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明細書 :無線LAN装置とミニFM送信機による災害時の情報伝達システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4654442号 (P4654442)
公開番号 特開2007-282087 (P2007-282087A)
登録日 平成23年1月7日(2011.1.7)
発行日 平成23年3月23日(2011.3.23)
公開日 平成19年10月25日(2007.10.25)
発明の名称または考案の名称 無線LAN装置とミニFM送信機による災害時の情報伝達システム
国際特許分類 H04H  20/02        (2008.01)
H04H  20/33        (2008.01)
H04H  20/59        (2008.01)
H04H  20/61        (2008.01)
H04B   7/15        (2006.01)
H04W  84/12        (2009.01)
G08B  27/00        (2006.01)
FI H04H 20/02
H04H 20/33
H04H 20/59
H04H 20/61
H04B 7/15 Z
H04L 12/28 300Z
G08B 27/00 C
請求項の数または発明の数 2
全頁数 10
出願番号 特願2006-108490 (P2006-108490)
出願日 平成18年4月11日(2006.4.11)
審査請求日 平成21年1月9日(2009.1.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
発明者または考案者 【氏名】松野 浩嗣
【氏名】浦上 美佐子
【氏名】吉留 文男
審査官 【審査官】川口 貴裕
参考文献・文献 特開2006-014045(JP,A)
特開2004-187249(JP,A)
特開2002-324189(JP,A)
特開2002-243833(JP,A)
小鷲順三,総合防災システムの稼働,完全図解 情報・通信 近未来予想図,株式会社産学者,1997年10月31日,第1版,p.198-201
サン・エンジニアリング 次世代ネットで災害対策,月刊e・コロンブス,東方通信名社,2006年 2月28日,第32巻,p.41
被災者主体の災害情報ネットワークシステムについての提案,情報処理学会第63回(平成13年後期)全国大会 講演論文集(4),2001年 9月26日,p.4-353~4-354
三木哲也,総括-アクセスネットワークはどう変ったか,これからどう変ってゆくか?-,電子情報通信学会誌,2005年 3月 1日,第88巻,第3号,p.142-149
三浦房紀 他,ディジタル防災行政無線を用いた防災情報システムの可能性について,情報処理学会第63回(平成13年後期)全国大会 講演論文集(4),2001年 9月26日,p.4-345~4-346
調査した分野 H04H 20/00 - 20/95
H04H 40/00 - 40/90
H04H 60/00 - 60/98
H04B 7/15
G08B 27/00
H04W 84/12
特許請求の範囲 【請求項1】
情報センターをキー局とし、ここに集約された各種情報を無線LANを用いて複数チャンネルで同時にミニFM局へデジタル送信し、該ミニFM局において分配機により各情報を分離し、それぞれミニFM送信機を用いてそれぞれの周波数の電波で各情報を送信し、これをFM受信機で受信することを特徴とする災害時の情報伝達システム。
【請求項2】
キー局で集約された各種情報を無線LANを用い、一個所又は複数個所の無線LAN中継基地に複数チャンネルで同時にデジタル送信し、該情報を各基地で中継して、それぞれミニFM局に送信する請求項1記載の災害時の情報伝達システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時の情報伝達システムに関し、無線LAN装置とミニFM送信機を使用する、情報伝達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
平時、パソコン又は携帯電話を使うことにより、インターネット配信により、リアルタイムに情報受信が可能である。突発的に発生する災害時には、既存の情報通信網が切断することがあり、過去の阪神淡路大震災や新潟中越地震においても、災害時に携帯電話アンテナ塔の崩壊や防災無線基地局が崩壊して、携帯電話や防災無線が使用不能になる事態が報告されている(非特許文献1及び非特許文献2)。また、これらが崩壊しない場合でも、輻輳等により緊急時に対応できなかったことも報告されている。
【0003】
FM放送は多数の人に直接に情報が伝達されるのでデマに流されることがない。また、情報取得にも特別な知識が不要で、情報弱者にも優しい通信手段となっている。被災後のFM放送の効果は、阪神淡路大震災や新潟中越地震において、コミュニティFMで実証されている(非特許文献3)。しかしながら、コミュニティFMは放送事業者として電波法による免許や総合通信局による開局のための審査が必要であり、また、容易にFM発信が行えるものではない。
【0004】
これに対して、微弱な電波で、電波の届く範囲が100m~500m程度のミニFMは、免許や開局のための審査は不要であるが、電波到達距離が短いため、災害時の情報伝達手段として利用されたという報告はない。
【0005】
災害時における情報伝達手段として、無線LANを利用することが提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、災害ポイントに設置された複数のサーバと、使用者に携帯され、インターネット又は無線LANにより前記サーバと接続可能な端末とを用いた防災ネットワークシステムが提案されている。この方法は、通常時はインターネットにより通常の情報の送受信を行い、災害時には無線LANに切り替えて災害情報の送受信を行なうものである。
【0007】
しかしながら、これらの方法では利用者がパーソナルコンピュータやPDA等を用いるものであり、被災地の情報受信者の中には、機器を使えないお年寄りや子供も多数存在しているため、情報弱者を作ることが強く予測される。

