次元方向に配列した連結体を製造することができ、二次元方向に磁気推進力を必要とする位置決め装置や物流装置等に適用する部材を得ることも可能である。
更に、重ね合わせ体を開いた時に磁極が異なる複数のバルク超電導磁石が三次元配列するようなバルク超電導磁石材の重ね合わせ方を選べば、三次元方向に磁気推進力を発現するバルク超電導磁石連結体を得ることもでき、例えば磁気分離装置等の高性能化に寄与することが期待できる。
【0019】
【実施例】
ab面が辺長40mmの正方形状で、厚みが10mmのY-Ba-Cu-O超電導バルク体を4個準備し、これらにステンレス鋼製の蝶番を取り付けて図1の▲1▼に示すような連結体を作成した。
次いで、この超電導バルク体の連結体を図1の▲2▼に示すように折り畳んで重ね合わせてソレノイドコイル内に挿入し、1Tの磁場中で磁化処理を行い、その状態のまま液体窒素温度(77.3K)まで磁場中冷却した。
【0020】
続いて、ソレノイドコイルによる磁場を取り去ってから、着磁したバルク超電導磁石の重ね合わせ体をソレノイドコイルから取り出し、ガイドネジを利用して着磁した超電導磁石の重ね合わせ体を図1の▲3▼で示すように交互に開いて引き延ばし、図1の▲4▼に示したように並列させて固定した。
【0021】
このようにして得られたバルク超電導磁石連結体につき、その磁場分布を調査したところ、表面磁場で 0.5Tが交互に並ぶような磁場分布が実現されていることを確認した。
【0022】
【効果の総括】
以上に説明した如く、この発明によれば、例えば交番磁界を発現する“磁極が異なる複数のバルク超電導磁石連結体”を一回の着磁処理でもって、しかも単純な設備によるだけで危険を伴うことなく容易かつ低コストで得ることが可能となるなど、産業上極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る“磁極が異なる複数のバルク超電導磁石連結体の着磁方法”の実施手順例を示した説明図である。
【図2】磁極が異なる複数のバルク超電導磁石が二次元方向に配列した連結体を示す模式図である。
図面
【図1】
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【図2】
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