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明細書 :経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4528978号 (P4528978)
公開番号 特開2007-303933 (P2007-303933A)
登録日 平成22年6月18日(2010.6.18)
発行日 平成22年8月25日(2010.8.25)
公開日 平成19年11月22日(2007.11.22)
発明の名称または考案の名称 経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価する方法
国際特許分類 G01N  33/50        (2006.01)
G01N  33/15        (2006.01)
G01N  33/68        (2006.01)
FI G01N 33/50 Z
G01N 33/15 Z
G01N 33/68
請求項の数または発明の数 6
全頁数 8
出願番号 特願2006-131873 (P2006-131873)
出願日 平成18年5月10日(2006.5.10)
審査請求日 平成19年3月5日(2007.3.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
発明者または考案者 【氏名】松井 裕史
【氏名】中村 由美子
【氏名】下川 治
個別代理人の代理人 【識別番号】100106611、【弁理士】、【氏名又は名称】辻田 幸史
【識別番号】100087745、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 善廣
【識別番号】100098545、【弁理士】、【氏名又は名称】阿部 伸一
審査官 【審査官】草川 貴史
参考文献・文献 特開2005-181267(JP,A)
Wang B, Su X, Ke Y.,Activation of proto-oncogenes induced by MNNG on primary culture of human gastric epithelium and immortalized human gastric epithelial cell line,Zhonghua Zhong Liu Za Zhi.,1996年,Vol.18,No.1,p.6-9
Nagano Y, Matsui H, Muramatsu M, Shimokawa O, Shibahara T, Yanaka A, Nakahara A, Matsuzaki Y, Tanaka N, Nakamura Y.,Rebamipide significantly inhibits indomethacin-induced mitochondrial damage, lipid peroxidation, and apoptosis in gastric epithelial RGM-1 cells.,Dig Dis Sci.,2005年10月,Vol.50,p.76-83
調査した分野 G01N 33/48-33/98
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価する方法であって、非ヒト動物の正常胃粘膜上皮細胞を発癌性物質の存在下で培養して形質転換させてなる癌様変異株に評価対象薬物を添加し、癌様細胞株の4-ヒドロキシ-2-ノネナール修飾蛋白質の生成量の増加の程度を指標にして行うことを特徴とする方法。
【請求項2】
非ヒト動物がラットであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
発癌性物質がN-メチル-N’-ニトロ-N-ニトログアニジンであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
正常胃粘膜上皮細胞が独立行政法人理化学研究所細胞バンクに細胞番号RCB0876として寄託されているRGM-1細胞株であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
癌様変異株が独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP-10619として寄託されているRGK-1細胞株であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価する方法であって、非ヒト動物の正常胃粘膜上皮細胞に評価対象薬物を添加し、正常胃粘膜上皮細胞の4-ヒドロキシ-2-ノネナール修飾蛋白質の生成量の増加の程度を指標にして行うことを特徴とする方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価する方法および評価するためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)であるインドメタシンは、優れた抗炎症作用を発揮するものの、経口投与により胃潰瘍や胃炎などの胃粘膜障害を引き起こすことが知られている。インドメタシンの作用は、シクロオキシゲナーゼ(COX)の阻害によるものであるが、経口投与による胃粘膜障害の発生は、このCOX阻害作用が胃粘膜防御因子であるプロスタグランジン(PG)を減少させることが原因であるとされている。近年の研究において、COXにはCOX-1とCOX-2の二種類あることが明らかにされており、COX-1は構成型のCOX、COX-2は誘導型のCOXであると考えられている。COX-1は生体内の恒常性を保つ働きを担っており胃粘膜にも存在し、その保護作用を有するPGを生産する機能を果たしていると考えられている。一方、COX-2は炎症部位で誘導されてくるCOXであり、炎症部位でのPGの多くはCOX-2に由来するものであると考えられている。インドメタシンは、他の多くのNSAIDsと同様に、COX-1とCOX-2の両者を抑制する非選択的COX阻害剤であることから、経口投与による胃粘膜障害の発生は、胃粘膜の保護に関与するCOX-1を阻害することによるものであるとされている。従って、最近では、COX-2を選択的に阻害する薬剤の開発が精力的に行われている。