【非特許文献1】朝日新聞2004年10月31日第35面
【非特許文献2】「情報の空白を埋める~災害時における情報通信のあり方報告書」神戸新聞総合出版センター平成8年6月出版
【非特許文献3】復興10年総括検証・提言事業最終報告書「復興推進-情報発信・相談体制」兵庫県出版 http;//web.pref.hyogo.jp/hukkou/saishu/so_honbun7.pdf
【特許文献1】特開2005-242438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、災害時に、無線機や携帯電話が通信不能になった場合に、免許不要で且つ安価に構築可能で、受信者が容易に受信できる、情報伝達システムを、提供するものである。本発明は、またFM受信機、例えばFM付のラジオやラジカセさえあれば、お年寄りや子供でも容易に必要な情報を得ることができる情報システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、無線LANのネットを構築し、該無線LANのネットより送信される無線LAN情報をミニFM局で受信し、これをミニFM送信機で送信し、FM受信機で受信する情報システムである。すなわち、本発明は、ミニFMと無線LANを組み合わせて両者の利点を生かした災害時における情報伝達システムである。
【0010】
本発明の基本的態様は、情報センターをキー局とし、ここに集約された各種情報を無線LANを用いて複数チャンネル(以下これを多チャンネルという)で同時にミニFM局へデジタル送信し、該ミニ局において分配機により各情報を分離し、それぞれミニFM送信機を用いてそれぞれの周波数の電波で各情報を送信(放送)し、これをFM受信機で受信することを特徴とする災害時の情報伝達システムである。

【0011】
本発明の一態様は、災害発生時に情報センターを設置し、これをキー局として、そこに集約された各種情報を無線LANを用いて一個所又は複数個所の無線LAN中継基地に多チャンネルでデジタル送信し、該情報を各基地から、それぞれミニFM局に送信し、該ミニFM局でそれぞれのチャンネル(周波数)ごとの電波で情報をミニFM送信機で送信(放送)し、これをFM受信機で受信する情報伝達システムである。
【0012】
更に、本発明の別の態様は、前記無線中継基地を複数個所中継経由することにより、情報センターとミニFM局とが離間している場合にも対応し得るシステムでもある。
【0013】
本発明においては、情報受給者は、FM用ラジオやラジカセ等FM受信機さえ携帯していれば、ミニFM局から送信される各周波数によるそれぞれの情報のうち、自らが知りたい情報のチャンネルに合わせるだけで容易に必要な情報を得ることができるのである。このため、電子機器の取扱を苦手とするお年寄りや子供などにとっても容易に必要な情報が得られるのである。
【0014】
敍上の如き、本発明のシステムを達成するため、本発明は更にルーターとアンテナからなる無線LAN装置と、ミニFM送信機とからなる情報伝達システムのセットをも提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の情報伝達システムにより、既存の携帯電話や、インターネット配信に障害が生じた場合でも、障害発生後速やかに連絡網が確保できる。そして、本発明の情報伝達システムは、混線しない直接情報の伝達が可能で、被災者がデマに流されることがない。
【0016】
本発明の情報伝達システムは、無線LANを使用するため、複数の情報(安否情報、救援物資情報、多国語情報など)をデジタル化して同時配信できる。このことにより、具体的な情報の内容や情報受信の場所・時間を利用者側が選択して受信することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、無線LANとミニFMを組み合わせて用いるシステムである。以下にそれらについて詳細に説明する。
【0018】
無線LAN
無線LANとは、ケーブルによる配線を使わないLANのことで、物理層レベルで分けて電波を使うもの(電波方式と電波置き換え方式)と赤外線やレーザーを使うものがある。
【0019】
電波方式は、1992年に電波法により2.4GHz帯及び19GHz帯の技術規格が整い、1997年6月にIEEE802.11が統一され、その後、更に転送スピードを11Mbpsに高めた規格が1999年IEEE802.11bとして決まると、有線の10BASE-Tと遜色のないスピードになったことや、価格が安くなったことで普及が進み、市場は拡大を続けている。ISMバンド(2.4GHz帯)と5GHz帯のいずれも電波免許不要な周波数帯の電波を使用し、IEEE802.11/11b/11aでも採用されたMAC層、物理層が無線LAN専用の方式で、2.4GHz帯で最大11Mbps、5GHz帯で最大54Mbps転送スピードのものが主流になっている。無線LANの製品構成には、無線LANアダプター同士の通信(Ad-Hocモード)、無線LANアダプターとアクセスポイントとの通信(Infrastractureモード)、また、ビル間通信ユニットなどがある。
【0020】
電波置き換え方式とは、前記電波方式と同様にISMバンド周波数帯の電波を使用し、1Mbps~2Mbps程度のスピードのものであるが、MAC層、物理層は、10Mイーサネット(登録商標)IEEE802.3を使用しケーブル部分を電波に置き換える方式である。
【0021】
赤外線方式の一般的方法は基幹有線LANの先にメディア変換アダプタ(リピーター)を繋ぎ、光無線HUBと通信する方式である。赤外線方式は赤外線の直射光か反射光が届く範囲でしか使用できないため、設置場所に制約があることと、伝送方式も10m以下という短所があるが、転送スピードが速い(10Mbps~100Mbps)ため条件さえクリアできれば有線LANと同等の通信が可能という長所がある。製品構成は、有線LAN(10BASE-TX)を光に変換するトランシーバー、有線LANとブリッジする光無線HUB、ビル間接続ユニットなどがある。
【0022】
赤外線方式のその他の方式として、現在ノートパソコンに標準装備されている赤外線インターフェース(IrDA)を利用した、IrDA赤外線方式がある。
【0023】
レーザー方式は、有線LAN(10BASE-T/10BASE-TX)等に通信装置を繋ぎ、離れたビルにある基幹有線LAN同士を結ぶものである。電波方式に比べ混信や盗聴の心配が無いなどの長所があるが、値段が高い、遮蔽物には弱いなどの短所がある。

