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明細書 :20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体およびそれを有効成分とするカルシウム代謝改善剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3579209号 (P3579209)
公開番号 特開平10-245372 (P1998-245372A)
登録日 平成16年7月23日(2004.7.23)
発行日 平成16年10月20日(2004.10.20)
公開日 平成10年9月14日(1998.9.14)
発明の名称または考案の名称 20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体およびそれを有効成分とするカルシウム代謝改善剤
国際特許分類 C07C401/00      
A61K 31/59      
A61P  5/18      
A61P 17/06      
A61P 19/08      
A61P 19/10      
A61P 35/00      
FI C07C 401/00
A61K 31/59
A61P 5/18
A61P 17/06
A61P 19/08
A61P 19/10
A61P 35/00
請求項の数または発明の数 2
全頁数 19
出願番号 特願平09-067450 (P1997-067450)
出願日 平成9年3月4日(1997.3.4)
審査請求日 平成14年4月30日(2002.4.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】595121847
【氏名又は名称】山田 幸子
発明者または考案者 【氏名】山田 幸子
【氏名】山本 恵子
個別代理人の代理人 【識別番号】100095832、【弁理士】、【氏名又は名称】細田 芳徳
審査官 【審査官】前田 憲彦
参考文献・文献 特開平06-025155(JP,A)
Proceedings of the Workshop on Vitamin D,1994年,9th(Vitamin D),P.91-92
調査した分野 C07C401/00
A61K 31/59
CA(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
式(I):
【化1】
JP0003579209B2_000010t.gif
(式中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ水素原子または水酸基の保護基、R4 エチル基を示す)
で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体。
【請求項2】
式(I):
【化2】
JP0003579209B2_000011t.gif
(式中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ水素原子または水酸基の保護基、R4 エチル基を示す)
で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体を有効成分として含有してなるカルシウム代謝改善剤。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体およびそれを有効成分とするカルシウム代謝改善剤に関する。さらに詳しくは、慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、骨軟化症、骨粗鬆症などのカルシウム代謝の欠陥症、乾癬などの皮膚疾患および骨髄性白血病、乳ガンに代表される悪性腫瘍などの細胞分化機能に異常をきたした疾患の治療薬として有用である20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体および該20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体を有効成分として含有するカルシウム代謝改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビタミンDの研究の進展に伴い、各種の1α-ヒドロキシビタミンD誘導体が医薬品として開発されてきており、例えば、1α-ヒドロキシビタミンDや、1α,25-ジヒドロキシビタミンDがすでに臨床的に骨粗鬆症治療薬として用いられている。
しかしながら、これらの化合物は、血中カルシウムの上昇作用などの副作用を呈することから、かかる副作用の少ないビタミンD誘導体の研究が近年、活発に行なわれてきている。前記ビタミンD誘導体として、例えば、24,25-ジヒドロキシビタミンD、24-エピビタミンDなどが骨粗鬆症治療薬として検討されており、また、22-オキサ-1,25-ジヒドロキシビタミンDなどが副甲状腺機能亢進症治療薬として検討されている。
本発明者らは、前記カルシウム代謝改善剤に有用な化合物として、20-エピ-22-メチルビタミンD誘導体をすでに開発している(特開平6-25155号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記20-エピ-22-メチルビタミンD誘導体は、ビタミンD受容体結合活性が極めて高いという優れた性質を有するが、その反面、血中カルシウム上昇作用は高い。したがって、疾患を治療する立場から、高いビタミンD受容体結合活性を有し、安全性に優れたビタミンD誘導体の開発が望まれているのが実状である。
しかして、本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、ビタミンD受容体結合活性が高く、血中カルシウム上昇作用がさほど高くなく、安全性により優れたビタミンD誘導体およびそれを含有するカルシウム代謝改善剤を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、
式(I):
【0005】
【化3】
JP0003579209B2_000002t.gif【0006】
(式中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ水素原子または水酸基の保護基、R4 エチル基を示す)