【0003】
抗炎症剤だけでなく、経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価することは、副作用として胃粘膜障害を引き起こす可能性があるのかどうかを見極めるためなどに重要であると考えられる。従って、本発明者らは、経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価する方法の研究をこれまで精力的に行い、その研究成果として、マウスやラットに評価対象薬物を経口投与または腹腔内投与し、胃粘膜の壁細胞におけるプロトンポンプの発現量の増加の程度を指標にして当該薬物の胃粘膜への作用の評価を行う方法を提案しているが(特許文献1)、より簡便に行うことができる方法の開発は意義深いと言える。

【特許文献1】特開2005-181267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、インビトロで行うことができる経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価する方法および評価するためのキットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の点に鑑みてさらに研究を重ねた結果、ラットの正常胃粘膜上皮細胞を発癌性物質の存在下で培養して形質転換させてなる癌様変異株が本来的にプロトンポンプの高い発現能を有すること、当該癌様変異株に胃粘膜障害を引き起こすインドメタシンを添加すると、プロトンポンプの発現量が増加する他、4-ヒドロキシ-2-ノネナール(4-HNE)の修飾蛋白質の生成量が増加すること、プロトンポンプの発現量と4-HNE修飾蛋白質の生成量の増加の程度は添加する薬物の種類によって異なることなどを見出した。
【0006】
上記の知見に基づいてなされた本発明の経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価する方法は、請求項1記載の通り、非ヒト動物の正常胃粘膜上皮細胞を発癌性物質の存在下で培養して形質転換させてなる癌様変異株に評価対象薬物を添加し、癌様細胞株の4-HNE修飾蛋白質の生成量の増加の程度を指標にして行うことを特徴とする。
また、請求項2記載の方法は、請求項1記載の方法において、非ヒト動物がラットであることを特徴とする。
また、請求項3記載の方法は、請求項1記載の方法において、発癌性物質がN-メチル-N’-ニトロ-N-ニトログアニジンであることを特徴とする。
また、請求項4記載の方法は、請求項1記載の方法において、正常胃粘膜上皮細胞が独立行政法人理化学研究所細胞バンクに細胞番号RCB0876として寄託されているRGM-1細胞株であることを特徴とする。
また、請求項5記載の方法は、請求項1記載の方法において、癌様変異株が独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP-10619として寄託されているRGK-1細胞株であることを特徴とする。
また、本発明の経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価する方法は、請求項6記載の通り、非ヒト動物の正常胃粘膜上皮細胞に評価対象薬物を添加し、正常胃粘膜上皮細胞の4-HNE修飾蛋白質の生成量の増加の程度を指標にして行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、インビトロで行うことができる経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価する方法および評価するためのキットが提供され、例えば、副作用として胃粘膜障害を引き起こす可能性があるかどうかを簡便に見極めることが可能となり、本発明の方法およびキットは、胃粘膜障害のない薬物をスクリーニングする場合などに採用しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
プロトンポンプ(H+K+ATPase)は、生体膜の両側のH+の電気化学ポテンシャル差に逆らってATPのエネルギーでH+を能動輸送し、胃腔に胃酸分泌を行う胃粘膜の壁細胞に存在する膜蛋白質である(胃腔に胃酸分泌を行うかわりに胃内のK+を細胞内に取り込む)。本発明は、非ヒト動物の正常胃粘膜上皮細胞を発癌性物質の存在下で培養して形質転換させてなる癌様変異株が、本来的にプロトンポンプの高い発現能を有することや、添加する薬物の種類によって発現量の増加の程度が異なることなどを見出したことに基づいて完成されたものであり、当該癌様変異株に評価対象薬物を添加し、プロトンポンプの発現量の増加の程度を調べることによって経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価するものである。プロトンポンプの発現量の増加の程度が大きいほど、胃酸分泌量が多くなるので、炎症を惹起させる可能性が高いことから、胃粘膜障害を引き起こす可能性が高いと評価することができる。また、本発明の経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価する方法は、当該癌様変異株に評価対象薬物を添加した際の、4-HNE修飾蛋白質の生成量の増加の程度を指標にして行うものである。4-HNEは生体内における酸化ストレス産物として知られている過酸化脂質分解物であり、4-HNE修飾蛋白質の生成量の増加の程度が大きいほど、胃粘膜障害を引き起こす可能性が高いと評価することができる。
