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明細書 :列車位置情報発生装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3676581号 (P3676581)
公開番号 特開2000-038135 (P2000-038135A)
登録日 平成17年5月13日(2005.5.13)
発行日 平成17年7月27日(2005.7.27)
公開日 平成12年2月8日(2000.2.8)
発明の名称または考案の名称 列車位置情報発生装置
国際特許分類 B61L  3/12      
FI B61L 3/12 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 13
出願番号 特願平10-223756 (P1998-223756)
出願日 平成10年7月24日(1998.7.24)
審査請求日 平成15年3月18日(2003.3.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】佐々木 達也
【氏名】西堀 典幸
【氏名】平尾 裕司
個別代理人の代理人 【識別番号】100079212、【弁理士】、【氏名又は名称】松下 義治
審査官 【審査官】小川 恭司
参考文献・文献 特開平09-002269(JP,A)
特開平07-221674(JP,A)
特開平10-278799(JP,A)
調査した分野 B61L 1/00 - 29/32
特許請求の範囲 【請求項1】
軌道を走行する列車の一方の側面に接近して設けられた少なくとも一対の車上応答器、前記軌道を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた地上質問器と他方側に設けられた地上応答器とからなる列車検知器、及び前記地上質問器の送受信を制御すると共に前記地上質問器が受信した応答信号に基づいて列車位置情報を発生させる制御装置とから構成された通信方式の列車位置情報発生装置であって、前記地上質問器には予め割り当てられた第1質問器識別情報を含む質問信号と第2質問器識別情報を含む質問信号とを送信する手段及び応答器からの応答信号を受信する手段とを具備させ、且つ前記各応答器には質問信号を受信する手段、受信した質問信号を識別する手段及び識別した質問信号にそれぞれに予め割り当てられた応答器識別情報を付加して応答信号を生成する手段とを具備させたことを特徴とする列車位置情報発生装置。
【請求項2】
軌道を走行する列車の一方の側面に接近して設けられた少なくとも一対の車上応答器、前記軌道を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた第1地上質問器と他方側に設けられた第1地上応答器とからなり検知区間の入口地点に設置された第1列車検知器、前記軌道を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた第2地上質問器と他方側に設けられた第2地上応答器とからなり前記検知区間の出口地点に設置された第2列車検知器、及び前記地上質問器の送受信を制御すると共に前記地上質問器が受信した応答信号に基づいて列車位置情報を発生させる制御装置とから構成された通信方式の列車位置情報発生装置であって、前記各地上質問器には予め割り当てられた第1質問器識別情報を含む質問信号と第2質問器識別情報を含む質問信号とを送信する手段及び応答器からの応答信号を受信する手段とを具備させ、且つ前記各応答器には質問信号を受信する手段、受信した質問信号を識別する手段及び識別した質問信号にそれぞれに予め割り当てられた応答器識別情報を付加して応答信号を生成する手段とを具備させたことを特徴とする列車位置情報発生装置。
【請求項3】
軌道を走行する列車の一方の側面に接近して設けられた少なくとも一対の車上応答器、分岐点に設備される転てつ器のトングレールより外側の位置に軌道を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた第1地上質問器と他方側に設けられた第1地上応答器とからなる第1列車検知器、車両接触限界の外側の位置で上り側分岐軌道を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた第2地上質問器と他方側に設けられた第2地上応答器とからなる第2列車検知器、分岐点の近くの車両接触限界の外側で下り側分岐軌道を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた第3地上質問器と他方側に設けられた第3地上応答器とからなる第3列車検知器、及び前記地上質問器の送受信を制御すると共に前記地上質問器が受信した応答信号に基づいて列車位置情報を発生させる制御装置とから構成された通信方式の列車位置情報発生装置であって、前記各地上質問器には予め割り当てられた第1質問器識別情報を含む質問信号と第2質問器識別情報を含む質問信号とを送信する手段及び応答器からの応答信号を受信する手段とを具備させ、且つ前記各応答器には質問信号を受信する手段、受信した質問信号を識別する手段及び識別した質問信号にそれぞれに予め割り当てられた応答器識別情報を付加して応答信号を生成する手段とを具備させたことを特徴とする列車位置情報発生装置。
