TOP > 国内特許検索 > 直列電気二重層コンデンサ装置 > 明細書

明細書 :直列電気二重層コンデンサ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4119985号 (P4119985)
公開番号 特開2007-043770 (P2007-043770A)
登録日 平成20年5月9日(2008.5.9)
発行日 平成20年7月16日(2008.7.16)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
発明の名称または考案の名称 直列電気二重層コンデンサ装置
国際特許分類 H02J   7/02        (2006.01)
FI H02J 7/02 H
H02J 7/02 K
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2005-222496 (P2005-222496)
出願日 平成17年8月1日(2005.8.1)
審査請求日 平成19年2月6日(2007.2.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
発明者または考案者 【氏名】阿部 茂
個別代理人の代理人 【識別番号】100100918、【弁理士】、【氏名又は名称】大橋 公治
【識別番号】100108729、【弁理士】、【氏名又は名称】林 紘樹
審査官 【審査官】矢島 伸一
参考文献・文献 特開2003-102132(JP,A)
特開2004-129455(JP,A)
調査した分野 H02J 7/00- 7/12
H02J 7/34- 7/36
特許請求の範囲 【請求項1】
2n(nは1以上の正の整数)個の直列接続された電気二重層コンデンサと、2n個のダイオードと、一次巻線及びn個の二次巻線を有するトランスと、直流電圧から交流電圧を生成して前記トランスの一次巻線に供給する交流電圧発生手段とを備え、前記トランスの二次巻線の各々が、前記電気二重層コンデンサの2個と前記ダイオードの2個との組から成るコンデンサモジュールに誘起電圧を供給し、前記コンデンサモジュールに含まれる電気二重層コンデンサの充電が、当該コンデンサモジュールに含まれるダイオードが導通したときに行われる直列電気二重層コンデンサ装置であって、
前記直列電気二重層コンデンサ装置から出力された直流電圧の電圧レベルを変換する電圧調整手段を具備し、前記交流発生手段が、前記電圧調整手段により電圧レベルが変換された直流電圧を交流電圧に変換することを特徴とする直列電気二重層コンデンサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の直列電気二重層コンデンサ装置であって、前記直列電気二重層コンデンサ装置の出力電圧をV、前記ダイオードの順方向電圧降下をVFとするとき、前記電圧調整手段は、前記トランスの各二次巻線の発生電圧がVF+V/(2n)となるように前記交流発生手段に出力する直流電圧の電圧レベルを調整することを特徴とする直列電気二重層コンデンサ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の直列電気二重層コンデンサ装置であって、前記トランスの一次巻線と二次巻線との巻数比が2n:1に設定され、前記電圧調整手段が、前記直列電気二重層コンデンサ装置の出力電圧Vに2n×VFの一定電圧を加えて前記交流発生手段に出力することを特徴とする直列電気二重層コンデンサ装置。
【請求項4】
請求項2に記載の直列電気二重層コンデンサ装置であって、前記電圧調整手段が、前記直列電気二重層コンデンサ装置の電圧出力をスイッチングして前記出力電圧Vの電圧レベルを変換するとともに、そのスイッチング周波数を、前記交流発生手段のスイッチング周波数より高く設定したことを特徴とする直列電気二重層コンデンサ装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電気二重層コンデンサを直列接続した装置に関し、特に、各コンデンサ間に生じる電圧の不均一を、新たな方式により解消するものである。
【背景技術】
【0002】
電気二重層コンデンサは、二次電池と違って充放電に化学反応を伴わないため、急速充放電が可能であり、長寿命である。こうした利点を生かして、近年、電気二重層コンデンサで構成された蓄電装置が、ハイブリッド自動車・電気自動車、非常用電源等に用いられている。
