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明細書 :磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4603862号 (P4603862)
公開番号 特開2006-141782 (P2006-141782A)
登録日 平成22年10月8日(2010.10.8)
発行日 平成22年12月22日(2010.12.22)
公開日 平成18年6月8日(2006.6.8)
発明の名称または考案の名称 磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントム
国際特許分類 A61B   5/055       (2006.01)
FI A61B 5/05 390
請求項の数または発明の数 2
全頁数 15
出願番号 特願2004-337361 (P2004-337361)
出願日 平成16年11月22日(2004.11.22)
審査請求日 平成19年11月22日(2007.11.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
発明者または考案者 【氏名】足立 善昭
【氏名】内田 公
個別代理人の代理人 【識別番号】100087479、【弁理士】、【氏名又は名称】北野 好人
【識別番号】100114915、【弁理士】、【氏名又は名称】三村 治彦
【識別番号】100120363、【弁理士】、【氏名又は名称】久保田 智樹
【識別番号】100125139、【弁理士】、【氏名又は名称】岡部 洋
審査官 【審査官】島田 保
参考文献・文献 特表平01-503445(JP,A)
特開昭59-157547(JP,A)
特開昭62-019744(JP,A)
調査した分野 A61B 5/055
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
磁気共鳴イメージング装置により撮像可能な材料よりなる複数のマーカを有し、
前記複数のマーカは、3次元格子状に配列されている磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムであって、
対向する一の面から他の面に貫通する複数の貫通孔が2次元格子状に設けられたブロック状体を更に有し、
前記複数のマーカは、前記複数の貫通孔のそれぞれに、複数のスペーサと交互に収められている
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントム。
【請求項2】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムにおいて、
前記複数のマーカは、脂溶性ビタミンが溶解されたオイル又は硫酸銅水溶液を中空体に封入したものである
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置の校正用ファントムに関する。
【背景技術】
【0002】
MRIは、核磁気共鳴現象を利用して、生体内の物理的情報のみならず、分子的、化学的情報の断層分布を可視像化する技術であり、脳神経外科や神経内科、整形外科等の臨床分野において広く普及するに至っている。
【0003】
また、近年、磁気共鳴イメージング装置の小型化、軽量化に向けた研究開発が活発に行われている。

【特許文献1】特開2002-102208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、磁気共鳴イメージング装置が小型になると、撮像空間において、静磁場、傾斜磁場の均一性が保証される範囲が狭くなってくる。この結果、磁気共鳴イメージング装置における静磁場、傾斜磁場の歪みに起因して、MRI画像が歪みを含んだものとなり、MRI画像から正確な空間位置情報を取得することが困難となる場合がある。
【0005】
本発明の目的は、歪みを含んだMRI画像を確実に補正、校正し、正確な空間位置情報を有するMRI画像を得ることができる磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、磁気共鳴イメージング装置により撮像可能な材料よりなる複数のマーカを有し、前記複数のマーカは、3次元格子状に配列されている磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムであって、対向する一の面から他の面に貫通する複数の貫通孔が2次元格子状に設けられたブロック状体を更に有し、前記複数のマーカは、前記複数の貫通孔のそれぞれに、複数のスペーサと交互に収められていることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムにより達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、磁気共鳴イメージング装置により撮像可能な材料よりなる複数のマーカを有し、前記複数のマーカは、3次元格子状に配列されている磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムであって、対向する一の面から他の面に貫通する複数の貫通孔が2次元格子状に設けられたブロック状体を更に有し、前記複数のマーカは、前記複数の貫通孔のそれぞれに、複数のスペーサと交互に収められている校正用ファントムを撮像して校正用ファントムの撮像画像を取得し、校正用ファントムの撮像画像におけるマーカの画像基準位置情報と、実際の校正用ファントムにおけるマーカの物理的位置情報とに基づき、磁気共鳴イメージング装置により撮像される撮像対象の撮像画像を校正するためのパラメータを決定し、磁気共鳴イメージング装置により撮像対象を撮像して撮像対象の撮像画像を取得し、決定されたパラメータに基づき、撮像対象の撮像画像を校正するので、歪みを含んだ撮像画像を確実に補正、校正し、正確な空間位置情報を有する撮像画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正方法及び校正用ファントムについて図1乃至図8を用いて説明する。