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明細書 :高架橋の下部構造

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3549183号 (P3549183)
公開番号 特開2000-120022 (P2000-120022A)
登録日 平成16年4月30日(2004.4.30)
発行日 平成16年8月4日(2004.8.4)
公開日 平成12年4月25日(2000.4.25)
発明の名称または考案の名称 高架橋の下部構造
国際特許分類 E01D 19/00      
FI E01D 19/00
請求項の数または発明の数 3
全頁数 10
出願番号 特願平10-296519 (P1998-296519)
出願日 平成10年10月19日(1998.10.19)
審査請求日 平成13年9月5日(2001.9.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】岡野 素之
【氏名】大内 一
【氏名】涌井 一
【氏名】松本 信之
【氏名】曽我部 正道
【氏名】在田 浩之
個別代理人の代理人 【識別番号】100099704、【弁理士】、【氏名又は名称】久寶 聡博
審査官 【審査官】安藤 勝治
参考文献・文献 特開平11-264113(JP,A)
特開平10-298916(JP,A)
調査した分野 E01D 19/00
特許請求の範囲 【請求項1】
所定の間隔で立設された一対の柱状橋脚と該柱状橋脚の頂部に架け渡された梁とでRCラーメン構造を形成して前記一対の柱状橋脚及び前記梁を含む面内空間に逆V字状をなすブレース材を配置するとともに、該ブレース材の頂部近傍と前記梁の中央近傍との間に水平相対変位に対してエネルギー吸収を行うエネルギー吸収ダンパを介在させ、該エネルギー吸収ダンパを、前記梁若しくは前記ブレース材との間で鉛直相対変位が許容されるように該梁及び該ブレース材に連結したことを特徴とする高架橋の下部構造。
【請求項2】
所定の間隔で立設された一対の柱状橋脚と該柱状橋脚の頂部に架け渡された梁とでRCラーメン構造を形成して前記一対の柱状橋脚及び前記梁を含む面内空間に逆V字状をなすブレース材を配置するとともに、該ブレース材の頂部近傍と前記梁の中央近傍との間に水平相対変位に対してエネルギー吸収を行うエネルギー吸収ダンパを介在させて所定の連結部材で連結し、該連結部材、前記梁若しくは前記ブレース材の少なくともいずれかを前記柱状橋脚の塑性伸び変形が拘束されることがないように降伏させることを特徴とする高架橋の下部構造。
【請求項3】
前記ブレース材を逆V字状に構成する2本のブレース本体の軸力作用線が前記梁にて交差するように前記ブレース材を構成した請求項2記載の高架橋の下部構造。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高架橋、特に鉄道用RC高架橋の下部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路、鉄道等の橋梁には、河川、海峡等を横断する狭義の橋梁のほかに市街地において連続的に建設される、いわゆる高架橋がある。かかる高架橋は、効率的な土地利用の観点から、道路上、鉄道上あるいは河川上の空間に連続して建設されることが多いが、コスト等の関係上、従来の高架橋の下部構造は、RCラーメン構造を採用することがほとんどであった。
【0003】
ところが、特に鉄道用の高架橋では、一般に上部構造の重量が大きくなりがちであるため、大地震時には、上部構造から作用する水平力をRCラーメン構造の柱状橋脚だけで支持しなければならず、柱状橋脚の基部同士を連結する基礎梁が不可欠になるなど、耐震上の制約が多かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本出願人らは、RCラーメン構造の面内に逆V字状をなすブレース材を配置するとともに該ブレース材の頂部近傍とRCラーメン構造の梁との間にエネルギー吸収ダンパを設ける高架橋の下部構造を開発した。そして、かかる構成によれば、従来よりも大幅な耐震性の改善が実現可能であることがわかった。
【0005】
