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明細書 :避雷器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4304144号 (P4304144)
公開番号 特開2006-127820 (P2006-127820A)
登録日 平成21年5月1日(2009.5.1)
発行日 平成21年7月29日(2009.7.29)
公開日 平成18年5月18日(2006.5.18)
発明の名称または考案の名称 避雷器
国際特許分類 H01T   4/02        (2006.01)
H01C   7/12        (2006.01)
H01T   1/16        (2006.01)
FI H01T 4/02 F
H01C 7/12
H01T 1/16 G
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2004-311847 (P2004-311847)
出願日 平成16年10月27日(2004.10.27)
審査請求日 平成18年6月30日(2006.6.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
発明者または考案者 【氏名】饗庭 貢
個別代理人の代理人 【識別番号】100105924、【弁理士】、【氏名又は名称】森下 賢樹
審査官 【審査官】高橋 学
参考文献・文献 特開平9-74758(JP,A)
特開平10-12408(JP,A)
特表2000-511362(JP,A)
特開2001-126843(JP,A)
調査した分野 H01T 1/00-4/20
H01C 7/12
特許請求の範囲 【請求項1】
電子機器に接続されるケーブルと大地間に生じた電圧を検出し破壊エネルギーとなる電流を大地に流すと共に、破壊エネルギの処理後は、元の系統状態に自復する機能を有する素子を含む避雷器本体と、
前記避雷器本体を収納可能な避雷器ハウジングと、
前記避雷器ハウジング内の湿度を検出する湿度検出手段と、
前記避雷器ハウジング内の湿度を調整する湿度調整手段と、
前記湿度検出手段の検出結果に応じて前記湿度調整手段を制御し、前記避雷器ハウジング内の湿度を調節する湿度制御手段と、
前記湿度調整手段の動作時に開動作し前記避雷器ハウジング内の湿気を外部に排出させる開閉弁と、
を含むことを特徴とする避雷器。
【請求項2】
電子機器に接続されるケーブルと大地間に生じた電圧を検出し破壊エネルギーとなる電流を大地に流すと共に、破壊エネルギの処理後は、元の系統状態に自復する機能を有する素子を含む避雷器本体と、
前記避雷器本体を収納可能な避雷器ハウジングと、
前記避雷器ハウジング内の湿度を検出する湿度検出手段と、
前記避雷器ハウジング内の湿度を調整する湿度調整手段と、
前記湿度検出手段の検出結果に応じて前記湿度調整手段を制御し、前記避雷器ハウジング内の湿度を調節する湿度制御手段と、
を含み、
前記湿度調整手段は、前記避雷器ハウジングの側面に連通路を介して接続されていることを特徴とする避雷器。
【請求項3】
前記湿度調整手段は、前記避雷器ハウジング内の湿度を略50%~略85%に調整することを特徴とする請求項1または請求項2記載の避雷器。
【請求項4】
前記避雷器ハウジングは、雷サージにより避雷器が動作したとき、当該避雷器ハウジング内の加圧状態を開放する開放弁を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の避雷器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、避雷器、特に、周囲の湿度環境に左右されることなく良好に動作させることのできる避雷器の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエレクトロニクスの急速な発達に伴い、コンピュータに代表される半導体応用機器の普及がめざましい。これらの低電圧機器は、微弱電圧で動作しているので、雷のような非常に大きな電圧に対しては、致命的なダメージを受けてしまう場合が多い。そのため、低電圧機器の雷に対する対策は各機器の信頼性向上の上で大変重要である。
【0003】
