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明細書 :新規な含フッ素重合体、その重合体の製造法および1,6—ジエン型エーテルの製造法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4399608号 (P4399608)
公開番号 特開2007-314586 (P2007-314586A)
登録日 平成21年11月6日(2009.11.6)
発行日 平成22年1月20日(2010.1.20)
公開日 平成19年12月6日(2007.12.6)
発明の名称または考案の名称 新規な含フッ素重合体、その重合体の製造法および1,6—ジエン型エーテルの製造法
国際特許分類 C08F  16/32        (2006.01)
C07C  41/16        (2006.01)
C07C  43/192       (2006.01)
FI C08F 16/32
C07C 41/16
C07C 43/192
請求項の数または発明の数 3
全頁数 10
出願番号 特願2006-142290 (P2006-142290)
出願日 平成18年5月23日(2006.5.23)
審査請求日 平成18年5月23日(2006.5.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
発明者または考案者 【氏名】久保田 俊夫
【氏名】高木 絢子
個別代理人の代理人 【識別番号】100074631、【弁理士】、【氏名又は名称】高田 幸彦
【識別番号】100161702、【弁理士】、【氏名又は名称】橋本 宏之
審査官 【審査官】中島 玲奈
参考文献・文献 特開平08-337609(JP,A)
特開2001-206864(JP,A)
特表平08-504810(JP,A)
特開2006-016571(JP,A)
特開平06-072939(JP,A)
特開2004-262787(JP,A)
特開2004-155680(JP,A)
調査した分野 C08F 6/00 - 246/00
C07C 41/16
C07C 43/192
CA/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)で表される構造及び/又は式(2)で表される構造を含有する含フッ素重合体。
【化1】
JP0004399608B2_000012t.gif

(ここでnは、100以下の整数である)
【化2】
JP0004399608B2_000013t.gif

(ここでnは、100以下の整数である)
【請求項2】
請求項1の含フッ素重合体において、前記含フッ素重合体の中間体であり、オクタフルオロシクロペンテンとホモアリルアルコール又はその誘導体とを反応させて得られる6-ジエン型エーテルを重合することを特徴とする含フッ素重合体の製造法。
【請求項3】
オクタフルオロシクロペンテンとホモアリルアルコール又はその誘導体とを反応させることを特徴とする1,6-ジエン型エーテルの製造法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な含フッ素重合体、その重合体の製造法およびその中間体である1,6—ジエン型エーテルの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素系ポリマーの代表例であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、高度な耐熱性、耐薬品性を示すが、結晶性であるため不透明である。また、サイトップ(登録商標)やテフロン(登録商標)AFは、非晶質、溶剤可溶の透明ポリマーで、低反射膜などに利用されているが、ガラス転移点が低く、用途に制限をうける。
【0003】
一方、オクタフルオロシクロペンテン(OFCP)は工業的に製造されているシクロオレフィンであるが、重合性に乏しいため、モノマーとしての利用例は非常に少ない。
【0004】
本発明者らは、フッ素アニオン存在下のOFCPとシリル=エノール=エーテルとの反応では、対応する付加-脱フルオリド生成物であるジビニルエーテルが得られ、この化合物のラジカル重合性は確認できなかったが、カチオン開始によるシクロペンテンペンダントをもつオリゴマー生成が可能であることをすでに報告している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、新規な含フッ素重合体、その重合体の製造法およびその中間体である下記に示す1,6-ジエン型エーテルの製造法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、下記式(1)で表される構造及び/又は式(2)で表される構造を含有する新規なフッ素系重合体、
【化1】
JP0004399608B2_000002t.gif
(ここでnは、100以下の整数である)
【化2】
JP0004399608B2_000003t.gif
(ここでnは、100以下の整数である)
1,6-ジエン型エーテルを重合することを特徴とするその重合体の製造法およびオクタフルオロシクロペンテンとホモアリルアルコール又はその誘導体とを反応させることを特徴とする1,6-ジエン型エーテルの製造法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、透明性が高く、高いガラス転移点を有し、溶媒可溶で成形性を備えた新規な含フッ素重合体およびその重合体の製造法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記の式で示される重合体は1.6-ジエン型エーテルを重合することによって得られる。
1.6-ジエン型エーテルは、
オクタフルオロシクロペンテン
【化3】
JP0004399608B2_000004t.gif
とホモアリルアルコール(3-ブテン-1-オール)又はその誘導体
【化4】
JP0004399608B2_000005t.gif
(ここでRは、水素,低級アルキル基またはアリール基、Rは水素,低級アル
キル基またはアリール基を示す)
とを反応させることによって得られる。
【0009】
1,6-ジエン型エーテルの製造反応は、ホモアリルアルコール又はその誘導体1モルに対してオクタフルオロシクロペンテンを1~10モル、好ましくは2~4モルとして行うことが好ましい。通常大気圧下で行なわれ、KOHの存在下に非溶媒で行なうことが好ましい。反応時間は通常1ないし24時間とされる。この反応は下記の式で示される。
【0010】
【化5】
JP0004399608B2_000006t.gif

