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明細書 :機能性薄膜

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4188616号 (P4188616)
公開番号 特開2003-277742 (P2003-277742A)
登録日 平成20年9月19日(2008.9.19)
発行日 平成20年11月26日(2008.11.26)
公開日 平成15年10月2日(2003.10.2)
発明の名称または考案の名称 機能性薄膜
国際特許分類 C09K  11/06        (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
FI C09K 11/06 610
C09K 11/06 660
H05B 33/14 B
H05B 33/22 B
H05B 33/22 D
請求項の数または発明の数 9
全頁数 44
出願番号 特願2002-085642 (P2002-085642)
出願日 平成14年3月26日(2002.3.26)
審査請求日 平成16年12月16日(2004.12.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】598051211
【氏名又は名称】高橋 保
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
発明者または考案者 【氏名】高橋 保
【氏名】武捨 清
【氏名】坂巻 功一
【氏名】東海林 義和
個別代理人の代理人 【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
【識別番号】100095360、【弁理士】、【氏名又は名称】片山 英二
【識別番号】100093676、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 純子
【識別番号】100116850、【弁理士】、【氏名又は名称】廣瀬 隆行
【識別番号】100114409、【弁理士】、【氏名又は名称】古橋 伸茂
審査官 【審査官】木村 伸也
参考文献・文献 特開2002-167578(JP,A)
特開平10-036832(JP,A)
特開平04-335087(JP,A)
調査した分野 C09K 11/06 - 11/07
H01L 51/50 - 51/56
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体から選ばれる有機電界発光素子用材料。
【化1】
JP0004188616B2_000069t.gif
[式中、R1、R2、R4及びR9は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40アルキル基又は置換基を有していてもよいC6~C18アリール基であり;3、R5、R6、R7、R8及びR10は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基又は置換基を有していてもよいシリル基であり、但し、R6及びR7は、互いに架橋してC4~C40飽和又は不飽和環を形成してもよく、前記飽和又は不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、又は式-N(R11)-で示される基(式中R11は水素原子又は炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく、R及びR10、又は、R及びRが、置換基を有していてもよいアリール基である場合を除き;1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC2~C40アルコキシカルボニル基であり;nは1である。]
【請求項2】
下記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体から選ばれる有機電界発光素子用材料。
【化2】
JP0004188616B2_000070t.gif
[式中、3、R5、R6、R7、R8及びR10は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40アルキル基又は置換基を有していてもよいC6~C18アリール基であり;、R、R及びRは、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基又は置換基を有していてもよいシリル基であり、R及びR10、又は、R及びRが、置換基を有していてもよいアリール基である場合を除き;1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子であり;nは1である。
【請求項3】
下記一般式(Ia)で示されるポリアセン誘導体から選ばれる有機電界発光素子用材料。
【化3】
JP0004188616B2_000071t.gif
[式中、A1及びA2は置換基を有していてもよいC2~C40アルコキシカルボニル基であり、かつ、R1、R2、R4、R5b、R6、R7、R8b及びR9は置換基を有していてもよいC1~C40アルキル基又は置換基を有していてもよいC6~C18アリール基であり、R3、R5a、R8a及びR10は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基又は置換基を有していてもよいシリル基であり、但し、R3、R5a、R8a及びR10の1つ以上がジアリールアミン基である場合を除く。]
【請求項4】
一対の電極間に、請求項1~の何れか1項に記載のポリアセン誘導体を少なくとも1種含有する層を、少なくとも一層挟持してなる有機電界発光素子。
【請求項5】
前記ポリアセン誘導体を少なくとも1種含有する層が、発光層である請求項4に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記ポリアセン誘導体を少なくとも1種含有する層が、正孔注入輸送層である請求項4に記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
前記ポリアセン誘導体を少なくとも1種含有する層が、電子注入輸送層である請求項4に記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
さらに、多環芳香族化合物、発光性有機金属錯体またはトリアリールアミン誘導体を少なくとも1種含有する請求項4~7の何れか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
少なくとも1層中に、請求項1~3の何れか1項に記載のポリアセン誘導体を0.1~40重量%含有する請求項4~8の何れか1項に記載の有機電界発光素子。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機電界発光素子用材料及び有機電界発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無機電界発光素子は、例えば、バックライトなどのパネル型光源として使用されてきたが、該発光素子を駆動させるには、交流の高電圧が必要である。最近になり、発光材料に有機材料を用いた有機電界発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子:有機EL素子)が開発された〔Appl. Phys. Lett., 51 、913 (1987)〕。有機電界発光素子は、蛍光性有機化合物を含む薄膜を、陽極と陰極間に挟持された構造を有し、該薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、この励起子が失活する際に放出される光を利用して発光する素子である。有機電界発光素子は、数V~数十V程度の直流の低電圧で、発光が可能であり、また蛍光性有機化合物の種類を選択することにより、種々の色(例えば、赤色、青色、緑色)の発光が可能である。このような特徴を有する有機電界発光素子は、種々の発光素子、表示素子等への応用が期待されている。しかしながら、一般に、有機電界発光素子は、安定性、耐久性に乏しいなどの難点がある。さらに、発光輝度が低く、実用上充分ではない。
【0003】
正孔注入輸送材料として、4,4’-ビス〔N-フェニル-N-(3''-メチルフェニル)アミノ〕ビフェニルを用いることが提案されている〔Jpn. J. Appl. Phys., 27 、L269 (1988) 〕。しかしながら、この有機電界発光素子も、安定性、耐久性に乏しいなどの難点がある。発光輝度を向上させる方法として、発光層として、例えば、トリス(8-キノリノラート)アルミニウムをホスト化合物、クマリン誘導体、ピラン誘導体をゲスト化合物(ドーパント)として用いた有機電界発光素子が提案されている〔 J.Appl. Phys., 65 、3610 (1989) 〕。また、発光層として、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウムをホスト化合物、アクリドン誘導体(例えば、N-メチル-2-メトキシアクリドン)をゲスト化合物として用いた有機電界発光素子が提案されている(特開平8-67873号公報)。しかしながら、これらの発光素子も充分な発光輝度を有しているとは言い難い。現在では、一層改良された有機電界発光素子が望まれている。
【0004】
また電子注入輸送材料も満足いくものがなく、一層改良された有機電界発光素子が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、安定性、耐久性、発光輝度、発光効率に優れた有機電界発光素子用材料及び有機電界発光素子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは有機電界発光素子用材料に関して鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は、下記一般式(I)で示されるポリアセン誘導体から選ばれる有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0008】
【化6】
JP0004188616B2_000002t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基又は置換基を有していてもよいシリル基であり、但し、R6及びR7は、互いに架橋してC4~C40飽和又は不飽和環を形成してもよく、前記飽和又は不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、又は式-N(R11)-で示される基(式中R11は水素原子又は炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよく;
1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基;置換基を有していてもよいC7~C40アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC2~C40アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC7~C40アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH2);ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。)ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアナト基、チオシアナト基又はチオイソシアナト基であり、但し、A1及びA2は、互いに架橋して、式-C(=O)-B-C(=O)-で示される環を形成してもよく(式中、Bは、酸素原子又は式-N(B1)-で示される基(式中、B1は、水素原子、C1~C40炭化水素基、又は、ハロゲン原子である)である)、
nは、1以上の整数である、
但し、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1及びA2が全て水素原子である場合を除き、
7及びA1がメトキシ基であるか、又は、A2及びR6がメトキシ基である場合を除き、
nが1である場合には、
少なくともR1、R2、R4及びR9が水素原子以外の基であるか、又は少なくともR3、R5、R8及びR10が水素原子以外の基であり、
3及びR10、又は、R4及びR9が、置換基を有していてもよいアリール基である場合を除き、
また、nが2である場合には、上記式(I)は、下記式(Ia)で示されるで示されるペンタセン誘導体であって、
【化7】
JP0004188616B2_000003t.gif(式中、A1及びA2は、上記の意味を有し、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9及びR10は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基、水酸基又は置換基を有していてもよいシリル基であり、但し、R6及びR7は、互いに架橋してC4~C40飽和又は不飽和環を形成してもよく、前記飽和又は不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、又は式-N(R11)-で示される基(式中R11は水素原子又は炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。)R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2の1つ以上がジアリールアミン基である場合を除く。]
【0009】
また本発明は、一般式(I)で示され、n=1又は2であり、
nが1である場合には、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1及びA2が全てメチル基である場合と、R3、R4、R9及びR10が全てアリール基であり、かつ、R1、R2、R5、R6、R7、R8、A1及びA2が全て水素原子である場合と、R1、R2、R4及びR9が全てアルコキシ基又はアリールオキシ基であり、かつ、R3、R5、R6、R7、R8、R10、A1及びA2が全て水素原子である場合と、R3、R5、R8及びR10が全てアルコキシ基又はアリールオキシ基であり、かつ、R1、R2、R4、R6、R7、R9、A1及びA2が全て水素原子である場合とを除き、
また、nが2である場合には、前記式(Ia)で示されるペンタセン誘導体であって、
