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明細書 :浮上案内コイル異常探知装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3992825号 (P3992825)
公開番号 特開平11-275715 (P1999-275715A)
登録日 平成19年8月3日(2007.8.3)
発行日 平成19年10月17日(2007.10.17)
公開日 平成11年10月8日(1999.10.8)
発明の名称または考案の名称 浮上案内コイル異常探知装置
国際特許分類 B60L  13/04        (2006.01)
B61B  13/08        (2006.01)
FI B60L 13/04 L
B61B 13/08 ZAAB
請求項の数または発明の数 1
全頁数 14
出願番号 特願平10-090770 (P1998-090770)
出願日 平成10年3月19日(1998.3.19)
審査請求日 平成16年7月29日(2004.7.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
【識別番号】303059071
【氏名又は名称】独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
発明者または考案者 【氏名】鈴木 裕之
【氏名】諏訪 博
【氏名】澤田 一夫
【氏名】梅木 健
【氏名】夏原 博隆
個別代理人の代理人 【識別番号】100089761、【弁理士】、【氏名又は名称】八幡 義博
審査官 【審査官】竹下 晋司
参考文献・文献 特開平03-261302(JP,A)
特開平09-211095(JP,A)
特開平08-191507(JP,A)
特開平06-086410(JP,A)
特開昭54-118020(JP,A)
調査した分野 B60L 13/02 - 13/10
B61B 13/08
特許請求の範囲 【請求項1】
浮上式鉄道のガイドウェイに沿って移動可能なフレーム上に、下記の各構成を設けたことを特徴とする浮上案内コイル異常探知装置。
(イ) 浮上式鉄道のガイドウェイ両側の側壁に沿って設けられた浮上案内コイルに対向するように、フレーム両側に設けられた励振コイル
(ロ) 励振コイルに励振電流を流すことによって浮上案内コイル中に流れる誘導電流を電磁誘導作用により検出する検出コイル
(ハ) 検出コイルの近傍に設けられ、励振コイルから検出コイルへの誘導を相殺する電磁界を発生する補償コイル
(ニ) 励振コイルへ励振用交流電流を供給する電流供給回路
(ホ) 検出コイルで検出された電圧・電流の大きさを測定する振幅測定器
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浮上式鉄道においてガイドウェイに沿って敷設されている浮上案内コイルの誤結線、短絡、断線というような、設置工事時或いは運用中に発生した異常を探知する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
浮上式鉄道における浮上案内コイルはガイドウェイに沿って左右両側に敷設されており、この間を超電導磁石を搭載した車両が進行することになる。この浮上案内コイルおよびそのヌルフラックス結線を斜視的に示すと図24のようになる。(a)は左右の側壁に8の字状に結線したコイルを設けているので8の字コイルと呼ばれており、(b)は左右の側壁に田の字状に8の字コイルが設けられているので田の字コイルと呼ばれている。このような浮上案内コイルおよび結線が軌道全長に渡って設けられることになる。このような敷設工事においては、誤結線、短絡、結線もれの発生の可能性がないとは言えないから、敷設工事後必ずこのような異常の有無を検査確認する必要がある。
【0003】
また、敷設工事完了後異常はなくともその後の何らかの原因により短絡や断線等の異常は発生することが有り得る。