【請求項4】
前記車上応答器は、軌道を走行する列車の一方の側面の先頭側と後尾側にそれぞれ接近して設けられた各一対の車上応答器であることを特徴とする請求項1、請求項2若しくは請求項3の列車位置情報発生装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、列車間の接触事故防止、転てつ器の鎖錠、列車の進入と方向の管理、或いは踏切制御等に用いられる列車位置情報を発生する列車位置情報発生装置に関し、特に質問器と応答器を用いた通信方式の列車位置情報発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
検知区間の線路上に列車が在線しているか否かを検知する在線検知は、分岐部分の線路や隣接する線路との間で列車が在線したときの接触事故の防止、分岐部分に列車が在線したときの転てつ器の鎖錠、列車の進入と方向の管理、或いは踏切制御等を行うために不可欠なものである。検知区間の線路上に列車が在線しているか否かを検知して、列車位置情報を発生する列車位置情報発生装置には、正確な在線検知と確実なフェールセーフが要求される。
【0003】
鉄道における一般的な在線検知方式は、電源、レール、軌道リレーで構成された軌道回路検出方式である。この軌道回路検出方式は、検知区間に進入してきた列車の車輪でレールが短絡されてリレーへの電源の供給が遮断され、従ってリレー動作が復旧して列車の在線を検知するものであるが、大容量の電源設備が必要であり電力消費量が多いこと、交流電化区間や直流電化区間により軌道回路電流の種別を設定する必要があること、更にはレールの腐食による短絡不良で車両の検知ができないことなどの問題がある。
【0004】
軌道回路を用いない在線検知方式としては、質問器と応答器を用いた通信方式の列車位置検出装置がある。特開平5-32166号公報には通信方式の列車位置検出装置の一例が開示されている。この列車位置検出装置は、線路を挟んだ地上の一方側に設けられた質問器と、前記質問器と対向する前記線路の他方側に設けられたチェック用応答器と、前記線路上を通過する列車の前記質問器側の側面に所定の間隔を保って設けられた複数の応答器群と、前記質問器から前記チェック用応答器へ送出された質問信号に基づくそのチェック用応答器からの応答信号の代わりに前記応答器群の各応答器との交信に基づいてその応答器群を搭載した列車の位置を検知するものであり、列車位置の精密な検出ができる装置である。
【0005】
また特開平6-166374号公報には前記列車位置検出装置を構成するのに適した質問器と応答器からなるトランスポンダであって、スペクトラム拡散通信を採用したものが開示されている。即ち、ここに開示されているトランスポンダにおいて、質問器は所定の周波数、例えば2.45GHzのマイクロ波の質問信号を応答器に向けて送出する。応答器は応答すべき情報(データ)を第1と第2のPN符号で変調した信号で質問信号を180°移相して応答信号を生成し、これを質問器へ送出する。質問器は受信した応答信号を、質問信号を各90°移相させた2つの信号を用いて復調し、第1と第2のPN符号を抽出する。そして抽出されたPN符号と予め用意されたPN符号との相関値から、応答器が応答したデータを再現する。
【0006】
上述した地上質問器と地上応答器とからなる列車検知器と、複数の車上応答器とで構成された従来の通信方式の列車位置検出装置、特にスペクトラム拡散通信方式の列車位置検出装置は軌道回路検出方式の列車位置検出装置が有するいくつもの問題を解決したものであるが、まだ問題がある。複数の列車検知器を接近して設置すると地上応答器が隣接する地上質問器に応答する可能性があるため、分岐部分における列車の在線検知や、列車の進入の方向管理が難しく踏切制御に適用できないという問題である。