しかしながら、繰り返し水平荷重下では、主として鋼材で形成されるブレース材とRCラーメンとの変形性能の違いに起因してRCラーメンの柱状橋脚だけに塑性伸び変形が残留し、その結果、ブレース材からの引張力が軸力として柱状橋脚に作用し、柱状橋脚のじん性率が低下するという新たな問題を生じていた。
【0006】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、繰り返し水平荷重下において柱状橋脚に作用する軸力の増加を抑制可能な高架橋の下部構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る高架橋の下部構造は請求項1に記載したように、所定の間隔で立設された一対の柱状橋脚と該柱状橋脚の頂部に架け渡された梁とでRCラーメン構造を形成して前記一対の柱状橋脚及び前記梁を含む面内空間に逆V字状をなすブレース材を配置するとともに、該ブレース材の頂部近傍と前記梁の中央近傍との間に水平相対変位に対してエネルギー吸収を行うエネルギー吸収ダンパを介在させ、該エネルギー吸収ダンパを、前記梁若しくは前記ブレース材との間で鉛直相対変位が許容されるように該梁及び該ブレース材に連結したものである。
【0008】
また、本発明に係る高架橋の下部構造は請求項2に記載したように、所定の間隔で立設された一対の柱状橋脚と該柱状橋脚の頂部に架け渡された梁とでRCラーメン構造を形成して前記一対の柱状橋脚及び前記梁を含む面内空間に逆V字状をなすブレース材を配置するとともに、該ブレース材の頂部近傍と前記梁の中央近傍との間に水平相対変位に対してエネルギー吸収を行うエネルギー吸収ダンパを介在させて所定の連結部材で連結し、該連結部材、前記梁若しくは前記ブレース材の少なくともいずれかを前記柱状橋脚の塑性伸び変形が拘束されることがないように降伏させるものである。
また、本発明に係る高架橋の下部構造は、前記ブレース材を逆V字状に構成する2本のブレース本体の軸力作用線が前記梁にて交差するように前記ブレース材を構成したものである。
【0009】
本発明に係る高架橋の下部構造においては、上部構造からRCラーメン構造の梁に伝達された地震時水平力が、同じくRCラーメン構造を構成する一対の柱状橋脚に伝達されるとともに、梁の中央近傍に連結されたエネルギー吸収ダンパを介してブレース材にそれぞれ伝達される。そして、地震エネルギーが小さい場合には、RCラーメン構造及びブレース材による高い剛性によって上部構造の振幅が抑制されるとともに、地震エネルギーが大きい場合には、梁とブレース材頂部近傍との間に介在されたエネルギー吸収ダンパがそれらの水平相対変位に応じた強制変形を受けて履歴減衰によるエネルギー吸収が行われ、下部構造ひいては高架橋全体の揺れを速やかに収斂させる。
【0010】
一方、地震時水平力が高架橋の下部構造に作用すると、従来であれば、ブレース材がRCラーメン構造の柱状橋脚の塑性伸び変形を拘束するため、その拘束分に相当する軸力が柱状橋脚に新たに作用して柱状橋脚のじん性率が低下するという問題があったが、本発明においては、エネルギー吸収ダンパを、梁若しくはブレース材との間で鉛直相対変位が許容されるようにそれらに連結してあるため、ブレース材の引張力は、RCラーメン構造の梁、ひいては柱状橋脚に伝達せず、その結果、該柱状橋脚の軸力が増加することはない。
【0011】
また、本発明においては、エネルギー吸収ダンパを梁やブレース材にそれぞれ連結する連結部材、梁若しくはブレース材の少なくともいずれかを柱状橋脚の塑性伸び変形が拘束されることがないように降伏させるので、やはり、ブレース材の引張力は、RCラーメン構造の梁、ひいては柱状橋脚に伝達せず、その結果、該柱状橋脚の軸力が増加することはない。
【0012】
一対の柱状橋脚とは、橋軸方向に直交する方向、例えば地上に敷設された軌道や道路を跨ぐように配置する方向のみならず、橋軸方向に平行な方向も含む。なお、前者の場合には、いわゆる門型ラーメンとなることが多いが、後者の場合には、いわゆる連続ラーメンとなる。
【0013】
高架橋の上部構造については、道路橋であるか鉄道橋であるかといった用途は問わない。
【0014】
エネルギー吸収ダンパは、ラーメン構造の梁とブレース材の頂部近傍との相対水平変位に応じた強制変形を受けて履歴減衰によるエネルギー吸収が行われるものであれば、どのようなダンパを用いてもよい。例えば、リブ付き鋼板のせん断変形に伴う履歴減衰を利用したせん断型ダンパ、鋼棒の曲げ変形に伴う履歴減衰を利用した鋼棒曲げ型ダンパ、特に球面軸受けを組み込んだ鋼棒曲げ型ダンパなどが考えられる。