従って、それに対応した検査確認の必要が生ずる。従来このような検査確認作業としては、目視による検査および通電検査が考えられて来た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような目視による検査ではコイルの層間短絡のように発見不可能な異常もありうるし、通電検査では一々接続端子を外して行わなければならず非常に手間がかかるという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑みて、目視検査や端子からの通電検査に頼らずに、コイルであることの特性に着眼し、電磁誘導作用を利用した誘導電流の検出により浮上式軌道に沿って迅速な異常探知が可能な浮上案内コイル異常探知装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の浮上案内コイル異常探知装置は、浮上式鉄道のガイドウェイに沿って移動可能なフレーム上に下記の構成を具備したことを特徴とするものである。
(イ) 浮上式鉄道のガイドウェイ両側の側壁に沿って設けられた浮上案内コイルに対向するように、フレーム両側に設けられた励振コイル
(ロ) 励振コイルに励振電流を流すことによって浮上案内コイル中に流れる誘導電流を電磁誘導作用により検出する検出コイル
(ハ) 検出コイルの近傍に設けられ、励振コイルから検出コイルへの誘導を相殺する電磁界を発生する補償コイル
(ニ) 励振コイルへ励振用交流電流を供給する電流供給回路
(ホ) 検出コイルで検出された電圧・電流の大きさを測定する振幅測定器
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は、浮上式鉄道のガイドウェイに沿って移動可能なフレーム、例えば車輪の付いた人力或いは動力により移動可能な台車上に、励振コイル、検出コイルおよび補償コイルを設ける。励振コイルおよび検出コイルは、左右の側壁に沿って設けられている浮上案内コイルと磁束の交錯が可能なように浮上案内コイルと対向させるようにして設ける。
このような設定のもとに、励振コイルに励振用交流電流を流すことによって、浮上案内コイルに誘導電流を誘起せしめ、この誘導電流を、浮上案内コイルから検出コイルへの誘導作用によって検出コイルで検出する。
【0008】
このように検出コイルも浮上案内コイルと磁束の交錯が可能な位置に設けられているので、励振コイルから検出コイルへの直接の誘導ということが生じ、浮上案内コイルの誘導電流だけを検出することができなくなるので、この励振コイルからの誘導を相殺するための補償コイルが設けられ、検出コイルに対する励振コイルからの誘導と補償コイルからの誘導が互いに打ち消し合うように設けられている。こうすることによって、浮上案内コイルに誘起された誘導電流を確実に検出することができる。
【0009】
ところで、この浮上案内コイルに流れる電流は、浮上案内コイルのヌルフラックス結線に誤結線があったり、結線抜けがあったり、断線や短絡等の異常があった場合には、正常に結線されている場合と較べて、それぞれ異なった電流の流れ方になる。
従って、予め発生の可能性のある種々の異常パターンを人為的に作出し、その状態で励振コイルを励振したときの浮上案内コイル中に流れる誘導電流を検出し、正常な結線時における誘導電流との相違を予め把握しておくことにより、設置工事完了の検査時、或いは、設置後の点検時或いは異常発生時に、励振コイルを励振しながら台車を移動させつつ、検出コイルにより浮上案内コイル中の誘導電流を観測することにより、ガイドウェイのどの位置の浮上案内コイルにどのような異常が発生しているかを即座に判断することが可能となる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の浮上案内コイル異常探知装置の実施例を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の浮上案内コイル異常探知装置の実施例の構造図で、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。浮上式鉄道の走行路上をガイドウェイに沿って移動可能なように下面に移動車輪9および両側に案内車輪10を有する架台8に、ガイドウェイの左右両側壁に設けられた浮上案内コイルに対向するようにして左右両側に励振コイル1a,1b、検出コイル2a,3a,2b,3bおよび補償コイル4a,5a,4b,5bが設けられている。また架台8上には励振コイル1a,1bへ電流を供給するための電流供給回路6および検出コイル2a,3a,2b,3bで検出された浮上案内コイル中の誘導電流の振幅を測定する振幅測定器7が搭載されている。