で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体、ならびに該20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体を有効成分として含有してなるカルシウム代謝改善剤
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、20-エピビタミンD誘導体の置換基の影響について詳細に検討を行なったところ、20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンDが極めて高い活性を有するとともに、副作用が小さいことが見出された。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0008】
本発明の20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体は、前記したように、式(I):
【0009】
【化4】
JP0003579209B2_000003t.gif【0010】
(式中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ水素原子または水酸基の保護基、R4 エチル基を示す)
で表わされる化合物である。
【0011】
式(I)において、R、RおよびRが表わす水酸基の保護基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ベンゾイル基などのアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基などの有機シリル基;メトキシメチル基、1-エトキシエチル基、メトキシエトキシメチル基などのアルコキシメチル基;2-テトラヒドロフラニル基、2-テトラヒドロピラニル基などのオキサシクロアルキル基などを挙げることができる。
【0012】
また、式(I)において、4 は、エチル基を示す
【0013】
式(I)で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体は、新規化合物であり、公知化合物である式(IV):
【0014】
【化5】
JP0003579209B2_000004t.gif【0015】
(式中、R、RおよびRは前記と同じ)
で表わされるコレスタ-5,7,22-トリエン-24-オン誘導体またはそのジエン付加物を出発原料とし、式:
【0016】
【化6】
JP0003579209B2_000005t.gif【0017】
(式中、R、R、RおよびRは前記と同じ)
で表わされるスキームにしたがって合成することができる。
【0018】
前記スキームにしたがって得られる中間体である式(III)で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルプロビタミンD誘導体および式(II)で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルプレビタミンD誘導体は、いずれも新規化合物であり、また、これらのジエン付加物も新規化合物である。
【0019】
ジエン付加物を形成するジエノフィルとしては、ビタミンD類の合成分野で用いられているものであれば特に限定がないが、本発明においては、N-フェニルトリアゾリンジオン、フタラジン-1,4-ジオンなどが好ましい。
【0020】
前記スキームの各工程について以下に詳細に説明する。
【0021】
式(IV)で表わされるコレスタ-5,7,22-トリエン-24-オン誘導体またはそのジエン付加物は、例えば、特開平6-25155号公報などに記載されている方法にしたがって合成することができる。
【0022】
前記コレスタ-5,7,22-トリエン-24-オン誘導体またはそのジエン付加物に、例えば、トリメチルシリルクロリドの存在下、低級アルキル銅試薬を作用させてシリルエノールエーテルとし、次いでシリル基を除去し、必要に応じ、水酸基を保護することにより、22位に低級アルキル基が導入された式(V)で表わされるコレスタ-5,7-ジエン-24-オン誘導体が得られる。
【0023】
前記反応は、立体特異的に進行する。即ち、式(IV)において、22位の二重結合がZの立体配置である不飽和ケトン誘導体を出発原料として用いる場合には、22位の立体配置がRであるコレスタ-5,7-ジエン-24-オン誘導体を得ることができる。
【0024】
式(V)で表わされるコレスタ-5,7-ジエン-24-オン誘導体の24位のカルボニル基を、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化トリイソブチルホウ素リチウムなどの還元剤を用いて還元させ、必要に応じて水酸基を保護することにより、式(VI)で表わされるコレスタ-5,7-ジエン-24-オール誘導体が得られる。
【0025】
式(VI)で表わされるコレスタ-5,7-ジエン-24-オール誘導体の水酸基を、還元的に除去する常法により、例えば、式(VII)で表わされるジチオ炭酸エステルまたはチオ炭酸エステル誘導体に変換し、次いで該誘導体を水素化トリブチルスズなどでラジカル的に還元することにより、式(III)で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルプロビタミンD誘導体が得られる。
【0026】
式(III)で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルプロビタミンD誘導体を光異性化させることにより、式(II)で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルプレビタミンD誘導体を得ることができ、これを熱異性化させたのち、必要に応じて脱保護することにより、式(I)で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体を得ることができる。
【0027】
