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明細書 :空洞充填材

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3492501号 (P3492501)
公開番号 特開平10-237446 (P1998-237446A)
登録日 平成15年11月14日(2003.11.14)
発行日 平成16年2月3日(2004.2.3)
公開日 平成10年9月8日(1998.9.8)
発明の名称または考案の名称 空洞充填材
国際特許分類 C09K 17/44      
C04B 24/26      
C04B 28/02      
C09K 17/48      
E21D 11/00      
C04B111:70      
C09K103:00      
FI C09K 17/44 P
C04B 24/26
C04B 28/02
C09K 17/48
E21D 11/00
C04B 111:70
C09K 103:00
請求項の数または発明の数 3
全頁数 10
出願番号 特願平09-247285 (P1997-247285)
出願日 平成9年9月11日(1997.9.11)
優先権出願番号 1996344258
優先日 平成8年12月24日(1996.12.24)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成13年2月7日(2001.2.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
【識別番号】000115500
【氏名又は名称】ラサ工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】太田 勲
【氏名】岸本 雅雄
【氏名】空西 正夫
【氏名】小田中 博
【氏名】増田 善彦
【氏名】角永 憲資
【氏名】河野 重行
【氏名】木内 勉
【氏名】橘 大介
【氏名】堀内 澄夫
【氏名】名倉 健二
【氏名】宮瀬 文裕
【氏名】野口 恒久
個別代理人の代理人 【識別番号】100097423、【弁理士】、【氏名又は名称】柳田 良徳 (外2名)
【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
審査官 【審査官】藤原 浩子
参考文献・文献 特開 平7-206503(JP,A)
特開 昭62-265395(JP,A)
特開 平8-121086(JP,A)
特開 平8-157823(JP,A)
特開 平8-104868(JP,A)
特開 昭54-99127(JP,A)
特開 平10-238289(JP,A)
調査した分野 C09K 17/44
C04B 24/26
C04B 28/02
C09K 17/48
E21D 11/00
特許請求の範囲 【請求項1】
地山の空洞や間隙等の充填材として用いる空洞充填材であって、少なくとも吸水性樹脂、ベントナイト、セメント及び水を含む組成物からなり、この組成物の水への流出率が40%以下であり、かつこの組成物のフロー値が140~210の範囲内であり、
この組成物中のセメントの水に対する重量比が1/10~6/10の範囲内であり、かつこの組成物の、下記式
吸液指数=(吸水性樹脂配合量(g)×吸水性樹脂の吸液倍率+ベントナイト配合量(g)×ベントナイトの吸液倍率)/水の配合量(g)で規定される吸液指数が1~3の範囲内であることを特徴とする空洞充填材。

【請求項2】
請求項1に記載の空洞充填材において、ベントナイトの水に対する重量比が2/10~8/10の範囲内であることを特徴とする空洞充填材。

【請求項3】
請求項2に記載の空洞充填材において、水を100とするときの重量比で、吸水性樹脂が0.1~5の範囲内であることを特徴とする空洞充填材。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば地山の空洞や間隙などの充填、またトンネルやシールドセグメントの裏込材等として好適な空洞充填材に関するものである。

【0002】

【従来の技術】周知のように、山岳にトンネルを掘削するに際しては、地山を構成する岩盤に孔を掘削していく。このとき、掘削した孔の内周面の、特に天端部に小規模な崩落による空洞が発生しやすい。この空洞は、地山の安定性にとって好ましくないため、空洞充填材を充填して埋める必要がある。このような場合に用いる空洞充填材としては、充填後に空洞の内部で膨張し、空洞を満たす性質が要求され、従来はそのような充填材として、例えば発泡ポリウレタンやエアモルタル等が用いられていた。

【0003】
また、トンネルボーリングマシンやシールド掘削機等を用いて地中にトンネルを掘削する場合、地山に孔を掘削しつつ、その後方にセグメント等を組み立てて覆工することがある。この場合、組み立てたセグメントの外周面と孔の内周面との間隙にいわゆる裏込材を充填している。このような裏込材としては、モルタルやセメントミルク等のセメント系材料が多用されているのは周知の通りである。

【0004】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような従来の充填材や裏込材として用いていた材料には以下のような問題があった。まず、空洞を埋めるための充填材として、発泡ポリウレタンは高価である。一方、エアモルタルは流動性が大きいため、特定の注入箇所に定着させる、いわゆる限定充填が困難である。

【0005】
また、セグメントの裏込材として用いるモルタル等のセメント系材料では、特に掘削にトンネルボーリングマシンを用いた場合、裏込材をセグメントの頂部側に充填しようとしても、トンネルボーリングマシンにはセグメントと周囲地山との隙間を塞ぐテールシールが通常備えられていないので、充填した裏込材がセグメント端部と周囲地山との隙間から流出してしまい、作業が実質的に非常に困難なものとなる。

