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明細書 :信号成分算出装置および計測装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4997386号 (P4997386)
公開番号 特開2007-248348 (P2007-248348A)
登録日 平成24年5月25日(2012.5.25)
発行日 平成24年8月8日(2012.8.8)
公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
発明の名称または考案の名称 信号成分算出装置および計測装置
国際特許分類 G01R  29/26        (2006.01)
FI G01R 29/26 D
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2006-074209 (P2006-074209)
出願日 平成18年3月17日(2006.3.17)
審査請求日 平成21年2月6日(2009.2.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
発明者または考案者 【氏名】賀戸 久
個別代理人の代理人 【識別番号】100095511、【弁理士】、【氏名又は名称】有近 紳志郎
審査官 【審査官】関根 洋之
参考文献・文献 特開2003-098251(JP,A)
特開平11-038057(JP,A)
調査した分野 G01R 29/26
特許請求の範囲 【請求項1】
信号Sおよび雑音Nを含む観測データaに含まれる周波数ωの成分の振幅A(ω)および位相φ(ω)を求めると共に雑音Nのみを含む雑音データnに含まれる周波数ωの成分の位相ψ(ω)を求める周波数成分取得手段と、前記振幅A(ω)および前記位相φ(ω)および前記位相ψ(ω)を基に前記信号Sの周波数ωの成分の振幅S(ω)を求める信号振幅算出手段と、前記位相ψ(ω)を基に前記信号Sの周波数ωの成分の位相θ(ω)を求める信号位相算出手段とを具備し
前記信号振幅算出手段は、S(ω)=A(ω)・cos(φ(ω)-ψ(ω))により、信号Sの周波数ωの成分の振幅S(ω)を求めると共に、
前記信号位相算出手段は、θ(ω)=ψ(ω)+π/2により、信号Sの周波数ωの成分の位相θ(ω)を求める
ことを特徴とする信号成分算出装置。
【請求項2】
信号Sおよび雑音Nを含む観測データaを収集する観測用センサおよび観測データ収集装置と、前記雑音Nのみを含む雑音データnを収集する雑音用センサおよび雑音データ収集装置と、前記観測データaに含まれる周波数ωの成分の振幅A(ω)および位相φ(ω)を求めると共に前記雑音データnに含まれる周波数ωの成分の位相ψ(ω)を求める周波数成分取得手段と、前記振幅A(ω)および前記位相φ(ω)および前記位相ψ(ω)を基に前記信号Sの周波数ωの成分の振幅S(ω)を求める信号振幅算出手段と、前記位相ψ(ω)を基に前記信号Sの周波数ωの成分の位相θ(ω)を求める信号位相算出手段とを具備し
前記信号振幅算出手段は、S(ω)=A(ω)・cos(φ(ω)-ψ(ω))により、信号Sの周波数ωの成分の振幅S(ω)を求めると共に、
前記信号位相算出手段は、θ(ω)=ψ(ω)+π/2により、信号Sの周波数ωの成分の位相θ(ω)を求める
ことを特徴とする計測装置。
【請求項3】
請求項1に記載の信号成分算出装置において、
前記周波数成分取得手段は、雑音Nのみを含む雑音データnに含まれる周波数ωの成分の振幅N(ω)を求め、
前記信号振幅算出手段は、比A(ω)/N(ω)が4以上の場合は、S(ω)=A(ω)とすると共に、
前記信号位相算出手段は、比A(ω)/N(ω)が4以上の場合は、θ(ω)=φ(ω)とする
ことを特徴とする信号成分算出装置。
【請求項4】
請求項2に記載の計測装置において、
前記周波数成分取得手段は、雑音Nのみを含む雑音データnに含まれる周波数ωの成分の振幅N(ω)を求め、
前記信号振幅算出手段は、比A(ω)/N(ω)が4以上の場合は、S(ω)=A(ω)とすると共に、
前記信号位相算出手段は、比A(ω)/N(ω)が4以上の場合は、θ(ω)=φ(ω)とする
ことを特徴とする信号成分算出装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、信号成分算出装置および計測装置に関し、さらに詳しくは、信号成分と雑音成分とが混じった観測データから簡単な演算で信号成分を精度良く算出することが出来ると共に周波数帯域の異なるノイズ源があっても適正に信号成分を算出することが出来る信号成分算出装置および計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、信号Sと雑音Nとが混じった観測データaを収集すると共に雑音データnを収集し、∫(a-w・n)2を最小にする重みwoを求めて、s=a-wo・nより信号データsを算出する装置が知られている(特許文献1参照。)。