このようにして得られた式(I)で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体の反応混合物からの単離・精製は、一般に有機化合物を反応混合物から単離・精製する際に用いられている方法と同様の方法によって行なうことができる。例えば、反応混合物を濃縮することにより粗生成物を得、得られた粗生成物を必要に応じて再結晶、クロマトグラフィーなどに付すことによって行なう。
【0028】
本発明の式(I)で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体は、1,25-ジヒドロキシビタミンD受容体に対して極めて高い結合活性を示し、しかもビタミンD結合タンパクとの親和性が低く、高い分化誘導能を有することから、乾癬などの皮膚疾患、骨髄性白血病、乳ガンに代表される悪性腫瘍などの細胞分化機能に異常をきたした疾患の治療薬として有用である。また、低カルシウム、低ビタミンD食ラットに対する投与においても血中カルシウムの上昇作用が弱く、急性毒性試験においても低毒性であったことから、副作用の少ない、骨粗鬆症、副甲状腺機能亢進症、慢性腎不全、骨軟化症などのカルシウム代謝の欠陥症の治療薬、即ち、カルシウム代謝改善剤としても有用である。
【0029】
式(I)で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体を有効成分とする本発明のカルシウム代謝改善剤は、適当な剤型の医薬組成物として経口または非経口的に投与することができる。投与量は、年齢、症状、投与ルートなどによって異なるが、例えば、成人のカルシウム代謝の欠陥症の予防、治療のために投与する場合、通常、成人1日あたり0.01~5μg、好ましくは0.05~1μgを1~3回に分けて投与することが好都合であるが、医者の診断に応じて前記範囲を超えて投与することも勿論可能である。
【0030】
本発明のカルシウム代謝改善剤は、有効成分である式(I)で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体の有効量と、薬理学的に許容される担体または賦形剤とを含有する組成物であってもよい。このような組成物は、経口または非経口投与に適する剤型として提供される。
【0031】
即ち、経口投与のための組成物の剤型としては、例えば、固体または液体の剤型、具体的には錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。このような組成物は、公知の方法によって製造され、製剤分野において通常用いられている担体または賦形剤を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウムなどがあげられる。
【0032】
非経口投与のための組成物を、例えば、注射剤として用いる場合、公知の方法に従い、通常、注射剤に用いられている無菌の水性ないしは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって該注射剤を調製することができる。注射用の水性液としては、生理食塩水、ブドウ糖などや、その他の補助液を含む等張液などがあげられ、これらは、適当な溶解補助剤などと併用してもよい。
【0033】
かくして得られる本発明のカルシウム代謝改善剤には、式(I)で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体を配合することによって好ましくない相互作用を生じないかぎり、他の活性成分が含有されていてもよい。
【0034】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
実施例1
アルゴンガス雰囲気下、臭化第一銅・ジメチルスルフィド錯体114mg(0.556mmol)のテトラヒドロフラン(以下、THFという)1ml懸濁液に、1.21Mのエチルリチウム/THF溶液0.92ml(1.11mmol)を-40℃で滴下し、同温度にて0.5時間撹拌した。反応液を-78℃に冷却し、トリメチルシリルクロリド88.2μl(0.695mmol)、ヘキサメチルリン酸トリアミド121μl(0.695mmol)、(22Z)-(20S)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-25-メトキシメトキシコレスタ-5,7,22-トリエン-24-オン40mg(0.0695mmol)のTHF0.5ml溶液をこの順にそれぞれ滴下し、-78℃で40分間撹拌した。これにトリエチルアミン1.5ml、酢酸エチル10mlおよび水を添加し、室温に戻した後、有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に溶媒を留去した。
【0036】
得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する(23Z)-(20S,22S)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-エチル-25-(メトキシメトキシ)-24-トリメチルシリルオキシコレスタ-5,7,23-トリエン19.5mgを得た(収率41%)。
【0037】
H-NMR(200MHz)δ
0.17(9H,s,Si(CH)、0.61(3H,s,H-18)、1.01(3H,s,H-19)、1.35および1.36(各3H,s,H-26,H-27)、3.35(3H,s,メトキシメチル基CH)、3.77および3.80(各3H,s,メトキシカルボニル基CH)、4.58-4.95(2H,m,H-1,H-3)、5.38および5.67(各1H,m,H-6,H-7)
【0038】
IR(neat)cm-1
2950、2860、1740、1440、1245、1140、1030
【0039】
MS m/z
628(1)、552(3)、476(2)、465(1)、401(6)、325(52)、249(34)、197(62)、155(23)、125(56)、73(100)
【0040】
実施例2
アルゴンガス雰囲気下、(23Z)-(20S,22S)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-エチル-25-(メトキシメトキシ)-24-トリメチルシリルオキシコレスタ-5,7,23-トリエン175mg(0.253mmol)のTHF2.5ml溶液に、-35℃で1M-テトラブチルアンモニウムフルオリドTHF溶液304μl(0.304mmol)を加え、同温度で15分間撹拌した後、酢酸エチルで希釈して有機層を10%-塩化アンモニウム水溶液、水および食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。
