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明細書 :シクロペンテノン誘導体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4227831号 (P4227831)
公開番号 特開2004-323446 (P2004-323446A)
登録日 平成20年12月5日(2008.12.5)
発行日 平成21年2月18日(2009.2.18)
公開日 平成16年11月18日(2004.11.18)
発明の名称または考案の名称 シクロペンテノン誘導体の製造方法
国際特許分類 C07C  45/49        (2006.01)
C07C  49/597       (2006.01)
FI C07C 45/49
C07C 49/597
請求項の数または発明の数 6
全頁数 12
出願番号 特願2003-122421 (P2003-122421)
出願日 平成15年4月25日(2003.4.25)
審査請求日 平成17年6月17日(2005.6.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】高橋 保
【氏名】席 嬋娟
個別代理人の代理人 【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
審査官 【審査官】松澤 優子
参考文献・文献 特開平11-263743(JP,A)
特開2001-247506(JP,A)
特開2002-003433(JP,A)
特開2001-253862(JP,A)
特開平06-100698(JP,A)
国際公開第02/048072(WO,A1)
特開2004-149506(JP,A)
調査した分野 C07C 45/49
C07C 49/597
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)で示されるシクロペンテノン誘導体の製造方法であって、
【化1】
JP0004227831B2_000007t.gif
[式中、R1及びR2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基、又は水酸基であり、
ただし、R1及びR2は、互いに架橋してC4~C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式-N(B)-で示される基(式中、Bは水素原子又はC1~C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。]
下記式(2)で示されるメタラシクロペンテンと、
【化2】
JP0004227831B2_000008t.gif
[式中、R1及びR2は、上記の意味を有する。
Mは、ジルコニウム、チタン又はハフニウムを示し、
1及びL2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、アニオン性配位子を示す。但し、L1及びL2は、架橋されていてもよい。]
クロムカルボニル、モリブデンカルボニル及びタングステンカルボニルからなる群から選ばれる遷移金属カルボニルとを反応させ、反応混合物を得る工程と、前記反応混合物をヨウ素で処理する工程とを含むことを特徴とするシクロペンテノン誘導体の製造方法。
【請求項2】
前記遷移金属カルボニルがモリブデンカルボニルである、請求項1に記載のシクロペンテノン誘導体の製造方法。
【請求項3】
Mがジルコニウムである、請求項1又は2に記載のシクロペンテノン誘導体の製造方法。
【請求項4】
前記アニオン性配位子が、非局在化環状η5-配位系配位子であって、置換されていてもよいシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基又はアズレニル基である、請求項1~のいずれかに記載のシクロペンテノン誘導体の製造方法。
【請求項5】
1及びR2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基又は置換基を有していてもよいシリル基である、請求項1~のいずれかに記載のシクロペンテノン誘導体の製造方法。
【請求項6】
前記式(1)で示されるシクロペンテノン誘導体が、2,3-ジエチルシクロペンタ-2-エンオン、2,3-ジプロピルシクロペンタ-2-エンオン、又は、2,3-ジフェニルシクロペンタ-2-エンオンである請求項1~のいずれかに記載のシクロペンテノン誘導体の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シクロペンテノン誘導体の製造方法に関し、より詳しくはモリブデンカルボニル等の遷移金属カルボニルを利用したシクロペンテノン誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
シクロペンテノンは、医薬、農薬、香料、ファインケミカル等で幅広く用いられいる中間体であり、特にシクロペンテノイド合成の中間体として有用である。例えば、Liebeskind L. S.; Mitchell D.;Foster B. S. J. Am. Chem. Soc.,1987, 109, 7908-7910、Liebeskind L. S.; Bombrun A. J. Org. Chem. 1994, 59, 1149-1159にこのようなシクロペンテノンからシクロペンテノイドを合成するスキームについて記載されている。
【0003】
シクロペンテノンの合成法として、ジルコニウム上でアセチレン類を反応させジルコナシクロペンテンを得て、次いで、一酸化炭素と反応させる方法が知られている。しかしながら、この方法によれば、猛毒性である一酸化炭素を使用するため、その取扱いに注意が必要であり、また、ガスであるため、装置が複雑になるといった問題があった。
【0004】
従って、扱いやすい試薬を使用しつつ、しかも、高収率で簡便にシクロペンテノン誘導体を得ることが所望された。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者は、メタラシクロペンテンに一酸化炭素を反応させる代わりに、安定でありかつ固体化合物である遷移金属カルボニルを反応させ、得られた反応混合物をヨウ素で処理することにより、容易かつ高収率でシクロペンテノン誘導体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
即ち、本発明では、下記式(1)で示されるシクロペンテノン誘導体の製造方法であって、
【化3】