雷サージは、直撃雷と誘導雷に分かれ、直撃雷のエネルギーは非常に大きく、安全に建物内機器の保護を行うためには、例えば避雷針などを用いた防雷対策を行い、雷エネルギーの大半を処理し、残ったエネルギーを避雷器などで処理する必要がある。特に、各機器ごとにおける避雷器による対策は、水際でダメージを防ぐために欠かせない対策方法である。
【0004】
従来の避雷器は、酸化亜鉛素子と放電機構および電極などで構成され、略密閉されたハウジング内に収納されている。そして、雷サージ等の異常電圧が発生した場合は、酸化亜鉛素子が低抵抗値を示して異常電圧を大地に逃がし、電力線などから異常電圧が消滅すると酸化亜鉛素子は高抵抗値に戻り、雷サージ処理後は元の正常な系統状態に自復し、通常の回路に何ら影響を与えないように動作する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところで、上述のような酸化亜鉛素子を用いる避雷器は、避雷器本体部分である酸化亜鉛素子を密閉されたハウジングの中に収納した状態で構成している。このような避雷器は、雷サージ等の異常電圧が発生した場合、避雷器本体を収納するハウジング内部の空気が膨張するため放圧する必要がある。この放圧が良好に行われない場合、避雷器の動作時にハウジングが破損したり、その破片を周囲に飛散してしまう。そのため、ハウジングに放圧孔を設けたり、機密性の低いものを用いるなどの対策を行っている。

【特許文献1】特開平9-63809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のように、避雷器本体を収納するハウジングに放圧孔を設けたり、気密性の低いものを採用した場合、湿気を含む空気がハウジング内に侵入し内部で結露してしまう場合がある。ハウジング内部の湿度が高くなったり、内部で結露が生じた場合、十分な絶縁性の維持ができなくなり避雷器の性能を著しく低下させてしまうという問題がある。
【0007】
特に、湿度の高い環境下で使用する電子機器に避雷器を利用する場合、湿度に対する配慮が重要となる。例えば、気象データを収集しようとする場合、このデータ収集は全世界的に行う必要があるが、雷の多い一部の地域だけ、雷サージにより測定器が故障しデータ取得に失敗した場合、問題が大きくなる。例えば、日本の場合、金沢地方は、落雷が多い上に降水量や積雪量が多いため、避雷器の湿度対策は十分に要求される。従来の避雷器は、「結露並びに相対湿度85%以上では、動作を保証しない」というものが大半を占めているので、周囲の湿度環境に左右されず、常に良好な避雷機能を果たす避雷器が求められている。
【0008】
そこで、本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、周囲湿度環境に左右されず、常に良好な避雷機能を果たすことのできる避雷器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電子機器に接続されるケーブルと大地間に生じた電圧を検出し破壊エネルギーとなる電流を大地に流すと共に、破壊エネルギの処理後は、元の系統状態に自復する機能を有する素子を含む避雷器本体と、避雷器本体を収納可能な避雷器ハウジングと、避雷器ハウジング内の湿度を検出する湿度検出手段と、避雷器ハウジング内の湿度を調整する湿度調整手段と、湿度検出手段の検出結果に応じて湿度調整手段を制御し、避雷器ハウジング内の湿度を調節する湿度制御手段と、湿度調整手段の動作時に開動作し避雷器ハウジング内の湿気を外部に排出させる開閉弁と、を含むことを特徴とする。
【0010】
ここで、開閉弁は、湿度制御手段が湿度調整手段を動作させたことを条件に、例えばモータなどで駆動するアクチュエータにより開動作を行うものを使用することができる。
【0011】
この態様によれば、除湿制御手段により湿度調整手段、例えば除湿器が動作し、避雷器ハウジング内の除湿を行い、避雷器が正常に動作する最適湿度範囲に避雷器ハウジング内の空気の状態を維持することができる。また、開閉弁は湿度調整手段が動作しているときのみ開動作を行うため、湿度調整手段の非動作時に避雷器ハウジング内の湿度環境が悪化することを抑制することができる。
【0012】
また、本発明は、電子機器に接続されるケーブルと大地間に生じた電圧を検出し破壊エネルギーとなる電流を大地に流すと共に、破壊エネルギの処理後は、元の系統状態に自復する機能を有する素子を含む避雷器本体と、避雷器本体を収納可能な避雷器ハウジングと、避雷器ハウジング内の湿度を検出する湿度検出手段と、避雷器ハウジング内の湿度を調整する湿度調整手段と、湿度検出手段の検出結果に応じて湿度調整手段を制御し、避雷器ハウジング内の湿度を調節する湿度制御手段と、を含み、湿度調整手段は、避雷器ハウジングの側面に連通路を介して接続されていることを特徴とする。
