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明細書 :物理量測定装置および磁気測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3548757号 (P3548757)
公開番号 特開2001-133528 (P2001-133528A)
登録日 平成16年4月30日(2004.4.30)
発行日 平成16年7月28日(2004.7.28)
公開日 平成13年5月18日(2001.5.18)
発明の名称または考案の名称 物理量測定装置および磁気測定装置
国際特許分類 G01R 33/02      
FI G01R 33/02 B
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願平11-317339 (P1999-317339)
出願日 平成11年11月8日(1999.11.8)
審査請求日 平成14年10月21日(2002.10.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
発明者または考案者 【氏名】足立 善昭
個別代理人の代理人 【識別番号】100095511、【弁理士】、【氏名又は名称】有近 紳志郎
審査官 【審査官】飯野 茂
参考文献・文献 特開平10-107588(JP,A)
特開平7-312555(JP,A)
特開平7-84018(JP,A)
調査した分野 G01R 33/02-10
G01D 3/02-024
H03G 3/30
特許請求の範囲 【請求項1】
測定対象の物理量に対して非線形の検出特性を有する非線形検出手段と、その非線形検出手段から取り出された検出信号を多段接続された複数の積分器により多重に積分して該多重度の違いによって異なる複数の帯域の信号成分を同時に得る多重積分手段と、前記信号成分の全部または一部に基づくフィードバック信号を前記非線形検出手段側へフィードバックして前記検出特性を線形化するフィードバック手段とを具備したことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項2】
磁気に対して非線形の検出特性を有する非線形磁気検出手段と、その非線形磁気検出手段から取り出された磁気検出信号を多段接続された複数の積分器により多重に積分して該多重度の違いによって異なる複数の帯域の信号成分を同時に得る多重積分手段と、前記信号成分の全部または一部に基づくフィードバック信号を前記非線形磁気検出手段側へフィードバックして前記検出特性を線形化するフィードバック手段とを具備したことを特徴とする磁気測定装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物理量測定装置および磁気測定装置に関し、さらに詳しくは、検出信号の通過域利得と帯域幅の両方を大きくできると共に異なる複数の帯域の信号成分を同時に得ることができる物理量測定装置および磁気測定装置に関する。特に、地磁気の交流成分などの微弱な磁気を測定するのに有用である。
【0002】
【従来の技術】
図9は、従来の磁気測定装置の一例を示す構成図である。
この磁気測定装置500は、磁気に対して非線形の検出特性を有する磁気センサ1と、プリアンプ2と、積分器53と、フィードバック抵抗Rと、フィードバックコイル4とを具備して構成されている。
前記磁気センサ1から取り出された磁気検出電流Isensorは、前記プリアンプ2で増幅されて、前記積分器53へ送られる。前記積分器53の出力信号は、磁気測定信号Outとして取り出されると共に、前記フィードバック抵抗Rによりフィードバック電流Ifb’となって前記フィードバックコイル4へフィードバックされる。これにより、測定対象磁気Bextとは逆向きのフィードバック磁気Bfb’が前記フィードバックコイル4から発生して磁束固定ループ(FLL;Flux Locked Loop)の制御が行われ、前記磁気センサ1の検出特性が線形化される。
【0003】
図10は、上記磁気測定装置500の通過域利得-周波数特性を示すグラフである。
遮断周波数Fcは、利得が最大利得Gから3dB低下する周波数である。
一般に、積分器の出力の利得帯域幅積GBW(Gain Band-Width product;最大利得Gから3dB低下した利得と,その利得以上の利得を有する帯域幅BWとの積)は、該積分器の出力電圧のダイナミックレンジ(振れ幅)により制限される。前記ダイナミックレンジは、例えば±15Vである。
