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明細書 :弾性表面波アクチュエータ、移動子、及びステータ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4923241号 (P4923241)
公開番号 特開2007-236094 (P2007-236094A)
登録日 平成24年2月17日(2012.2.17)
発行日 平成24年4月25日(2012.4.25)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
発明の名称または考案の名称 弾性表面波アクチュエータ、移動子、及びステータ
国際特許分類 H02N   2/00        (2006.01)
H01L  41/09        (2006.01)
H01L  41/18        (2006.01)
FI H02N 2/00 C
H01L 41/08 L
H01L 41/18 101A
請求項の数または発明の数 23
全頁数 23
出願番号 特願2006-053937 (P2006-053937)
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
審査請求日 平成21年1月20日(2009.1.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
発明者または考案者 【氏名】高崎 正也
【氏名】大竹 尚登
【氏名】青木 佑一
【氏名】小谷 浩之
個別代理人の代理人 【識別番号】100083806、【弁理士】、【氏名又は名称】三好 秀和
【識別番号】100108914、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
審査官 【審査官】大山 広人
参考文献・文献 特開平10-296186(JP,A)
特開2003-235275(JP,A)
特開2000-102271(JP,A)
調査した分野 H02N 2/00
H01L 41/09
H01L 41/18
特許請求の範囲 【請求項1】
ステータの表面からレイリー波の運動エネルギを得て、前記レイリー波の伝搬方向と逆方向に、前記ステータに対し相対的に移動する移動子であって、該移動子が
移動子基板と、
該移動子基板よりもヤング率の大きな材料からなる複数の移動子セグメントの配列からなり、該複数の移動子セグメントのそれぞれの上面が前記ステータに接する移動子セグメントアレイ
とを備え、前記複数の移動子セグメントのそれぞれの大きさを特徴づける、前記移動子セグメントの一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径のいずれかが、前記レイリー波の波長の1/40~1/80であることを特徴とする移動子。
【請求項2】
ステータと、該ステータの表面からレイリー波の運動エネルギを得て、前記レイリー波の伝搬方向と逆方向に、前記ステータに対し相対的に移動する移動子と、該移動子を前記ステータに加圧しながら保持するスライダ加圧板とを備える弾性表面波アクチュエータに用いられる前記移動子であって、前記移動子が
移動子基板と、
前記移動子基板の前記ステータ側の面に設けられ、前記移動子基板よりもヤング率の大きな材料からなる複数の移動子セグメントの配列からなり、該複数の移動子セグメントのそれぞれの上面が前記ステータに接する移動子セグメントアレイと、
半球からなり、該半球の赤道面を前記移動子基板の前記ステータ側の面に対向する側の面に接続したフリーホイール・ヘッド
とを備え、前記フリーホイール・ヘッドが前記スライダ加圧板に対し、摺動しながら、自在に回転することを特徴とする移動子。
【請求項3】
前記複数の移動子セグメントのそれぞれが耐摩耗性材料を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動子。
【請求項4】
前記耐摩耗性材料が、ダイヤモンド状炭素膜であることを特徴とする請求項に記載の移動子。
【請求項5】
前記複数の移動子セグメントのそれぞれの上面が曲面であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の移動子。
【請求項6】
前記複数の移動子セグメントのそれぞれの上面の端部が丸くなっていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の移動子。
【請求項7】
レイリー波を表面に伝搬させ、該レイリー波の運動エネルギにより、該レイリー波の伝搬方向と逆方向に、移動子を相対的に移動させるステータであって、該ステータが
ステータ圧電膜と、
該ステータ圧電膜よりもヤング率の大きな材料からなる複数のステータセグメントの配列からなり、該複数のステータセグメントのそれぞれの上面が前記移動子に接するステータセグメントアレイ
とを備え、前記複数のステータセグメントのそれぞれの大きさを特徴づける、前記ステータセグメントの一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径のいずれかが、前記レイリー波の波長の1/40~1/80であることを特徴とするステータ。
【請求項8】
前記複数のステータセグメントのそれぞれが耐摩耗性材料を用いることを特徴とする請求項に記載のステータ。
【請求項9】
前記耐摩耗性材料が、ダイヤモンド状炭素膜であることを特徴とする請求項8に記載のステータ。
【請求項10】
前記複数のステータセグメントのそれぞれの上面が曲面であることを特徴とする請求項7~9のいずれか1項に記載のステータ。
【請求項11】
前記複数のステータセグメントのそれぞれの上面の端部が丸くなっていることを特徴とする請求項7~10のいずれか1項に記載のステータ。
【請求項12】
レイリー波を表面に伝搬させるステータと、該ステータの表面から前記レイリー波の運動エネルギを得て、前記レイリー波の伝搬方向と逆方向に、前記ステータに対し相対的に移動する移動子とを備える弾性表面波アクチュエータであって、前記移動子が
移動子基板と、
該移動子基板よりもヤング率の大きな材料からなる複数の移動子セグメントの配列からなり、該複数の移動子セグメントのそれぞれの上面が前記ステータに接する移動子セグメントアレイ
とを備え、前記複数の移動子セグメントのそれぞれの大きさを特徴づける、前記移動子セグメントの一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径のいずれかが、前記レイリー波の波長の1/40~1/80であることを特徴とする弾性表面波アクチュエータ。
【請求項13】
レイリー波を表面に伝搬させるステータと、該ステータの表面から前記レイリー波の運動エネルギを得て、前記レイリー波の伝搬方向と逆方向に、前記ステータに対し相対的に移動する移動子と、該移動子を前記ステータに加圧しながら保持するスライダ加圧板とを備える弾性表面波アクチュエータであって、前記移動子が
移動子基板と、
前記移動子基板の前記ステータ側の面に設けられ、前記移動子基板よりもヤング率の大きな材料からなる複数の移動子セグメントの配列からなり、該複数の移動子セグメントのそれぞれの上面が前記ステータに接する移動子セグメントアレイと、
半球からなり、該半球の赤道面を前記移動子基板の前記ステータ側の面に対向する側の面に接続したフリーホイール・ヘッド
とを備え、前記フリーホイール・ヘッドが前記スライダ加圧板に対し、摺動しながら、自在に回転することを特徴とする弾性表面波アクチュエータ。
【請求項14】
レイリー波を表面に伝搬させるステータと、該ステータの表面から前記レイリー波の運動エネルギを得て、前記レイリー波の伝搬方向と逆方向に、前記ステータに対し相対的に移動する移動子とを備える弾性表面波アクチュエータであって、前記ステータが
ステータ圧電膜と、
該ステータ圧電膜よりもヤング率の大きな材料からなる複数のステータセグメントの配列からなり、該複数のステータセグメントのそれぞれの上面が前記移動子に接するステータセグメントアレイ