【0013】
この態様によれば、湿度調整手段は、避雷器ハウジングの側面に連通路を介して接続されているので、避雷器の動作空間を低減させることなく、効率的に避雷器ハウジング内部の除湿を行うことができる。さらに、連通路を用いることで、湿度調整手段の非動作時には、避雷器ハウジング内部と湿度調整手段とを実質的に分離することが可能になり、避雷器ハウジングの湿度維持に寄与することができる。
【0014】
また、上記構成において、湿度調整手段は、避雷器ハウジング内の湿度を略50%~略85%に調整するようにすることが好適である。
【0015】
この態様によれば、避雷器の避雷機能を良好に動作させることができる。
【0016】
また、上記構成において、避雷器ハウジングは、雷サージにより避雷器が動作したとき、当該避雷器ハウジング内の加圧状態を開放する開放弁を含むようにすることができる。
【0017】
ここで、開放弁は、例えばリターンスプリングなどの付勢手段により避雷器の非動作時には開放弁を避雷器ハウジングに付勢し、避雷器動作時のみ付勢手段の付勢力に逆らって開放弁を開くようなものでもよいし、避雷器の動作を検出してアクチュエータにより自動的に開閉動作する開放弁でもよい。
【0018】
この態様によれば、避雷器の動作時に発生した避雷器ハウジング内の気体膨張を迅速に放圧することが可能となるので、湿度調整手段を気体膨張によるダメージから守ることがでできる。また、避雷器の非動作時には、開閉弁を閉じているので、避雷器ハウジング内の湿度の変動を抑制し、最適な湿度状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、除湿器の動作により避雷器ハウジングの内部の湿度状態を最適状態に制御することができるので、避雷器を使用する場所の湿度環境に左右されることなく良好に避雷器を動作させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)を、図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の避雷器10の構造を説明する概略構造図であり、避雷器10を上面から見た場合の概略断面図である。本実施形態の避雷器10は、避雷器本体12を収納する避雷器ハウジング14と、この避雷器ハウジング14の側壁に複数の連通路16を介して接続された湿度調整手段として機能する除湿器18とで構成されている。
【0022】
避雷器本体12は、例えば、酸化亜鉛(ZnO)やマルチカーボン製の円盤形状の素子20を複数枚、図1の場合10枚の素子20を、例えばフッ素樹脂などで構成される絶縁体22を挟んで交互に積層配列して構成している。絶縁体22は、例えば円盤形状であり、略中央部に貫通口24が形成されている。避雷器10に雷サージ等の異常電圧が発生した場合、絶縁体22が放電ギャップとして機能する隔壁となる。したがって、異常電圧が発生した場合には、素子20が低抵抗値を示して貫通口24を介して電流が流れ異常電圧を大地に逃すことになる。また、電力線などから異常電圧が消滅すると素子20は高抵抗値に戻り、雷サージ処理後は元の正常な系統状態に自復し、通常の回路に何ら影響を与えないように動作する。
【0023】
素子20と絶縁体22で構成される積層体の両端には、電極26,28が接続されている。この電極26,28と、避雷器ハウジング14の内壁面との間には、付勢部材として、例えば、スプリング30が配置され、素子20と絶縁体22で構成される積層体を常時圧縮方向に付勢し、積層体の形状維持および積層体を避雷器ハウジング14内の所定の位置に支持している。
【0024】
電極26には、S端子32が接続されている。S端子32は、避雷器10を挿入したい電位の位置に接続する。通常、+100Vまたは+200Vの位置に接続する。また、電極28には、E端子34が接続されている。E端子34はグランドに接続される。
【0025】