したがって、前記積分器53の時定数や前記フィードバック抵抗Rを調整して、利得Gを上げると帯域幅BWが狭くなり(その周波数特性を一点鎖線で示す)、帯域幅BWを広げると利得Gが下がる(その周波数特性を破線で示す)。
【0004】
図11は、磁気測定装置の他例を示す構成図である。
この磁気測定装置600において、プリアンプ2の入力端子には、測定対象磁気Bextが前記磁気センサ1に加わることにより発生する原検出電流Iextと、フィードバック抵抗Rを介して積分器53から送られるフィードバック電流Ifb’とを共通接続点で合成した磁気検出電流Isensorが入力される。これにより、前記磁気センサ1の検出特性が線形化される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の磁気測定装置500,600では、先に図10を参照して説明したように、利得帯域幅積が積分器53の出力電圧のダイナミックレンジにより制限されるので、利得Gと帯域幅BWの両方を十分に大きくすることが難しい問題点がある。
また、磁気測定信号Outとして、単一の帯域の信号成分のみしか出力できず、複数の帯域の信号成分が必要な場合に対応し難い問題点がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、検出信号の通過域利得と帯域幅の両方を大きくできると共に異なる複数の帯域の信号成分を測定信号として同時に得ることができる物理量測定装置および磁気測定装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の観点では、本発明は、測定対象の物理量に対して非線形の検出特性を有する非線形検出手段と、その非線形検出手段から取り出された検出信号を多段接続された複数の積分器により多重に積分して該多重度の違いによって異なる複数の帯域の信号成分を同時に得る多重積分手段と、前記信号成分の全部または一部に基づくフィードバック信号を前記非線形検出手段側へフィードバックして前記検出特性を線形化するフィードバック手段とを具備したことを特徴とする物理量測定装置を提供する。
上記第1の観点による物理量測定装置では、各段における利得帯域幅積は各積分器の出力電圧のダイナミックレンジにより規定されるので、広帯域を複数の帯域に分割したときの各帯域の信号成分の抽出を別々の積分器に分担させることで、全体としてダイナミックレンジの大きい広帯域フィルタ特性を実現することが出来る。すなわち、検出信号から信号成分を抽出する際の通過域利得と帯域幅の両方を十分に大きくすることが出来る。
また、各積分器の時定数やフィードバック特性を調整することで、検出信号から抽出される信号成分の帯域を積分器ごとに変えることが可能となり、異なる複数の帯域の信号成分を測定信号として同時に得ることが出来る。
【0008】
第2の観点では、本発明は、磁気に対して非線形の検出特性を有する非線形磁気検出手段と、その非線形磁気検出手段から取り出された磁気検出信号を多段接続された複数の積分器により多重に積分して該多重度の違いによって異なる複数の帯域の信号成分を同時に得る多重積分手段と、前記信号成分の全部または一部に基づくフィードバック信号を前記非線形磁気検出手段側へフィードバックして前記検出特性を線形化するフィードバック手段とを具備したことを特徴とする磁気測定装置を提供する。
上記第2の観点による磁気測定装置は、上記第1の観点にかかる物理量測定装置の物理量として磁気を測定するものなので、磁気検出信号から信号成分を抽出する際の通過域利得と帯域幅の両方を十分に大きくすることが出来る。また、異なる複数の帯域の信号成分を磁気測定信号として同時に得ることが出来る。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0010】
-第1の実施形態-
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる磁気測定装置を示す構成図である。この磁気測定装置100は、磁気に対して非線形の検出特性を有する磁気センサ(磁気検出コイル)1と、プリアンプ2と、多段接続された積分器3-1,3-2,3-3と、フィードバック抵抗R1,R2,R3と、フィードバックコイル4とを具備して構成されている。前記積分器3-1の時定数τ1,前記積分器3-2の時定数τ2,前記積分器3-3の時定数τ3は、τ1<τ2<τ3の関係を満たす。
前記磁気センサ1から取り出された磁気検出電流Isensorは、前記プリアンプ2で増幅された後、前記積分器3-1に入力され、積分される。そして、前記積分器3-2,3-3により多重に積分される。前記磁気センサ1の磁気検出感度は、例えば1μV/1fT(fT;femto-tesla)程度である。