式(Ia)中、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2が全てメチル基である、又は、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10が全て水素原子であり、かつ、R6、R7、A1及びA2の1つ以上がアリール基である、又は、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2の6つ以下が水素原子以外の基である場合に前記水素原子以外の基のいずれかがメトキシ基である場合、
下記式(Ib)で示されるペンタセン誘導体である場合、
【化8】
JP0004188616B2_000004t.gif[式中、R1、R2、R5b及びR8bが全てアルコキシ基又はアリールオキシ基である。]
下記式(Ic)で示されるペンタセン誘導体である場合、並びに、
【化9】
JP0004188616B2_000005t.gif[式中、R3、R5a、R8a及びR10の2つ以上がアリール基又はアリールアルキニル基であるか、R3、R5a、R8a及びR10の1つ以上がアリールアルケニル基であるか、又は、R3、R5a、R8a及びR10が全てアルコキシ基又はアリールオキシ基である。]
下記式(Id)で示されるペンタセン誘導体である場合
【化10】
JP0004188616B2_000006t.gif[式中、R4及びR9が水素原子、炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子又は水酸基である。]
を除く、前記の有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0010】
また本発明は、式(I)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1及びA2の5つ以上が、水素原子以外の基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0011】
また本発明は、式(I)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1及びA2の6つ以上が水素原子以外の基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0012】
また本発明は、前記ポリアセン誘導体が、前記式(Ia)で示されるペンタセン誘導体であり、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2の5つ以上が、水素原子以外の基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0013】
また本発明は、式(Ia)中、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2の6つ以上が、水素原子以外の基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0014】
また本発明は、式(Ia)中、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2の7つ以上が、水素原子以外の基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0015】
また本発明は、式(Ia)中、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2の8つ以上が、水素原子以外の基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0016】
また本発明は、式(Ia)中、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2の9つ以上が、水素原子以外の基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0017】
また本発明は、式(Ia)中、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2の10以上が、水素原子以外の基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0018】
また本発明は、式(I)中、R1及びR2、R3及びR10、R4及びR9、R5及びR8、R6及びR7、並びに、A1及びA2のいずれかの組合せが同一の置換基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0019】
また本発明は、式(Ia)中、R1及びR2、R3及びR10、R4及びR9、R5a及びR8a、R5b及びR8b、R6及びR7、並びに、A1及びA2のいずれかの組合せが同一の置換基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0020】
また本発明は、式(I)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10の何れかが、置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基、又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0021】
また本発明は、式(Ia)中、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9及びR10の何れかが、置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基、又は置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0022】
また本発明は、式(I)中、R1、R2、R4及びR9は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40アルキル基又は置換基を有していてもよいC6~C18アリール基であり;A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC2~C40アルコキシカルボニル基であり;nは1である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0023】
また本発明は、式(I)中、A1、A2、R1、R2、R4及びR9は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40アルキル基又は置換基を有していてもよいC6~C18アリール基であり;nは1である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0024】
また本発明は、式(I)中、R3、R5、R6、R7、R8及びR10は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C40アルキル基又は置換基を有していてもよいC6~C18アリール基であり;A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子であり;nは1である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0025】
また本発明は、前記ポリアセン誘導体が、前記式(Ia)で示されるペンタセン誘導体である場合に、A1及びA2が置換基を有していてもよいC2~C40アルコキシカルボニル基であり、かつ、R1、R2、R4、R5b、R6、R7、R8b、R9が置換基を有していてもよいC1~C40アルキル基又は置換基を有していてもよいC6~C18アリール基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0026】
また本発明は、前記ポリアセン誘導体が、前記式(Ia)で示されるペンタセン誘導体である場合に、A1、A2、R1、R2、R4、R5b、R6、R7、R8b、R9が置換基を有していてもよいC1~C40アルキル基又は置換基を有していてもよいC6~C18アリール基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0027】
また本発明は、前記ポリアセン誘導体が、上記式(Ia)で示されるペンタセン誘導体である場合に、A1及びA2がハロゲン原子であり、かつ、R3、R5a、R8a及びR10が置換基を有していてもよいC1~C40アルキル基又は置換基を有していてもよいC6~C18アリール基である前記のポリアセン誘導体から選ばれた有機電界発光素子用材料を提供するものである。
【0028】
また本発明は、一対の電極間に、上述したポリアセン誘導体を少なくとも1種含有する層を、少なくとも一層挟持してなる有機電界発光素子を提供するものである。
【0029】
また本発明は、上述したポリアセン誘導体を少なくとも1種含有する層が、発光層である前記の有機電界発光素子を提供するものである。
【0030】
また本発明は、上述したポリアセン誘導体を少なくとも1種含有する層が、正孔注入輸送層である前記の有機電界発光素子を提供するものである。
【0031】
また本発明は、上述したポリアセン誘導体を少なくとも1種含有する層が、電子注入輸送層である前記の有機電界発光素子を提供するものである。
【0032】
また本発明は、さらに、多環芳香族化合物、発光性有機金属錯体またはトリアリールアミン誘導体を少なくとも1種含有する前記の有機電界発光素子を提供するものである。
【0033】
また本発明は、少なくとも1層中に、上述したポリアセン誘導体を0.1~40重量%含有する前記有機電界発光素子を提供するものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関して詳細に説明する。
【0035】
本発明の有機電界発光素子材料は一般式(I)で示されるポリアセン誘導体である。また本発明の有機電界発光素子は一般式(I)で示されるポリアセン誘導体を、一対の電極間に、少なくとも一種挟持してなるものである。本発明の有機電界発光素子材料である、一般式(I)で表されるポリアセン誘導体(以下、単にポリアセン誘導体とも称する)は、一般式(I)で示されるポリアセン構造を有する。
【0036】
【化11】
JP0004188616B2_000007t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1及びA2は、上記の意味を有する。]
【0037】
上記式(I)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基;アミノ基、水酸基又はシリル基である。
【0038】
本明細書では、C1~C40炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1~C40炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。C1~C40炭化水素基には、C1~C40アルキル基、C2~C40アルケニル基、C2~C40アルキニル基、C3~C40アリル基、C4~C40アルキルジエニル基、C4~C40ポリエニル基、C6~C18アリール基、C6~C40アルキルアリール基、C6~C40アリールアルキル基、C4~C40シクロアルキル基、C4~C40シクロアルケニル基などが含まれる。
【0039】
1~C40アルキル基、C2~C40アルケニル基、C2~C40アルキニル基、C3~C40アリル基、C4~C40アルキルジエニル基、及び、C4~C40ポリエニル基は、それぞれ、C1~C20アルキル基、C2~C20アルケニル基、C2~C20アルキニル基、C3~C20アリル基、C4~C20アルキルジエニル基、及び、C4~C20ポリエニル基であることが好ましく、C1~C10アルキル基、C2~C10アルケニル基、C2~C10アルキニル基、C3~C10アリル基、C4~C10アルキルジエニル基、及び、C4~C10ポリエニル基であることがさらに好ましい。
【0040】
本発明の実施において有用な、置換基を有していてもよいアルキル基の例には、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、t-ブチル、ドデカニル、トリフルオロメチル、ペルフルオロ-n-ブチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ベンジル、2-フェノキシエチル等がある。
【0041】
本発明の実施において有用な、置換基を有していてもよいアリール基の例には、制限するわけではないが、フェニル、2-トリル、3-トリル、4-トリル、ナフチル、ビフェニル、4-フェノキシフェニル、4-フルオロフェニル、3-カルボメトキシフェニル、4-カルボメトキシフェニル等がある。
【0042】
本発明の実施において有用な、置換基を有していてもよいアルコキシ基の例には、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、2-メトキシエトキシ、t-ブトキシ等がある。
【0043】
本発明の実施において有用な、置換基を有していてもよいアリールオキシ基の例には、制限するわけではないが、フェノキシ、ナフトキシ、フェニルフェノキシ、4-メチルフェノキシ等がある。
【0044】
本発明の実施において有用な、置換基を有していてもよいアミノ基の例には、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
【0045】
置換基を有していてもよいシリル基としては、式-Si(R12)(R13)(R14)で示される基[式中、R12、R13及びR14は、それぞれ、互いに独立し、同一又は異なって、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1~C40アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC6~C40アリールアルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC1~C40アルコキシ基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC6~C40アリールアルキルオキシ基である。]を挙げることができる。
【0046】
本発明の実施において有用な、置換基を有していてもよいシリル基の例には、制限されるわけではないが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
【0047】