地上質問器、地上応答器の故障検出は送受信情報器に基づいて、また車上応答器の故障は他の車上応答器や地上応答器からの情報に基づいて、制御装置或いはその上位装置で情報処理して検知するので、単なる応答信号では、非常に高い安全性が要求される列車運行管理上からは安全性に未だ問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、地上質問器と地上応答器とからなる列車検知器と、車上応答器とで構成された列車位置検出装置を利用して、分岐部分の線路や隣接する線路との間で列車が在線したときの接触事故の防止、分岐部分に列車が在線したときの転てつ器の鎖錠、列車の進入進出と方向の管理或いは踏切制御等に用いられる列車位置情報、即ち、列車の在線の有無、進入進出並びに方向などの情報を発生する信頼性の高い列車位置情報発生装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係る通信方式の列車位置情報発生装置を、軌道を走行する列車の一方の側面に接近して設けられた少なくとも一対の車上応答器、前記軌道を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた地上質問器と他方側に設けられた地上応答器とからなる列車検知器、及び前記地上質問器の送受信を制御すると共に前記地上質問器が受信した応答信号に基づいて列車位置情報を発生させる制御装置とで構成し、そして、前記地上質問器には予め割り当てられた第1質問器識別情報を含む質問信号と第2質問器識別情報を含む質問信号とを送信する手段及び応答器からの応答信号を受信する手段とを具備させ、且つ前記各応答器には質問信号を受信する手段、受信した質問信号を識別する手段及び識別した質問信号にそれぞれに予め割り当てられた応答器識別情報を付加して応答信号を生成する手段とを具備させた。
【0009】
また、本発明に係る通信方式の列車位置情報発生装置を、軌道を走行する列車の一方の側面に接近して設けられた少なくとも一対の車上応答器、前記軌道を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた第1地上質問器と他方側に設けられた第1地上応答器とからなり検知区間の入口地点に設置された第1列車検知器、前記軌道を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた第2地上質問器と他方側に設けられた第2地上応答器とからなり前記検知区間の出口地点に設置された第2列車検知器、及び前記地上質問器の送受信を制御すると共に前記地上質問器が受信した応答信号に基づいて列車位置情報を発生させる制御装置とで構成し、そして、前記各地上質問器には予め割り当てられた第1質問器識別情報を含む質問信号と第2質問器識別情報を含む質問信号とを送信する手段及び応答器からの応答信号を受信する手段とを具備させ、且つ前記各応答器には質問信号を受信する手段、受信した質問信号を識別する手段及び識別した質問信号にそれぞれに予め割り当てられた応答器識別情報を付加して応答信号を生成する手段とを具備させた。
【0010】
更に、本発明に係る通信方式の列車位置情報発生装置を、軌道を走行する列車の一方の側面に接近して設けられた少なくとも一対の車上応答器、分岐点に設備される転てつ器のトングレールより外側の位置に軌道を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた第1地上質問器と他方側に設けられた第1地上応答器とからなる第1列車検知器、車両接触限界の外側の位置で上り側分岐軌道を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた第2地上質問器と他方側に設けられた第2地上応答器とからなる第2列車検知器、分岐点の近くの車両接触限界の外側で下り側分岐軌道を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた第3地上質問器と他方側に設けられた第3地上応答器とからなる第3列車検知器、及び前記地上質問器の送受信を制御すると共に前記地上質問器が受信した応答信号に基づいて列車位置情報を発生させる制御装置とから構成された通信方式の列車位置情報発生装置であって、前記各地上質問器には予め割り当てられた第1質問器識別情報を含む質問信号と第2質問器識別情報を含む質問信号とを送信する手段及び応答器からの応答信号を受信する手段とを具備させ、且つ前記各応答器には質問信号を受信する手段、受信した質問信号を識別する手段及び識別した質問信号にそれぞれに予め割り当てられた応答器識別情報を付加して応答信号を生成する手段とを具備させた。
【0011】
更にまた、上記3つの列車位置情報発生装置において、前記一対の車上応答器を軌道を走行する列車の一方の側面の先頭側と後尾側にそれぞれ設けた。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の主要部と本発明装置を構成する地上質問器、車上応答器及び制御装置の構成を示す図である。なお、地上応答器は、在線状態を示す図1においては示されていない。地上質問器1は、地上応答器とともに列車検知器を構成するもので、検知区間の入口地点、出口地点等に設置されるものである。図1において、地上質問器1は、第1質問器識別情報ID1aを含む質問信号(ID1a+検査符号)を送信する第1質問器部と、第2質問器識別情報ID1bを含む質問信号(ID1b+検査符号)を送信する第2質問器部とから構成されている。