図1は磁気共鳴イメージング装置の一例を示す側面図、図2は磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントム撮像時の状態を示す側面図、図3は本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムを示す斜視図、図4は本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムにおける樹脂板を示す平面図、図5は本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムにおける樹脂板周縁部の拡大図、図6及び図8は本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正方法を示すフローチャート、図7は本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムのMRI画像及び本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正方法による補正及び校正前後の頭部のMRI画像を示す図である。
【0010】
まず、本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正方法による校正の対象となる磁気共鳴イメージング装置について図1を用いて説明する。図1は本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正方法による校正の対象となる磁気共鳴イメージング装置の一例を示す側面図である。図1に示す磁気共鳴イメージング装置は、例えば人体の頭部撮像用のコンパクトタイプのものである。
【0011】
図示するように、磁気共鳴イメージング装置は、静磁場用磁石(図示せず)及び傾斜磁場用コイル(図示せず)を有し、被検者28の頭部の撮像が行われる磁場領域が形成されるガントリー30と、高周波磁場を被検者28の頭部に印加し、また被検者28の頭部における水素原子核等の原子核の核磁気共鳴により放出される核磁気共鳴信号を検出するRFコイル32が収められたRFコイルボックス34とを有している。撮像時には、ガントリー30の磁場領域が形成される撮像空間に、寝台36上に横になった被検者28の頭部を収容したRFコイルボックス34が配置される。
【0012】
本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正方法は、3次元格子状にマーカが配列された校正用ファントムを用いて、磁気共鳴イメージング装置における静磁場、傾斜磁場の歪みに起因する歪みを含むMRI画像を校正するものである。MRI画像の校正においては、MRI画像の歪みを補正し、MRI画像上の距離を校正する。このMRI画像の校正には、磁気共鳴イメージング装置により撮像された校正用ファントムのMRI画像でのマーカの画像基準位置情報と、実際の校正用ファントムにおけるマーカの物理的位置情報とに基づき決定されるパラメータが用いられる。
【0013】
図2は、図1に示す磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントム撮像時の状態を示す側面図である。なお、図2では、図1に示すRFコイル32を省略している。
【0014】
図示するように、校正用ファントム37は、RFコイルボックス34内に収容された状態で、ガントリー30の撮像空間に配置される。この状態で、校正用ファントム37が撮像される。
【0015】
以下、本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントム37の構成について図3乃至図5を用いて説明する。
【0016】
図3に示すように、同一形状の複数枚の樹脂板10が所定の間隔を空けて重ねて配列されている。配列されている樹脂板10の枚数は、例えば10枚である。
【0017】
各樹脂板10は、例えばアクリル樹脂よりなるものである。樹脂板10の厚さは、例えば4mmである。樹脂板10の平面形状は、図4に示すように、例えば、一辺200mmの正方形の四隅が、隅から26mmの隅切点を結んで直角二等辺三角形状に切り欠かれてなる八角形となっている。
【0018】
各樹脂板10には、図4に示すように、樹脂板10の中央に、断面形状が正方形の貫通孔12が設けられている。また、樹脂板10の中央近傍に対称に、断面形状が円形の4つの貫通孔14が対称に設けられている。また、樹脂板10の周縁部近傍に、断面形状が円形の4つの貫通孔16が対称に設けられている。
【0019】
図3に示すように、各樹脂板10の貫通孔12には断面形状が正方形の固定棒18が挿着され、4つの貫通孔14には断面形状が円形の固定棒20がそれぞれ挿着され、4つの貫通孔16には断面形状が円形の固定棒22がそれぞれ挿着されている。これにより、所定の間隔を空けて重ねて配列された複数枚の樹脂板10が互いに固定されている。固定棒18、20、22は、樹脂板10と同様に、例えばアクリル樹脂よりなるものである。
