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明細書 :加速度検出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3771030号 (P3771030)
公開番号 特開平11-211751 (P1999-211751A)
登録日 平成18年2月17日(2006.2.17)
発行日 平成18年4月26日(2006.4.26)
公開日 平成11年8月6日(1999.8.6)
発明の名称または考案の名称 加速度検出装置
国際特許分類 G01P  21/00        (2006.01)
G01P  15/00        (2006.01)
FI G01P 21/00
G01P 15/00 Z
請求項の数または発明の数 9
全頁数 13
出願番号 特願平10-008979 (P1998-008979)
出願日 平成10年1月20日(1998.1.20)
審査請求日 平成15年2月18日(2003.2.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】佐々木 君章
【氏名】葛西 健一
【氏名】菅原 能生
【氏名】中里 雅一
【氏名】杉原 雅道
【氏名】原 靖彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100075513、【弁理士】、【氏名又は名称】後藤 政喜
【識別番号】100084537、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 嘉夫
審査官 【審査官】鈴野 幹夫
参考文献・文献 特開平7-225244(JP,A)
特開平3-90864(JP,A)
特開平7-167891(JP,A)
特開平8-327652(JP,A)
特開平1-112166(JP,A)
特開平8-43423(JP,A)
特開平9-329486(JP,A)
実開昭63-129867(JP,U)
調査した分野 G01P 21/00
G01P 15/00-135
特許請求の範囲 【請求項1】
加速度検出対象物に設置される加速度検出装置において、
感度軸方向の加速度を検出する一対の加速度センサを備え、
これらの加速度センサの感度軸を鉛直平面内で互いに平行とならないように水平軸方向に対して傾斜させて配置するとともに、
前記一対の加速度センサの出力と前記各感度軸の傾斜角度から前記鉛直平面内の所定の方向の加速度を演算する演算手段と、
加速度検出対象物の静止時に前記演算手段により演算された鉛直軸方向の加速度に対応する値を重力加速度に基づいて出力されるべき値と比較して前記一対の加速度センサの故障検知を行うことを特徴とする加速度検出装置。
【請求項2】
前記演算手段は、水平軸方向の水平加速度と、鉛直軸方向の鉛直加速度を演算することを特徴とする請求項1に記載の加速度検出装置。
【請求項3】
前記加速度センサは水平軸の上下に配置され、かつ鉛直軸の左右同じ側に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加速度検出装置。
【請求項4】
前記加速度センサは鉛直軸の左右に配置され、かつ水平軸の上下同じ側に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加速度検出装置。
【請求項5】
前記加速度センサは水平軸の上下に等しい傾斜角度で配置されることを特徴とする請求項3に記載の加速度検出装置。
【請求項6】
前記加速度センサは垂直軸の左右に等しい傾斜角度で配置されることを特徴とする請求項4に記載の加速度検出装置。
【請求項7】
前記演算手段は、前記一対の加速度センサの出力の和を演算する加算手段と、前記一対の加速度センサの出力の差を演算する減算手段とを備え、前記加算手段の出力に基づいて水平加速度を演算し、前記減算手段の出力に基づいて鉛直加速度を演算することを特徴とする請求項5に記載の加速度検出装置。
【請求項8】
前記演算手段は、前記一対の加速度センサの出力の和を演算する加算手段と、前記一対の加速度センサの出力の差を演算する減算手段とを備え、前記加算手段の出力に基づいて鉛直加速度を演算し、前記減算手段の出力に基づいて水平加速度を演算することを特徴とする請求項6に記載の加速度検出装置。
【請求項9】
