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明細書 :安定なホウ素化合物の液状組成物、その製造方法およびその用途

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5079983号 (P5079983)
公開番号 特開2006-219329 (P2006-219329A)
登録日 平成24年9月7日(2012.9.7)
発行日 平成24年11月21日(2012.11.21)
公開日 平成18年8月24日(2006.8.24)
発明の名称または考案の名称 安定なホウ素化合物の液状組成物、その製造方法およびその用途
国際特許分類 C01B  35/12        (2006.01)
B27K   3/16        (2006.01)
C09K  21/02        (2006.01)
FI C01B 35/12 A
B27K 3/16 BBC
C09K 21/02
請求項の数または発明の数 4
全頁数 15
出願番号 特願2005-033345 (P2005-033345)
出願日 平成17年2月9日(2005.2.9)
審査請求日 平成19年11月28日(2007.11.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
発明者または考案者 【氏名】露本 伊佐男
個別代理人の代理人 【識別番号】100065248、【弁理士】、【氏名又は名称】野河 信太郎
審査官 【審査官】大工原 大二
参考文献・文献 特開2005-112700(JP,A)
特許第3538194(JP,B2)
特開平08-073212(JP,A)
特表2001-520164(JP,A)
調査した分野 C01B 33/20-39/54
特許請求の範囲 【請求項1】
ホウ酸とホウ砂が、40~100℃でのそれぞれの単独化合物の溶解度を超える量で含有されてなり、水100部に対して、ホウ酸(H3BO3)のx部とホウ砂(Na247・10H2O)のy部(但し、x≧35、y≧40)とをホウ素換算で8.3mol/kg以上含むことを特徴とする安定なホウ素化合物の液状組成物。
【請求項2】
水にホウ酸とホウ砂とを同時または別々に添加し、室温以上に加熱して溶解させることにより、40~100℃でのそれぞれの単独化合物の溶解度を超える量で含有されてなり、水100部に対して、ホウ酸(H3BO3)のx部とホウ砂(Na247・10H2O)のy部(但し、x≧35、y≧40)とをホウ素換算で8.3mol/kg以上含む安定なホウ素化合物の液状組成物を得ることを特徴とする安定なホウ素化合物の液状組成物の製造方法。
【請求項3】
室温以上に加熱して溶解させた請求項1に記載の安定なホウ素化合物の液状組成物を、木材、紙、織布、不織布および樹脂から選択される材料に加熱下および/または加圧下で含浸し、次に乾燥させることにより、防火・耐火・不燃材料を得ることを特徴とする防火・耐火・不燃材料の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の製造方法で得られた防火・耐火・不燃材料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、室温以上に加熱された温度でのそれぞれの単独化合物の溶解度を超える量でホウ酸とホウ砂を含む安定なホウ素化合物の液状組成物、その製造方法およびその用途に関する。本発明の安定なホウ素化合物の液状組成物は、木材(竹材を含む)、紙、織布、不織布および樹脂から選択される材料の防火・耐火・不燃化に好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
ホウ酸(H3BO3)、ホウ砂(四ホウ酸ナトリウム十水和物、Na247・10H2O)は古くから木材の防火剤として利用されてきた。例えば、石原茂久,「木材防火剤としてのホウ素とその化合物」,木材保存,社団法人日本木材保存協会,1989年,第15巻,第6号,p.248-260(非特許文献1)に詳説されているように、ホウ素化合物は木材などのセルロース系材料の燃焼抑制剤として19世紀前半から既に検討されている。コストや入手の容易性からホウ酸、ホウ砂が防火剤として検討されることが多く、これらは木材や木質材料の発炎燃焼と赤熱燃焼を抑制する効果のあることが報告されている。
しかしながら、表1に示すように、ホウ酸、ホウ砂は、水に対する溶解度(水100gに対する溶解量g)が低いという問題があった。
【0003】
【表1】
JP0005079983B2_000002t.gif

【0004】
ホウ酸、ホウ砂の溶解度は、冷水に対するよりも熱水に対して比較的高いものの、20℃でホウ酸、ホウ砂の両方を水に溶解させたところで、その濃度は無水塩換算で7重量%程度にしかならず、木材の燃焼を抑制するだけの量を水溶液として木材や木質材料に注入することは困難である。
