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明細書 :トンネル壁面撮影装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4106121号 (P4106121)
公開番号 特開平11-229800 (P1999-229800A)
登録日 平成20年4月4日(2008.4.4)
発行日 平成20年6月25日(2008.6.25)
公開日 平成11年8月24日(1999.8.24)
発明の名称または考案の名称 トンネル壁面撮影装置
国際特許分類 E21F  17/00        (2006.01)
FI E21F 17/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願平10-030005 (P1998-030005)
出願日 平成10年2月12日(1998.2.12)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成9年8月1日 社団法人土木学会発行の「第52回年次学術講演会講演概要集第3部(B)」に発表
審査請求日 平成17年1月6日(2005.1.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000200345
【氏名又は名称】JFE電制株式会社
発明者または考案者 【氏名】鬼頭 文男
【氏名】林 直樹
【氏名】藤井 儀夫
【氏名】田近 利幸
【氏名】筑摩 栄
【氏名】小久保 将寿
【氏名】太田 勝
【氏名】鵜飼 正人
【氏名】笹間 宏
【氏名】佐藤 仁
【氏名】高木 薫
個別代理人の代理人 【識別番号】100082500、【弁理士】、【氏名又は名称】足立 勉
【識別番号】100106035、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 敏博
【識別番号】100082500、【弁理士】、【氏名又は名称】足立 勉
審査官 【審査官】須永 聡
参考文献・文献 特開平09-161068(JP,A)
特開平05-256633(JP,A)
特開平04-124399(JP,A)
実開平06-004750(JP,U)
調査した分野 E21F 17/00
特許請求の範囲 【請求項1】
トンネル内を移動可能な車両と、
前記車両に搭載され、前記トンネルの周方向に沿ったラインを複数に分割した分割ラインのそれぞれに対応づけられて設置され、その対応づけられた分割ラインを撮影して分割ラインデータとして出力する複数のラインセンサと
前記車両のカントを検出可能なカントセンサと、
を備えたことを特徴とするトンネル壁面撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載のトンネル壁面撮影装置であって、
所定のタイミングごとに前記複数のラインセンサ及び前記カントセンサからの分割ラインデータ及びカントデータを得るセンサ制御手段と、
各分割ラインデータにつき前記カントデータに基づいてカントによるずれを補正する補正手段と、
同じラインセンサから得られた分割ラインデータにつき前記補正手段によって補正した後の分割ラインデータを、前記車両の移動距離に応じて並べることにより、分割展開画像を作成する分割展開画像作成手段と、
前記分割展開画像作成手段によって各ラインセンサごとに作成した分割展開画像を繋ぎ合わせることにより前記トンネルの壁面の展開画像を作成する展開画像作成手段と
を備えたことを特徴とするトンネル壁面撮影装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のトンネル壁面撮影装置であって、
前記車両はコンテナボックスを備えており、前記ラインセンサは前記コンテナボックスの内外をスライド可能で且つ折り畳み可能なスライド部材に取り付けられていることを特徴とするトンネル壁面撮影装置。
【請求項4】
請求項2に記載のトンネル壁面撮影装置であって、
前記車両は、前記トンネルの坑口を検出する坑口センサを備えており、
前記展開画像作成手段によって作成された展開画像には、前記坑口センサが前記トンネルの坑口を検出したことを表す情報が示されていることを特徴とするトンネル壁面撮影装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道・道路トンネル等のトンネル壁面の覆工面の変状を追跡調査するのに適したトンネル壁面撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネルは、地山の土圧・凍上圧・有害水などの外因、設計・施工の不適切、経年による材質劣化などの内因によって、クラック、目地切れ、食い違い、コンクリートの剥離・剥落などの変状現象が生じる。