第1質問器部は送信部29と受信部30とからなり、第2質問器部は送信部31と受信部32とからなる。2つの質問器部を備える代わりに、1つの送信部と1つの受信部で質問器を構成し、これを時間的に切り替えて使用することによって、上記の第1質問器部と第2質問器部としてもよい。いずれの場合も、制御装置21は第1質問器識別情報ID1aを含む質問信号(ID1a+検査符号)と第2質問器識別情報ID1bを含む質問信号(ID1b+検査符号)を質問器1の送信部に与える。なお、本発明の実施例においては、質問器識別情報と応答器識別情報及びこれらにそれぞれ付加される検査符号をいずれも16ビットとし、質問器から送信される質問信号も応答器から応答される応答信号も64ビットのデジタル信号を採用した。しかしながら、質問信号も応答信号もこれに限定されないことは勿論である。
【0013】
軌道を走行する列車の一方の側面の先頭側に設けられる車上応答器3aは、受信部33、識別部34、識別情報記憶部35、合成部36及び送信部37からなる。車上応答器3aと対をなす車上応答器3bも、受信部38、識別部39、識別情報記憶部40、合成部41及び送信部42からなる。前記軌道を挟んで地上質問器と対向する地点に設置され地上質問器とともに列車検知器を構成する地上応答器も、同様に、受信部、識別部、識別情報記憶部、合成部及び送信部からなる。
【0014】
制御装置21は、質問器が送信した質問信号と、質問器が受信した各応答器からの応答信号を比較して列車の位置を検知すると共に進入進出並びにその方向を判定するものである。図1において、制御装置21は、CPU22、ROM23、RAM24、入出力インターフェースI/F25、バス26、設定器27及び表示器28からなる。RAM24は、質問器識別情報記憶部、応答器識別情報記憶部、受信レベル基準値記憶部を含む。これらの記憶部に格納される情報は、設定器27によって入力される。 制御装置21はI/F25を介して質問器1に接続されている。また、制御装置21はI/F25を介して踏切制御装置や列車運行管理装置などの上位装置に接続され、これらの上位装置に列車位置情報を提供する。
【0015】
上記の本発明における列車の在線検知の動作を、図2及び図3を参照して説明する。地上質問器1は、第1質問器識別情報ID1aを含む質問信号と第2質問器識別情報ID1bを含む質問信号を順番に繰り返し送信している。図2において、先ず、地上質問器1が第1質問器識別情報ID1aを含む質問信号(ID1a+検査符号)を送信しており、且つ地上質問器1と地上応答器2との間に列車が存在していない場合の列車位置情報発生装置の動作を説明する。軌道を挟んで地上質問器1と対向して設置されている地上応答器2の第1応答部2aは地上質問器1からの質問信号(ID1a+検査符号)を受信して復号し、第1質問器識別情報ID1aを識別する。地上応答器2の第1応答部2aは、識別できた場合、第1質問器識別情報ID1aに自応答器に割り当てられた応答器識別情報ID2aを付加して合成した応答信号(ID1a+検査符号+ID2a+検査符号)を生成し、これを地上質問器1に返信する。
【0016】
地上質問器1は、地上応答器2からの応答信号を受信すると受信レベル検出を行い、受信レベル基準値に達している場合には応答信号を制御装置21に出力する。この応答信号(ID1a+検査符号+ID2a+検査符号)は制御装置21において、質問器1から送信された質問信号(ID1a+検査符号)と照合される。照合の結果、応答信号は質問器1が送信した質問信号に対応したものであることが判明すると、この応答信号に含まれている応答器識別情報ID2aが抽出され、これによって地上質問器1と地上応答器2との間の軌道上には列車が存在していないこと、即ち列車在線なしを検知する。
【0017】
同じく図2において、次に、地上質問器1が第2質問器識別情報ID1bを含む質問信号(ID1b+検査符号)を送信しており、且つ地上質問器1と地上応答器2との間に列車が存在していない場合の列車位置情報発生装置の動作を説明する。今度は地上応答器2の第2応答部2bは地上質問器1からの質問信号(ID1b+検査符号)を受信して復号し、第2質問器識別情報ID1bを識別する。地上応答器2の第2応答部2bは、識別できた場合、第2質問器識別情報ID1bに自応答器に割り当てられた応答器識別情報ID2bを付加して合成した応答信号(ID1b+検査符号+ID2b+検査符号)を生成し、これを地上質問器1に返信する。
【0018】
地上質問器1は、地上応答器2からの応答信号を受信すると受信レベル検出を行い、受信レベル基準値に達している場合には応答信号を制御装置21に出力する。この応答信号(ID1b+検査符号+ID2b+検査符号)は制御装置21において、質問器1から送信された質問信号(ID1b+検査符号)と照合される。照合の結果、応答信号は質問器1が送信した質問信号に対応したものであることが判明すると、この応答信号に含まれている応答器識別情報ID2bが抽出され、これによって地上質問器1と地上応答器2との間の軌道上には列車が存在していないこと、即ち列車在線なしを検知する。