【0011】
1段目の積分器3-1の出力信号は、磁気測定信号Out1として取り出されると共に、フィードバック抵抗R1を介してフィードバックコイル4へフィードバックされる。
2段目の積分器3-2の出力信号は、磁気測定信号Out2として取り出されると共に、フィードバック抵抗R2を介してフィードバックコイル4へフィードバックされる。
3段目の積分器3-3の出力信号は、磁気測定信号Out3として取り出されると共に、フィードバック抵抗R3を介してフィードバックコイル4へフィードバックされる。
この結果、フィードバック電流Ifbがフィードバックコイル4に送られて、測定対象磁気Bextとは逆向きのフィードバック磁気Bfbが発生する。これにより、磁束固定ループの制御が行われ、前記磁気センサ1の検出特性が線形化される。
【0012】
次に、この磁気測定装置100の動作原理を説明する。
まず、図2に示すように、前記磁気センサ1と、前記プリアンプ2と、1段目の積分器3-1と、前記フィードバック抵抗R1のみを抽出した回路を想定する。
前記磁気センサ1と、前記プリアンプ2と、前記積分器3-1と、前記フィードバックコイル4は、全体として、1つの仮想オペアンプ(operational amplifier)A1と見なせる。そして、前記仮想オペアンプA1の非反転入力端子に測定対象磁気Bextを入力し、反転入力端子にフィードバック電流Ifbを入力するものとして取り扱う。
【0013】
図3は、図2の回路の通過域利得-周波数特性を示すグラフである。
破線で示すように、前記仮想オペアンプA1の開ループゲインは、積分器3-1の周波数特性に依存するので、低域となるにつれて大きくなる。
前記仮想オペアンプA1の出力端子と反転入力端子の間にフィードバック抵抗R1を接続することで、前記仮想オペアンプA1の入出力特性が線形化される。このとき、前記積分器3-1から出力される磁気測定信号Out1の周波数特性C1Lは、最大利得をGaとし、遮断周波数をFc1とするローパスフィルタ(LPF; Low-Pass Filter)の特性となる。前記最大利得Gaおよび前記遮断周波数Fc1は、前記積分器3-1の時定数およびフィードバック抵抗R1により決まる。ちなみに、フィードバック磁気Bfbにより前記磁気センサ1に発生する検出電圧とフィードバック電流Ifbとの比(=検出電圧/フィードバック電流Ifb)が、一般のオペアンプで非反転増幅回路を構成する場合の入力抵抗に相当する。
【0014】
次に、図4に示すように、図2の回路部分と、積分器3-2と、フィードバック抵抗R2のみを抽出した回路を想定する。
前記プリアンプ2と、前記積分器3-1と、前記フィードバック抵抗R1は、全体として、1つの仮想アンプPと見なせる。
前記磁気センサ1と、前記仮想アンプPと、前記積分器3-2と、フィードバックコイル4は、全体として、1つの仮想オペアンプA2と見なせる。
【0015】
図5は、図4の回路の通過域利得-周波数特性を示すグラフである。
前記仮想オペアンプA2の出力端子と反転入力端子の間にフィードバック抵抗R2を接続することで、前記仮想オペアンプA2の入出力特性が線形化される。このとき、前記積分器3-2から出力される磁気測定信号Out2の周波数特性C2Lは、遮断周波数をFc2(Fc2<Fc1)とするローパスフィルタの特性となる。前記積分器3-1にかかる周波数特性C1は、フィードバック成分(前記遮断周波数Fc2以下の低域成分)を通過域としない特性、すなわち上側遮断周波数をFc1とし下側遮断周波数をFc2とするバンドパスフィルタ(BPF;Band-Pass Filter)の特性となる。
【0016】
結局のところ、図6に示すように、前記磁気測定装置100は、周波数特性C1に対応する帯域成分を有する磁気測定信号Out1と、周波数特性C2に対応する帯域成分を有する磁気測定信号Out2と、周波数特性C3に対応する帯域成分を有する磁気測定信号Out3とを同時に出力する。すなわち、積分器3-1,3-2,3-3の全体として、遮断周波数Fc1以下の全帯域で実質的に平坦な利得Gaを維持するローパスフィルタ特性を実現できる。なお、「実質的に平坦」とは、前記周波数特性C1,C2,C3のそれぞれの端境で、利得がいったん3dB程度落ち込むことがあっても、ローパスフィルタとしての特性に支障がないことを意味する。
【0017】
図7は、前記積分器3-1,3-2,3-3の通過域利得-周波数特性の他例を示すグラフである。
前記積分器3-1にかかる周波数特性C1’は、最大利得をG1とし、帯域幅をBW1(上側遮断周波数はFc1’,下側遮断周波数はFc2’)とするバンドパスフィルタ特性である。