【0003】
従来、これらの変状の追跡は、人間が列車の走る合間を縫って、目視を主体に実施し、進行の顕著なものは計器による測定(例えばひび割れ間隔の測定)ならびに覆工背面の調査などを行い、原因を明らかにして、補修・改良につなげている。また、変状の記録は、現地のスケッチをもとにトンネル展開図を作成し、クラックの幅・長さなどについて前回と今回の検査結果の比較を行い、健全性の判定を行っている。
【0004】
一方、人間が手作業でこのようなトンネル変状の追跡を行う方法では、変状の見落としや位置の間違い・個人差による判定のバラツキなどがあり、信頼性に欠けることがある。
この点に鑑み、トンネル変状の追跡を行うための装置が開発されている。例えば、特開平6-42300号公報には、トンネル内を走行する車両上に設置されたトンネル壁面撮影用センサカメラを用い、カメラ前面に配置した曲面鏡を介してトンネル壁面に対して進行方向と直角方向のトンネル断面スキャンを行い、車上に設置されたデータ蓄積装置に順次そのデータを蓄積することにより、トンネル壁面の展開画像を得るトンネル検査装置が開示されている。このトンネル検査装置では、トンネル壁面を曲面鏡に映し、これを1台の1次元センサカメラで撮影して、トンネル周方向のラインデータとし、このラインデータを移動距離に応じて並べることにより、トンネル壁面の展開画像を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6-42300号公報のトンネル検査装置では、トンネルの断面形状に合わせて、曲面鏡の形状設計及びカメラのレンズの光学設計を行わなければならないが、トンネルの断面形状は一定ではないため、この設計作業が非常に複雑になるという問題がある。
【0006】
また、進行方向のある位置におけるトンネルの周方向のラインを曲面鏡に映し出し、これを一台のラインセンサで撮影するため、画像分解能が低くなり、幅の細いクラックなどを捉えることが難しく、また、トンネルの周方向のライン上の各点とラインセンサとの距離の最小、最大の差が大きくなり、画像のボケとなってあらわれるという問題がある。
【0007】
更に、線路のカーブ等のように路面にカント(つまり傾斜角度)がある箇所では、カントがない箇所に対して、ラインセンサのアングルがトンネルの周方向にずれることになるので、それにより展開画像に歪みが生じるという問題もある。本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、光学系の構造を簡素化できるうえ画像分解能を高めることのできるトンネル壁面撮影装置を提供することにある。また、別の目的は、歪みのないトンネル壁面の展開画像が得られるトンネル壁面撮影装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するため、請求項1記載のトンネル壁面撮影装置は、前記車両に搭載され、前記トンネルの周方向に沿ったラインを複数に分割した分割ラインのそれぞれに対応づけられて設置され、その対応づけられた分割ラインを撮影して分割ラインデータとして出力する複数のラインセンサと、インデータとして出力する複数のラインセンサと、前記車両のカントを検出可能なカントセンサと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明のトンネル壁面撮影装置では、曲面鏡を使用しないため、特開平6-42300号公報に開示されたトンネル検査装置に比べて、曲面鏡の形状をトンネルの形状に合わせて設計するという複雑な作業が不要となり、光学系の構造が簡素化される。また、一台のラインセンサがライン全体を撮影するのではなく、複数のラインセンサがそれぞれに対応する分割ラインを撮影するものであるため、特開平6-42300号公報に開示されたトンネル検査装置に比べて、画像分解能が高くなる。このように、本発明のトンネル壁面撮影装置によれば、光学系の構造を簡素化できるうえ画像分解能を高めることができる。
【0014】
また、車両のカントを検出可能なカントセンサを備えているので、このカントセンサからのカントデータに基づいて分割展開画像のカントによるずれを補正すれば、トンネル壁面の展開画像の歪みを解消することができる。
なお、カントセンサとしては、傾斜計などもよいが、リアルタイムに精度よく傾斜角度を測定することを考慮すればジャイロを用いることが好ましい。
【0015】