【0020】
各樹脂板10には、図4に示すように、固定棒18、20、22が挿着される貫通孔12、14、16のほかに、樹脂板10を貫通する断面形状が円形の貫通孔24が2次元格子状に複数設けられている。貫通孔24の直径は、例えば4mmである。貫通孔24の格子ピッチは、例えば20mmである。貫通孔24の列は例えば10列設けられており、1列当たりの貫通孔24の数は例えば10(但し、最外周の列は8)である。
【0021】
各樹脂板10に設けられた貫通孔24には、図5に示すように、磁気共鳴イメージング装置により撮像可能なビタミンビーズよりなるマーカ26が収められ、各樹脂板10において複数のマーカ26が2次元格子状に配列されている。マーカ26を構成するビタミンビーズは、脂溶性ビタミンをオイルに溶解して脳等の生体組織と同程度の緩和時間を有するように調製されたビタミン含有オイルを、中空の球形状ビーズ内に封入したものである。マーカ26の直径は、樹脂板10の厚さ及び樹脂板10に設けられた貫通孔24の直径とほぼ同程度となっており、例えば4mmである。マーカ26が収められた貫通孔24の両開口端は、テープ(図示せず)等により封止されている。これにより、マーカ26は、位置が動かないように貫通孔24内に固定されている。
【0022】
こうして、樹脂板10及び固定棒18、20、22により構成される構造体により、複数のマーカ26が3次元格子状に配列されている。3次元格子状に配列された複数のマーカ26の間隔は、校正が行われる磁気共鳴イメージング装置の空間分解能で解像可能な間隔となっている。
【0023】
以上のように、本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムが構成されている。
【0024】
図1に示すようなコンパクトタイプの磁気共鳴イメージング装置においては、歪みのない均一な静磁場及び傾斜磁場を広い範囲で形成することが困難である。例えば、均一性が保証されている静磁場の範囲は、直径200mmの球状の範囲に限られている。このため、均一性が保証されている静磁場の範囲を超える大きさを撮像対象が有する場合、コンパクトタイプの磁気共鳴イメージング装置により取得されるMRI画像には、静磁場、傾斜磁場の歪みに起因する歪みが含まれることとなる。
【0025】
このため、脳磁計(Magnetoencephalograph:MEG)等の他の測定装置による測定結果を解析するための空間位置情報としてMRI画像を利用するためには、MRI画像に含まれる歪みを補正し、MRI画像上の距離を校正する必要がある。
【0026】
本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正方法は、上記の図3乃至図5に示す校正用ファントムを用いて、磁気共鳴イメージング装置における静磁場、傾斜磁場の歪みに起因するMRI画像の歪みを補正し、MRI画像上の距離を校正し、正確な空間位置情報を有するMRI画像の提供を実現するものである。
【0027】
本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正方法によるMRI画像の補正及び校正の手順を図1乃至図8を用いて説明する。なお、ここでは、図1に示す磁気共鳴イメージング装置により撮像される被検者28の頭部のMRI画像を補正及び校正の対象とする場合について説明する。
【0028】
まず、図2に示すように、本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントム37を収容したRFコイルボックス34をガントリー30の撮像空間に配置する。ここで、校正用ファントム37のx軸、y軸、及びz軸について、図3に示すように、樹脂板10の配列方向に沿った軸をz軸、樹脂板10の一組の対向する長辺に沿った軸をx軸、樹脂板10の他の組の対向する長辺に沿った軸をy軸としたときに、校正用ファントム37を次のように配置する。すなわち、xz平面が水平になるように水平となるように、校正用ファントム37を配置する。また、後に撮像される被検者28の頭部との関係では、校正用ファントム37の+z方向が頭頂側、-z方向が顎側となるようにする。
【0029】
続いて、磁気共鳴イメージング装置により校正用ファントム37を撮像し、校正用ファントム37のMRI画像データを取得する(図6:ステップS10)。
【0030】
図7(a)に示す画像は、磁気共鳴イメージング装置により撮像された所定の平面に沿った校正用ファントム37のスライス画像である。スライス画像において明るい部分がマーカ26を示している。図示するように、スライス画像中、複数のマーカ26が配列されている格子が歪んでいることが分かる。
【0031】
次いで、校正用ファントム37のMRI画像におけるマーカ26の画像基準位置情報と、実際の校正用ファントム37におけるマーカ36の物理的位置情報とに基づき、以下に述べるようにして、MRI画像を補整するためのパラメータを決定する。
【0032】
まず、校正用ファントム37のMRI画像データに含まれる複数のマーカ26を抽出し、それぞれの中心位置を獲得する。獲得された複数のマーカ26の中心位置に基づき、MRI画像における校正用ファントム37の格子点の空間位置情報を取得する(図6:ステップS12)。このとき取得される格子点の空間位置情報は、磁気共鳴イメージング装置における静磁場、傾斜磁場の歪みのために、実際の校正用ファントム37の構造から得られる既知の格子点の空間位置情報からのずれを含んだものとなっている。