無線LANのメリット
ケーブルが要らないので配線スペースも不要である。パソコンを持ち歩いても通信を可能にする。ビル間通信ユニットを設置するだけで屋外通信を可能にする。

日本の電波利用動向
2.4GHz帯
IEEE802.11の規格では当初2.471~2.497GHzしか利用できず、これに沿ったSTD-33が1993年に策定された。次にIEEE802.11bの規格に合わせ2.400~2.4835GHz、も利用できるようになり、1999年にSTD-T66が追加された。このSTD-T66は、2002年3月の電波法改正で802.11gのOFDM方式が使えるようになり、また屋外での通信に限り、空中線電力の最大出力値も緩和され、長距離での利用が可能になっている。
【0024】
5GHz帯
IEEE802.11aでの3バンドのうち日本では5.15~5.25GHzのみが屋内に限って利用可能であったが、2002年8月電波監理審議会が5GHz帯無線LANの屋外利用を可とする答申を出したことにより、屋外でも5GHz帯(4.9GHz~5.091GHz)無線LANが使えるようになった。しかしながら、5GHzという周波数は2.4GHz帯ではほとんど影響を受けなかった雨や雪の影響を受けることが予想され、実際の屋外利用には注意が必要である。
【0025】
その他のGHz帯
このほかにも19GHz帯の高速(25Mbps)通信が可能なRCR STD-34として標準化されているものや、60GHz帯を使う156Mbps全二重(312Mbps)の無線LAN規格(ARIB STD-T74)などがある。

ミニFM
ミニFMとは、免許や申請が不要な微弱電波を使用した簡易FM放送を指す。ミニFMは、コミュニティFMと違って、免許が不要であり、また、容易にFM発信が行え、開設が容易である。FMラジオが使用している周波数帯での微弱電波の定義は、規定された送信設備のアンテナから3m離れた地点での電界強度が500μV/m以下の状態をいう。この状態は、障害物がない状態で普通のラジカセで放送を受信し、送信アンテナから半径100m~150mの範囲で受信できる状態とほぼ同等といえる。

送信機
FM電波を出す装置は、送信機又はトランスミッタと呼ばれる。

送信周波数
一般的に市販されているラジオは、76.0MHz~90.0MHzまで受信が可能で、ミニFMの送信周波数はこの周波数帯のなかから混線しない空き周波数を探して使われる。