【0005】
20℃で最も高い溶解度を示すホウ酸ナトリウム塩はNa2O・B23・8H2Oであり、その溶解度は無水塩換算で20.0重量%である。すなわち、これまで無水塩換算で16.7重量%以上(ホウ素換算で2.5mol/kg以上)のホウ酸ナトリウム塩を含有する室温の水溶液は知られておらず、その調製方法も知られていなかった。また、このホウ酸ナトリウム塩は天然由来のホウ酸、ホウ砂から固相反応により合成されるが、その調製は簡便ではない。
【0006】
特開平8-73212号公報(特許文献1)には、金属イオン封鎖剤(キレート化剤またはキレート剤)の水溶液あるいは湿潤浸透性界面活性剤の水溶液のいずれかに、ホウ酸化合物を常温で5g/水100gに相当する溶解度以上になるように混合し、この混合物を60℃以上に水熱反応せしめて得られる高濃度ホウ酸化合物が開示されている。また、この公報には、ホウ酸、ホウ砂の溶解は、キレート化剤や界面活性剤によるイオンミセル化・会合が関与していると考えられると記載されている。しかしながら、キレート化剤や界面活性剤などの有機化合物の非存在下、すなわち無機化合物のみの高濃度ホウ素化合物の水溶液は知られていなかった。
【0007】
国際公開第02/062916号パンフレット(特許文献2)には、ホウ素を主成分とする金属または無機物を公知溶解度以上の水溶性にする、アルカリ金属やアルカリ性金属含有物からなる無機溶解促進剤が開示されている。しかしながら、アルカリ金属やアルカリ性金属含有物からなる無機溶解促進剤の非存在下、すなわち無機化合物のみの高濃度ホウ素化合物の水溶液は知られていなかった。
【0008】
また、特許第3538194号明細書(特許文献3)には、乾燥、減圧、加圧を2サイクル以上繰り返して、ホウ酸およびホウ砂などの不燃成分を木材に含浸させる不燃木材の製造方法が開示されている。この方法は、不燃成分の低濃度溶液を用いるので、木材を不燃化し得る量の不燃成分を木材に導入するために、高圧力で長時間の繰り返し工程が必要である。
【0009】
他方、木材を使用した建築物は落ち着いた雰囲気を醸し出すことから、近年、その需要が増大している。特に建築基準法で不燃が求められる高層建築や地下用建築物では、これまで木材の使用が認可されなかったが、不燃木材の開発により認可されるようになり、その需要が飛躍的に増大している。このような背景のもと、より高濃度の無機成分を含有する不燃液を、より簡便な方法により低コストで製造することが強く求められている。
【0010】

【特許文献1】特開平8-73212号公報
【特許文献2】国際公開第02/062916号パンフレット
【特許文献3】特許第3538194号明細書
【非特許文献1】石原茂久,「木材防火剤としてのホウ素とその化合物」,木材保存,社団法人日本木材保存協会,1989年,第15巻,第6号,p.248-260
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、室温以上に加熱された温度でのそれぞれの単独化合物の溶解度を超える量でホウ酸とホウ砂を含む安定なホウ素化合物の液状組成物およびその製造方法、ならびに木材、紙、織布、不織布および樹脂を防火・耐火・不燃化する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かくして、ホウ酸とホウ砂が、40~100℃でのそれぞれの単独化合物の溶解度を超える量で含有されてなり、水100部に対して、ホウ酸(H3BO3)のx部とホウ砂(Na247・10H2O)のy部(但し、x≧35、y≧40)とをホウ素換算で8.3mol/kg以上含むことを特徴とする安定なホウ素化合物の液状組成物が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、水にホウ酸とホウ砂とを同時または別々に添加し、室温以上に加熱して溶解させることにより、40~100℃でのそれぞれの単独化合物の溶解度を超える量で含有されてなり、水100部に対して、ホウ酸(H3BO3)のx部とホウ砂(Na247・10H2O)のy部(但し、x≧35、y≧40)とをホウ素換算で8.3mol/kg以上含む安定なホウ素化合物の液状組成物を得ることを特徴とする安定なホウ素化合物の液状組成物の製造方法が提供される。
【0014】
さらに、本発明によれば、上記の安定なホウ素化合物の液状組成物を、木材、紙、織布、不織布および樹脂から選択される材料に加熱下および/または加圧下で含浸し、次に乾燥させることにより、防火・耐火・不燃材料を得ることを特徴とする防火・耐火・不燃材料の製造方法が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、上記の製造方法で得られた防火・耐火・不燃材料が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、室温以上に加熱された温度でのそれぞれの単独化合物の溶解度を超える量でホウ酸とホウ砂を含む安定なホウ素化合物の液状組成物およびその製造方法、ならびに木材、紙、織布、不織布および樹脂を防火・耐火・不燃化する技術を提供することができる。