とを備え、前記複数のステータセグメントのそれぞれの大きさを特徴づける、前記ステータセグメントの一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径のいずれかが、前記レイリー波の波長の1/40~1/80であることを特徴とする弾性表面波アクチュエータ。
【請求項15】
レイリー波を表面に伝搬させるステータと、該ステータの表面から前記レイリー波の運動エネルギを得て、前記レイリー波の伝搬方向と逆方向に、前記ステータに対し相対的に移動する移動子とを備える弾性表面波アクチュエータであって、
前記移動子が、移動子基板と、該移動子基板よりもヤング率の大きな材料からなる複数の移動子セグメントの配列からなり、該複数の移動子セグメントのそれぞれの上面が前記ステータに接する移動子セグメントアレイとを備え、
前記ステータが、ステータ圧電膜と、該ステータ圧電膜よりもヤング率の大きな材料からなる複数のステータセグメントの配列からなり、該複数のステータセグメントのそれぞれの上面が前記移動子に接するステータセグメントアレイとを備え、前記複数の移動子セグメントのそれぞれの大きさを特徴づける、前記移動子セグメントの一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径のいずれかが、前記レイリー波の波長の1/40~1/80であることを特徴とする弾性表面波アクチュエータ。
【請求項16】
前記複数の移動子セグメントのそれぞれが耐摩耗性材料を用いることを特徴とする請求項12,13、15のいずれか1項に記載の弾性表面波アクチュエータ。
【請求項17】
前記複数の移動子セグメントのそれぞれの上面が曲面であることを特徴とする請求項12,13、15、16のいずれか1項に記載の弾性表面波アクチュエータ。
【請求項18】
前記複数の移動子セグメントのそれぞれの上面の端部が丸くなっていることを特徴とする請求項12,13、15~17のいずれか1項に記載の弾性表面波アクチュエータ。
【請求項19】
前記複数のステータセグメントのそれぞれが耐摩耗性材料を用いることを特徴とする請求項14又は15に記載の弾性表面波アクチュエータ。
【請求項20】
前記移動子の少なくとも一部の部材をディスポーサブルとすることを特徴とする請求項19に記載の弾性表面波アクチュエータ。
【請求項21】
前記複数のステータセグメントのそれぞれの上面が曲面であることを特徴とする請求項14,15,19,20のいずれか1項に記載の弾性表面波アクチュエータ。
【請求項22】
前記複数のステータセグメントのそれぞれの上面の端部が丸くなっていることを特徴とする請求項14,15,19~21のいずれか1項に記載の弾性表面波アクチュエータ。
【請求項23】
前記耐摩耗性材料が、ダイヤモンド状炭素膜であることを特徴とする請求項13~22のいずれか1項に記載の弾性表面波アクチュエータ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波モータ等の弾性表面波アクチュエータ、この弾性表面波アクチュエータに用いる移動子、及びこの弾性表面波アクチュエータに用いるステータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年,半導体製造技術や産業用ロボットなどの発展に伴い,高性能・高機能なアクチュエータの開発が求められている.超音波モータは取り出せる推力が大きい,保持力・保持トルクが大きい,磁場を発生しないなどの特長を有しており,産業への応用が期待されている.弾性表面波モータはこの超音波モータの一種であり,超音波振動のひとつである弾性表面波(SAW)を利用したアクチュエータである。
【0003】
このような、物体を直接駆動するアクチュエータとしての弾性表面波モータは、カメラの自動焦点レンズ駆動用モータ、ブラインドやカーテンの駆動等への応用等が期待され、特に、高速、高推力、高速応答な小型アクチュエータととして期待されている。
【0004】
具体的には、弾性表面波モータのステータ圧電膜に進行波を励振して、ステータ圧電膜上のスライダを移動子として用いるモータが提案されている(特許文献1参照。)。弾性表面波モータでは,ステータ圧電膜の振動を摩擦力を介して推力として取り出す。ステータ圧電膜と移動子とが互いに対向する摩擦駆動面では,摩擦力を確保するために接触圧力が高くなるような工夫が必要である。
【0005】
摩擦駆動面となる接触面では、互いの凹凸の影響を排除しつつ安定な接触を実現する方法として「シリコンスライダ」が提案されている(特許文献1参照。)。シリコンスライダでは、反応性イオンエッチング(RIE)で、シリコンウエハ表面に直径10μm程度、高さ1μm程度の円柱形状(円板形状)の突起を、シリコンスライダの下面の全面に多数マトリクス状に分布形成している。ステータ圧電膜に接する、島状に2次元配置された複数の円柱の端面(上面)が弾性変形し、摩擦駆動面における面接触を実現している。シリコンスライダの下面の全面に、円柱形状の突起を多数配置することにより、全体として接触面積を確保している。

【特許文献1】特開平9-233865号公報
【非特許文献1】刑部尚樹(N.Osakabe)他3名、「シリコンスライダを用いた弾性表面波モータ(Surface acoustic wave linear motor using silicon slider)」、 1998年1月、微少電気機械システムのIEEE国際ワークショップ(IEEE International Workshop on Micro Electro Mechanical Systems), 予稿集(Proceedings), p.390-395
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
RIEでシリコンを異方性エッチングするため、シリコンスライダでは、円柱の上面(端面)と、円柱の側面とは、ほぼ直角である。弾性表面波モータの摩擦駆動面においては、シリコンスライダを構成する島状の突起において、接触と非接触を繰り返すため,ミクロ的な衝突を繰り返している。そのため,円柱形状の突起の摩耗が起こり,弾性表面波モータの寿命が限られた時間になっている。
【0007】
この摩擦駆動面の問題は、弾性表面波モータにのみ固有の問題ではなく、ステータと、このステータに対して移動するスライダ(移動子)を備える構造を伴う弾性表面波アクチュエータであれば、共通の問題である。
【0008】
上記問題を鑑み、本発明は、移動子とステータ間の摩擦係数が確保でき,長寿命で信頼性の高い弾性表面波アクチュエータ、この弾性表面波アクチュエータに用いる移動子、及びこの弾性表面波アクチュエータに用いるステータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の態様は、ステータの表面からレイリー波の運動エネルギを得て、レイリー波の伝搬方向と逆方向に、ステータに対し相対的に移動する移動子であって、この移動子が移動子基板と、この移動子基板よりもヤング率の大きな材料からなる複数の移動子セグメントの配列からなり、この複数の移動子セグメントのそれぞれの上面がステータに接する移動子セグメントアレイとを備え、複数の移動子セグメントのそれぞれの大きさを特徴づける、移動子セグメントの一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径のいずれかが、レイリー波の波長の1/40~1/80である移動子であることを特徴とする。
本発明の他の態様は、ステータと、このステータの表面からレイリー波の運動エネルギを得て、レイリー波の伝搬方向と逆方向に、ステータに対し相対的に移動する移動子と、この移動子をステータに加圧しながら保持するスライダ加圧板とを備える弾性表面波アクチュエータに用いられる移動子であって、移動子が移動子基板と、移動子基板のステータ側の面に設けられ、移動子基板よりもヤング率の大きな材料からなる複数の移動子セグメントの配列からなり、この複数の移動子セグメントのそれぞれの上面がステータに接する移動子セグメントアレイと、半球からなり、この半球の赤道面を移動子基板のステータ側の面に対向する側の面に接続したフリーホイール・ヘッドとを備え、フリーホイール・ヘッドがスライダ加圧板に対し、摺動しながら、自在に回転する移動子であることを特徴とする。
【0010】
