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明細書 :レール端頭部加熱装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3629561号 (P3629561)
公開番号 特開平11-280005 (P1999-280005A)
登録日 平成16年12月24日(2004.12.24)
発行日 平成17年3月16日(2005.3.16)
公開日 平成11年10月12日(1999.10.12)
発明の名称または考案の名称 レール端頭部加熱装置
国際特許分類 E01B 31/18      
C21D  1/08      
C21D  1/52      
C21D  9/04      
FI E01B 31/18
C21D 1/08
C21D 1/52 Q
C21D 9/04 B
請求項の数または発明の数 5
全頁数 14
出願番号 特願平10-086435 (P1998-086435)
出願日 平成10年3月31日(1998.3.31)
審査請求日 平成13年5月25日(2001.5.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】391023725
【氏名又は名称】株式会社峰製作所
発明者または考案者 【氏名】出村 正文
【氏名】前田 洋明
【氏名】戸田 淳
【氏名】辻 昭彦
【氏名】佐藤 幸雄
【氏名】鈴木 理三郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100092772、【弁理士】、【氏名又は名称】阪本 清孝
【識別番号】100093104、【弁理士】、【氏名又は名称】船津 暢宏
審査官 【審査官】深田 高義
参考文献・文献 実公昭49-032533(JP,Y1)
特開平07-136889(JP,A)
調査した分野 E01B 31/18
C21D 1/08
C21D 1/52
C21D 9/04
特許請求の範囲 【請求項1】
案内部に沿って往復直線運動が可能となるように装着された平行スライダーと、回転手段により回転運動を行う回転板と、前記回転運動を前記往復直線運動に変換する連動ロッドと、前記平行スライダーと連動ロッドを連結する連結部と、を具備する揺動機構を有し、
前記連動ロッドの連結部に対する往復直線運動の前端側に第1スプリングを装着し、前記連動ロッドの連結部に対する往復直線運動の後端側に第2スプリングを装着するとともに、
前記案内部に対し連動ロッドと反対の案内部外側に加熱バーナーの噴射口が位置するように、前記加熱バーナーを前記平行スライダーに装着して成る
ことを特徴とするレール端頭部加熱装置。
【請求項2】
前記連動ロッドにロッド長調整部を設け、連動ロッドが連結部に対して軸方向に移動可能な構造とした請求項1に記載のレール端頭部加熱装置
【請求項3】
前記第1スプリングによる反発力は、第2スプリングによる反発力より大きい請求項1または請求項2に記載のレール端頭部加熱装置
【請求項4】
前記平行スライダーに対する前端側の往復直線運動端の位置に、緩衝手段を設けた請求項1または請求項2または請求項3に記載のレール端頭部加熱装置
【請求項5】
前記平行スライダーに対する前端側の往復直線運動端の位置に、第2スプリングの弾性力と略等しい弾性力を有する第3スプリングを装着した請求項3に記載のレール端頭部加熱装置
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道線路におけるレール端頭部の焼き入れを行う際に使用するレール端頭部加熱装置に関し、特に、レール端頭部加熱装置に装着される火炎式加熱バーナーがレール表面上を往復直線運動する場合に、レール端頭部を均一に加熱することが可能なレール端頭部加熱装置の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道線路に使用されるレールにおいては、レール端部から約150mmの範囲の端頭部を焼き入れすることにより、硬さを改善してレールの耐久性の向上(レール寿命の延命)を図る焼き入れ処理が従来から行われている。
この焼き入れ処理を行うための装置は、図11に示すように、火炎焼き入れバーナーで加熱を行う定置式の加熱装置100と、圧縮空気で強制空冷を行う空冷装置200と、複数の横送りローラー301から成るレール搬送手段300とから構成されている。