【0011】
重合体は、1,6-ジエン型エーテルの重合によって得られるが、塊状重合で行なうことが好ましい。重合温度は、60℃~120℃の範囲で行なうことが好ましい。重合時間は通常4~48時間、好ましくは6~12時間とされる。
【0012】
開始剤として一般的なラジカル開始剤を使用でき、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等が用いられる。
【0013】
上記の式(1)および式(2)におけるnの値は100以下の整数とされるが、通常は60以下とされる。
【0014】
本発明になる重合体のガラス転移点の範囲は175~195℃とされる。
(実施例1)
【0015】
1—(3-ブテニルオキシ)—2,3,3,4,4,5,5—ヘプタフルオロシクロペンテンの合成
アルゴン雰囲気下、OFCP2.09g(9.86mmol)に水酸化カリウム0.44g(7.84mmol)を加え、0℃に冷却し、3-ブテン-1-オール0.26ml(3mmol)をゆっくり滴下した。0℃で1時間撹拌後、室温に昇流し、2時間撹拌した。水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥後、得られた油状残渣を常圧蒸留した。収量0.70g(2.7mmol)。収率88%。この生成物の各種スペクトルを図1、図2、図3に示す。
(実施例2~6)
【0016】
1—(3—ブテニロキシ)—2,3,3,4,4,5,5—ヘプタフルオロシクロペンテンの単独塊状重合
ガラス製重合管に1—(ブテニルオキシ)—2,3,3,4,4,5,5—ヘプタフルオロシクロペンテン1.32g(5mmol)と過酸化ベンゾイル0.0061g(0.5mol%)を入れ、(1)-78℃冷却下脱気および(2)室温融解を3回繰り返し、封管した。80℃で24時間重合後、得られたポリマーを少量のテトラヒドロフランに溶かし、メタノール中に滴下し、再沈殿、デカンテーションの後、含有溶媒を減圧留去した。ポリマー収率85%。
【0017】
開始剤の仕込み比率を変化させ重合を行なった結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
JP0004399608B2_000007t.gif

【0019】
いずれの開始剤でも、重量平均分子量約8,000~15,000程度のポリマーが得られた。一般的なビニル化合物のラジカル重合と同様に、開始剤の増量により分子量が減少する傾向も認められた。示差走査熱量計(DSC)によるガラス転移点が約190℃でサイトップ(登録商標)の108℃よりも高かった。熱重量分析における10%減量温度は290~345℃であった。図7に示すUV-visスペクトルからBPOを用いた場合には280nm以上、AIBNを用いた場合には245nm以上の紫外及び可視領域で完全に透明であることが示される。
【0020】
また、一定濃度0.5mol%の開始剤(BPO)を用い、80℃(熱分解半減期約4.5時間)で重合時間を変化させて重合を行った結果、重合時間にかかわらず分子量がほぼ一定であったことから、BPO分解速度より重合反応速度の方が極端に速いことが示唆された(表2)。
【0021】
【表2】
JP0004399608B2_000008t.gif

【0022】
生成したポリマーのH-NMR(図4)では、ビニルプロトンシグナル、19F-NMR(図5)ではシクロペンテニル基のC(sp)-Fシグナルの完全な消失が確認された。また、IRスペクトル(図6)から炭素-炭素二重結合の吸収も完全に消失した。
【0023】
この結果から、ホモアリル部分のみがビニル重合し、シクロペンテニルをペンダントとする構造3aは含まれず、ホモアリルおよびシクロペンテニルの両方の二重結合が重合に関与した、縮環型3b及びスピロ型3cのいずれか又は双方の環化構造を含有するポリマーであると推測できる(nは100以下の整数である)。
【0024】
【化6】
JP0004399608B2_000009t.gif

【0025】
【化7】
JP0004399608B2_000010t.gif

【0026】
【化8】
JP0004399608B2_000011t.gif

【0027】
本発明の重合体には、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等の有機溶媒であることから、1,6-ジエン型エーテルに含まれる二種類の炭素-炭素二重結合がランダムに重合に関与した三次元網目構造は生成していないことが確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明になる新規な含フッ素重合体は、高ガラス転移点(Tg)、透明性、溶剤可溶性を示す高機能ポリマーであり、多くの用途が見込まれ、低反射コート、半導体絶縁材、半導体リソグラフィーにおけるペリクルなど先端技術分野の用途に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、実施例1で製造した1-(3-ブテニルオキシ)-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロシクロペンテンのH-nmrスペクトルを示す。
【図2】図2は、実施例1で製造した1-(3-ブテニルオキシ)-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロシクロペンテンの19F-nmrースペクトルを示す(外部標準:トリフルオロ酢酸)。
【図3】図3は、実施例1で製造した1-(3-ブテニルオキシ)-2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロシクロペンテンのIRスペクトルを示す。
【図4】図4は、実施例2で製造したポリマーのH-nmrスペクトルを示す。
【図5】図5は、実施例2で製造したポリマーの19F-nmrスペクトルを示す(外部標準:トリフルオロ酢酸)。
【図6】図6は、実施例2で製造したポリマーのIRスペクトルを示す。
【図7】実施例2および実施例6で製造したポリマーのUV-visスペクトルを示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6