本発明の更に他の態様は、レイリー波を表面に伝搬させ、このレイリー波の運動エネルギにより、このレイリー波の伝搬方向と逆方向に、移動子を相対的に移動させるステータであって、このステータがステータ圧電膜と、このステータ圧電膜よりもヤング率の大きな材料からなる複数のステータセグメントの配列からなり、この複数のステータセグメントのそれぞれの上面が移動子に接するステータセグメントアレイとを備え、複数のステータセグメントのそれぞれの大きさを特徴づける、ステータセグメントの一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径のいずれかが、レイリー波の波長の1/40~1/80であることを特徴とする。
【0011】
本発明の更に他の態様は、レイリー波を表面に伝搬させるステータと、このステータの表面からレイリー波の運動エネルギを得て、レイリー波の伝搬方向と逆方向に、ステータに対し相対的に移動する移動子とを備える弾性表面波アクチュエータであって、移動子が移動子基板と、この移動子基板よりもヤング率の大きな材料からなる複数の移動子セグメントの配列からなり、この複数の移動子セグメントのそれぞれの上面がステータに接する移動子セグメントアレイとを備え、複数の移動子セグメントのそれぞれの大きさを特徴づける、移動子セグメントの一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径のいずれかが、レイリー波の波長の1/40~1/80である弾性表面波アクチュエータであることを特徴とする。
本発明の更に他の態様は、レイリー波を表面に伝搬させるステータと、このステータの表面からレイリー波の運動エネルギを得て、レイリー波の伝搬方向と逆方向に、ステータに対し相対的に移動する移動子と、この移動子をステータに加圧しながら保持するスライダ加圧板とを備える弾性表面波アクチュエータであって、移動子が移動子基板と、移動子基板のステータ側の面に設けられ、移動子基板よりもヤング率の大きな材料からなる複数の移動子セグメントの配列からなり、この複数の移動子セグメントのそれぞれの上面がステータに接する移動子セグメントアレイと、半球からなり、この半球の赤道面を移動子基板のステータ側の面に対向する側の面に接続したフリーホイール・ヘッドとを備え、フリーホイール・ヘッドがスライダ加圧板に対し、摺動しながら、自在に回転する弾性表面波アクチュエータであることを特徴とする。
【0012】
本発明の更に他の態様は、レイリー波を表面に伝搬させるステータと、このステータの表面からレイリー波の運動エネルギを得て、レイリー波の伝搬方向と逆方向に、ステータに対し相対的に移動する移動子とを備える弾性表面波アクチュエータであって、ステータがステータ圧電膜と、このステータ圧電膜よりもヤング率の大きな材料からなる複数のステータセグメントの配列からなり、この複数のステータセグメントのそれぞれの上面が移動子に接するステータセグメントアレイとを備え、複数のステータセグメントのそれぞれの大きさを特徴づける、ステータセグメントの一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径のいずれかが、レイリー波の波長の1/40~1/80である弾性表面波アクチュエータであることを特徴とする。
【0013】
本発明の更に他の態様は、レイリー波を表面に伝搬させるステータと、このステータの表面からレイリー波の運動エネルギを得て、レイリー波の伝搬方向と逆方向に、ステータに対し相対的に移動する移動子とを備える弾性表面波アクチュエータであって、移動子が、移動子基板と、この移動子基板よりもヤング率の大きな材料からなる複数の移動子セグメントの配列からなり、この複数の移動子セグメントのそれぞれの上面がステータに接する移動子セグメントアレイとを備え、ステータが、ステータ圧電膜と、このステータ圧電膜よりもヤング率の大きな材料からなる複数のステータセグメントの配列からなり、この複数のステータセグメントのそれぞれの上面が移動子に接するステータセグメントアレイとを備え、複数の移動子セグメントのそれぞれの大きさを特徴づける、移動子セグメントの一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径のいずれかが、レイリー波の波長の1/40~1/80である弾性表面波アクチュエータであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、移動子とステータ間の摩擦係数が確保でき,長寿命で信頼性の高い弾性表面波アクチュエータ、この弾性表面波アクチュエータに用いる移動子、及びこの弾性表面波アクチュエータに用いるステータを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、図面を参照して、本発明の第1~第3の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0016】
又、以下に示す第1~第3の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータの基本構成図を図1に示す。ステータ11の表面にすだれ状電極(櫛型電極)からなる第1駆動電極13aと第2駆動電極13bを互いに対向して配置している。図2及び図3に示すように、ステータ11は、圧電材料である128°Y-カットのニオブ酸リチウム(LiNbO3)基板からなるステータ圧電膜111と、ステータ圧電膜111を搭載するステータ基板112とを備える。LiNbO3基板の厚さは、10MHzの駆動周波数であれば、例えば、1mm程度に選択すれば良く、5倍の50MHzの駆動周波数を用いれば、LiNbO3基板の厚みは、その1/5程度とすることができる。又、機械的強度を問わなければ、ステータ基板112を省略して、ステータ圧電膜111のみで、ステータ11を構成しても良い。
【0018】
図1に示すように、第1駆動電極13aには、第1出力増幅器15aを介して、高周波発信器18からの高周波が供給され、第2駆動電極13bには、第2出力増幅器15bを介して、高周波発信器18からの高周波が供給される。第1駆動電極13aに高周波電圧を印加することにより、第1駆動電極13aから右方向に、弾性表面波の一種であるレイリー波を励振し、ステータ圧電膜111の表面を伝播させることができ、第2駆動電極13bに高周波電圧を印加することにより、第2駆動電極13bから左方向に、レイリー波を励振し、ステータ圧電膜111の表面を伝播させることができる。レイリー波は、ステータ圧電膜111の表面において、縦波と横波が合成された大きなうねりとしての波であり、レイリー波の進行波中ではステータ圧電膜111の表面は楕円運動をしている。ステータ圧電膜111の表面に、図1に示すように移動子(スライダ)12を押しつけると、移動子(スライダ)12は、移動子(スライダ)12とステータ11との摩擦を介して、粒子の楕円運動が移動子(スライダ)12に伝達され、レイリー波進行方向と逆の向きに駆動される。即ち、移動子(スライダ)12は第1駆動電極13aに高周波電圧を印加すると左方向へ,第2駆動電極13bに高周波電圧を印加すると右方向に駆動される。又、移動子(スライダ)12とステータ11との間の十分な摩擦力を得るために移動子(スライダ)12には予圧があたえられ、これにより推力を高めることができる。
図1においては、図示を省略しているが、移動子(スライダ)12のステータ11に対する相対的な直線移動に案内するために、図2に示すようなステータ11を摺動可能に保持するステータ摺動台22、移動子(スライダ)12をステータ11に加圧しながら保持するスライダ加圧板23及び、ステータ摺動台22とスライダ加圧板23とを結合するボルト25a,25b、ナット26a,26bを備えるリニアガイドを用いている。ステータ11は、図2の紙面の手前と奥で両端が保持されている。そして、ステータ11に対し、リニアガイドが、移動子(スライダ)12と共に、図2の紙面の垂直方向に、直線移動する。但し、図2に示すリニアガイドは、一例であり、移動子(スライダ)12のステータ11に対する相対的な直線移動を補助する構造であれば、他の構造も採用可能であり、図2に示すようなリニアガイドの構造に限定する理由はない。
【0019】