避雷器ハウジング14の一部には、避雷器本体12が動作したときに避雷器ハウジング14内で空気の膨張により発生した圧力を放圧するための開放弁36が配置されている。図1の場合、E端子34側に例えば2カ所配置されている。開放弁36の構造に関しては、後述するが、避雷器10の非動作時には、避雷器ハウジング14を密閉状態を維持するように閉動作を行い、雷サージ等の異常電圧が発生し、避雷器10が動作した場合に自動的に開動作するものである。つまり、雷サージ等により避雷器ハウジング14内の温度が上昇し内部空気の膨張が発生した場合に、この空気の膨張力により開放弁36が開動作するようになっている。
【0026】
一方、除湿器18内に収納されている除湿器本体38は、周知の除湿器が利用可能であり、避雷器ハウジング14内まで延設された湿度検出手段として機能する湿度センサ40の検出結果に基づいて、オン、オフ動作し、避雷器ハウジング14内の湿度状態を、所望の状態、例えば、50~85%の範囲に維持できるものであればよい。
【0027】
除湿器本体38を収納する除湿器ハウジング42の側面には、除湿器本体38が動作した際に開動作を行い、水分を含む空気を排気するための開閉弁44が形成されている。図1の場合は、3個形成しているが、排気を良好に行える数であれば任意の数でよい。この開閉弁44の詳細な構造については後述するが、除湿器本体38が動作したときのみ開動作することにより、除湿器18と連通路16を介して連通した避雷器ハウジング14内の湿度の変動、特に湿度上昇を抑制するように機能する。また、細い連通路16を用いることで、除湿器18の非動作時には、避雷器ハウジング14内部と除湿器18とを実質的に分離することが可能になり、避雷器ハウジングの湿度維持に寄与することができる。
【0028】
除湿器18内部には、除湿器本体38および湿度センサ40を駆動する湿度制御手段として機能する湿度制御部46が配置されている。この湿度制御部46の電源は、ライン48を避雷器10のS端子32に接続し、避雷対象の電子機器に接続する電源から得る。なお、N端子50は、基準となる端子で例えば、±0Vに接続する。
【0029】
図2には、湿度制御部46の構成を説明する概略説明図が示されている。湿度制御部46は、AC-DC変換器52を含み、避雷器10を挿入する電子機器のAC電源側、例えば+100Vまたは+200Vから、所望のDC電源に変換する。図2の場合、例えば、湿度センサ40用のDC9Vと、除湿器本体38用のDC3Vに変換している。もちろん、AC-DC変換器52は別途独立して配置してもよい。なお、本実施形態におけるDC9Vは、湿度センサ40の検出結果増幅用の回路を駆動するために準備したもので、増幅が不要な場合は、省略してもよい。
【0030】
湿度制御部46は、湿度センサ40の湿度の検出結果に基づき、除湿器本体38および開閉弁44の動作をオン、オフする。具体的には、湿度センサ40の検出結果に応じて動作するトグルスイッチ部54と、このトグルスイッチ部54の動作により動作するパワーリレー部56を含んでいる。トグルスイッチ部54は、湿度センサ40から延びる湿度伝達子58の伸縮により図中左右に移動する移動子60を有している。なお、この移動子60は、複数の支持ローラ60aにより支持されている。図2の場合、移動子60の上下位置にそれぞれ2個ずつ配置しているが、移動子60をスムーズに移動できる構成であれば、配置数は任意である。また、移動子60をスムーズに移動できる構成であれば、移動子60の支持方法も任意である。湿度伝達子58は、湿度に応じて徐々に伸縮する機能を有し、湿度が設定した値、例えば85%を越えた場合に所定量まで延び、移動子60を図中左方向に移動することを許容し、スイッチ片62が接点64a側に倒れることを許容する。逆に、湿度伝達子58は、湿度が設定した値、例えば50%以下になった場合に所定量まで縮み、移動子60を図中右方向に移動することを許容し、スイッチ片62が接点64b側に倒れることを許容する。
【0031】