【0041】
減圧下に濃縮して得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-エチル-25-(メトキシメトキシ)-24-オキソコレスタ-5,7-ジエン150mgを得た(収率96%)。
【0042】
H-NMR(200MHz)δ
0.70(3H,s,H-18)、0.73(3H,d,J=6.7Hz,H-21)、1.01(3H,s,H-19)、1.34および1.37(各3H,s,H-26,H-27)、3.40(3H,s,メトキシメチル基CH)、3.78および3.80(各3H,s,メトキシカルボニル基CH)、4.78-5.02(2H,m,H-1,H-3)、5.37および5.68(各1H,m,H-6,H-7)
【0043】
IR(neat)cm-1
2950、2870、1740、1770、1440、1380、1260、1145、1030
【0044】
MS m/z
586(0.7)、542(2)、510(3)、497(2)、466(6)、336(11)、326(9)、249(18)、224(11)、210(22)、155(27)、141(17)、103(100)
【0045】
実施例3
(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-エチル-25-(メトキシメトキシ)-24-オキソコレスタ-5,7-ジエン146mg(236mmol)の塩化メチレン1mlのTHF0.8ml溶液に、水素化ホウ素ナトリウム23.2mg(0.614mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液を塩化メチレンで希釈後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。
【0046】
減圧下に濃縮して得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-エチル-24-ヒドロキシ-25-(メトキシメトキシ)コレスタ-5,7-ジエン133mgを得た(収率91%)。
【0047】
H-NMR(200MHz)δ
3.78および3.80(各3H,s,メトキシカルボニル基CH)、4.76(1H,m,H-1)、4.84(1H,m,H-3)、5.37および5.68(各1H,m,H-6,H-7)
【0048】
IR(neat)cm-1
3550、2950、2860、1750、1440、1380、1340、1260、1140、1035
【0049】
MS m/z
586(0.7)、544(5)、512(8)、468(8)、436(40)、407(32)、365(39)、278(23)、249(40)、224(23)、209(56)、155(53)、141(45)、103(100)
【0050】
実施例4
アルゴンガス雰囲気下、(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-エチル-24-ヒドロキシ-25-(メトキシメトキシ)コレスタ-5,7-ジエン9.7mg(0.0156mmol)およびイミダゾール0.5mg(0.0078mmol)のTHF0.8ml溶液に、水素化ナトリウム9.4mg(油性、60重量%品、0.234mmol)を加え、室温で1.5時間攪拌した後、二硫化炭素18.8μl(0.312mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。この溶液にヨウ化メチル12.1μl(0.195mmol)を加え、室温で2時間攪拌した後、反応溶液を酢酸エチルで希釈して水および食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。
【0051】
減圧下に濃縮して得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-エチル-24-[(メチルチオ)チオカルボニルオキシ]-25-(メトキシメトキシ)コレスタ-5,7-ジエン7.0mgを得た(収率63%)。
【0052】
H-NMR(200MHz)δ
0.56および0.60(3H,s,H-18)、1.28(6H,s,H-26,H-27)、2.54および2.55(3H,s,SCH)、3.37(3H,s,メトキシメチル基CH)、 3.78および3.80(各3H,s,メトキシカルボニル基CH)、4.63-5.00(4H,m,H-1,H-3,OCHO)、5.37および5.68(各1H,m,H-6,H-7)、5.84および5.95(1H,m,H-24)
【0053】
IR(neat)cm-1
2950、2875、1740、1440、1380、1340、1260、1140、1050
【0054】
MS m/z
678(1)、590(3)、540(2)、528(3)、497(3)、406(27)、325(57)、249(40)、209(47)、155(54)、91(56)、69(100)
【0055】
実施例5
アルゴンガス雰囲気下、(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-エチル-24-[(メチルチオ)チオカルボニルオキシ]-25-(メトキシメトキシ)コレスタ-5,7-ジエン23.5mg(0.0330mmol)、水素化トリブチル錫53.0μl(0.198mmol)およびアゾビスイソブチロニトリル2.7mg(0.0165mmol)のトルエン1ml溶液を0.5時間加熱還流後、室温に戻し、減圧下溶媒を除去した。
【0056】
得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-エチル-25-(メトキシメトキシ)コレスタ-5,7-ジエン15.2mgを得た(収率76%)。
【0057】
H-NMR(200MHz)δ