移動子(スライダ)12とステータ11との間の十分な摩擦力を得るための一定予圧は、リニアガイドを構成する板ばね構造のスライダ加圧板23により実現される。このため、スライダ加圧板23には、ひずみゲージを貼り予圧の制御を行うことを可能にしている。 移動子(スライダ)12はステータ11の表面と平行に接触しなければ駆動が困難となる。そのため図3に示すように移動子(スライダ)12は、鋼球を半分に切った、剛性の高い半球からなるフリーホイール・ヘッド121と、このフリーホイール・ヘッド121に接着等により固定されたスライダ基板122と、スライダ基板122の表面にマトリクス状に設けられた、複数の移動子セグメント(スライダセグメント)123の配列からなる移動子セグメントアレイから構成されている。このフリーホイール・ヘッド121をスライダ加圧板23に対し、摺動しながら、自在に回転させることにより、自由度を持たせて予圧調整の困難さを解消している。
【0020】
図1に示すように、第1駆動電極13aの近傍には、移動子(スライダ)12の位置を測定する位置センサ14aが配置され、第2駆動電極13bの近傍にも、移動子(スライダ)12の位置を測定する位置センサ14bが配置され、移動子(スライダ)12の位置、及び速度を測定可能にしている。位置センサ14a及び位置センサ14bにより、移動子(スライダ)12の直線移動の反転位置がモニタされ、位置センサ14a及び位置センサ14bの出力信号は、制御回路16に入力される。位置センサ14a及び位置センサ14bとしては、フォトインタラプタ等の光学的センサが採用可能である。位置センサ14a及び位置センサ14bの代わりに、リニアエンコーダを採用し、リニアエンコーダにより移動子(スライダ)12の位置と速度を検出し、算出するようにしても良い。制御回路16は、切り換えスイッチ17を制御して、高周波発信器18からの高周波の供給を、第1出力増幅器15a又は第2出力増幅器15bに切り換える。即ち、位置センサ14aが移動子(スライダ)12が第1駆動電極13aの側の折り返し地点(終点)に近づいて来たことを検知した場合は、第1出力増幅器15aから第2出力増幅器15bへ接続を切り換え、第2駆動電極13bを駆動し、移動子(スライダ)12を第2駆動電極13bの方向に反転移動させる。一方、位置センサ14bが移動子(スライダ)12が第2駆動電極13bの側の折り返し地点に近づいて来たことを検知した場合は、第2出力増幅器15bから第1出力増幅器15aへ接続を切り換え、第1駆動電極13aを駆動し、移動子(スライダ)12を第1駆動電極13aの方向に反転移動させる。この操作を繰り返すことにより、移動子(スライダ)12は、第1駆動電極13aと第2駆動電極13bとの間を往復運動する。
【0021】
移動子(スライダ)12を構成する移動子セグメント(スライダセグメント)123の配列からなる移動子セグメントアレイは、図4に示すように、スライダ基板122の表面にマトリクス状に設けられている、スライダ基板122よりもヤング率が大きく硬い材料の島状突起である。スライダ基板122としてヤング率68GPaのアルミニウム(Al)若しくはヤング率58GPaのマグネシウム(Mg)を用いるのであれば、硬い材料としてはヤング率が100GPa以上、好ましくはヤング率が150GPaの材料が好ましい。この移動子セグメント(スライダセグメント)123を構成する島状突起の材料は、耐摩耗性材料であることが好ましく、ヤング率が150GPa以上で且つ耐摩耗性材料の代表例としては、ダイヤモンド様炭素(DLC)が好ましい。DLCでは、ヤング率が180GPa以上が可能である。耐摩耗性材料の他の例としては、チタン(Ti),シリコン(Si)、クロム(Cr)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)等の窒化物、例えば、TiN,TiAlN,Si34、CrN,SiAlON,TiAlBN,NbN等、或いはこれらの炭化物、例えば、TiC,SiC,Cr32,WC,W2C,W3C,TaC,NbC等、或いは、これらを複合化したものであっても良い。更に、Ti,ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、Ta,Cr,モリブデン(Mo),W,ランタン(La)の硼化物、例えば、TiB2、ZrB2、HfB2、VB2,NbB2,TaB2,CrB2,MoB,WB、LaB6等、或いは、これらを複合化したものであっても良い。また,ダイヤモンド,立方晶窒化ホウ素,Al23,ZnOであっても良い.但し、これらの材料のヤング率や耐摩耗性は、成膜方法等に依存し、例えば、SiCのヤング率はバルクでは400GPa程度であるが薄膜では100~200GPaであるので、注意が必要である。
【0022】
図4では、上面図がほぼ正方形に近い移動子セグメント(スライダセグメント)123の形状であるが、移動子セグメント(スライダセグメント)123の上面形状は、正方形に限定されず、長方形や3角形、5角形、6角形、8角形等の他の多角形でも良く、円形、長円形や楕円形等でも構わない。
【0023】
図5は、図4に示した複数の移動子セグメント(スライダセグメント)123の内の1について断面構造を示すが、移動子セグメント(スライダセグメント)123の上面は、曲率半径R=10μm~1mm程度、好ましくは曲率半径R=50μm~300μm程度、更に好ましくは曲率半径R=80μm~150μm程度の曲面であり、代表的には、例えば曲率半径R=100μm程度の値が採用可能である。概略的には、移動子セグメント(スライダセグメント)123の上面のなす曲率半径Rは、移動子セグメント(スライダセグメント)123の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径の4倍~8倍程度に設定すれば良いが、直径の半分である半球状の移動子セグメント(スライダセグメント)123でも良い。
【0024】
又、図5の符号Aで示した円内に位置する、移動子セグメント(スライダセグメント)123の上面の端部は、R≧1μm程度の丸みを有することが好ましい。
【0025】
移動子セグメント(スライダセグメント)123の上面は、必ずしも単一の曲率半径Rからなる曲面である必要はなく、曲率半径R=10μm~1mm程度の範囲から選ばれる複数の曲率半径の組み合わせからなる曲面でも構わない。
【0026】
特に、DLC膜はアモルファス炭素膜の中でも高硬度を有し、且つ、低摩擦係数・耐摩耗性など優れたトライボロジー特性を有するが、第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータでは、図4に示したようなマトリクス状に配列された複数の移動子セグメント(スライダセグメント)123の集合とすることで、通常の均一な単一膜としてのDLC膜に比べ、更に優れたトライボロジー特性を持たせることができる。
【0027】
図4に示すような、マトリクス状に配列された複数の移動子セグメント(スライダセグメント)123の配列からなる移動子セグメントアレイの製造には,ソースガスとしてメタン(C22)を用いたプラズマCVDを用いれば良い。例えば、プラズマ励起のRF電源周波数として、13.56MHzを用い、基板バイアス電圧として-10kVpとし、メタン流量を14.1×10-3L/分とし、CVD圧力を3Pa、CVD時間を2時間とすれば、図4に示すように、厚さ200nm~2μm程度、好ましくは0.8μm~1.5μm程度、例えば約1.2μm程度の移動子セグメント(スライダセグメント)123を複数マトリクス状に配列して、移動子セグメントアレイが製造できる。DLCの堆積前にスライダ基板122としてのアルミニウム(Al)基板をスパッタエッチングするのが好ましい。これはスライダ基板122上の不純物を取り除くとともに、スライダ基板122の表面の酸化被膜を取り除くためである。スパッタガスにはアルゴン(Ar)を用い、例えば、Arの流量1.69×10-2Pa・m3/秒(=10sccm),圧力11Pa、出力50Wで10分間程度の処理が採用可能であるが、これに限定される必要はない。なお、スライダ基板122としてアルミニウム(Al)等の金属基板を用いる場合は、DLC膜と金属基板の密着力を高めるためにDLC膜と金属基板の間に中間層としてシリコン層をマグネトロンスパッタ法により厚さ約100~200nm堆積すれば良い。
【0028】
