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明細書 :透光性アルミナ焼結体の製造方法と光フィルタの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4729705号 (P4729705)
公開番号 特開2007-182348 (P2007-182348A)
登録日 平成23年4月28日(2011.4.28)
発行日 平成23年7月20日(2011.7.20)
公開日 平成19年7月19日(2007.7.19)
発明の名称または考案の名称 透光性アルミナ焼結体の製造方法と光フィルタの製造方法
国際特許分類 C04B  35/115       (2006.01)
G02B   5/22        (2006.01)
FI C04B 35/10 C
G02B 5/22
請求項の数または発明の数 2
全頁数 7
出願番号 特願2006-001308 (P2006-001308)
出願日 平成18年1月6日(2006.1.6)
審査請求日 平成20年12月17日(2008.12.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
発明者または考案者 【氏名】長島 正明
【氏名】早川 元造
個別代理人の代理人 【識別番号】100100158、【弁理士】、【氏名又は名称】鮫島 睦
【識別番号】100068526、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 恭生
【識別番号】100091465、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 久夫
【識別番号】100138863、【弁理士】、【氏名又は名称】言上 惠一
審査官 【審査官】小川 武
参考文献・文献 特開平06-056514(JP,A)
特開2001-322867(JP,A)
特開昭57-123861(JP,A)
特開昭63-231361(JP,A)
特開2002-121066(JP,A)
調査した分野 C04B 35/115
G02B 5/22
特許請求の範囲 【請求項1】
アルミナ粉末に、酸化マンガン(MnO)を0.01wt%~0.4wt%の範囲で混合して成形してなる成形体を、1400℃以下の温度で焼成することを含む透光性アルミナ焼結体の製造方法。
【請求項2】
アルミナ粉末に、酸化マンガン(MnO)を0.01wt%~0.4wt%の範囲で混合して成形してなる成形体を、1400℃以下の温度で焼成して透光性アルミナ焼結体を製造し、該焼結体を特定の阻止帯域の光の透過を阻止し、前記阻止帯域より長い波長の光と前記阻止帯域より短い波長の光を透過させる光フィルタに用いることを特徴とする光フィルタの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性を有する透光性アルミナ焼結体とそれを用いた光フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
アルミナ焼結体は、機械的強度、電気絶縁性、耐熱耐食性に優れた材料であり、従来から幅広く用いられている。また、それらの優れた特性に加えさらに透光性を有するアルミナ焼結体は、高圧ナトリウムランプ用発光管やメタルハライドランプ等の高輝度放電灯(HID)等に用いられている。
【0003】
従来、透光性アルミナ焼結体としては、MgOの添加(特許文献1)したものが一般的に用いられており、MgOの他にLa2O3及びY2O3を添加して粒界相を形成し、結晶粒子を均一にすることにより透光性を改善すること(特許文献2)等も報告されている。

【特許文献1】米国特許3026,210
【特許文献2】特公昭57-37554号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の透光性アルミナ焼結体は、1600℃以上の比較的高温で焼成する必要があり、かつ水素中又は真空中で焼成することが必要であることから、安価に製造することが困難であるという問題があった。
また、従来の透光性アルミナ焼結体は、高圧ナトリウムランプ用発光管等の限られた用途のみに使用されていた。
【0005】
そこで、本発明は、比較的低温で焼成することが可能で安価に製造できる透光性アルミナ焼結体の製造方法を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、光フィルタの製造方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の第1の目的を達成するために、本発明に係る透光性アルミナ焼結体の製造方法は、アルミナ粉末に、酸化マンガン(MnO)を0.01wt%~0.4wt%の範囲で混合して成形してなる成形体を、1400℃以下の温度で焼成することを含むことを特徴とする。
この本発明に係る光性アルミナ焼結体の製造方法によれば、大気雰囲気中でかつ従来の透光性アルミナ焼結体より低温で焼成して製造することが可能である。
【0007】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明に係る光フィルタの製造方法は、アルミナ粉末に、酸化マンガン(MnO)を0.01wt%~0.4wt%の範囲で混合して成形してなる成形体を、1400℃以下の温度で焼成して透光性アルミナ焼結体を製造し、該焼結体を特定の阻止帯域の光の透過を阻止し、前記阻止帯域より長い波長の光と前記阻止帯域より短い波長の光を透過させる光フィルタに用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のように構成された本発明に係る透光性アルミナ焼結体の製造方法は、大気雰囲気中でかつ比較的低温で焼成することができるので、安価に製造できる。
また、本発明に係る製造方法により作製された透光性アルミナ焼結体は、光の透過率が波長依存性を有しているので、光管以外の用途に使用し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態について説明する。