以上のうち、励振コイル1a,1b、検出コイル2a,3a,2b,3bおよび補償コイル4a,5a,4b,5bを斜視的に図示したのが図2である。但しコイル間の接続は省略してある。
【0011】
そして、その接続関係の一例は図3に示す通りである。
浮上案内コイルについては、8の字コイルのヌルフラックス結線の場合を示してある。左側の励振コイル1aは補償コイル4aおよび5aと直列に接続されており、右側の励振コイル1bは補償コイル4bおよび5bと直列に接続されており、この2つの直列回路へは電流供給回路6からスイッチ16,17を経て50Hzの交流電流が供給される。スイッチ16がS1 の方に接続され、スイッチ17がS2 の方に接続されたときは左右の直列回路が直列になって励振される。これに対してスイッチ16と17がともにS1 に接続されたときは左側の直列回路のみが励振され、逆にスイッチ16と17がともにS2 の方に接続されたときは右側の直列回路のみが励振される。
【0012】
このように、片側の直列回路だけが励振されるようになっているのはヌルフラックス線19が断線した場合を探知するためである。即ちヌルフラックス線19が断線すると左右いずれかのみを励振した場合、励振された側の浮上案内コイルには誘導電流が流れるが、励振されなかった側の浮上案内コイルには誘導電流は流れないから両側の検出コイルの出力を見ることによってヌルフラックス線の断線が探知できることになるというものである。
【0013】
今、スイッチ16がS1 に、スイッチ17がS2 に接続された状態(図3の状態)では左右のコイルすべてが直列状態になって交流電流が流れる。
励振コイル1aに励振電流が流れると対向している浮上案内コイル11aおよび12aに起電力が誘起され、一方励振コイル1bに励振電流が流れると対向している浮上案内コイル11bおよび12bに起電力が誘起される。この起電力により、浮上案内コイルの正規のヌルフラックス接続状態、短絡、断線、誤結線に応じた電流が浮上案内コイル中に流れることになる。浮上案内コイルの正規の異常のない接続状態においては、左右直列に励振したときには、各浮上案内コイルに誘起された起電力の相殺によって殆ど電流が流れないようになっている。
【0014】
浮上案内コイルのヌルフラックス線の誤結線、断線、短絡等の各状態で浮上案内コイルに誘導電流が流れると、その誘導により検出コイルに起電力が誘起される。即ち、浮上案内コイル11aに誘導電流が流れると検出コイル2aに起電力が誘起され、浮上案内コイル12aに誘導電流が流れると検出コイル3aに起電力が誘起される。
【0015】
同様に浮上案内コイル11bに誘導電流が流れると検出コイル2bに起電力が誘起され、浮上案内コイル12bに誘導電流が流れると検出コイル3bに起電力が誘起される。なお、検出コイル2aおよび3aに対しては励振コイル1aからの誘導があるが、検出コイル2aへの誘導は補償コイル4aからの誘導で相殺し、検出コイル3aへの誘導は補償コイル5aからの誘導により相殺している。同様に、励振コイル1bから検出コイル2bへの誘導は補償コイル4bからの誘導で相殺し、励振コイル1bから検出コイル3bへの誘導は補償コイル5bからの誘導によって相殺している。
【0016】
本実施例では、補償コイルは励振コイルの両端に直列に接続され励振コイルに流れる電流と同じ電流が流れているが、何ら直列で同じ電流である必要はなく、並列であっても、電流値が異なっていても、要するに検出コイルに対する励振コイルからの電磁誘導を相殺するような電磁界を発生すればよいものである。
【0017】
かくして、検出コイル2aは対向する浮上案内コイル11a内に生じた誘導電流を検出でき、検出コイル3aは対向する浮上案内コイル12a内に生じた誘導電流を検出でき、検出コイル2bは対向する浮上案内コイル11b内に生じた誘導電流を検出でき、検出コイル3bは対向する浮上案内コイル12b内に生じた誘導電流を検出することができることになる。
図3は、簡易試験のためスイッチ16、17で回路を切り換えているが本使用の場合は、右,左,右+左用に周波数の異なる電源を用い、検出(オシロスコープ)の前にフィルタを入れてそれぞれ分離する。すなわち1回の走行で3種を同時に測定することができる。
【0018】
以下、図24の(b)に示すヌルフラックス結線の浮上案内コイルに対して模擬的に異常を生ぜしめ、本発明の異常探知装置によって検出した浮上案内コイル内の誘導電流振幅の測定データをオシロスコープによって観測した例を示す。