図4に示すようなマトリクス状に配列されたセグメント構造のDLCは、CVD成膜時に図6に示すようなタングステン線の金網からなるメッシュ電極(カソード)30の上に、スライダ基板122の表面を下向きにして搭載し、支持部31a,31b,31cを用いてプラズマCVD装置の内部に陽極と対向するように配置すれば良い(実際のスライダ基板122とメッシュ電極(カソード)30との上下関係は、図6とは、逆でも良い。要は、スライダ基板122の表面の一部がタングステン線の金網でマスキングされれば良い。)。メッシュ電極(カソード)30のメッシュサイズを20μm×20μmとし、タングステンの線径をφ20μmとして、スライダ基板122の表面を格子状にマスキングすることにより、図4に示すようなマトリクス状に配列されたセグメント構造が実現できる。メッシュ電極(カソード)30は、支持部31a,31b,31cを用い、CVD成膜時には電気的に浮いている状態にしておく。
【0029】
この結果、図4に示すように、1の移動子セグメント(スライダセグメント)123あたりの面積が約20×20mm程度である移動子セグメント(スライダセグメント)123の複数が、一定間隔でマトリクス状に分布している構造となる。4mm角のスライダ基板122を使用した場合には、すべての移動子セグメント(スライダセグメント)123の接触総面積は約4.2mmとなる。
【0030】
弾性表面波アクチュエータの移動子(スライダ)12とステータ11との間における摩擦駆動面では,一様な接触状態が求められる。「一様」とは,移動子(スライダ)12とステータ11との接触圧力が場所によらず一定で互いの凹凸にも影響を受けにくいことを意味する。背景技術の欄で説明したシリコンスライダは,シリコンウエハ表面にドライエッチングなどで突起の分布を形成して突起上面を摩擦駆動面として用いる構造である。シリコンスライダは一様な接触が得られ,優れた駆動特性を獲得したという報告もあるが、母材としてシリコンウエハを用いなければならない,突起の端部に丸みを持たせる加工が困難といった問題を含んでいる。第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータでは,図6に示すようなタングステン線の金網からなるメッシュ電極(カソード)30を用いたプラズマCVDを行うことにより、図5に示すような、移動子セグメント(スライダセグメント)123の上面が、曲率半径R=10μm~1mm程度の曲面であり、移動子セグメント(スライダセグメント)123の上面の端部が、R≧1μm程度の丸みを有する構造が簡単に実現できるので、シリコンスライダの加工上の問題を解決することが容易に可能である。
【0031】
図4に示すような、移動子セグメント(スライダセグメント)123の配列からなる移動子セグメントアレイの適用により耐摩耗性が向上し、同時に、従来のシリコンスライダと同程度以上の性能を確保することができる。
【0032】
シリコンスライダは、<100>方向で130GPa,<110>方向で170GPa,<111>方向で190GPaと大きなヤング率を有するシリコンからなる。更に、シリコンスライダに対向する摩擦駆動面の材料も、ヤング率が大きな硬い材料が多い。ステータ圧電膜とスライダ(移動子)の双方が硬い材料の場合,図3のように、剛性の高い半球からなるフリーホイール・ヘッド121を用いて、巨視的(マクロ)には平行性が得られたとしても、シリコンスライダを用いた場合には、微視的に平行とするのが困難であるため,移動子(スライダ)12とステータ11の間の接触面で接触面積が減少し,性能が低下してしまう。
【0033】
第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータでは、移動子(スライダ)12とステータ11の面が接する摩擦駆動面において、移動子(スライダ)12に、スライダ基板122とその表面に形成された移動子セグメント(スライダセグメント)123からなる摩擦駆動面を構成し,ステータ11は一般的材料の平面とする。上述したように、移動子セグメント(スライダセグメント)123を構成する材料はスライダ基板122よりもヤング率が大きく硬い材料である。図5に示すように、移動子セグメント(スライダセグメント)123の上面(摩擦駆動に用いられる面)が曲面になり、若しくは端部が丸くなっていれば、図7に示すように、移動子セグメント(スライダセグメント)123上面が対となるステータ圧電膜111の表面に接触する際,対となるステータ圧電膜111の表面の凹凸に応じて移動子セグメント(スライダセグメント)123の接触面は姿勢を変えなければならない(図7では、高さΔのミクロな凸部を模式的に示している。)。移動子セグメント(スライダセグメント)123を支持するスライダ基板122が移動子セグメント(スライダセグメント)123に比べて、ヤング率が小さく柔らかい材料を選定しておけば、図7に示すように、微視的にスライダ基板122が弾性変形し、受動的に移動子セグメント(スライダセグメント)123の姿勢が対面と微視的に平行になり,微視的に一様な接触を実現することが可能である。
【0034】
128°Y-カットのLiNbO3基板からなるステータ圧電膜111の場合、弾性表面波の周波数が200MHzでは、弾性表面波の波長は、約20μmである。弾性表面波の周波数が50MHz以上の高周波の場合、移動子セグメント(スライダセグメント)123の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径は、図8に示すように、弾性表面波の波長と同程度、若しくはその数倍程度に設定可能である。マトリクス状に複数の移動子セグメント(スライダセグメント)123を配置するピッチを、弾性表面波の波長に対して長くしすぎると、接触しない部分が増えるので好ましくない。したがって、マトリクス状に複数の移動子セグメント(スライダセグメント)123を配置する場合の、互いに隣接する移動子セグメント(スライダセグメント)123間の距離は、弾性表面波の波長と同程度、若しくは弾性表面波の波長より短くなるように設定するのが好ましい。
【0035】
一方、128°Y-カットのLiNbO3基板からなるステータ圧電膜111の場合、弾性表面波の周波数が10MHzでは、弾性表面波の波長は、約400μmであるので、この場合、移動子セグメント(スライダセグメント)123の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径を、図8に示すように、弾性表面波の波長と同程度、若しくはその数倍程度に設定することは、理論的に可能であるが、あまり効率的ではない。弾性表面波の周波数が10MHz~50MHz程度では、図9に示すように、移動子セグメント(スライダセグメント)123の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径を、弾性表面波の波長に比して十分小さく設定することが好ましい。「十分小さく設定」とは、弾性表面波の波長の少なくとも1/5以下、好ましくは1/10以下を意味し、より好ましくは1/20以下である。より具体的には、移動子セグメント(スライダセグメント)123の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径を、弾性表面波の波長の1/40~1/80程度にすれば良い。
【0036】
マトリクス状に複数の移動子セグメント(スライダセグメント)123を配置する場合のピッチや密度は、弾性表面波の波長と移動子セグメント(スライダセグメント)123の接触総面積を考慮して設定されるが、一般的には、移動子セグメント(スライダセグメント)123の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径と同程度のピッチが好ましい。
【0037】
但し、あまりに、移動子セグメント(スライダセグメント)123の一辺の長さ、対角線の長さ、若しくは直径、及び移動子セグメント(スライダセグメント)123の配置のピッチを小さくすることは、加工技術上の困難が伴う。弾性表面波の周波数が50MHz以上の高周波の場合も、移動子セグメント(スライダセグメント)123の一辺の長さ、対角線の長さ、若しくは直径、及び移動子セグメント(スライダセグメント)123の配置のピッチを、弾性表面波の波長に比して十分小さく設定することは好ましいが、弾性表面波の周波数が高くなればなるほど、微細加工が必要になるので、現在の加工技術の最小値により、最小寸法が決まることになる。
