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明細書 :コンピュータ支援設計装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3855020号 (P3855020)
公開番号 特開2003-281217 (P2003-281217A)
登録日 平成18年9月22日(2006.9.22)
発行日 平成18年12月6日(2006.12.6)
公開日 平成15年10月3日(2003.10.3)
発明の名称または考案の名称 コンピュータ支援設計装置
国際特許分類 G06F  17/50        (2006.01)
E04B   1/00        (2006.01)
FI G06F 17/50 680B
E04B 1/00 ESW
請求項の数または発明の数 2
全頁数 19
出願番号 特願2002-077176 (P2002-077176)
出願日 平成14年3月19日(2002.3.19)
審査請求日 平成15年11月18日(2003.11.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
発明者または考案者 【氏名】國井 利▲泰▼
個別代理人の代理人 【識別番号】100105924、【弁理士】、【氏名又は名称】森下 賢樹
審査官 【審査官】松浦 功
参考文献・文献 特開平09-141242(JP,A)
特開2000-155857(JP,A)
特開2000-172881(JP,A)
特開2000-155858(JP,A)
木谷紀子外1名,サイバーデザインデータベース,情報処理学会研究報告,2002年 1月22日,Vol.2002,No.3,pp.65-72
調査した分野 G06F 17/50
特許請求の範囲 【請求項1】
三次元のオブジェクトを図面として可視的に入力するためのグラフィカル・ユーザ・インタフェイスと、
そのオブジェクトを構成する部品の情報をもとに部品リストを生成するリスト生成部と、
前記部品リストの生成にあたり、接触状態にある部品を検知し、各部品をセルとして扱うセル情報理論において、部品どうしの接触をそれら部品の対応しあう点どうしの写像により表現するセル接着関数にその接触状態を対応づけるとともに、その関数をオペレータへ提示し、オペレータにより入力された関数を受信し、リスト生成部へ送信する設計属性付与部と、を含み、
前記リスト生成部は、受信した関数を部品リストに書き込むとともに、可視化された前記図面において、部品間の接触箇所にその情報を表示することを特徴とするコンピュータ支援設計装置。
【請求項2】
設計時点で現れる部品をそれぞれセル情報理論におけるn次元セルで表現し、それらの部品に他の属性とは完全に独立した形で(n+1)次元目の属性としてのシリアルIDを与え、そのシリアルIDを部品リスト内に書き込むID付与部をさらに含む請求項に記載の装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンピュータ支援設計技術に関し、とくに、そのデータ表現技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の設計において、依頼者の要望とコストのバランスは重要な課題である。要望をフルに実現しようとすると予算に収めることが難しくなる一方、コストばかりを重視すると、できあがる建築物は依頼者の意図から外れていく。したがって、建築部材その他の部品をある程度画一化してコストダウンを図りつつも、依頼者の意向に添ったカスタマイズの度合いを高める設計が求められる。
【0003】
最近では、工場で製造した複数のユニットを、建築現場で組み合わせるユニット式建物が知られている。この方式によればコスト低減のほかに建築期間の短縮も図れるが、一般には、既製品に近いものになりがちである。したがって、ユニットにもバリュエーションを設け、さらにユニット間の組合せにも多様性をもたせることにより、少しでも注文建築に近いものを提供する努力が図られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこうした現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、設計時点で組立に対する配慮が可能な設計技術を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のある態様は、コンピュータ支援設計方法に関する。この方法は、部品間の接続状態をセル情報モデルにおけるアイデンティフィケーションによって記述することにより、建築における組立の手順を含む形で設計データを生成するものである。「組立の手順」は組立全般である必要はなく、その任意の一部でよい。セル情報モデルは、本発明者によって提唱される、後述の理論であるが、もろちんそれを基礎とする理論であってもよい。
【0006】
本発明は、前記の接続状態として、ふたつの部品が単に接する第1の状態と、ふたつの部品が固着されている第2の状態のいずれかを選択的に示してもよい。また、第2の状態を表現するとき、そのアイデンティフィケーションの関数に固着を実現する方法を記述してもよい。
【0007】