【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、充填材や裏込材としてトンネル等の天端側にも確実に充填することができる限定充填が可能な空洞充填材を提供することを課題とする。

【0007】

【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、少なくとも吸水性樹脂、ベントナイト、セメント及び水を含む組成物からなり、この組成物の水への流出率が40%以下であり、かつこの組成物のフロー値が140~210の範囲内であり、セメントの水に対する重量比が1/10~6/10の範囲内であり、かつこの組成物の、下記式1
吸液指数=(吸水性樹脂配合量(g)×吸水性樹脂の吸液倍率+ベントナイト配合量(g)×ベントナイトの吸液倍率)/水の配合量(g) …式1
で規定される吸液指数が1~3の範囲内であることを特徴としている。請求項2に係る発明は、請求項1の空洞充填材において、ベントナイトの水に対する重量比が2/10~8/10の範囲内であることを特徴としている。請求項3に係る発明は、請求項2の空洞充填材において、水を100とするときの重量比で、吸水性樹脂が0.1~5の範囲内であることを特徴としている。

【0008】


【0009】


【0010】


【0011】


【0012】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る空洞充填材の実施の形態について詳しく説明する。本発明は請求項1において、少なくとも吸水性樹脂、ベントナイト、セメント及び水を含む組成物からなり、この組成物の水への流出率が40%以下であり、かつこの組成物のフロー値が140~210である空洞充填材を提供する。この空洞充填材は流動性を有し、ポンプ圧送等が可能である。吸水性樹脂は、予め空洞外で十分に吸水膨張させておいてもよいし、予め空洞外である程度吸水膨張させておき、この状態で組成物を空洞に充填し、空洞内で残余の膨張が完了した後にセメントが硬化するように施用してもよい。不完全膨張の状態で空洞に注入すると、空洞内で残余の膨張が起こるので、ポンプ圧送が可能な程度に流動性でありながら、空洞内でも膨張して緻密な充填ができるようになる。これらの施工法を空洞の規模や状況に応じて適宜採用することによって、地山の様々な状態の空洞を充填したり、建物基礎やトンネルの裏込め等を行う際に有利に使用することができる。この空洞充填材は、充填材として発泡ポリウレタンを用いる場合より遥かに安価であり、エアモルタルに比べて流動性が大幅に調節可能であるので、注入箇所に定着させ易く、例えばトンネルの裏込めに際しても定着性がよいので、天端部に空隙を残すことなく緻密に限定充填することができる。また本発明の空洞充填材から形成された固化物は比較的軽量かつ緩衝性を有しているので、空洞周辺の地殻の変化にもある程度対応できると共に、トンネルなどの裏込め等に使用したとき側壁への局部的な衝撃を拡散緩和する効果もある。また吸水性樹脂が空洞内で膨張するような空洞充填材を選択採用すれば、本空洞充填材は空洞に発生している細かい間隙などにも膨張して進入し、空隙を残さない緻密な充填を実現することができる。

【0013】
ここで、組成物の水への流出率は、下記により測定することができる。120mlのPP容器中に混練終了から5分経過した組成物を充填する。次に、この充填容器を、開口を上に向けて1000mlの水中に浸漬し、130rpm で上層の水を攪拌する。5分間攪拌後に容器を取り出し、残存する組成物の重量から、下記の式2により該組成物の水への流出率を求める。
流出率(%)=(水浸漬前の重量-水浸漬後の重量)/水浸漬前の重量×100
…式2


【0014】
請求項1の空洞充填材においては、前記の流出率が40%以下とされる。流出率を40%以下に調整することによって、地下水の存在下で空隙充填を行う際にも水中への流失が防止でき、その結果、湧水の存在するトンネル等の人工構造物と岩盤等との間に発生した空隙の天端部にも、注入時の流失が著しく少なく、地下水や工事現場周辺への環境汚染を起こさず、確実かつ効率的に限定注入することが可能になる。この観点から、流出率は好ましくは30%以下、更に好ましくは10%以下に調整される。

【0015】
流出率を40%以下にするためには、セメント/水を重量比で1/10~6/10の範囲とし、かつベントナイトを加えて前記の式1で規定される吸液指数を1~3の範囲内、更に好ましくは1~2の範囲内となるように調整すればよい。