【0019】
以上は列車在線なしの検知であったが、今度は列車在線ありの検知を説明する。図3において、先ず、地上質問器1が第1質問器識別情報ID1aを含む質問信号(ID1a+検査符号)を送信しており、且つ地上質問器1と地上応答器2との間に列車が存在している場合の列車位置情報発生装置の動作を説明する。列車の先頭側に配置された一対の車上応答器3aと3bのうち、車上応答器3aは地上質問器1からの質問信号(ID1a+検査符号)を受信して復号し、第1質問器識別情報ID1aを識別する。車上応答器3aは、識別できた場合、第1質問器識別情報ID1aに自応答器に割り当てられた応答器識別情報ID3aを付加して合成した応答信号(ID1a+検査符号+ID3a+検査符号)を生成し、これを地上質問器1に返信する。
【0020】
地上質問器1は車上応答器3aからの応答信号を受信すると受信レベル検出を行い、受信レベル基準値に達している場合には応答信号を制御装置21に出力する。この応答信号(ID1a+検査符号+ID3a+検査符号)は制御装置21において、質問器1から送信された質問信号(ID1a+検査符号)と照合される。照合の結果、応答信号は質問器1が送信した質問信号に対応したものであることが判明すると、この応答信号に含まれている応答器識別情報ID3aが抽出され、これによって地上質問器1と車上応答器3aとの間の軌道上には列車が存在していること、即ち列車在線ありを検知する。これと同時に、制御装置21は応答器識別情報ID3aから、在線している列車を特定する。
【0021】
同じく図3において、次に、地上質問器1が第2質問器識別情報ID1bを含む質問信号(ID1b+検査符号)を送信しており、且つ地上質問器1と地上応答器2との間に列車が存在している場合の列車位置情報発生装置の動作は次の通りである。この場合の質問信号は、一対の車上応答器3aと3bの中、車上応答器3bによって受信される。車上応答器3bは地上質問器1からの質問信号(ID1b+検査符号)を受信して復号し、第2質問器識別情報ID1bを識別する。車上応答器3bは、識別できた場合、質問器識別情報ID1bに自応答器に割り当てられた応答器識別情報ID3bを付加して合成した応答信号(ID1b+検査符号+ID3b+検査符号)を生成し、これを地上質問器1に返信する。
【0022】
地上質問器1は、車上応答器3bからの応答信号を受信すると受信レベル検出を行い、受信レベル基準値に達している場合には応答信号を制御装置21に出力する。この応答信号(ID1b+検査符号+ID3b+検査符号)は制御装置21において、質問器1から送信された質問信号(ID1b+検査符号)と照合される。照合の結果、応答信号は質問器1が送信した質問信号に対応したものであることが判明すると、この応答信号に含まれている応答器識別情報ID3bが抽出され、これによって地上質問器1と車上応答器3bとの間の軌道上には列車が存在していること、即ち列車在線ありを検知する。これと同時に、制御装置21は応答器識別情報ID3bから、在線している列車を特定する。
【0023】
ところで、地上質問器1は応答器から受信した応答信号の受信レベル検出を行っているが、受信レベル基準値に達していないことを検出したときは、次のように処理される。地上応答器2の識別情報抽出と先頭側車上応答器3a又は3bの識別情報抽出の間に発生した受信レベルなしの検出は、列車進入と判断する。先頭側車上応答器3a又は3bの識別情報抽出と後尾側車上応答器4a又は4bの識別情報抽出の間に発生した受信レベルなしの検出は、列車在線中と判断する。車上応答器4a又は4bの識別情報抽出と地上応答器2の識別情報抽出の間に発生した受信レベルなしの検出は、列車在線中と判断する。これらのパターンと異なる場合の受信レベルなしの検出は、質問器あるいは応答器の故障と判断する。
【0024】
列車の進行方向検知は、地上質問器1が先ず車上応答器3aから、次に車上応答器3bから応答信号をそれぞれ受信したことを制御装置21が確定すれば上り方向(又は下り方向)と判定し、逆の順番で受信したことを確定すれば下り方向(又は上り方向)と判定する。また、後尾側の車上応答器4a、4bからの応答信号を地上応答器1が受信した順番の情報も、同様に列車の進行方向検知に利用できる。以下の各実施例に示す如く、複数の列車検知器を備えた本発明の列車位置情報発生装置においては、それぞれの地上質問器が車上応答器から応答信号を順々に受信するが、これら応答信号の受信の順番に関するの制御装置21の確定情報も、列車の方向管理に利用できる。
【0025】
【実施例】
