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明細書 :建材用組成物、それを用いた建築材料の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4127781号 (P4127781)
公開番号 特開2003-335564 (P2003-335564A)
登録日 平成20年5月23日(2008.5.23)
発行日 平成20年7月30日(2008.7.30)
公開日 平成15年11月25日(2003.11.25)
発明の名称または考案の名称 建材用組成物、それを用いた建築材料の製造方法
国際特許分類 C04B  28/00        (2006.01)
B28C   5/00        (2006.01)
C04B  14/08        (2006.01)
C04B  18/26        (2006.01)
C04B  14/36        (2006.01)
C04B  18/24        (2006.01)
C04B  18/16        (2006.01)
C04B 111/00        (2006.01)
FI C04B 28/00
B28C 5/00 ZAB
C04B 14/08
C04B 18/26
C04B 28/00
C04B 14:08
C04B 18:26
C04B 14:36
C04B 18:24 Z
C04B 18:16
C04B 111:00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2002-250677 (P2002-250677)
出願日 平成14年8月29日(2002.8.29)
優先権出願番号 2002064614
優先日 平成14年3月11日(2002.3.11)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成17年1月27日(2005.1.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
発明者または考案者 【氏名】村上 博
【氏名】鈴木 祥之
【氏名】後藤 正美
個別代理人の代理人 【識別番号】100101960、【弁理士】、【氏名又は名称】服部 平八
審査官 【審査官】横山 敏志
参考文献・文献 特開2001-080946(JP,A)
特開2001-064073(JP,A)
特開平09-087002(JP,A)
特開昭56-017970(JP,A)
特開2000-007410(JP,A)
特開昭53-134030(JP,A)
特開平02-069207(JP,A)
特開平04-201520(JP,A)
特開2000-220247(JP,A)
特開2000-274057(JP,A)
特開2000-302535(JP,A)
特開2001-011799(JP,A)
米国特許第01524676(US,A)
米国特許第04225359(US,A)
調査した分野 C04B2/00-32/02
C04B40/00-40/06
B28C5/00
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
10~50重量%の珪藻土、5~30重量%の廃木材、5~40重量%の田土及び10~80重量%のセメント系土壁用硬化剤、珪酸塩系土壁用硬化剤及び水ガラス系土壁用硬化剤から選ばれる無機系土壁用硬化剤を含有することを特徴とする建材用組成物。
【請求項2】
さらに10~30重量%の故紙及び/又は古畳、古瓦の破砕物や破砕土を含有することを特徴とする請求項1記載の建材用組成物。
【請求項3】
無機系土壁用硬化剤がセメント系土壁用硬化剤であることを特徴とする請求項1又は2記載の建材用組成物。
【請求項4】
田土が荒木田土又は京深草土であることを特徴とする請求項1又は2記載の建材用組成物。