本発明の別の態様も、コンピュータ支援設計方法に関する。この方法は、通常の建築図面上では同一に見える部分について、その建築手順をセル情報理論におけるセル接着またはセル分解により設計の段階で図面とリンクさせて記述しておくものである。「同一に見える部分」の例は、ふたつの建築部材が単に接触している場合と、それらが接合させている場合のふたとおりの可能性によって生ずるものである。「接合」はさらに、両者が融合している溶接などによる場合と、融合していないネジ止めなどによる場合に分かれる。
【0008】
この方法は、接触している場合と接合されている場合にそれぞれ異なる接着関数を対応づけるとともに、それらの関数をメニュー化し、設計のための入力の段階でオペレータから選択可能に構成してもよい。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、コンピュータ支援設計装置に関する。この装置は、三次元のオブジェクトを図面として可視的に入力するためのグラフィカル・ユーザ・インタフェイスと、そのオブジェクトを構成する部品の情報をもとに部品リストの生成を支援するリスト生成部と、部品リストの生成にあたり、少なくとも部品間の接触状態に関する記述をセル情報理論におけるセル接着に関する異なる関数としてオペレータへ提示する設計属性付与部とを含む。また、設計時点で現れる部品をそれぞれセル情報理論におけるn次元セルで表現し、それらの部品に他の属性とは完全に独立した形で(n+1)次元目の属性としてのシリアルIDを与えるID付与部をさらに含んでもよい。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明を好適な実施の形態をもとに説明する。まず、実施の形態の基礎として本発明者が提唱するセル情報モデル(CIM: Cellular Information Model)の基礎理論を前提技術として述べ、しかるのち具体的な実施の形態を説明する。
前提技術では、サイバーワールドにおける商取引を例示するが、その理論面は本発明においても有効である。すなわち、前提技術における各セルは、CADにおける各部品と考えればよく、したがってそれらが三次元オブジェクトである意味からすればそれらは三次元セルとなる。しかし、各部品には名称、用途、単価、製造元、材質、色など、非常に多様な属性が与えられ、または本来的に有するため、それらを含めれば一般にn次元セルとなる。
【0012】
[前提技術]
サイバーワールドは、意識的または自然発生的を問わず、また確固たる設計の意図のあるなしを問わず、ウェブ上に形成されつつある。質量ともに広がりを見せるローカルな活動が互いにウェブ上でとけあい、世界規模でサイバーワールドを形成している。電子ファイナンスを含む「e-ビジネス」がサイバーワールドで実際に行われ、これが国家財政規模のオーダに達しようとしている。こうした状況の中、ウェブにおける電子的な活動とそこで利用される情報を適切に表現するモデリングが与えられなければ、サイバーワールドは今後さらに混迷の度合いを増し、近い将来、もはや人の手に余る存在になると考えられる。
【0013】
こうした混乱を収拾するための着地点は、現状の空間データベースモデルや時間データベースモデルを統合するといったレベルでは現れてこない。なぜなら、ウェブでは無数ともいえるローカルな活動がインターネットというインフラで結びつけられており、いずれの個所も独立して捉えることができないためである。現在主流のリレーショナルモデルは、いわゆる「ワールドモデル」に基づき、すべてのデータまたは属性間の依存関係を一元的に把握する管理者の存在を仮定している。情報が会社内などの独立した場に閉じる限りこのモデルは有意義であるが、ウェブ上に世界規模で展開される、互いに無関係なビジネスに登場するデータや属性間の依存関係を一元的に把握できる者はいない。すなわち、ワールドモデルという概念で成り立つ情報モデルは、ウェブ上の活動を再利用可能なデータベースへ落とし込むための手法とはなり得ないのである。
【0014】
セルモデルと呼ぶ新たな情報モデルを提案する。セルモデルは、情報モデルとしては不規則データモデルの分野に適用できるもので、時空におよぶ諸元を状況(situation)というかたちでとらえる。数学的にいえば、セルモデルはホモトピーに関する理論的なフレームワークに位置づけられたセル空間構造理論にもとづき、グラフ理論の拡張理論にあたる。
【0015】
[1]サイバーワールドのモデリング
不変量を根拠に理論構築を行う。サイバーワールドを非可逆な空間としての時間を含む空間の1タイプと考え、その表現に、自由度としての次元と、異なる次元の空間がいかに接続されているかを示す接続性とを含む不変量が適切であることを示す。
【0016】
一般論として、サイバーワールドをモデリングするためには以下の4つのステップが必要である。
第1に、サイバーワールドと現実世界との相違点および共通点を明確化しなければならない。もっとも明白な違いは成長速度にあり、したがってその複雑さにある。ローカルな世界を同時に世界規模のウェブの世界にリンクする性質はきわめて特殊であり、かつそのスピードも光速に匹敵する。現実に、人類の歴史において、ウェブ上に実現される高速性は、かつてもったことのない能力を人類に与えた。ウェブ上で働くすべての人はサイバーワールドの構築と破壊を同時に行っているのである。
【0017】