図4は本発明の第1実施例で、軌道の検知区間における列車の進入進出並びにその方向を検知するものである。図4において、軌道16を走行する列車15の一方の側面の先頭側には一対の車上応答器3aと3bが、後尾側には一対の車上応答器4aと4bがそれぞれ接近して設けられている。軌道16の検知区間の入口地点には第1列車検知器が、その出口地点には第2列車検知器が設置されている。前記第1列車検知器は軌道16を挟み前記車上応答器3aないし4bと対向する側に設けられた地上質問器1と他方側に設けられた地上応答器2とからなり、前記第2列車検知器は軌道16を挟み地上質問器1と同じ側に設けられた地上質問器5と他方側に設けられた地上応答器6とからなる。
【0026】
前記地上質問器1及び5はそれぞれ、予め割り当てられた第1質問器識別情報を含む質問信号と第2質問器識別情報を含む質問信号とを送信する手段、及び応答器からの応答信号を受信する手段を備えている。また、前記地上応答器2及び6と、車上応答器3aと3b及び4aと4bはそれぞれ、質問信号を受信する手段、受信した質問信号を識別する手段、及び識別した質問信号にそれぞれに予め割り当てられた応答器識別情報を付加して応答信号を生成する手段とを備えている。
【0027】
上記第1実施例において、地上質問器の送受信を制御する制御装置21には、地上応答器2と6、車上応答器3aと3b及び4aと4bとからのそれぞれの応答信号が、対応する地上質問器を経て入力される。制御装置21は、これらの応答信号から応答器の特定、応答の順番の確定、列車の特定、受信レベルの判定等の様々な処理を行い、検知区間における列車在線の有無、進入進出並びにその方向を検知して、上位装置に提供される列車位置情報と、地上質問器、地上応答器、或いは車上応答器の故障情報を正確に発生させる。
【0028】
この第1実施例は、従来の軌道回路を用いた列車位置情報発生装置に比べ、装置の小型化、低消費電力化が図れた。また、この第1実施例を用いた列車進路制御装置は、軌道回路の分岐点ごとに質問器を配置し地上の隣接する質問器の検知情報をお互いに伝送することにより列車位置を管理する列車進路制御装置に比べ、質問器の数を減らせることから低コスト化が図れ、構成機器の故障の特定並びに機器故障に対する安全側への制御を確実に行えることや、列車特定ができることから効率的な制御が可能であるという利点を有する。
【0029】
図5は本発明の第2実施例で、踏切制御装置に用いられる列車位置情報を発生させるものである。図5において、軌道16を走行する列車15の一方の側面の先頭側には一対の車上応答器3aと3bが、後尾側には一対の車上応答器4aと4bがそれぞれ接近して設けられている。列車15の進入側の踏切道17からかなり離れた地点には第1列車検知器が設置されている。第1列車検知器は、軌道16を挟み前記車上応答器3aないし4bと対向する側に設けられた地上質問器1と他方側に設けられた地上応答器2とからなる。
【0030】
踏切道17に近い地点には第2列車検知器が設置されている。第2列車検知器は、軌道16を挟み地上質問器1と同じ側に設けられた地上質問器5と他方側に設けられた地上応答器6とからなる。更に、列車15の進出側の踏切道17からかなり離れた地点には第3列車検知器が設置されている。第3列車検知器は、軌道16を挟み地上質問器1と同じ側に設けられた地上質問器7と他方側に設けられた地上応答器8とからなる。
【0031】
図5の矢印方向に列車が進行している場合には、第1列車検知器と車上応答器との信号の授受により得られた列車位置情報は踏切道に設置されている警報器の鳴動を開始させるための鳴動開始情報及び遮断機を作動させて踏切道を遮断させるための遮断機閉扉情報を、また第2列車検知器と車上応答器との信号の授受により得られた列車位置情報は警報器の鳴動を終了させるための鳴動終了情報及び遮断機を作動させ踏切道を開扉させるための遮断機開扉情報をそれぞれ発生させるように踏切制御装置において利用される。図3の矢印とは逆方向に列車が進行している場合には、第3列車検知器と車上応答器との信号の授受により得られた列車位置情報は鳴動開始情報及び遮断機閉扉情報を、また第2列車検知器と車上応答器との信号の授受により得られた列車位置情報は鳴動終了情報及び遮断機開扉情報をそれぞれ発生させるように踏切制御装置において利用される。
【0032】
前記地上質問器1、5及び7はそれぞれ、予め割り当てられた第1質問器識別情報を含む質問信号と第2質問器識別情報を含む質問信号とを送信する手段、及び応答器からの応答信号を受信する手段を備えている。また、前記地上応答器2、4及び6と、車上応答器3aと3b及び4aと4bはそれぞれ、質問信号を受信する手段、受信した質問信号を識別する手段、及び識別した質問信号にそれぞれに予め割り当てられた応答器識別情報を付加して応答信号を生成する手段とを備えている。
【0033】