発明の詳細な説明 【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、建材用組成物、それを用いた建築材料の製造方法、さらに詳しくは耐力壁用荒壁パネル、断熱・防音パネル、土壁や花壇等のブロック材などの建築材料を製造するための建材用組成物、それを用いた建築材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、プラスチック系ボードや珪酸カルシウム板、石膏ボード等の無機ボードが建築材料として多数用いられている。しかしながら、プラスチックス系ボードにあってはそれから発生するホルマリン等の化学物質により化学物質過敏症を引き起こし大きな社会問題となっている。また、無機系ボードにあっても、低コスト化、高機能化が実現され大量生産が可能となったが、使用後のリサイクルが困難でそのまま産業廃棄物として放置され、国土の狭い我が国にとって大きな問題となっている。その一方、近年、地球環境保護の観点から様々な産業廃棄物の有効利用が検討されるようになり、製紙スラッジを使用した建築材料が特開2001-11799号公報に、また、破砕した使用済みの故紙と使用済みの合成樹脂製シート廃材を使用した例が特開2000-302535号公報に、さらに鋳物廃砂を使用した例が特開2000-220247号公報に、それぞれ提案されている。しかし、いずれもプラスチックス系ボードや無機系ボードと同様に化学物質過敏症の問題、使用後の放置の問題が残っている。これに対し、古来から使用されてきた土を用いた土壁等は、その調湿性がよいことから高温多湿な環境に対して快適な生活環境を提供する上に、リサイクルが容易で産業廃棄物の放置の問題も少ない。しかしながら、土を用いた土壁等は、その作業に長時間を要するばかりでなく、耐震性にも劣り需要が年々低下している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
こうした現状に鑑み、本発明者等は、鋭意研究を続けた結果、珪藻土、廃木材及び無機系硬化剤を含有する建材用組成物又はさらに田土や故紙などを含有する建材用組成物を用いて建築材料を製造すると、従来の土壁と同様の調湿性に優れ快適な生活環境が達成できる上に、得られた建築材料を破砕するだけで再利用ができるなどリサイクルが容易で、しかも木材チップ、鋸屑、鉋屑、倒木の破砕物などの廃木材や古畳、古瓦の破砕物、さらには破砕土などの産業廃棄物も原料として使用できことから地球環境的に優しい建築材料が得られることを見出して本発明を完成したものである。すなわち、
【0004】
本発明は、生活環境及び地球環境に優しく、資源のリサイクルが可能な建材用組成物を提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、上記建材用組成物を用いた建築材料の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、珪藻土、廃木材及び無機系硬化剤、又はさらに田土などを含有する建材用組成物及びそれを用いた建築材料の製造方法に係る。
【0007】
本発明の建材用組成物は、上述のとおり珪藻土、廃木材、田土及び無機系硬化剤さらに故紙、古畳、古瓦の破砕物や破砕土などの産業廃棄物を含有する建材用組成物であるが、前記珪藻土は全成分中10~50重量%、廃木材は5~30重量%、無機系硬化剤は10~80重量%の範囲で含有するのがよい。珪藻土が10重量%以下では、建築材料の強度が不足して好ましくなく、珪藻土が50重量%を超えると建築材料の硬度が高すぎ釘打ちや鋸引きが困難となる。また、廃木材が5重量%未満では建築材料のくぎ打ちや鋸引きが困難となり、かつ調湿性も悪く、30重量%を超えると強度が弱くなり好ましない。さらに、無機系硬化剤が10重量%以下では建築材料の強度が不足し、80重量%を超えると硬くなり過ぎ好ましくない。前記珪藻土としては、市販の珪藻土が用いられ、廃木材としては、木材チップ、鋸屑、鉋屑等が挙げられ、均一な混合物が得られるように必要に応じて破砕して使用するのがよい。また、無機系硬化剤とはセメント系土壁用硬化剤、珪酸塩系土壁用硬化剤、水ガラス系土壁用硬化剤から選ばれる無機系土壁用硬化剤をいうが、特にセメント系土壁用硬化剤が好ましい。本発明の建材用組成物田土を含有するが、該田土とは、田、畑から採取された粘土質の土をいう。この田土を含有することで建築材料の保水性がより良好となる上に、乾燥後の強度が高くなり、かつ色合いにも優れて好ましい、前記田土としては、好ましくは荒木田土、京深草土が挙げられ、中でも京深草土がよい。該田土は5~40重量%の範囲で含有するのがよい。田土が5重量%未満では効果がなく、40重量%を超えると強度が低下して好ましくない。前記に加えて本発明の建材用組成物はさらに故紙及び/又は古畳、古瓦の破砕物や破砕土などの産業廃棄物を10~30重量%の範囲で含有することができる。該産業廃棄物の含有量が10重量%未満では資源の再利用効果が少なく、30重量%を超えると建築材料の強度が低下して好ましくない。前記破砕土としては、土壁の破砕物、本発明の建築材料の破砕物などが挙げられる。