電気二重層コンデンサは、二次電池と異なり、充放電により電圧が大きく変化する。また、1個の電気二重層コンデンサの最大電圧は約2.5Vと低いため、通常、複数の電気二重層コンデンサを直列接続して蓄電装置が構成されている。そのコンデンサの数は、多いものでは100を超えている。
【0003】
このように、電気二重層コンデンサを直列接続する場合は、蓄電装置の利用効率を高めるため、各コンデンサ間の電圧がバランスした状態で蓄電装置全体の電圧を変化させることが必要である。例えば、あるコンデンサの電圧が他のものより高い状態で蓄電装置の急速充電を行うと、そのコンデンサが最大許容電圧に達するまでの充電しかできず(そのコンデンサが過充電されると特性劣化が始まる)、蓄電装置の最大充電エネルギが制限されてしまう。また、電気二重層コンデンサは、逆充電することができないので、放電時には、いずれかの電気二重層コンデンサの電圧が0Vになると、蓄電装置は放電を停止してしまう。
【0004】
蓄電装置の利用効率の向上を図るため、下記特許文献1には、直列接続した電気二重層コンデンサの各々と並列に、スイッチ手段及びインダクティブ素子の直列回路を接続し、ある電気二重層コンデンサの電圧が他よりも高い場合に、その電気二重層コンデンサの電荷を他の電気二重層コンデンサに移送して、各電気二重層コンデンサの電圧を均一化する制御方式が提案されている。この制御は、蓄電装置の用途に応じて、充電開始時、満充電時、中間電位時、充電中、放電中等の時期を選んで行われ、また、蓄電装置を使いながらコンデンサの電圧配分を修正していくことも可能である。
ただ、この制御方式では、個々の電気二重層コンデンサに対応してスイッチ手段及びインダクティブ素子を設ける必要があり、回路の大型化やコストの上昇が避けられない。
【0005】
これに対して、直列接続した電気二重層コンデンサの全体に作用する回路により各電気二重層コンデンサの電圧を均一化する方式も提案されている。この方式には、フライバックコンバータ方式とフルブリッジインバータ方式とがある。
フライバックコンバータ方式は、下記特許文献2や非特許文献1に記載されている。図5は、特許文献2に記載された回路図であり、この方式では、この回路の端子1と端子18、及び、端子2と端子19をそれぞれ接続し、電気二重層コンデンサC1、C2、C3が直列接続された直列電気二重層コンデンサ装置自体を直流電源として、フライバックコンバータ33を動作させることも可能である。そうすれば、トランスT1の二次巻線N1、N2、N3の側に生じる電流を、ダイオードD1、D2、D3を介して各コンデンサC1、C2、C3に供給し、コンデンサC1、C2、C3の充電電圧を均一化することができる。
【0006】
フライバックコンバータ33のスイッチSW1は、周期的にオン・オフされ、オン時には、平滑用コンデンサ11で平滑にされた直列電気二重層コンデンサ装置の電圧が、トランスT1の一次巻線N0に印加される。このとき、トランスT1の二次巻線N1、N2、N3の側では、ダイオードD1、D2、D3の非整流方向の電圧が発生するために電流は流れず、一次巻線N0の側だけに電流が流れ、この電流から生じたエネルギが磁束の形でトランスT1に蓄えられる。
次に、スイッチSW1がオフされると、トランスT1は、磁束の形で蓄えたエネルギを放出するように逆起電力を発生し、この電圧で二次巻線N1、N2、N3の側にダイオードD1、D2、D3の整流方向の電圧が印加され、コンデンサC1、C2、C3に充電電流が供給される。このとき、接続するコンデンサの電圧が低いと、そのコンデンサへの出力電流は大きく、また、コンデンサの電圧が高いと出力電流は小さくなる。その結果、コンデンサC1、C2、C3は均等に充電される。
【0007】
一方、フルブリッジインバータ方式は、下記非特許文献2に記載されており、この方式の回路図を図4に示している。この回路では、電気二重層コンデンサC1~C6とダイオードD1~D6とが、C1、C2、D1、D2の組合せ、C3、C4、D3、D4の組合せ、及び、C5、C6、D5、D6の組合せにより、各々、コンデンサモジュール30を形成し、各コンデンサモジュールの二つのコンデンサの接続点3、5、7と、二つのダイオードの接続点4、6、8との間にトランスT1の二次巻線N1、N2、N3が接続している。