図4および図5に浮上案内コイルのヌルフラックス結線の正常および異常の状態を示す。図4の(a)が正常な状態であって図24の(b)に対応する結線状態を示す。(b)、(c)、(d)はそれぞれ誤結線模擬A、同B、同Cの結線状態を示す。
【0019】
図5の(a)は端子間短絡状態を示し、(b)は上側の田の字コイルの左上コイル中に層間短絡を生じた場合を示し、(c)は3本のヌルフラックス線のうち左側のものが断線した場合を示し、(d)は3本のヌルフラックス線のうち中央のヌルフラックス線が断線した場合を示す。
そして、ガイドウェイの側壁に沿って多数配列された浮上案内コイルの1箇所に図4および図5に示されるような模擬状態を作出し、この浮上案内コイルの間を本発明の浮上案内コイル異常探知装置を、励振コイル1aおよび1bに励振電流(50Hzの交流電流)を流しながら移動させていく。
【0020】
このとき、浮上案内コイルに流れる電流によって検出コイル2aおよび3aに誘起される起電力の和を左側和分とし、検出コイル2bおよび3bに誘起される起電力の和を右側和分とし、これらの電圧をオシロスコープの励振端子に入力し、水平掃引を探知装置の移動速度に対応する速度で掃引させその波形を観測すると図6~図11のようになる。
【0021】
励振コイル1aおよび1bを直列即ち、図3のスイッチ16をS1 に接続し、スイッチ17をS2 に接続して励振したとき、浮上案内コイルのヌルフラックス結線が正常(即ち図4の(a))であれば浮上案内コイルには殆ど電流が流れない。このときの左側和分の波形が図6の(a)であり、右側和分の波形が図6の(b)である。次に、図4の(b)に示すような誤結線模擬Aを作出し、励振コイル1aおよび1bを直列励振して、左側和分、右側和分の電圧波形を見ると図6の(c)および(d)のようになる。
同様に、図4の(c)のような誤結線模擬Bの場合には、図7の(a)および(b)のような電圧波形が得られ、図4の(d)のような誤結線模擬Cの場合には図7の(c)および(d)のような電圧波形が得られる。
【0022】
次に短絡の場合について、図5の(a)のような端子間短絡模擬を作出し、励振コイル1aおよび1bを直列励振した場合の検出コイル出力電圧波形は図8の(a)および(b)のようになる。
図5の(b)は、上側(左側)の浮上案内コイルのうち左上の単位コイルに層間短絡を生じた場合を作出したものであり、励振コイル1aおよび1bを直列励振した場合の検出コイルの出力電圧波形は図8の(c)および(d)のようになる。
【0023】
次に断線の場合は、ヌルフラックス線の断線の二通りの場合が図5の(c)および(d)に示されている。これらは左側浮上案内コイルと右側浮上案内コイルを結ぶ線の断線であるから、一方の側のみを励振した場合、励振した側の出力電圧と反対側の出力電圧がことなることになる点に着眼し、左側のみを励振した場合の左側和分および右側和分と、右側のみを励振した場合の左側和分および右側和分とを観測した。
【0024】
まず、最初に断線のない正常な結線の場合即ち、図4の(a)の場合について、異常探知装置のスイッチ16およびスイッチ17をともにS2 へ接続し、右側の励振コイル1bのみを励振したときの左側和分の電圧波形が図9の(a)であり、右側和分の電圧波形が図9の(b)である。次に、スイッチ16およびスイッチ17をともにS1 へ接続し、左側の励振コイル1aのみを励振したときの左側和分の電圧波形が図9の(c)であり、右側和分の電圧波形が図9の(d)である。いずれも充分な振幅のほぼ同様な波形が得られる。
【0025】
次に、図5の(c)の断線模擬Aの状態を作出し、右側の励振コイル1bのみを励振したときの左側和分の電圧波形が図10の(a)であり、右側和分の電圧波形が図10の(b)である。逆に左側の励振コイル1aのみを励振したときの左側和分の電圧波形が図10の(c)であり、右側和分の電圧波形が図10の(d)である。
いずれも異常探知装置の検出コイル2a,3a,2b,3bが浮上案内コイルのうち断線したヌルフラックス線に接続される8の字コイルの位置に来たときには電圧波形の振幅は大幅に減少し、且つ励振した側の方の振幅が反対側の方の振幅に比較して若干大きく現れるという特徴を有する。
【0026】
もう1つの断線状態である図5の(d)の断線模擬Bを作出し、右側の励振コイル1bのみを励振したときの左側和分の電圧波形は図11の(a)のようになり、右側和分の電圧波形は図11の(b)のようになる。