加熱装置100は、火炎を噴射する火炎焼き入れバーナー101と、高圧ガスを供給するガス供給装置102とで構成されている。空冷装置200は、圧縮空気噴射口201と、圧縮空気発生装置202とで構成されている。
また、火炎焼き入れバーナーに代えて高周波誘導加熱炉が、ガス供給装置に代えて高周波発生装置がそれぞれ使用される加熱装置を用いることもできる。
【0003】
上記装置を利用して焼き入れ処理を行う場合、先ず、レール搬送手段300のローラ301上にレール400を載置し、ローラ301の回転駆動によりレール端頭部401が火炎バーナー101の下方位置になるように設定する。続いて、レール頭部のレール端面402から長さ約150mmの範囲(加熱範囲)のレール頭部表面について、火炎バーナー101で加熱して約1000度まで昇温させる。なお、レール端面402には、火炎バーナー101での加熱によるレール端部の頭部角部の過熱溶損防止のため、保護板500を当接させて熱を逃すようにしている。
【0004】
次に、ローラ301の駆動によりレール端頭部401が空冷装置の下方に位置するようにレール長手方向に送られる。そして、空冷装置200の圧縮空気噴射口201からの空気がレール端頭部401の前記加熱範囲のレール頭部表面に噴射され、加熱範囲部分を強制空冷して焼き入れを行い、レールの端頭部401の硬度を改善することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記装置によるレール端頭部の焼き入れ処理によれば、レール400を横方向(長手方向)に移動させて行われるので、大掛かりな装置となり定置式の装置とならざるを得なかった。
したがって、レール製造の最終段階のレール(敷設前のレール)に対してレール製造工場において焼き入れ処理を行い、端焼きレールとして出荷することが一般に行われていた。
【0006】
一方、鉄道線路におけるレール敷設場所がカーブ区間であるような場合、レール継目部の位置を左右で揃えるため、敷設現場においてどちらかのレール端部を切断して敷設するような状況が生じ、端焼きレールの焼き入れ部分を除去しなければならないため、レール製造工場での焼き入れ処理が無駄となり、レール寿命が低下してしまうという問題点があった。
すなわち、従来のレール端頭部焼き入れ装置の加熱装置では、敷設されたレールまたは敷設現場でレール端頭部の焼き入れのための加熱処理を行うことができなかった。
【0007】
また、上記レール端頭部焼き入れ装置の加熱装置では、レール端部401の頭部角部を均一に加熱するのは困難であり、上述したように、頭部角部の過熱溶損防止のためレール端面402に保護板500を当接させて載置して加熱処理を行う必要があった。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、敷設現場においてレール端頭部の均一な加熱処理が可能なレール端頭部加熱装置及びレール頭部表面の均一な加熱処理に適したレール端頭部加熱装置を提供することを目的としている。
【0009】
上記目的を達成するため請求項1のレール端頭部加熱装置は、案内部に沿って往復直線運動が可能となるように装着された平行スライダーと、回転手段により回転運動を行う回転板と、前記回転運動を前記往復直線運動に変換する連動ロッドと、前記平行スライダーと連動ロッドを連結する連結部と、を具備する揺動機構を有し、前記連動ロッドの連結部に対する往復直線運動の前端側に第1スプリングを装着し、前記連動ロッドの連結部に対する往復直線運動の後端側に第2スプリングを装着するとともに、前記案内部に対し連動ロッドと反対の案内部外側に加熱バーナーの噴射口が位置するように、前記加熱バーナーを前記平行スライダーに装着して成ることを特徴としている。
【0010】
請求項2は、請求項1に記載のレール端頭部加熱装置において、前記連動ロッドにロッド長調整部を設け、連動ロッドが連結部に対して軸方向に移動可能な構造であることを特徴としている。
【0011】
請求項3は、請求項1または請求項2に記載のレール端頭部加熱装置において、前記第1スプリングによる反発力は、第2スプリングによる反発力より大きいことを特徴としている。
【0012】
請求項4は、請求項1または請求項2または請求項3に記載のレール端頭部加熱装置において、前記平行スライダーに対する前端側の往復直線運動端の位置に、緩衝手段を設けたことを特徴としている。
【0013】