JP0004227831B2_000002t.gif[式中、R1及びR2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基、又は水酸基であり、ただし、R1及びR2は、互いに架橋してC4~C20飽和環又は不飽和環を形成してもよく、前記環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子又は式-N(B)-で示される基(式中、Bは水素原子又はC1~C20炭化水素基である。)で中断されていてもよく、かつ、置換基を有していてもよい。]下記式(2)で示されるメタラシクロペンテンと、
【化4】
JP0004227831B2_000003t.gif[式中、R1及びR2は、上記の意味を有する。Mは、遷移金属を示し、L1及びL2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、アニオン性配位子を示す。但し、L1及びL2は、架橋されていてもよい。]遷移金属カルボニルとを反応させ、反応混合物を得る工程と、前記反応混合物をヨウ素で処理する工程とを含むことを特徴とするシクロペンテノン誘導体の製造方法が提供される。
【0007】
本発明において、前記遷移金属カルボニルがモリブデンカルボニルであることが好ましい。
【0008】
また、本発明において、Mが周期表第4族から第6族の遷移金属であることが好ましく、Mがジルコニウムであるが更に好ましい。
【0009】
また、本発明において、前記アニオン性配位子が、非局在化環状η5-配位系配位子であって、置換されていてもよいシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基又はアズレニル基であることが好ましい。
【0010】
また、本発明において、R1及びR2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基又は置換基を有していてもよいシリル基であることが好ましい。
【0011】
また、本発明において、前記式(1)で示されるシクロペンテノン誘導体が、2,3-ジエチルシクロペンタ-2-エンオン、2,3-ジプロピルシクロペンタ-2-エンオン、又は、2,3-ジフェニルシクロペンタ-2-エンオンであることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明では、下記式(2)で示されるメタラシクロペンテンと、遷移金属カルボニルとを反応させ、反応混合物を得る工程と、前記反応混合物をヨウ素で処理する工程とを含むことを特徴とする下記式(1)で示されるシクロペンテノン誘導体の製造方法が提供される。
【0013】
【化5】
JP0004227831B2_000004t.gif[式中、R1、R2、M、L1およびL2は、上記の意味を有する。]
【0014】
上記式中、R1及びR2は、それぞれ互いに独立し、同一または異なって、水素原子;置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基;置換基を有していてもよいC1~C20アルコキシ基;置換基を有していてもよいC6~C20アリールオキシ基;置換基を有していてもよいアミノ基;置換基を有していてもよいシリル基;又は水酸基である。
【0015】
本明細書において、「C1~C20炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C1~C20炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C1~C20炭化水素基」には、C1~C20アルキル基、C2~C20アルケニル基、C2~C20アルキニル基、C4~C20アルキルジエニル基、C6~C18アリール基、C6~C20アルキルアリール基、C6~C20アリールアルキル基、C4~C20シクロアルキル基、C4~C20シクロアルケニル基、(C3~C10シクロアルキル)C1~C10アルキル基などが含まれる。
【0016】
本明細書において、「C1~C20アルキル基」は、C1~C10アルキル基であることが好ましく、C1~C6アルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
【0017】
本明細書において、「C2~C20アルケニル基」は、C2~C10アルケニル基であることが好ましく、C2~C6アルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチルアリル、2-ブテニル等を挙げることができる。
【0018】
本明細書において、「C2~C20アルキニル基」は、C2~C10アルキニル基であることが好ましく、C2~C6アルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、2-プロピニル、2-ブチニル等を挙げることができる。
【0019】
本明細書において、「C4~C20アルキルジエニル基」は、C4~C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C4~C6アルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3-ブタジエニル等を挙げることができる。
【0020】
本明細書において、「C6~C18アリール基」は、C6~C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0021】
本明細書において、「C6~C20アルキルアリール基」は、C6~C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、メシチル等を挙げることができる。
【0022】
本明細書において、「C6~C20アリールアルキル基」は、C6~C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル等を挙げることができる。
【0023】
本明細書において、「C4~C20シクロアルキル基」は、C4~C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
【0024】
本明細書において、「C4~C20シクロアルケニル基」は、C4~C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、2-シクロペンテン-1-イル、2-シクロヘキセン-1-イル、3-シクロヘキセン-1-イル等を挙げることができる。
【0025】