以上説明した装置や方法を任意に組み合わせて用いることができる。
【0026】
次に図1によって本発明を更に詳しく説明する。
【0027】
まず、情報の発生源、一般に自然災害や事故等の災害の現場からの情報は、災害発生に伴い設置される情報センターに集約される。これらの情報はテレビカメラによる現場の状況や、災害に遇った人の安否情報或いは救援活動の状況、救援物資の情報等であり、情報の種類及び集約手段は、特に限定されず、その場の状況に応じて適宜選択して集約される。本発明にあっては、情報センターに集約された情報を如何にして、それぞれ必要とする人に、それぞれが必要とする情報を伝達するかという課題を解決するシステムを提供するものである。
【0028】
図1において情報センターに集約された複数の情報は無線LANの多チャンネルデジタル送信により、同時にミニFM局に送信される。この場合、ミニFM局は一個所であっても、また複数個所であってもよい(図1においては4個所を示す)。また情報センターとミニFM局とは、直接無線LANで交信が行なわれてもよいし、また中継基地を1個所又は複数個所介在させてもよい。これらの中継基地はミニFM局(一般に災害時の避難場所に設置される)と情報センターとの交信環境の良否によって設置の有無、中継基地の位置及び中継基地数は決めればよい。図1にあっては、ミニFM局(1)には情報センターから直接無線LANで情報が配信され、ミニFM局(2)には、2個所の中継基地を介して配信され、ミニFM局(3)及び(4)には1個所の中継基地を介して配信される如くに示されている。
【0029】
ミニFM局に配信された情報は、そこで各周波数ごとに情報が分離され、それぞれミニFM送信機によって放送される。かくして、被災者等情報を受ける者は、FM受信機で自分の知りたいと思う放送のチャンネルに合わせて情報を得ることができる。
【0030】
ミニFMの性質上、ミニFM局の設置は、被災者が集っている避難所ごとに設置するとか或いは家屋が比較的密集している単位ごとに設置することが必要となる。
【0031】
ミニFM局は、極手軽な持ち運びが容易なミニFM送信機とラップトップ型パーソナルコンピュータ程度の電波分配機及びアンテナであり、容易に何処にでも設置することが可能である。また中継基地では、電波の届きやすいビルや山の上など高所に適宜設置すればよく、これもアンテナと増幅機だけでよく、手軽に設置が可能である。
【0032】
図1においては、ミニFM局(1)について、情報センターから送られてくる多チャンネルデジタル情報データを、例えばパーソナルコンピュータ等の分配機により周波数の違いごとの電波に分配し、それぞれの情報ごとにミニFM送信機A及びBにより送信(放送)し、避難者X及びYがこれらを受信するごとくに示されているが、情報の数によっては2通りとは限らず、更に多数のミニFM送信機を用いて、より多くの情報を同時に発信することもできる。またミニFM局(2)、(3)及び(4)についても同様であるので図1にあっては、これらは省略されている。
【0033】
以下に実施例を示す。
【実施例1】
【0034】
図2は実証実験時の情報センター~避難所(受信者)に至る送信経路を示す。また図3は図2における送信経路を地図上に示した図面である。

情報センター~避難所に至る送信経路
山口県笠佐島で津波災害が発生し、被災者が町役場敷地内の避難所「しまとぴあ」に避難することを想定して、無線LANの基地局(無線LANアダプター)を下記の場所に設置した。無線LANアダプターは、ルータ、及び、アンテナから構成される。
(1)大島丸桟橋(情報センター)
(2)大島商船高専・本館屋上(中継基地)
(3)小学校・屋上(中継基地)
(4)町役場・駐車場(ミニFM局)
(5)町役場・避難所「しまとぴあ」(受信者)

情報センター
大島商船高専所有の練習船である前記(1)大島丸(220トン、定員56名)が接岸されている大島丸桟橋を情報集約センターとした。船はもともと水や電気というライフラインに該当するものを常備しており、船自体が移動することが可能であることから災害時においても情報センターとして機能することができる。
【0035】
大島丸は、通常は大島丸桟橋に接岸している。接岸している場合は地上にある情報センターと同等に考えることができる。また、離岸すれば移動しながら情報集約可能な情報センターとなる。実証実験では、大島丸桟橋を情報センターとした。

