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明細書 :体積計測方法及び体積計測プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3803750号 (P3803750)
公開番号 特開2003-247805 (P2003-247805A)
登録日 平成18年5月19日(2006.5.19)
発行日 平成18年8月2日(2006.8.2)
公開日 平成15年9月5日(2003.9.5)
発明の名称または考案の名称 体積計測方法及び体積計測プログラム
国際特許分類 G01B  11/00        (2006.01)
G01B  11/28        (2006.01)
FI G01B 11/00 H
G01B 11/28 H
請求項の数または発明の数 6
全頁数 14
出願番号 特願2002-046610 (P2002-046610)
出願日 平成14年2月22日(2002.2.22)
審査請求日 平成14年2月22日(2002.2.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】内田 康之
【氏名】大崎 馨
個別代理人の代理人 【識別番号】100067323、【弁理士】、【氏名又は名称】西村 教光
審査官 【審査官】岡田 卓弥
参考文献・文献 特開平11-211438(JP,A)
特開平1-250705(JP,A)
特開平11-211473(JP,A)
調査した分野 G01B11/00-11/30
特許請求の範囲 【請求項1】
センサ視点から投射対象に対し放射状に投射して得られる投射画像から前記投射対象の3次元データを計測する3次元計測センサを用いて体積を計測する体積計測方法であって、
前記3次元計測センサから得られた前記3次元データに基づいて、前記センサ視点から前記投射画像内の注目画素を投影した前記投影対象上の微小投影面までの投射距離及び前記微小投影面の微小投影面積を導出するデータ導出ステップと、
前記センサ視点を頂点とし前記投射距離を高さとし前記微小投影面を底面とする微小錐体の要素体積を計測する要素体積計測ステップと、
前記要素体積を総ての微小投影面にまで積分して、前記センサ視点から前記投射対象までの投射領域の総体積を計測する総体積計測ステップと、
を具備することを特徴とする体積計測方法。
【請求項2】
前記投射領域内に計測対象を設けずに計測した前記投射領域の総体積と、前記投射領域内に前記計測対象を設けて同一センサ視点から同一方向に投射して計測した投射領域の総体積と、を比較して、前記計測対象の体積を計測する比較計測ステップを具備することを特徴とする請求項1記載の体積計測方法。
【請求項3】
過去に計測した前記投射領域の総体積と、同一センサ視点から同一方向に投射して計測した現在の投射領域の総体積と、を比較して、その体積変化量を計測する比較計測ステップを具備することを特徴とする請求項1記載の体積計測方法。
【請求項4】
センサ視点から投射対象に対し放射状に投射する3次元計測センサから得られる投射画像に基づいて計測される前記投射対象の3次元データを用いて、コンピュータに体積を計測させる体積計測プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記3次元計測センサから得られた前記3次元データに基づいて、前記センサ視点から前記投射画像内の注目画素を投影した前記投影対象上の微小投影面までの投射距離及び前記微小投影面の微小投影面積を導出するデータ導出手段、
前記センサ視点を頂点とし前記投射距離を高さとし前記微小投影面を底面とする微小錐体の要素体積を計測する要素体積計測手段、
前記要素体積を総ての微小投影面にまで積分して、前記センサ視点から前記投射対象までの投射領域の総体積を計測する総体積計測手段、
として機能させることを特徴とする体積計測プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、更に、
前記投射領域内に計測対象を設けずに計測した前記投射領域の総体積と、前記投射領域内に前記計測対象を設けて同一センサ視点から同一方向に投射して計測した投射領域の総体積と、を比較して、前記計測対象の体積を計測する比較計測手段として機能させることを特徴とする請求項4記載の体積計測プログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、更に、