1~C40炭化水素基、C1~C40アルコキシ基、C6~C40アリールオキシ基、アミノ基、シリル基などには、置換基が導入されていてもよく、この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基などが挙げられる。
【0048】
ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる。C1~C40炭化水素基、C1~C40アルコキシ基、C6~C40アリールオキシ基などの水素原子が、フッ素原子で置換されている場合には、ポリアセン誘導体の溶解度が増大するので好ましい。
【0049】
6及びR7は、互いに架橋してC4~C40飽和又は不飽和環を形成してもよい。不飽和環は、ベンゼン環等の芳香族環であってもよい。R6及びR7が互いに架橋して形成する環は、4~16員環であることが好ましく、4~12員環であることが更に好ましい。この環は、芳香族環あってもよいし、脂肪族環であってもよい。この環には、C1~C20炭化水素基、C1~C20アルコキシ基、C6~C20アリールオキシ基、アミノ基、水酸基又はシリル基などの置換基が導入されていてもよい。
【0050】
前記飽和又は不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、又は式-N(R11)-で示される基[式中、R11は水素原子又は炭化水素基である。]で中断されていてもよい。R11は水素原子又はC1~C6アルキル基であることが好ましく、水素原子又はC1~C4アルキル基であることがさらに好ましい。
【0051】
上記式(I)中、A1及びA2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していてもよいC1~C40炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C40アルコキシ基、置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシ基;置換基を有していてもよいC7~C40アルキルアリールオキシ基;置換基を有していてもよいC2~C40アルコキシカルボニル基;置換基を有していてもよいC7~C40アリールオキシカルボニル基;シアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH2);ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。)ホルミル基(-C(=O)-H);イソシアノ基;イソシアナト基、チオシアナト基又はチオイソシアナト基である。
【0052】
シアノ基(-CN);カルバモイル基(-C(=O)NH2);ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。);ホルミル基(-C(=O)-H)、イソシアノ基、イソシアナト基、チオシアナト基又はチオイソシアナト基は、たとえば、アルコキシカルボニル基から通常の有機化学の手法により変換することができる。また、カルバモイル基(-C(=O)NH2)、ハロホルミル基(-C(=O)-X、式中、Xはハロゲン原子を示す。)、ホルミル基(-C(=O)-H)などは、シアノ基、アルコキシカルボニル基と互いに変換することができる。
【0053】
1及びA2は、互いに架橋して、式-C(=O)-B-C(=O)-で示される環を形成してもよい[式中、Bは、酸素原子又は式-N(B1)-で示される基(式中、B1は、水素原子、C1~C40炭化水素基、又は、ハロゲン原子である)である]。
【0054】
たとえば、A1及びA2が、アルコキシカルボニル基である場合には、通常の有機化学の手法により、カルボキシ基に変換することができる。そして、隣接するカルボキシル基は、脱水することにより、無水カルボン酸、即ち、式-C(=O)-O-C(=O)-で示される環に変換することができる。同様にして、無水カルボン酸は、通常の有機化学の手法により、イミド、式-C(=O)-N(B1)-C(=O)-で示される環(B1は上記の意味を有する。)に変換することができる。
【0055】
nは、1以上の整数である。nが1及び2の場合には、それぞれ、4環式及び、5環式、即ち、ナフタセン誘導体、及び、ペンタセン等誘導体となる。
【0056】
従来は、縮合多環芳香族化合物中の芳香族環の数が増大するにつれて、溶解度が減少する傾向にあった。しかし、後述する製造方法によれば、縮合多環芳香族化合物中の芳香族環の数が増大しても、適切な様々な置換基を導入することにより、溶解度を維持することができる。従って、nは1~2に限られることなく、3以上の整数であってもよいし、4以上の整数であってもよいし、5以上の整数であってもよい。たとえば、ベンゼン環が7つ縮合したポリアセン誘導体(nが4に相当する。)が得られている。
【0057】
nは、200以下であってもよく、100以下であってもよく、80以下であってもよく、50以下であってもよく、30以下であってもよく、20以下であってもよく、15以下であってもよく、10以下であってもよい。例えば、下記に説明する製造方法を適用することにより、nの数は2つずつ増加していくので、このスキームを繰り返せばよい。そして、上述したように、置換基を適切に導入することにより、nの数が増大しても溶解度は維持することができるので、nの数を増加させていくことができる。
【0058】
本発明において、上記式(I)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1及びA2が全て水素原子であるポリアセン誘導体から選ばれる有機電界発光素子用材料を対象としていない。また、上記式(I)中、R7及びA1がメトキシ基であるか、又は、A2及びR6がメトキシ基であるポリアセン誘導体から選ばれる有機電界発光素子用材料を対象としていない。
【0059】
また、本発明において、上記式(I)中、nが1である場合には、少なくともR1、R2、R4及びR9が水素原子以外の基であるか、又は少なくともR3、R5、R8及びR10が水素原子以外の基である。また、本発明において、上記式(I)中、nが1である場合には、R3及びR10、又は、R4及びR9が、置換基を有していてもよいアリール基であるポリアセン誘導体から選ばれる有機電界発光素子用材料は対象としていない。
【0060】
また、上記式(I)中、nが2であり、上記式(I)が下記式(Ia)で示されるペンタセン誘導体である場合に、
【化12】
JP0004188616B2_000008t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2は、それぞれ上記の意味を有する。]
1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2の1つ以上がジアリールアミン基であるペンタセン誘導体から選ばれる有機電界発光素子用材料を対象としていない。
【0061】
本発明において、上記式(I)で示されるポリアセン誘導体は、n=1の場合には、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1及びA2が全てメチル基である場合と、R3、R4、R9及びR10が全てアリール基であり、かつ、R1、R2、R5、R6、R7、R8、A1及びA2が全て水素原子である場合と、R1、R2、R4及びR9が全てアルコキシ基又はアリールオキシ基であり、かつ、R3、R5、R6、R7、R8、R10、A1及びA2が全て水素原子である場合と、R3、R5、R8及びR10が全てアルコキシ基又はアリールオキシ基であり、かつ、R1、R2、R4、R6、R7、R9、A1及びA2が全て水素原子である場合以外のものであることが好ましい。
【0062】
また、本発明において、上記式(I)で示されるポリアセン誘導体は、nが2である場合に、以下の(a’)、(b’)、(c’)及び(d’)の場合以外のものであることが好ましい。
(a’)上記式(Ia)中、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2が全てメチル基である、又は、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R8a、R8b、R9及びR10が全て水素原子であり、かつ、R6、R7、A1及びA2の1つ以上がアリール基である、又は、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2の6つ以下が水素原子以外の基である場合に前記水素原子以外の基のいずれかがメトキシ基である場合。
(b’)下記式(Ib)で示されるペンタセン誘導体であって、
【化13】
JP0004188616B2_000009t.gif式中、R1、R2、R5b及びR8bが全てアルコキシ基又はアリールオキシ基である場合。
(c’)下記式(Ic)で示されるペンタセン誘導体であって、
【化14】
JP0004188616B2_000010t.gif式中、R3、R5a、R8a及びR10の2つ以上がアリール基又はアリールアルキニル基であるか、R3、R5a、R8a及びR10の1つ以上がアリールアルケニル基であるか、又は、R3、R5a、R8a及びR10が全てアルコキシ基又はアリールオキシ基である場合。
(d’)下記式(Id)で示されるペンタセン誘導体であって、
【化15】
JP0004188616B2_000011t.gif式中、R4及びR9が水素原子、炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子又は水酸基である場合。
【0063】
本発明において、上記式(I)で示されるポリアセン誘導体は、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1及びA2の5つ以上が、水素原子以外の基であることが好ましく、6つ以上が水素以外の基であることが更に好ましく、8つ以上が水素以外の基であることが更になお好ましい。後述するように、リチウム化剤及び脱リチウム試薬の組合せで脱水素化をする場合には、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1及びA2中に水素原子が多く含まれるにつれて、収率が低下する場合があるからである。
【0064】
本発明において、上記式(I)で示されるポリアセン誘導体が、下記式(Ia)で示されるペンタセン誘導体である場合に、
【化16】
JP0004188616B2_000012t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2は、上記の意味を有する。]R1、R2、R3、R4、R5a、R5b、R6、R7、R8a、R8b、R9、R10、A1及びA2の5つ以上が水素原子以外の基であるものが好ましく、さらに6つ以上が水素原子以外のものであるものが好ましく、7つ以上が水素原子以外のものがより好ましく、8つ以上が水素原子以外のものがより好ましく、9つ以上が水素原子以外のものがより好ましく、10以上が水素原子以外のものがより好ましい。
【0065】
また、上記式(I)で示されるポリアセン誘導体において、R1及びR2、R
3及びR10、R4及びR9、R5及びR8、R6及びR7、並びに、A1及びA2のいずれかの組合せが同一の置換基であるポリアセン誘導体が好ましく、いずれの組合せもそれぞれが同一の置換基であることが更に好ましい。かかるポリアセン誘導体の合成が容易であり、収率が向上するからである。
【0066】
同様の理由から、上記式(Ia)で示されるポリアセン誘導体において、R1及びR2、R3及びR10、R4及びR9、R5a及びR8a、R5b及びR8b、R6及びR7、並びに、A1及びA2のいずれかの組合せが同一の置換基であるポリアセン誘導体が好ましく、いずれの組合せもそれぞれが同一の置換基であることが更に好ましい。
【0067】
本発明の一実施形態では、上記式(I)で示されるポリアセン誘導体において、nが1である場合に、A1及びA2がアルコキシカルボニル基であり、かつ、R1、R2、R4及びR9がアルキル基又はアリール基であってもよい。また、nが1である場合に、A1、A2、R1、R2、R4及びR9がアルキル基又はアリール基であってもよい。また、nが1である場合に、A1及びA2がハロゲン原子であり、かつ、R3、R5、R6、R7、R8及びR10がアルキル基又はアリール基であってもよい。
【0068】
また、本発明の一実施形態では、前記ポリアセン誘導体が、上記式(Ia)で示されるペンタセン誘導体である場合に、A1及びA2がアルコキシカルボニル基であり、かつ、R1、R2、R4、R5b、R6、R7、R8b、R9がアルキル基又はアリール基であってもよい。また、前記ポリアセン誘導体が、上記式(Ia)で示されるペンタセン誘導体である場合に、A1、A2、R1、R2、R4、R5b、R6、R7、R8b、R9がアルキル基又はアリール基であってもよい。また、前記ポリアセン誘導体が、上記式(Ia)で示されるペンタセン誘導体である場合に、A1及びA2がハロゲン原子であり、かつ、R3、R5a、R8a及びR10がアルキル基又はアリール基であってもよい。
【0069】
本発明の有機電界発光素子用材料である一般式(I)のポリアセン誘導体の具体例を以下に挙げる。
【0070】
【化17】
JP0004188616B2_000013t.gif【化18】
JP0004188616B2_000014t.gif【化19】
JP0004188616B2_000015t.gif【化20】
JP0004188616B2_000016t.gif【化21】
JP0004188616B2_000017t.gif【化22】
JP0004188616B2_000018t.gif【化23】
JP0004188616B2_000019t.gif【化24】
JP0004188616B2_000020t.gif【化25】
JP0004188616B2_000021t.gif【化26】
JP0004188616B2_000022t.gif【化27】
JP0004188616B2_000023t.gif【化28】
JP0004188616B2_000024t.gif本発明の有機電界発光用材料である一般式(I)のポリアセン誘導体の製造方法としては、例えば、下記式(II)で示される炭化水素縮合環が脱水素試薬の存在下、芳香族化することにより、上記式(I)で示されるポリアセン誘導体を得る方法を挙げることができる。
【0071】
【化29】
JP0004188616B2_000025t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1、A2、及びnは上記の意味を有する。下記式に示される結合は、単結合又は2重結合を示す。
【化30】