0.61(3H,s,H-18)、0.70(3H,d,J=6.4Hz,H-21)、1.01(3H,s,H-19)、1.22(6H,s,H-26,H-27)、3.37(3H,s,メトキシメチル基CH)、3.78および3.80(各3H,s,メトキシカルボニル基CH)、4.71(2H,s,OCHO)、4.84(1H,m,H-1)、4.90(1H,m,H-3)、5.38および5.68(各1H,m,H-6,H-7)
【0058】
IR(neat)cm-1
2950、2860、1745、1440、1380、1340、1270、1140、1040
【0059】
MS m/z
542(7)、466(29)、390(100)、277(58)、249(32)、209(58)、155(38)、141(36)、103(56)、69(82)、55(91)
【0060】
実施例6
(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-エチル-25-(メトキシメトキシ)コレスタ-5,7-ジエン12.1mg(0.0200mmol)およびp-トルエンスルホン酸一水塩19.0mg(0.100mmol)のエタノール2ml溶液を0.5時間加熱還流した後、5%水酸化カリウムメタノール溶液2mlを加え、1時間加熱還流した。室温に戻した後、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、酢酸エチルで2回抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。
【0061】
減圧下に溶媒を除去し、得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する(20S,22R)-22-エチル-1α,3β,25-トリヒドロキシコレスタ-5,7-ジエン8.19mgを得た(収率92%)。
【0062】
H-NMR(200MHz)δ
0.63(3H,s,H-18)、0.71(3H,d,J=6.4Hz,H-21)、0.94(3H,s,H-19)、1.23(6H,s,H-26,H-27)、3.77(1H,m,H-1)、4.06(1H,m,H-3)、5.38および5.72(各1H,m,H-6,H-7)
【0063】
IR(neat)cm-1
3380、2950、2930、2860、1460、1380、1150、1055
【0064】
MS m/z
444(13)、426(21)、408(15)、393(10)、295(15)、251(13)、227(26)、171(27)、157(31)、69(88)、59(97)、55(91)
【0065】
UV(エタノール)λmax :271、282、294nm
【0066】
実施例7
(20S,22R)-22-エチル-1α,3β,25-トリヒドロキシコレスタ-5,7-ジエン28.7mg(0.0645mmol)のエタノール(99.5%)200ml溶液を攪拌下でアルゴンガスをバブリングしながら、0℃で400W高圧水銀灯を用い、バイコール透過光にて3分間光照射を行なった後、1.5時間加熱還流した。反応液を濃縮後、得られた残渣を分取用薄層クロマトグラフィで精製し、原料の(20S,22R)-22-エチル-1α,3β,25-トリヒドロキシコレスタ-5,7-ジエンと生成物の(20S,22R)-22-エチル-1α,3β,25-トリヒドロキシ-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエンの混合物13.8mgを得た。
【0067】
得られた混合物をアセチル化(無水酢酸8.2μl、ピリジン11.7μl、塩化メチレン1ml、室温、1.5時間、分取用薄層クロマトグラフィで精製)、脱アセチル化(1N-ナトリウムメトキシド0.05ml、メタノール0.5ml、THF0.5ml、0℃、2時間、分取用薄層クロマトグラフィで精製)を経て精製し、下記の物性を有する(20S,22R)-22-エチル-1α,3β,25-トリヒドロキシ-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン、即ち(20S,22R)-22-エチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD(化合物I-A)2.02mgを得た。
【0068】
H-NMR(200MHz)δ
0.54(3H,s,H-18)、0.70(3H,d,J=6.3Hz,H-21)、1.22(6H,s,H-26,H-27)、4.23(1H,m,H-1)、4.43(1H,m,H-3)、5.00および5.33(各1H,m,H-19)、6.02および6.38(各1H,d,J=11.2Hz,H-7,H-6)
【0069】
IR(neat)cm-1
3400、2950、2860、1460、1380、1210、1160、1055
【0070】
MS m/z
444(3)、426(6)、408(5)、393(3)、313(3)、302(1)、152(26)、134(100)、105(29)
【0071】
UV(エタノール)λmax :264nm、λmin :227nm
【0072】
実施例8
アルゴンガス雰囲気下、臭化第一銅・ジメチルスルフィド錯体1.399g(13.605mmol)のTHF10ml懸濁液に、1.60Mのブチルリチウム/ヘキサン溶液8.50ml(13.605mmol)を-35~-30℃で滴下し、同温度にて0.5時間撹拌した。反応液を-78℃に冷却し、トリメチルシリルクロリド1.079ml(8.503mmol)、ヘキサメチルリン酸トリアミド1.479ml(8.503mmol)および(22Z)-(20S)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-25-メトキシメトキシコレスタ-5,7,22-トリエン-24-オン500mg(0.8503mmol)のTHF5ml溶液をこの順にそれぞれ滴下し、-78℃で40分間撹拌した。これにトリエチルアミン15ml、酢酸エチル100mlおよび水150mlを加え、室温に戻した後、セライト濾過し、水層を酢酸エチル100mlで3回抽出し、合わせた有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。
【0073】
得られた残渣をカラムクロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する(23Z)-(20S,22S)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-ブチル-25-(メトキシメトキシ)-24-トリメチルシリルオキシコレスタ-5,7,23-トリエン496.8mgを得た(収率73%)。