【0009】
本発明において用いる、非ヒト動物の正常胃粘膜上皮細胞を発癌性物質の存在下で培養して形質転換させてなる癌様変異株は、例えば、正常胃粘膜細胞の培養のために通常用いられる培養液に、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトログアニジン(MNNG)などの発癌性物質をその含量が0.1%~10%程度になるように添加し、ここに正常胃粘膜細胞を103個/mL~107個/mLの割合で播いて通常の培養条件のもとに継代培養を10日~3ヶ月行うことで取得することができる。なお、正常胃粘膜細胞の培養のために通常用いられる培養液としては、例えば、(DMEM:HamF12=1:1)+5%~20%FBSなどが挙げられる。また、正常胃粘膜細胞の通常の培養条件としては、例えば、36℃~38℃、4%~6%CO2といった条件が挙げられる。正常胃粘膜上皮細胞が癌様変異株に形質転換されたかどうかは、例えば、増殖因子依存性の低下(形質転換されることで増殖因子に対する依存性が低下する)、増殖速度の向上(形質転換されることで増殖速度が速くなる)、形態変化(形質転換されることで形や大きさが不揃いになる)、接触阻止の喪失とパイルアップ(形質転換されることでシャーレ一杯にまで増殖しても増殖が止らず、細胞の上に細胞が盛り上がるようにして増殖する)、フォーカス形成(形質転換されることで細胞がパイルアップしたコロニー(フォーカス)を形成する)、クリスクロス(形質転換されることで細胞同士がクロスして増殖する)、運動性(形質転換されることで運動性が低下する)、足場依存性の喪失(形質転換されることで軟寒天やアガロースゲルに混ぜて播き込んでも細胞が球状のまま増殖してコロニーを形成する)、分化機能の変化(形質転換されることで分化機能の発現が変化する)、造腫瘍性の獲得(形質転換されることでラットやマウスに移植すると腫瘍を形成する)などから選ばれる1以上の判定項目に基づいて判断することができる。
【0010】
非ヒト動物の正常胃粘膜上皮細胞を発癌性物質の存在下で培養して形質転換させてなる癌様変異株の具体例としては、ラット由来のRGM-1細胞株を発癌性物質の存在下で培養して形質転換させてなるRGK-1細胞株が挙げられる。なお、RGM-1細胞株は、独立行政法人理化学研究所細胞バンクに細胞番号RCB0876として寄託されている公知の細胞株である(例えばIn Vitro Cell.Dev.Biol.-Animal 32:259-261,May 1996を参照のこと)。RGK-1細胞株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP-10619として寄託されている(寄託日:平成17年4月5日)。



【0011】
癌様細胞株のプロトンポンプの発現量や4-HNE修飾蛋白質の生成量はどのような方法で調べてもよいが、例えば、シャーレ内で培養した癌様細胞株に評価対象薬物を添加し、所定時間(例えば30分間~24時間)培養を継続した後、固定細胞標本を作製し、抗プロトンポンプ抗体を用いてプロトンポンプを免疫染色したり、4-HNE修飾蛋白質に対する抗体を用いて4-HNE修飾蛋白質を免疫染色したりしてその発現量や生成量を画像処理ソフトを用いて数値化することで調べることができる。また、癌様細胞株のプロトンポンプの発現量は、培養液のpHを測定することによって調べることもできる(プロトンポンプの発現量が多いほど胃酸分泌量が多くなるのでpHは低下する)。なお、評価対象薬物は原薬のみならず製剤化されたものであってもよい。経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価するために、癌様細胞株やその培養液などをキット化しておけば、簡便に当該作用を評価することができる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって何ら限定して解釈されるものではない。
【0013】
実施例1:
1-1:RGM-1細胞株からRGK-1細胞株の作製
培養液(DMEM:HamF12=1:1/10%FBS)に、MNNGをその含量が3%になるように添加し、ここにRGM-1細胞株を105個/mLの割合で播いて約30日間継代培養することで作製した(培養条件:37℃,5%CO2)。図1にRGM-1細胞株の顕微鏡写真(倍率:20倍)を、図2にRGK-1細胞株の顕微鏡写真(倍率:20倍)を示す。
【0014】
1-2:RGK-1細胞株の特性
(1)接触阻止の喪失とパイルアップ(膜の流動性)
12穴シャーレ中で、RGK-1細胞株を培養液(同上:以下同じ)に105個/mLの割合で播き、孔径が1μmのフィルタを上部に被せて培養したところ(培養条件は上記の通り:以下同じ)、培養開始から3日目にフィルタ表面において細胞の増殖が認められ、7日目にはフィルタ表面における増殖がコンフルエントな状態になった。ヒト胃癌細胞株として知られているMKN-45細胞株を用いて同様の実験を行っても結果は同じであった。従って、RGK-1細胞株は癌様細胞に形質転換されていると判定できた。
(2)軟寒天コロニー形成