前記演算手段は、少なくとも一方の加速度センサの出力に所定のゲインを与える増幅手段を備え、前記加算手段においてはこの増幅手段によりゲインを与えられた一方の加速度センサの出力と他方の加速度センサの出力との和および差を演算するようにしたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の加速度検出装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加速度検出装置に関し、特に、検出対象物の静止時にも故障検出を容易に行い得るようにした改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、加速度検出対象物に設置されて、その加速度を検出する加速度センサが知られている。このような加速度センサとしては、例えば、加速度検出対象物の動きに合わせて揺れようとする振り子と、この振り子の位置を検出する検出装置とを備え、この検出装置により検出される振り子の位置を電磁コイルへの通電により発生する力で動かないようにフィードバック制御するものがある。そして、このとき振り子に働く力が振り子に加わる加速度(すなわち加速度検出対象物の加速度)と等しいことに着目して、加速度検出対象物の加速度を電磁コイルに流れる電流値として検出する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような加速度センサは、例えば、地震計として用いられたり、鉄道車両における車両の揺動を制御に用いられたりするので、常に正確な加速度検出を行えるように、故障検知を行う必要がある。
【0004】
このため、上述したような加速度センサには、セルフテスト端子を備えたものがある。具体的には、セルフテスト端子に電気信号を入力することにより、振り子の位置検出装置の振り子に実際加速度が与えられたのと同様な電気回路的状態を作り出し、このときの加速度センサの出力が、セルフテスト端子に入力された電気信号に相当するものであるかどうかをチェックする。
【0005】
しかしながら、このようなチェック方法は、上述したような振り子などを用いたタイプの加速度センサにしか適用できず、また、セルフテスト端子を設けることは回路の複雑化につながり、コストアップの原因となる。
【0006】
また、加速度センサごとに加振装置を備え付けておいて、加速度センサに実際に振動を与えて故障検出する方法が考えられるが、加振装置の分だけ、コストアップを招くうえ、装置が大型化してしまう。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、検出対象物に設置され検出対象物の加速度を検出する加速度検出装置において、検出対象物の静止時においても故障検知を容易に行い得るものを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、加速度検出対象物に設置される加速度検出装置において、感度軸方向の加速度を検出する一対の加速度センサを備え、これらの加速度センサの感度軸を鉛直平面内で互いに平行とならないように水平軸方向に対して傾斜させて配置するとともに、前記一対の加速度センサの出力と前記各感度軸の傾斜角度から前記鉛直平面内の所定の方向の加速度を演算する演算手段と、加速度検出対象物の静止時に前記演算手段により演算された鉛直軸方向の加速度に対応する値を重力加速度に基づいて出力されるべき値と比較して前記一対の加速度センサの故障検知を行う。
【0009】
第2の発明では、前記演算手段は、水平軸方向の水平加速度と、鉛直軸方向の鉛直加速度を演算する。
【0010】
第3の発明では、前記加速度センサは水平軸の上下に配置され、かつ鉛直軸の左右同じ側に配置される。
【0011】
第4の発明では、前記加速度センサは鉛直軸の左右に配置され、かつ水平軸の上下同じ側に配置される。
【0012】
第5の発明では、前記加速度センサは水平軸の上下に等しい傾斜角度で配置される。
【0013】
第6の発明では、前記加速度センサは垂直軸の左右に等しい傾斜角度で配置される。
【0014】
第7の発明では、前記演算手段は、前記一対の加速度センサの出力の和を演算する加算手段と、前記一対の加速度センサの出力の差を演算する減算手段とを備え、前記加算手段の出力に基づいて水平加速度を演算し、前記減算手段の出力に基づいて鉛直加速度を演算する。
【0015】
第8の発明では、前記演算手段は、前記一対の加速度センサの出力の和を演算する加算手段と、前記一対の加速度センサの出力の差を演算する減算手段とを備え、前記加算手段の出力に基づいて鉛直加速度を演算し、前記減算手段の出力に基づいて水平加速度を演算する。
【0016】
第9の発明では、前記演算手段は、少なくとも一方の加速度センサの出力に所定のゲインを与える増幅手段を備え、前記加算手段においてはこの増幅手段によりゲインを与えられた一方の加速度センサの出力と他方の加速度センサの出力との和および差を演算するようにした。
【0017】
【発明の作用および効果】