トグルスイッチ部54のスイッチ片62及びその周辺の具体的構造例を図3に示す。図3の例では、燐青銅板ばねを用いて動作遅延型のスイッチ片62を構成している。図3に示すように、燐青銅板ばねで形成されるスイッチ片62は、中央片62aを形成するようにスリットが設けられている。一方、図2における移動子60の先端部には、例えば、銀-タングステンの合金からなる接触子60aが、例えばろう付けなどの手段により接合されている。そして、この接触子60aをスリットに囲まれた中央片62aの先端にろう付けなどの手段により接続している。その結果、中央片62aは移動子60によって、押し込まれたり引き戻されたりする。ばね性を有するスイッチ片62は、移動子60の移動によって図中矢印A方向に押し込まれ、所定の限界値を超えると、スイッチ片62の外郭部62bが図3において「逆くの字」状に反り返るようになっている。逆に、移動子60の移動によって図中矢印B方向に引き込まれ、所定の限界値を超えると、スイッチ片62の外郭部62bが「くの字」状に反り返るようになっている。スイッチ片62に接続される移動子60は図2におけるAC-DC変換器52のDC3V側のグランドGに接続されている。またスイッチ片62は、上部の位置で絶縁材を介して、ハウジングなどの筐体102に固定されている。一方、スイッチ片62の下端側は自由端であり、所定間隔で相対する接点64a,64bの間を揺動できるようになっている。接点64aは、図2に示すようにDC3Vの+端子に接続されている。一方、接点64bは開放端となっている。なお、接点64aの先端部には、例えば、銀-タングステンの合金からなる接触子64cが、例えばろう付けなどの手段により接合されている。一方、スイッチ片62の外郭部62bの下端部分にも例えば、銀-タングステンの合金からなる接触座62cが、ろう付けなどの手段により接合されている。この接触座62cは、接点64bの先端部に接合された接触子64cの直径より大きな面積で形成されている。上述のように移動子60の先端部や接点64aの先端部、外郭部62bの下端部に銀-タングステンの合金からなる接触子60a,64c、接触座62cを設けることにより、それぞれの接触部分における接触抵抗を少なくし、電流がスイッチ片62を良好に流れるようにしてスイッチングをスムーズにできるようにしている。また、頻繁に接離を繰り返す接点64aと外郭部62bとは、接触子64cおよび接触座62cにより接触抵抗を低下させることでスパークなどの発生による損傷を抑制している。
【0032】
このように構成されるスイッチ片62は、移動子60によって、外郭部62bが図3において、「逆くの字」状に反り返った場合、つまり、図3で示される状態になった場合、スイッチ片62が接点64aに接続され、DC3Vの回路が閉じることになる。逆に移動子60によって、外郭部62bが図3において、「くの字」状に反り返った場合、スイッチ片62が接点64aから離れ、開放端である接点64bに接続され、DC3Vの回路が開く。なお、スイッチ片62は、略中央部で支点バー104により表裏面から支点支持され、「逆くの字」及び「くの字」に反り返るようになっている。
【0033】
図2に戻り、接点64aは、コイル66を介してDC3Vの+端子に接続されている。一方、移動子60は、DC3Vのグランド側に接続されている。したがって、湿度センサ40の検出結果に応じて湿度伝達子58が延びて、スイッチ片62が接点64aに接触した場合、コイル66を含む回路が閉じ、コイル66にDC3Vが印加される。その結果、コイル66が巻回されている磁性シャフト68が電磁石化して、移動接点70を吸引し、開放接点72を閉路する。その結果、除湿器本体38にAC-DC変換器52のDC3Vが印加され、除湿器本体38が動作を開始する。つまり、避雷器ハウジング14内の除湿を開始する。
【0034】
例えば、ある時点で、スイッチ片62が接点64bに接触していたとする。つまり、除湿器本体38は駆動していない状態であったとする。この状態で湿度が上昇し始めたとすると、前述したように湿度伝達子58が伸び始め、移動子60が図3の矢印A方向にスライドし始め、中央片62aを押し始める。そして、移動子60による押し込みが所定の限界値を超えた場合、スイッチ片62の反り返り状態が「くの字」状態から「逆くの字」状態に反転し、接点64a側に接触する。つまり、DC3Vの回路が閉じて、除湿器本体38が駆動を開始する。スイッチ片62が「逆くの字」に反転するときの移動子60の押し込み移動量を例えば、湿度85%の時の移動量と一致させておくことにより、湿度センサ40が湿度85%を検出したときに除湿器本体38が駆動を開始するようにすることができる。したがって避雷器ハウジング14内の湿度が85%以上になった場合、除湿器本体38が除湿動作を開始し、避雷器ハウジング14内の湿度が85%以上になることを抑制する。
【0035】
