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明細書 :レーザカラーマーキング方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4487072号 (P4487072)
公開番号 特開2007-229733 (P2007-229733A)
登録日 平成22年4月9日(2010.4.9)
発行日 平成22年6月23日(2010.6.23)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
発明の名称または考案の名称 レーザカラーマーキング方法
国際特許分類 B23K  26/00        (2006.01)
B23K  26/18        (2006.01)
B41J   2/44        (2006.01)
FI B23K 26/00 B
B23K 26/18
B41J 3/00 Q
請求項の数または発明の数 1
全頁数 10
出願番号 特願2006-051966 (P2006-051966)
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
審査請求日 平成18年11月15日(2006.11.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
発明者または考案者 【氏名】池野 順一
個別代理人の代理人 【識別番号】100100918、【弁理士】、【氏名又は名称】大橋 公治
【識別番号】100108729、【弁理士】、【氏名又は名称】林 紘樹
審査官 【審査官】青木 正博
参考文献・文献 特開2003-094181(JP,A)
調査した分野 B23K 26/00-26/42
B41J 2/44
特許請求の範囲 【請求項1】
銀の薄膜を銀鏡反応、スパッタリングまたは蒸着で生成する第1のステップと、
前記銀の薄膜にレーザを照射して銀を粒状化する第2のステップと
を含み、前記第2のステップでレーザの走査条件を変えて粒状化する銀の粒子の大きさを制御し、黄色、赤色、青色または緑色、赤色、青色の三原色を発色させることを特徴とするレーザカラーマーキング方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザを照射してカラーマーキングを行うレーザカラーマーキング方法に関し、特に、銀ナノ粒子を利用してフルカラーのレーザマーキングを実現するものである。
【背景技術】
【0002】
金属表面は、光が当たると外部電場(光)によって分極が起き、この分極を遮蔽するために電子が動き、中性状態を行き過ぎて、また戻るという振動を繰り返す。この振動をプラズマ振動(プラズモン)と言い、表面のみを伝搬し、界面で生じる振動モードを表面プラズモンと言う。
ナノ粒子は、表面プラズモンによって発色することが知られている。中でも金や銀などの貴金属ナノ粒子は、粒子径によって発色が可視域で変化し、粒子径に応じて複数の色を現すことができる。
【0003】
本発明者は、先に、金のナノ粒子を利用してレーザカラーマーキングを行う方法を開発した(下記特許文献1参照)。
この方法では、被加工物の表面に金コロイドを混合した塗料を塗布し、その上にレーザ光線を照射する。この照射で塗料の媒質は蒸発し、金のナノ粒子は凝集し、さらに溶融して成長し、粒子径に応じた色を示す。
金ナノ粒子は、10nm~20nmで赤色、70nmで青色(その配列により黒色)、100nm以上で金色となる。

【特許文献1】特開2003-94181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、金ナノ粒子では黄色を出すことができない。黄色は、赤色、青色と共に3原色を構成しているから、フルカラーの実現には不可欠な色である。
一方、銀のナノ粒子は、直径10~20nmで黄色に発色し、直径25~35nmで赤、直径35~45nmで赤紫、直径50~60nmで青紫、直径70~80nmで青、直径120~130nmで緑に発色することが知られている。そのため、このナノ粒子の直径を正確に制御することができれば、黄色、赤色、青色の3原色の発色が可能になり、一種類の金属のみでフルカラーレーザマーキングが実現できる。
【0005】
本発明は、こうした事情を考慮して創案したものであり、銀の粒子径を制御して多数の色を発色させることができるレーザカラーマーキング方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレーザカラーマーキング方法は、銀の薄膜を銀鏡反応、スパッタリングまたは蒸着で生成する第1のステップと、前記銀の薄膜にレーザを照射して銀を粒状化する第2のステップとを含み、前記第2のステップでレーザの走査条件を変えて粒状化する銀の粒子の大きさを制御し、黄色、赤色、青色または緑色、赤色、青色の三原色を発色させることを特徴としている。
この方法では、銀をナノ粒子化することによって、三原色の全てを銀だけで発色させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のレーザカラーマーキング方法では、銀を用いて3原色の全てを発色させることができる。そのため、フルカラーマーキングが可能である。
また、複数の金属を使って三原色の組合せを得る場合と違って、一つのレーザ装置だけで3原色の全てを発色させることができる。
即ち、本発明のレーザカラーマーキング方法は、1つの金属膜で1本のレーザを使って、安価に、高速にフルカラーマーキングを実施することができる点に特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態におけるレーザカラーマーキング方法では、銀の薄膜を銀鏡反応によって作成し、この薄膜にレーザを照射して銀を粒子化する。