【0017】
本発明の安定なホウ素化合物の液状組成物は、高濃度のホウ酸とホウ砂を含むので、短時間の処理で木材(竹材を含む)、紙、織布、不織布および樹脂から選択される材料を防火・耐火・不燃化できる。
特許第3538194号明細書に記載されているような従来の技術では、木材を不燃認定のレベルに加工するために、不燃処理液中で木材を、例えば2N/mm2(20kgf/cm2)という高圧力下で24~48時間という長時間、含浸処理する必要があった。
一方、本発明によれば、0.4N/mm2(4kgf/cm2)という比較的低圧力下で1時間という短時間の含浸処理により、木材を不燃認定のレベルに加工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の安定なホウ素化合物の液状組成物は、ホウ酸とホウ砂が、室温以上に加熱された温度でのそれぞれの単独化合物の溶解度を超える量で含有されてなることを特徴とする。本発明の液状組成物は、付加効果を意図した化合物を除く、ホウ酸とホウ砂以外の他の化合物を含まない。より具体的には、ホウ酸とホウ砂の溶解を促進するためのキレート化剤や界面活性剤などの有機化合物、アルカリ金属やアルカリ性金属含有物からなる無機溶解促進剤を含まない。
本発明において、「安定な」とは、室温以上に加熱された温度でのそれぞれの単独化合物の溶解度を超える量でホウ酸とホウ砂を含み、その温度でホウ酸とホウ砂とが析出しないことを意味する。
「室温」とは、15℃から25℃の温度範囲を意味する。
【0019】
本発明において用いられるホウ酸はH3BO3(オルトホウ酸)および/またはHBO2(メタホウ酸)であり、ホウ砂は四ホウ酸ナトリウム十水和物Na247・10H2Oである。ホウ砂の重量は十水和物の重量換算であるが、ホウ砂は必ずしも水和物である必要はなく、無水物であってもよい。
ホウ酸はホウ砂に酸を加えることによっても得ることができ、ホウ砂はホウ酸に水酸化ナトリウムを加えることによっても得ることができる。したがって、本発明では、このように合成したホウ酸とホウ砂を用いることもできる。すなわち、本発明は、ホウ砂と酸、またはホウ酸と水酸化ナトリウムを原料とすることもできる
【0020】
本発明の発明者は、100℃の水100gに対して、従来知られている100℃におけるホウ酸とホウ砂の溶解度38.1gと116.3gを遥かに超える量のホウ酸160gとホウ砂200gが意外にも完全に溶解することを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明の安定なホウ素化合物の液状組成物におけるホウ素換算の重量モル濃度は、24.1mol/kgであり、公知の溶解度から計算した値11.8mol/kgの約2倍に相当する(表2参照)。
100℃で最も高い溶解度を示すホウ酸ナトリウム塩はNa2O・B23・8H2Oであり、その溶解度は無水塩換算で52.4重量%、すなわちホウ素換算の重量モル濃度で8.0mol/kgである。
【0021】
室温以上に加熱された温度で、その温度でのそれぞれの単独化合物の溶解度を超えるホウ酸とホウ砂が溶解する現象は、100℃に近づくにつれて急激に顕著になる。液状組成物の温度を90℃および40℃に設定したときの溶解度(g)および重量モル濃度(mol/kg)を、公知(単独化合物)のデータと共に表2に示す。
【0022】
【表2】
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【0023】
本発明の安定なホウ素化合物の液状組成物は、水100部に対して、ホウ酸(H3BO3)のx部とホウ砂(Na247・10H2O)のy部(但し、x≧35、y≧40)とをホウ素換算で8.3mol/kg以上(好ましくは15.9mol/kg以上、より好ましくは24.1mol/kg以上)含むのが好ましい。
本発明において、「部」とは重量部を意味する。
「濃度単位:mol/kg」は重量モル濃度であり、溶媒である水1kg当たりに溶解するホウ素の質量(モル)で表現したものである。重量モル濃度は、ホウ砂の結晶水が溶解後に溶媒の水になると考えて算出する。
【0024】
本発明の安定なホウ素化合物の液状組成物は、例えば、水にホウ酸とホウ砂とを同時または別々に添加し、室温以上に加熱して溶解させることにより調製することができる。
また、加熱前の水にホウ酸とホウ砂とを添加しても、予め加熱した水にホウ酸とホウ砂とを添加してもよく、ホウ酸とホウ砂のいずれか一方を水に添加して、添加成分をある程度溶解させた後に他の成分を添加してもよい。