本明細書において、「C1~C20アルコキシ基」は、C1~C10アルコキシ基であることが好ましく、C1~C6アルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
【0026】
本明細書において、「C6~C20アリールオキシ基」は、C6~C10アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
【0027】
1及びR2で示される「C1~C20炭化水素基」、「C1~C20アルコキシ基」、「C6~C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、C1~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C1~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6~C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個~4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0028】
本明細書において、「置換基を有していてもよいアミノ基」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
【0029】
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル基」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
【0030】
本発明において、R1及びR2は、それぞれ、互いに架橋してC4~C20飽和環又は不飽和環を形成してもよい。これらの置換基が形成する環は、4員環~16員環であることが好ましく、4員環~12員環であることが更に好ましい。この環は、ベンゼン環等の芳香族環あってもよいし、脂肪族環であってもよい。また、これらの置換基が形成する環に、更に単数又は複数の環が形成されていてもよい。
【0031】
前記飽和環または不飽和環は、酸素原子、硫黄原子、珪素原子、スズ原子、ゲルマニウム原子または式—N(B)—で示される基(式中、Bは水素原子またはC1~C20炭化水素基である。)で中断されていてもよい。即ち、前記飽和環または不飽和環はヘテロ環であってもよい。かつ、置換基を有していてもよい。不飽和環は、ベンゼン環等の芳香族環であってもよい。
【0032】
Bは,水素原子またはC1~C10炭化水素基であることが好ましく、水素原子またはC1~C7炭化水素基であることが更に好ましく、Bは水素原子、C1~C3アルキル基、フェニル基またはベンジル基であることが更になお好ましい。
【0033】
この飽和環又は不飽和環は、置換基を有していてもよく、例えば、C1~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、C1~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C6~C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などの置換基が導入されていてもよい。
【0034】
本発明において、R1及びR2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、置換基を有していてもよいC1~C20炭化水素基又は置換基を有していてもよいシリル基であることが好ましく、C1~C10アルキル基;C6~C10アリール基;又は置換基を有していてもよいシリル基であることが更に好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、フェニル、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル又はトリエチルシリルであることがより好ましい。
【0035】
本発明において、上記式(1)で示されるシクロペンテノン誘導体が、2,3-ジエチルシクロペンタ-2-エンオン、2,3-ジプロピルシクロペンタ-2-エンオン、又は、2,3-ジフェニルシクロペンタ-2-エンオンであることが好ましい。
【0036】
本発明のシクロペンテノン誘導体の製造方法では、下記式(2)で示されるメタラシクロペンテンが用いられる。
【0037】
【化6】
JP0004227831B2_000005t.gif[式中、R1及びR2は、上記の意味を有する。]
【0038】
Mは、遷移金属を示す。Mとしては、周期表第4族~第6族の遷移金属であることが好ましく、周期表第4族の金属、即ち、チタン、ジルコニウム及びハフニウムであることが更に好ましく、ジルコニウムであることが特に好ましい。
【0039】
1及びL2は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なって、アニオン性配位子を示す。ただし、L1及びL2は、架橋されていてもよい。前記アニオン性配位子は、非局在化環状η5-配位系配位子、C1~C20アルコキシ基、C6~C20アリールオキシ基又はジアルキルアミド基であることが好ましく、非局在化環状η5-配位系配位子であることが更に好ましい。非局在化環状η5-配位系配位子としては、置換されていてもよいシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基又はアズレニル基を挙げることができ、無置換のシクロペンタジエニル基、及び置換されたシクロペンタジエニル基であることが好ましい。
【0040】
この置換シクロペンタジエニル基は、例えば、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、イソプロピルシクロペンタジエニル、n-ブチルシクロペンタジエニル、t-ブチルシクロペンタジエニル、ジメチルシクロペンタジエニル、ジエチルシクロペンタジエニル、ジイソプロピルシクロペンタジエニル、ジ-t-ブチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、インデニル基、2-メチルインデニル基、2-メチル-4-フェニルインデニル基、テトラヒドロインデニル基、ベンゾインデニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、オクタヒドロフルオレニル基及びアズレニル基である。
【0041】
非局在化環状η5-配位系配位子は、非局在化環状π系の1個以上の原子がヘテロ原子に置換されていてもよい。水素の他に、周期表第14族の元素及び/又は周期表第15、16及び17族の元素のような1個以上のヘテロ原子を含むことができる。