【0016】
請求項1の空洞充填材においては、更に、組成物のフロー値が140~210の範囲内に調整される。このフロー値は、混練開始から5分経過後の組成物について、JIS R5201に基づき測定した値である。フロー値を140~210の範囲内に調整することによって、可塑性がありポンプ圧送による注入が可能でありながら、しかも注入後のスラリーが打設場所に停留するという、限定注入に適したのもとなる。つまり、重力に抗して盛り上げる充填が容易になり、その結果、トンネル等での人工構造物と岩盤や地盤との間に発生した空隙の天端部にも届くようになり、確実かつ効率的に充填することが可能になる。この観点からフロー値は好ましくは140~180の範囲内に調整される。

【0017】
このフロー値を140~210に調整するためには、セメント/水を重量比で1/10~4/10の範囲内とし、ベントナイトを加えて前記の式1で規定される吸液指数を1~3の範囲内、更に好ましくは1~2の範囲内となるように調整すればよい。

【0018】
フロー値が210を超える場合には組成物の流動性が高すぎるために、特に重力に抗した盛り上げ充填を行うに際して充填物が盛り上がらず、下方に流れ易いために空隙の上部空間に充填物が到達することが困難になる。また、フロー値が140未満の場合には極めて粘凋な組成物となり、高性能ポンプを使用しても充填に長時間を要したり、ポンプで圧送できなかったりして実用的でない。

【0019】
以上のことから、請求項1の空洞充填材においては、上記のように少なくとも吸水性樹脂、ベントナイト、セメント及び水を含む組成物からなり、セメントの水に対する重量比が1/10~6/10の範囲内であり、かつこの組成物の、前記式1で規定される吸液指数が1~3の範囲内とされる。

【0020】
ここで、吸水性樹脂及びベントナイトの吸液倍率は、下記の方法で測定することができる。先ず、脱イオン水80重量部に普通ポルトランドセメント(トクヤマ社製)20重量部を添加し2時間攪拌する。次いで、東洋濾紙社製No.2濾紙で濾過して20%セメント水ろ液を調製する。ティーバッグに吸水性樹脂粉末またはベントナイト約0.1gをとり、前記の20%セメント水ろ液100gに1時間浸漬した後、ティーバッグを引き上げ重量を測定し、次式3に従って算出する。
吸液倍率=(B-C)/A …式3
A:採取した吸水性樹脂粉末またはベントナイトの重量(g)
B:吸水後のティーバッグを含めた全重量(g)
C:空試験におけるティーバッグを含めた重量(g)

【0021】
ベントナイトは本発明の空洞充填材の骨材として用いられるものであるが、骨材としては比較的比重が小さいので、組成物中に均一に混合することが容易であり、また骨材が分離し難いので安定した空洞充填材が得られる。更にベントナイトは、無機塩を含有する水を吸収して膨潤する性質を有するため、水を含む組成物に配合した状態では比重が更に小さく、水の比重に近づくので、組成物中に一層均一に分布し、分離し難くなる。またこれによって、前記のように、空洞充填に好適な140~210の範囲内のフロー値を有する空洞充填材が容易に得られるようになる。従ってベントナイトを含む空洞充填材を充填後に硬化させると、得られた固化物は緻密で均質となり、また前記のようにセメント/水が重量比で1/10~6/10と小さくても、比較的高強度の固化物が得られる。

【0022】
本発明はまた請求項2において、前記求項1で用いたベントナイトの水に対する重量比が2/10~8/10の範囲内である空洞充填材を提供する。ベントナイトの添加量をこの範囲内とすることによって、組成物に適度の粘性と流動性とを付与し、ポンプ注入が可能でありながら重力に抗した盛り上げ充填等を可能にし、また空洞充填材の比重を小さくするのでトンネル天端部空洞等への注入時の覆工等への荷重も小さく施工の安全性をより高くすることができる。

【0023】
更に本発明は請求項3において、請求項2における吸水性樹脂が、水を100とするときの重量比で0.1~5の範囲内とされた空洞充填材を提供する。この割合で各成分を配合するとき、得られた空洞充填材は、各種の空洞の充填に好適なバランスのとれた流動性と、限定充填性と、比重と、硬化後強度とを有するものとなる。

【0024】
この請求項3に記載の空洞充填材を、トンネル等の人工構造物と岩盤等との間に発生した空隙の充填に用いると、目的の箇所に限定的に容易に注入することが可能となる。また、地下水等の湧水下でも、重力に抗した盛り上げ充填等を時間的にも材料的にも高効率に、しかも環境汚染の問題を回避しながら行うことができる。更に、本組成物の比重は、1.1~1.4と比較的小さいので、特にトンネル天端部の空洞等への注入時の覆工等への荷重も小さく、安全に注入を行えるようになる。