過去に計測した前記投射領域の総体積と、同一センサ視点から同一方向に投射して計測した現在の投射領域の総体積と、を比較して、その体積変化量を計測する比較計測手段として機能させることを特徴とする請求項4記載の体積計測プログラム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、センサ視点から放射状に投射して投射対象までの距離を計測する3次元計測センサを用いて体積を計測する体積計測方法、及び、センサ視点から投射対象に対し放射状に投射する3次元計測センサから得られる投射画像に基づいて計測される前記投射対象の3次元データを用いて、コンピュータに体積を計測させる体積計測プログラムに関するものである。
特に、建設機械や産業用ロボットの様な作業用アームがある場合には作業計画のプランニングや作業遂行量等の計測に、また、無人の移動車両に搭載した場合には、障害物までの空間の体積と自分の体積を比較することで自律航行するための指令値の導出に有用である。なお、本明細書において、体積とは、計測対象等の物体の体積の他に、投射領域等の空間の体積(容積)を含むものである。
【0002】
【従来の技術】
従来は、図10(a)に示すように、計測値から得られた座標(x,y,z)をxy平面に投影して隣接する座標との間で領域を区切って底面とし、これが高さzを持つ角柱であるとして全ての座標について体積を積算する手法や、同図(b)に示すように、隣接する座標を相互に結んで対象物の表面を覆うように三角形を構成し、それらを投影した角柱を作り体積を積算する手法などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図10に示す様な方法では、空間の体積を計測することができず、例えば、土木事業等での掘削作業において、掘削して形成された穴の容積を計測することができない。この場合、上述した図9に示す従来の計測方法では、掘削した土砂の体積を計測するしかなく、掘削土が毎回異なる場所に捨てられる場合は、その場所の分、複数台の計測機器が必要となり、計測効率を悪化させる原因となっていた。
【0004】
また、図10に示す様な方法では、計測する座標が多くなるほど相互の位置関係から隣接点を探索し境界線を求めるための計算量が急激に増大するという問題がある。したがって、高性能の計測機器が必要となり、コストが増大する原因となっていた。
【0005】
更に、図11に示すように、円錐台又は角錐台を逆さにしたような物体Wでは、単純に各座標a,b,c,dを水平面に投影すると、座標a,bから投影された微小柱体A,Bは正確に体積を算出できるが、座標c,dから投影された微小柱体C,Dにおいては、物体Wの内外のどちらに存在するか区別なく体積を計算されてしまうこととなる。このため、この積算誤差の出現を回避するために、計測した点に関し、どの領域が物体Wの表面なのかを認識する必要があり、面の方向などの判別をするという複雑な処理が必要となるという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解消するため、空間体積の計測を実現するとともに、土木事業等における掘削作業の作業効率の向上を図ることを目的としている。また、体積計測処理の高速化及び低コスト化の実現を図ることにある。更に、計測対象Wの体積計測の高精度化を図ることにある。
【0007】
【問題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の体積計測方法は、センサ視点Oから投射対象Pに対し放射状に投射して得られる投射画像から前記投射対象Pの3次元データを計測する3次元計測センサ10を用いて体積を計測する体積計測方法であって、
前記3次元計測センサ10から得られた前記3次元データに基づいて、前記センサ視点Oから前記投射画像内の注目画素(i,j)を投影した前記投影対象P上の微小投影面Fijまでの投射距離Rij及び前記微小投影面Fijの微小投影面積Sijを導出するデータ導出ステップと、
前記センサ視点Oを頂点とし前記投射距離Rijを高さとし前記微小投影面Fijを底面とする微小錐体Cijの要素体積Vijを計測する要素体積計測ステップと、前記要素体積Vijを総ての微小投影面Fijにまで積分して、前記センサ視点Oから前記投射対象Pまでの投射領域PAの総体積Vを計測する総体積計測ステップと、