【0042】
非局在化環状η5-配位系配位子、例えば、シクロペンタジエニル基は、中心金属と、環状であってもよい、一つの又は複数の架橋配位子により架橋されていてもよい。架橋配位子としては、例えば、CH2、CH2CH2、CH(CH3)CH2、CH(C49)C(CH32、C(CH32、(CH32Si、(CH32Ge、(CH32Sn、(C652Si、(C65)(CH3)Si、(C652Ge、(C652Sn、(CH24Si、CH2Si(CH32、o-C64又は2、2'-(C642が挙げられる。
【0043】
上記式(2)で示されるメタラシクロペンテンは、二つ以上のメタロセン部分 (moiety)を有する化合物も含む。このような化合物は多核メタロセンとして知られている。前記多核メタロセンは、いかなる置換様式及びいかなる架橋形態を有していてもよい。前記多核メタロセンの独立したメタロセン部分は、各々が同一種でも、異種でもよい。前記多核メタロセンの例は、例えばEP-A-632063、特開平4-80214号、特開平4-85310、EP-A-654476に記載されている。
【0044】
本発明のシクロペンテノン誘導体の製造方法において、上記式(2)で示されるメタラシクロペンテンと遷移金属カルボニルとを反応させ、反応混合物を得る(第1工程)。
【0045】
本明細書において、遷移金属カルボニルとしては、たとえば、クロムカルボニル、モリブデンカルボニル、タングステンカルボニル等を挙げることができる。
【0046】
本発明において、遷移金属カルボニルとしては、モリブデンカルボニルを用いることが好ましい。
【0047】
本発明において、遷移金属カルボニルの量は、メタラシクロペンテン(2)1モルに対して、0.1モル~100モルであり、好ましくは0.5モル~10モルであり、更に好ましくは、1.0モル~2.0モルである。
【0048】
本発明のシクロペンテノン誘導体の製造方法において、第1工程で得られた反応混合物をヨウ素で処理し、シクロペンテノン誘導体を得る(第2工程)。
【0049】
本発明において、ヨウ素の量は、メタラシクロペンテン(2)1モルに対し、0.1モル~100モルであり、好ましくは0.5モル~10モルであり、更に好ましくは、0.5モル~2.0モルである。
【0050】
本発明において、シクロペンテノン誘導体は、典型的には、上記式(2)で示されるメタラシクロペンテンの溶液に、遷移金属カルボニル(3)を添加し、攪拌する。続いて、ヨウ素を添加してシクロペンテノン誘導体を製造する。メタラシクロペンテン(2)は単離されたものを用いる必要はなく、溶液中で調製されたメタラシクロペンテンをそのまま用いても良い。
【0051】
反応は、好ましくは-100℃~300℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは-80℃~200℃の温度範囲、更に好ましくは-80℃~60℃の温度範囲で行われる。圧力は、例えば、0.1バール~2500バールの範囲内で、好ましくは0.5バール~10バールの範囲内である。
【0052】
溶媒としては、上記式(2)で示されるメタラシクロペンテンを溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o-ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が用いられる。
【0053】
上記式(2)で示されるメタラシクロペンテンは、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジアルキルのようなメタロセンに1当量のアルキン及び1当量のアルケン、たとえば、エチレンを作用させることにより得ることができる。
【0054】
溶媒は、脂肪族又は芳香族の溶媒が用いられ、好ましくは、極性溶媒が用いられる。エーテル系溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル;塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素;o-ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド、ジメチルスルホキシド等のスルホキシドが用いられる。あるいは、芳香族の溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素を用いてもよい。
【0055】
反応は好ましくは-80℃~300℃の温度範囲で行われ、特に好ましくは0℃~150℃の温度範囲で行われる。圧力は0.1バール~2500バールの範囲内で、好ましくは0.5バール~10バールの範囲内である。反応は継続的に又はバッチ式で、一段階又はそれより多段階で、溶液中、懸濁液中、気相中又は超臨界媒体中で行える。
【0056】
本発明で用いられるメタラシクロペンテンは、例えば、下記のメタロセンを用いて合成することができる。
【0057】
ビス(シクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム;
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム;
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム;
ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム;
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム;
ビス(t-ブチルシクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム;
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム;
ビス(ジエチルシクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム;
ビス(ジイソプロピルシクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム;
ビス(ジ-t-ブチルシクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム;
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム。
【0058】