JP0004188616B2_000026t.gif
【0072】
上記式(II)で示される炭化水素縮合環には、たとえば、結合の種類によって、下記式(IIa)、(IIb)及び(IIc)で示される炭化水素縮合環が含まれる。
【0073】
【化31】
JP0004188616B2_000027t.gif【化32】
JP0004188616B2_000028t.gif【化33】
JP0004188616B2_000029t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R5a、R5b、R6、R7、R8、R8a、R8b、R9、R10、A1、A2、及びnは上記の意味を有する。]
【0074】
nが奇数であり、上記式(II)で示される炭化水素縮合環が上記式(IIb)で示される炭化水素縮合環である場合、kは、(n+1)/2で示される整数であり、nが偶数であり、上記式(II)で示される炭化水素縮合環が上記式(IIc)で示される炭化水素縮合環である場合、mは、n/2で示される整数である。
【0075】
式(IIa)で示される炭化水素縮合環の場合には、一つの環が芳香族化されることになる。一方、式(IIb)及び式(IIc)で示される炭化水素縮合環の場合には、2以上の環が芳香族化されることになる。
【0076】
もっとも、上記式(II)で示される炭化水素縮合環には、繰り返し単位中の環が、芳香族環である場合と、芳香族環でない場合がランダムに繰り返される場合も含まれる。
【0077】
上記の一般式(I)のポリアセン誘導体の製造方法において、脱水素試薬がリチウム化剤と脱リチウム試薬との組合せであり、まず、前記炭化水素縮合環にリチウム化剤を添加し、ついで、脱リチウム試薬を添加することが好ましい。
【0078】
このスキームについて、下記式(IIa)、(IIb)及び(IIc)で示される炭化水素縮合環の場合で例示する。
【0079】
【化34】
JP0004188616B2_000030t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1、A2、及びnは上記の意味を有する。D1は、C1~C6アルキル基等の求核基を意味する。D2は、C1~C6アルキル基等のC1~C20炭化水素基を意味する。Z1は、ハロゲン原子等の脱離基を意味する。]
【0080】
この際、ポリアセン誘導体の合成が容易になる観点から、式(IIa)中、R3、R10は、水素原子であることが好ましい。
【0081】
【化35】
JP0004188616B2_000031t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1、A2、及びkは上記の意味を有する。D1は、C1~C6アルキル基等の求核基を意味する。D2は、C1~C6アルキル基等のC1~C20炭化水素基を意味する。Z1は、ハロゲン原子等の脱離基を意味する。]
【0082】
この際、ポリアセン誘導体の合成が容易になる観点から、式(IIb)中、R3、R5、R8、R10は、水素原子であることが好ましい。
【0083】
【化36】
JP0004188616B2_000032t.gif[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1、A2、及びmは上記の意味を有する。D1は、C1~C6アルキル基等の求核基を意味する。D2は、C1~C6アルキル基等のC1~C20炭化水素基を意味する。Z1は、ハロゲン原子等の脱離基を意味する。]
【0084】
この際、ポリアセン誘導体の合成が容易になる観点から、式(IIc)中、R3、R5a、R8a、R10は、水素原子であることが好ましい。
【0085】
上記スキームでは、Li-D1で示されるリチウム化剤(IV)が作用する炭素原子を明確にするという説明の便宜上、式(IIa),式(IIb)又は式(IIc)で示される炭化水素縮合環が用いられている。脱水素試薬がリチウム化剤と脱リチウム試薬との組合せが、上記式(II)で示される炭化水素縮合環に広く適用することができることはいうまでもない。
【0086】
式(IIa)、式(IIb)及び式(IIc)で示される炭化水素縮合環にリチウム化剤(IV)を反応させ、それぞれ、式(Va)、(Vb)及び(Vc)で示されるリチウム化された炭化水素縮合環が得られる。リチウム化剤としては、アルキルリチウム、アリールリチウムのようなC1~C20炭化水素リチウムが好ましい。たとえば、ブチルリチウム等のC1~C6アルキルリチウム、フェニルリチウムのようなC6~C20アリールリチウムが好適に用いられる。
【0087】
リチウム化剤(IV)とともに、リチウム化剤の活性化剤を共存させることが好ましい。活性化剤としては、3級アミンが好ましく、たとえば、N,N,N'、N'-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)のようなN,N,N'、N'-テトラアルキルアルキレンジアミンが用いられる。アルキルリチウムは、溶液中では、四量体のようなオリゴマーとして存在していると思われる。そして、3級アミンが共存するときには、アミンの窒素原子がアルキルリチウムのリチウム原子に配意し、オリゴマー構造を壊すと思われる。これにより、アルキルリチウムのリチウム原子が溶液中に晒され、反応性が向上すると思われる。
【0088】
溶媒としては、有機溶媒が好ましく、特に、無極性有機溶媒が用いられる。たとえば、ヘキサン等のアルカン、ベンゼン等の芳香族化合物が好ましい。
【0089】
反応温度としては、0~200℃が好ましく、20~100℃がさらに好ましく、30~80℃が更になお好ましい。
【0090】
式(Va)、(Vb)及び(Vc)で示される炭化水素縮合環に脱リチウム試薬(VI)を反応させ、これにより、それぞれ、式(VIIa)、(VIIb)及び(VIIc)で示される中間体が生成すると推定され、この中間体が分解し、式(I)、(Ib)又は(Ic)で示されるポリアセン誘導体が得られる。
【0091】
脱リチウム試薬(VI)としては、たとえば、ハロゲン化アルキルを好適に用いることができる。ハロゲン化アルキルとしては、たとえば、ヨウ化メチル、臭化エチル等の炭素原子が6個以下のハロゲン化アルキルが好ましい。
【0092】
この反応では、リチウム化剤(IV)及び脱リチウム試薬(VI)として、炭素数の少ないものを用いた場合には、たとえば、リチウム化剤(IV)及び脱リチウム試薬(VI)として、ブチルリチウム及びヨウ化メチルを用いた場合には、ヨウ化リチウム及びヘキサンが脱離することになる。ヘキサンは溶媒を除去するときに同時に除去できる。ヨウ化リチウムについては、得られた反応混合物を水で洗浄することにより、除去できる。従って、リチウム化剤と脱リチウム試薬との組合せは、反応混合物の精製がきわめて容易であり、好ましい。
【0093】
式(IIa)で示される炭化水素縮合環から式(I)で示されるポリアセン誘導体までの収率は、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1、及びA2に水素原子が多く導入されている場合には、たとえば、これらのうち、8以上が水素原子である場合には、50%ぐらいである。一方、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、A1、及びA2の6以上、特に8以上に水素原子以外の基が導入されている場合には、収率が向上する傾向にある。たとえば、収率は90%以上になることもあり、95%以上になることもある。
【0094】
また、上記の一般式(I)のポリアセン誘導体の製造方法において、前記脱水素試薬が、下記式(III)で示される化合物であることが好ましい。
【0095】
【化37】
JP0004188616B2_000033t.gif[式中、X1、X2、X3、及び、X4は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子又はシアノ基である。]
【0096】
上記式(III)で示されるキノンは、上記式(II)で示される化合物と反応して、1,4-ジヒドロキシ-シクロヘキサン誘導体に変換する。
【0097】
上記式(III)で示されるキノンの場合には、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が好ましく、塩素原子又は臭素原子がさらに好ましく、塩素原子がさらになお好ましい。
【0098】
たとえば、X1、X2、X3、及び、X4が全て塩素原子であってもよい。即ち、クロラニルであってもよい。あるいは、X1及びX2がシアノ基であり、X3及びX4が塩素原子であってもよい。即ち、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノキノンであってもよい。X1、X2、X3、及び、X4が全てシアノ基であってもよい。即ち、2,3,5,6-テトラシアノキノンであってもよい。
【0099】
上記式(III)で示されるキノンを用いた場合には、上記式(III)で示されるキノンが更に生成物のポリアセン誘導体とDiels-Alder反応をして、副生成物を生じる場合がある。所望より、カラムクロマトグラフィー等により、副生成物を除去する。
【0100】
上記式(III)で示されるキノンは、このような副生成物の生成を防止するために、上記式(II)で示される化合物の0.9~1.2当量用いることが好ましく、0.9~1.15当量用いることが更に好ましく、0.95~1.05当量用いることが更になお好ましい。
【0101】
溶媒としては、有機溶媒が好ましく、特に、ベンゼン等の芳香族化合物が好ましい。
【0102】
反応温度としては、-80~200℃が好ましく、0~100℃がさらに好ましく、10~80℃が更になお好ましい。所望により、光を遮断して反応を進行させてもよい。
【0103】
また、上記の一般式(I)のポリアセン誘導体の製造方法において、前記脱水素試薬が、パラジウムを含むことが好ましい。たとえば、活性炭のような炭素に担持されたパラジウム、いわゆるパラジウムカーボンとして市販されているものを好適に用いることができる。Pd/Cは、脱水素化に広く用いられている触媒であり、本発明においても従来と同様に用いることができる。反応温度は、たとえば、200~500℃である。もっとも、反応温度は、出発物質等の様々な条件に依存して、適宜、設定すればよい。
【0104】
炭化水素縮合環は、たとえば、下記のようなスキームで得ることができる。
【0105】
【化38】
JP0004188616B2_000034t.gif[式中、R1、R2、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びnは、上記の意味を有する。A1a及びA2aは、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、ハロゲン原子を含む置換基を有していてもよいC6~C40アルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を含む置換基を有していてもよいC6~C40アリールオキシカルボニル基である。Xはハロゲン原子等の脱離基である。下記式に示される結合は、単結合又は2重結合を示す。
【化39】
JP0004188616B2_000035t.gifMは、周期表の第3~5族又はランタニド系列の金属を示し;
1及びL2は、互いに独立し、同一又は異なって、アニオン性配位子を示し、ただし、L1及びL2は、架橋されていてもよく;
1及びY2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、脱離基である。]
【0106】
【化40】
JP0004188616B2_000036t.gif
【0107】
次に、有機電界発光素子について説明する。有機電界発光素子は、通常、一対の電極間に、少なくとも1種の発光成分を含有する発光層を、少なくとも一層挟持してなるものである。発光層に使用する化合物の正孔注入および正孔輸送、電子注入および電子輸送の各機能レベルを考慮し、所望に応じて、正孔注入輸送成分を含有する正孔注入輸送層および/または電子注入輸送成分を含有する電子注入輸送層を設けることもできる。例えば、発光層に使用する化合物の正孔注入機能、正孔輸送機能および/または電子注入機能、電子輸送機能が良好な場合には、発光層が正孔注入輸送層および/または電子注入輸送層を兼ねた型の素子の構成とすることができる。勿論、場合によっては、正孔注入輸送層および電子注入輸送層の両方の層を設けない型の素子(一層型の素子)の構成とすることもできる。また、正孔注入輸送層、電子注入輸送層および発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても多層構造であってもよく、正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、それぞれの層において、注入機能を有する層と輸送機能を有する層を別々に設けて構成することもできる。
【0108】
本発明の有機電界発光素子において、本発明の一般式(I)で示されるポリアセン誘導体は、正孔注入輸送成分、発光成分または電子注入輸送成分に用いることが好ましく、正孔注入輸送成分または発光成分に用いることがより好ましい。本発明の有機電界発光素子においては、本発明のポリアセン誘導体は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
【0109】
本発明の有機電界発光素子の構成としては、特に限定するものではなく、例えば、(A)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子(図1)、(B)陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極型素子(図2)、(C)陽極/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子(図3)、(D)陽極/発光層/陰極型素子(図4)などを挙げることができる。さらには、発光層を電子注入輸送層で挟み込んだ型の素子である(E)陽極/正孔注入輸送層/電子注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子(図5)とすることもできる。(D)型の素子構成としては、発光成分を一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子は勿論であるが、さらには、例えば、(F)正孔注入輸送成分、発光成分および電子注入輸送成分を混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図6)、(G)正孔注入輸送成分および発光成分を混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図7)、(H)発光成分および電子注入輸送成分を混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図8)がある。