このカントセンサを備えたトンネル壁面撮影装置は、請求項に記載したように、所定のタイミングごとに前記複数のラインセンサ及び前記カントセンサからの分割ラインデータ及びカントデータを得るセンサ制御手段と、各分割ラインデータにつき前記カントデータに基づいてカントによるずれを補正する補正手段と、同じラインセンサから得られた分割ラインデータにつき前記補正手段によって補正した後の分割ラインデータを、前記車両の移動距離に応じて並べることにより、分割展開画像を作成する分割展開画像作成手段と、前記分割展開画像作成手段によって各ラインセンサごとに作成した分割展開画像を繋ぎ合わせることにより前記トンネルの壁面の展開画像を作成する展開画像作成手段とを備えていてもよい。
【0016】
この場合、センサ制御手段は、所定のタイミングごとに前記複数のラインセンサ及び前記カントセンサからの分割ラインデータ及びカントデータを得る。
また、補正手段は、各分割ラインデータにつき前記カントデータに基づいてカントによるずれを補正する。この補正は、例えば、その分割ラインデータを撮影したラインセンサから分割ラインまでの距離(例えば平均距離であってもよいし代表値であってもよい、距離の測定は超音波センサ等の周知の距離センサを用いる)と、その分割ラインデータを撮影したときのタイミングにおけるカントに基づいて、補正量を例えば三角関数などの数学的近似処理により補正量を求め、この補正量で分割ラインデータを補正する。
【0017】
そして、分割展開画像作成手段は、同じラインセンサから得られた分割ラインデータを補正した後の分割ラインデータを、車両の移動距離に応じて並べることにより、分割展開画像を作成し、展開画像作成手段は、各ラインセンサごとに作成された分割展開画像を繋ぎ合わせることによりトンネルの壁面の展開画像を作成する。
【0018】
以上のように、データ制御手段、補正手段、分割展開画像作成手段、展開画像作成手段を備えたことにより、複数のラインセンサによって撮影されたトンネル壁面の分割ラインデータからトンネル壁面の展開画像を得ることができ、しかも、カントセンサから出力されたカントデータから展開画像の歪みを補正することができる。
【0019】
ところで、本発明のトンネル壁面撮影装置においては、請求項に記載したように、前記車両はコンテナボックスを備えており、前記ラインセンサは前記コンテナボックスの内外をスライド可能で且つ折り畳み可能なスライド部材に取り付けられていてもよい。この場合、撮影するときには、スライド部材を外方向へスライドさせ展開することにより、複数のラインセンサをコンテナボックスの外へセットする。一方、撮影しないときには、スライド部材を折り畳んで内方向へスライドすることにより、複数のラインセンサをコンテナボックスの内に収納する。このため、複数のラインセンサを備えているものの、撮影時以外はコンテナボックスにコンパクトに収納でき、装置の小型化が実現される。
【0020】
なお、複数のラインセンサが撮影しようとするトンネル壁面のラインは、複数の照明器具により略均一な照度で照らされていることが好ましい。この場合には、複数の照明器具を複数のラインセンサと共に前出のスライド部材に取り付けると、撮影時以外は装置が小型化されるので好ましい。
【0021】
また、本発明のトンネル壁面撮影装置においては、請求項に記載したように、前記車両は、前記トンネルの坑口を検出する坑口センサを備えており、前記展開画像作成手段によって作成された展開画像には、前記坑口センサが前記トンネルの坑口を検出したことを表す情報が示されていてもよい。この場合、展開画像上でどこがトンネルの入口又は出口かを容易に認識できる。なお、坑口センサとしては、例えば、超音波センサ、レーザ距離センサ、光センサなどを用いることができる。
【0022】
なお、トンネル壁面の展開画像の歪みを解消することのみを目的とするならば、トンネル壁面撮影装置につき、トンネル内を移動可能な車両と、前記車両に搭載され、前記トンネルの周方向に沿ったラインを撮影可能なラインセンサと、前記車両のカントを検出可能なカントセンサとを備えた構成としてもよい。また、この構成に、所定のタイミングごとに前記ラインセンサ及び前記カントセンサから撮影データ及びカントデータを得るセンサ制御手段と、前記撮影データを前記車両の移動距離に応じて並べると共に前記撮影データのカントによるずれを前記カントデータに基づいて補正することにより前記トンネルの壁面の展開画像を作成する展開画像作成手段とを加えてもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態のトンネル壁面撮影装置の概略斜視図、図2はスライドアングルの概略説明図、図3はラインセンサカメラの配置図である。
【0024】