を具備することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の体積計測方法は、請求項1記載の体積計測方法において、前記投射領域PA内に計測対象Wを設けずに計測した前記投射領域PAの総体積Vと、前記投射領域PA内に前記計測対象Wを設けて同一センサ視点Oから同一方向に投射して計測した投射領域PAの総体積Vと、を比較して、前記計測対象Wの体積を計測する比較計測ステップを具備することを特徴とする。
【0009】
更に、請求項3記載の体積計測方法は、請求項1記載の体積計測方法において、過去に計測した前記投射領域PAの総体積Vと、同一センサ視点Oから同一方向に投射して計測した現在の投射領域PAの総体積Vと、を比較して、その体積変化量を計測する比較計測ステップを具備することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4記載の体積計測プログラムは、センサ視点Oから投射対象Pに対し放射状に投射する3次元計測センサ10から得られる投射画像に基づいて計測される前記投射対象Pの3次元データを用いて、コンピュータに体積を計測させる体積計測プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記3次元計測センサ10から得られた前記3次元データに基づいて、前記センサ視点Oから前記投射画像内の注目画素(i,j)を投影した前記投影対象P上の微小投影面Fijまでの投射距離Rij及び前記微小投影面Fijの微小投影面積Sijを導出するデータ導出手段3、
前記センサ視点Oを頂点とし前記投射距離Rijを高さとし前記微小投影面Fijを底面とする微小錐体Cijの要素体積Vijを計測する要素体積計測手段4、
前記要素体積Vijを総ての微小投影面Fijにまで積分して、前記センサ視点Oから前記投射対象Pまでの投射領域PAの総体積Vを計測する総体積計測手段5、
として機能させることを特徴とする。
【0011】
更に、請求項5記載の体積計測プログラムは、請求項4記載の体積計測プログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
前記投射領域PA内に計測対象Wを設けずに計測した前記投射領域PAの総体積Vと、前記投射領域PA内に前記計測対象Wを設けて同一センサ視点Oから同一方向に投射して計測した投射領域PAの総体積Vと、を比較して、前記計測対象Wの体積を計測する比較計測手段7として機能させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6記載の体積計測プログラムは、請求項4記載の体積計測プログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
過去に計測した前記投射領域PAの総体積Vと、同一センサ視点Oから同一方向に投射して計測した現在の投射領域PAの総体積Vと、を比較して、その体積変化量を計測する比較計測手段7として機能させることを特徴とする。
【0013】
上記発明によれば、投射領域PAの空間体積の計測が実現することができる。また、投射領域PA内の体積変化量が計測可能となるため、作業アームを用いた掘削作業、搬送作業等に適用することが可能である。更に、投射領域PA内に存在する計測対象Wの体積の計測が可能となるため、無人の移動車両における自立走行に適用することができる。
【0014】
また、計測対象Wの体積計測においては、複数台の3次元計測センサ10の各投射対象Pを予め設定された仮想平面とし、その投射領域PAを任意の閉空間とする。そして、各閉空間が重複せず、かつ、連続して接合するように、計測対象Wの周囲に複数台の3次元計測センサ10を配置する。そして、各センサに基づいて計測された各体積を合計することで、計測対象Wの体積を計測することができる。これにより、計測対象Wの複雑な形状を認識する必要なく、正確な体積が計測することができる。この3次元計測センサ10の数は、好ましくは3台以上であり、また、各センサ毎の仮想平面を表す平面方程式を同一とすることにより、それぞれ計測対象Wを中心としてその周囲に等間隔に配置することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の体積計測プログラムの実施の形態について図1~図4を用いて説明する。体積計測プログラムは、ROM,HDD,CD-ROM等の記録媒体に格納されており、不図示のコンピュータに接続されることで、3次元計測センサ10から計測される3次元データを用いて、コンピュータに体積を計測させるプログラムである。この体積計測プログラムは、コンピュータを、後述する各手段3,4,5,7として機能させるプログラムである。