【0110】
本発明の有機電界発光素子においては、これらの素子構成に限るものではなく、それぞれの型の素子において、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層を複数層設けたりすることができる。また、それぞれの型の素子において、正孔注入輸送層と発光層との間に、正孔注入輸送成分と発光成分の混合層および/または発光層と電子注入輸送層との間に、発光成分と電子注入輸送成分の混合層を設けることもできる。
【0111】
より好ましい有機電界発光素子の構成は、(A)型素子、(B)型素子、(C)型素子、(E)型素子、(F)型素子、(G)型素子または(H)型素子であり、さらに好ましくは、(A)型素子、(B)型素子、(C)型素子、(F)型素子または(G)型素子である。本発明の有機電界発光素子としては、例えば、(図1)に示す(A)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子について説明する。(図1)において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入輸送層、4は発光層、5は電子注入輸送層、6は陰極、7は電源を示す。
【0112】
本発明の有機電界発光素子は、基板1に支持されていることが好ましく、基板としては、特に限定するものではないが、透明ないし半透明であることが好ましく、例えば、ガラス板、透明プラスチックシート(例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのシート)、半透明プラスチックシート、石英、透明セラミックスあるいはこれらを組み合わせた複合シートからなるものを挙げることができる。さらに、基板に、例えば、カラーフィルター膜、色変換膜、誘電体反射膜を組み合わせて、発光色をコントロールすることもできる。
【0113】
陽極2としては、比較的仕事関数の大きい金属、合金または電気電導性化合物を電極物質として使用することが好ましい。陽極に使用する電極物質としては、例えば、金、白金、銀、銅、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化錫、酸化亜鉛、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)、ポリチオフェン、ポリピロールなどを挙げることができる。これらの電極物質は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。陽極は、これらの電極物質を、例えば、蒸着法、スパッタリング法等の方法により、基板の上に形成することができる。また、陽極は一層構造であってもよく、あるいは多層構造であってもよい。陽極のシート電気抵抗は、好ましくは、数百Ω/□以下、より好ましくは、5~50Ω/□程度に設定する。陽極の厚みは、使用する電極物質の材料にもよるが、一般に、5~1000nm程度、より好ましくは、10~500nm程度に設定する。
【0114】
正孔注入輸送層3は、陽極からの正孔(ホール)の注入を容易にする機能、および注入された正孔を輸送する機能を有する化合物を含有する層である。正孔注入輸送層は、本発明のポリアセン誘導体および/または他の正孔注入輸送機能を有する化合物(例えば、フタロシアニン誘導体、トリアリールメタン誘導体、トリアリールアミン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾール誘導体など)を少なくとも1種用いて形成することができる。尚、正孔注入輸送機能を有する化合物は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
【0115】
本発明において用いる他の正孔注入輸送機能を有する化合物としては、トリアリールアミン誘導体(例えば、4,4’-ビス〔N-フェニル-N-(4''-メチルフェニル)アミノ〕ビフェニル、4,4’-ビス〔N-フェニル-N-(3''-メチルフェニル)アミノ〕ビフェニル、4,4’-ビス〔N-フェニル-N-(3''-メトキシフェニル)アミノ〕ビフェニル、4,4’-ビス〔N-フェニル-N-(1''-ナフチル)アミノ〕ビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ビス〔N-フェニル-N-(3''-メチルフェニル)アミノ〕ビフェニル、1,1-ビス〔4’-[ N,N-ジ(4''-メチルフェニル)アミノ] フェニル〕シクロヘキサン、9,10-ビス〔N-(4’-メチルフェニル)-N-(4''-n-ブチルフェニル)アミノ〕フェナントレン、3,8-ビス(N,N-ジフェニルアミノ)-6-フェニルフェナントリジン、4-メチル-N,N-ビス〔4'',4'''-ビス[ N’,N’-ジ(4-メチルフェニル)アミノ] ビフェニル-4-イル〕アニリン、N,N’-ビス〔4-(ジフェニルアミノ)フェニル〕-N,N’-ジフェニル-1,3-ジアミノベンゼン、N,N’-ビス〔4-(ジフェニルアミノ)フェニル〕-N,N’-ジフェニル-1,4-ジアミノベンゼン、5,5''-ビス〔4-(ビス[ 4-メチルフェニル] アミノ)フェニル〕-2,2’:5’,2''-ターチオフェン、1,3,5-トリス(ジフェニルアミノ)ベンゼン、4,4’,4''-トリス(N-カルバゾリイル)トリフェニルアミン、4,4’,4''-トリス〔N-(3'''-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4''-トリス〔N,N-ビス(4'''-tert-ブチルビフェニル-4''''-イル)アミノ〕トリフェニルアミン、1,3,5-トリス〔N-(4’-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ〕ベンゼンなど)、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾール誘導体がより好ましい。
【0116】
本発明のポリアセン誘導体と他の正孔注入輸送機能を有する化合物を併用する場合、正孔注入輸送層中に占める本発明のポリアセン誘導体は、好ましくは、0.1重量%以上、より好ましくは、0.1~99.9重量%程度、さらに好ましくは、1~99重量%程度、特に好ましくは、5~95重量%程度に調製する。
【0117】
発光層4は、正孔および電子の注入機能、それらの輸送機能、正孔と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する化合物を含有する層である。発光層は、本発明のポリアセン誘導体および/または他の発光機能を有する化合物(例えば、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、多環芳香族化合物〔例えば、ルブレン、アントラセン、テトラセン、ピレン、ペリレン、クリセン、デカシクレン、コロネン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、9,10-ジフェニルアントラセン、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、1,4-ビス(9’-エチニルアントラセニル)ベンゼン、4,4’-ビス(9''-エチニルアントラセニル)ビフェニル〕、トリアリールアミン誘導体〔例えば、正孔注入輸送機能を有する化合物として前述した化合物を挙げることができる〕、有機金属錯体〔例えば、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(10-ベンゾ[h] キノリノラート)ベリリウム、2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾールの亜鉛塩、2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの亜鉛塩、4-ヒドロキシアクリジンの亜鉛塩、3-ヒドロキシフラボンの亜鉛塩、5-ヒドロキシフラボンのベリリウム塩、5-ヒドロキシフラボンのアルミニウム塩〕、スチルベン誘導体〔例えば、1,1,4,4-テトラフェニル-1,3-ブタジエン、4,4’-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニル、4,4’-ビス[ (1,1,2-トリフェニル)エテニル] ビフェニル〕、クマリン誘導体〔例えば、クマリン1、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン106、クマリン138、クマリン151、クマリン152、クマリン153、クマリン307、クマリン311、クマリン314、クマリン334、クマリン338、クマリン343、クマリン500〕、ピラン誘導体〔例えば、DCM1、DCM2〕、オキサゾン誘導体〔例えば、ナイルレッド〕、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ピラジン誘導体、ケイ皮酸エステル誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフェニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリビフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリターフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリナフチレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体など)を少なくとも1種用いて形成することができる。
【0118】
本発明の有機電界発光素子においては、発光層に本発明のポリアセン誘導体を含有していることが好ましい。本発明のポリアセン誘導体と他の発光機能を有する化合物を併用する場合、発光層中に占める本発明のポリアセン誘導体の割合は、好ましくは、0.001~99.999重量%程度、より好ましくは、0.01~99.99重量%程度、さらに好ましくは、0.1~99.9重量%程度に調製する。
【0119】
本発明において用いる他の発光機能を有する化合物としては、多環芳香族化合物、発光性有機金属錯体、トリアリールアミン誘導体がより好ましい。例えば、J. Appl. Phys., 65、3610 (1989) 、特開平5-214332号公報に記載のように、発光層をホスト化合物とゲスト化合物(ドーパント)とより構成することもできる。本発明のポリアセン誘導体を、ホスト化合物として用いて発光層を形成することができ、さらには、ゲスト化合物として用いて発光層を形成することもできる。本発明のポリアセン誘導体を、ホスト化合物として用いて発光層を形成する場合、ゲスト化合物としては、例えば、前記の他の発光機能を有する化合物を挙げることができ、中でも、多環芳香族化合物は好ましい。この場合、本発明のポリアセン誘導体に対して、他の発光機能を有する化合物を、好ましくは、0.001~40重量%程度、より好ましくは、0.01~30重量%程度、特に好ましくは、0.1~20重量%程度使用する。
【0120】
本発明のポリアセン誘導体と併用する多環芳香族化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、ルブレン、アントラセン、テトラセン、ピレン、ペリレン、クリセン、デカシクレン、コロネン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、9,10-ジフェニルアントラセン、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、1,4-ビス(9’-エチニルアントラセニル)ベンゼン、4,4’-ビス(9’-エチニルアントラセニル)ビフェニルなどを挙げることができる。勿論、多環芳香族化合物は単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
【0121】
本発明のポリアセン誘導体を、ゲスト化合物として用いて発光層を形成する場合、ホスト化合物としては、例えば、前記の他の発光機能を有する化合物を挙げることができ、例えば、発光性有機金属錯体またはトリアリールアミン誘導体はより好ましい。この場合、発光性有機金属錯体またはトリアリールアミン誘導体に対して、本発明のポリアセン誘導体を、好ましくは、0.001~40重量%程度、より好ましくは、0.01~30重量%程度、特に好ましくは、0.1~20重量%程度使用する。
【0122】
本発明のポリアセン誘導体と併用する発光性有機金属錯体としては、特に限定するものではないが、発光性有機アルミニウム錯体が好ましく、置換または未置換の8-キノリノラート配位子を有する発光性有機アルミニウム錯体がより好ましい。好ましい発光性有機金属錯体としては、例えば、一般式(a)~一般式(c)で表される発光性有機アルミニウム錯体を挙げることができる。
(Q)3 -Al (a)
[式中、Qは置換または未置換の8-キノリノラート配位子を表す]
(Q)2 -Al-O-L (b)
[式中、Qは置換8-キノリノラート配位子を表し、O-Lはフェノラート配位子であり、Lはフェニル部分を含む炭素数6~24の炭化水素基を表す]
(Q)2 -Al-O-Al-(Q)2 (c)
[式中、Qは置換8-キノリノラート配位子を表す]
発光性有機金属錯体の具体例としては、例えば、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,3-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,4-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-tert-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,6-ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,6-トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2,4,5,6-テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)(2-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(2-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)(3,5-ジ-tert-ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-4-メトキシ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-シアノ-8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウム-μ-オキソ-ビス(2-メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラート)アルミニウムなどを挙げることができる。勿論、発光性有機金属錯体は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