本実施形態のトンネル壁面撮影装置10は、単線トンネル撮影用であり、移動車両11と、スライドアングル12、13と、ラインセンサカメラC1~C4と、照明器具14と、カントセンサ15と、坑口センサ16と、制御装置17と、画像蓄積装置18、画像処理装置19とを備えている。
【0025】
移動車両11は、トンネル51内をレール52に沿って走行可能であり、操縦部11aの後ろにコンテナボックス11bを牽引したものである。
スライドアングル12、13は、コンテナボックス11bにおいて上段及び下段にそれぞれ設置されており、コンテナボックス11bの内外をスライド可能なスライド部12a、13aと、このスライド部12a、13aの先端側にてマクラギと平行な回動軸12b、13b周りに回動可能なフレーム部12c、13cとを備えている(図2には下段のスライドアングル13を示した)。なお、このスライドアングル12、13が本発明のスライド部材に相当する。
【0026】
第1及び第4ラインセンサカメラC1、C4は、下段のスライドアングル13のフレーム部13cに取り付けられ、第2及び第3ラインセンサカメラC2、C3は、上段のスライドアングル12のフレーム部12cに取り付けられている。各ラインセンサカメラC1~C4は、一般的な工業計測に用いられる周知のカメラで、オートフォーカス機能が付いたもので且つラインを撮影可能なものであり、レール方向に走査されることにより平面的な画像が得られるものである。
【0027】
各ラインセンサカメラC1~C4は、図3に示すように、トンネル51の周方向(断面方向)に沿ったラインLを概ね4つに分割した第1~第4分割ラインL1~L4のそれぞれに対応づけられて設置されている。但し、第1~第4分割ラインL1~L4は隣り合うもの同士が重複部分を有するように定められている。
【0028】
また、図3にてコンテナボックス11bの右側に配置された第1及び第2ラインセンサカメラC1、C2がラインLの左側半分に対応づけられ、コンテナボックス11bの左側に配置された第3及び第4ラインセンサカメラC3、C4がラインLの右側半分に対応づけられている。
【0029】
なお、各ラインセンサカメラC1~C4は、スライドアングル12、13や他のカメラが視野に入らないように配置されている。また、各ラインセンサカメラC1~C4は、各分割ラインL1~L4の略中心位置までの距離d1~d4を測定するための距離センサ(図示せず)を備えている。本実施形態では距離センサとして超音波センサを用いている。
【0030】
複数の照明器具14、14、…は、ラインセンサカメラC1~C4によって撮影されるラインLを同じ明るさになるように照射するために、図1に示すように、スライドアングル12、13のフレーム部12c、13cに合計10個前後取り付けられている。これにより、撮影に必要な照度がラインLに濃淡なく照射される。
【0031】
カントセンサ15は、移動車両11の左右傾斜角度を検出するものであり、図1に示すように、移動車両11のコンテナボックス11bの内部に設けられている。本実施形態ではカントセンサ15として、リアルタイムに精度よくカントデータを得るために周知のジャイロを用いている。
【0032】
坑口センサ16は、図1に示すように、移動車両11のコンテナボックス11bの外部前端に取り付けられ、トンネル51の坑口(入口又は出口)を通過したことを検出するものである。本実施形態では坑口センサ16として、超音波センサを用いている。
【0033】
制御装置17は、図1に示すように、周知のCPU、ROM、RAMなどから構成された装置であり、移動車両11のコンテナボックス11bの内部に設けられている。この制御装置17は、図示しないロータリエンコーダを利用して車輪から得られるパルス信号をそのまま用いることにより、移動車両11が一定距離進むごとに各ラインセンサカメラC1~C4から分割ラインデータを取り込むと共にカントセンサ15からカントデータ、坑口センサ16から検出信号を取り込み、それらを画像蓄積装置18に記憶させる。この制御装置17が、本発明のセンサ制御手段に相当する。
【0034】
画像処理装置19は、移動車両11のコンテナボックス11bに搭載されていてもよいが、移動車両11とは別に設置されていてもよい。この画像処理装置19は、ラインセンサカメラC1~C4ごとの分割ラインデータを移動車両11の移動距離に応じて並べることにより分割展開画像を作成し、更に、各ラインセンサカメラC1~C4ごとに作成した分割展開画像を繋ぎ合わせることによりトンネル51の壁面の展開画像を作成するものである。そして、この展開画像をディスプレイ20に表示したり、プリンタ21を通じて用紙に印字したりするものである。この画像処理装置19が、本発明の分割展開画像作成手段、展開画像作成手段及び補正手段に相当する。