銀薄膜は、図1に示すように、基板となる石英ガラスの上に銀鏡反応で作成している。この反応では、0.1mol/lの硝酸銀溶液に濃度12%のアンモニア水を混入して銀をアンモニア錯体とした銀液と、濃度5%のグルコースに0.1mol/lの水酸化ナトリウムを混ぜてアルカリ性にした還元液とを用意し、これらを素早く混ぜ合わせて、石英ガラスを置いたシャーレに入れ、攪拌する。この処理で石英ガラス上には銀薄膜が形成される。
【0011】
図2には、銀鏡反応で形成した銀薄膜の膜厚を非接触形状測定機(三鷹光器製、NH-3NT)により計測した結果を示している。膜厚は0.5μm~2.3μmであり、微分干渉顕微鏡によって膜面を観察したところ小さな細かい粒子が密集して膜を形成していることが確認できた。
【0012】
図3は、銀薄膜へのレーザ照射に用いた装置を示している。この装置は、Nd:YVO4レーザ10と、可視光のBRG成分を分岐するダイクロイックミラー11と、対物レンズ12と、試料20を載置する自動3軸ステージ13と、自動3軸ステージ13を駆動するステージコントローラ14と、ステージコントローラ14を制御するパソコン15と、
ダイクロイックミラー11から分岐された可視光を集光するレンズ16と、フィルタ17と、撮影用のCCDカメラ18とを備えている。
Nd:YVO4レーザ10は、波長(λ)=532nmのレーザ光を発振し、出力は0.4W~1.4Wの範囲で可変できる。
【0013】
銀薄膜へのレーザ照射は、図4に示すように、発振されたレーザを、対物レンズ12(開口数(NA)=0.3,理論焦点径6.45μm)で、ステージ13に置かれた試料20の銀薄膜上に集光し、種々の走査条件でレーザ光を走査しながら実施した。また、試料20の基板には熱に強い石英ガラスを使用している。
【0014】
図5には、レーザ出力(W)、走査幅(μm)及び走査速度(mm/s)と、そのときの銀粒子の生成状況を示す微分干渉顕微鏡写真とを示している。なお、ここでは、走査幅は5μmに固定し、走査速度は1mm/sに固定している。
レーザ出力が0.4Wのときは、銀薄膜の透過色が黄色に変化した。
レーザ出力が0.5~0.6Wのときは、銀薄膜の透過色が赤~赤紫色に変化した。
レーザ出力が0.8W以上のときは、銀薄膜の透過色が青紫色に変化した。
【0015】
また、膜の状態を微分干渉顕微鏡写真で観察すると、どの条件下でも、レーザ照射幅の5μm間隔でレーザ照射軌跡が見られ、その軌跡上に粒子が集まっているのが分かる。0.4Wでは、そのレーザ照射軌跡の間に、細かい粒子が観察されるが、0.5W以上だと、その細かい粒子が消え、レーザ照射軌跡上には次第に大きくなっていく粒子の様子が見て取れる。これは、銀薄膜がレーザの熱で凝集し、加える熱量が増大するにつれて粒子が大きく成長するためである。
【0016】
レーザ照射した各加工試料に対し、分光器で透過率と波長との関係を求めた結果を図6に示している。0.4Wでは、黄色の波長の透過率が高い。この場合、赤の波長の透過率も高いが、人の目には黄色が強調され、赤と黄色が同レベルであると、黄色に見える。
0.5W、0.6Wでは、黄色の波長の透過率が減り、その結果、赤の波長の割合が増大し、赤や赤紫に見えることを示している。
0.8Wでは、青、紫の波長の透過率の割合が増大している。
また、図7では、0.4W~0.8Wの各加工資料の色度をxy色度図に画いている。この図から、0.4Wから0.8Wに向かって、黄色の領域から青の領域に近付いていることが分かる。
【0017】
このように、このレーザカラーマーキング方法では、銀の薄膜にレーザ光を照射して銀を粒子化することにより、黄色、赤色、青色の三原色を発色させることができる。そのため、それらの色を組み合わせてフルカラーマーキングが可能である。
また、複数の金属を使って三原色の組合せを得る場合は、各金属に吸収されやすい波長のレーザを複数用意する必要が生じるが、このレーザカラーマーキング方法では、銀のみを使用して三原色が発色できるため、一つのレーザ装置しか必要としない。
【0018】
なお、ここでは、銀薄膜を銀鏡反応で形成する場合について説明したが、銀薄膜は、スパッタリング、蒸着等、その他の方法で形成しても良い。
また、基板は、石英ガラスやソーダガラスだけでなく、プラスチックや金属表面等であっても良い。
また、銀鏡反応に用いる成分は、例示したもの意外であっても良い。
また、レーザ装置は、CO2レーザ、YAGレーザ、He-Cdレーザ等、実施形態で示した装置以外の装置を使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、装飾品を始めとして、様々な製品にカラーマーキングを形成するために利用することができる。また、携帯電話、パソコン、時計、自動車等の工業製品では、個別化を図り、それを偽造防止や盗難防止にも役立て、セキュリティー機能を高めようとする傾向があるが、本発明は、こうした要求にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態におけるレーザカラーマーキング方法での銀薄膜形成方法を説明する図
【図2】図1の銀薄膜形成方法で形成した銀薄膜の膜厚を示す図
【図3】本発明の実施形態におけるレーザカラーマーキング方法で使用するレーザ装置を示す図
【図4】本発明の実施形態におけるレーザカラーマーキング方法でのレーザマーキングを模式的に示す図
【図5】本発明の実施形態におけるレーザカラーマーキング方法で生成された発色膜の状態を示す図
【図6】本発明の実施形態におけるレーザカラーマーキング方法で生成された発色膜の分光透過率を示す図
【図7】本発明の実施形態におけるレーザカラーマーキング方法で生成された発色膜の色度を示す図
【符号の説明】
【0021】
10 Nd:YVO4レーザ
11 ダイクロイックミラー
12 対物レンズ
13 自動3軸ステージ
14 ステージコントローラ
15 パソコン
16 レンズ
17 フィルタ
18 CCDカメラ
20 試料
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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