【0025】
本発明の空洞充填材は、前記の各成分の他にも、この分野で一般に用いられている添加材、例えば骨材として使用される砂、磔、土、粘土、フライアッシュ、パーライト、バーミュキュライト等や炭酸カルシウム、微粉末シリカ、アルミナなどの無機粉末、或いは木粉、パルプ、吸水性繊維、ガラス繊維などの無機あるいは有機の繊維質物質やカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の天然あるいは合成増粘剤、および/または水溶性有機溶剤を含有していてもよい。

【0026】
以下、本発明の各構成要素ついて詳しく説明する。本発明に用いられる吸水性樹脂は、親水性ポリマーの架橋構造体であり、自重の10~1000倍の水を吸収し膨潤する性質を持つものである。通常は、架橋剤の存在下に水溶性のエチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるものと、水溶性のエチレン性不飽和モノマーを重合し水溶性ポリマーとしたものを架橋処理して得られるものとがある。

【0027】
前記吸水性樹脂の例としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸またはポリ(メタ)アクリル酸塩架橋体、スルホン酸基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリアルキレン鎖を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミド架橋体、ポリジオキソラン架橋体、架橋ポリエチレンオキシド、架橋ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン架橋体、架橋ポリビニルピリジン、デンプン-ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合体のケン化物、デンプン-ポリ(メタ)アクリル酸(およびその塩)グラフト架橋共重合体、ポリビニルアルコールと無水マレイン酸(塩)の反応物、架橋ポリイソブチレン-マレイン酸塩共重合体、ポリビニルアルコールスルホン酸塩、ポリビニルアルコール-アクリル酸グラフト共重合物等の吸水性ポリマー等を挙げることができる。

【0028】
前記において、水溶性のエチレン性不飽和モノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、及びそれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩;N,N’-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその4級化物、(メタ)アクリルアミド、N,N’ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ-ト、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコ-ル(メタ)アクリレ-ト等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。

【0029】
セメントを含む組成物中で特に高い吸液膨潤性を付与するためには、前記のモノマー、特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、又はそれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩に、重合により耐塩性の吸液性ポリマーを与えるモノマー(耐塩性モノマー)を共重合させることが好ましい。

【0030】
前記の、吸水性樹脂に耐塩性を付与するために用いられるモノマー(耐塩性モノマー)の好ましい例としては、例えば2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、それらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の、スルホン酸基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマー;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジメチル(メタ)アクリルアミド等の、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートやメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートやヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;N-ビニルピロリドンやN-ビニルサクシンイミド等の、N-ビニルモノマー;N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド等の、N-ビニルアミドモノマー;及びビニルメチルエーテル等が挙げられる。

【0031】
前記耐塩性モノマーの特に好適な例としては、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N-ビニルアセトアミド、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、及びそれらのアルカリ金属塩から選ばれる1種または2種以上を挙げることができる。

【0032】
架橋の方法としては、架橋性モノマーを親水性モノマー等と同時に重合架橋する方法と、親水性ポリマーを重合により得た後に反応性を有する架橋剤で架橋する方法とがある。このような架橋剤としては、共重合可能な多官能性の水溶性飽和モノマーやモノマーの官能基と反応することのできるものを用いることができる。架橋剤は、上記モノマー中に予め加えておいてもよく、重合後に添加してもよい。

【0033】
好適な吸水性樹脂を得るための架橋剤の例としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、N,N-メチレンビスアクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン等の、1分子中にエチレン系不飽和基を2個以上有する化合物;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の、1分子中にエチレン系不飽和基を1個と他の反応性官能基とを有する化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ペンタエリスリトール、ソルビット、グルコース、マンニット、マンニタン、ショ糖、ブドウ糖等の、多価アルコール;エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の、ポリエポキシ化合物;及びアルキレンカーボネート等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。

【0034】
共重合のために特に好ましい架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、N,N-メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。

【0035】
前記架橋剤の使用量は、上記モノマーの種類や重合条件により適宜選択することができる。一般的には、全単量体1モルに対して0.0005~0.02モルの範囲内で用いることが好ましい。使用量が0.0005モル量未満の少ない架橋剤量では、重合中あるいは重合完結後の含水ゲルの安定性が悪くなる傾向がある。また乾燥後の製品中の可溶分量が増加する傾向がある。0.02モル量より多い架橋剤量では吸水倍率が低下する傾向がある。

【0036】
吸水性樹脂を重合(共重合)により製造するに際しては重合開始剤を用いることが好ましい。この重合開始剤としては特に制限はなく、広い範囲の開始剤が用いられる。例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素、2-2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリン酸等の水溶性アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸等の有機過酸化物系;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等の油溶性アゾ化合物等を挙げることができる。また、これらの重合開始剤の分解を促進する目的で還元剤を併用することもできる。このような還元剤の例としては、(重)亜硫酸(塩)、L-アスコルビン酸(塩)、還元性金属(塩)、アミン類等を挙げることができる。