【0033】
次いで、MRI画像における校正用ファントム37の格子点の空間位置情報と、既知の校正用ファントム37の格子点の空間位置情報とに基づき、MRI画像の歪みを補正するための補正用パラメータ、及びMRI画像上の距離を校正するための校正用パラメータを決定する(図6:ステップS14)。ここで、既知の校正用ファントム37の格子点の空間位置情報は、実際の校正用ファントム37における複数のマーカ26それぞれの中心位置に基づき決定されたものである。
【0034】
上述のようにして決定された補正用パラメータ及び校正用パラメータを用いて、磁気共鳴イメージング装置により撮像される撮像対象のMRI画像に対して、歪みの補正及び距離の校正が行われる。
【0035】
まず、図1に示す磁気共鳴イメージング装置により被検者28の頭部を撮像し、被検者28の頭部のMRI画像を取得する(図8:ステップS20)。
【0036】
図7(b)に示す画像は、それぞれ磁気共鳴イメージング装置により撮像された所定の平面に沿った頭部のスライス画像である。図示するように、補正及び校正前の頭部のスライス画像は、歪みを含んだものとなっている。
【0037】
次いで、MRI画像の歪みを補正するための補正用パラメータを用いて、取得されたMRI画像の歪みを補正する(図8:ステップS22)。
【0038】
次いで、MRI画像上の距離を校正するための校正用パラメータを用いて、取得されたMRI画像上の距離を校正する(図8:ステップS24)。
【0039】
なお、補正と校正の順番が逆になってもよい。もしくは、補正用パラメータと校正用パラメータとを組み合わせた一度の変換で同時に行ってもよい。
【0040】
こうして、歪みの補正及び距離の校正を経た撮像対象のMRI画像が得られる。補正及び校正を経たMRI画像は、空間位置情報が正確なものとなっているので、MEG等の他の測定装置による測定結果を解析するための空間位置情報として利用することができる。
【0041】
図7(c)に示す画像は、図7(b)のスライス画像の歪みを補正し、距離を校正して得られたスライス画像である。
【0042】
なお、補正用パラメータ及び校正用パラメータは、一つのMRI画像の撮像プロトコルに対して1回だけ求めれば足りるものである。新規に作成した撮像プロトコルによるMRI画像の撮像を行う場合又は磁気共鳴イメージング装置のハードウェアに変更を加えた場合には、別途新たに補正用パラメータ及び校正用パラメータを求める。
【0043】
このように、本実施形態によれば、複数のマーカ26が3次元格子状に配列された校正用ファントム37を用いてMRI画像の歪みを補正し、MRI画像上の距離を校正するので、正確な空間位置情報を有するMRI画像を得ることができる。
【0044】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムについて図9及び図10を用いて説明する。図9は本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムを示す斜視図、図10は本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムを分解して示した斜視図である。なお、第1実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムと同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し或いは簡略にする。
【0045】
本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムは、第1実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムとは、ビタミンビーズよりなるマーカ26を3次元格子状に配列するための構造が異なっている。以下、本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムの構成について説明する。
【0046】
図9に示すように、同一形状の複数枚の樹脂板36が積層された状態で固定されている。配列されている樹脂板36の枚数は、例えば10枚である。
【0047】
各樹脂板36は、例えばアクリル樹脂よりなるものである。樹脂板36の厚さは、例えば20mmである。樹脂板36の平面形状は、例えば一辺200mmの正方形となっている。
【0048】
各樹脂板36の表面には、断面形状が円形の凹部38が2次元格子状に複数設けられている。凹部38の直径は例えば4mmである。凹部38の深さは例えば4mmである。凹部38の格子ピッチは、例えば20mmである。凹部38の列は例えば10列設けられており、1列当たりの凹部38の数は例えば10である。
【0049】
各樹脂板36の表面に設けられた凹部38には、磁気共鳴イメージング装置により撮像可能なビタミンビーズよりなるマーカ26が収められ、各樹脂板36において複数のマーカ26が2次元格子状に配列されている。マーカ26の直径は、樹脂板36に設けられた凹部38の直径及び深さとほぼ同程度になっており、例えば4mmである。各樹脂板36の表面に設けられた凹部38の開口端は、その上に積層された樹脂板36の底面により封止されている。最上層の樹脂板36の表面に設けられた凹部38の開口端は、テープ(図示せず)等により封止されている。これにより、マーカ26は、位置が動かないように凹部38内に固定されている。