電子注入輸送層5は、陰極からの電子の注入を容易にする機能、そして注入された電子を輸送する機能を有する化合物を含有する層である。電子注入輸送層は、本発明のポリアセン誘導体および/または他の電子注入輸送機能を有する化合物(例えば、有機金属錯体〔例えば、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム、ビス(10-ベンゾ[h] キノリノラート)ベリリウム、5-ヒドロキシフラボンのベリリウム塩、5-ヒドロキシフラボンのアルミニウム塩〕、オキサジアゾール誘導体〔例えば、1,3-ビス[ 5’-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2’-イル] ベンゼン〕、トリアゾール誘導体〔例えば、3-(4’-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-5-(4''-ビフェニル)-1,2,4-トリアゾール〕、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体など)を少なくとも1種用いて形成することができる。
【0123】
本発明のポリアセン誘導体と他の電子注入輸送機能を有する化合物を併用する場合、電子注入輸送層中に占める本発明のポリアセン誘導体の割合は、好ましくは、0.1~40重量%程度に調製する。本発明においては、本発明のポリアセン誘導体と有機金属錯体〔例えば、前記一般式(a)~一般式(c)で表される化合物〕を併用して、電子注入輸送層を形成することは好ましい。
【0124】
陰極6としては、比較的仕事関数の小さい金属、合金または電気電導性化合物を電極物質として使用することが好ましい。陰極に使用する電極物質としては、例えば、リチウム、リチウム-インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、カルシウム、マグネシウム、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、アルミニウム、アルミニウム-リチウム合金、アルミニウム-カルシウム合金、アルミニウム-マグネシウム合金、グラファイト薄膜等を挙げることができる。これらの電極物質は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
【0125】
陰極は、これらの電極物質を、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオン化蒸着法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法等の方法により、電子注入輸送層の上に形成することができる。また、陰極は一層構造であってもよく、あるいは多層構造であってもよい。尚、陰極のシート電気抵抗は、数百Ω/□以下に設定するのが好ましい。陰極の厚みは、使用する電極物質の材料にもよるが、一般に、5~1000nm程度、より好ましくは、10~500nm程度に設定する。尚、有機電界発光素子の発光を効率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極が、透明ないし半透明であることが好ましく、一般に、発光光の透過率が70%以上となるように陽極の材料、厚みを設定することがより好ましい。
【0126】
また、本発明の有機電界発光素子においては、その少なくとも一層中に、一重項酸素クエンチャーが含有されていてもよい。一重項酸素クエンチャーとしては、特に限定するものではなく、例えば、ルブレン、ニッケル錯体、ジフェニルイソベンゾフランなどが挙げられ、特に好ましくは、ルブレンである。一重項酸素クエンチャーが含有されている層としては、特に限定するものではないが、好ましくは、発光層または正孔注入輸送層であり、より好ましくは、正孔注入輸送層である。尚、例えば、正孔注入輸送層に一重項酸素クエンチャーを含有させる場合、正孔注入輸送層中に均一に含有させてもよく、正孔注入輸送層と隣接する層(例えば、発光層、発光機能を有する電子注入輸送層)の近傍に含有させてもよい。一重項酸素クエンチャーの含有量としては、含有される層(例えば、正孔注入輸送層)を構成する全体量の0.01~50重量%、好ましくは、0.05~30重量%、より好ましくは、0.1~20重量%である。
【0127】
正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層の形成方法に関しては、特に限定するものではなく、例えば、真空蒸着法、イオン化蒸着法、溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、ラングミュア・ブロゼット法、インクジェット法など)により薄膜を形成することにより作製することができる。真空蒸着法により、各層を形成する場合、真空蒸着の条件は、特に限定するものではないが、10-5 Torr 程度以下の真空下で、50~600℃程度のボート温度(蒸着源温度)、-50~300℃程度の基板温度で、0.005~50nm/sec 程度の蒸着速度で実施することが好ましい。この場合、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層は、真空下で、連続して形成することにより、諸特性に一層優れた有機電界発光素子を製造することができる。真空蒸着法により、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層を、複数の化合物を用いて形成する場合、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して、共蒸着することが好ましい。
【0128】
溶液塗布法により、各層を形成する場合、各層を形成する成分あるいはその成分とバインダー樹脂等を、溶媒に溶解、または分散させて塗布液とする。正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層の各層に使用しうるバインダー樹脂としては、例えば、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリエチレンエーテル、ポリプロピレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルフォン、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体等の高分子化合物が挙げられる。バインダー樹脂は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
【0129】
溶液塗布法により、各層を形成する場合、各層を形成する成分あるいはその成分とバインダー樹脂等を、適当な有機溶媒(例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1-メチルナフタレン等の炭化水素系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶媒、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルフォキサイド等の極性溶媒)および/または水に溶解、または分散させて塗布液とし、各種の塗布法により、薄膜を形成することができる。
【0130】
尚、分散する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、アトライター、ホモジナイザー等を用いて微粒子状に分散することができる。塗布液の濃度に関しては、特に限定するものではなく、実施する塗布法により、所望の厚みを作製するに適した濃度範囲に設定することができ、一般には、0.1~50重量%程度、好ましくは、1~30重量%程度の溶液濃度である。尚、バインダー樹脂を使用する場合、その使用量に関しては、特に限定するものではないが、一般には、各層を形成する成分に対して(一層型の素子を形成する場合には、各成分の総量に対して)、5~99.9重量%程度、好ましくは、10~99重量%程度、より好ましくは、15~90重量%程度に設定する。
【0131】
正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層の膜厚に関しては、特に限定するものではないが、一般に、5nm~5μm程度に設定することが好ましい。尚、作製した素子に対し、酸素や水分等との接触を防止する目的で、保護層(封止層)を設けたり、また素子を、例えば、パラフィン、流動パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン油、ゼオライト含有フルオロカーボン油などの不活性物質中に封入して保護することができる。
【0132】
保護層に使用する材料としては、例えば、有機高分子材料(例えば、フッ素化樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイド)、無機材料(例えば、ダイヤモンド薄膜、アモルファスシリカ、電気絶縁性ガラス、金属酸化物、金属窒化物、金属炭素化物、金属硫化物)、さらには光硬化性樹脂などを挙げることができ、保護層に使用する材料は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。保護層は、一層構造であってもよく、また多層構造であってもよい。
【0133】
また、電極に保護膜として、例えば、金属酸化膜(例えば、酸化アルミニウム膜)、金属フッ化膜を設けることもできる。また、例えば、陽極の表面に、例えば、有機リン化合物、ポリシラン、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体(例えば、銅フタロシアニン)、カーボンから成る界面層(中間層)を設けることもできる。さらに、電極、例えば、陽極はその表面を、例えば、酸、アンモニア/過酸化水素、あるいはプラズマで処理して使用することもできる。
【0134】
本発明の有機電界発光素子は、一般に、直流駆動型の素子として使用されるが、パルス駆動型または交流駆動型の素子としても使用することができる。尚、印加電圧は、一般に、2~30V程度である。本発明の有機電界発光素子は、例えば、パネル型光源、各種の発光素子、各種の表示素子、各種の標識、各種のセンサーなどに使用することができる。
【0135】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0136】
参考化合物1の調製
【化41】
JP0004188616B2_000037t.gifジメチル 1,4-ジプロピルナフタレン-2,3-ジカルボキシレート
2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン (1.362 g, 6.0 mmol) をジメチル 1,4-ジプロピル-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2,3-ジカルボキシレート(0.665 g, 2.0 mmol)のベンゼン溶液(20ml)に添加した。次いで、混合物を24時間、リフラックスした。濾過後、混合物中の溶媒を真空下、除去した。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン, 1/20)により、0.464 g の標題化合物が無色結晶として得られた。 GC 収率87%。単離収率71%。
【0137】
参考化合物2の調製
【化42】
JP0004188616B2_000038t.gif2,3-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ジプロピルナフタレン
参考化合物1で得られたジメチル 1,4-ジプロピルナフタレン-2,3-ジカルボキシレートのジエチルエーテル溶液に、0℃にて、水素化リチウムアルミニウムを添加し、次いで、室温に暖め、1時間、攪拌した。室温にて水を添加し、反応を終了させた。これにより、0.219 g (0.898 mmol)の標題化合物が白色固体として得られた。エーテル/ヘキサンからの再結晶により、少量の標題化合物が得られた。単離収率90%。
【0138】
参考化合物3の調製
【化43】
JP0004188616B2_000039t.gif2,3-ビス(ブロモメチル)-1,4-ジプロピルナフタレン
参考化合物2で得られた2,3-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ジプロピルナフタレンのクロロホルム溶液に、室温にて、三臭化リン(1eq)を添加し、次いで、室温にて1時間、攪拌した。次いで、エーテルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去した後、残渣についてシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン, 1/50) により 0.115 g (0.4 mmol)の標題化合物が白色固体として得られた。単離収率72%。
【0139】
参考化合物4の調製
【化44】
JP0004188616B2_000040t.gif2,3-ビス(2-ヘキシニル)-1,4-ジプロピルナフタレン
参考化合物3で得られた2,3-ビス(ブロモメチル)-1,4-ジプロピルナフタレンのTHF溶液に、N,N'-ジメチルプロピレンウレア(DMPU)及び1-ペンチニルリチウムを添加した。反応混合物を室温にて1時間、攪拌した。3N塩酸を添加して、反応を終了させた。次いで、エーテルで抽出し、炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、そして、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で濃縮し、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン, 1/50) により 1.661 g (4.787 mmol)の標題化合物が白色固体として得られた。単離収率93%。