【0016】
3次元計測センサ10は、例えばステレオビジョン、レーザーレンジファインダー等、センサ視点Oから投射対象Pに対し放射状に投射して得られる投射画像から投射対象Pの3次元データを計測するセンサである。この3次元計測センサ10は、コンピュータに接続されており、図2に示すように、計測された投射対象Pの各計測地点の3次元座標データは、図1に示す3次元データメモリ2に格納される。
【0017】
データ導出手段3は、3次元計測センサ10から得られた3次元データに基づいて、図2に示すように、センサ視点Oから投射画像内の注目画素(i,j)を投影した投影対象P上の微小投影面Fijまでの投射距離Rij及び微小投影面Fijの微小投影面積Sijを導出する。
【0018】
要素体積計測手段4は、図2に示すように、導出されたデータに基づいて、センサ視点Oを頂点とし、投射距離Rijを高さとし、微小投影面Fijを底面とする微小錐体Cijの体積( 以下、要素体積Vijと呼ぶ) を計測する。
【0019】
総体積計測手段5は、要素体積Vijを総ての微小投影面Fijにまで積分して、即ち、各微小錐体Cijの要素体積Vijを積算し、センサ視点Oから投射対象Pまでの投射領域PAにおける総体積Vを計測することとなる。これにより、隣接する微小錐体Cij同士が占める領域が空間内で重なり合うことなく隙間なく定義されるので、距離に応じた半径と広がり角度に基づき球体の一部の体積として計測可能であり、それらの積算により容易に投射対象面Pまでの体積を計測することが可能となる。
【0020】
比較計測手段7は、投射領域PA内に計測対象Wを設けずに計測した投射領域PAの総体積Vと、前記投射領域PA内に計測対象Wを設けて同一センサ視点Oから同一方向に投射して計測した投射領域PAの総体積Vと、を比較して、計測対象Wの体積を計測する。また、過去に計測した投射領域PAの総体積Vと、同一センサ視点Oから同一方向に投射して計測した現在の投射領域PAの総体積Vと、を比較して、その体積変化量を計測する。
【0021】
図2(a)~(c)は、3次元計測センサ10として、ステレオビジョンを適用した場合の原理図であり、複数台のセンサ10により同一被写体(計測対象W)を写したときに、その位置関係により生じる像のずれから3次元データを算出するステレオビジョンに適用した場合の例を示したものである。また図3は、そのフローチャートである。
【0022】
ステレオビジョン10では、得られた距離画像はCCDの画素毎に輝度値で距離画像が表示されているので、基準カメラのCCDの画素配列に基づき計算すると考えられる。まず、得られた距離画像から得られる3次元座標計測データ(Xij,Yij,Zij)を読み込む(SP1)。
【0023】
次に読み込んだ各3次元座標計測データ(Xij,Yij,Zij)を、3次元データメモリ2から各画素ごとに抽出する(SP2~SP8)。
【0024】
次に、ステレオビジョン10では、抽出した画素(i,j)の3次元座標計測データは極座標ではないので(SP8-NO)、極座標に変換する(SP9)。すなわち、図2に示すように基準カメラ位置Oをセンサ視点Oとする。そして、図2(b)に示すように、XZ平面において、Z軸と、センサ視点Oと注目画素(i,j)中心を結ぶ線分と、のなす角をθとする。また、図2(c)に示すように、YZ平面において、Z軸と、センサ視点Oと注目画素(i,j)中心を結ぶ線分と、のなす角をφとする。θ及びφは下記式(1)により求めることができる。なお、ここではθ(φ)は注目画素(i,j)の中心までの角度であるためi(j)に対して1/2画素分を引いて(あるいは足して)いる。またpは注目画素(i,j)の画素幅又は画素高さ、fは焦点距離である。
【0025】
【数1】
JP0003803750B2_000002t.gif