第2に、明確化された相違点と共通点を特徴づけるための適切なモデリングの方法論を見いだす必要がある。極端な複雑度および変化の高速性により、モデリングの規模を最小化するための方法は、階層化された概念のうえに構築されるべきである。さらにその階層は、絶え間なく変化するサイバーワールドの中から普遍的な特性を特定するために、不変量の階層であり、後に概念の付加がモジュラーな形でつぎつぎに可能な形式にすべきである。
【0018】
第3に、そうして構築されたモデリングの方法論を、現実の設計(design)に落とし込む必要がある。一般に設計は、不変量の適切な選択と特定の情報構造および演算を必要とする。たとえば不変量の概念階層は、不変量を相続する階層として設計される。これまでの研究により、ふたつの不変量、すなわち自由度としての次元およびそれらの接続性の重要性を認識した。すなわち、情報構造としてセル空間構造を考え、演算としてセルの構築(コンポジション)および分解(デコンポジション)を考えるに至った。
【0019】
第4に、そうして得られた設計をセルモデルと名付けた情報モデルとして実装する。セルモデルは、既存の種々のデータモデルの能力を強化するものであり、セルの境界、セルの次元およびセルの接続性のすべてを保証することができる。セルモデルは、サイバーワールドを一貫性のある形で表現でき、その正当性を証明できる。
【0020】
[2]不変量の概念階層
科学的な研究において、モデリングは非常に重要なステップである。とくに自然科学では、現実世界をモデリングするために、不変量の概念を中心として理論構築がなされる。オブジェクトおよび現象は不変量をもとに分類され、モデリングされる。物理では、相対性理論が発表されるまでエネルギーと質量は不変量であった。数学では、オブジェクトをモデリングするために以下の手順がとられる。すなわち、同値関係により、数学的なオブジェクトをその部分集合の排他的論理和として表現できる同値類へ分類する。同値関係の概念階層の例は以下のとおりである。
【0021】
1.集合理論上の同値関係
2.拡張された同値関係、その特別な場合としてホモトピー同値関係
3.位相幾何学的な同値関係、その特別な場合としてグラフ理論上の同値関係
4.セル空間構造の同値関係
5.情報モデル上の同値関係
6.表現(プレゼンテーション)上の同値関係
モジュラー、かつのちにインクリメンタルに付加していくことが可能な設計、すなわちサイバーワールドの不変量の相続的な階層を実現するために、以下の分類が数学における同値関係の概念階層に基づく階層である。
【0022】
1.集合レベル
2.拡張レベル、その特別な場合としてホモトピーレベル
3.位相幾何学レベル、その特別な場合としてグラフ理論レベル
4.セル構造空間レベル
5.情報モデルレベル
6.表現レベル
【0023】
[3]セルモデル
サイバーワールドをモデリングするためには、CW空間などのセル空間構造にもとづくアプローチが、グラフ理論に基づくそれに比べ、はるかに適している。セル構造空間レベルによれば、オブジェクトを境界の存在する、または存在しないセルとして、認識可能かつ計算可能な空間内に位置づけることができるためである。境界をもつセルは「閉」(closed)であり、境界のないセルは「開」(open)である。n次元のセル、すなわち「nセル」は、n次元球と同相の空間である(nは整数)。ここで、オープンなnセルをeと表記し、クローズなnセルを
【数1】
JP0003855020B2_000002t.gifと表記する。また、クローズなnセルの内部を
【数2】
JP0003855020B2_000003t.gifと表記する。したがって、
【数3】
JP0003855020B2_000004t.gifはクローズなnセルの境界にあたり、これは(n-1)次元の球Sn-1に等しい。セルモデリングによれば、セルの構築と分解はセルの次元と接続性を不変量に保ったまま実現できる。したがって、オブジェクトのアイデンティフィケーションは、アイデンティフィケーションのための写像をとおして体系的に実施される。後述するように、データベーススキーマの構築およびスキーマの分解は、セル構築およびセル分解の特別な場合に相当する。
【0025】
一方、接続性は連続かつ全射な写像である接着写像(アタッチングマップ)によって定義される。ある写像f:X→Yが全射であるとは、
【数4】
(∀y∈Y)(∃x∈X)[f(x)=y]
を意味する。「写像f:X→Yが連続である」とは、「{f-1(y)|y∈A}がXにおいてオープンであり、かつその場合にかぎり、Yの部分集合であるAがYにおいてオープンになる」ことを意味する。
【0026】
共通部分をもたない位相空間XおよびYについて、
【数5】
JP0003855020B2_000005t.gifは、接着写像f:X→YによってXをYに接着することにより得られる接着空間である。ここで、
【数6】
JP0003855020B2_000006t.gifは、排他的論理和を表し、しばしば+であらわされる。~は同値関係を示す。同値関係とは、同一律「x~x」、対象律「x~yならy~x」、推移律「x~yかつy~zならx~z」がすべて成り立つ関係であり、集合論的な同値関係、ホモトピー同値関係、トポロジー同値関係などがある。推移律は、空間を、共通部分をもたない同値類と呼ばれる部分空間へ分割する。
【0027】