【0035】
次に、本実施形態のトンネル壁面撮影装置10の動作について説明する。図4はカントがある場合の補正量を求める方法を表す説明図、図5は分割展開画像を繋ぎ合わせて展開画像とする方法を表す説明図、図6はカントがある場合の分割展開画像を表す説明図、図7は坑口センサによるトンネル入口及び出口の特定方法を表す説明図である。
【0036】
まず、オペレータは、トンネル壁面撮影装置10の移動車両11のコンテナボックス11bを開けて、スライドアングル12、13のスライド部12a、13aを外へ引き出し、スライド部12a、13aと略一致していたフレーム部12c、13cを回動軸12b、13b周りに約90°回動する。すると、トンネル壁面撮影装置10は図1に示す状態になる。
【0037】
続いて、オペレータは、すべての照明器具14、14、…、ラインセンサカメラC1~C4及び制御装置17のスイッチを入れ、移動車両11の操縦部11aに乗り込み、単線トンネル51のレール52に沿って、トンネル入口に向けて走行を開始する。
【0038】
制御装置17は、スイッチが入れられると、坑口センサ16の検出信号により、坑口センサ16がトンネル入口を検出したか否かを判断する。そして、坑口センサ16がトンネル入口を検出したならば、制御装置17は、図示しないロータリエンコーダからのパルス信号が入力されるごとに、複数のラインセンサカメラC1~C4から第1~第4分割ラインデータを、またカントセンサ15からカントデータを、また図示しない距離センサからの距離d1~d4のデータを、更に坑口センサ16から検出信号を取り込み、これらを画像蓄積装置18に記憶させる。
【0039】
移動車両11がトンネル出口から出た後、移動車両11を停止させ、すべての照明器具14、14、…、ラインセンサカメラC1~C4、制御装置17のスイッチを切る。
続いて、オペレータは、画像処理装置19と画像蓄積装置18とを接続し、画像処理装置19のスイッチを入れる。すると、画像処理装置19は、分割ラインデータのカントによるずれを補正する補正処理を行う。即ち、画像処理装置19は、所定タイミングごとに第1ラインセンサカメラC1から得られた第1分割ラインデータにつき、そのタイミングにおける移動車両11の水平に対する傾斜角度θがゼロか否かをカントデータに基づいて判断する。そして、傾斜角度θがゼロの場合には、その補正量をゼロとする。一方、例えば図4に示すように、傾斜角度θがゼロでない場合には、その傾斜角度θと第1ラインセンサカメラC1からトンネル壁面までの距離d1とに基づいて、補正量を求める。このときの補正量は近似的にd1・sinθと表される。このようにして求めた所定タイミングごとの補正量により、そのタイミングにおける第1分割ラインデータを補正して第1分割ライン補正データAL1とする。
【0040】
次に、画像処理装置19は、分割展開画像作成処理を行う。即ち、画像処理装置19は、所定タイミングごとの第1分割ライン補正データAL1、AL1、…を移動車両11の移動距離に応じて並べることにより、第1分割展開画像DDP1を作成する。ここで、移動車両11の移動距離は、本実施形態では図示しないロータリエンコーダを利用して車輪から得られるパルス信号を用いることにより、容易に求めることができる。なお、もし上記の補正を行わなければ、図6にて実線で示すように、トンネル51の高さ位置Aは、移動距離に応じてカントが変化することにより、分割展開画像DDP1において本来直線状に表れるべきものが歪んだ曲線状に表れてしまう。しかし、本実施形態では上述の補正を行っているため、図6にて点線で示すように、高さ位置Aは直線状に表れる。
【0041】
そして、画像処理装置19は、以上の補正処理及び分割展開画像作成処理を、第2~第4ラインセンサカメラC2~C4から得られた第2~第4分割ラインデータについても行う。これにより、第2~第4分割ライン補正データAL2~AL4、第2~第4分割展開画像DDP2~DDP4(図5参照)が得られる。
【0042】
続いて、画像処理装置19は、展開画像作成処理を行う。即ち、上記のようにして得られた第1~第4分割展開画像DDP1~DDP4を、図5に示すように、隣合う分割展開画像の重複部分をパターン認識により一致させて繋ぎ合わせることにより、トンネル51の壁面の展開画像DPを作成する。そして、この展開画像DPを、ディスプレイ20に表示するか、あるいはプリンタ21を通じて用紙に印字する。オペレータは、この展開画像DPに基づいて、トンネル変状の追跡を行う。
【0043】