また、トランスT1の一次巻線N0には、方形波電圧発生装置であるフルブリッジインバータ31が接続している。このフルブリッジインバータ31は、4つの半導体スイッチ素子S1~S4及び帰還ダイオードD11~D14を備え、S1、S2の接続点とS3、S4の接続点との間に一次巻線N0が接続している。
フルブリッジインバータ31は、スイッチ素子S1及びS4の組と、S2及びS3の組とを交互にオン/オフする動作を繰り返すことにより、極性が反転する方形波電圧を発生する。この方形波電圧は、トランスT1の一次巻線N0に印加され、そのため、二次巻線N1、N2、N3に同様の方形波電圧が誘起される。
二次巻線N1、N2、N3に発生した方形波電圧は、一方の極性のとき、各コンデンサモジュールに含まれる二つのコンデンサの内、その極性で導通するダイオードに接続した一方のコンデンサに対して印加され、他方の極性のとき、その極性で導通するダイオードに接続した他方のコンデンサに対して印加される。
但し、そのコンデンサの電圧レベルが二次巻線電圧より高く、そのコンデンサに接続するダイオードが導通しない状態では、充電は行われない。即ち、トランスの二次巻線電圧より電圧が低いコンデンサのみが選択的に充電され、その結果、各コンデンサ間の電圧がバランスされる。
【0008】
このように、フライバックコンバータ方式及びフルブリッジインバータ方式では、電気二重層コンデンサの直列数が増加しても、トランスの二次巻線とダイオードの数とを増やすだけで対応できる。また、制御を要する素子は、フルブリッジインバータあるいはフライバックコンバータを構成する数個のスイッチング素子のみであり、制御が簡単で、信頼性も高く、安価に構成できる。
フライバックコンバータ方式とフルブリッジインバータ方式とを比べると、トランスの利用原理が異なっている。フライバックコンバータの場合は、負荷に対して電流源として動作し、フルブリッジインバータの場合は、電圧源として動作する。また、フライバックコンバータでは、スイッチング周期の前半でトランスに一度エネルギを蓄え、後半でこれを放出する形式を取るため、トランス鉄心の容量を大きくする必要がある。これに対し、フルブリッジインバータでは、トランスを高周波トランスとして用いているため、鉄心を小形に構成することができ、また、トランスの二次巻線の個数がコンデンサ数の半分、即ち、フライバックコンバータの場合の半分で足りる。

【特許文献1】特開平7-322491号公報
【特許文献2】特許3238841号公報
【非特許文献1】P. Barrade,“Series Connection of Supercapacitors: Comparative Study of Solutions for the Active equalization of the Voltages”Electrimacs 2002, 7th International Conference on Modeling and Simulation of Electric Machines, Converters and Systems, 18-21 August, Ecole de Technologie Superieure (ETS), Montreal, Canada.
【非特許文献2】岸高嗣、清水敏久「電気二重層コンデンサ用電圧バランサ回路の研究」電気学会半導体電力変換研究会資料SPC-04-37,2004
【非特許文献3】高橋裕司、清水敏久「同期スイッチを用いた電気二重層キャパシタ用電圧バランサ回路」平成17年電気学会全国大会講演論文集4-041
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、フルブリッジインバータ方式では、次のような問題点がある。
トランス二次巻線に接続するダイオードが、各コンデンサ間の電圧を均一化することを妨げている。
トランス二次巻線に接続するダイオードの順方向電圧降下VFが0Vであれば問題ないが、実際には0.5V~1Vの電圧降下が存在するため、トランスの二次巻線電圧とコンデンサの電圧との差分がVF以下になると、そのコンデンサへの充電が出来なくなる。従って、フルブリッジインバータのスイッチングを繰り返しても、各コンデンサ間の電圧を十分均一にすることができない。このVFの影響は、各コンデンサの電圧が低下したときに顕著になる。
【0010】
この点を図2の(a)~(d)を用いて説明する。