【0008】
本発明の建築材料の製造方法を以下に示す。すなわち、珪藻土と廃木材と田土とを水と混合し、さらに必要に応じて故紙及び/又は古畳、古瓦の破砕物や破砕土などの産業廃棄物、抗菌剤、防虫剤を配合した混合物をよく攪拌したのち、成形直前に無機系硬化剤を投入して建材用組成物を調製し、パネル又はブロックに成形し、乾燥養生する方法である。前記製造方法で採られる成形手段としては建材用組成物を型枠に流し込み加圧する流込成形や押出機から押し出す押出成形などが挙げられるが、耐力壁用荒壁パネルや断熱用荒壁パネルなどの大型のパネルの製造には、成形が簡単な流込成形法がよい。この流込成形法においては、図1に示すように角鋼材でパネル寸法の枠2を作成し、その上下に防水合板の押板3を配し、その1箇所にダボ仕口4を設けて型枠1を形成し、調製した建材用組成物を型1に流し込み、押板3に50~200kgの重しを載せ、乾燥養生し、脱型し恒温・恒湿室で養生して製品に仕上げる。特に耐力壁用荒壁パネルの製造においては建材用組成の流し込み時に、木舞木摺板を埋め込み強度を挙げるのがよい。前記木舞木摺板としては、細木網目状に組んだ板状体が用いられるが、埋込み枚数は1~3枚の範囲がよい。
【0009】
上記成形法の押出成形法は生産性が良いことから土壁や花壇等のブロック、小型の断熱・防音材などの製造に好適に用いられる。押出成形機の押出圧力は約2~80MPa、好ましくは3~60MPaの範囲がよい。また、押出成形前に40~250℃の温度に建材用組成物を加熱すると乾燥工程がスムーズにできて好ましい。
【0010】
上記成形後の乾燥養生方法としては、3~10日間の常温による通風乾燥養生、加熱乾燥養生、減圧乾燥養生などが採用できるが、通風乾燥養生などの自然乾燥が好ましい。前記加熱乾燥養生にあっては40~250℃、好ましくは80~200℃の範囲が選ばれる。
【0011】
上記建材用組成物の調製で使用する攪拌法としては、プレフォーム法、プレミックスフォーム法又はミックスフォーム法などが挙げられ、また、攪拌機としては、オムニミキサー、ヘンシェル型ミキサーなどが使用できる。
【0012】
本発明の製造方法で製造される建築材料は、原料が自然素材であることから、従来の荒土で作成した土壁のように調湿性が高い上に、破砕してのリサイクルが容易である。しかも、化学物資の発生による化学物質過敏症を起こすことがなく、また、製品にはやんわりとした土の感触があり、作成した土塀や花壇が古都の風情によく溶け込み、美しい町並みが調和よく保存ができる。
【0013】
上記に製造した建築材料には抗菌性があるが、より高い抗菌性を求めるには公知の抗菌剤を配合するのがよい。使用する抗菌剤としては、合成物質でもまた天然物でもよいが、具体的にはフェニトロチオン、フェニトロン、クロルベンジレート、ダイアジノン、除虫菊などが挙げられる。この抗菌剤は液体で又は粉末として配合される。
【0014】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例の圧縮強度等の物性はコンクリートの圧縮試験法(JISA1108)、セメントの物理試験(JISR5201)及び建築基準法施行令第46条第4項表1の(ハ)に基づく木造軸組耐力壁の試験法に準拠した。
【0015】
参考例
珪藻土2kgと木材チップ1kgと水60リットルとをミキサーに入れ30分間攪拌し、さらに水20リットルを加えたのち無機系硬化剤(秩父コンクリート工業社製、土壁用硬化剤)を5kg投入し、よく混ぜ建材用組成物を調製した。該建材用組成物を1800mm×600mm×30mmの角鋼材で作成した型枠に半分流し込み、木舞木摺板(木材の細木、縦5本、横10本を網目状に組んだ寸法6mm×36mm×1800mmの木摺板)1枚載せ、残りの半分を流し込み押板で押え60kgの重しを置いて1日養生した。脱型後乾燥棚で自然乾燥して1800mm×600mm×26mmの耐力壁用荒壁パネルを製造した。該パネルを建築基準法施行令第46条第4項表1の(ハ)に基づく木造軸組耐力壁の試験法でその耐力を測定したところ、横張りで2,000Kgf,縦張りで1,500Kgfであった。また、荒壁パネルの縦張及び横張試験をおこなったところ、3つ割筋交壁より耐力があり、耐震性に優れていることがわかった。さらに、積載荷重に対する層間変形角を調べたところ、変形が少なかった。その結果を図2に示す。