ところで、図7に示すように、坑口センサ16から第1~第4ラインセンサカメラC1~C4が撮影するラインLまでの距離がlの場合、撮影された画像はトンネル51の入口から距離lだけ手前のところから始まることになるため、トンネル51の入口は撮影開始位置から距離lだけ進んだところに特定できる。また、トンネル51の出口は、トンネル51の入口が上記のように特定でき、トンネル51の長さも既知であるため、容易に特定できる。なお、坑口センサ16を第1~第4ラインセンサカメラC1~C4が撮影するラインLと同じ位置に設置しておき、坑口センサ16がトンネル51の入口を検出したときに撮影を開始し、トンネル51の出口を検出したときに撮影を終了すれば、撮影された画像がトンネル51の壁面を表すことになり、トンネル51の入口、出口をより容易に特定できる。
【0044】
上記本実施形態のトンネル壁面撮影装置10によれば以下の効果が得られる。▲1▼特開平6-42300号公報に記載されたトンネル検査装置に比べて、曲面鏡を使用しないため、曲面鏡の形状をトンネルの形状に合わせて設計するという複雑な作業が不要となり、光学系の構造が簡素化される。
【0045】
▲2▼特開平6-42300号公報に記載されたトンネル検査装置に比べて、一台のラインセンサカメラがライン全体を撮影するのではなく、第1~第4ラインセンサカメラC1~C4がそれぞれに対応する第1~第4分割ラインL1~L4を撮影するものであるため、画像分解能が高くなる。具体的には、幅1mm程度のクラックまで認識できる。
【0046】
▲3▼制御装置17や画像処理装置19を備えたことにより、第1~第4ラインセンサカメラC1~C4によって撮影された分割ラインのデータから、トンネル51の壁面の展開画像を得ることができる。
▲4▼カントセンサ15から出力されたカントデータに基づいて、カントによるトンネル壁面の展開画像の歪みを補正することができる。
【0047】
▲5▼第1~第4ラインセンサカメラC1~C4及び照明器具14、14、…は、コンテナボックス11bの内外をスライド可能で且つ折り畳み可能なスライドアングル12、13に取り付けられているため、撮影時以外はコンテナボックス11bにコンパクトに収納でき、装置の小型化が実現される。
【0048】
▲6▼坑口センサ16を設けたため、この坑口センサ16の検出信号に基づいて、トンネル壁面の展開画像の開始位置と終了位置を容易に特定できる。
尚、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0049】
例えば、上記実施形態のトンネル壁面撮影装置10は単線トンネル51の壁面を撮影するものとして例示したが、図8に示すような複線トンネル61の壁面を撮影する場合には、移動車両11に2台のラインセンサカメラC1、C2を搭載し、複線トンネル61の左側半分を往路、右側半分を復路で撮影するようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では鉄道トンネルの壁面を撮影する装置について説明したが、移動車両11に例えばタイヤを取り付けて自動車トンネル内を走行できるようにして、自動車トンネルの壁面を撮影したり、工事用のトンネルの壁面を撮影してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態のトンネル壁面撮影装置の概略斜視図である。
【図2】 本実施形態のスライドアングルの概略説明図である。
【図3】 本実施形態のラインセンサカメラの配置図である。
【図4】 分割ラインデータを統合してラインデータとする方法を表す説明図である。
【図5】 カントがある場合の補正量を求める方法を表す説明図である。
【図6】 カントがある場合の分割ラインを表す説明図である。
【図7】 坑口センサによるトンネル入口及び出口の特定方法を表す説明図である。
【図8】 別の実施形態のラインセンサカメラの配置図である。
【符号の説明】
10・・・トンネル壁面撮影装置、11・・・移動車両、11b・・・コンテナボックス、12、13・・・スライドアングル、14・・・照明器具、15・・・カントセンサ、16・・・坑口センサ、17・・・制御装置、18・・・画像蓄積装置、19・・・画像処理装置、51・・・単線トンネル、52・・・レール、AL1~AL4・・・補正分割ラインデータ、C1~C4・・・第1~第4ラインセンサカメラ、DDP1~DDP4・・・第1~第4分割展開画像、DP・・・展開画像、L・・・ライン、L1~L4・・・第1~第4分割ライン、d1~d4・・・カメラからトンネル壁面までの距離。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7