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明細書 :接着性に優れた超高分子量ポリエチレン繊維及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4315311号 (P4315311)
公開番号 特開2001-262469 (P2001-262469A)
登録日 平成21年5月29日(2009.5.29)
発行日 平成21年8月19日(2009.8.19)
公開日 平成13年9月26日(2001.9.26)
発明の名称または考案の名称 接着性に優れた超高分子量ポリエチレン繊維及びその製造方法
国際特許分類 D06M  10/02        (2006.01)
D06M  13/513       (2006.01)
C08J   7/00        (2006.01)
C08L  23/06        (2006.01)
D06M 101/20        (2006.01)
FI D06M 10/02 D
D06M 13/513
C08J 7/00 CESZ
C08J 7/00 306
C08L 23:06
D06M 101:20
請求項の数または発明の数 2
全頁数 5
出願番号 特願2000-072765 (P2000-072765)
出願日 平成12年3月15日(2000.3.15)
審査請求日 平成17年4月11日(2005.4.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
発明者または考案者 【氏名】小川 俊夫
【氏名】大澤 敏
個別代理人の代理人 【識別番号】100101960、【弁理士】、【氏名又は名称】服部 平八
審査官 【審査官】菊地 則義
参考文献・文献 特開平05-156054(JP,A)
特開平02-006645(JP,A)
特開平11-280838(JP,A)
特開平07-138877(JP,A)
特開昭61-276830(JP,A)
特開平07-054230(JP,A)
特開昭64-026783(JP,A)
特開平05-254011(JP,A)
特開平03-097977(JP,A)
特許第2541567(JP,B2)
調査した分野 D06M13/00-15/715
D06M10/00-11/84
D06M16/00
D06M19/00-23/18
特許請求の範囲 【請求項1】
エチレンを主体とし、重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンに放電量200~1000Wのコロナ放電処理を2~4回施したのち、アミノ系シランカップリング剤で処理することを特徴とする接着力に優れ、界面せん断強度が高い超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法。
【請求項2】
アミノ系シランカップリング剤処理が分子中にアミノ基又はイミノ基を有するシランカップリング剤による処理であることを特徴とする請求項1記載の接着力に優れ、界面せん断強度が高い超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複合材料の極性高分子マトリックスとの接着性に優れ、補強材料として優れた超高分子量ポリエチレン繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から極性高分子マトリックス材料中に、フィラメント形態の強化材料を埋め込む繊維強化複合材料が使用されてきた。この強化材料としてはガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などが挙げられ、炭素繊維は弾性率及び引張強度において極めて優れ、またガラス繊維は安価である、さらに、アラミド繊維は軽量である等の優れた利点を有する。しかし、いずれも比重が約1.4以上と高く、極性高分子マトリックスの補強材として用いた時得られた繊維強化複合材料の重量が大きくなる欠点があった。その点ポリエチレンは比重が1.0であり、それで得られた繊維は軽量化ができ繊維強化補強材料の重量を軽減できることが容易に予測できるが、従来のポリエチレン繊維は引張強度が低く強化材料としての補強効果が小さという問題があった。そこで、引張強度が3GPa以上、弾性率が100GPa以上の超高分子量のポリエチレン繊維が特開昭55-107506号公報、特開平6-280109号公報等で提案され、この超高分子量のポリエチレン繊維の表面を例えばコロナ放電処理等で活性化し極性高分子マトリックスとの接着力を強化する方法が特開昭60-146078号公報等で提案されている。ところが、この公報方法ではコロナ放電処理中に繊維が高温となり結晶の部分融解を起こし引張強度が低下したり、あるいは官能基が高密度に形成されず極性高分子マトリックスとの接着性が劣る等の問題があった。この接着性の改質のためポリエチレン繊維の紡出時の条件を特定なものにすることで、接着性を改善する超高分子量のポリエチレン繊維が例えば特開昭62-184110号公報、特開平6-280108号公報等で提案されているが、いずれも極性高分子マトリックスとの接着強度が充分でなく、強化材料として満足の行くものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