請求項5は、請求項3に記載のレール端頭部加熱装置において、前記平行スライダーに対する前端側の往復直線運動端の位置に、第2スプリングの弾性力と略等しい弾性力を有する第3スプリングを装着したことを特徴としている。
【0015】
本発明のレール端頭部加熱装置が有する揺動機構によれば、回転板の回転運動を平行スライダーの往復直線運動に変換する連動ロッドと平行スライダーとの連結部に対して、その前端側及び後端側に、第1スプリング及び第2スプリングをそれぞれ装着しているので、第1スプリング及び第2スプリングによる反発力を調整することにより、平行スライダーの往復直線運動における移動速度及び往復端での移動ストロークを調整することができる。例えば、往復端の直線運動において、平行スライダーを停止させることなく移動速度を調整することができ、一方側(例えば往路端)での移動ストロークを変化させることができる。
【0016】
特に、第1スプリングの弾性力を第2スプリングの弾性力より大きく設定すれば、平行スライダーに対して連動ロッドと反対側の往復直線運動端での平行スライダーの移動速度を遅くするとともに、平行スライダーの移動ストロークを短くすることができる。
【0017】
また、平行スライダーに加熱バーナーを装着することにより、加熱バーナーの噴射口を平行スライダーの往復直線運動に追従させることができ、レール端頭部を加熱するのに適した移動速度及び移動ストロークが得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係るレール端頭部加熱装置の実施の形態の一例について、図面を参照しながら説明する。図1は、レール端頭部加熱装置の主要な構成を説明するための簡略構成説明図である。図2(a)~(c)はレール端頭部加熱装置の揺動機構の動作を説明するための平面説明図である。
レール端頭部加熱装置は、揺動機構10と、この揺動機構10によりレール端頭部の表面に対して移動可能となる加熱バーナー30とから構成されている。
【0019】
加熱バーナー30は、レール表面に火炎を噴射するよう下方に向けられた噴射口31を有している。
揺動機構10は、加熱バーナー30が装着される方柱状の平行スライダー11と、この平行スライダー11の往復直線運動を案内するため本体1の底面に装着された案内部20と、往復直線運動の駆動源となるモータ(回転手段)3と、モータ3の駆動により回転する方形状の回転板5と、回転板5の回転運動を前記往復直線運動に変換する連動ロッド7と、を有している。
【0020】
案内部20は、平板に対して両側に壁面21aが立設された支持板21と、前記壁面間に互に平行に架設される2本の案内ロッド22,22とから構成されている。平行スライダー11には、各案内ロッド22が貫通する孔12が設けられ、案内部20の壁面間において往復直線運動が可能なように案内ロッド22に装着されている。
平行スライダー11に装着された加熱バーナー30の噴射口31は、案内部20及び本体1の外部に位置するようにしている。また、平行スライダー11の上面の加熱バーナー位置と反対側の端部に、支持片13が立設されている。
【0021】
回転板5は、その中心がモータ3の回転軸4に固定され、回転板5の端部が円運動を行うようになっている。回転板5の端部は、その下側位置において連動ロッド7の一端側に軸着されている。すなわち、連動ロッド7の端部に設けた軸部7aが回転板5の端部の孔部5aに挿入されて軸着部分6を形成している。この連動ロッド7の他端側は、平行スライダー11の支持片13の中央に設けた水平方向(図1の表裏方向)に細長い長孔部14を貫通し、支持片13の長孔部14に対して連動ロッド7の位置が水平方向で動作可能な状態で装着されている。したがって、モータ3による回転板5の回転運動が、連動ロッド7を介して平行スライダー11の往復直線運動に変換されるようになっている(図2参照)。
【0022】
支持片13に対する連動ロッド7の往復直線運動の前端側(加熱バーナー装着側)と後端側(モータ設置側)には、支持片13に対して間隔をおいてスプリング受けナット15,16がそれぞれ固定されている。
連動ロッド7の前端側のスプリング受けナット15と支持片13の間には、第1スプリング17が装着されている。また、連動ロッド7の後端側のスプリング受けナット16と支持片13の間には、第2スプリング18が装着されている。この第1スプリング17による反発力は、第2スプリング18による反発力より大きく設定するとともに、第1及び第2スプリングとも後述する平行スライダー11の往復直線運動では伸縮しないような各スプリングの弾性力の値に設定している。