上記第2実施例において、地上質問器の送受信を制御する制御装置21には、地上応答器2、6及び8、車上応答器3aと3b及び4aと4bとからのそれぞれの応答信号が、対応する地上質問器を経て入力される。制御装置21は、これらの応答信号から応答器の特定、応答の順番の確定、列車の特定、受信レベルの判定等の様々な処理を行い、踏切制御装置に提供される列車位置情報と、地上質問器、地上応答器、或いは車上応答器の故障情報を確実に発生させる。従って、本発明を利用して構成した踏切制御装置は、踏切制御子や軌道回路を用いた従来装置に比べ、単線踏切と複線踏切のいずれの場合も低コスト化が図れる。更に、識別情報による列車番号の管理即ち列車識別をしているにもかかわらず、中央装置等からの集中制御を行う必要がないので、個々のローカル制御が実現できるから信頼性並びに保安度も向上を実現できる。
【0034】
図6は本発明の第3実施例で、2つの分岐点を有する軌道の検知区間における列車の進入進出並びにその方向を検知するものである。第3実施例において、本発明が適用される軌道は、軌道16、16を2つの分岐点17、19で2本の分岐軌道18、19に分岐したものである。図6において、軌道16を走行する列車15の一方の側面の先頭側には一対の車上応答器3aと3bが、後尾側には一対の車上応答器4aと4bがそれぞれ接近して設けられている。第1ないし第6列車検知器はそれぞれの検知区間の所定の設置場所に設置されている。
【0035】
即ち、地上質問器1と地上応答器2からなる第1列車検知器は第1検知区間及び第2検知区間の入口地点に、地上質問器5と地上応答器6からなる第2列車検知器は第1検知区間と第3検知区間の境界に、地上質問器7と地上応答器8からなる第3列車検知器は第2検知区間と第4検知区間の境界に、地上質問器9と地上応答器10からなる第4列車検知器は第3検知区間と第5検知区間の境界に、地上質問器11と地上応答器12からなる第5列車検知器は第4検知区間と第6検知区間の境界に、更に地上質問器13と地上応答器14からなる第6列車検知器は第5検知区間及び第6検知区間の出口地点にそれぞれ設置されている。
【0036】
前記地上質問器1、5、7、9、11及び13はそれぞれ、予め割り当てられた第1質問器識別情報を含む質問信号と第2質問器識別情報を含む質問信号とを送信する手段、及び応答器からの応答信号を受信する手段を備えている。また、前記地上応答器2、6、8、10、12及び14と、車上応答器3aと3b及び4aと4bはそれぞれ、質問信号を受信する手段、受信した質問信号を識別する手段、及び識別した質問信号にそれぞれに予め割り当てられた応答器識別情報を付加して応答信号を生成する手段とを備えている。
【0037】
上記第3実施例において、表示の複雑さを避けるために省略されている制御装置には、地上応答器2、6、8、10、12及び14、車上応答器3aと3b及び4aと4bとからのそれぞれの応答信号が、対応する地上質問器を経て入力される。制御装置は、これらの応答信号から応答器の特定、応答の順番の確定、列車の特定、受信レベルの判定等の様々な処理を行い、検知区間における列車在線の有無、進入進出並びにその方向を検知して検知区間における列車在線の有無、進入進出並びにその方向を検知して、上位装置に提供される列車位置情報と、地上質問器、地上応答器、或いは車上応答器の故障情報を確実に発生させる。従って2つの分岐点を有する軌道においても、小型で低消費電力の列車位置情報発生装置の適用が可能となった。そして、これをを用いることによって、低コストで且つ構成機器故障の際の安全側への制御が確実であり、効率的な制御が可能な列車進路制御装置が実現できた。
【0038】
図7は本発明の第4実施例で、分岐点付近の軌道における列車の接触防止等を行わせるものである。この実施例が適用される軌道は、軌道16が分岐点17から2本の分岐軌道18、19に分岐したものである。図7において、軌道を走行する列車15の一方の側面の先頭側には一対の車上応答器3aと3bが、後尾側には一対の車上応答器4aと4bがそれぞれ接近して設けられている。
【0039】
分岐点17に設備される転てつ器のトングレールより外側の位置で第1検知区間の入口地点には、第1列車検知器が設置されている。第1列車検知器は、軌道16を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた地上質問器1と他方側に設けられた地上応答器2とからなる。分岐点17の近くの車両接触限界Pの外側の位置で第1検知区間の出口地点には、第2列車検知器が設置されている。第2列車検知器は、上り側分岐軌道18を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた。更に、分岐点17の近くの車両接触限界Pの外側の位置で第3検知区間の出口地点には、第3列車検知器が設置されている。第3列車検知器は、下り側分岐軌道19を挟み前記車上応答器と対向する側に設けられた地上質問器7と他方側に設けられた地上応答器8とからなる。なお、図7において、第2検知区間の入口地点は第1検知区間の入口地点と同じである。