サイバースペースをより明確にモデリングするための基礎として、同値関係および同値類について述べる。x/~={y∈X:x~y}によって定義されるXの部分集合は、xの同値類と呼ばれる。ここで、「類(クラス)」は実際には集合のことであるが、昔から類(クラス)と呼ばれているため、その表記にしたがう。すべての同値類からなる集合X/~は、Xの商空間と呼ばれ、以下のように表記される。
【0028】
【数7】
X/~={x/~∈2|x∈X}⊆2
推移律から、x∈X,x/~≠φを満たすそれぞれのxについて、以下の式が成り立つ。
【数8】
JP0003855020B2_000007t.gifこれは、集合Xが、空ではなく、共通部分をもたない同値類へ分割または分解されたことを意味する。ここで同値類をx/~と表記し、これは以下の意味である。
【数9】
x/~={y∈X|x~y}
簡単な例で説明する。「濃度(cardinality)」は、集合理論上の同値関係であり、もとの集合を同じ濃度を有する、共通部分をもたない部分集合へ分割する。別な例として、グラフ理論において「同型」は同値関係であり、グラフの集合も、共通部分をもたない同型のグラフの部分集合へ分解できる。
【0029】
ユークリッド幾何学において、「合同」はひとつの同値関係を形成し、すべての図形を互いに合同な図形からなる部分集合へ分解できる。これらの部分集合は共通部分をもたず、その和集合がもとの集合、すなわちすべての図形の集合に一致する。この和集合が商空間に当たる。「相似」もひとつの同値関係である。「合同」および「相似」はともにアフィン変換の例である。一方、「対称」という関係は、群理論における同値関係の例であり、対称な図形からなる互いに共通部分をもたない部分集合の和集合へ分解する。
【0030】
以上が接着写像の実例である。ここで、接着写像の一般的な定義に触れる。すべての同値類の集合はX/~と表記され、以下の式で示される。
【数10】
X/~={x/~∈2|x∈X}⊆2
これはXの商空間とも呼ばれる。接着写像fは全射かつ連続な以下の写像である。
【数11】
f:X→y(X⊂Y)
【数12】
JP0003855020B2_000008t.gifは商空間であり、以下の関係をもつ。
【数13】
JP0003855020B2_000009t.gifここでは、後述するように、情報スキーマの統合およびウェブ上の情報マイニングによる情報の統合のための特別な場合を考える。いまSn-1は、クローズなnセルの境界であり、
【数14】
JP0003855020B2_000010t.gifと表記できる。ここで全射かつ連続な接着写像fを
【数15】
f:Sn-1→X
と定義する。このとき、付加空間Yは以下のように商空間として定義される。
【0031】
【数16】
JP0003855020B2_000011t.gifいま、ホモトピックな写像fおよびg、
【数17】
f,g:Sn-1→X
を考える。すると、
【数18】
JP0003855020B2_000012t.gifというホモトピー同値関係が生じる。
【0032】
J. H. C. Whiteheadの指摘によれば、位相空間として任意のサイバーワールドXが与えられたとき、このXから整数Zによってインデックスが与えられたXの部分空間であるXセルの有限または無限の配列を帰納的に構成することができる。すなわちフィルトレーションと呼ばれる空間{X|X⊆X,p∈Z}が以下のように形成できる。ここでXはXの被覆とよばれ、以下の関係がなりたつ。
【数19】
X=∪p∈Z
さらに、Xp-1はXの部分空間であり、すなわち、
【数20】
⊆X⊆X⊆・・・⊆Xp-1⊆X⊆・・・⊆X
と表記できる。フィルトレーションはスケルトンとも呼ばれる。最大でp次元のスケルトンはp-スケルトンと呼ばれる。X、X、X・・・Xp-1およびXはサイバーワールドXの部分サイバーワールドである。フィルトレーションと位相的に同値な空間はフィルトレーション空間と呼ばれる。
【0033】
実用上、重要なセル空間がある。それらはCW複体および多様体である。フィルトレーション空間が有限であるとき、これはCW空間と同値である。さらに、CW空間が可微分性を有するとき、これは多様体と同値である。
【0034】
[4]セルモデルによる情報マイニングをとおしたウェブ情報のモデリング、帰納的なウェブ情報スキーマの統合およびウェブ情報の統合
ウェブ情報をモデリングするための第一歩として、サイバーワールドがいかに出現し、その実体がなにであるかを見きわめるために、ウェブ上の共有情報世界であるサイバーワールド形成の本質の特徴づけを行う。サイバーワールドXは、しばしば多くのウェブサイトにおけるローカルかつ多岐にわたる活動の結果ウェブ上に形成される。企業内の情報とは異なり、開始点となるスキーマの集合を与えてくれる情報管理者の存在を仮定することはできない。情報マイニングのプロセスをとおし、ローカルに存在する複数のウェブサイトにおける特別な情報を発見してサイバースペースXを知ることができる。もちろん情報マイニングは手当たりしだいすべきものではない。ウェブサイトをブラウザでながめたのち、複数のウェブサイトに分散して存在する情報およびその統合からなにをマイニングすべきか、およびいかなるものが出現すると予測されるかについてアイデアを抽出しなければならない。この種の情報マイニングは一般に「設計に基づく情報マイニング」と呼ばれる。なぜなら、マイニングすべき対象に関し、「統合指針」として適用すべき所定の規則が存在するためである。この統合指針は、なにをどのように統合するかについて設計指針として働く。