【0015】
エネルギー吸収ダンパを梁若しくはブレース材との間で鉛直相対変位が許容されるようにそれらに連結する構成としてはさまざまなものが考えられるが、例えばブレース材の頂部近傍にエネルギー吸収ダンパを固定する一方、RCラーメン構造の梁下面にアンカーボルトを定着し、該アンカーボルトの先端をエネルギー吸収ダンパに設けた挿通孔に遊貫することが考えられるし、逆に、RCラーメン構造の梁下面にエネルギー吸収ダンパを固定する一方、ブレース材の頂部にアンカーボルトを固定し、該アンカーボルトの先端をエネルギー吸収ダンパに設けた挿通孔に遊貫することが考えられる。なお、球面軸受けを組み込んだ鋼棒曲げ型ダンパを用いる場合には、鋼棒の抜け出しが本来的に考慮されており、該抜け出しが本発明でいう鉛直相対変位の許容に相当するのであらためて特段の工夫を施す必要はない。
【0016】
また、エネルギー吸収ダンパを梁やブレース材にそれぞれ連結する連結部材、梁若しくはブレース材の少なくともいずれかを柱状橋脚の塑性伸び変形が拘束されることがないように降伏させるには、例えば、連結部材の場合にはアンカーボルト等を降伏させる、梁の場合には該梁の主筋を少なくする、ブレース材の場合には低降伏点鋼材を使用するなどの構成が考えられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る高架橋の下部構造の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る高架橋の下部構造を橋軸方向から見た正面図である。同図でわかるように、本実施形態に係る高架橋の下部構造は、所定の間隔で立設された一対の柱状橋脚1、1と該柱状橋脚の頂部に架け渡された梁2とで形成されたRCラーメン構造3と、該一対の柱状橋脚1、1及び梁2を含む面内空間に配置された逆V字状をなすブレース材4と、該ブレース材の頂部と梁2との間に介在されたエネルギー吸収ダンパとしてのせん断型ダンパ5とから構成してある。ここで、柱状橋脚1は、例えば杭6を地盤8に打ち込んだ上でその杭頭部に基部7を設け、該基部の上に立設するようにすればよい。また、ブレース材4は例えば鋼材で形成することができる。
【0019】
せん断型ダンパ5は、その下方においては図2に示すようにブレース材4の頂部に固定してあるが、その上方にT字断面状に固定された基板13には挿通孔12を形成してあり、該挿通孔にRCラーメン構造3の梁2下面に定着されたアンカーボルト11の先端を遊貫することで、せん断型ダンパ5を梁2との間で鉛直相対変位が許容されるように連結してある。せん断型ダンパ5は、例えばウェブにてせん断降伏する鋼材を用いて構成するとともに、該ウェブにて局部座屈することがないよう、例えば格子状の補強リブを面外方向に突設しておくのがよい。
【0020】
アンカーボルト11は、繰り返し水平荷重下でRCラーメン構造3の柱状橋脚1が徐々に伸びた場合に、繰り返し水平力を基板13を介してせん断型ダンパ5に伝達させつつ、挿通孔12からスムーズに上方に抜け出すことで鉛直方向の引張力をせん断型ダンパ5やブレース材4に伝達させないように、その外径を挿通孔12の内径よりも若干小さめに設定する。
【0021】
なお、図2では、せん断型ダンパ5の基板13と梁2の下面との間に隙間を設けてあるが、RCラーメン構造3と鋼材で形成されたブレース材4とを比較した場合、一般的には、ブレース材4の方が変形能力が優る、言い換えれば繰り返し水平荷重を受けた場合にブレース材4の方が塑性伸び変形を生じにくいことが多いので、かかる場合には、同図に示すような隙間を設けておく必要はない。
【0022】
アンカーボルト11が基板13から下方に突出する長さについては、繰り返し水平荷重を受けたときに基板13と梁2の下面との間に生じると想定される最大隙間よりも大きくなるように設定すればよい。また、それを満たす限り、同図のようなアンカーボルト11に代えて頭部付きのアンカーボルトを使用するようにしてもよい。
【0023】