第1、第2の発明では、加速度検出対象物にかかる加速度にしたがって一対の加速度センサから検出信号が出力され、演算手段は、これらの検出手段に基づいて、加速度を検出すべき所定の方向の加速度(例えば、第2の発明のように水平軸方向の水平加速度または鉛直軸方向の鉛直加速度)を演算し、加速度検出装置による加速度検出が行われるが、一対の加速度センサは水平軸に対して所定の傾斜角度をもって配置され、加速度検出対象物の静止時においても、重力加速度に基づく出力をするので、この出力の値を、正常時に出力されるべき値と比較することにより、静止時においても加速度センサの故障検知を容易に行い得る。
【0018】
このように本発明によれば、静止状態で故障検知できる加速度検出装置が容易に構成できる。また、加速度検出装置の構成部分である一対の加速度センサの形式は特に限定されないので、装置の低コスト化を図ることができる。
【0019】
第3、第5、第7の発明では、一対の加速度センサが水平方向に同じ側を向いて配置されることになるので、水平加速度の検出においては、2つの加速度センサが組合わされた分、検出の感度を高めることができる。
【0020】
さらに、第5、第7の発明では、加速度センサは水平軸の上下に等しい傾斜角度で対称に配置されているので、演算手段による演算を単純化することができ、演算手段を簡素化することができる。
【0021】
第4、第6、第8の発明では、一対の加速度センサが鉛直方向に同じ側を向いて配置されることになるので、鉛直加速度の検出においては、2つの加速度センサが組合わされた分、検出の感度を高めることができる。
【0022】
さらに、第6、第8の発明では、加速度センサは鉛直軸の左右に等しい傾斜角度で対称に配置されているので、演算手段による演算を単純化することができ、演算手段を簡素化することができる。
【0023】
第9の発明では、加速度センサの感度軸にアライメント誤差があった場合など、加速度センサが正しい傾斜角度で配置されなかった場合でも、演算手段において、加算手段に入力される前の少なくとも一方の加速度センサの出力に、増幅手段で所定のゲインを与えることにより、加速度検出装置の水平加速度に相当する出力に鉛直加速度の影響が及ばないように、または鉛直加速度に相当する出力に水平加速度の影響が及ばないようにできる。したがって、加速度検出装置を構成する加速度センサとしてアライメント精度の低い安価なセンサを用いることができ、装置の低コスト化を図ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1または図2に示すように、加速度検出装置1は、一対の加速度センサA、Bを備えている。この加速度センサA、Bは、定常加速度を測定できるものであれば、いかなる形式のセンサであってもよい。また、加速度検出装置1は、一対の加速度センサA、Bを一つのケーシング内に一体に内蔵したものでもよいし、一対の独立の加速度センサA、Bを組み合わせて構成するようにしてもよい。
【0026】
図1または図2には、これらの加速度センサA、Bの感度軸の方向をベクトルで示している。一対の加速度センサA、Bは、それぞれ、これらの感度軸の方向の加速度を検出するものである。
【0027】
図示されるように、これらの加速度センサA、Bの感度軸は、(仮想的に考えられた)水平軸Hおよび鉛直軸Vを含む平面内において、それぞれ水平軸Hに対して所定の傾斜角度θA、θBで固定されている。なお、図1においては、反時計回りを正としているので、θAは正の値、θBは負の値となっている。
【0028】
この場合、加速度センサA、Bの配置は、傾斜角度θA、θBがいずれもゼロでなく、加速度センサA、Bが一直線上に配置されないのであれば(すなわち、加速度センサA、Bの感度軸を表すベクトルが一次独立であれば)、他に特に限定されない。したがって、図1のように、一対の加速度センサA、Bを水平軸Hの上下に配置してもよいし、図2のように、上下の同じ側(上側または下側)に配置するようにしてもよい。
【0029】
このように、加速度センサA、Bは水平軸Hに対して傾斜しているので(したがって感度軸を表すベクトルは鉛直軸V方向への成分を持っているので)、加速度センサA、Bからは、加速度検出対象物(加速度検出装置1)の静止時においても、鉛直軸V方向の加速度、すなわち重力加速度が検出される。したがって、後述するように、この加速度センサA、Bの重力加速度分の出力を用いれば、静止時においても、加速度検出装置1(加速度センサA、B)の故障検知を行うことができる。
【0030】
図3には、水平軸Hに対して傾斜角度θをもって加速度センサが配置され、この加速度センサに水平加速度αHと鉛直加速度αVが与えられたときの、加速度センサの出力αを示す。