図2(a)は、図4の回路において、直列電気二重層コンデンサ装置の両端電圧をVとしたときのフルブリッジインバータ31で発生される方形波電圧の波形を示している。図2(b)は、トランスT1の一次巻線N0と各二次巻線N1、N2、N3との巻数比を2n:1としたときの各二次巻線N1、N2、N3に現れる方形波電圧を示している。
ダイオードD1~D6の順方向電圧降下をVF とするとき、ダイオード導通時にコンデンサに加わる電圧は、C1,C3,C5では図2(d)の実線、C2,C4,C6では図2(c)の実線ようになる。そのため、コンデンサC1~C6の中で電圧がV/(2n)-VFより低いものがあれば、それに対応したダイオードが導通し、そのコンデンサは充電される。逆にコンデンサの電圧がV/(2n)-VFより高ければ、ダイオードは導通せず、電流が流れないためコンデンサは充電されない。
いま、コンデンサC1の電圧がV/(2n)-VFより低いとすると、図2(d)のように、二次巻線N1の方形波電圧が図2(b)の波形の-V/(2n)となるサイクル後半でC1は充電される。しかし、この充電によりコンデンサC1の電圧がV/(2n)-VFより高くなると、それ以上充電はされなくなる。そのため、各コンデンサの電圧は均一にならない。
また、トランスの巻数比aを変えてVFを補償しようとしても、直列電気二重層コンデンサ装置の電圧Vが充放電で大きく変化し、補償電圧もVに比例して変化するため、二次巻線で常に一定の電圧VFを補償することはできない。
【0011】
この解決策として、前記非特許文献3では、MOSFETとそのゲート駆動回路とで構成される同期整流器をダイオードの代わりに用いる方法が提案されているが、この方法では、同期整流器がコンデンサの数だけ必要となるため、特許文献1の構成と同様に、回路の大型化やコストの上昇が避けられず、回路の簡素化を図るフルブリッジインバータ方式の優位性が損なわれる。
【0012】
本発明は、こうした従来の問題点を解決するものであり、電気二重層コンデンサ間に生じる電圧の不均一を、簡単な構成で解消することができる直列電気二重層コンデンサ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、2n(nは1以上の正の整数)個の直列接続された電気二重層コンデンサと、2n個のダイオードと、一次巻線及びn個の二次巻線を有するトランスと、直流電圧から交流電圧を生成してトランスの一次巻線に供給する交流電圧発生手段とを備え、トランスの二次巻線の各々が、電気二重層コンデンサの2個とダイオードの2個との組から成るコンデンサモジュールに誘起電圧を供給し、コンデンサモジュールに含まれる電気二重層コンデンサの充電が、当該コンデンサモジュールに含まれるダイオードが導通したときに行われる直列電気二重層コンデンサ装置において、直列電気二重層コンデンサ装置から出力された直流電圧の電圧レベルを変換する電圧調整手段を設け、交流発生手段が、電圧調整手段により電圧レベルの変換された直流電圧を交流電圧に変換するように構成している。
この電圧調整手段の作用で、二次巻線の発生電圧に、前以ってダイオードの順方向電圧降下を相殺する電圧が付加され、その結果、コンデンサ充電時のダイオードの影響が排除される。
【0014】
また、本発明の直列電気二重層コンデンサ装置では、直列電気二重層コンデンサ装置の出力電圧をV、ダイオードの順方向電圧降下をVFとするとき、電圧調整手段は、トランスの各二次巻線の発生電圧がVF+V/(2n)となるように交流発生手段に出力する直流電圧の電圧レベルを調整する。
この電圧調整手段の電圧調整により、トランスの二次巻線の発生電圧は、コンデンサの平均電圧V/(2n)とダイオードの順方向電圧降下VFとを加算したものとなる。
【0015】
また、本発明の直列電気二重層コンデンサ装置では、トランスの一次巻線と二次巻線との巻数比が2n:1に設定され、電圧調整手段は、直列電気二重層コンデンサ装置の出力電圧Vに2n×VFの一定電圧を加えて交流発生手段に出力する。
この装置では、充放電のために直列電気二重層コンデンサ装置の出力電圧Vが変動しても、電圧調整手段は、この出力電圧Vに、電池等の一定電圧(2n×VF)を加えて交流発生手段に出力すればよい。
【0016】
また、本発明の直列電気二重層コンデンサ装置では、電圧調整手段が、直列電気二重層コンデンサ装置の電圧出力をスイッチングして出力電圧Vの電圧レベルを変換するとともに、そのスイッチング周波数を、交流発生手段のスイッチング周波数より高く設定している。