室温以上に加熱された温度は、40~100℃、好ましくは70~100℃が好ましい。
【0025】
本発明の安定なホウ素化合物の液状組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、付加効果を発揮する添加剤を含んでいてもよい。
このような添加剤としては、例えば、浸透剤が挙げられる。
浸透剤は、防火・耐火・不燃化の対象物、すなわち木材(竹材を含む)、紙、織布、不織布および樹脂から選択される材料へのホウ素化合物の含浸を促進する効果を有する。
このような浸透剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどのアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコールのようなジオール;グリセリンのようなトリオール;炭素数3~11のアルジトール(グリシトールともいう)のようなポリオール、ポリフェノール類、界面張力を低下させる作用のある界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコールが特に好ましい。
浸透剤の添加量は、0.05~20重量%程度、好ましくは0.5~2重量%である。
【0026】
本発明によれば、室温以上に加熱して溶解させた本発明の安定なホウ素化合物の液状組成物を、木材(竹材を含む)、紙、織布、不織布および樹脂から選択される材料に含浸し、次に乾燥させることにより、防火・耐火・不燃材料を得ることを特徴とする防火・耐火・不燃材料の製造方法およびそれにより得られた防火・耐火・不燃材料が提供される。
【0027】
本発明の防火・耐火・不燃材料の製造方法における含浸は、加熱下および/または加圧下で行うのが好ましい。その温度は、本発明の安定なホウ素化合物の液状組成物の製造時における加熱温度またはそれ以上の温度が好ましい。また、その圧力は、通常、2~20気圧程度である。
本発明の安定なホウ素化合物の液状組成物は、高濃度のホウ酸とホウ砂を含み、また室温以上に加熱された温度であるので、上記の材料に含浸し易く、短時間の処理で上記の材料を防火・耐火・不燃化でき、それらは防火・耐火・不燃化特性に優れる。
【0028】
防火・耐火・不燃化の対象となる材料としては、例えば、
杉材、エゾマツ、ヒノキ、キリ、ベニヤ、ケヤキ、SPF集成材(スプルス(エゾマツ)、パイン(マツ)、ファー(モミ)を貼り合わせた合材)、竹などの木材;
和紙、ふすま紙、洋紙などの紙;
綿布、ポリエステル織布、PET繊維製の布などの織布;
ポリエステル不織布などの不織布;SBR(スチレンブタジエンゴム)ラテックス、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)ラテックス、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂、EAA(エチレン・アクリル酸共重合体)樹脂、ポリエチレンフィルム、ポリウレタン樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ポリエチレンシートなどの樹脂
が挙げられる。
【0029】
本発明の安定なホウ素化合物の液状組成物を材料に含浸・乾燥させる条件は、防火・耐火・不燃化の対象となる材料の種類や形状などにより適宜設定すればよい。特に防火・耐火・不燃化の対象が木材の場合には、加圧下で行うのが好ましい。具体的には、実施例に記載の条件が挙げられる。
本発明の安定なホウ素化合物の液状組成物は、調製時の温度から冷却されるとホウ素化合物が析出することがあるが、そのような場合には、再度加熱し完全溶解させた後に、液状組成物を防火・耐火・不燃化の対象となる材料に含浸させればよい。
【0030】
したがって、安定なホウ素化合物の液状組成物の製造(調製)と、それを用いた防火・耐火・不燃材料の製造、すなわち液状組成物の材料への含浸とは、熱エネルギーの損失を低減させる意味から連続して実施するのが好ましい。
【0031】
(実施例)
本発明を以下の実施例によりさらに詳しく説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)不燃処理液の調製(1)
(調製1-1)
容量1000mlのビーカーに水200gを入れて電熱器で加熱し、水が100℃で沸騰した後、ホウ酸320gとホウ砂400gを同時に添加し、混合溶液を十分に攪拌した。液温が一旦低下し、溶け残りの白色粉末により溶液が白濁したが、加熱を続けて再び液温が100℃に到達し、しばらく攪拌を続けると、濁りのない清澄な溶液が得られた。これは100℃において、添加したホウ酸とホウ砂が完全に溶解したことを意味する。
加熱を停止して得られた溶液を放置したところ、溶液の上部と下部に析出物が観察された。