【0035】
上述のWhiteheadの帰納的スキームに基づくウェブ上の情報マイニングによれば、ローカルなウェブの世界の全世界規模のサイバーワールドへの統合は完全な形で実現される。帰納的な統合によってn次元のサイバーワールドXが取得される具体的な方法を、以下ウェブ上のサーチおよび統合のプロセスによって説明する。
【0036】
帰納的な統合はふたつのフェイズからなる。すなわち情報のスキーマ統合フェイズおよび情報統合フェイズである。第1のフェイズである情報スキーマの統合フェイズは以下の手順で進行する。
1.興味の対象である属性である
【数21】
JP0003855020B2_000013t.gifをすべて読み出し、以下の0次元のサイバーワールドXを形成する。
【数22】
={e,e,e,・・・e
2.1次元のサイバーワールドXを生成するために、ウェブサイトにおける興味の対象であるふたつの属性のすべての組合せ
【数23】
JP0003855020B2_000014t.gifを読み出す。そののち、それらの共通部分のない和集合、
【数24】
JP0003855020B2_000015t.gifを接着写像FによってXへ接着する。こうして、以下の1次元サイバーワールドXを得ることができる。
【数25】
JP0003855020B2_000016t.gifただしここで、i=1、2、・・・kであり、接着写像Fは、
【数26】
JP0003855020B2_000017t.gifである。
【0037】
3.属性の読み出しおよび統合を繰り返すことにより、情報マイニングを経て(n-1)次元のサイバーワールドXn-1を構築したとする。ここでXn-1はn個の属性を有する。(n+1)個の属性を有するn次元のサイバーワールドXを統合的に生成するために、いままでと同様の方法でウェブサイトにおいて興味の対象である(n+1)個の属性
【数27】
JP0003855020B2_000018t.gifのすべての組み合わせを読み出す。つづいてそれらの共通部分のない和集合、
【数28】
JP0003855020B2_000019t.gifをすでに構築された(n-1)次元のサイバーワールドXn-1へ接着写像Gをとおして接着する。この結果、以下のようにn次元のサイバーワールドXを生成することができる。
【数29】
JP0003855020B2_000020t.gifただし、i=1、2、・・・kであり、接着写像Gは、
【数30】
JP0003855020B2_000021t.gifである。以上のプロセスにより、情報スキーマの統合が完了する。
【0038】
一方、第2のフェイズである情報統合フェイズは、きわめて単純であるが計算量は多い。このフェイズは、設計指針に基づき、セル接着によって生成されるサイバーワールドに含まれるべきインスタンスを判断および決定するために、スキーマ統合の際に行われるセル接着のすべてのステップにおいて、すべてのインスタンスを検査する。
【0039】
Whiteheadの帰納的な方法論に基づいて構築したサイバーワールドは、以下の関係式を満たす。
【数31】
⊆X⊆X⊆・・・⊆Xn-1⊆X⊆・・・⊆X
サイバーワールドの有効性の観点からいえば、この式は任意の有効なサイバーワールドがそれ以下の次元のサイバーワールドを含み、かつそれらのサイバーワールドが有効であることを意味する。
【0040】
上述の例において、アイデンティフィケーションは同値関係に基づく同値類によって行われる。「同値類によるアイデンティフィケーション」はリレーショナルモデルにおける統合(join)演算の一般化である。この点は、セルモデルの実用上の能力の一部を示している。ウェブ上のサイバーワールドの高度に複雑かつきわめて速い変化に鑑みれば、セルモデルのこの統合能力は、ウェブ情報モデルとして真の理論的基礎を提供するものである。
【0041】
なお、設計指針を実行するために「興味の対象である属性」というとき、「興味」とは、すくなくとも部分的な意味において、アイデンティフィケーションのための同値関係の選択を意味する。すなわち、「アイデンティフィケーションのための同値関係の選択」は設計指針の主要部分を占めている。ウェブに関連する情報システムにおいて、設計指針は、イントラネットまたはコミュニティネットとしてのローカルなサイトを統治するためにローカルに存在するか、または国境のないサイバーワールドにおいて作用すべくグローバルに存在する。設計指針は、ウェブに基づく情報システムにおいて再利用可能なリソースである。
【0042】
[5]帰納的でない情報スキーマの統合としてのウェブ情報の状況モデリング、およびセルモデルに基づく情報の統合
ウェブ上において、しばしば、任意のサイバーワールドから新たなサイバーワールドを創造する必要が生じる。これは、前章で述べた帰納的手法をつうじた情報マイニングよりも一般的であり、ウェブ上の電子商取引を含むe-ビジネスにおいてよく見られる要請である。たとえば、時空の両面で変化するウェブの状況をモデリングするために電子商取引の状況を考える。電子商取引の情報システムを構築するために、情報スキーマの観点からウェブ上の商取引の構造を見いだすことが一般に必要である。典型的な電子商取引における状況は以下のものを含む。
【0043】