【特許文献1】特開平9-243722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の装置では、∫(a-w・n)2を最小にする重みwoを求める演算が複雑になる問題点があった。
また、上記従来の装置では、周波数帯域が異なる複数のノイズ源が有る場合、重みwoを適正に求めることが難しい問題があった。例えば、0.1Hzから10Hzぐらいの低周波のノイズだけが混入している場合は重みwoを適正に求めることが出来るが、それに50Hzあたりの電源ノイズが加わってくると重みwoを適正に求めることが難しくなる問題点があった。
そこで、本発明の目的は、信号成分と雑音成分とが混じった観測データから簡単な演算で信号成分を精度良く算出することが出来ると共に周波数帯域の異なるノイズ源があっても適正に信号成分を算出することが出来る信号成分算出装置および計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の観点では、本発明は、信号Sおよび雑音Nを含む観測データaに含まれる周波数ωの成分の振幅A(ω)および位相φ(ω)を求めると共に雑音Nのみを含む雑音データnに含まれる周波数ωの成分の振幅N(ω)および位相ψ(ω)を求める周波数成分取得手段と、前記振幅A(ω)および前記位相φ(ω)および前記位相ψ(ω)を基に前記信号Sの周波数ωの成分の振幅S(ω)を求める信号振幅算出手段と、前記位相ψ(ω)を基に前記信号Sの周波数ωの成分の位相θ(ω)を求める信号位相算出手段とを具備したことを特徴とする信号成分算出装置を提供する。
上記第1の観点による信号成分算出装置では、観測データa(t)に例えばフーリエ変換を施すことにより周波数ωの成分の振幅A(ω)および位相φ(ω)を求める。また、雑音データn(t)にフーリエ変換を施すことにより周波数ωの成分の振幅N(ω)および位相ψ(ω)を求める。
【0005】
図4に示すように、同じ周波数ωでの観測ベクトル〔A(ω),φ(ω)〕と雑音ベクトル〔N(ω),ψ(ω)〕を考える。雑音ベクトル〔N(ω),ψ(ω)〕に重みW(ω)を掛けた重み付雑音ベクトル〔W(ω)・N(ω),ψ(ω)〕を、観測ベクトル〔A(ω),φ(ω)〕から引いた差〔A(ω),φ(ω)〕-〔W(ω)・N(ω),ψ(ω)〕が誤差を表す誤差ベクトル〔E(ω),θ(ω)〕である。この誤差を最小にする重みW(ω)を与えたとき、誤差ベクトル〔E(ω),θ(ω)〕は信号を表す信号ベクトルとなる。
ところが、図3から判るように、誤差ベクトル〔E(ω),θ(ω)〕が最小になるのは、誤差ベクトル〔E(ω),θ(ω)〕が重み付雑音ベクトル〔W(ω)・N(ω),ψ(ω)〕と直交する場合である。
【0006】
さて、図3の幾何学的関係から判るように、信号ベクトル〔S(ω),θ(ω)〕の振幅S(ω)は、例えばS(ω)=A(ω)・cos(φ(ω)-ψ(ω))により求めることが出来る。また、位相θ(ω)は、例えばθ(ω)=ψ(ω)+π/2により求めることが出来る。こうして、周波数ω毎に信号の振幅S(ω)と位相θ(ω)を求めることが出来る。
時間領域での信号S(t)は、
S(t)=sum_ω{S(ω)・sin(ωt + θ(ω))}
=sum_ω{A(ω)・cos(φ(ω)-ψ(ω))・sin(ωt+ψ(ω)+π/2)}
となる。ここで、sum_ω{}は、ωについて総和を取ることを意味する。
あるいは、信号S(t)は、S(ω)とθ(ω)を逆フーリエ変換することにより求めることが出来る。
なお、ある周波数ωにおいてA(ω)の値よりN(ω)の値が非常に小さい場合(例えば、比A(ω)/N(ω)が4以上の場合)、無理に計算を行うよりは、S/N比が良いから雑音の影響を無視できると考えて、S(ω)=A(ω)、θ(ω)=φ(ω)を用いてもよい。
【0007】
第2の観点では、本発明は、信号Sおよび雑音Nを含む観測データaを収集する観測用センサおよび観測データ収集装置と、前記雑音Nのみを含む雑音データnを収集する雑音用センサおよび雑音データ収集装置と、前記観測データaに含まれる周波数ωの成分の振幅A(ω)および位相φ(ω)を求めると共に前記雑音データnに含まれる周波数ωの成分の振幅N(ω)および位相ψ(ω)を求める周波数成分取得手段と、前記振幅A(ω)および前記位相φ(ω)および前記位相ψ(ω)を基に前記信号Sの周波数ωの成分の振幅S(ω)を求める信号振幅算出手段と、前記位相ψ(ω)を基に前記信号Sの周波数ωの成分の位相θ(ω)を求める信号位相算出手段とを具備したことを特徴とする計測装置を提供する。