【0023】
具体的には、第1スプリング17自体の弾性力が第2スプリング18の弾性力より大きくなるようにスプリングを選択したり、第1及び第2スプリングについて同じスプリングを使用し(スプリング自体の弾性力は同じ)、支持片13とスプリング受けナット15,16の間隔をナットの取り付け位置により調整することにより行われる。
第1スプリング17による反発力を、第2スプリング18による反発力より大きく設定することにより、平行スライダー11の前端側での直線運動終端において、平行スライダー11の移動速度を遅くするとともに、平行スライダー11の移動ストロークを短くすることができる。動作の詳細については後述する。
【0024】
各案内ロッド22の前端側の端部(往復直線運動端)には、平行スライダー11の移動終端での緩衝作用を行うための第3スプリング(緩衝手段)19がそれぞれ装着されている。第3スプリング19は、第2スプリング18と同じ弾性力を有している。
【0025】
次に、上記構造の揺動機構10の動作について、図2(a)ないし(c)を参照して説明する。
モータ3の回転軸4が回転すると、回転軸4を中心に回転板5が回転する。回転板5の連動ロッド7との軸着部分6が後端側に位置している場合(図2(a))と、軸着部分6が前端側に位置している場合(図2(c))とでは、距離L0だけ離れている。すなわち、軸着部分6は、回転軸4を中心として距離L0を直径とする円運動を行うことになる。
【0026】
したがって、連動ロッド7と支持片13とが直接連結しているような場合(本機構では第1及び第2スプリングを介して連結している)、回転板5の軸着部分6の円運動に応じて平行スライダー11はストロークL0分だけ移動する(単純揺動運動)ことになる。本揺動機構10による場合は、第1スプリング17及び第2スプリング18による反発力を調整することにより揺動速度及び移動ストロークを調整することができる。
例えば、支持片13の前端側及び後端側にそれぞれ装着されている第1スプリング17及び第2スプリング18について、第1スプリング17による反発力が、第2スプリング18による反発力より大きく設定することにより、前端側の最端での平行スライダー11の移動ストロークを第2スプリング18で吸収させることができる。その結果、平行スライダー11の往復直線運動となるストロークL1は、L0より短くなっている。
【0027】
すなわち、回転板5が時計回りに回転し図2(a)の状態に近づこうとする場合(平行スライダー11の後端側への移動)、連動ロッド7は、第1スプリング17を介して回転板5の円運動を直線運動に変換して支持片13及び平行スライダー11へ伝える。この時、第1スプリング17による移動ストロークの吸収は生じない(第1スプリング17及び第2スプリング18は通常状態の長さを維持している)。
【0028】
次に、回転板5の軸着部分6が案内部20より最も離れた後端側の位置になると(図2(a))、平行スライダー11の側面11aが案内部20の支持板21aに当接し、平行スライダー11が後端側におけるストローク終端位置となる。この時、支持片13には第1スプリング17及び第2スプリング18の力が作用し第1スプリング17の反発力が大きいため、全体として図の右方向への力を受けているが、平行スライダー11の移動方向と同じであり平行スライダー11は支持板11aに当接しているので、スプリング力により平行スライダー11が動かされることはない。
【0029】
その後、回転板5が時計回りに回転し、図2(a)の状態から離れて図2(b)の状態となる場合、連動ロッド7は、第2スプリング18を介して回転板5の円運動を直線運動に変換して支持片13及び平行スライダー11へ伝える。この時、第2スプリング18による移動ストロークの吸収は生じない(第1スプリング17及び第2スプリング18は通常状態の長さを維持している)。
【0030】
次に、回転板5の軸着部分6が案内部20に近づく場合(平行スライダー11の前端側への移動)、平行スライダー11の側面11bが第3スプリング19に当接して第3スプリング19が縮むとともに、第1スプリング17の反発力により第2スプリング18が縮み始めて平行スライダー11の移動量が少なくなり、移動ストロークを吸収する。
回転板5の軸着部分6が案内部20にも最も近づいた前端側の位置(図2(c))で、第2スプリング18及び第3スプリング19が最も縮んだ状態となる。
【0031】