本実施形態に係る高架橋の下部構造においては、地震の際に上部構造9(図1)からRCラーメン構造3の梁2に伝達された地震時水平力は、同じくRCラーメン構造を構成する一対の柱状橋脚1、1に伝達されるとともに、梁2の中央近傍に連結されたせん断型ダンパ5を介してブレース材4にそれぞれ伝達される。そして、地震エネルギーが小さい場合には、RCラーメン構造3及びブレース材4による高い剛性によって上部構造9の振幅が抑制されるとともに、地震エネルギーが大きい場合には、梁2とブレース材4頂部近傍との間に介在されたエネルギー吸収ダンパ5がそれらの水平相対変位に応じた強制変形を受けて履歴減衰によるエネルギー吸収が行われ、下部構造ひいては高架橋全体の揺れを速やかに収斂させる。
【0024】
一方、地震時水平力が高架橋の下部構造に作用すると、従来であれば、ブレース材がRCラーメン構造の柱状橋脚の塑性伸び変形を拘束するため、その拘束分に相当する軸力が柱状橋脚に新たに作用して柱状橋脚のじん性率が低下するという問題があったが、本実施形態においては、図3に示したように、RCラーメン構造3の柱状橋脚1、1が塑性伸び変形を生じても、梁2に定着されたアンカーボルト11は、せん断型ダンパ5の上端に固定された基板13から抜け出すので、引張力が伝達せず、かくして梁2とブレース材4との間で鉛直相対変位が許容されることとなる。一方、水平力については、梁2からアンカーボルト11、基板13を介してせん断型ダンパ5に伝達されるので、該せん断型ダンパは、地震時水平力をエネルギー吸収する。
【0025】
以上説明したように、本実施形態にかかる高架橋の下部構造によれば、地震エネルギーが小さい場合には、RCラーメン構造3及びブレース材4による高い剛性によって上部構造9の振幅を抑制することができるとともに、地震エネルギーが大きい場合には、梁2とブレース材4頂部近傍との間に介在されたせん断型ダンパ5によって履歴減衰によるエネルギー吸収を行い、下部構造ひいては高架橋全体の揺れを速やかに収斂させることが可能となる。
【0026】
一方、せん断型ダンパ5を梁2との間で鉛直相対変位が許容されるように該梁に連結してあるため、ブレース材4の引張力がRCラーメン構造3の梁2、ひいては柱状橋脚1、1に伝達するのが防止され、該柱状橋脚の軸力が増加することはない。また、せん断型ダンパ5自体の塑性変形による鉛直方向縮みが生じることも考えられるが、かかる鉛直変位についても、アンカーボルト11の抜け出しによって同様に吸収されるため、柱状橋脚の軸力を増加させるおそれはない。
【0027】
したがって、軸力増加に伴う柱状橋脚1、1のじん性率低下を未然に防止しつつ、せん断型ダンパ5による地震時水平力のエネルギー吸収を行って高い耐震性を確保することが可能となる。なお、一定規模以下の地震については、RCラーメン構造3及びブレース材4の変形を弾性域にとどめ、せん断型ダンパ5だけに地震エネルギーを集中させることができるため、塑性変形してエネルギー吸収作用が低下したせん断型ダンパ5を交換することにより、元通りの下部構造に復旧することができることは言うまでもない。
【0028】
本実施形態では、アンカーボルト11を梁2に単に定着させるようにしたが、梁2に予め埋設された雌ねじ部材にアンカーボルト11をねじ込む構成としておけば、アンカーボルト11を梁2から取り外すことによってせん断型ダンパ5の交換を容易に行うことが可能となる。
【0029】
また、本実施形態では、せん断型ダンパ5を梁2との間で鉛直相対変位が許容されるように該梁に連結するように構成したが、逆に梁2に固定し、ブレース材4の側で鉛直相対変位を吸収するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0030】
また、本実施形態では、ブレース材4の下端を柱状橋脚1、1の基部に固定するようにしたが、これに代えて、柱状橋脚1、1の中間部に固定してもよいことは言うまでもない。
【0031】
また、本実施形態では、せん断型ダンパ5と梁2との間の鉛直相対変位を許容するように構成したが、これに代えて、図4に示すように、せん断型ダンパ5の上端を連結部材であるアンカーボルト21で梁2に連結するとともに、下端をブレース材22に連結し、これらアンカーボルト21、梁2若しくはブレース材22の少なくともいずれかを柱状橋脚1、1の塑性伸び変形が拘束されることがないように所定の降伏強度で降伏させるように構成してもよい。ここで、アンカーボルト21を降伏させる場合には、その本数や径あるいは材料強度を調整すればよいし、梁2を降伏させる場合にはその主筋を中央近傍にて少なくするか同図(b)に示すように断面を小さくし、該箇所にて塑性ヒンジが形成されるようにすればよいし、ブレース材22を降伏させる場合には例えば低降伏点鋼材を使用すればよい。