上記第2の観点による計測装置では、前記第1の観点による信号成分算出装置を用いるため、演算が従来より簡単になる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の信号成分算出装置および計測装置によれば、信号成分と雑音成分とが混じった観測データから簡単な演算で信号成分を精度良く算出することが出来ると共に周波数帯域の異なるノイズ源があっても適正に信号成分を算出することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0010】
図1は、実施例1にかかる計測装置100を示す説明図である。
この計測装置100は、信号Sおよび雑音Nを含む観測データa(t)を収集する観測用センサ1aおよび観測データ収集装置2aと、雑音Nのみを含む雑音データn(t)を収集する雑音用センサ1nおよび雑音データ収集装置2nと、観測データaに含まれる周波数ωの成分の振幅A(ω)および位相φ(ω)を求めると共に雑音データnに含まれる周波数ωの成分の振幅N(ω)および位相ψ(ω)を求めて振幅A(ω)および位相φ(ω)および位相ψ(ω)を基に信号Sの周波数ωの成分の振幅S(ω)を求め且つ位相ψ(ω)を基に信号Sの周波数ωの成分の位相θ(ω)を求める信号成分算出装置10とを具備してなる。
【0011】
観測用センサ1aおよび雑音用センサ1nは、電波,磁気,光,振動などのセンサである。
【0012】
図2は、信号成分算出装置10での処理を示すフロー図である。
ステップR1では、観測データ収集装置2aから観測データa(t)を読み込む。
ステップR2では、観測データa(t)にフーリエ変換を施し、観測データa(t)に含まれる周波数ωの成分の振幅A(ω)および位相φ(ω)を求める。なお、位相角は、適当な基準から反時計回りにみた角度とし、0以上で2π未満とする。
ステップR3では、雑音データ収集装置2nから雑音データn(t)を読み込む。
ステップR4では、雑音データn(t)にフーリエ変換を施し、雑音データn(t)に含まれる周波数ωの成分の振幅N(ω)および位相ψ(ω)を求める。
【0013】
ステップR5では、ある周波数ωの成分について、比A(ω)/N(ω)が4以上か否かを判定し、4以上ならステップR6へ進み、そうでないならステップR7へ進む。
【0014】
ステップR6では、S(ω)=A(ω)・cos(φ(ω)-ψ(ω))、θ(ω)=ψ(ω)+π/2により、信号Sの周波数ωの成分の振幅S(ω)と位相θ(ω)を求める。
【0015】
ステップR7では、S(ω)=A(ω)、θ(ω)=φ(ω)により、信号Sの周波数ωの成分の振幅S(ω)および位相θ(ω)を求める。そして、ステップR8へ進む。
【0016】
ステップR8では、必要な周波数ωについてステップR5~R8を繰り返す。例えば脳磁場の主要周波数である20Hz,21Hz,22Hz,…,199Hz,200Hzに対応するωについてステップR5~R8を繰り返す。
ステップR9では、S(t)=sum_ω{S(ω)・sin(ωt + θ(ω))}により、信号データs(t)を算出する。ここで、sum_ω{}は、ωについて総和を取ることを意味する。
あるいは、S(ω)とθ(ω)を逆フーリエ変換することにより、信号データs(t)を算出する。
【0017】
実施例1の計測装置100によれば、信号成分と雑音成分とが混じった観測データから簡単な演算で信号データを精度良く算出することが出来ると共に周波数帯域の異なるノイズ源があっても適正に信号データを算出することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の信号成分算出装置および計測装置は、信号成分と雑音成分とが混じった観測データから信号成分を抽出するのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1にかかる計測装置の構成説明図である。
【図2】実施例1にかかる信号成分算出装置の動作を示すフロー図である。
【図3】観測ベクトル、雑音ベクトル、重み付き雑音ベクトル、誤差ベクトルおよび信号ベクトルの関係を示すベクトル図である。
【図4】観測ベクトル、雑音ベクトル、重み付き雑音ベクトルおよび誤差ベクトルの関係を示すベクトル図である。
【符号の説明】
【0020】
1a 観測用センサ
1n 雑音用センサ
2a 観測データ収集装置
2n 雑音データ収集装置
10 信号成分算出装置
100 計測装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3