【0033】
(調製1-2)
ホウ酸とホウ砂を同時に添加せず、100℃の水にホウ酸を添加し攪拌した後、ホウ砂を添加すること以外は、調製1-1と同様に操作したところ、同様に濁りのない清澄な溶液が得られた。
【0034】
(調製1-3)
100℃の水ではなく、室温(20℃程度)の水にホウ酸とホウ砂を添加すること以外は、調製1-1と同様に操作したところ、同様に濁りのない清澄な溶液が得られた。
【0035】
(調製1-4)
100℃の水200gにホウ酸320gを添加し、100℃で2時間攪拌したところ、溶け残りの白色粉末により白濁溶液が得られた。この白濁溶液を100℃で撹拌しながら、ホウ砂を少量ずつ添加した。ホウ砂を290g添加したところでホウ酸とホウ砂の両方が完全に溶解し、清澄な溶液になり、ホウ砂を550g添加したところで白濁液体になった。
【0036】
(調製1-5)
100℃の水200gにホウ砂400gを添加し、100℃で2時間攪拌したところ、溶け残りの白色粉末により白濁溶液が得られた。この白濁溶液を100℃で撹拌しながら、ホウ酸を少量ずつ添加した。ホウ酸を290g添加したところでホウ酸とホウ砂の両方が完全に溶解し、清澄な溶液になり、ホウ酸を440g添加したところで白濁液体になった。
【0037】
上記の配合量で調製した溶液は、100℃以上の加圧下のオートクレーブ内でも析出は起こらず、安定に存在することを確認した。
【0038】
(実施例2)不燃処理液の調製(2)
(調製2-1)
容量1000mlのビーカーに水200gを入れ、ホウ酸160gとホウ砂200gを添加し、混合溶液を攪拌しながら電熱器で加熱したところ、液温が90℃に到達したとき、濁りのない清澄な溶液が得られた。
【0039】
(調製2-2)
100℃の水200gにホウ酸160gを添加し、90℃で2時間攪拌したところ、溶け残りの白色粉末により白濁溶液が得られた。この白濁溶液を90℃で撹拌しながら、ホウ砂を少量ずつ添加した。ホウ砂を140g添加したところでホウ酸とホウ砂の両方が完全に溶解し、清澄な溶液になり、ホウ砂を280g添加したところで白濁液体になった。
【0040】
(調製2-3)
100℃の水200gにホウ砂200gを添加し、90℃で2時間攪拌したところ、溶け残りの白色粉末により白濁溶液が得られた。この白濁溶液を90℃で撹拌しながら、ホウ酸を少量ずつ添加した。ホウ酸を140g添加したところでホウ酸とホウ砂の両方が完全に溶解し、清澄な溶液になり、ホウ酸を230g添加したところで白濁液体になった。
【0041】
(実施例3)不燃処理液の調製(3)
(調製3-1)
容量1000mlのビーカーに水200gを入れて電熱器で加熱し、撹拌下で液温を40℃に保持しながら、ホウ酸4gとホウ砂5gを交互に添加した。ホウ酸80gとホウ砂100gを添加するところまで溶け残りを生じず、清澄な溶液が得られた。
【0042】
(実施例4)不燃、準不燃木材の作製(1)
40mm×40mm×50mmに裁断した杉材(絶乾比重0.26~0.31)を用いて、含浸試験を行った。
(予備試験)
まず、オートクレーブを用いた加圧・加熱処理が木材の品質に与える影響を調べた。
水100部にホウ酸20部とホウ砂25部を添加し、混合溶液を撹拌しながら70℃に加熱して、濁りのない清澄な溶液(不燃処理液)を得た。オートクレーブ中で得られた不燃処理液に杉材を含浸させ、表3に示す温度および圧力条件で1時間、加圧・加熱処理を行った。なお、圧力は各温度における蒸気圧を示す。
次いで、オートクレーブから杉材を取り出して乾燥させ、杉材の絶乾重量に対する重量増加率(%)を求めた。得られた結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
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【0044】
温度条件100~150℃における重量増加は、不燃処理液中の有効成分が杉材に浸透したことによるものである。一方、温度条件160℃以上における重量増加率の減少は、杉材に含まれる化学成分の溶出および高温処理による一部の炭化によるものと考えられる。これらの結果から、オートクレーブを用いた加圧・加熱処理を150℃で行うことにした。
【0045】
(本試験)
水100部に表4に示す各量のホウ酸とホウ砂を溶解させて不燃処理液を調製し、オートクレーブ中で得られた不燃処理液に杉材を含浸させ、温度150℃(圧力4.8気圧)で1時間、加圧・加熱処理を行った。
次いで、オートクレーブから杉材を取り出して乾燥させ、杉材の絶乾重量に対する重量増加率(%)を求めた。得られた結果を不燃処理液のホウ酸とホウ砂の含有量と共に表4に示す。
【0046】
さらに、杉材を750℃に保持したマッフル炉で20分間加熱し、その際の重量減少率から燃焼性を評価した。得られた結果を不燃処理液のホウ酸とホウ砂の含有量と共に表4に示す。