状況1.ある商品を購買するe-カスタマは、その商品をもっとも安い値段で販売するe-ショップを探すためにウェブをブラウズする。
状況2.ウェブ上で商品を販売するe-ショップは、セールスを拡大するためにe-カスタマのリストをブラウズする。
【0044】
この状況において、ウェブ上でわれわれはe-ショップ、e-カスタマおよびe-商品に関するすべての詳細情報を見いだすことに興味をもつわけではない。ここで、e-ショップ、e-カスタマおよびe-商品をそれぞれs、cおよびm次元のサイバーワールドとし、したがってそれぞれsセルe、cセルeおよびmセルeと表記する。
【0045】
状況1において、e-カスタマは、あるe-ショップにおいて所望のe-商品がもっとも安い価格で売られているとき、購入者としての興味をもって、そのe-ショップにおける商品名を特定する。この状況は、セル分解演算およびそのあとに行われるアイデンティフィケーション演算によって特徴づけることができる。セル分解演算は、下に示す写像fであらわされる。この写像fは、接着写像gが保存されるかたちで、任意のn次元セルeをつぎの2つの共通部分をもたないセルの和集合へ射影する。
【数32】
JP0003855020B2_000022t.gif【数33】
JP0003855020B2_000023t.gif後述するように、各セル分解において接着写像を保存することにより、セル分解をホモトピックにすることができる。状況1に関する結論は、それを以下の状況モデルで理解することである。
【0046】
1.セル分解
e-ショップとしてのsセルe、e-カスタマとしてのcセルeおよびe-商品としてのmセルeをセル分解する。このとき、電子商取引に関連する属性を特定すべく、同値セルeをそれ以外の部分から分離する。属性の例として、たとえばeをeへ簡単化して示せば、商品名、商品の識別情報および商品の価格がある。
【0047】
2.セル接着によるセル構築
同値セルeを接着写像によってアイデンティファイする。すなわち、e-商品としてのmセルe、およびe-ショップとしてのsセルeをe-カスタマとしてのcセルeへ接着する。
【0048】
状況2も同様に、以下の状況モデルとして具体化される。
1.セル分解
状況1同様である。
2.セル接着によるセル構築
同値セルeを接着写像をとおしてアイデンティファイする。すなわち、e-商品としてのmセル{e}およびe-カスタマとしてのcセル{e}をe-ショップとしてのsセルeへ接着する。
【0049】
[6]空間/時間情報および空間/時間演算のためのセルモデルの理論的フレームワークとしてのホモトピー
新世紀が幕を開けたいま、われわれは、現実の世界に対し、非常に根幹的な方法で影響を与えることができる時代になった。そのような瞬間に立ち会えることはきわめて幸運なことと言わねばならない。21世紀に大きな役割を果たすと期待されるウェブおよびサイバーワールドに関する科学を構築することは、ウェブを基礎とする情報テクノロジーの構築に最大の貢献をするであろう。サイバーワールドは情報の世界であり、その意味においてウェブおよびサイバーワールドの情報モデルはキーエレメントである。同様に幸運なことに、われわれはセル空間構造として述べた科学を創造するために必要な数学的フレームワークをもっている。以下述べるホモトピー理論もそうである。
【0050】
ホモトピー理論は、セル空間構造の基礎理論として働く。すなわち、サイバーワールドの時間および空間における変化を扱うとき、空間/時間情報および空間/時間演算を収容するためにホモトピー理論が利用される。いまたとえば、ひとつの位相空間Xから別の位相空間Yへの写像関数fの変化を考える。変化ののち、fは別の写像関数gになる。したがって、以下のfからgへの連続変形を設計する。
【数34】
f,g:X→Y
この変形を正規化された区間[0,1]について考える。この区間は時間的、空間的とを問わない。いま、位相空間Xのうち変化のない部分AをXの部分空間AとしてA⊂Xと表記する。設計すべきホモトピーHは以下のとおりである。
【0051】
【数35】
H:X×I→Y ただし、
(∀x∈)(H(x,1)=f(x)and H(x,1)=g(x))
および
(∀a∈A,∀t∈I)(H(a,t)=f(a)=g(a))
このときfはAに関してgとホモトピックとよばれ、以下のように表記される。
【数36】
JP0003855020B2_000024t.gifここで新たな設計上の問題が生じる。すなわち、2つの位相空間XおよびYをホモトピー同値、
【数37】
JP0003855020B2_000025t.gifとして設計する方法、つまりこれらを同じホモトピー型をもつよう設計する方法である。これは以下の手順で解決される。すなわち、f:X→Yおよびh:Y→Xが以下の条件を満たせばよい。
【数38】
JP0003855020B2_000026t.gifここで1および1は恒等写像であり、以下の式をみたす。
【数39】
:X→X and 1:Y→Y
以上の手法で、セルの次元をホモトピックに変化させることができる。ホモトピー同値はトポロジー同値よりも広い概念である。ホモトピー同値は、変化の前後において、位相幾何学的にはもはや同値といえないサイバーワールドのいかなる変化をもアイデンティファイすることができる。サイバーワールドは種々の演算および処理によって変遷を重ねてゆくが、その変化のプロセスはホモトピーによって特定され、またホモトピー同値によって有効性が保障される。たとえば、それぞれのセル分解を実行する際、なぜ接着写像が保存されるかが理解できる。それはセル分解をホモトピックに保ち、したがってセル分解のプロセスを逆向きにたどることができるためである。