【0050】
本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムは、図10に示すように、表面に2次元格子状に凹部38が設けられた複数枚の樹脂板36を、凹部38にマーカ26を収めて積層し固定したものである。
【0051】
こうして、樹脂板36が積層されてなる例えば直方体状の構造体により、複数のマーカ26が3次元格子状に配列されている。
【0052】
本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムのように、樹脂板36が積層されてなる構造体により、複数のマーカ26が3次元格子状に配列されていてもよい。
【0053】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムについて図11を用いて説明する。図11は本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムを示す斜視図である。なお、第1実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムと同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し或いは簡略にする。
【0054】
本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムは、第1実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムとは、ビタミンビーズよりなるマーカ26を3次元格子状に配列するための構造が異なっている。以下、本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムの構成について説明する。
【0055】
図11に示すように、直方体状の樹脂ブロック40に、互いに対向する一の面から他の面に貫通する断面形状が円形の貫通孔42が格子状に複数設けられている。
【0056】
樹脂ブロック40のサイズは、例えば200mm×200mm×200mmとなっている。貫通孔42は、一辺200mmの正方形状の対向面の間を貫通している。貫通孔42の直径は、例えば4mmである。貫通孔42の格子ピッチは、例えば20mmである。貫通孔42の列は例えば10列設けられており、1列当たりの貫通孔42の数は例えば10である。
【0057】
各貫通孔42内には、ビタミンビーズよりなるマーカ26と、円柱状の樹脂スペーサ44とが交互に収められている。マーカ26の直径は、樹脂ブロック40に設けられた貫通孔42の直径とほぼ同程度になっており、例えば4mmである。樹脂スペーサ42の直径も、貫通孔42の直径とほぼ同程度になっており、例えば4mmである。樹脂スペーサ42の長さは、例えば16mmである。貫通孔42の両開口端は、テープ(図示せず)等により固定されている。これにより、マーカ26は、位置が動かないように貫通孔42内に固定されている。
【0058】
こうして、樹脂ブロック40中に、複数のマーカ26が3次元格子状に配列されている。
【0059】
本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正ファントムのように、樹脂ブロック40中に、複数のマーカ26が3次元格子状に配列されていてもよい。
【0060】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムについて図12及び図13を用いて説明する。図12は本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムを示す斜視図、図13は本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムにおける樹脂板を示す平面図である。なお、第1実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムと同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し或いは簡略にする。
【0061】
本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムは、第1実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムとは、複数のマーカ26を配列する構造が異なっている。以下、本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムの構成について説明する。
【0062】
図12に示すように、円板状の樹脂板46が、円柱状の樹脂スペーサ48を介して所定の間隔を空けて配列されている。隣接する樹脂板46間には、4本の樹脂スペーサ48が対象に配置されている。樹脂板46の直径は、例えば220mmである。樹脂板46の厚さは、例えば4mmである。樹脂板46の間に配設された樹脂スペーサ48の高さは、例えば10mmである。
【0063】
各樹脂板46には、図13に示すように、複数個の正三角形を規則正しく隙間なく配列した等角グリッドの各正三角形の頂点の位置に、樹脂板46を貫通する断面形状が円形の貫通孔50がそれぞれ設けられている。等角グリッドの正三角形の一辺の長さは、例えば20mmである。貫通孔50の直径は、例えば4mmである。
【0064】