除湿器本体38が駆動を開始すると、湿度は85%から下がり始め、それに伴い、湿度伝達子58が縮み始め、移動子60が図3の矢印B方向にスライドし始め、中央片62aを引き戻し始める。そして、移動子60による引き戻しが所定の限界値を超えた場合、スイッチ片62の反り返り状態が「逆くの字」状態から「くの字」状態に反転し、接点64b側に接触する。つまり、DC3Vの回路が開き、除湿器本体38の駆動が停止する。スイッチ片62が「くの字」に反転するときの移動子60の引き戻し移動量を例えば、湿度50%の時と移動量と一致させておくことにより、湿度が85%に達した後、湿度が低下し50%以下になるまで、除湿器本体38の駆動を継続させることができる。
【0036】
そして、除湿器本体38が停止し、再び湿度が上昇し始めた場合、避雷器本体12が正常に動作する湿度範囲、すなわち湿度85%になるまで、上述のようにスイッチ片62は、「くの字」状態を維持することになるので、スイッチ片62と接点64aは接触することはない。したがって、除湿器本体38が必要以上に駆動し電力を消費してしまうことを抑制することが可能となる。なお、接点64bは回路を開くための端子なので、必ずしも設ける必要はない。また、支点バー104および接点64a,64bを支持する支持バー106には、アジャスタ108が設けられている。したがって、スイッチ片62を左右から挟み込む間隔や接点64a,64bの対向間隔を調整することによりスイッチ片62の反り返りタイミングを変化させることができる。その結果、湿度の変化に対するスイッチ片62の切り替わりタイミングを調整することができる。例えば、湿度60%~80%の間で、上述したようなスイッチ片62の切り替えを行うことが可能になる。
【0037】
ところで、除湿器本体38にDC3Vを印加する配線は、途中で分岐し開閉弁44を開閉動作するモータ74に接続されている。したがって、除湿器本体38の駆動に同期して開閉弁44も駆動するようになっている。開閉弁44には、図4に示すように、例えば付勢手段としてリターンスプリング76が配置され、常時開閉弁44を閉動作するようにしている。この場合、除湿器本体38の駆動時には、モータ74が駆動し開閉弁44をリターンスプリング76の付勢力に逆らい開動作し、除湿器本体38の駆動による排気を許容する。一方、除湿器本体38の非動作時には、リターンスプリング76の付勢力により開閉弁44が閉動作を行い、除湿器ハウジング42を介して避雷器ハウジング14へ湿気が侵入することを抑制する。開閉弁44が接触する除湿器ハウジング42の排気窓42aの周囲には、開閉弁44の閉動作時の密閉性を向上すると共に、絶縁性を確保するために、軟質樹脂のシール、例えば、シリコーンゴムシール78が配置されている。シリコーンゴムシール78は、耐湿性があること、また開閉弁44の繰り返し開閉動作に伴う変形に耐えらえる点などを考慮して選択したが、同様な機能を有する材質であれば任意に変更可能である。なお、モータ74は、モータ本体74aとモータ本体74aの出力軸に装着されたギア74b、およびギア74bに噛合するギア74c、開閉弁44に装着されギア74cと噛合するギア74dなどを含んでいる。もちろん、開閉弁44の開閉には、モータ以外の任意のアクチュエータが利用可能である。また、開閉弁44もヒンジ回転式以外にスライド式など任意の開閉方法を採用することができる。
【0038】
図2には、モータ74を1つしか図示していないが、図1に示すように、複数のモータ74が並列に接続され、複数の開閉弁44が同期して動作するように構成され効率的な排気を行うようになっている。
【0039】
図5には、前述した開放弁36の詳細が示されている。開放弁36は、回転軸36aを中心に回動可能であると共に、付勢手段として例えばリターンスプリング80によって、常時閉動作するように付勢されている。また、避雷器ハウジング14に形成された放圧窓14aの周囲には、シール部材として、例えば絶縁性を有するフッ素樹脂リング82が配置されている。開放弁36は、常時リターンスプリング80によりフッ素樹脂リング82に押圧され、放圧窓14aを閉状態とし避雷器ハウジング14内の湿度が上昇することを抑制している。そして、前述したように雷サージ等の異常電圧が発生し内部圧力が増加した場合にのみリターンスプリング80の付勢力に逆らって開放弁36を開動作するようになっている。もちろん、避雷器本体12の動作を検出して、アクチュエータを動作させ、開放弁36を動作させてもよい。
【0040】