【0052】
ホモトピックな情報モデルの研究は、情報モデルの科学を探求するために、今後取り組まれていくべき分野である。いかなる情報演算がホモトピー同値になるかを検討することは非常に興味深い研究テーマになる。
【0053】
[具体例]
以上の前提技術では、おもにサイバーワールドとして、一部商取引の現場を示したが、これは当然任意の空間であってよい。ここでは、CAD(Computer Aided Design)による設計を考える。
【0054】
三次元CADについては、一般に境界表現法(B-reps)やCSG(Constructive Solid Geometry)などの表現方法が知られている。前者は各物体要素をその境界で記述するもので、座標表現を基礎とする。後者はプリミティブとよばれる基本立体どうしのブール演算によって形状を組み立てていく。通常、任意の形状の設計という意味では境界表現法が確実であるが、幾何学的な形状の表現におけるデータ量の小ささやCGからの応用という意味で、CSGによる表現も増えている。
【0055】
一方、今回提案するセルラーモデルは、両者とは一線を画し、形状表現をその本質から階層化するものである。CADシステムとはいいつつ、利用される各部品の生成過程も記述できるし、設計図面自体が設計の手順を示すことができる。なぜなら、部品の生成も建造物の工事も、個々の部品とその組み上げによって表現でき、かつ個々の部品がまた、セルラーモデルによってゼロ次元の空間から順に表現できるためである。
【0056】
各部品をセルラーモデルによって統一的に定義および表現する方法自体は、同じ発明者に係る特開2000-155857に詳述されているため、ここでは略す。以下、その方法によって、またはその他の任意の方法によって表現された部品を利用した建造物の表現を設計における「組立」という局面について説明する。
【0057】
現在、CADにおいて三面図などの設計図面を作成するとき、一般には組立の手順または工法は図面に組み込まれない。そのため、図面を見ただけでは、ふたつの部品が単に接しているだけか、または接着剤その他の固着材によって固定されているかどうか判定できないことが多いか、または少なくともその点について統一的な表現手法を有さない。しかし、以下のごとく前提技術を適用すればこの問題を軽減または解消することができる。
【0058】
1-1.各部品はひとつのセルであり、部品の接触をセルどうしの接着とみなせば、接着写像によって表現できる。
1-2.ふたつの部品が接しているだけ(以下第1の状態ともいう)か、固着されている(以下第2の状態ともいう)かは、異なるアイデンティフィケーション、したがって異なる接着写像で表現できる。なお、第1と第2の状態を併せて「接触状態」ともいう。
1-3.接触状態をとることができるか否か、すなわち部品どうしが組合せ可能か否かは、組合せ面を仮想的に想定したとき、「その仮想面に形状が合う」という同値関係によって自動判定することもできる。
【0059】
以上の知見を実際にCADシステムに応用する際のポイントは以下のとおりである。
2-1.システムは接触状態にある部品が第1または第2のいずれの状態を想定しているかをオペレータへ問い合わせる。オペレータはシステムからの警告または簡単なプルダウンメニューなどにより、接触状態を指定できる。
2-2.接触状態にあるか否かの判定はシステムが既知のクリアランスチェックまたはコリジョンチェックなどを利用して実施してもよいが、オペレータが逐次自ら入力してもよい。
2-3.第2の状態にある部品間の固着要因を複数想定し、選択可能にオペレータへ提示する。一例として、くぎなどの機構的固着か、接着剤による化学的固着かの違いが入力でき、かつくぎや接着剤の品番も入力または選択可能にする。
【0060】
2-4.全部品を統一的に扱うために、それらが有する属性のほかに、独立の属性としてユニークなIDを割り当てる。本発明者が「[3]セルモデル」において、「一般に、n個の属性を有するオブジェクトは(n-1)の自由度を有し、その次元はn-1である。」としたのは、n番目の属性としてこのユニークIDを与えることを想定したものであり、そのIDを含めてn次元セルと呼んだものである。
2-5.建築物自体の図面と部品の接触状態を示す情報をリンクしておき、両者を含む形で設計データとする。この設計データは部品リストを含んでもよく、その中に接触状態を示す情報を組み込んでもよい。
【0061】
図1は、以上の指針に基づく設計装置10の構成を示す。三面図作成支援部12は、オペレータが建築物の設計図面を作成する際、三面図の作成を支援する。一例として、オペレータが平面図を入力したとき、これに対応する残りの図面の生成を支援し、または検査する。図面データ記憶部14は、オペレータが作成した三面図その他の図面データを記憶する。設計属性付与部16は、設計図面から部品リストを生成する際、少なくとも部品間の接触状態に関する記述をオペレータへ提示し、オペレータによる選択を受け付ける。選択された記述はリスト生成部18へ送られる。
【0062】