【0140】
参考化合物5の調製
【化45】
JP0004188616B2_000041t.gif5,12-ジヒドロ-1,4,6,11-テトラプロピルナフタセン-2,3-ジエトキシメチル
参考化合物4で得られた 2,3-ビス(2-ヘキシニル)-1,4-ジプロピルナフタレンを、-78℃にて、ビス(η5-シクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウムのTHF溶液に添加し、次いで、室温にまで暖め、1時間、放置した。次いで、この反応物のまま、室温にて、NiCl2(PPh3)2及び1,4-ジエトキシ-2-ブチンを添加し、さらに、室温にて1時間、攪拌した。次いで、3N塩酸を添加し、反応を終了させた。次いで、エーテルで抽出し、炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、そして、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で濃縮した後、残渣について、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン, 1/10)により、標題化合物が得られた。
【0141】
本発明化合物1の調製
【化46】
JP0004188616B2_000042t.gif2,3-ビス(エトキシメチル)-1,4,6,11-テトラプロピルナフタセン
参考化合物5で得られた5,12-ジヒドロ-1,4,6,11-テトラプロピルナフタセン-2,3-ジエトキシメチルを用いた。2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(0.050 g, 0.22 mmol)を1,4-ジオキサン(5ml)の5,12-ジヒドロ-1,4,6,11-テトラプロピルナフタセン-2,3-ジエトキシメチル(0.2 mmol)溶液に添加した。次いで、混合物を3時間、リフラックスした。濾過後、混合物中の溶媒を真空下、除去した。クロロホルムを添加し、再度、濾過した。クロロホルム/メタノールからの再結晶により、標題化合物が得られた。
【0142】
参考化合物6の調製
【化47】
JP0004188616B2_000043t.gifジメチル 5,12-ジヒドロ-1,4,6,11-テトラプロピルナフタセン-2,3-ジカルボキシレート
参考化合物4で得られた 2,3-ビス(2-ヘキシニル)-1,4-ジプロピルナフタレンを、-78℃にて、ビス(η5-シクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウムのTHF溶液に添加し、次いで、室温にまで暖め、1時間、放置した。次いで、この反応物のまま、室温にて、CuCl及びジメチルアセチレンジカルボキシレートを添加し、さらに、室温にて1時間、攪拌した。次いで、3N塩酸を添加し、反応を終了させた。次いで、エーテルで抽出し、炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、そして、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で濃縮した後、残渣について、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン, 1/10)により、1.790 g (4.458 mmol)の標題化合物が淡黄色固体として得られた。単離収率78%。
【0143】
本発明化合物2の調製
【化48】
JP0004188616B2_000044t.gif2,3-ビス(メトキシカルボニル)-1,4,6,11-テトラプロピルナフタセン
参考化合物6で得られたジメチル 5,12-ジヒドロ-1,4,6,11-テトラプロピルナフタセン-2,3-ジカルボキシレートを用いた。2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(0.050 g, 0.22 mmol)を1,4-ジオキサン(5ml)のジメチル 5,12-ジヒドロ-1,4,6,11-テトラプロピルナフタセン-2,3-ジカルボキシレート (0.103 g, 0.2 mmol)溶液に添加した。次いで、混合物を3時間、リフラックスした。濾過後、混合物中の溶媒を真空化、除去した。クロロホルムを添加し、再度、濾過した。クロロホルム/メタノールからの再結晶により、0.076 g の標題化合物が赤色針状結晶として得られた。
【0144】
参考化合物7の調製
【化49】
JP0004188616B2_000045t.gifジメチル 3,4,5,6-テトラプロピルフタレート
ビス(η5-シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム(7.016 g, 24.0 mmol)及びn-ブチルリチウム(31.6 ml, 48.0 mmol, 1.52 M)とから調製したビス(η5-シクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウムのTHF溶液70 mlに、4-オクチン (5.9 ml, 40.0 mmol)を-78 ℃にて加えた。反応混合物を室温まで昇温させ、1時間攪拌した。DMAD (ジメチル アセチレンジカルボキシレート) (7.4 ml, 60.0 mmol) 及びCuCl (3.96 g, 40.0 mmol)を反応混合物に室温にて加えた。1時間攪拌後、3N HClで加水分解し、混合物をヘキサンで抽出した。次いで、炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水の順で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを行い、淡黄色油の標題化合物 (4.917 g) を得た。GC収率 82%。単離収率 74%。
【0145】
参考化合物8の調製
【化50】
JP0004188616B2_000046t.gif1,2-ビス(ヒドロキシメチル)-3,4,5,6-テトラプロピルベンゼン
LiAlH4 (1.20 g, 31.7 mmol)の50 ml THF溶液に、参考化合物7で得られたジメチル 3,4,5,6-テトラプロピルフタレート (5.22 g, 14.4 mmol)を 0 ℃にて加えた。室温にて1時間攪拌した後、水で加水分解をした。混合物を2N H2SO4で処理し、ジエチルエーテルで抽出した。次いで、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを行い、白色固体の標題化合物 (3.67 g) を得た。単離収率 91%。
【0146】
参考化合物9の調製
【化51】
JP0004188616B2_000047t.gif1,2-ビス (ブロモメチル)-3,4,5,6-テトラプロピルベンゼン
トリブロモホスフィン(0.54 ml, 5.70 mmol)を、参考化合物8で得られた1,2-ビス (ヒドロキシメチル)-3,4,5,6-テトラプロピルベンゼン (1.75 g, 5.70 mmol) の20 mlクロロホルム溶液に、室温にて滴下した。1時間攪拌後、混合物を水で処理し、クロロホルムで抽出した。次いで、炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを行い、白色固体の標題化合物 (1.866 g) を得た。GC収率100%。単離収率 87%。
【0147】
参考化合物10の調製
【化52】
JP0004188616B2_000048t.gif1,2-ビス(2-ヘキシニル)-3,4,5,6-テトラプロピルベンゼン
1-ペンチン (1.67 ml, 17.12 mmol)の30 ml THF溶液に、n-ブチルリチウム (9.7 ml, 15.56 mmol, 1.6 M)を-78 ℃にて加え、混合物を1時間室温にて攪拌した。参考化合物9で得られた1,2-ビス(ブロモメチル)-3,4,5,6-テトラプロピルベンゼン (1.68 g, 3.89 mmol) 及びDMPU (1.9 ml, 15.56 mmol) を室温にて加えた。1時間攪拌後、3N HClで反応を終了させ、ヘキサンで抽出した。次いで、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを行い、白色固体の標題化合物 (1.520 g) を得た。GC収率100%。単離収率97%。
【0148】
参考化合物11の調製
【化53】
JP0004188616B2_000049t.gif6,11-ジヒドロ-2,3-ジヨード -5,7,8,9,10,12-ヘキサプロピルナフタセン
n-ブチルリチウム (3.0 ml, 4.8 mmol, 1.6 mol/l)を、Cp2ZrCl2 (0.702 g, 2.4 mmol)のTHF (20 ml)溶液に-78 ℃にて加えた。混合物を1時間攪拌した後、参考化合物10で得られた1,2-ビス(2-ヘキシニル)-3,4,5,6-テトラプロピルベンゼン (0.813 g, 2.0 mmol)を加えた。クーリングバスを取り外し、混合物を1時間攪拌した。テトラヨードベンゼン(1.16 g, 2.0 mmol) 及び DMPU (0.73 ml, 6.0 mmol)、 CuCl (0.416 g, 4.2 mmol) を混合物中に添加した。1時間、50 ℃にて攪拌した後、3N HClを加えて反応を終了させ、クロロホルムで抽出した。次いで、炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、減圧した後、シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを行い、桃色固体の標題化合物 (0.477 g) を得た。33% 単離収率。
【0149】
本発明化合物3の調製
【化54】
JP0004188616B2_000050t.gif8,9-ジヨード-1,2,3,4,6,11-ヘキサプロピルナフタセン
参考化合物11で得られた6,11-ジヒドロ-5,7,8,9,10,12-ヘキサプロピル-2,3-ジヨードナフタセン (0.238 g, 0.324 mmol)及び2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン (0.081 g, 0.35 mmol)、1,4-ジオキサン (2 ml)を反応器に添加した。混合物を3時間、リフラックスした。冷却後、析出物を濾過により除去した。混合物中の溶媒を真空下で除去し、クロロホルム/メタノールから再結晶した。橙赤色の表題化合物 (0.081 g)を得た。単離収率 34%。
【0150】
参考化合物12の調製
【化55】
JP0004188616B2_000051t.gifジメチル 1,4-ジプロピル -5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン -2,3-ジカルボキシレート
ビス(η5-シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム(16.849 g, 57.64 mmol)及びn-ブチルリチウム(75.8 ml, 115.3 mmol, 1.52 M)とから調製したビス(η5-シクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウムの200 ml THF溶液に、4,10-テトラドデカジイン (9.14 g, 48.03 mmol) を-78 ℃にて添加した。反応混合物を室温まで昇温させ、1時間攪拌した。DMAD (17.4 ml, 144.01 mmol) 及び CuCl (9.51 g, 96.06 mmol)を反応混合物に室温にて加えた。1時間攪拌後、3N HClで加水分解を行い、ヘキサンで抽出した。炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄し、そして、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを行い、メタノールから再結晶させた。無色結晶の表題化合物(8.133 g) を得た。GC収率 58%。単離収率51%。
【0151】
参考化合物13の調製
【化56】
JP0004188616B2_000052t.gifジメチル 1,4-ジプロピルナフタレン -2,3-ジカルボキシレート
2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン (1.362 g, 6.0 mmol) を、参考化合物12で得られたジメチル 1,4-ジプロピル -5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン -2,3-ジカルボキシレートのベンゼン溶液 (20ml) (0.665 g, 2.0 mmol)に加えた。混合物を24時間、リフラックスした。濾過後、混合物を真空中で減圧した。シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを行い、無色結晶の表題化合物(0.464 g)を得た。GC収率 87%。単離収率 71%。
【0152】
参考化合物14の調製
【化57】
JP0004188616B2_000053t.gif2,3-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ジプロピルナフタレン
LiAlH4 (0.075 g, 1.98 mmol)の5 ml THF溶液に、参考化合物13で得られたジメチル 1,4-ジプロピルナフタレン -2,3-ジカルボキシレート (0.295 g, 0.898 mmol)を0 ℃にて加えた。室温にて、1時間攪拌した後、水で加水分解を行った。混合物を 2N H2SO4で処理しジエチルエーテルで抽出した。抽出物を飽和食塩水で洗浄し、そして、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で濃縮した。白色固体の標題化合物(0.219 g)を得た。単離収率 90%。
【0153】
参考化合物15の調製
【化58】
JP0004188616B2_000054t.gif2,3-ビス(ブロモメチル)-1,4-ジプロピルナフタレン