【0031】
図から明らかなように、加速度センサの出力αは、
α=αH・cosθ+αV・sinθ … (1)
と表すことができる。このように、図1または図2の加速度センサA、Bの出力αA、αBには、水平加速度αHからの寄与分と、鉛直加速度αVからの寄与分が含まれてしまうので、一つの加速度センサのみでは、加速度が水平方向に与えられたのか、垂直方向に与えられたのか判別できない。
【0032】
そこで、本発明では、一対の加速度センサA、Bを備え、以下に説明するように、加速度センサA、Bの出力αA、αBから、水平加速度αH、鉛直加速度αVを演算することができるようになっている。
【0033】
すなわち、式(1)に傾斜角度θA、θBを代入すれば、図1または図2の加速度センサA、Bの出力αA、αBは、
αA=αH・cosθA+αV・sinθA … (2)
αB=αH・cosθB+αV・sinθB … (3)
と表わすことができる。
【0034】
したがって、この連立方程式(2)、(3)を、αH、αVについて解くと、
αH=(αA・sinθB-αB・sinθA)/(cosθA・sinθB-cosθB・sinθA)… (4)
αV=(αA・cosθB-αB・cosθA)/(sinθA・cosθB-sinθB・cosθA)… (5)
が得られ、これらの式(4)、(5)から、それぞれ水平加速度αHと鉛直加速度αVが、自動的に求められる。
【0035】
本発明の加速度検出装置1では、この連立方程式(2)、(3)を解くのに相当する演算は、具体的には、例えば図4に示すような演算回路11において実行される。
【0036】
この演算回路11では、速度検出装置本体10の加速度センサAからの出力信号αAには、アンプ13において所定のゲインK1を与えらえる一方、加速度センサBからの出力信号αBには、アンプ14においてゲイン-K2が与えられる。そして、これらのアンプ13、14の出力は、加算器17において加え合わされ、この加算器17の出力に出力アンプ4においてゲインK5を与えたものが、水平加速度αHに対応する出力α1となる。
【0037】
また、加速度センサAからの出力信号αAには、アンプ15において所定のゲインK3が与えられる一方、加速度センサBからの出力信号αBには、アンプ16において所定のゲイン-K4が与えられる。これらのアンプ15、16の出力は、加算器18において加え合わされ、この加算器18の出力に出力アンプ7においてゲインK6を与えたものが、鉛直加速度αVに対応する出力α2となる。
【0038】
なお、この演算回路11は、加速度センサを実装したモジュール内に一体にアナログ回路として備えてもよいし、モジュール外部に外部回路として備えるようにしてもよい。
【0039】
なお、上記のゲインK1~K6は、例えば、
1=sinθB/(cosθA・sinθB-cosθB・sinθA
2=sinθA/(cosθA・sinθB-cosθB・sinθA
3=cosθB/(cosθA・sinθB-cosθB・sinθA
4=cosθA/(cosθA・sinθB-cosθB・sinθA
5=1
6=1
と設定すればよい。
【0040】
このようにして式(4)、(5)に相当する演算が実行され、加速度検出装置1の出力α1、α2として、加速度の水平成分αHと鉛直成分αVが求められる。したがって、加速度センサA、Bが配置された平面内の任意の方向の加速度を検出することができる。
【0041】
一方、加速度検出対象物の静止時において、式(2)、(3)で表される加速度センサA、Bの出力αA、αBを直接に確認することにより、または、式(5)により演算された加速度の鉛直成分に相当する出力α2を、重力により与えられるべき加速度(αV=-G)と比較することにより、加速度センサA、Bの故障を検知することができる。
【0042】
具体的には、静止時においては、αH=0、αV=-Gであるから、これを式(2)に代入した、
αA=-G・sinθA … (6)
が成り立てば、加速度センサAは正常であるし、式(3)に代入した、
αB=-G・sinθB … (7)
が成り立てば、加速度センサBは正常であることが分かる。
【0043】
あるいは、加速度センサA、Bのいずれか一方または両方が故障した場合には、式(5)に基づいて演算される鉛直加速度に相当する出力α2が、本来出力されるべき値αV(=-G)とは異なる値となることを用いて故障検知を行う。すなわち、加速度センサが故障したときには、一般に、ゼロ出力または最大出力になることが多いが、例えば加速度センサAが故障し、ゼロ出力(すなわちαA=0)となった場合には、
α2=-G・(-sinθB・cosθA)/(sinθA・cosθB-sinθB・cosθA)… (8)