【0074】
H-NMR(200MHz)δ
0.19(9H,s,Si(CH)、0.60(3H,s,H-18)、0.80(d,3H,H-21)、1.01(3H,s,H-19)、1.35および1.36(各3H,s,H-26,H-27)、3.26(3H,s,メトキシメチル基CH)、3.78および3.81(各3H,s,メトキシカルボニル基CH)、4.65(2H,m,H-1,H-3)、5.38および5.67(各1H,m,H-6,H-7)
【0075】
実施例9
アルゴンガス雰囲気下、(23Z)-(20S,22S)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-ブチル-25-(メトキシメトキシ)-24-トリメチルシリルオキシコレスタ-5,7,23-トリエン436mg(0.6064mmol)のTHF5.45ml溶液に、-43~-40℃で1M-テトラブチルアンモニウムフルオリドTHF溶液0.709ml(0.709mmol)を加え、同温度で15分間撹拌した後、酢酸エチルで希釈して有機層を5%-塩化アンモニウム水溶液、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。
【0076】
減圧下に濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-ブチル-25-(メトキシメトキシ)-24-オキソコレスタ-5,7-ジエン270.3mgを得た(収率68.9%)。
【0077】
H-NMR(200MHz)δ
0.69(3H,s,H-18)、0.73(3H,d,J=6.1Hz,H-21)、0.90(3H,t,J=6.7Hz,ブチル基CH)、1.01(3H,s,H-19)、1.34および1.37(各3H,s,H-26,H-27)、3.40(3H,s,メトキシメチル基CHO)、3.78および3.80(各3H,s,メトキシカルボニル基CHO)、4.78-4.97(2H,m,H-1,H-3)、5.37および5.68(各1H,m,H-6,H-7)
【0078】
実施例10
アルゴンガス雰囲気下、(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-ブチル-25-(メトキシメトキシ)-24-オキソコレスタ-5,7-ジエン268.2mg(0.4146mmol)の塩化メチレン1.34ml溶液に、メタノール1.34mlおよび水素化ホウ素ナトリウム41.1mg(1.806mmol)を添加し、室温で2時間攪拌した。これに水素化ホウ素ナトリウム8.22mgを加え、室温でさらに2時間攪拌した。反応液を塩化メチレンで希釈後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。
【0079】
減圧下に濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-ブチル-24-ヒドロキシ-25-(メトキシメトキシ)コレスタ-5,7-ジエン233.7mgを得た(収率86.8%)。
【0080】
H-NMR(200MHz)δ
0.66(3H,s,H-18)、0.69および0.78(3H,d,J=6.7Hz,H-21)、0.91(3H,t,J=6.7Hz,ブチル基CH)、1.00および1.01(3H,s、H-19)、3.78および3.80(各3H,s,メトキシカルボニル基CH)、4.68-4.98(4H,m,H-1,H-3,OCHO)、5.38および5.68(各1H,m,H-6,H-7)
【0081】
実施例11
アルゴンガス雰囲気下、(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-ブチル-24-ヒドロキシ-25-(メトキシメトキシ)コレスタ-5,7-ジエン171.7mg(0.2646mmol)およびイミダゾール3.60mg(0.0529mmol)のTHF1.4ml溶液に水素化ナトリウム63.5mg(油性、60重量%品、1.588mmol)を添加し、室温で20分間攪拌した後、二硫化炭素128μl(2.117mmol)を加え、室温で0.5時間攪拌した。この溶液にヨウ化メチル83μl(1.323mmol)を加え、室温で2時間攪拌した後、反応溶液を酢酸エチルで希釈して水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。
【0082】
減圧下に濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-ブチル-24-[(メチルチオ)チオカルボニルオキシ]-25-(メトキシメトキシ)コレスタ-5,7-ジエン29.6mgを得た(収率15.1%)。
【0083】
H-NMR(200MHz)δ
0.55および0.60(3H,s,H-18)、0.75(3H,d,J=6.8Hz,H-21)、0.92(3H,t,J=6.4Hz,ブチル基のCH)、1.00および1.01(3H,s,H-19)、1.27(6H,s,H-26,H-27)、2.54および2.55(3H,s,SCH)、3.37(3H,s,メトキシメチル基CH)、3.78および3.80(各3H,s,メトキシカルボニル基CH)、4.69-4.94(4H,m,H-1,H-3,OCHO)、5.36および5.68(各1H,m,H-6,H-7)、5.92(1H,d,J=9.95Hz,H-24)
【0084】
実施例12
アルゴンガス雰囲気下、(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-ブチル-24-[(メチルチオ)チオカルボニルオキシ]-25-(メトキシメトキシ)コレスタ-5,7-ジエン34.7mg(0.04695mmol)、水素化トリブチル錫76.9μl(0.2934mmol)およびアゾビスイソブチロニトリル4.0mg(0.0245mmol)のトルエン0.62ml溶液を25分間加熱還流後、室温に戻し、減圧下溶媒を除去した。
【0085】