逆に、左側の励振コイル1aのみを励振したときの左側和分の電圧波形は、図11の(c)のようになり、右側和分の電圧波形は図11の(d)のようになる。いずれも異常探知装置の検出コイル2a,3a,2b,3bが断線を生じている浮上案内コイルの2つの8の字コイルの位置に来たときに2箇所でほぼ同じ程度に振幅が減少する一方、谷部分の振幅が正常な谷部分の振幅より大きく現れるという特徴を有する。
【0027】
以上、図6から図11に示したように、浮上案内コイルの各異常態様に対応して、浮上案内コイル内に流れる誘導電流の振幅特性には顕著な特徴が現れるので、予めこれらの特徴を把握しておくことにより異常の存否およびその態様を即座に知ることができる。
【0028】
次に、本発明の浮上案内コイル異常探知装置を用いて異常探知を行う場合に、探知装置の位置が浮上案内コイルに対する正常位置から変位した(ずれた)場合に検出コイルの出力振幅にどの程度の変化があるかの確認を行ったのでそれについて述べる。
確認の方法としては、上下変位では正常位置(即ち変位が0)および正常位置から上方へ10mm、20mm、30mmの各変位に対する検出コイルの和分電圧を測定した。傾斜変位については正常位置(即ち変位が0)および右側をその位置に固定したまま左側を上方へ10mm、20mm、30mmと変位させ各変位に対する検出コイルの和分電圧を測定した。
左右変位についても、正常位置(即ち変位が0)および10mm、20mm、30mmの各変位に対する検出コイルの和分電圧を測定した。
これらの測定結果を表形式で表示したのが図12、図13、図14である。
【0029】
図12は、正常結線、誤結線模擬A、同B、同C、端子間短絡模擬、層間短絡模擬については両側励磁し、各変位の状態に対して左右検出コイルの両側和分電圧をミリボルト単位で測定したデータである。
図13は、正常結線、断線模擬A、断線模擬Bについて、右側のみ励振し、左側の検出コイル2a,3aの和分電圧をミリボルト単位で測定したデータである。
図14は、正常結線、断線模擬A、断線模擬Bについて、左側のみ励振し、右側の検出コイル2b,3bの和分電圧をミリボルト単位で測定したデータである。
【0030】
以上のような各変位に対する測定値の変化が、本発明の異常探知装置の実用に支障を来すものであるのか否かの判断をし易くするため図12、図13、図14のデータをグラフ化したのが図15ないし図23である。
図15は、図12中の上下変位に対するデータを、横軸を変位量、縦軸を電圧値としてグラフ化したものであり、図16は図12中の傾斜変位に対するデータをグラフ化したものであり、図17は図12中の左右変位に対するデータをグラフ化したものである。
【0031】
図18は、図13中の上下変位に対するデータを、横軸を変位量、縦軸を電圧値としてグラフ化したものであり、図19は、図13中の傾斜変位に対するデータをグラフ化したものであり、図20は、図13中の左右変位に対するデータをグラフ化したものである。
【0032】
図21は、図14中の上下変位に対するデータを、横軸を変位量、縦軸を電圧値としてグラフ化したものであり、図22は、図14中の傾斜変位に対するデータをグラフ化したものであり、図23は、図14中の左右変位に対するデータをグラフ化したものである。
【0033】
以上各グラフを見れば変位に対する電圧値の変化は認められるものの、図15、図16、図17について見れば、正常および誤結線A、誤結線B、誤結線C、短絡、層間短絡の各異常態様における電圧値の間には変位にかかわらず明確な有意の差が維持されていることが認められる。
同様に図18ないし図23について見ても正常、断線A、断線Bにおける各電圧値の間には、変位にかかわらず明確な有意の差が維持されていることが認められる。
従って、これらのデータから見れば、上下、傾斜、左右に30mmの変位が生じても異常探知機能にはいささかの支障もないことが実証されたことになる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の浮上案内コイル異常探知装置は、浮上式鉄道のガイドウェイに沿って移動可能なフレームに設けた励振コイルに励振電流を流すことによって浮上案内コイル中に流れる誘導電流をフレーム上の検出コイルによって検出し、その振幅特性によって異常の有無およびその態様を探知するようにしたので、浮上案内コイル側には一切手を加えることなく、カイドウェイに沿って移動しつつ迅速な異常探知が実現できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浮上案内コイル異常探知装置の実施例の構造図である。