上層が1%ゼラチン含有培養液で下層が2%ゼラチン含有培養液で構成される寒天培地上に、RGK-1細胞株を105個/mLの割合で播いて培養したところ、細胞は球状のまま増殖し続け、培養開始から7日目にコロニーの形成が認められた。MKN-45細胞株を用いて同様の実験を行っても結果は同じであった。従って、RGK-1細胞株は癌様細胞に形質転換されていると判定できた。
(3)造腫瘍性の獲得
4週令で購入後2週間予備飼育したヌードマウス(BALB/cA-nu,雄,日本チャールスリバー社より購入)の右大腿皮下に、RGK-1細胞株が105個/mL濃度の生理食塩水懸濁液0.2mLを接種しところ(n=7)、約2週間ですべてのマウスに腫瘍が形成された。MKN-45細胞株を用いて同様の実験を行っても結果は同じであった。従って、RGK-1細胞株は癌様細胞に形質転換されていると判定できた。
【0015】
1-3:RGM-1細胞株とRGK-1細胞株に対する各種薬物の作用
(実験方法)
RGK-1細胞株の培養液(105個/mL)を2穴チャンバースライド(Lab-TecII)のそれぞれのウェルに1mL/wellずつ添加して24時間培養した後、スライドをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄し、一方のウェルに1mMインドメタシン(IND)溶液(インドメタシンを無血清培養液に溶解して調製したもの)を、他方のウェルに無血清培養液だけ(control)をそれぞれ1mL/wellずつ添加し、37℃,5%CO2の培養条件下で60分間培養した。培養終了後、スライドをPBSで3回洗浄してからそれぞれのウェルに4%パラホルムアルデヒドを添加し、室温で20分間固定化した後、PBSで3回洗浄した。続いてそれぞれのウェルに0.1%(v/v)Tween20/PBSを添加し、室温で15分間固定化した後、PBSで3回洗浄し、それぞれの固定細胞標本を作製した。
上記の固定細胞標本に対し、抗プロトンポンプ抗体としてMBL社の“anti-Mouse Proton Pump”、4-HNE修飾蛋白質に対する抗体として日本老化制御研究所社の“抗4-HNEモノクローナル抗体”、染色キットとしてVECTOR社の“VECTASTAIN ABC-AP Rat IgG Kit”、発色キットとして同社の“Alkaline Phosphatase Substrate kit I <VECTOR Red>”を用いて細胞内のプロトンポンプと細胞膜の4-HNE修飾蛋白質を免疫染色した。得られた標本それぞれから無作為に230~250程度の測定箇所を選択し、顕微鏡下で画像化し、NIH-image(パブリックドメインソフトウェア)を用いた画像解析を行って、その発色濃度比と発色面積比からプロトンポンプ(PP)の発現量と4-HNE修飾蛋白質の生成量を数値化して調べた。
また、RGK-1細胞株の培養液を1mL/well添加したウェルにプロトンポンプインヒビターであるラベプラゾール(Rabeprazole)、H2ブロッカーであるラフチジン(Lafutidine)とファモチジン(Famotidine)の3種類の薬物の20μM溶液(無血清培養液に溶解して調製したもの)をそれぞれ1mL/well添加して30分間培養した後、PBSで3回洗浄してから1mMインドメタシン溶液1mL/wellを添加して60分間培養し、培養終了後、固定細胞標本を作製し、プロトンポンプの発現量と4-HNE修飾蛋白質の生成量を数値化して調べた。
また、以上のRGK-1細胞株に対する実験と同様の実験をRGM-1細胞株に対して行った。
【0016】
(実験結果)
結果を表1に示す。表1から明らかなように、RGK-1細胞株は、本来的にプロトンポンプの高い発現能を有すること、インドメタシンを添加すると、プロトンポンプの発現量が増加する他(培養を継続することで無血清培養液のpHが低下した)、4-HNE修飾蛋白質の生成量が増加すること、インドメタシンを添加する前にプロトンポンプインヒビターやH2ブロッカーを添加しておくと、インドメタシンの添加によるプロトンポンプの発現量および4-HNE修飾蛋白質の生成量の増加の程度が抑制されることがわかった。以上の結果から、評価対象薬物をRGK-1細胞株に添加してそのプロトンポンプの発現量や4-HNE修飾蛋白質の生成量の増加の程度を調べることで、当該薬物が胃粘膜障害を引き起こす可能性が高いかどうか、胃粘膜障害を引き起こす薬物に対する胃粘膜保護作用があるかどうか、プロトンポンプ阻害作用やH2阻害作用に基づく抗潰瘍薬になる可能性が高いかどうかといったような当該薬物の胃粘膜への作用を評価することができることがわかった。
一方、RGM-1細胞株は、各種の薬物を添加してもプロトンポンプの発現量にほとんど変化が見られなかったことから、プロトンポンプの発現量の増加の程度を指標にして薬物の胃粘膜への作用を評価することはできないが、RGK-1細胞株と同様に、4-HNE修飾蛋白質の生成量の増加の程度を指標にすれば、薬物の胃粘膜への作用を評価することができることがわかった。
【0017】
【表1】
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【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、インビトロで行うことができる経口投与される薬物の胃粘膜への作用を評価する方法および評価するためのキットを提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】RGM-1細胞株の顕微鏡写真
【図2】RGK-1細胞株の顕微鏡写真
図面
【図1】
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【図2】
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