このスイッチング周波数の設定により、交流発生手段の入力電圧が変動したり、電圧調整手段のスイッチングと干渉したりすることが防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の直列電気二重層コンデンサ装置は、回路の簡素化を図るフルブリッジインバータ方式の優位性を損なわずに、直列接続された各コンデンサ間の電圧を均一化できる。フルブリッジインバータ方式の回路に追加する部品の数は少なく、制御を要する素子の数も少ない。そのため、小型で安価な、且つ、信頼性が高い装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態における直列電気二重層コンデンサ装置の回路図を示している。
この装置は、直列接続された電気二重層コンデンサC1~C6と、コンデンサC1~C6に1対1で対応するダイオードD1~D6と、高周波トランスT1と、二つのコンデンサ及び二つのダイオードから成るコンデンサモジュール30の各々に対応するトランスT1の二次巻線N1、N2、N3と、トランスT1の一次巻線N0と、4つの半導体スイッチ素子S1~S4及び帰還ダイオードD11~D14から成り、方形波電圧を発生して一次巻線N0に供給するフルブリッジインバータ31と、C1~C6間の電圧を昇圧してフルブリッジインバータ31に出力する電圧調整回路32とを備えている。この回路は、図4と比べて、電圧調整回路32が付加されている点だけが相違している。
電圧調整回路32は、リアクトルL0、ダイオードD0、半導体スイッチ素子S0、及び、平滑コンデンサC0から成る昇圧チョッパである。
【0019】
次に、この装置の動作について説明する。
この装置は、端子1、2を通じて他の機器に接続され、蓄電装置としての機能を果たす。他の機器への充放電に伴い、端子1、2間の端子電圧Vは100%~25%程度まで大きく変化する。また、各コンデンサC1~C6の静電容量値のバラつき等により、コンデンサ間に充電電圧の不均一が生じる。
電圧調整回路32は、コンデンサC1~C6の電圧配分の修正時に、直列電気二重層コンデンサ装置自体の出力を半導体スイッチ素子S0で周期的にオン・オフし、所定電圧に変換してフルブリッジインバータ31に出力する。
【0020】
このとき、電圧調整回路32は、端子電圧Vを、次式(数1)で示すように、電圧V1に変換する。
V1=a×{VF+V/(2n)} (数1)
ただし、
a:トランスT1の巻数比(一次巻線の巻数/二次巻線の巻数)
VF:ダイオードD1~D6の順方向電圧降下
2n:直列電気二重層コンデンサ装置のコンデンサ直列接続数
である。ダイオードD1~D6の順方向電圧降下VFは、既知であり、印加電圧に関わらず、ほぼ一定である。ただ、端子電圧Vは、充放電に伴って変動するため、一般的には、端子電圧Vを検出し、(数1)を満たすように、電圧調整回路32の出力電圧V1を制御する必要がある。
【0021】
電圧調整回路32から電圧V1の直流電圧が入力したフルブリッジインバータ31は、振幅がV1の方形波電圧を発生する。この方形波電圧が一次巻線N0に入力したトランスT1は、二次巻線N1、N2、N3の各々に、(数2)で示す振幅V2の方形波電圧を発生する。
V2=V1/a
=VF+V/(2n) (数2)
このように、二次巻線の発生電圧に、予めダイオードD1~D6の順方向電圧降下VFに相当する電圧を付加すると、コンデンサC1~C6の中で、その電圧が2n個のコンデンサの平均電圧V/(2n)より低いものがあれば、それに対応したダイオードが導通し、そのコンデンサは充電される。逆に、コンデンサの電圧がV/(2n)より高ければ、ダイオードは導通せず、電流が流れないためコンデンサは充電されない。
その結果、各コンデンサC1~C6の充電電圧は、ダイオードD1~D6の影響を受けること無く、均一化する。
【0022】
ここで、a=2n、即ち、直列接続数が2n個の各コンデンサに電源の1/(2n)の電圧を加えるため、トランスT1の巻数比aを2n:1に設定すると、電圧調整回路32は、端子電圧Vの変化にかかわらず、出力電圧V1を、
V1=2n×VF+V (数3)
となるように制御すれば良いことになる。この場合、図3(a) に示すように、電圧調整回路32は、電圧2n×VFの電池BATを用いて構成することができる。
【0023】