【0038】
図4に示すように、約20×20mmの移動子セグメント(スライダセグメント)123を4mm角のスライダ基板122を配置した移動子(スライダ)12を、厚さ1mm、128°Y-カットのLiNbO3基板からなるステータ圧電膜111に対向させた、10MHの弾性表面波リニアモータにおいて、入力電流を1.2A0-p,1.4A0-p,1.7A0-p,1.9A0-p,2.3A0-pと変化させたときのスライダ速度の過渡応答特性を図10に示す。移動子(スライダ)12への予圧は20Nである。図10より移動子(スライダ)12の効率良い駆動が確認できる。入力電流を1.2A0-p~2.3A0-pと大きくするにつれ到達できる最大スライダ速度は速くなることが分かる。図10の場合は、ステータ圧電膜111のストロークが22mmと短いため定常速度に達してはいないが、到達できる最高速度は、更に速くなると考えられる。
【0039】
図10と同一構造の10MHの弾性表面波リニアモータにおいて、予圧を11n,20N,29Nと変化させたときの入力電流とスライダ推力の関係を図11に示す。スライダ推力は移動子(スライダ)12の等価質量と立ち上がり加速度より導出した。入力電流を大きくすると得られるスライダ推力は大きくなる。又測定の範囲では予圧を大きくするにつれ,得られるスライダ推力が大きくなっていき,最大スライダ推力4Nを得た。
【0040】
図10及び図11に示す結果により、移動子(スライダ)12の摩擦駆動面の構造として、移動子セグメント(スライダセグメント)123を多数、マトリクス状に配列した移動子セグメントアレイの構造は有効であることが分かる。
【0041】
(第2の実施の形態)
図13に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータの基本構成図は、図1と同様な構成であり、ステータ圧電膜111の表面にすだれ状電極(櫛型電極)からなる第1駆動電極13aと第2駆動電極13bを互いに対向して配置している。第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータで説明したように、ステータ圧電膜111は、LiNbO3基板等からなり、ステータ圧電膜111の表面には、第1駆動電極13a及び第2駆動電極13bとしてのすだれ状電極(櫛型電極)は微細加工技術が必要であり、ディスポーザブルスライダ12dに比べて製造コストが高い。このため、ステータ11を頻繁に交換すると運用コストが高くなってしまう。
【0042】
そこで,第2の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータでは、図12に示すように、ステータ圧電膜111の摩擦駆動面の表面にマトリクス状に配列された複数のステータセグメント113の配列からなるステータセグメントアレイを形成している。ステータ圧電膜111表面に、ステータ圧電膜111よりもヤング率が大きい(硬い)材料のステータセグメント113を備える。更に、ステータセグメント113の構造に耐摩耗性材料を用いることにより、ステータ圧電膜111とディスポーザブルスライダ12d間の摩擦駆動性能を確保しつつステータ11の耐摩耗性を向上させる。これにより,長期にわたりステータ11のメンテナンスを不要にできる。
【0043】
一方,第2の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータのディスポーザブルスライダ12dは、図示を省略しているが、図3と同様に、鋼球を半分に切った、剛性の高い半球からなるフリーホイール・ヘッド121と、このフリーホイール・ヘッド121に接着等により固定されたスライダ基板122とを備える。しかし、第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータとは異なり、スライダ基板122の表面にマトリクス状に設けられた複数の移動子セグメント(スライダセグメント)123を有せず、ステータ圧電膜111の摩擦駆動面と対になるディスポーザブルスライダ12dの表面に、ステータセグメント113を構成する材料よりも柔らかい材料をからなるスライダ基板122が露出している。例えば、ディスポーザブルスライダ12dのスライダ基板122をAl,Mg等の金属板などの柔らかい材料で構成し、ステータセグメント113をDLC膜で構成すれば、DLC膜に比べて、スライダ基板122は摩耗しやすくなるため,スライダ基板122のみを使い捨てにできる構造とする。こうすると,スライダ基板122の表面の摩耗により駆動性能が低下した場合は,ディスポーザブルスライダ12dのスライダ基板122のみ交換すれば良い。ディスポーザブルスライダ12dのスライダ基板122を交換すると,この弾性表面波アクチュエータは新品に戻るため,簡単なメンテナンスにより弾性表面波アクチュエータの寿命を延ばすことが可能となる。
【0044】
移動子セグメント(スライダセグメント)123と同様に、ステータセグメント113の上面形状は、正方形に限定されず、長方形や3角形、5角形、6角形、8角形等の他の多角形でも良く、円形、長円形や楕円形等でも構わない。ステータセグメント113の断面形状は、図5に示した移動子セグメント(スライダセグメント)123の断面形状と同様であり、ステータセグメント113の上面は、曲率半径R=10μm~1mm程度、好ましくは曲率半径R=50μm~300μm程度、更に好ましくは曲率半径R=80μm~150μm程度の曲面であり、代表的には、例えば曲率半径R=100μm程度の値が採用可能である。概略的には、ステータセグメント113の上面のなす曲率半径Rは、ステータセグメント113の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径の4倍~8倍程度に設定すれば良いが、直径の半分である半球状のステータセグメント113でも良い。
【0045】
又、図5の符号Aで示した円内に位置する、ステータセグメント113の上面の端部は、R≧1μm程度の丸みを有することが好ましい。
【0046】
ステータセグメント113の上面は、必ずしも単一の曲率半径Rからなる曲面である必要はなく、曲率半径R=10μm~1mm程度の範囲から選ばれる複数の曲率半径の組み合わせからなる曲面でも構わない。
【0047】
図12に示すようなマトリクス状に配列されたセグメント構造のDLCは、第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータで説明したと同様に、CVD成膜時に図6に示すようなタングステン線の金網からなるメッシュ電極(カソード)30を用いれば、簡単に製造できる。即ち、メッシュ電極(カソード)30の上に、ステータ圧電膜111の表面を下向きにして搭載し、支持部31a,31b,31cを用いてプラズマCVD装置の内部に陽極と対向するように配置すれば良い。メッシュ電極(カソード)30のメッシュサイズを20μm×20μmとし、タングステンの線径をφ20μmとして、ステータ圧電膜111の表面を格子状にマスキングすることにより、図12に示すようなマトリクス状に配列されたセグメント構造が実現できる。
【0048】
摩擦駆動面では,ディスポーザブルスライダ12dとステータ11の面が接している。ステータ11は、ステータ圧電膜111とその表面に形成されたステータセグメント113からなる摩擦駆動面を構成し,スライダ基板122は一般的材料の平面とする。ステータセグメント113を構成する材料はステータ圧電膜111よりもヤング率が大きい(硬い)材料である。図7に示したのと同様に(図7で上下を逆に解釈すべきであるが)、ステータセグメント113上面が対となるスライダ基板122の表面に接触する際,対となるスライダ基板122の表面の凹凸に応じてステータセグメント113の接触面は姿勢を変えなければならない。ステータセグメント113を支持するステータ圧電膜111がステータセグメント113に比べて柔らかいため,図7に示すように、ステータ圧電膜111が微視的に弾性変形し、受動的にステータセグメント113の姿勢が対面と微視的に平行になり,微視的に一様な接触を実現することが可能である。