【0037】
吸水性樹脂を重合(共重合)により製造する際の重合溶媒には特に制限がなく、通常水性媒体および有機溶媒が使用される。水性媒体とは、水あるいは水と水に溶解可能な無機または有機溶媒との混合溶媒を意味する。水に溶解可能な有機溶媒の例として炭素数1~4のアルコール、低級ケトン系溶媒などを挙げることができる。また有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等を挙げることができる。

【0038】
重合時の温度は、用いる開始剤の種類により異なるが、比較的低温の方が架橋重合体の分子量が大きくなり好ましい。しかし、重合が完結するためには20℃~100℃の範囲であることが好ましい。

【0039】
重合系の単量体濃度は、特に制限はないが、重合反応の制御のし易さと収率・経済性を考慮すれば、20~80重量%、特に30~60重量%の範囲内とすることが好ましい。重合形態としては種々の形態が採用できるが、逆相懸濁重合、水溶液注型重合、双腕型ニーダーの剪断力によりゲル状含水重合体を細分化しながら重合する方法(特開昭57-34101号)等がある。

【0040】
本発明の空洞充填材に用いることができる吸水性樹脂の好ましい市販品としては、例えば、商品名「アクアリックCA」、「アクアリックCS」(いずれも(株)日本触媒製)等を挙げることができる。アクアリックCSは、耐塩性が優れているので、特に好ましい吸水性樹脂である。

【0041】
本発明に用いられるセメントは、一般的にはポルトランドセメントであるが、その他のセメント、例えば白色セメント、アルミナセメント、高炉セメント等も単独で、又は他のセメントと混合して用いることができる。通常、セメントと共に用いられる混和剤についても、公知の混和剤を適宜用いることができる。

【0042】
本発明に用いられるベントナイトは、シリカとアルミナとを主成分とするモンモリロナイトを主とした粘土であり、その平均粒子径が10~100μm、好ましくは30~50μmの微粉末であり、吸水性および膨潤性に富んでいる。ベントナイトは産地や粒径等により物性や膨潤力が異なるため、これらを考慮して選択されるべきである。好ましいベントナイトの例としては、例えば米国ワイオミング州産(吸液倍率は7.5g/g)、栃木産(4.6g/g)等を挙げることができる。

【0043】
次に、本発明の空洞充填材を用いる空洞充填の施工例を示す。なお、以下の説明において、水やベントナイトを含まない空洞充填材F1,F2,Bよる施工例は参考例である。
(施工例1)
図1及び図2に示す施工例は、山岳等にトンネルを掘削するため各種工法で地山に孔1を掘削するに際して、岩盤(地山)Gの崩落によって孔1の天端部に空洞Aが発生した場合に、本発明の空洞充填材を用いてこの空洞Aを充填する例である。

【0044】
図1に示すように、先ずリング状の支保工2を、孔1の進行方向に所定間隔を隔てて複数設置する。各支保工2は、孔1の内径よりも所定寸法だけ小径とされており、例えば、所定の曲率に湾曲形成されたH型鋼材を複数本接続することによってリング状に形成されている。次いで、矢板3を、前記設置した支保工2,2,…上と、孔1の天端部との間に挿入して設置し、空洞Aの下方全体を覆うようにする。この矢板3には、例えば鋼製のキーストンプレートが用いられる。

【0045】
この空洞Aに空洞充填材F1を充填する。用いる空洞充填材F1は、例えばセメントと混和剤と耐塩性の吸水性樹脂とを粉末状態で混合した粉体組成物であってもよい。この場合はこの粉体組成物を矢板3の上に載置する。矢板3の外側から空洞A内にホースを挿入して水をこの空洞A内に注入するか、又は空洞A内に滲み出す自然湧水が載置された空洞充填材F1を浸潤すると、空洞充填材F1は、これに配合されている吸水性樹脂が水を吸収することによって体積が急速に膨張し、空洞Aに広がる。この状態で、時間の経過と共に空洞充填材F1中に配合されたセメントが硬化することにより強度が発現し、空洞Aが固化物で充填される。