避難場所
避難場所を町役場敷地内の(5)「しまとぴあ」とし、市販のFM付ラジオカセットレコーダ(ラジカセ)を設置した。ミニFM放送を、周波数を合わせ、このラジカセで受信した。

まず、情報センターである大島丸桟橋(1)に集約された情報を日本語と英語で、無線LANの2チャンネルデジタル放送により、同時にミニFM局に送信した。ここでは、ミニFM局は町役場・駐車場(4)の一個所とした。また、情報センターとミニFM局とは、中継基地として、大島商船・本館屋上(2)、小学校屋上(3)としている。これらの中継基地は、耐震設計を考慮して選定した。
【0036】
図4に実証実験時のネットワーク構成図を示す。無線LANの中継局が増すごとに伝送速度が低下することを考慮して、大島丸桟橋(1)と大島商船・屋上(2)、大島商船・屋上(2)と小学校・屋上(3)と町役場・駐車場(4)の2つのネットワークにサブネット化した。そのため、大島商船・屋上(2)に2つの無線LANの基地局を用意し、HUBでネットワーク同士を接続している。
【0037】
大島丸桟橋(情報センター)の設備は、ルータ(RGW2400、ルート株式会社)、アンテナ(3段コリニアアンテナ、ルート株式会社)、音声入力装置、そして、複数の音声情報を多チャンネルデジタル放送するためのラップトップ型パソコンで構成した。
【0038】
中継基地局の設備は、ルータ(RTB2400、ルート株式会社)とアンテナ(本館屋上の大島丸桟橋とのネットワーク接続用:3段コリニアアンテナ、本館屋上の小学校・屋上とのネットワーク接続用:8段コリニアアンテナ、小学校・屋上:8段コリニアアンテナ)で構成した。
【0039】
役場・駐車場(ミニFM局)の設備は、ルータ(RGW2400、ルート株式会社)、アンテナ(パッチアンテナ、ルート株式会社)、ミニFM局に配信された情報を2つの周波数に分離(ミニFM送信機Aは76.8MHz、ミニFM送信機Bは86MHz)するために、ミニFM送信機(GFM-L9、ワンダーキット社)とアンテナ(EX-107、Maldal社)とラップトップ型パソコンで構成した。これらの設備を用いて、2つの周波数に情報を分離し、ミニFM送信機Aにより被災・安否情報を日本語で、ミニFM送信機Bにより被災・安否情報を英語での2チャネルで放送した。この放送は、70m離れた役場敷地内の避難所「しまとぴあ」(5)において、FM受信機(ラジカセ)で受信者が知りたい情報の放送のチャネルに合わせて情報を得ることができた。音声品質は良好であった。ただし、実証実験では、ミニFM送信機用のアンテナは手軽に持ち運びが出来るように、アマチュア無線用のアンテナを用いているが、FM専用アンテナを設置すれば、さらに高品質で電送距離も伸びる。
【0040】
使用したルータはRGW2400(ルート株式会社)、使用したアンテナは、無指向性アンテナ(3段コリニア、8段コリニア)と指向性アンテナ(パッチ型)である。ルータの電送距離は、最大3km(RGW2400)で、アンテナとの組み合わせにより電送距離が変動する。なお、図2の無線LAN基地局間が1km以下であるのは、情報センター(大島丸桟橋)とミニFM局(役場・駐車場)との交信環境が悪いために中継基地の位置及び中継基地数を決めているためである。
【0041】
この実施例により、避難所内だけではなく、民家が密集しているような集落であれば、集落単位でミニFM放送局を設置し、各家で待機しながら市販のFM用ラジオを用いて多チャンネル放送から情報を得ることができる。
【実施例2】
【0042】
実施例1における中継基地にかえて、大島商船高等専門学校沖の小型船舶(総トン数20トン)内に実施例1の無線LAN中継基地を設置し、大島丸桟橋にある情報センターとの電送確認を行ったところ、音声品質は良好であることを確認した。このように、大島丸桟橋から避難所までの音声品質も良好であったことから、小型船舶を中継基地としても避難所までの音声品質も良好であることが十分期待できる。
【0043】
小型船舶は、漁船レベルものが想定され、海岸付近の浅瀬においても情報収集活動をしながら、情報センターとしての役割を担えるといえるし、中継基地としての役割もはたすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】無線LANとミニFMとの連携を示す図。
【図2】実証実験時の情報センター~避難所(受信者)に至る送信経路を示す図。
【図3】図2における送信経路を地図上に示した図。
【図4】実証実験時のネットワーク構成図を示す図。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3