【0049】
図12に示すように、ステータセグメント113の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径を、弾性表面波の波長に比して十分小さく設定することが好ましい。「十分小さく設定」とは、弾性表面波の波長の少なくとも1/5以下、好ましくは1/10以下を意味し、より好ましくは1/20以下である。周波数にも依存するが、10MHzでは、ステータセグメント113の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径を、弾性表面波の波長の1/40~1/80程度にすれば良い。又、マトリクス状に複数のステータセグメント113を配置する場合のピッチや密度は、弾性表面波の波長とステータセグメント113の接触総面積を考慮して設定されるが、一般的には、ステータセグメント113の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径と同程度のピッチが好ましい。
【0050】
他の構造は、図1~図3に示した第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータと基本的に同様であるので、重複した説明は省略する。
【0051】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータでは、図14に示すように、ステータ圧電膜111の摩擦駆動面の表面にマトリクス状に配列された複数のステータセグメント113の配列からなるステータセグメントアレイを形成している。ステータ圧電膜111表面に、ステータ圧電膜111よりもヤング率が大きい(硬い)材料のステータセグメント113の配列からなるステータセグメントアレイを備える。
【0052】
一方,第3の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータの移動子(スライダ)12は、図示を省略しているが、図3と同様に、鋼球を半分に切った、剛性の高い半球からなるフリーホイール・ヘッド121と、このフリーホイール・ヘッド121に接着等により固定されたスライダ基板122と、スライダ基板122の表面にマトリクス状に設けられた、スライダ基板122よりもヤング率が大きい(硬い)材料の複数の移動子セグメント(スライダセグメント)123の配列からなる移動子セグメントアレイから構成されている。
【0053】
更に、ステータセグメント113及び移動子セグメント(スライダセグメント)123に共に耐摩耗性材料を用いている。このため、ステータ11と移動子(スライダ)12間の摩擦駆動性能を確保しつつ、ステータ11と移動子(スライダ)12の両方の耐摩耗性を向上させ、長期にわたりメンテナンスを不要にできる。
【0054】
第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータで説明したとおり、移動子セグメント(スライダセグメント)123の上面形状は、正方形に限定されず、長方形や3角形、5角形、6角形、8角形等の他の多角形でも良く、円形、長円形や楕円形等でも構わない。又、図5に示すように、移動子セグメント(スライダセグメント)123の上面は、曲率半径R=10μm~1mm程度、好ましくは曲率半径R=50μm~300μm程度、更に好ましくは曲率半径R=80μm~150μm程度の曲面であり、代表的には、例えば曲率半径R=100μm程度の値が採用可能である。概略的には、移動子セグメント(スライダセグメント)123の上面のなす曲率半径Rは、移動子セグメント(スライダセグメント)123の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径の4倍~8倍程度に設定すれば良いが、直径の半分である半球状の移動子セグメント(スライダセグメント)123でも良い。又、図5の符号Aで示した円内に位置する、移動子セグメント(スライダセグメント)123の上面の端部は、R≧1μm程度の丸みを有することが好ましい。移動子セグメント(スライダセグメント)123の上面は、必ずしも単一の曲率半径Rからなる曲面である必要はなく、曲率半径R=10μm~1mm程度の範囲から選ばれる複数の曲率半径の組み合わせからなる曲面でも構わない。
【0055】
移動子セグメント(スライダセグメント)123と同様に、ステータセグメント113の上面形状は、正方形に限定されず、長方形や3角形、5角形、6角形、8角形等の他の多角形でも良く、円形、長円形や楕円形等でも構わない。ステータセグメント113の断面形状は、図5に示した移動子セグメント(スライダセグメント)123の断面形状と同様であり、ステータセグメント113の上面は、曲率半径R=10μm~1mm程度、好ましくは曲率半径R=50μm~300μm程度、更に好ましくは曲率半径R=80μm~150μm程度の曲面であり、代表的には、例えば曲率半径R=100μm程度の値が採用可能である。概略的には、ステータセグメント113の上面のなす曲率半径Rは、ステータセグメント113の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径の4倍~8倍程度に設定すれば良いが、直径の半分である半球状のステータセグメント113でも良い。又、図5の符号Aで示した円内に位置する、ステータセグメント113の上面の端部は、R≧1μm程度の丸みを有することが好ましい。ステータセグメント113の上面は、必ずしも単一の曲率半径Rからなる曲面である必要はなく、曲率半径R=10μm~1mm程度の範囲から選ばれる複数の曲率半径の組み合わせからなる曲面でも構わない。
【0056】
図14に示す移動子セグメント(スライダセグメント)123及びステータセグメント113は、DLCで実現するのが好ましく、この場合、第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータで説明したと同様に、CVD成膜時に図6に示すようなタングステン線の金網からなるメッシュ電極(カソード)30を用いれば、簡単に製造できる。
【0057】
第3の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータの摩擦駆動面では,移動子(スライダ)12に、スライダ基板122とその表面に形成された移動子セグメント(スライダセグメント)123からなる摩擦駆動面を構成し,ステータ11に、ステータ圧電膜111とその表面に形成されたステータセグメント113からなる摩擦駆動面を構成し、互いに接している。移動子セグメント(スライダセグメント)123を構成する材料はスライダ基板122よりもヤング率が大きい(硬い)材料であり、ステータセグメント113を構成する材料はステータ圧電膜111よりもヤング率が大きい(硬い)材料である。ステータセグメント113の上面が対となる移動子セグメント(スライダセグメント)123の下面に接触する際,対となるスライダ基板122又は移動子セグメント(スライダセグメント)123の表面の凹凸に応じてステータセグメント113の接触面は姿勢を変えなければならない。ステータセグメント113を支持するステータ圧電膜111が、ステータセグメント113に比べて柔らかいため,ステータ圧電膜111が微視的に弾性変形し、受動的にステータセグメント113の姿勢が対面と微視的に平行になる。同時に、移動子セグメント(スライダセグメント)123を支持するスライダ基板122が移動子セグメント(スライダセグメント)123に比べて柔らかいため,スライダ基板122が微視的に弾性変形し、受動的に移動子セグメント(スライダセグメント)123の姿勢が対面と微視的に平行になり,微視的に一様な接触を実現することが可能である。
【0058】