各樹脂板46に設けられた貫通孔50には、ビタミンビーズよりなるマーカ26が収められている。マーカ26の直径は、樹脂板46の厚さ及び樹脂板46に設けられた貫通孔50の直径とほぼ同程度になっており、例えば4mmである。貫通孔50の両開口端は、テープ(図示せず)等により封止されている。これにより、マーカ26は、位置が動かないように貫通孔50内に固定されている。
【0065】
こうして、円板状の樹脂板46が樹脂スペーサ48を介して所定の間隔を空けて複数配列された構造体により、複数のマーカ26が3次元格子状に配列されている。
【0066】
本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムのように、樹脂板46に設けられマーカ26が収められる貫通孔50の位置が、複数個の正三角形を規則正しく隙間なく配列した等角グリッドの各正三角形の頂点の位置となっており、円板状の樹脂板46が樹脂スペーサ48を介して所定の間隔を空けて複数配列された構造体により、複数のマーカ26が3次元格子状に配列されていてもよい。
【0067】
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0068】
例えば、上記実施形態では、マーカ26を配列するための構造体の材料がアクリル樹脂である場合を例に説明したが、構造体の材料はアクリル樹脂に限定されるものではない。マーカ26を配列するための構造体の材料は、MRI画像でのコントラストがマーカ26とは異なる材料であって、ある程度の機械的強度を保てるものであればよい。
【0069】
また、上記実施形態では、マーカ26としてビタミンビーズを用いる場合を例に説明したが、マーカ26はビタミンビーズに限定されるものではない。マーカ26は、生体組織と同程度の緩和時間を有し、磁気共鳴イメージング装置により撮像可能な材料よりなるものであればよい。ビタミンビーズのほか、マーカ26としては、例えば、脳等の生体組織と同程度の緩和時間を有するように調製された硫酸銅水溶液を中空のビーズに封入したものを用いることができる。
【0070】
また、上記実施形態では、図4に示すコンパクトタイプの磁気共鳴イメージング装置により撮像される頭部のMRI画像を校正する場合を例に説明したが、本発明による磁気共鳴イメージング装置の校正方法は、種々の磁気共鳴イメージング装置により撮像されるあらゆる撮像対象のMRI画像を校正する場合に適用することができる。
【0071】
また、上記実施形態において説明した校正用ファントムの各部の形状、大きさ等は、磁気共鳴イメージング装置の構成、撮像対象等に応じて、適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】磁気共鳴イメージング装置の一例を示す側面図である。
【図2】磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントム撮像時の状態を示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムを示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムにおける樹脂板を示す平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による磁気共鳴イメージング装置における樹脂板周縁部の拡大図である。
【図6】本発明の第1実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正方法を示すフローチャート(その1)である。
【図7】本発明の第1実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムのMRI画像及び本実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正方法による補正及び校正前後の頭部のMRI画像を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正方法を示すフローチャート(その2)である。
【図9】本発明の第2実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムを示す斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムを分解して示した斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムを示す斜視図である。
【図12】本発明の第4実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムを示す斜視図である。
【図13】本発明の第4実施形態による磁気共鳴イメージング装置の校正用ファントムにおける樹脂板を示す平面図である。
【符号の説明】
【0073】
10…樹脂板
12…貫通孔
14…貫通孔
16…貫通孔
18…固定棒
20…固定棒
22…固定棒
24…貫通孔
26…マーカ
28…被検者
30…ガントリー
32…RFコイル
34…RFコイルボックス
36…樹脂板
38…凹部
40…樹脂ブロック
42…貫通孔
44…樹脂スペーサ
46…樹脂板
48…樹脂スペーサ
50…貫通孔
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図7】
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