となるし、加速度センサBが故障し、ゼロ出力(すなわちαB=0)となった場合には、
α2=-G・(sinθA・cosθB)/(sinθA・cosθB-sinθB・cosθA)… (9)
となるので、これらの値は正しいαV(=-G)と異なって来る。また、加速度センサA、Bがともに故障し、αA=0、αB=0となった場合には、当然に、α2=0となる。したがって、加速度検出装置1の鉛直加速度に相当する出力α2を監視していれば、加速度センサA、Bの故障を直ちに検知できる。
【0044】
なお、故障検出は、このように鉛直加速度(重力加速度)を用いて行われるので、非静止時(走行時)においても行い得る。この場合には、ローパスフィルタを用いたり、平均化処理をしたりすることにより、鉛直加速度に相当する出力α2を安定化させるようにすればよい。
【0045】
このように本発明によれば、非静止状態のみならず、静止状態で故障検知できる加速度検出装置1が容易に構成できる。また、加速度検出装置1の構成部分である一対の加速度センサA、Bの形式は特に限定されないので、装置の低コスト化を図ることができる。したがって、本発明の加速度検出装置1は、例えば鉄道車両の揺動制御用に設置されるなど、静的なセルフテストが行えることが要求される加速度センサとして最適である。
【0046】
図5には、本発明の他の実施の形態を示す。
【0047】
この実施の形態では、一対の加速度センサA、Bの感度軸は、水平軸Hおよび鉛直軸Vを含む平面内において、水平軸Hに対して上下に対称となるように配設される。すなわち、図1の実施の形態において、θA=Θ、θB=-Θとし、加速度センサAの感度軸は水平軸Hから上方に角度Θだけ上方に回転した方向を向き、加速度センサBの感度軸は角度Θだけ下方に回転した方向を向くようにしている。
【0048】
この場合には、加速度センサA、Bからの出力信号αA、αBは、上述の式(2)、(3)に、θA=Θ、θB=-Θを代入することにより、
αA=αH・cosΘ+αV・sinΘ … (10)
αB=αH・cosΘ-αV・sinΘ … (11)
と表すことができる。したがって、本実施の形態では、水平加速度αHおよび鉛直加速度αVを求める演算が単純化できる。すなわち、式(10)、(11)の連立方程式は容易に解け、
αH=(αA+αB)/(2cosΘ) … (12)
αV=(αA-αB)/(2sinΘ) … (13)
となる。
【0049】
この実施の形態の加速度検出装置1では、具体的に図6に示す演算回路12において、この演算が実行される。
【0050】
この演算回路12においては、速度検出装置本体10の加速度センサAからの出力信号αAは、同じく加速度検出装置本体10の加速度センサBからの出力信号αBと、加算器3において加え合わせられる。この加算器3の出力が、出力アンプ4を介して増幅され(1/(2cosΘ)倍され)、水平加速度についての出力信号αHとなる。
【0051】
また、出力信号αBは、反転アンプ5において正負を反転され、加算器6において出力信号αAと加え合わせられる。この加算器6の出力が、出力アンプ7を介して増幅され(1/(2sinΘ)倍され)、鉛直加速度についての出力信号αVとなる。
【0052】
なお、アンプ20は、以下に説明するように誤差補正用のものであり、上述のような通常の動作では、出力信号αAにゲインを与えることはない。具体的には、このアンプ20におけるゲインCは1となる。
【0053】
図7には、図5に示した実施の形態において、加速度センサA、Bの設置角度に、それぞれ誤差δ、εが生じてしまった場合を示している。この場合には、図6の演算回路12に設けたアンプ20において、加算器3、6に入力される前の加速度センサ出力αAに適切なゲインCを乗じるようにして、加速度検出装置1の出力を補正する。
【0054】
具体的には、アンプ20のゲインCの設定は、加速度検出装置1が静止状態にある初期状態(αH=0、αV=-G)において、水平加速度出力α1がゼロになるように、アンプ20を調整することにより実行される。
【0055】
これを数式を用いて説明すると、誤差δ、εがある場合には、式(10)、(11)は、
αA=αH・cos(Θ+δ)+αV・sin(Θ+δ) … (14)
αB=αH・cos(Θ+ε)-αV・sin(Θ+ε) … (15)
となる。この式(14)にゲインCを乗じて式(15)に加えれば、
CαA+αB=C[αH・cos(Θ+δ)+αV・sin(Θ+δ)]+[αH・cos(Θ+ε)-αV・sin(Θ+ε)] … (16)
が得られる。この式(16)の値は、加速度検出装置1の水平加速度出力α1に相当するので、初期調整として、この出力α1(=CαA+αB)がゼロになるようにゲインCを調整する。具体的には、式(16)を、