その後、回転板5が時計回りに回転し、図2(c)の状態から離れようとする場合、第2スプリング18及び第3スプリング19が通常状態(通常状態の長さ)に戻るまで、平行スライダー11の移動量が少ない状態が続き、平行スライダー11が第3スプリング19から離れると、平行スライダー11は、連動ロッド7から第2スプリング18を介して回転板5の動きに追従して移動する。
【0032】
したがって、上記構造の揺動機構10を有するレール端頭部加熱装置を、図3のように、加熱バーナー30の噴射口31の揺動最前端位置がほぼレール端に位置するようにレール端頭部に配置すると、平行スライダー11の前端位置は、下方に時間軸をとった場合、図3に示すようになり、移動ストロークの前端側において第2スプリング18がストロークL2(L0-L1)分だけストローク吸収を行う。加熱バーナー30は平行スライダー11の動きに同期して移動するので、その噴射口31はレール面に対して往復直線運動を行うが、レール端側において前記ストローク吸収にともない噴射口31がゆっくりと移動して折り返す折返動作を行う。
【0033】
また、第1スプリング17及び第2スプリング18の双方の反発力を弱く設定すれば、加熱バーナー30の噴射口31を両側の往復端(揺動端)で適当な休止を含むゆっくりとした揺動を行わせることができる。逆に、第1スプリング17及び第2スプリング18の双方の反発力を強く設定すれば、加熱バーナー30の噴射口31を両側の揺動端で連結ロッド7の動きに応じた休止を含まない単純揺動を行わせることができる。
【0034】
次に、レール端頭部加熱装置の更に具体的な実施形態について、図4ないし図10を参照しながら説明する。図中、図1ないし図3で示したレール端頭部加熱装置と同一の構成をとる部分については、同一符号を付している。
12本の枠体40を組み付けることにより、内部に各機構を配置可能とする空間が形成された長方形状の本体1を構成し、その下方に底面1aを装着している。枠体40は、例えば鋼等、加熱バーナー30の火炎による輻射熱に充分耐え得る強度を有する材料で形成されている。
【0035】
前端側の枠体40aにはアルミニウム製の遮熱板41が装着されている。この遮熱板41は、加熱バーナー30の噴射口31から噴射される火炎の跳ね返りから揺動機構10を保護できる強度を有している。
遮熱板41の下面は、図6に示すように、中央にレール頭部が挿入可能な凹部42が形成され、両端側には切欠部43がそれぞれ形成されている。これらの切欠部43は、図に示すように複数のレール400を密接させて置いた場合においても、隣接レールの頭部が切欠部43内に配置させることにより加熱装置をレール上に配置可能とするためである。
また、遮熱板41の上面には、加熱バーナー30のノズル部32が移動可能な凹部44が形成されている。
【0036】
また、下側枠体40bの後端側下面には、ローラ部45が装着されている。このローラ部45は、その下面がレール頭頂部と同一形状の滑らかな面で構成され、レール頭部を跨ぐようになっている。
【0037】
後端側の枠体40cには側面板46が装着されている。この側面板46には、鉛直方向に一対の貫通孔を有するガイド部47が固定され、このガイド部47に固定具48の先端側のY字部分が挿入するようになっている。そして、固定具48のY字部分は、レール頭部を挟む程度の間隔に設定されており、前記遮熱板41の凹部42とあいまってレール400上での焼き入れ装置の載置位置がずれることを防止するものである。
【0038】
本体1の右端側には、図4及び図8に示すように、回転軸4が下向きに位置するようにモータ3が固定されている。モータ3の回転軸4には、方形状の回転板5の中央が固定され、回転軸4の回転により回転板5の端部が円運動するようになっている。回転板5の端部には連結ロッド7の一端側が軸着されている(連動ロッド7の端部に設けた軸部7aが回転板5の端部の孔部5aに挿入されて軸着部分6を形成している)。
【0039】
本体1の底面1aの左側位置には、平行スライダー11が往復直線運動を行うための案内部20が装着されている。この案内部20には、図で示した揺動機構10と同様に、壁面21a間に架設される案内ロッド22が設けられており、平行スライダー11を固定する方形体11′が案内ロッド22に沿って移動するようになっている。
【0040】