【0040】
前記地上質問器1、5及び7はそれぞれ、予め割り当てられた第1質問器識別情報を含む質問信号と第2質問器識別情報を含む質問信号とを送信する手段、及び応答器からの応答信号を受信する手段を備えている。また、前記地上応答器2、6及び8と、車上応答器3aと3b及び4aと4bはそれぞれ、質問信号を受信する手段、受信した質問信号を識別する手段、及び識別した質問信号にそれぞれに予め割り当てられた応答器識別情報を付加して応答信号を生成する手段とを備えている。
【0041】
上記第4実施例において、表示の複雑さを避けるために省略されている制御装置には、地上応答器2、6及び8、車上応答器3aと3b及び4aと4bとからのそれぞれの応答信号が、対応する地上質問器を経て入力される。制御装置は、これらの応答信号から応答器の特定、応答の順番の確定、列車の特定、受信レベルの判定等の様々な処理を行い、検知区間における列車在線の有無、進入進出並びにその方向を検知して、上位装置に提供される列車位置情報と、地上質問器、地上応答器、或いは車上応答器の故障情報を確実に発生させる。従って、上位装置から第4実施例装置に入力された進路許可情報と検知した列車位置により異常な列車移動を検知し、或いは列車の誤出発を検知することができるから、第4実施例を利用した進路制御装置の進路制御の保安性が向上した。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、地上質問器、地上応答器、車上応答器、及び地上質問器が送信した質問信号と地上質問器が受信した各応答器からの応答信号とを比較して列車の在線情報並びに列車の進入進出等の情報を発生させる制御装置とからなる通信方式の列車位置情報発生装置であって、前記車上応答器を少なくとも一対の接近して配置された車上応答器で構成し、且つ前記地上質問器を異なる質問器識別情報をそれぞれ含む2つの質問信号を送信するように構成し、更に、前記地上応答器並びに車上応答器には受信した質問信号に自応答器識別情報を付加して合成した応答信号を生成する機能を備えさせたことを特徴とするものである。従って、本発明においては、質問信号と応答信号には識別情報が必ず含まれているから、応答器において受信した質問信号も質問器で受信した応答信号もその特定が正確にでき、また符号誤りや対象外の質問器からの質問信号を排除でき、更には装置を構成している機器の故障の発見を迅速的確に行うことができる。
【0043】
本発明おいては、車上応答器を接近して一対にして配置したこと及び地上質問器を前記一対の車上応答器に対応して2つの質問信号を送信するように構成したことによって、列車の在線検知が二重化され、安全性が向上した。これらの特長を有するので、本発明によって、分岐部分の線路や隣接する線路との間で列車が在線したときの接触事故の防止、分岐部分に列車が在線したときの転てつ器の鎖錠、列車の進入と方向の管理或いは踏切制御等に用いられる情報を発生する信頼性の高い列車位置情報発生装置が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の主要部、及び本発明装置を構成するする質問器、応答器及び制御装置の一実施例を示す図である。
【図2】本発明装置における地上質問器、地上応答器及び制御装置の間の信号の流れを示す図である。
【図3】本発明装置における地上質問器、一対の車上応答器及び制御装置の間の信号の流れを示す図である。
【図4】軌道の検知区間における列車の進入進出を検知する本発明の第1実施例を示す図である。
【図5】踏切制御装置に用いられた本発明の第2実施例を示す図である。
【図6】2つの分岐点を有する軌道の列車の在線状態を検知する本発明の第3実施例を示す図である。
【図7】分岐点付近における車両接触限界の障害検知を行う本発明の第4実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 地上質問器
2 地上応答器
3a,3b 一対の車上応答器
4a,4b 一対の車上応答器
5,7,9,11,13 地上質問器
6,8,10,12,14 地上応答器
16 軌道
17,20 分岐点
18 上り側分岐軌道
19 下り側分岐軌道
21 制御装置
22 CPU
23 ROM
24 RAM
25 入出力インターフェースI/F
26 バス
27 設定器
28 表示器
29,31 質問器の送信部
30,32 質問器の受信部
33,38 応答器の受信部
37,42 応答器の送信部
34,39 応答器の識別部
35,40 応答器の識別情報記憶部
36,41 応答器の合成部
P 車両接触限界
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6