建築基準法に基づく不燃認定を受けるためには、不燃試験および燃焼試験のいずれかに合格する必要がある。不燃試験は、直径40mm、高さ55mmの円柱状の木材片を750℃の電気炉の中に20分間保持して、重量減少率を調べるもので、重量減少率が30%以下となることが合格の必要条件となる。また、燃焼試験は、コーンカロリーメータで火災初期に相当する熱を試料に与えたときの20分間における総発熱量が8MJ/m2以下であることが合格の必要条件となる。一般に、前者の条件は後者の条件よりも厳しく、後者の条件を満たす総発熱量8MJ/m2の試料は前者の試験において、重量減少率が約44%を示す。すなわち、750℃で20分間加熱したときの重量減少率が概ね40%以下であれば「不燃」の条件を満たす可能性が高いと考えてよい。
【0047】
【表4】
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【0048】
表4の結果から、わずか1時間の含浸処理で不燃レベルの木材が作製できることがわかる。このレベルの木材は従来、乾燥、含浸を繰り返すため数週間以上の時間を必要としていたものである。しかも、使用した不燃処理液は浸透剤を含んでいない。
【0049】
(実施例5)不燃、準不燃木材の作製(2)
1重量%のエチレングリコール(EG)を添加した不燃処理液を用いること以外は、実施例4の本試験と同様にして、杉材の試料を作製し、評価した。得られた結果を不燃処理液のホウ酸とホウ砂の含有量と共に表5に示す。
【0050】
【表5】
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【0051】
表5の結果から、浸透剤の使用により、不燃成分の浸透量が増加することがわかる。この傾向は低濃度の不燃処理液で顕著である。
ホウ酸20部、ホウ酸25部を含む不燃処理液について、エチレングリコールの濃度を0.5~5%の範囲で変化させてみたが、浸透性能は殆ど変化しなかった。
【0052】
(実施例6)不燃、準不燃木材の作製(3)
不燃処理液の温度を100℃に保持し、オートクレーブに空気ガスボンベを装着し、オートクレーブ内の圧力を5気圧にすること以外は、実施例4の本試験と同様にして、杉材の試料を作製し、評価した。得られた結果を不燃処理液のホウ酸とホウ砂の含有量と共に表6に示す。
【0053】
【表6】
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【0054】
表6の結果から、100℃においても、不燃、準不燃木材の作製が可能であることがわかる。
【0055】
(実施例7)不燃、準不燃木材の作製(4)
1重量%のエチレングリコール(EG)を添加した不燃処理液を用いること、不燃処理液の温度を100℃に保持し、加圧を行わず、圧力を1気圧(常圧)にして6時間処理すること以外は、実施例4の本試験と同様にして、杉材の試料を作製し、評価した。得られた結果を不燃処理液のホウ酸とホウ砂の含有量と共に表7に示す。
【0056】
【表7】
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【0057】
表8の結果から、100℃の常圧下においても、不燃、準不燃木材の作製が可能であることがわかる。
【0058】
(実施例8)不燃、準不燃木材の作製(5)
水100部にホウ酸160部とホウ砂200部を溶解させ、1重量%のエチレングリコール(EG)を添加して調製した不燃処理液を用いること、杉材の代わりに表8に示す木材を用いること以外は、実施例4の本試験と同様にして、試料を作製し、評価した。得られた結果を木材の種類とその絶佳乾比重と共に表8に示す。スギについては実施例5の結果を表8に併記する。
【0059】
【表8】
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【0060】
表8の結果から、発熱量試験では20分間の発熱量が8MJ/m2を下回ると予測されたスギ以外のエゾマツ、ヒノキ、キリ、ベニヤ(ラワン)、ケヤキなどの木材でも不燃認定基準を満たすことがわかる。
【0061】
(実施例9)不燃竹の作製
水100部にホウ酸160部とホウ砂200部を溶解させ、1重量%のエチレングリコール(EG)を添加して調製した不燃処理液を用いること、杉材の代わりに50mm×200mm×3mmに裁断した竹材(絶乾比重1.03)を用いること以外は、実施例4の本試験と同様にして、試料を作製し、評価した。
その結果、比重が処理前の2.3倍になり、燃焼試験における重量減少率は35.6%であった。
この結果から、木材のみならず竹についても不燃化できることがわかる。
【0062】
(実施例10)紙の不燃処理(1)