平行スライダー11の左端側には、加熱バーナー30が固定されている。加熱バーナー30は鋼製で構成され、枠体40と同様に火炎による輻射熱に充分耐え得る強度を有する材料で形成されている。加熱バーナー30には、枠体外部に延びるノズル部32が装着され、このノズル部32の先端側は下方に曲げられ、先端部に噴出口31が形成されて、噴射口31からの火炎によりレール頭部を急速加熱可能としている。
【0041】
加熱バーナー30へは、ステンレス製のガス案内管33及び酸素案内管34がそれぞれ接続され、これら案内管は真鍮製の開閉弁35を介してホース36に接続されている。したがって、各開閉弁35のレバー37を切り換えることにより、加熱バーナー30へ円滑にホース36からのガスや高圧酸素が供給される。
各ホース36は、後端側の枠体40cに設けられた案内ローラ38上に置かれ、平行スライダー11の往復直線運動に追従して加熱バーナー30が移動する場合においても、案内ローラ38上をホースが円滑に移動できる構造となっている。
また、加熱バーナー30の噴射口31は、レール頭部の頭頂面だけを加熱する構造としているが、頭頂面と頭両側面を同時に加熱するノズル(噴射口がレール頭部を囲む三面に形成されているノズル)に取り替えることができる。
【0042】
平行スライダー11の右端側には、前記した連動ロッド7との連結部50が形成されている。この連結部50は、図8及び図9に示すように、連動ロッド7の前端側にロッド7を貫通するように装着された方形状の連結体51と、この連結体51に対して前端側及び後端側の連動ロッド7にそれぞれ固定されるナット15,16と、前端側のナット15と連結体51との間に装着される第1スプリング17と、後端側のナット16と連結体51との間に装着される第2スプリング18と、平行スライダー11上に連結体51が装着される空間部を形成する連結片52と、から構成されている。
【0043】
連結体51にはその上面及び下面に円柱状突起53が形成され、各突起53が平行スライダー11に形成された孔部54及び連結片52に形成された孔部55に挿貫されることにより、連動ロッド7の動きに応じて連結体51が空間部内で図9(b)の矢印の範囲において回動可能なように装着されている。
【0044】
上記構造により、モータ3の駆動により回転板5が回転し、連動ロッド7を介して平行スライダー11の往復直線運動に変換される。また、モータ3の回転速度は、側面板46に装着された速度調整器61により制御されるようになっており、回転板5の回転による平行スライダー11の往復直線運動の周期が調整できるようになっている。また、モータ3の回転は、側面板46に設けた揺動開始スイッチ62により始動し、揺動終了スイッチ63により停止する(図7)。
【0045】
そして、連結ロッド7と平行スライダー11に装着された連結体51とは、第1スプリング17及び第2スプリング18を介して接続されているので、第1スプリング17及び第2スプリング18の反発力の強弱を前端側のナット15及び後端側のナット16で調整すれば、平行スライダー11が直線運動(揺動)を行うに際して、その揺動の前後端付近に限って連結ロッド7の動きをスプリングが吸収することにより、平行スライダー11の揺動が適当な休止を含んで連結ロッド7の前後揺動より遅い揺動運動としたり、連動ロッド7の動きに応じた単純揺動運動としたりすることができる。
【0046】
この例においては、前端側において平行スライダー11の揺動速度が遅く且つ移動ストロークが第2スプリング18により吸収されるように、前端側のナット15を締めて第1スプリング17の反発力を強くし、後端側のナット16を緩めて第2スプリング18の反発力を弱くすることにより、第1スプリング17による反発力が第2スプリング18による反発力より大きくなるように設定している。
【0047】
また、連結ロッド7には、図10に示すように、その中央部分においてロッドを分断し、ターンバックル71及び固定ナット72で構成されるロッド長調整部70を装着し、ターンバックル71を回転させることにより分断されたロッド同士を離したり近づけたりすることができ、連結ロッド7の全体の長さを調整できるように構成してもよい。
このロッド長調整部70による連結ロッド7の全体長の調整により、連結部50に対するナット15,16の位置を調整でき、第1スプリング及び第2スプリングによる反発力の力関係を調整することができる。すなわち、ナット15及びナット16の締め(緩め)及び緩め(締め)をターンバックル71の回転だけで同時に行うことができるようになる。
【0048】
次に、このレール端頭部加熱装置の使用方法について説明する。