【0032】
かかる構成においても、上述の実施形態とほぼ同様の作用効果を奏するが、その説明についてはここでは省略する。
【0033】
また、本実施形態では、一対の柱状橋脚1、1を橋軸方向に直交する方向、例えば地上に敷設された軌道や道路を跨ぐように配置したが、これに代えて図5に示すように橋軸方向に平行な方向に適用してもよい。なお、かかる場合には、いわゆる連続ラーメンとなる。また、詳細については図2と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0034】
また、本実施形態では、エネルギー吸収ダンパとしてせん断型ダンパ5を採用したが、これに代えて図6に示すように鋼棒曲げ型ダンパ32としてもよい。鋼棒曲げ型ダンパ32は、梁2に定着された鋼棒33をブレース材4の頂部に溶接等で固定された2枚の基板34、34に形成された挿通孔に挿通するとともに、該挿通孔に球面軸受け31を設けてなる。
【0035】
かかる構成においては、同図(b)に示すように地震時水平力が梁2から鋼棒33を介して基板34、34に作用したとき、その水平力をブレース材4に伝達するとともに、繰り返し水平荷重下での鋼棒33の曲げによる履歴減衰によってエネルギー吸収が行われる。また、鋼棒33が基板34、34から同図矢印に示すように上方に抜け出すことによって梁2とブレース材4との鉛直相対変位が許容される。なお、図6についても基板34と梁2の下面との間に隙間が設けてあるが、上述の実施形態と同様、かかる隙間は必ずしも必要ではない。
【0036】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、図7に示すように、逆V字状をなすブレース材4を構成する各ブレース本体41、41の軸力作用線が梁2にて交差するように該ブレース材を構成してもよい。
【0037】
かかる構成においては、同図(b)に示すように、梁2からブレース材4に作用する水平力Hの高さ位置が、ブレース本体41、41の軸力作用線の交点Rにほぼ一致する。つまり、梁2は、ブレース材4から反力として逆方向の水平力H´を受けることは当然としても、水平力Hの作用高さがブレース本体41、41の軸力作用線の交点Rに一致しているため、曲げモーメントが反力として梁2に作用する懸念がない。したがって、かかる曲げモーメントに起因する柱状橋脚1、1の軸力増加を抑制することも可能となる。ちなみに、ブレース材4を構成する各ブレース本体41、41の軸力作用線が梁2で交差せず、例えば同図(c)に示すように点Qで交差する場合には、水平力の反力H´に起因する曲げモーメントM´=dH´(dは点Qの梁2からの偏心距離)が反力として梁2に作用し、これが柱状橋脚1、1の軸力増加の原因となる。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1及び請求項2に係る本発明の高架橋の下部構造によれば、軸力増加に伴う柱状橋脚のじん性率低下を未然に防止しつつ、エネルギー吸収ダンパによる地震時水平力のエネルギー吸収を行って高い耐震性を確保することが可能となる。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る高架橋の下部構造の正面図。
【図2】本実施形態に係る高架橋の下部構造の詳細図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A線に沿う水平断面図。
【図3】本実施形態に係る高架橋の下部構造の作用を示した正面図。
【図4】変形例に係る高架橋の下部構造を示した詳細図。
【図5】別の変形例に係る高架橋の下部構造を示した全体図。
【図6】別の変形例に係る高架橋の下部構造とその作用を示した詳細図。
【図7】別の変形例に係る高架橋の下部構造とその作用を示した詳細図。
【符号の説明】
1 柱状橋脚
2 梁
3 RCラーメン構造
4、22 ブレース材
5 せん断型ダンパ(エネルギー吸収ダンパ)
21 アンカーボルト(連結部材)
32 鋼棒曲げ型ダンパ(エネルギー吸収ダンパ)
41 ブレース本体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6