リスト生成部18は、設計属性付与部16から送られた記述および図面データ記憶部14から読み出された三面図のデータをもとに、部品リストを生成する。ID付与部20は、部品リストに記述される各部品に対し、それらの部品が本来有する属性とは完全に独立したかたちで総合的なシリアルIDを付与する。各部品にIDが付与された部品リストが部品リスト記憶部22へ記録される。GUI24は、オペレータと設計装置10の相互作用を実現するすべての構成を統括的にあらわしており、たとえば入力手段であるキーボードやマウス、図面出力手段であるプリンタやプロッタ、表示装置などを含む。この構成において、設計属性付与部16がオペレータへ提示する部品間の接触状態に関する記述は、セル情報理論におけるセル接着関数に相当する。
【0063】
ID付与部20によって付与される総合的なシリアルIDは、各部品がn次元セルで表現されるとき、それらの属性とは独立した(n+1)次元目の属性として与えられる。なお、図1の設計装置10は、部品の入力を容易にするための部品データベースや、部品原価などを累算する積算手段などをさらに備えてもよい。
【0064】
図2は、オペレータが建築物の設計をする際にあらわれる画面30を示す。ここでは第1の部材32と第2の部材34が重なっている。重なりが生じるか否かは、たとえば前述のコンフリクトチェックなどによって検出できる。設計属性付与部16はこの重なりが検出されたとき、オペレータに接触状態の指定の入力を促す。
【0065】
図3は、そのためのプルダウンメニュー40を示す。ここではまず、ふたつの部材が「固着なし」または「固着あり」のいずれの関係にあるかが指定できる。すなわち、「固着なし」はふたつの部材が単に接しているだけであり、一方、「固着あり」はふたつの部材がなんらかの手段によって接合されていることをあらわす。同図では、「固着あり」が選択され、さらに詳細な指定として、「部材固着」「接着材」「溶接(図示せず)」などの指定が受け付けられる。たとえば、「部材固着」が選択されると、さらにその手段である釘や金具(図示せず)などが表示される。一方、「接着材」が選択されると、たとえば接着材の種類や品番が表示される。
【0066】
こうして最終的に選ばれた内容は、それぞれがセル接着に関する関数として取得され、部品リストへ書き込まれる。なお、指定された接触状態は、図2の画面30上でも、たとえば色を変えることによって表現されてもよい。その場合、接触状態に応じた記述が部品リストだけでなく、設計図面へも反映される。
【0067】
図4は、リスト生成部18によって作成された部品リスト50を示す。部品リスト50は、総合ID欄52、部品名欄54、メーカ欄56、品番欄58、および固着欄60を含む。総合ID欄52はID付与部20によってすべての部品にユニークに与えられたシリアルIDを記述する。固着欄60は設計属性付与部16によって取得された接触状態に関する記述である。たとえばここでは、シリアルIDが「00001」の部品が「00138」の部品と接触状態を有し、その固着の状況が関数f12と記述されている。ここで、fは部品間の接触状態に対して定まるアイデンティフィケーションの関数であり、現実には「接着材○○○による固定」などの具体的方法に対応する。
【0068】
以上、本発明をコンピュータによる設計装置について示した。この実施の形態は例示であり、さまざまな変形例や改良例があることは当業者には理解されるところである。以下そうした例を挙げる。
【0069】
実施の形態では、接触状態に関する記述を部品リストに盛り込んだ。しかしながら、この情報は部品リスト以外のデータに盛り込んでもよく、たとえば図面データの中に組み込むこともできる。
【0070】
実施の形態では、コンフリクトチェックなどによって、システムが自動的に接触状態を検出した。しかしながら、これはオペレータが逐次指定してもよい。たとえば、オペレータが図2の状態の図面を作成したとき、第1の部材32と第2の部材34の接触面を選択し、その属性として図3に示す接触状態の記述を入力してもよい。
【0071】
実施の形態では、部品リスト50に接触状態の情報を盛り込んだが、さらに進んで、建築物の設計手順全般の情報を盛り込んでもよい。たとえば、部品リスト50に「手順欄」を設け、実際に組み立ての段階で準備すべき部品の順序を記述してもよい。ただしその場合、詳細に過ぎる順序づけは煩瑣に過ぎるので、設計の段階に応じたグループ毎にグループ番号を与えてもよい。いずれにしても、そのような手順と接触面における固着の情報を記録することにより、建築における一連の手順をホモトピックに記録することができる。したがって、この設計装置は単に建築物の設計を支援するにとどまらず、その組み立ての手順をも内包した総合的なシステムとして高い有用性を持つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態の具体例に係る設計装置の構成図である。
【図2】 設計のある時点において表示される画面の例を示す図である。
【図3】 ふたつの部材の接触状態をプルダウンメニュー形式で指定する際にあらわれる画面を示す図である。
【図4】 実施の形態によって生成された部品リストの構成例を示す図である。
【符号の説明】
10 設計装置、 16 設計属性付与部、 18 リスト生成部、 20 ID付与部、 50 部品リスト。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3