【図2】本発明装置の主要構成要素である励振コイル、検出コイル、補償コイルの斜視図である。
【図3】本発明の浮上案内コイル異常探知装置の接続関係の一例を示す図である。
【図4】浮上案内コイルのヌルフラックス線の正常接続と誤結線模擬A,B,Cの3態様を示す結線状態図である。
【図5】浮上案内コイルにおける端子間短絡、層間短絡、およびヌルフラックス線の断線A、断線Bの各模擬態様を示す結線状態図である。
【図6】(a)および(b)は正常結線で両側励磁の場合の左側和分と右側和分のオシロスコープ波形図であり、(c)、(d)は誤結線Aで両側励磁の場合の左側和分と右側和分のオシロスコープ波形図である。
【図7】(a)および(b)は誤結線Bで両側励磁の場合の左側和分と右側和分のオシロスコープ波形図であり、(c)、(d)は誤結線Cで両側励磁の場合の左側和分と右側和分のオシロスコープ波形図である。
【図8】(a)、(b)は端子間短絡で両側励磁の場合の左側和分と右側和分のオシロスコープ波形図であり、(c)、(d)層間短絡で両側励磁の場合の左側和分と右側和分のオシロスコープ波形図である。
【図9】(a)、(b)は正常結線で右側のみ励磁の場合の左側和分と右側和分のオシロスコープ波形図であり、(c)、(d)は正常結線で左側のみ励磁の場合の左側和分と右側和分のオシロスコープ波形図である。
【図10】(a)、(b)は断線Aで右側のみ励磁の場合の左側和分と右側和分のオシロスコープ波形図であり、(c)、(d)は断線Aで左側のみ励磁の場合の左側和分と右側和分のオシロスコープ波形図である。
【図11】(a)、(b)は断線Bで右側のみ励磁の場合の左側和分と右側和分のオシロスコープ波形図であり、(c)、(d)は断線Bで左側のみ励磁の場合の左側和分と右側和分のオシロスコープ波形図である。
【図12】ヌルフラックス結線において、正常、誤結線A、誤結線B、誤結線C、端子間短絡、層間短絡の各場合について、異常探知装置を正常位置から上下、傾斜、左右に変位を与えた場合の両側励磁、両側和分の電圧データである。
【図13】ヌルフラックス結線において、正常、断線A、断線Bの各場合について、異常探知装置を正常位置から上下、傾斜、左右に変位を与えた場合の、右側励磁、左側和分の電圧データである。
【図14】ヌルフラックス結線において、正常、断線A、断線Bの各場合について、異常探知装置を正常位置から上下、傾斜、左右に変位を与えた場合の、左側励磁、右側和分の電圧データである。
【図15】図12中の上下変位に対するデータをグラフ化した図である。
【図16】図12中の傾斜変位に対するデータをグラフ化した図である。
【図17】図12中の左右変位に対するデータをグラフ化した図である。
【図18】図13中の上下変位に対するデータをグラフ化した図である。
【図19】図13中の傾斜変位に対するデータをグラフ化した図である。
【図20】図13中の左右変位に対するデータをグラフ化した図である。
【図21】図14中の上下変位に対するデータをグラフ化した図である。
【図22】図14中の傾斜変位に対するデータをグラフ化した図である。
【図23】図14中の左右変位に対するデータをグラフ化した図である。
【図24】浮上案内コイルおよびそのヌルフラックス結線を傾斜的に示した図であり、(a)は8の字コイルのヌルフラックス結線を示す図であり、(b)は田の字コイルのヌルフラックス結線を示す図である。
【符号の説明】
1a,1b 励振コイル
2a,2b 検出コイル
3a,3b 検出コイル
4a,4b 補償コイル
5a,5b 補償コイル
6 電流供給回路
7 振幅測定器
8 架台
9 移動車輪
10 案内車輪
11a,11b 浮上案内コイル
12a,12b 浮上案内コイル
16,17 スイッチ
18 オシロスコープ
19 ヌルフラックス線
20,21 端子
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
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