水100部にホウ酸160部とホウ砂200部を溶解させた100℃の不燃処理液に、和紙を2秒間浸漬し、直ちに風乾したところ、処理前の和紙に対して140重量%の無機固形分を導入できた。
得られた和紙に接炎したところ、着火せず、炭化するのみであった。炭化後の重量は処理前の1.73倍であった。
【0063】
(実施例11)紙の不燃処理(2)
和紙の代わりに、ふすまに用いる厚手のふすま紙を用い、浸漬時間を5秒間とすること以外は、実施例10と同様にして、試験を行った。
処理前のふすま紙に対して150重量%の無機固形分を導入できた。
得られたふすま紙に接炎したところ、着火せず、炭化するのみであった。炭化後の重量は処理前の1.82倍であった。
高濃度の不燃処理液を使用することにより、5秒以内という従来の不燃処理法よりも単時間で不燃処理ができた。本発明は、従来技術に比べ、生産プロセスでの効率化、低コスト化に極めて有効であることがわかる。
【0064】
(実施例12)
和紙の代わりに、綿100%のカーテン用布を用い、浸漬時間を5秒間とすること以外は、実施例10と同様にして、試験を行った。
処理前のカーテン用布に対して76.5重量%の無機固形分を導入できた。
浸漬の程度、浸漬後の絞りの有無などを変化させたところ、重量比にして25~150重量%の範囲で無機固形分を導入できた。
【0065】
(実施例13)
和紙の代わりに、ポリエステル100%のカーテン用布を用い、浸漬時間を5秒間とすること以外は、実施例10と同様にして、試験を行った。
浸漬の程度、浸漬後の絞りの有無などを変化させたところ、重量比にして15~125重量%の範囲で無機固形分を導入できた。
【0066】
(実施例14)
和紙の代わりに、ポリエステル100%の不織布を用い、浸漬時間を5秒間とすること以外は、実施例10と同様にして、試験を行った。
浸漬の程度、浸漬後の絞りの有無などを変化させたところ、重量比にして12~150重量%の範囲で無機固形分を導入できた。
【0067】
(実施例15)SBR(スチレンブタジエンゴム)ラテックスの難燃化
SBRを50重量%含有する乳濁液(ラテックス)200gを100℃前後に加熱し、水100部にホウ酸160部とホウ砂200部を溶解させた100℃の不燃処理液200gを混合し、ガラス板上に塗布して、膜厚1mmのSBRゴムシートを得た。
得られたSBRゴムシートについて、UL-94垂直燃焼性試験を行ったところ、1回目は3秒、2回目は4秒で有炎燃焼を終えた。2回目の無炎燃焼時間は8秒で、燃焼落下物はなかった。この結果はV-0規格を満たす。
【0068】
(実施例16)NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)ラテックスの難燃化
NBRを50%重量含有する乳濁液(ラテックス)200gを100℃前後に加熱し、水100部にホウ酸160部とホウ砂200部を溶解させた100℃の不燃処理液100gを混合し、ガラス板上に塗布して、膜厚1mmのNBRゴムシートを得た。
得られたNBRゴムシートについて、UL-94垂直燃焼性試験を行ったところ、1回目は3秒、2回目は6秒で有炎燃焼を終えた。2回目の無炎燃焼時間は12秒で、燃焼落下物はなかった。この結果はV-0規格を満たす。
【0069】
(実施例17)ポリ酢酸ビニルの難燃化
水100部にホウ酸160部とホウ砂200部を溶解させた100℃の不燃処理液12.0gに、ポリ酢酸ビニルを42重量%含むポリ酢酸ビニルラテックス(エマルション)を5.8g添加したところ、表面が硬化した。スパーテルを用いて溶液中でよく練ったところ、白色のパテ状のポリ酢酸ビニル7.2gが得られた。
得られたポリ酢酸ビニルを、ブタンガスを燃料とするバーナーの炎で30秒以上加熱したところ、表面のみが黒くなるだけで全く着火しなかった。
また、得られたポリ酢酸ビニルを膜厚2mmのシートに成型して、UL-94垂直燃焼性試験を行ったところ、有炎燃焼、無炎燃焼はなく、燃焼落下物はなかった。この結果はV-0規格を満たす。
【0070】
(実施例18)ポリビニルアルコールの難燃化
重合度2000、けん化価90のポリビニルアルコールを5重量%含むポリビニルアルコール水溶液200gを100℃前後に加熱し、水100部にホウ酸160部とホウ砂200部を溶解させた100℃の不燃処理液をゆっくりと滴下したところ、透明なゼラチン状の塊が生成した。
得られた塊を直径1cm程度のロッド状に成型して、UL-94垂直燃焼性試験を行ったところ、有炎燃焼、無炎燃焼はなく、燃焼落下物はなかった。この結果はV-0規格を満たす。
得られた塊を1平方メートル当たり55gの密度を有するコピー用紙に塗布し、2枚の用紙を接着させたところ、紙は完全に接着され、良好な接着剤として作用することがわかった。
接着された2枚の用紙について、UL-94垂直燃焼性試験を行ったところ、有炎燃焼は起こらなかった。無炎燃焼時間は8秒で、燃焼落下物はなかった。この結果はV-0規格を満たす。