本実施形態の除湿器付きの避雷器10は上述したように構成され、避雷器ハウジング14内の湿度に応じて除湿器本体38を動作させて、避雷器ハウジング14内の除湿を行うので、避雷器10が設置される場所の湿度環境に左右されることなく、避雷器本体12を収納する避雷器ハウジング14内の湿度を所定範囲、例えば50%~85%に維持し、避雷器本体12が良好に動作するように保つことができる。その結果、避雷器10を接続した電子機器の雷サージに対する保護信頼性を向上、維持することができる。
【0041】
また、本実施形態のように、湿度が所定値、例えば85%を越えた場合に除湿器本体38を動作させ、湿度50%以下のなるまで動作させることにより、必要以上に除湿器本体38がオンオフ動作することを抑制し効率的なエネルギ利用を行う行うことができると共に、湿度が85%を越えた場合に、一度湿度を50%まで低下させるので、それ以降しばらくの間除湿器本体38を動作させることなく避雷器本体12の動作保証を行うことができる。
【0042】
なお、上述に説明では、避雷器ハウジング14内に配置する湿度センサ40として伸縮タイプを用い、トグルスイッチ部54を動作させる例を説明したが、用いる湿度センサやトグルスイッチの動作形態は任意に変更可能である。例えば湿度85%以上でオン動作を行い、湿度50%以下でオン状態からオフ動作に切り替わる信号を出力する湿度センサを用いてもよい。また、湿度センサ自体も任意のタイプが利用可能であり、例えば、伸縮タイプに代え電気抵抗式湿度センサや他の構造の湿度センサを用いても同様な効果を得ることができる。また、これらのセンサーから連続的に出力される湿度情報に基づき、湿度85%以上でオン動作を行い、湿度50%以下でオン状態からオフ動作に切り替わるトグルスイッチなどを利用してもよく、本実施形態と同様な効果を得ることができる。また、除湿器本体38のオン動作の基準として、湿度85%、オフ動作の基準として湿度50%を例として示したが、利用環境や、避雷器本体12の特性などに基づき適宜変更設定することが好ましい。
【0043】
また、図1で示した避雷器本体12の構成や除湿器本体38の構成は一例であり、同様な避雷機能や除湿機能を有する機器であれば、利用可能であり本実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0044】
さらに、図2に示す回路構成も一例であり、湿度センサ40の検出結果に基づき、除湿器本体38や開閉弁44を動作させることのできる構成であれば、適宜構成変更が可能であり、本実施形態と同様な効果を得ることがでる。また、図3に示す燐青銅板ばねを用いた動作遅延型のスイッチ片62の構造も一例であり、同様な動作が可能なスイッチ構造であれば、適宜変更しても本実施形態と同様な効果を得ることができる。もちろん、電気的に同様な遅延スイッチングを行う回路を採用してもよい。同様に、図4、図5に示す開閉弁44、開放弁36の構成も適宜変更可能であり、除湿タイミングや放圧タイミングで弁が開き、それ以外の時には各ハウジング内の湿度上昇を抑制するように閉動作するものであればよく、本実施形態と同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態に係る避雷器の構成を説明する断面図である。
【図2】本実施形態に係る避雷器の除湿器および開閉弁を動作させる構成を説明する説明図である。
【図3】本実施形態に係る避雷器の除湿器および開閉弁を動作させるトグルスイッチ部の構造例を説明する説明図である。
【図4】本実施形態に係る避雷器の除湿器に設けられた開閉弁の構成を説明する説明図である。
【図5】本実施形態に係る避雷器の放圧用の開放弁の構成を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0046】
10 避雷器、12 避雷器本体、14 避雷器ハウジング、14a 放圧窓、16 連通路、18 除湿器、32 S端子、34 E端子、36 開放弁、38 除湿器本体、40 湿度センサ、42 除湿器ハウジング、42a 排気窓、44 開閉弁、46 湿度制御部、50 N端子、52 AC-DC変換器、54 トグルスイッチ部、56 パワーリレー部、58 湿度伝達子、60 移動子、60a 支持ローラ、62 スイッチ片、64a,64b 接点、66 コイル、68 磁性シャフト、70 移動接点、72 開放接点、74 モータ。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4