トリブロモホスフィン(0.04 ml, 0.42 mmol)を、参考化合物14で得られた2,3-ビス (ヒドロキシメチル)-1,4-ジプロピルナフタレン (0.109 g, 0.40 mmol) の5 mlクロロホルム溶液に室温にて滴下した。1時間攪拌した後、混合物を水で処理し、クロロホルムで抽出した。炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、そして、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを行い、白色固体の標題化合物(0.115 g)を得た。単離収率 72%。
【0154】
参考化合物16の調製
【化59】
JP0004188616B2_000055t.gif2,3-ビス (2-ヘキシニル)-1,4-ジプロピルナフタレン
1-ペンチン (2.05 ml, 21.06 mmol)の 30 ml THF溶液に、n-ブチルリチウム (7.6 ml, 19.1 mmol, 2.52 M)を -78 ℃にて加え、混合物を1時間室温にて攪拌した。参考化合物15で得られた2,3-ビス (ブロモメチル)-1,4-ジプロピルナフタレン (1.91 g, 4.79 mmol) 及び DMPU (2.3 ml, 19.1 mmol) を室温にて加えた。1時間攪拌後、3N HClで処理し、ヘキサンで抽出した。炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、そして、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを行い、白色固体の標題化合物(1.66 g)を得た。単離収率 93%。
【0155】
参考化合物17の調製
【化60】
JP0004188616B2_000056t.gif2,3-ビス(エトキシカルボニルフェニル)-5,12-ジヒドロ-1,4,6,11-テトラプロピルナフタセン
ビス(η5-シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム(0.351 g, 1.2 mmol)及びn-ブチルリチウム(1.5 ml, 2.4 mmol, 1.6 M)とから調製したビス(η5-シクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウムの20 ml THF溶液に、参考化合物16で得られた2,3-ビス (2-ヘキシニル)-1,4-ジプロピルナフタレン (0.373 g, 1.0 mmol)を-78 ℃にて加えた。反応混合物を室温まで昇温させ、1時間攪拌した。ビス(エトキシカルボニルフェニル)アセチレン (1.5 mmol) 及び NiBr2(PPh3)2 (0.892 g, 1.2 mmol)を反応混合物に、室温にて加えた。24時間攪拌した後、3N HClで加水分解を行い、ヘキサンで抽出した。炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、そして、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを行い、標題化合物を得た。
【0156】
本発明化合物4の調製
【化61】
JP0004188616B2_000057t.gif2,3-ビス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,4,6,11-テトラプロピルナフタセン
参考化合物17で得られた2,3-ビス(エトキシカルボニルフェニル)-5,12-ジヒドロ-1,4,6,11-テトラプロピルナフタセン(1.04 mmol) 及び 2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン (0.260 g, 1.14 mmol)、 1,4-ジオキサン (3 ml)を、反応器に添加した。混合物を24時間、リフラックスし、冷却後、析出物を濾過により除去した。混合物中の溶媒を真空下、除去し、クロロホルム/メタノールから再結晶化し、標題化合物を得た。
【0157】
参考化合物18の調製
【化62】
JP0004188616B2_000058t.gif5,12-ジヒドロ -1,2,3,4,6,11-ヘキサプロピルナフタセン
ビス(η5-シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム(0.351 g, 1.2 mmol)及びn-ブチルリチウム(1.5 ml, 2.4 mmol, 1.6 M)とから調製したビス(η5-シクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウムの20 ml THF溶液に、参考化合物16で得られた2,3-ビス (2-ヘキシニル)-1,4-ジプロピルナフタレン (0.373 g, 1.0 mmol)を-78 ℃にて加えた。反応混合物を室温まで昇温させ、1時間攪拌した。4-オクチン (0.22 ml, 1.5 mmol) 及び NiBr2(PPh3)2 (0.892 g, 1.2 mmol)を反応混合物に、室温にて加えた。24時間攪拌した後、3N HClで加水分解を行い、ヘキサンで抽出した。炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、そして、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを行い、エタノールで粉末化することにより、やや橙色の粉末の標題化合物(0.224 g)を得た。単離収率 46%。
【0158】
本発明化合物5の調製
【化63】
JP0004188616B2_000059t.gif1,2,3,4,6,11-ヘキサプロピルナフタセン
参考化合物18で得られた5,12-ジヒドロ-1,2,3,4,6,11-ヘキサプロピルナフタセン (0.503 g, 1.04 mmol) 及び 2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン (0.260 g, 1.14 mmol)、 1,4-ジオキサン (3 ml)を、反応器に添加した。混合物を24時間、リフラックスし、冷却後、析出物を濾過により除去した。混合物中の溶媒を真空下、除去し、クロロホルム/メタノールから再結晶化し、橙赤色の標題化合物(0.112 g)を得た。NMR収率36 %。単離収率 22%。
【0159】
参考化合物19の調製
【化64】
JP0004188616B2_000060t.gif9,10-ジプロピル-2,3-ジヨード-5,6,7,8-テトラヒドロアントラセン
ビス(η5-シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム(0.175 g, 0.6 mmol)のTHF(25ml)溶液に、-78℃にて、n-ブチルリチウム(0.75 ml, 1.2 mmol, 1.6 mol/l)を添加した。この溶液を1時間、攪拌し、4,10-テトラドデカジイン (0.095 ml, 0.5 mmol)を加えた。クーリングバスを取り外し、混合物を1時間攪拌した。テトラヨードベンゼン(0.582 g, 1.0 mmol)及び DMPU (0.18 ml, 1.5 mmol)、 CuCl (0.104 g, 1.1 mmol)を混合物に加えた。50 ℃で1時間攪拌した後、 3N塩酸を添加して、反応を終了させた。次いで、エーテルで抽出し、炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した。減圧下で濃縮した後、残渣について、シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィーを行い、無色固体の標題化合物 (0.148 g) を得た。57% 単離収率。
【0160】
参考化合物20の調製
【化65】
JP0004188616B2_000061t.gif9,10-ジプロピル-2,3-ジヨードアントラセン
参考化合物19で得られた9,10-ジプロピル-2,3-ジヨード-5,6,7,8-テトラヒドロアントラセン (0.259 g, 0.5 mmol)及び2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン (0.341 g, 1.5 mmol)、 1,4-ジオキサン (3 ml) を反応器に添加した。次いで、混合物を1時間、リフラックスし、冷却後、析出物を濾過により除去した。混合物中の溶媒を真空化、除去した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン)を行い、淡黄色固体の標題化合物 (0.109 g) を得た。単離収率 42%。
【0161】
JP0004188616B2_000062t.gif5,14-ビス(4-ブロモフェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロ-7,12-ジプロピルペンタセンビス(η5-シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム(0.161 g, 0.551 mmol)及びn-ブチルリチウム(0.7 ml, 1.6 M, 1.1 mmol)とから調製したビス(η5-シクロペンタジエニル)ジブチルジルコニウムのTHF溶液に、1,8-ビス (p-ブロモフェニル)-1,7-オクタジイン (0.191 g, 0.459 mmol)を、-78℃にて添加した。続いて室温で1時間放置した。 CuCl (0.095 g, 0.964 mmol)及びDMPU (0.17 ml, 1.38 mmol)、参考化合物20で得られた 2,3-ジヨード -9,10-ジプロピルアントラセン (0.236 g 0.459 mmol) を混合物に添加した。50℃で1時間加熱した後、混合物中の溶媒を真空下で除去した。カラムクロマトグラフィー(クロロフォルム)を行った。クロロフォルム/メタノールからの再結晶により、橙赤色の表題化合物 (0.177 g)が得られた。単離収率 57%。
【0162】
比較化合物1
【化67】
JP0004188616B2_000063t.gif標題化合物をアルドリッチ社から購入し、そのまま用いた。
【0163】
比較化合物2
【化68】
JP0004188616B2_000064t.gif標題化合物をエキシトン社から購入し、そのまま用いた。
【0164】
比較化合物3
【化69】
JP0004188616B2_000065t.gif標題化合物をアルドリッチ社から購入し、そのまま用いた。
【0165】
実施例1
厚さ130nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、アセトン、基板洗浄剤、蒸留水、イソプロピルアルコールの順に超音波洗浄した。更に、UV/オゾン洗浄した後、蒸着装置のホルダーに固定した。蒸着槽は10-6 Torr程度に減圧し、ITO透明電極上に、TPD[N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン]を膜厚約30nm蒸着した後に、上記のように調製した表1記載の化合物及びAlq.[トリス(8-ヒドロキシキノリナト]アルミニウム]を1:100の重量比で膜厚約40nmに蒸着した。更に、Alq.を単独で膜厚約20nm蒸着した。次いで、有機薄膜上にパターニングしたマスク(発光面積は5mm×5mm)を設置し、マグネシウムと銀を膜厚約150nmに共蒸着(重量比10:1)して陰極とし、有機EL素子を作製した。この有機EL素子をKEITHLEY社製ソースメータ2400型を用い直流電圧を印加して発光させ、その輝度をTOPCON社の輝度計BM-9型、発光波長を浜松ホトニクス社製マルチチャンネル検出器PMA-11型を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0166】
【表1】
JP0004188616B2_000066t.gif
【0167】
実施例2
実施例1と同様に、ITO透明電極を洗浄後、蒸着装置の基板ホルダーに固定した。蒸着槽は10-6 Torr程度に減圧し、ITO透明電極上に、TPD[N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン]を膜厚約30nm、上記のように調製した表2記載の化合物を膜厚約40nm、Alq.[トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム]を膜厚60nmの順に蒸着した。次いで、実施例1と同様に陰極を蒸着し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0168】
【表2】
JP0004188616B2_000067t.gif
【0169】
PVK[ポリ(N-ビニルカルバゾール)]21mg、PBD[2-(4-ビフェニルイル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール]9mg、上記のように調製した表3記載の化合物1mgを1,2-ジクロロエタン3mlに溶解し、実施例1と同様に洗浄したITO基板にスピンコートした。有機薄膜の膜厚は約60nmであった。次いで、実施例1と同様に陰極(150nm)を蒸着し、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0170】
【表3】
JP0004188616B2_000068t.gif
【0171】
【発明の効果】
本発明によれば、安定性、耐久性、発光輝度、発光効率に優れた有機電界発光素子用材料及び有機電界発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機電界発光素子の一例(A)の概略構造図である。
【図2】有機電界発光素子の一例(B)の概略構造図である。
【図3】有機電界発光素子の一例(C)の概略構造図である。
【図4】有機電界発光素子の一例(D)の概略構造図である。
【図5】有機電界発光素子の一例(E)の概略構造図である。
【図6】有機電界発光素子の一例(F)の概略構造図である。
【図7】有機電界発光素子の一例(G)の概略構造図である。
【図8】有機電界発光素子の一例(H)の概略構造図である。
【符号の説明】
1 :基板
2 :陽極
3 :正孔注入輸送層
3a:正孔注入輸送成分
4 :発光層
4a:発光成分
5 :電子注入輸送層
5'':電子注入輸送層
5a:電子注入輸送成分
6 :陰極
7 :電源
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
6
【図8】
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