【0071】
(実施例19)ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂の難燃化
スチレン80%、アクリロニトリル15%およびブタジエン5%が配合されたABSラテックス200gを100℃前後に加熱し、水100部にホウ酸160部とホウ砂200部を溶解させた100℃の不燃処理液100gを添加し、膜厚1.5mmのシートに成型した。
得られたABS樹脂シートについて、UL-94垂直燃焼性試験を行ったところ、1回目は4秒、2回目は6秒で有炎燃焼を終えた。2回目の無炎燃焼時間は14秒で、燃焼落下物はなかった。この結果はV-0規格を満たす。
【0072】
(実施例20)EAA(エチレン・アクリル酸共重合体)樹脂の難燃化
EAA樹脂を20重量%含有するラテックス100gを100℃前後に加熱し、水100部にホウ酸160部とホウ砂200部を溶解させた100℃の不燃処理液100gを添加し、よく混合したところ乳濁液(不燃EAAラテックス)が得られた。
得られた乳濁液をガラス板上に塗布して、膜厚0.15mmのEAAフィルムを得た。
得られたEAAフィルムについて、UL-94垂直燃焼性試験を行ったところ、1回目は3秒、2回目は4秒で有炎燃焼を終えた。2回目の無炎燃焼時間は5秒で、燃焼落下物はなかった。この結果はV-0規格を満たす。
【0073】
(実施例21)ポリエチレンフィルムの難燃化
実施例20で作製した不燃EAAラテックスを膜厚0.05mmのポリエチレンフィルムの両面に塗布して、表面に膜厚0.02mmの不燃EAA樹脂膜を形成した。
得られたポリエチレンフィルムについて、UL-94垂直燃焼性試験を行ったところ、1回目は5秒、2回目は7秒で有炎燃焼を終えた。2回目の無炎燃焼時間は10秒で、燃焼落下物はなかった。この結果はV-0規格を満たす。
【0074】
(実施例22)ポリウレタン樹脂の難燃化
ポリウレタン樹脂を36重量%含有するラテックス100gを100℃前後に加熱し、水100部にホウ酸160部とホウ砂200部を溶解させた100℃の不燃処理液100gを添加し、混合したところ乳濁液(ポリウレタンラテックス)が得られた。
得られた乳濁液をガラス板上に塗布して、膜厚0.20mmのポリウレタンフィルムを得た。
得られたポリウレタンフィルムについて、UL-94垂直燃焼性試験を行ったところ、1回目は3秒、2回目は5秒で有炎燃焼を終えた。2回目の無炎燃焼時間は8秒で、燃焼落下物はなかった。この結果はV-0規格を満たす。
【0075】
(実施例23)PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの難燃化
実施例22で作製したポリウレタンラテックスを膜厚0.5mmのPETフィルムの両面に塗布して、表面に膜厚0.20mmの不燃ポリウレタン樹脂膜を形成した。
得られたPETフィルムについて、UL-94垂直燃焼性試験を行ったところ、1回目は2秒、2回目は3秒で有炎燃焼を終えた。2回目の無炎燃焼時間は10秒で、燃焼落下物はなかった。この結果はV-0規格を満たす。
【0076】
(実施例24)ポリエチレンシートの難燃化
水100部にホウ酸160部とホウ砂200部を溶解させた100℃の不燃処理液を、室温のポリエチレンシート(膜厚0.1mm)の片面に刷毛で塗布し、乾燥させた。
得られたポリエチレンシートについて、UL-94垂直燃焼性試験を行ったところ、1回目は6秒、2回目は9秒で有炎燃焼を終えた。2回目の無炎燃焼時間は15秒で、燃焼落下物はなかった。この結果はV-0規格を満たす。
得られたポリエチレンシートを幅10mmのテープ状に裁断し、塗布面を内側にして3つ折にして、難燃ポリエチレンのひもを得た。
さらに、得られたひもをカーペットの基布として難燃性を有するカーペットを作製した。
【0077】
(実施例25)PET繊維製の布の難燃化
オートクレーブ中で水100部にホウ酸160部とホウ砂200部を溶解させた100℃の不燃処理液にPET繊維製の布を浸漬させ、温度130℃、圧力約3気圧の条件1時間、加圧・加熱処理を行った。
処理したPET繊維製の布を乾燥させ、この布について、UL-94垂直燃焼性試験を行ったところ、1回目は5秒、2回目は7秒で有炎燃焼を終えた。2回目の無炎燃焼時間は10秒で、燃焼落下物はなかった。この結果はV-0規格を満たす。
また、処理したPET繊維製の布を水洗・乾燥させ、この布について、UL-94垂直燃焼性試験を行ったところ、1回目は6秒、2回目は7秒で有炎燃焼を終えた。2回目の無炎燃焼時間は10秒で、燃焼落下物はなかった。この結果はV-0規格を満たす。
上記の結果から、130℃での加圧・加熱処理により、水洗しても不燃効果が持続するPET繊維製の布が得られることがわかる。これは、130℃で繊維がほどける形でナノレベルの空隙を生じ、その空隙に不燃成分が導入されることによるものと考えられる。