なお、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(t-ブチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(ジエチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(ジイソプロピルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(ジ-t-ブチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム;
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウムなどのジクロロ体については、ナトリウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属のような強塩基で還元するか、又は、ジアルキル体に変換してから、ジルコナシクロペンテンを生成させる。
【0059】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
【0060】
すべての反応は、標準シュレンク技術を用いて窒素雰囲気下のもとで行われた。溶媒として用いたテトラヒドロフラン(THF)は窒素気流下、ナトリウム金属、ベンゾフェノンで蒸留して無水とした。ジルコノセンジクロライドは、日亜化学工業から購入したものを用いた。また、EtMgBr (0.96 M, THF 溶液)、n-ブチルリチウム(1.6 M, ヘキサン溶液)は関東化学から購入したものを用いた。3-ヘキシン及び4-オクチンは、アルドリッチ化学から購入したものを用いた。ジフェニルアセチレンは、東京化成工業から購入したものを用いた。特に断らない限り、市販の化合物はそのまま用いた。
【0061】
ガスクロマトグラフ分析は、シリカガラスキャピラリカラムSHIMADZU CBP1-M25-O25 及び SHIMADZU C-R6A-Chromatopac integrator を備えたSHIMADZU GC-14Aガスクロマトグラフで測定した。GC収率は、適当な炭化水素を内部標準として用いて測定した。1H及び13C NMRスペクトルは、室温のCDCl3又はC6D6(1% TMS含有)溶液を用いて、Bruker NMR スペクトロメター又はJEOL NMRスペクトロメター上で測定した。
【0062】
実施例1
2,3-ジエチルシクロペンタ-2-エンオン
3-ヘキシン及び Cp2ZrEt2から得られたジルコナシクロペンテン(1 mmol)の溶液に、Mo(CO)6 (396 mg, 1.5 mmol)を25℃にて加え、反応混合物を3時間攪拌した。次いで、0℃にてヨウ素(254 mg, 1 mmol)を1時間かけて添加して反応を終了させ、3N HClで洗浄し、ジエチルエーテルで抽出した。結合した抽出物を食塩水、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下、溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3/1 ヘキサン/エーテル)により精製を行い、70 mg (51%)の表題化合物を得た。無色液体。
【0063】
1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ0.98 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.14 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 2.19 (q, J = 7.8 Hz, 2H), 2.34-2.37 (m, 2H), 2.45 (q, J = 7.8 Hz, 2H), 2.49 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, Me4Si) δ12.11, 13.36, 16.24, 24.12, 28.52, 34.29, 141.31, 174.71, 210.00。
【0064】
実施例2
2,3-ジプロピルシクロペンタ-2-エンオン
実施例1と同様の手順で行った。ただし、3-ヘキシンの代わりに、4-オクチンを用いた。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3/1 ヘキサン/ Et2O)により精製を行い、83 mg (50%) の表題化合物を得た。無色液体。
【0065】
1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ 0.89 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 0.97 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 1.36-1.44 (m, 2H), 1.52-1.61 (m, 2H), 2.15 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 2.34-2.43 (m, 4H), 2.49 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, Me4Si) δ14.14, 14.19, 20.86, 21.88, 25.14, 28.95, 33.21, 34.29, 140.49, 173.96, 210.18。
【0066】
実施例3
2,3-ジフェニルシクロペンタ-2-エンオン
実施例1と同様の手順で行った。ただし、3-ヘキシンの代わりに、ジフェニルアセチレンを用いた。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3/1ヘキサン/ Et2O)により精製を行い、96 mg (41%)の表題化合物を得た。無色液体。
【0067】
1H NMR (CDCl3, Me4Si) δ 2.69-2.73 (m, 2H), 3.04-3.07 (m, 2H), 7.19-7.34 (m, 10H); 13C NMR (CDCl3, Me4Si) δ 29.56, 34.82, 127.84, 128.08, 128.44, 129.48, 129.83, 132.34, 135.74, 168.01, 207.57。
【0068】
実施例1~3の反応機構を、下記に示す。
【化7】
JP0004227831B2_000006t.gif
【0069】
【発明の効果】
本発明の方法により、扱いやすい試薬を使用しつつ、しかも、高収率で簡便にシクロペンテノン誘導体を得ることができる。