前記積分器3-2にかかる周波数特性C2’は、最大利得をG2(G2>G1)とし、帯域幅をBW2(上側遮断周波数は前記Fc2’,下側遮断周波数はFc3’)とするバンドパスフィルタ特性である。
前記積分器3-3にかかる周波数特性C3’は、最大利得をG3(G2>G3>G1)とし、帯域幅をBW3(遮断周波数は前記Fc3’)とするローパスフィルタ特性である。
数値例を示せば、前記最大利得G1は例えば20dBであり、前記最大利得G2は例えば40dBであり、前記最大利得G3は例えば30dBである。また、前記遮断周波数Fc1’は例えば200Hzであり、前記遮断周波数Fc2’は例えば30Hzであり、前記遮断周波数Fc3’は例えば0.1Hzである。
なお、各周波数特性における利得帯域幅積は、各積分器3-1,3-2,3-3の出力電圧のダイナミックレンジにより規定される。
【0018】
以上の磁気測定装置100によれば、図6に示したように、磁気測定信号Out1,Out2,Out3の全体として、遮断周波数Fc1以下の広帯域の信号成分を高利得で得ることが出来る。
また、図7に示したように、磁気検出電流Isensorから高域の信号成分を抽出した磁気測定信号Out1と、中域の信号成分を抽出した磁気測定信号Out2と、低域の信号成分を抽出した磁気測定信号Out3とを同時に取り出すことが可能となる。
【0019】
-第2の実施形態-
図8は、本発明の第2の実施形態にかかる磁気測定装置を示す構成図である。この磁気測定装置200は、磁気に対して非線形の検出特性を有する磁気センサ1と、プリアンプ2と、多段接続された積分器3-1,3-2,3-3と、フィードバック抵抗R1,R2,R3とを具備して構成されている。
前記プリアンプ2の入力端子には、測定対象磁気Bextが前記磁気センサ1に加わることにより発生する原検出電流Iextと、フィードバック抵抗R1,R2,R3を介して各積分器3-1,3-2,3-3から送られるフィードバック電流Ifbとを共通接続点で合成した磁気検出電流Isensorが入力される。これにより、前記磁気センサ1の検出特性が線形化される。
以上の磁気測定装置200によれば、フィードバックコイル(図1の4)が不要となるので、構成をさらに簡単にして、いっそう低コスト化できる。
【0020】
なお、上記の実施形態では、3つの積分器3-1,3-2,3-3を多段接続したが、積分器の個数を2つに減らしてもよいし,4以上に増やしてもよい。個数を減らした場合には、構成を簡略化して、さらに低コスト化できる。個数を増やした場合には、総合的なダイナミックレンジをさらに大きくすると共に、より多数の帯域の信号成分をきめ細かく抽出することが出来る。
【0021】
【発明の効果】
本発明の物理量測定装置および磁気測定装置によれば、実質的な利得帯域幅積の大きいフィルタ特性を得ることができ、測定信号のダイナミックレンジや測定感度を向上することが出来る。また、多段接続された各積分器の時定数やフィードバック特性を変化させることで、各積分器から所望の帯域の信号成分を同時に出力することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる磁気測定装置を示す構成図である。
【図2】1段目の積分器までを抽出した回路を示す説明図である。
【図3】図2の回路の利得-周波数特性を示すグラフである。
【図4】2段目の積分器までを抽出した回路を示す説明図である。
【図5】図4の回路の利得-周波数特性を示すグラフである。
【図6】図1の磁気測定装置の各積分器の利得-周波数特性を示すグラフである。
【図7】図1の磁気測定装置の各積分器の利得-周波数特性の他例を示すグラフである。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかる磁気測定装置を示す構成図である。
【図9】従来の磁気測定装置の一例を示す構成図である。
【図10】図9の磁気測定装置の積分器の利得-周波数特性を示すグラフである。
【図11】従来の磁気測定装置の他例を示す構成図である。
【符号の説明】
100,200 磁気測定装置
1 磁気センサ
2 プリアンプ
3-1,3-2,3-3 積分器
4 フィードバックコイル
Bext 測定対象磁気
Bfb フィードバック磁気
Iext 原検出電流
Ifb フィードバック電流
Isensor 磁気検出電流
Out1,Out2,Out3 磁気測定信号
R1,R2,R3 フィードバック抵抗
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10