得られた残渣をカラムクロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-ブチル-25-(メトキシメトキシ)コレスタ-5,7-ジエン13.0mgを得た(収率43.7%)。
【0086】
H-NMR(200MHz)δ
0.61(3H,s,H-18)、0.70(3H,d,J=6.7Hz,H-21)、0.91(3H,t,J=6.7Hz,ブチル基CH)、1.01(3H,s,H-19)、1.22(6H,s,H-26,H-27)、3.37(3H,s,メトキシメチル基のOCH)、3.78および3.80(各3H,s,メトキシカルボニル基のCH)、4.71(2H,s,メトキシメチル基のOCHO)、4.83(1H,m,H-1)、4.90(1H,m,H-3)、5.38および5.69(各1H,m,H-6,H-7)
【0087】
実施例13
(20S,22R)-1α,3β-ビス(メトキシカルボニルオキシ)-22-ブチル-25-(メトキシメトキシ)コレスタ-5,7-ジエン13.0mg(0.0205mmol)をクロロホルム1.39mlに溶解させ、p-トルエンスルホン酸一水塩13.0mg(0.068mmol)のエタノール1.39ml溶液を加え、1時間加熱還流した。室温まで冷却した後、5%水酸化カリウム/エタノール溶液1.39mlを加え、1時間加熱還流した。室温に戻した後、反応液を酢酸エチルにて希釈し、5%塩化アンモニウム水溶液20ml、水20mlにて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。
【0088】
減圧下に溶媒を除去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィで精製することにより、下記の物性を有する(20S,22R)-22-ブチル-1α,3β,25-トリヒドロキシコレスタ-5,7-ジエン7.2mgを得た(収率74%)。
【0089】
H-NMR(200MHz)δ
0.63(3H,s,H-18)、0.71(3H,d,J=6.1Hz,H-21)、0.90(3H,t,J=7.0Hz,ブチル基CH)、0.95(3H,s,H-19)、1.22(6H,s,H-26,H-27)、3.78(1H,m,H-1)、4.07(1H,m,H-3)、5.39および5.75(各1H,m,H-6,H-7)
【0090】
実施例14
(20S,22R)-22-ブチル-1α,3β,25-トリヒドロキシコレスタ-5,7-ジエン11.5mgをエタノール(99.5%)24mlに溶解した後、ベンゼン180mlを加え、0℃で15分間窒素を吹き込んだ。溶液をバブリングしながら0℃で400W高圧水銀灯を用い、パイレックス透過光にて15分間光照射を行なった後、1時間加熱還流した。
【0091】
反応液を濃縮後、得られた残渣をHPLC((株)ワイエムシイ製、商品名:YMC-Pack ODS-A、メタノール/水(容量比)=80/20)で精製し、下記の物性を有する(20S,22R)-22-ブチル-1α,3β,25-トリヒドロキシ-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン、即ち(20S,22R)-22-ブチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD(化合物I-B)1.17mgを得た。
【0092】
H-NMR(200MHz)δ
0.57(3H,s,H-18)、0.73(3H,d,J=6.9Hz,H-21)、1.17(6H,s,H-26,H-27)、4.12(1H,m,H-1)、4.35(1H,m,H-3)、4.90および5.29(各1H,m,H-19)、6.08および6.32(各1H,d,J=10.9Hz,H-7,H-6)
UV(エタノール)λmax:264nm、λmin:227nm
【0093】
試験例1〔ウシ胸腺1α,25-ジヒドロキシビタミンD受容体との結合性試験〕
(20S,22R)-22-エチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD(化合物I-A)および(20S,22R)-22-メチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD(比較化合物)のウシ胸腺1α,25-ジヒドロキシビタミンD受容体との結合能を測定した。
【0094】
即ち、化合物I-Aおよび比較化合物の段階的希釈溶液(1、2、4、8、16、32、63、125、250、500、5000pg/50μlエタノール溶液)の各々に、ウシ胸腺1α,25-ジヒドロキシビタミンD受容体((株)ヤマサ製)溶液(500μlリン酸緩衝液)を添加し、撹拌したのち、室温で1時間プレインキュベイションした。各々にトリチウムラベルした1α,25-ジヒドロキシビタミンD(4.85TBq/mmol)12570dpm/50μlエタノール溶液を加え、撹拌し、4℃で一夜放置した後、DCC(デキストランコーテッドチャコール)懸濁液((株)ヤマサ製)を加え、攪拌し、1α,25-ジヒドロキシビタミンD受容体と結合していない試料(遊離型)を吸着させた。
【0095】
反応混合物を遠心分離(3000rpm)することにより、DCCを分離し、1α,25-ジヒドロキシビタミンD受容体と結合している試料(結合型)を遊離型から分離(BF分離)した。上清500μlを採り、シンチレーションカウンターにて放射活性を測定し、1α,25-ジヒドロキシビタミンD受容体に結合しているトリチウムラベルした1α,25-ジヒドロキシビタミンDの割合を求めて、トリチウムラベルした1α,25-ジヒドロキシビタミンDの50%が1α,25-ジヒドロキシビタミンD受容体と結合する時の被験化合物の濃度(ED50値)を求めた。
【0096】
対照化合物として、1α,25-ジヒドロキシビタミンDを用いて同様の試験を行ない、該化合物のED50値を求め、これを1とした時の被験化合物の結合活性の相対活性を求めた。その結果を表1に示す。
【0097】
【表1】
JP0003579209B2_000006t.gif【0098】
なお、表1~4中、対照化合物、比較化合物、化合物I-Aおよび化合物I-Bは、以下の化合物を示す。
対照化合物:1α,25-ジヒドロキシビタミンD
比較化合物:(20S,22R)-22-メチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD
化合物I-A:(20S,22R)-22-エチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD
化合物I-B:(20S,22R)-22-ブチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD
【0099】
試験例2〔ヒト骨髄性白血病細胞の分化誘導試験〕
イーグルの修飾培地(Eagle’s modified medium)で培養したヒト骨髄性白血病細胞を培養皿に培養皿あたり2×10個加えた。次に2つの被験化合物(20S,22R)-22-エチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD(化合物I-A)および(20S,22R)-22-ブチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD(化合物I-B)をエタノール(50μl)に溶解させて得られた段階的希釈溶液を加えた。
【0100】
被験化合物のインキュベーション濃度は、いずれも10-7M、10-8M、10-9M、10-10 Mおよび10-11 Mの5段階である。
【0101】
4日間インキュベーションした後、スーパーオキシド産生をニトロブルーテトラゾリウム(NBT)還元によって測定した。すなわち、ブルーホルマザンが細胞内に沈着して青染された細胞をそれぞれの濃度で2回、200個以上の細胞をカウントして測定した。青染した細胞の全細胞数に対する割合から分化誘導の割合を求め、50%の細胞が分化する時の被験化合物の濃度(ED50値)を求めた。
【0102】
対照化合物として、1α,25-ジヒドロキシビタミンDを用いて同様の試験を行ない、該化合物のED50値を求め、これを1とした時の被験化合物の分化誘導活性の相対活性を求めた。その結果を表2に示す。
【0103】
【表2】
JP0003579209B2_000007t.gif【0104】
試験例3〔マウスにおける血中カルシウム上昇作用〕
8週齢雄性ddYマウス(SLC)に、(20S,22R)-22-ブチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD(化合物I-B)、(20S,22R)-22-メチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD(比較化合物)または1α,25-ジヒドロキシビタミンD(対照化合物)を静脈内投与し、投与24時間後に眼窩採血(50μl)を行ない、血中イオン化カルシウム値をイオン化カルシウム測定装置により測定した。得られた被験化合物投与群の各投与量毎の血中カルシウムイオン濃度を基に、それぞれの非投与群の血中カルシウムイオン濃度からの上昇率を求めた。その結果を表3に示す。
【0105】
【表3】
JP0003579209B2_000008t.gif【0106】
試験例4〔ラットにおける血中カルシウム上昇作用〕
ビタミンD欠乏症ラットを、カルシウム0.47重量%およびリン0.3重量%を含有したビタミンD欠乏食で1週間、次いでカルシウム量を0.02重量%に減少させたビタミンD欠乏食で2週間飼育することによってつくった。
【0107】
本法によって得られたビタミンD欠乏症ラットの血清中の25-ヒドロキシビタミンDと1α,25-ジヒドロキシビタミンDは、検出限界以下である。
【0108】
次に、これらのラットに表4に示す量の1α,25-ジヒドロキシビタミンD(対照化合物)、(20S,22R)-22-メチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD(比較化合物)または(20S,22R)-22-エチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD(化合物I-A)のプロピレングリコール:エタノール(95:5)0.1ml溶液を7日間腹腔内注射により投与した。最終投与から24時間後に血清を取り出し、血清カルシウム濃度をCalcette自動カルシウム滴定装置を用いて測定した。ブランク実験も同様に行なった。非投与群の血中カルシウム濃度からの投与群の血中カルシウム濃度の上昇率を求めた。その結果を表4に示す。
【0109】
【表4】
JP0003579209B2_000009t.gif【0110】
表1~4に示された結果から、以下のことがわかる。
【0111】
(20S,22R)-22-エチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD(化合物I-A)は、表1に示された結果からウシ胸腺1α,25-ジヒドロキシビタミンD受容体と高い結合活性を有することがわかり、また、表2に示された結果からヒト骨髄性白血病細胞の分化誘導能が1α,25-ジヒドロキシビタミンD(対照化合物)の38倍程度と極めて強いことがわかる。さらに、表4に示された結果から、化合物I-Aは、ビタミンD誘導体の副作用の指標の1つとなる血中カルシウム濃度上昇作用が対照化合物および比較化合物よりも弱いことがわかる。
【0112】
(20S,22R)-22-ブチル-1α,25-ジヒドロキシビタミンD(化合物I-B)についても、表3に示された結果から1α,25-ジヒドロキシビタミンD(対照化合物)および比較化合物と比較して、血中カルシウム上昇作用が弱いことがわかる。また、表2に示されるように、化合物I-Bの分化誘導能は対照化合物の2倍程度と強い。
【0113】
以上の結果から、本発明の20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体(I)は、副作用の少ない治療薬として有用であることがわかる。
【0114】
【発明の効果】
本発明の式(I)で表わされる20-エピ-22(R)-低級アルキルビタミンD誘導体は、高いビタミンD受容体結合活性を有し、安全性に優れたものであるので、副甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、骨軟化症、骨粗鬆症などのカルシウム代謝の欠陥症、乾癬などの皮膚疾患および骨髄性白血病、乳ガンに代表される悪性腫瘍などの細胞分化機能に異常をきたした疾患の治療に有用なカルシウム代謝改善剤として好適に使用しうるものである。