こうした現状に鑑み、本発明者等は、鋭意研究を続けた結果、超高分子量のポリエチレン繊維を、物理的処理を2回以上行った後、特定のシランカップリング剤で処理を施すことで、引張強度や初期弾性率が高い上に、高い接着力を有し、極性高分子マトリックスとのせん断強度が高い超高分子量のポリエチレン繊維が得られることを見出して本発明を完成したものである。すなわち、
【0004】
本発明は、接着性に優れ、かつ引張強度、初期弾性率及び界面せん断強度が高い超高分子量ポリエチレン繊維の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、エチレンを主体とし、重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンに放電量200~1000Wのコロナ放電処理を2~4回施したのち、アミノ系シランカップリング剤で処理することを特徴とする接着力に優れ、界面せん断強度が高い超高分子量ポリエチレン繊維製造方法に関する。
【0007】
本発明の超高分子量ポリエチレン繊維は、エチレンを主体とし、少量の他のモノマー例えばα-オレフィン、アクリル酸及びその誘導体、メタクリル酸及びその誘導体、ビニルシラン及びその誘導体などとの共重合体であってもよく、重量平均分子量が100万以上の超高分子量で、かつ物理的処理が2回以上施され、次いでアミノ系シランカップリング剤処理され、引張強度が2.5Pa以上、弾性率が100GPa以上の接着性に優れたポリエチレン繊維である。
【0008】
このように本発明の超高分子量ポリエチレン繊維は、~4回のコロナ放電処理が施され、その後アミノ系シランカップリング剤処理が施された繊維である。この~4回のコロナ放電処理を行うことで繊維表面に水酸基やカルボキシル基の官能基が均一に生成し極性高分子マトリックスとの接着強度が向上する。コロナ放電処理が1回では、官能基の生成が不十分で好ましくなく、4回以上では超高分子ポリエチレン繊維の引張強度や初期弾性率が低下して好ましくない。特に好ましいロナ放電処理であり、放電量を200~1000Wの範囲で行うのがよい。
【0009】
前記コロナ放電処理に続いて本発明の超高分子量ポリエチレン繊維は、アミノ系シランカップリング剤処理に供されるが、該アミノ系シランカップリング処理に使用するシランカップリング剤としては、例えばN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、アリルオキシ-2-アミノエチルアミノメチルジシラザン、3-アリルアミノプロピルトリメトキシシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン等のアミノ系シランカップリング剤が挙げられ、このアミノ系シランカップリング処理により超高分子ポリエチレン繊維は極性高分子マトリックスとの強固な界面せん断力が得られる。
【0010】
上記極性高分子マトリックス材料としては、エポキシ、ポリアミド、不飽和ポリエステル、フェノール、アクリル、ポリメチルメタクリル等の樹脂が挙げられ、好ましくはエポキシ、ポリアミド、不飽和ポリエステル樹脂がよい。
【0011】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、アミノ系シランカップリング剤処理後のポリエチレン繊維の引張強度、初期弾性率、官能基量及び極性高分子カップリング材料との界面せん断強度は、以下の測定方法による。
(i)引張強度、初期弾性率は、引張試験機(商品名オートグラフAGS-
1000、島津製作所製)を用いて求めた。
(ii)官能基量はX線光電子分析法により求めた。
(iii)界面せん断強度は微小液滴引抜法から求めた。
【0012】
実施例
重量平均分子量150万の超高分子ポリエチレンをからなる超高分子ポリエチレン繊維を400、800Wの放電量でコロナ放電処理を行った。処理後のポリエチレン繊維表面の官能基量は表1のとおりであった。
【0013】
【表1】
JP0004315311B2_000002t.gif【0014】
上記表1にみるように2回のコロナ放電で官能基が有効に生成している。この繊維にエポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ社製)と硬化剤(エポメートLX-1、油化シェルエポキシ社製)との混合物を液滴として付与し、80℃で3時間硬化処理をした後、界面せん断強度を微小液滴引抜法で求めた。その結果を表2に示す。
【0015】
【表2】
JP0004315311B2_000003t.gif【0016】
次いで、コロナ放電処理を2回行った繊維をN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシランのトルエン10wt%溶液に25℃で3時間浸漬したのち、先のエポキシ樹脂の液滴をつけ80℃で3時間硬化させ、界面せん断強度を測定した。その結果を表3に示す。
【0017】
【表3】
JP0004315311B2_000004t.gif上記表3から明らかなようにアミノ系シランカップリング剤処理することで本発明の超高分子ポリエチレン繊維はエポキシ樹脂との界面せん断強度が該アミノ系シランカップリング剤処理をしない超高分子ポリエチレン繊維に比して約1.6倍に向上していた。
【0018】
【発明の効果】
本発明のポリエチレン繊維は極性高分子マトリックス材料との接着力が高く、かつ引張強度、弾性率の低下が少なく、強化材料として優れ、得られた構造材料は軽量であるが、高い強度を有し工業材料として有用である。