レールの敷設現場で焼き入れ処理を行うレールは、新品レールだけでなく、使用された再使用レールであってもよい。
先ず、レール端頭部付近に加熱装置をレールの長手方向に沿って載置し、加熱バーナー装着側の枠体40aを持ち上げレール上面と接するローラ部45をスライドさせ、遮熱板41がレール上面の所望の位置となるようにセットし、後端側の固定具48を降ろしてレール側面を挟んで、装置本体をレール端頭部に固定する(図4)。
【0049】
レール端頭部401における加熱バーナー30の噴射口31に対して、後端側の揺動端より装置側にレール頭部を覆う断熱鋼ブロック81を載置し、その下方のレール頭部を火炎から防護する。したがって、この部分のレールについては、加熱されることなく温度上昇が防げる。
【0050】
次に、速度調整器61で揺動速度を設定し、加熱バーナー30の噴射口31に点火した後、揺動開始スイッチ62を押してモータ3を駆動し、レール端部から距離tだけ離れた一定の位置から100~200mmの長さ範囲(揺動範囲)での揺動(往復直線運動)を開始する。
【0051】
レール加熱に際しては、敷設中のレール頭部端角部の損壊防止並びに焼き入れをした長さ範囲の偏磨耗を防止するために、レール端頭部を含む加熱揺動範囲全体が均一な表面硬さ並びに焼き入れした長さ範囲の加熱深さを同様にする必要がある。
このためには、レール端部から揺動をする100~200mmの長さ範囲(揺動範囲)の端までのレール頭部表面を約1000℃の温度まで均一に加熱しておく必要がある。
【0052】
焼き入れ処理を行うレールが再使用レールである場合、その一部にはレール頭頂部面から約20mm下における頭部から腹部の範囲において、マンガン等の合金元素濃度が高い偏析帯を有するトップレールがあり、この偏析帯にレール端焼きの時の熱影響が及ぶとマンガン等の合金元素濃度が高いために異常硬化部が生成される場合がある。したがって、現地レール端焼きの加熱に際しては、その加熱深さがレール頭頂面から20mm以内であることが必要である。
【0053】
しかしながら、レール端頭部の加熱バーナーの揺動においては、揺動範囲だけ前後する単純揺動運動では、レール端面402から熱が空気中に発散してしまってレール端部で温度低下が発生する。
また、レール端面402の揺動において加熱バーナーを止めて加熱すると、レール頭部端角部に熱が集中して過熱溶融が発生する。
その一方、レール端面の手前で加熱バーナーの揺動を休止する間欠揺動運動を行うと、レール頭部端角部の過熱溶損は防げるが、止めた箇所だけが過熱されて加熱深さが深くなってしまう。
このように、レール端頭部を加熱バーナーで加熱する場合は、揺動範囲だけ前後する単純揺動運動や、揺動端前後に限って休止を伴う間欠揺動運動では均一な表面温度や加熱深さが得られないという問題があった。
【0054】
上記構造の加熱装置によれば、加熱バーナー30の噴射口31の揺動端をレール端面より一定距離t離れた位置とし、前端側のナット15を締め後端側のナット16を緩めることにより第1スプリング17による反発力を第2スプリング18による反発力より強く設定している。
そのため、平行スライダー11による往復直線運動において、噴射口31がレール端面402から一定距離t離れた付近(前端側の移動ストローク端)で、その揺動速度は、第2スプリング18の反発力が第1スプリング17の反発力より弱いので、図3で説明したように、平行スライダー11を揺動させる連結ロッド7の動きを徐々に吸収して遅くなり、揺動の折り返し端においてゆっくりとした連続運動をさせることができる。
【0055】
その結果、加熱バーナーによるレール端頭部の加熱について、レール頭部端角部を過熱することなく、レール端部を含めた加熱部全体が均一の加熱温度並びに均一の加熱深さを得ることができる。
【0056】
また、平行スライダー11による往復直線運動による後端側の移動ストローク端においては、第1スプリング17の反発力が強いため平行スライダー11を揺動させる連結ロッド7の動きを吸収することなく、連結ロッド7の動きに応じた休止を含まない単純揺動運動になる。
【0057】
上記構造の加熱装置を使用することにより、以下のような効果を奏することができる。
すなわち、持ち運び可能なコンパクトな加熱装置を使用して焼き入れ処理を行うことにより、敷設現場の線路脇での焼き入れ処理や、従来不可能であった敷設したままのレールについての焼き入れ処理を小人数で短時間で且つ確実に施工でき、これらのレールについてレール寿命の延伸を図ることができる。その結果、鉄道線路の保守費の軽減を図ることができる。