【0046】
前記の空洞充填材F1はまた、例えば、セメントと混和剤とを所定の配合比で混合し、これに耐塩性の吸水性樹脂を水溶性有機溶剤(プロピレングリコール等)と混合した液状物を加え、流動性にした組成物であってもよい。空洞充填材F1が流動性とされている場合は、図2に示すように、三叉パイプ6を用い、第一の枝管は空洞充填材F1を圧送するホース5Aに接続し、第二の枝管は水を送給するホース5Bに接続し、開放された第三の枝管の先端部6bを注入ノズルとして、矢板3の外側の凹凸によって形成された隙間から前記の空洞Aに挿入する。この状態で、ホース5Aから空洞充填材F1を圧送し、ホース5Bからは水を送給する。すると、三叉パイプ6の合流部6aにおいて空洞充填材F1と水とが混合され、形成された混合物が先端部6bから空洞A内に注入される。

【0047】
空洞A内に注入された空洞充填材F1は、これに配合されている吸水性樹脂が水を吸収することによって体積が急速に膨張し、空洞Aを満たす。この状態で、時間の経過と共に空洞充填材F1中に配合されたセメントが硬化することにより強度が発現し、空洞Aの固化物による充填が完了する。

【0048】
(施工例2)次に、他の施工例を図3に示す。ここでは先ず、前記の施工例1と同様に支保工2と矢板3とを設置する。次いで、矢板3の外側から空洞A内に挿入した第一のホース7で、流動性の空洞充填材F1を空洞A内に注入する。続いて、矢板3の外側から空洞A内に挿入した第二のホース8で水を空洞A内に注入する。このホース8は、その周面に多数の孔8aが形成されており、これによって、水はこれらの孔8aから空洞A内に既に注入されている空洞充填材F1に散布されることになる。

【0049】
この後は、前記施工例1と同様、空洞充填材F1は、散布された水を吸水性樹脂が吸収することにより急速に膨張して空洞Aを満たし、セメントの硬化により強度が発現し、空洞Aの固化物による充填が完了する。

【0050】
(施工例3)次に、更に他の施工例を図4に示す。これは空洞A’の規模が小さく、かつ岩盤Gから地下水が滲み出てくる場合に適用可能な施工例である。この施工例では、まず孔1内に複数の支保工2を設置する。次に、設置した支保工2上に矢板3を設置するが、この矢板3の表面には、空洞A’と対応した位置に空洞充填材F2を塗布しておく。

【0051】
この空洞充填材F2は、例えば、セメントと混和剤とを所定の配合比で混合し、これに耐塩性の吸水性樹脂を少量(例えば吸水性樹脂1gに対して5ml)の水溶性有機溶剤(プロピレングリコール等)と混合した高粘度の流動物を混練したものである。

【0052】
この空洞充填材F2は高粘性であるから、矢板3の表面に塗布され付着した状態を維持している。この矢板3を、支保工2上と孔1の天端部との間に挿入設置した後、放置すると、空洞A’の岩盤Gの表面から滲み出した地下水が、矢板3に塗布された空洞充填材F2上に滴下し、これを浸潤する。このとき空洞充填材F2は、これに配合されている吸水性樹脂が先ず吸水し、膨張して空洞A’を満たし、この後、時間の経過と共に配合されているセメントが吸水し硬化することによって空洞充填材F2自体が硬化し、空洞A’の固化物による充填が完了する。

【0053】
上記の施工法は、空洞A,A’の充填だけでなく、トンネルの覆工材としてセグメントを用いる場合のセグメントの裏込め等にも適用することができる。特に、テールシールを備えないトンネルボーリングマシン等を用いる場合、空洞充填材の水溶性有機溶剤として少量のプロピレングリコール等を用いることによって、空洞充填材の粘度を高めることができ、天端側においてもセグメント端部から空洞充填材が流れ出すこともなく、円滑に充填作業を行うことが可能となる。

【0054】
(施工例4)この施工例は、空洞充填材を空洞に充填した後に、必ずしも水により体積を膨張させる操作を必要としない場合の施工例である。この施工例においては、基本的に吸水性樹脂とセメントと水とが予め混合され、流動性とされた空洞充填材(以下「空洞充填材B」と記す)を用いる。

【0055】
空洞充填材Bの第一の典型例(空洞充填材B1 )は、吸水性樹脂、セメント及び水を必須成分として含む組成物であって、この組成物の水への流出率が40%以下、好ましくは30%以下、最も好ましくは10%以下に調整され、かつフロー値が140~210範囲内に調整されたものである。

【0056】
この空洞充填材B1 は、予め水が配合されているので、1本のホースから空洞に注入するだけでセメントが硬化し、充填が完了する。この空洞充填材B1 は、流出率が40%以下に調整されているので、地下水存在下での空隙充填においても、硬化完了までの期間に水中への流失が防止でき、その結果、湧水の存在するトンネル等の人工構造物と岩盤等との間に空洞が発生した天端部にも、注入時の流失が著しく少なく、地下水や工事現場周辺への環境汚染を起こさず、確実かつ効率的に限定注入することが可能になる。また、フロー値が140~210に調整されているので可塑性がありポンプによる注入が可能であり、しかも注入後には打設場所に留まるので限定注入に適している。すなわち、重力に抗した盛り上げ充填が容易になり、その結果、トンネル等での人工構造物と岩盤や地盤との間に発生した空隙の天端部にも届くようになり、確実かつ効率的に充填を完了することが可能になる。