【0016】
実施例
珪藻土1kg、京深草土2kg、木材チップ1kg及び水60リットルをミキサーに入れ30分間攪拌したのち、さらに水30リットルを加え無機系硬化剤(秩父コンクリート工業社製、土壁用硬化剤)を5kg投入し、建材用組成物を調製した。該建材用組成物を約1800mm×600mm×30mmの角鋼材で作成した型枠に半分流し込み、木舞木摺板(前出)を1枚載せ、残りの半分を流し込み押板で押え60kgの重しを置いて1日養生した。脱型後乾燥棚で自然乾燥して1800mm×600mm×26mmの耐力壁用荒壁パネルを製造した。該パネルを建築基準法施行令第46条第4項表1の(ハ)に基づく木造軸組耐力壁の試験法でその耐力を測定したところ、横貼りで2,000Kgf,縦張りで1,500Kgfであった。また、荒壁パネルの縦張及び横張試験をおこなったところ、3つ割筋交壁より耐力があり、耐震性に優れていることがわかった。さらに、積載荷重に対する層間変形角を調べたところ、変形が少なかった。その結果を図2に示す。
【0017】
実施例
珪藻土1kg、深草土2kg、水30リットルをミキサーに入れ30分間攪拌したのち30リットルの水に漬けた故紙を3kg入れ、混ぜ合わせ、さらに水30リットルを加えたのち無機系硬化剤(秩父コンクリート工業社製、土壁用硬化剤)を5kg投入し、よく混ぜ建材用組成物を調製した。
【0018】
次いで、上記建材用組成物を実施例1と同様な操作で成形・養生し耐力壁用荒壁パネルを製造した。該パネルを建築基準法施行令第46条第4項表1の(ハ)に基づく木造軸組耐力壁の試験法でその耐力を測定したところ、その耐力は実施例1の荒壁パネルとほぼ同程度であった。また、荒壁パネルの縦張及び横張試験をおこなったところ、3つ割筋交壁より耐力があり、耐震性に優れていることがわかった。さらに、積載荷重に対する層間変形角を調べたところ、変形が実施例2のパネルより小さかった。
【0019】
実施例
表1に示す成分割合の建材用組成物を調製し、約900mm×400mm×30mmの角鋼材で作成した型枠に流し込み、900mm×400mm×26mmの断熱材用パネルを製造した。
【0020】
表1
(単位kg)
JP0004127781B2_000002t.gif【0021】
得られたパネルから試験体を作成し、圧縮試験を行った。その結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
JP0004127781B2_000003t.gif【0023】
上記にみたように、この断熱用パネルは、高い応力を有し、また耐震性にも優れ、かつ素材が天然材からなることからプラスチック建材のように化学物質過敏症を起こすことがない、内装用下地材などとして有用である。
【0024】
【発明の効果】
本発明の建材用組成物は、珪藻土、廃木材、無機系硬化剤及び田土を含み、さらに必要に応じて故紙及び/又は古畳、古瓦の破砕物及び破砕土などの産業廃棄物を資源の有効利用ができる上に得られた建築材料は耐力が高く、積載加重変形が少なく、しかもやんわりとした土の感触があり、作成した土塀や花壇は古都の風情によく溶け込み、美しい町並みが調和よく保存ができ、さらに、化学物資の発生による化学物質過敏症を起こすことがなく、生活環境及び地球環境に優しいという効果を奏します
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の荒壁パネルを製造する型枠の説明図である。
【図2】本発明の製造法で得られた荒壁パネルの積載荷重試験を示す図である。
【符号の説明】
1 : 型枠
2 : 角鋼材
3 : 防水合板
4 : ダボ仕口
図面
【図1】
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【図2】
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