【0058】
また、従来、新幹線や在来線の1,2級線区で使用して偏磨耗して廃棄処分されていた使用済みレールについても、敷設現場においてレール端頭部の焼き入れを施工し、磨耗していない側のレール頭部を車輪接触側として地方線の3,4級線区においてそのまま再使用することができる。その結果、鉄道線路における資源のリサイクルに大きく貢献することができる。
【0059】
また、カーブ区間では継目部の位置を左右で揃えるため、どちらかのレール端部を切断して敷設することが行われていたため、工場で端頭部の焼き入れを行ったレールでも焼き入れ部分を除去しなければならず、レール寿命が低下してしまう場合があったが、上記構造の加熱装置を使用することにより敷設現場で焼き入れ処理が可能となるので、このような場合においてもレール切断後にレール寿命を延伸させる焼き入れ処理を行うことができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明のレール端頭部加熱装置が有する揺動機構によれば、連動ロッドは、第1スプリング及び第2スプリングを介して平行スライダーとの連結部に連結されているので、第1スプリング及び第2スプリングによる反発力を調整することにより、平行スライダーの往復直線運動における移動速度及び往復端での移動ストロークを調整することができ、種々の往復直線運動を得ることがきる。例えば、往復端の直線運動において、平行スライダーを停止させることなく移動速度を調整することができ、一方側(例えば往路側)での移動ストロークを変化させることができる。
【0061】
特に、第1スプリングの弾性力を第2スプリングの弾性力より大きく設定すれば、平行スライダーに対して連動ロッドと反対側の直線運動端での平行スライダーの移動速度を遅くするとともに、平行スライダーの移動ストロークを短くすることができ、レール端頭部の焼き入れにおける加熱処理に適した往復直線運動を得ることができる。
【0062】
したがって、平行スライダーに加熱バーナーを装着すれば、加熱バーナーの噴射口を平行スライダーの往復直線運動に追従させることができ、レール端頭部での均一な加熱温度及び均一な加熱深さによる加熱処理を行うことが可能であり、且つレール敷設現場で施工が可能なコンパクトな加熱装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る揺動機構の実施形態の一例を示す簡略構成説明図である。
【図2】(a)ないし(c)は、揺動機構の往復直線運動(揺動運動)を説明するための平面説明図である。
【図3】揺動機構における回転板の動きと平行スライダー(加熱バーナーの噴射口)の移動ストロークとの関係を説明するための移動ストローク説明図である。
【図4】本発明に係るレール端頭部加熱装置の実施形態の一例を示す正面説明図である。
【図5】同上の加熱装置の平面説明図である。
【図6】同上の加熱装置の左側面図である。
【図7】同上の加熱装置の右側面図である。
【図8】揺動機構における回転板と連動ロッドとの連結構造を示す正面説明図である。
【図9】(a)ないし(c)は揺動機構における連動ロッドと平行スライダーとの連結構造を示すもので、それぞれ側面説明図、平面説明図、側面説明図である。
【図10】連動ロッドに介在させる調整部の正面説明図である。
【図11】従来、焼き入れ処理に使用されている定置式の加熱装置及び空冷装置の構成説明図である。
【符号の説明】
1…本体、 3…モータ(回転手段)、 4…回転軸、 5…回転板、 5a…孔部、 6…軸着部分、 7…連動ロッド、 7a…軸部、 10…揺動機構、 11…平行スライダー、 13…支持片、 14…長孔部、 15,16…ナット、 17…第1スプリング、 18…第2スプリング、 19…第3スプリング(緩衝手段)、 20…案内部、 21…支持板、 22…案内ロッド、30…加熱バーナー、 31…噴射口、 40…枠体、 50…連結部、 51…連結体、 52…連結片、 70…ロッド長調整部、 100…加熱装置、200…空冷装置、 300…レール搬送手段、 400…レール、 401…レール端頭部、 402…レール端面
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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