【0057】
空洞充填材Bの第二の典型例(空洞充填材B2 )は、吸水性樹脂、ベントナイト、セメント及び水を必須成分として含む組成物であって、水を100とするときの重量比で、吸水性樹脂:ベントナイト:セメントが0.1~5:20~80:10~60とされているものである。

【0058】
この空洞充填材B2 も、前記の空洞充填材B1 と同様に、予め水が配合されているので、1本のホースから空洞に注入するだけでセメントが硬化し、充填が完了する。この空洞充填材B2 は、トンネル等の人工構造物と岩盤等との間に発生した空洞の充填に使用することができ、目的の箇所に限定的に容易に注入することが可能となる。また、地下水等の湧水下でも、重力に抗した盛り上げ充填等を、時間的にも材料的にも高効率に、しかも環境汚染を回避しながら行うことができる。更に、本組成物の比重は、1.1~1.4と比較的小さいので、特にトンネル天端部空洞等への注入時の覆工等への荷重も小さく、安全に注入が行えるようになる。

【0059】
前記の空洞充填材Bは、B1 又はB2 の何れであっても、注入以前に吸水性樹脂が飽和状態まで吸水して膨潤が完了していてもよいが、加える水量を調節するか、又は調製から注入までの時間を調節することによって、吸水性樹脂の膨張が未完了の状態で空洞内に注入することもできる。膨張が未完了の状態で注入した場合には、空洞内で更に膨張が進行するので、空洞内の狭い間隙等へも進入が可能となり、更に緻密な充填施工が行えるようになる。いずれにしても空洞充填材Bは、充填後に必ずしも水を供給する必要がないので、充填するためのポンプは一つで充分であり、全体の設備をコンパクトにすることができる。このため短時間での施工や小規模の空洞の充填にも容易に適用することができる。

【0060】

【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例に用いた吸水性樹脂は、下記の方法により調製した。

【0061】
(吸水性樹脂A)500mlの円筒形セパラブルフラスコにアクリル酸ナトリウム0.33モル、アクリルアミド0.78モル、N,N-メチレンビスアクリルアミド0.0011モルおよび水164.9gを仕込み、均一に溶解させた。フラスコ内を窒素置換したのち、湯浴上で25℃に加熱し、20%過硫酸ナトリウム水溶液1.94gおよび1%L-アスコルビン酸水溶液1.94gを添加し、攪拌を停止して重合させた。重合開始後発熱し、40分後に90℃まで昇温した。液温の上昇が停止した時点で浴温を90℃に維持し、40分間熟成を行った。得られた重合物を細分化したのち160℃で3時間乾燥し、粉砕した後ふるい分けし、粉末状の吸水性樹脂Aを得た。この吸水性樹脂Aの、20重量%セメント水に対する吸液倍率(前記式3による)は35g/gであった。

【0062】
(吸水性樹脂B)温度計を備えた容量2.5リットルの卓上型ジャケット付きニーダー(内面は3弗化エチレンでライニング処理)に、メタクリル酸ナトリウム2.64モルを含有する37%メタクリル酸ナトリウム水溶液、メトキシポリエチレングリコール(EO付加モル数9モル)メタクリレート0.15モル、イオン交換水50.0g及び架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート0.0001モルを仕込んだ。これを窒素ガス気流下、攪拌しながらジャケットに40℃の温水を流して内容物を40℃に昇温した後、重合開始剤として10%2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)塩酸塩水溶液11.8g(V-50,0.15モル%)を添加して10秒間攪拌した後、攪拌を停止した。直ちに重合が開始して59分でピーク温度69℃に到達した。次いで、ジャケット温度を80℃に上げて1時間熟成した。熟成終了後、ブレード回転数36rpmで10分間の解砕を行った。得られた微細な含水ゲルを熱風循環式乾燥機で120℃、4時間乾燥した。乾燥後、卓上簡易型粉砕機(協立理工株式会社製)を用いて粉砕し、吸水性樹脂Bの粉末を得た。得られた吸水性樹脂Bの吸液倍率は36g/gであった。