図2の(e)~(h)は、このときの各部の電圧波形を示している。図2(e)では、図1の回路において、直列電気二重層コンデンサ装置の両端電圧をVとし、a=2nとしたときのフルブリッジインバータ31で発生される方形波電圧の波形を実線で示し、電圧調整回路32で昇圧しない場合(従来例)の波形を点線で示している。この方形波の周波数は、フルブリッジインバータ31のスイッチング周波数finvである。
図2(f)では、トランスT1の各二次巻線N1、N2、・・、Nnに現れる方形波電圧を実線で示し、従来例の波形を点線で示している。
図2(g)では、コンデンサC2、C4、・・、C2nに加わる電圧を実線で示し、二次巻線電圧を点線で示している。
図2(h)では、コンデンサC1、C3、・・、C2n-1に加わる電圧を実線で示し、二次巻線電圧を点線で示している。
【0024】
コンデンサC1~C2nの中に、その電圧がこれらの平均電圧V/(2n)より低いコンデンサCiがあれば、Ciに接続されたダイオードDiが導通し、CiにV/(2n)の電圧が印加され、Ciは充電される。Ciが充電されるのは、フルブリッジインバータ31の半周期の期間である。一方、充電電源の元は、C1~C2nのコンデンサであるため、充電されないコンデンサの電圧は減少する。従って、フルブリッジインバータ31をある一定時間動作させれば、C1~C2nの電圧は次第に均一になる。
【0025】
また、(数1)において、aを2nよりかなり小さく選べば、電圧調整回路32は、図3(b)のように降圧チョッパで構成することができる。
また、電圧調整回路32の出力V1は脈動電圧となるため、図1のように平滑コンデンサC0を入れることが好ましい。また、電圧調整回路32のスイッチング周波数をfchとすると、フルブリッジインバータ31の入力電圧V1 は、電圧調整回路32の出力サイクルによって変動することは好ましくなく、また、電圧調整回路32のスイッチングとインバータ31のスイッチングとが干渉することも好ましくない。このため、電圧調整回路32のスイッチング周波数fchは、方形波電圧発生装置であるフルブリッジインバータ31のスイッチング周波数finvより高く設定すべきである。
【0026】
このように、この直列電気二重層コンデンサ装置は、直流チョッパや電池等から成る電圧調整回路を付加するだけで、コンデンサ間の電圧を均一化することができる。電圧調整回路に直流チョッパを用いる場合でも、1個のスイッチング素子を制御すれば足りるので、コンデンサ毎に同期整流器を配置するものに比べて、小型、且つ、安価に構成することができ、また、信頼性の高い電圧バランス回路を実現できる。
なお、直列接続するコンデンサの数nは、2以上であればいくらでも良く、n=100を超えても良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の直列電気二重層コンデンサ装置は、電気二重層コンデンサを使う蓄電装置のコンデンサ間の電圧を簡単な構成で均一化できる利点を備えており、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池車、電力蓄電装置、非常用電源等に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態における直列電気二重層コンデンサ装置を示す回路図
【図2】本発明の実施形態における直列電気二重層コンデンサ装置、及び、従来の装置の動作波形を示す図
【図3】本発明の実施形態における直列電気二重層コンデンサ装置の他の電圧調整回路を示す図
【図4】従来のフルブリッジインバータ方式の直列電気二重層コンデンサ装置を示す回路図
【図5】従来のフライバックコンバータ方式の直列電気二重層コンデンサ装置を示す回路図
【符号の説明】
【0029】
C1~C6 電気二重層コンデンサ
C0, C11 平滑コンデンサ
L0 リアクトル
D0~D6 ダイオード
D11~D14 帰還ダイオード
T1 トランス
N0 一次巻線
N1~N3 二次巻線
S0~S4 スイッチング素子
SW1 スイッチ手段
BAT 電池
1~13, 21~28 端子
30 コンデンサモジュール
31 方形波電圧発生装置(フルブリッジインバータ)
32 可変電圧直流電源
33 フライバックコンバータ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4