図14に示すように、ステータセグメント113の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径を、弾性表面波の波長に比して十分小さく設定することが好ましい。「十分小さく設定」とは、弾性表面波の波長の少なくとも1/5以下、好ましくは1/10以下を意味し、より好ましくは1/20以下である。周波数にも依存するが、10MHzでは、ステータセグメント113の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径を、弾性表面波の波長の1/40~1/80程度にすれば良い。又、ステータセグメント113を配置する場合のピッチや密度は、弾性表面波の波長とステータセグメント113の接触総面積を考慮して設定されるが、一般的には、ステータセグメント113の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径と同程度のピッチが好ましい。
【0059】
一方、移動子セグメント(スライダセグメント)123の一辺の長さ、対角線の長さ、又は直径は、図14に示すように、弾性表面波の波長と同程度、若しくはその数倍程度に設定可能である。複数の移動子セグメント(スライダセグメント)123を配置するピッチを、弾性表面波の波長に対して長くしすぎると、接触しない部分が増えるので好ましくない。したがって、互いに隣接する移動子セグメント(スライダセグメント)123間の距離は、弾性表面波の波長と同程度、若しくは弾性表面波の波長より短くなるように設定するのが好ましい。
【0060】
他の構造は、図1~図3に示した第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータと基本的に同様であるので、重複した説明は省略する。
【0061】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1~第3の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0062】
例えば、図1において、制御回路16が切り換えスイッチ17を制御して、高周波発信器18からの高周波の供給を、第1出力増幅器15a又は第2出力増幅器15bに切り換える回路構成を示したが、図1の回路構成は例示であり、これに限定されるものではない。例えば、切り換えスイッチ17と高周波発信器18との間に、共通の出力増幅器を接続し、共通の出力増幅器の出力を、切り換えスイッチ17を用いて、第1駆動電極13a又は第2駆動電極13bに切り換えるような回路構成でも構わない。このような回路構成でも、同様に、位置センサ14aが移動子(スライダ)12が第1駆動電極13aの側の折り返し地点(終点)に近づいて来たことを検知した場合は、第2駆動電極13bを駆動し、移動子(スライダ)12を第2駆動電極13bの方向に反転移動させ、位置センサ14bが移動子(スライダ)12が第2駆動電極13bの側の折り返し地点に近づいて来たことを検知した場合は、第1駆動電極13aを駆動し、移動子(スライダ)12を第1駆動電極13aの方向に反転移動させることができる。
【0063】
又、既に述べた第1~第3の実施の形態の説明においては、ステータ11と移動子(スライダ)12とからなる弾性表面波リニアモータについて説明したが、ステータ11に対して回転するロータを備える弾性表面波回転モータに対しても適用可能であり、更に、弾性表面波ポンプ等の種々のアクチュエータにも適用可能である。
【0064】
更に、既に述べた第1~第3の実施の形態の説明においては、ステータ圧電膜111の表面にすだれ状電極(櫛型電極)からなる第1駆動電極13aと第2駆動電極13bを互いに対向して配置した構造を説明した。しかし、給電方法に工夫がいるが、移動子(スライダ)12側に駆動電極を設け、移動子(スライダ)12を自走させるような構造でも構わない。
【0065】
或いは、既に述べた第1~第3の実施の形態の説明において、移動子(スライダ)12の位置の方を絶対座標に固定し、ステータ11側を移動子(スライダ)12に対し相対的に移動させるような態様でも構わない。要は、移動子(スライダ)12と移動子(スライダ)12とが相対的に移動すれば良いので、どちらが固定されているかは、重要ではなく、したがって、種々の弾性表面波アクチュエータに本発明の技術的思想は適用可能である。
【0066】
更に、弾性表面波はすだれ状電極(櫛型電極)以外に、ガンダイオード等を用いて励起する方法でも構わない。
【0067】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータの概略構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータのリニアガイドを含めた概略構成を説明する断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータの移動子(スライダ)の構造を詳細に説明する断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータの移動子セグメントアレイの構造を詳細に説明する上面図(写真)である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータの移動子セグメントアレイを構成する移動子セグメント(スライダセグメント)12の構造を模式的に説明する断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る移動子セグメントアレイの製造方法の一部をなすプラズマCVDに用いるメッシュ電極(カソード)を模式的に説明する鳥瞰図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータの移動子(スライダ)における、スライダ基板の微視的な弾性変形を説明する模式的な断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータの移動子セグメントアレイの寸法と、弾性表面波の波長との関係を説明する模式的な断面図である(その1)。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータの移動子セグメントアレイの寸法と、弾性表面波の波長との関係を説明する模式的な断面図である(その2)。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータにおいて、入力電流を変化させたときのスライダ速度の過渡応答特性を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータにおいて、予圧を変化させたときの入力電流とスライダ推力の関係を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータのステータセグメントアレイの寸法と、弾性表面波の波長との関係を説明する模式的な断面図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータの概略構成を説明するブロック図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る弾性表面波アクチュエータの移動子セグメントアレイ及びステータセグメントアレイの寸法と、弾性表面波の波長との関係を説明する模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0069】
11…ステータ
12d…ディスポーザブルスライダ
13a…第1駆動電極
13b…第2駆動電極
14a…位置センサ
14b…位置センサ
15a…第1出力増幅器
15b…第2出力増幅器
16…制御回路
17…切り換えスイッチ
18…高周波発信器
22…ステータ摺動台
23…スライダ加圧板
25a,25b…ボルト
26a,26b…ナット
30…メッシュ電極(カソード)
31a,31b,31c…支持部
111…ステータ圧電膜
112…ステータ基板
113…ステータセグメント
121…フリーホイール・ヘッド
122…スライダ基板
123…移動子セグメント(スライダセグメント)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図6】
3
【図7】
4
【図8】
5
【図9】
6
【図12】
7
【図13】
8
【図14】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
12
【図11】
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