【0063】
(吸水性樹脂C)500mlの円筒形セパラブルフラスコにアクリル酸ナトリウム1.25モル、アクリル酸8.42モルとからなるアクリル酸塩単量体の37%水溶液400g及びN,N-メチレンビスアクリルアミド0.0004モルを仕込み、均一に溶解させた。フラスコ内を窒素置換したのち、湯浴上で25℃に加熱し、20%過硫酸ナトリウム水溶液1.67g及び1%L-アスコルビン酸水溶液1.67gを添加し、攪拌を停止して重合し、ゲル状含水重合物を得た。得られた重合物を細分化したのち、160℃で3時間乾燥し、粉砕した後ふるい分けし、粉末状の吸水性樹脂Cを得た。吸水性樹脂Cの吸液倍率は18g/gであった。

【0064】
実施例に用いたセメントは秩父小野田社製「ジオライト30」及び「ジオライト10」であり、ベントナイトは米国ワイオミング州産及び栃木産であった。前者の吸液倍率は7.5g/gであり、後者は4.6g/gであった。

【0065】
(空洞充填材の調製)前記のそれぞれの吸水性樹脂、セメント、ベントナイト、及び水を表1に示す重量比で配合し、機械練り用混練機(JIS R-5201)を使用して実施例の空洞充填材を調製した。調製に際しては、最初に水を注入し、混練機を始動させ、次いでセメント、ベントナイト、及び吸水性樹脂を投入し、3分間混練し、実施例の空洞充填材を得た。
(比較例の調製)前記実施例と同様にして、ただし吸水性樹脂を添加せずに比較例の空洞充填材を調製した。

【0066】
フロー値は、JIS R5201に基づき測定した。水流出率試験は、120mlのPP容器中に、混練終了から5分経過した混和物を充填し、次にこの充填容器を1000ml中の水に浸漬し、130rpm で上層の水を攪拌し、5分間攪拌後に容器を取り出し、残存する混和物の重量から前記の式2により、水への流出率を求めた。施工試験は、アクリル板で作製した容器(幅400mm、長さ1000mm、高さ350mm)中に水を張り、底部より、表1の各実施例及び比較例で得られた空洞充填材を口径50mmのノズルからポンプで容器中に圧送し、ポンプ圧送性(可能を○、不可を-で示す)及び充填状態を下記のランク付けにより評価した。
◎:容器中の水がほとんど濁らずに凸状に充填できた。
○:容器中の水が少し濁ったが凸状に充填できた。
△:容器中にこてですくって上から投入することにより凸状に充填できた。
×:容器中の水が濁り凸状に充填できなかった。
結果を表1に示す。

【0067】

【表1】
JP0003492501B2_000002t.gif【0068】 表1の結果から、少なくとも吸水性樹脂、ベントナイト、セメント及び水を含み、流出率が40%以下であり、フロー値が140~210の範囲内である実施例1~実施例7の吸水性樹脂は、ポンプ圧送が可能であり、しかも殆ど水に流失することなく水中における限定充填が行えたことがわかる。実施例8,9は、流出率がゼロであり限定充填は可能であるが、フロー値が140未満であったために、ポンプ圧送はできなかった。比較例の空洞充填材は、吸水性樹脂を含まないために流出率が100%で水中での充填はできず、またフロー値も過度に高いため、限定充填も不可能であった。

【0069】

【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る空洞充填材は、少なくとも吸水性樹脂、ベントナイト、セメント及び水を含み、流出率が40%以下、フロー値が140~210、セメントの水に対する重量比が1/10~6/10、かつ吸液指数が1~3の範囲内としたので、別途水を供給しなくても、例えばトンネル掘削時にその天端部に生じた空洞や間隙を確実に埋めることができ、しかも流動性が適度に制限され周囲の水中に流失することもないので水中での限定充填が可能となる。従って、簡易な装置と単純な操作により、空洞や間隙に確実に定着することができ、周囲の地山の安定化を図ることができる。そして、用いる原料はいずれも安価に入手することができるので、従来用いられてきた発泡ウレタン等に比べて、充填効果を低コストで達成することができ、充填材料を大量に使用することの多い建設分野において大きな経済効果を得ることが出来る。請求項2に係る発明はベントナイトの水に対する重量比を2/10~8/10の範囲内とし、さらに請求項3に係る発明は水を100とするときの重量比で吸水性樹脂を0.1~5の範囲内としたので、各種の空洞の充填に好適なバランスのとれた流動性と、限定充填性と、比重と、硬化後強度とを有するものとなり、特にトンネル天端部空隙等に対し有用な盛り上げ限定注入が可能である。なお、これらの成分は、注入前に混合しておくことにより流動性となりポンプ圧送等により簡易に注入でき、目的とする充填を湧水の有無に拘らず確実に効率的に行うことが出来る。また、環境汚染の心配もなく、注入時の覆工等への荷重による危険も少なく安全に注入が行える。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3