CαA+αB=[C・cos(Θ+δ)+cos(Θ+ε)]・αH・+[C・sin(Θ+δ)-sin(Θ+ε)]・αV … (16)′
と変形し、この式(16)′の右辺が、初期条件αH=0、αV=-Gにおいてゼロとなるように、式(16)′のαHの項のみが残り、αVの項が消えるようにする。すなわち、
C=sin(Θ+ε)/sin(Θ+δ) … (17)
とする。これにより、式(16)の左辺、すなわちCαA+αBに出力アンプ4において所定のゲインを与えたものとして出力される加速度検出装置1の水平加速度に相当する出力(出力アンプ4からの出力)は、取り付け誤差(δ、ε)があったとしても、水平軸H方向の水平加速度のみを反映し、鉛直加速度の影響を受けないものとできる。
【0056】
このように本実施の形態によれば、加速度検出装置を構成する加速度センサA、Bとしてアライメント精度の低い安価なセンサを用いたとしても、水平軸H方向の水平加速度αHを正しく検出することができ、加速度センサA、Bが安価な分、装置の低コスト化を図ることができる。
【0057】
図8には、本発明のさらに他の実施の形態を示す。
【0058】
この実施の形態では、加速度検出装置1として、一対の加速度センサA、Bの感度軸が互いに直角に配置されたものを用い、かつ加速度センサA、Bが水平軸Hに対して上下に対称に配置されるようにしている。すなわち、本実施の形態は、図5に示した実施の形態において、Θ=π/4(rad)としたものである。
【0059】
この場合には、式(12)、(13)は、
αH=(αA+αB)/21/2 … (18)
αV=(αA-αB)/21/2 … (19)
となる。この演算は、図6に示した演算回路6で実行される。なお、この場合はアンプ20のゲインCは1である。
【0060】
そして、静止時において、式(19)で表される鉛直加速度出力α1の値を確認すれば、加速度センサA、Bの故障を検知できる。
【0061】
なお、式(18)から明らかなように、本実施の形態では、水平加速度αHに対応する加算器3の出力(αA+αB)は、水平加速度αHの約1.4倍であるので、加速度検出装置1の水平方向の感度を、水平加速度検出を1個の加速度センサのみで行う場合よりも、高めることができる。
【0062】
また、本実施の形態では、一対の加速度センサA、Bの感度軸が互いに直角となっているので、垂直な2軸方向に一対の感度軸を備えたタイプの加速度センサをそのまま援用でき、加速度センサの各感度軸が水平軸Hに対して対称になるように傾けて設置するだけで、簡単に加速度検出装置を構成することができる。
【0063】
図9には、図8の実施の形態の加速度検出装置の設置角度に、時計回りに誤差γが生じてしまった場合を示している。このような場合でも、本実施の形態の加速度検出装置1では、そのずれ角度γが小さい限り、水平軸H方向の加速度の検出および故障検知を問題なく行い得る。
【0064】
すなわち、この場合には、加速度センサA、Bの出力は、それぞれ、
JP0003771030B2_000002t.gifと表せる。したがって、
αA+αB=21/2・αH・cosγ+21/2・αV・sinγ … (22)
αA-αB=-21/2・αH・sinγ+21/2・αV・cosγ … (23)
が得られる。そして、γが十分小さければ、sinγ=0、cosγ=1とできるので、この式(22)、(23)は、式(18)、(19)と一致する。すなわち、本実施の形態では、設置角度に小さな誤差γがあったとしても、問題なく加速度検出装置1を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の加速度検出装置を示す構成図である。
【図2】同じく構成図である。
【図3】同じく加速度センサ出力に対する水平加速度と鉛直加速度の寄与を説明するための説明図である。
【図4】同じく演算回路を示す構成図である。
【図5】同じく他の実施の形態を示す構成図である。
【図6】同じく演算回路を示す構成図である。
【図7】同じく加速度検出装置にアライメント誤差がある場合を示す説明図である。
【図8】同じく他の実施の形態を示す構成図である。
【図9】同じく設置誤差がある場合を示す説明図である。
【符号の説明】
1 加速度検出装置
2 演算回路
3 加算器
4 出力アンプ
5 反転アンプ
6 加算器
7 出力アンプ
11 演算回路
12 演算回路
13 アンプ
14 アンプ
15 アンプ
16 アンプ
17 加算器
18 加算器
20 アンプ
A 感度軸
B 感度軸
H 水平軸
V 鉛直軸
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8