本実施の形態の透光性アルミナ焼結体は、マンガンを含むアルミナにより構成されており、高い透光性を有している。
すなわち、本発明は、本発明者等による鋭意研究の結果、アルミナにMnを含む例えば酸化マンガン(MnO)を添加して焼成することにより透光性を有する透光性アルミナ焼結体が得られることを見出して、完成するに至ったものである。
【0010】
具体的には、アルミナ粉末に、酸化マンガン(MnO)を、例えば、0.01wt%~0.4wt%の範囲で添加して混合した後、成形して焼成する。このように、酸化マンガン(MnO)を添加すると、大気中においてかつ1600℃以下の比較的低温で焼結させても良好な透光性を有する透光性アルミナ焼結体が得られ、以下のような効果を有する。る。
【0011】
第1に、特別な雰囲気にすることなく、1600℃以下という比較的低温で焼成することができるので、高価な炉が必要でなく、安価に製造することができる。
また、本発明によれば、さらに、1400℃以下というより低温で焼成することができることから、異常結晶粒成長を抑えることができることは言うまでもなく、焼結後の結晶粒径を小さくできるので、機械的強度を高くできる。
さらに、Mnが添加された透光性アルミナ焼結体は、透光性が波長によって変化する波長依存性を有しており、例えば、特定の波長の光を除去したり、特定の波長の光を通過させるフィルタ等の新たな用途に適用し得る。
【実施例1】
【0012】
実施例1として、酸化マンガン(MnO)の添加量が異なる6種類のアルミナ焼結体を作製してそれぞれ透過率を評価した。
各試料における酸化マンガン(MnO)の添加量、焼成温度及び焼成時間は以下の表1のようにした。
【0013】
表1
JP0004729705B2_000002t.gif
【0014】
また、本実施例1では、以下のようなステップで、それぞれ厚さ0.5mmの試料を作製した。
1.秤量
最初に、アルミナ粉体と酸化マンガンとを表1の割合になるように秤量する。
尚、実施例1では、原料として、平均粒径0.2μm、純度99.99%のアルミナ粉体と、純度99.9%の酸化マンガンを用いた。
【0015】
2.混合粉砕
秤量されたアルミナ粉体と酸化マンガンとをボールミルを用いてエタノール中で24時間混合粉砕した。
3.脱水・乾燥
混合粉砕された原料を脱水後乾燥する。
【0016】
4.成形
乾燥後の粉体を、20MPaで加圧成形した後、200MPaの圧力で2分間、冷間等方加圧成形(CIP)した。
5.焼成
表1に示す条件で焼成した。昇温スピード及び冷却スピードは、400℃/1時間とした。
6.切断・研磨
焼成体を切断後、厚さが0.5mmになるまで表面研磨を行った。
【0017】
以上のようにして作製した試料1~6の光透過率を図1のグラフに示す。図1に示すように、試料1~6は、それぞれMnOの添加量に応じた透過性を示し、いずれの試料においても選択透過性が確認された。
【0018】
例えば、MnOを0.4wt%添加した試料6は、600nm以上の波長の光を透過させるが、550nm以下の波長の光はほとんど透過させないことがわかる。
また、例えば、MnOを0.1wt%添加した試料4は、500nmを中心とするある範囲(例えば、MnOを0.2wt%添加したものでは±50nm、例えば、MnOを0.05wt%添加したものでは±20nm、)の波長の光を阻止し、その阻止帯域の両側の光は透過する。
【0019】
以上の実施例1により、アルミナにMnOを添加して焼成することにより、透光性が得られること、及びその透光性が波長依存性を有することが確認された。
【実施例2】
【0020】
実施例2では、異なる焼成条件の5種類の試料7~11を作製して評価した。
各試料の焼成条件を表2に示す。尚、試料7は、実施例1の試料3と同一の試料である。また、表2に示した条件以外の製造条件は、実施例1の試料と同様である。
【0021】
表2
JP0004729705B2_000003t.gif
【0022】
以上の実施例2により、焼成温度が変わってもほぼ同様の透過性が得られ、光の透過率特性は焼成条件によって大きく変化することはないことが確認された。
【実施例3】
【0023】
実施例3では、MnOの添加量に対する粒径の変化、焼成温度による粒径の変化を確認した。
具体的には、表3に示す条件で試料12~21を作製して、平均粒径を評価した。
【0024】
表3
JP0004729705B2_000004t.gif
【0025】
評価の結果を図3に示す。図3に示すように、MnOの添加量が0.2wt%以下の部分では、MnOの添加量が増えるにしたがって、粒径は大きくなる傾向にあり、0.2wt%以上においては、MnOの添加量に拘わらずほぼ一定である。
また、いずれのMnO添加量の場合についても焼成温度が高いと粒径が大きくなる。
このように、例えば、MnOを0.01~0.1wt%に設定し、例えば、1250℃程度の比較的低い温度で焼成することにより、比較的高い透過率を確保しつつ焼結後の結晶粒径を小さくできるので、透光性を有する機械的強度の高い透光性アルミナ焼結体が得られる。
【0026】
また、実施例1及び2で示したように、本発明に係る透光性アルミナ焼結体は、Mnの添加量に応じた選択透過性を有しているので、フィルタ等の新たな用途の展開が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように、本発明に係る透光性アルミナ焼結体は、高圧ナトリウムランプ用発光管等の用途のみならず、光フィルタなどの他の用途にも使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る実施例1における各試料の光透過率を示すグラフである。
【図2】本発明に係る実施例2における各試料の光透過率を示すグラフである。
【図3】本発明に係る実施例3における各試料(焼結体)の平均粒径を示すグラフである。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2