【0026】
また、投射距離Rijは、センサ視点Oから、注目画素(i,j)から投影された微小投影面Fijまでの距離であり、複数のカメラにおける同一注目画素(i,j)の視差値が距離Rijとして計測される。これにより、注目画素(i,j)から投影された微小投影面Fijの座標(Xij,Yij,Zij)が、極座標(Rij,θij,φij)に変換される。
【0027】
次に、投影対象Pにおける各注目画素(i,j)からの微小投影面Fijの微小投影面積Sijを計測する(SP10)。ここで、センサ視点Oから見て注目画素(i,j)の幅p(X方向)に相当する角度をΔθ、注目画素(i,j)の高さp(Y方向)に相当する角度をΔφとする。注目画素(i,j)の幅(高さ)に相当する角度は下記式(2)により求めることができる。
【0028】
【数2】
JP0003803750B2_000003t.gif
【0029】
この注目画素(i,j)に映っている範囲が投射距離Rijを持つものとすると、この部分の体積は半径Rijの球のうちセンサ視点Oと注目画素(i,j)の縁を結ぶ延長線により区切られた部分であると考えることができる。したがって、投影対象Pにおける各注目画素(i,j)からの微小投影面Fijの微小投影面積Sijは、半径Rijの球の表面積(4πRij2 )に対して表面積(RijΔθi ・RijΔφj )となる。
【0030】
次に、センサ視点Oを頂点とし、注目画素(i,j)を通過する投射距離Rijを高さとし、注目画素(i,j)か投影された微小投影面Fijを底面とする微小錐体Cijを作成する。この微小錐体Cijの体積(要素体積)Vijは、下記式(3)によって求められる(SP11)。
【0031】
【数3】
JP0003803750B2_000004t.gif
【0032】
これを全画素について積み上げることにより、即ち、下記式(4)により、センサ視点Oから投射対象Pまでの空間(投射領域PA)について体積Vが計測される(SP12)。
【0033】
【数4】
JP0003803750B2_000005t.gif
【0034】
計測された総体積Vは、総体積データメモリ6に格納される(SP13)。なお、上述の例は3次元計測センサ10としてステレオビジョンを適用した例であるが、レーザレンジファインダを適用した場合、レーザレンジファインダから得られる3次元座標計測データは、極座標であるため(SP8-YES)、極座標変換をする必要はない。
【0035】
なお、本手法はカメラから見た投射対象P又は物体(計測対象W)までの空間体積(投射領域PA)を求めるものであり、投射対象Pの体積や、センサ視点Oから投射対象Pまでの投射領域PA内に存在する計測対象Wの体積を直接求めることはできない。しかし、カメラ位置が固定されているような場合には計測した空間体積の変化は計測対象Wの体積変化に等しくなる。
【0036】
そこで、図4及び図5を用いて、計測対象Wの体積を計測する例について説明する。まず、図4(a)に示すように、3次元計測センサ10を固定し、投射対象Pとしての床面に向けて投射する。これにより、同図(a)中、点線で示されている投射領域PAの空間体積Vが計測される(SP1~SP15)。
【0037】
次に、同図(b)に示すように、同一投射領域PA内における床面に計測対象Wを載置する。そして、床面及び計測対象Wの表面を投射対象P’とすることで、SP1~SP13の処理により、同図(b)中、点線で示されている投射領域PA’の空間体積V’を計測する(SP20)。同図(a)及び同図(b)における投射領域PA,PA’の総体積V,V’を総体積データメモリ6から読み出す(SP21)。そして、両総体積V,V’の差分を取ることで、計測対象Wの体積(V-V’)が計測される(SP22)。
【0038】
また図5~図7を用いて、掘削や盛土作業における作業量の計測に適用する場合について説明する。図6に示すように、3次元計測センサ10及び体積計測プログラムは、パワーショベル機11に搭載されている。
【0039】
まず、図7(a)に示すように、平らな地形では、その地面を投射対象Pとして、センサ視点Oから地面までの3次元空間である投射領域PA(図中点線の範囲)の空間体積Vを計測する。
【0040】
次に、同図(b)に示すように、所定量の土を掘削して穴12(12a)を形成した場合、投射対象Paは、穴12aの底面及び内周壁並びに地面となり、同図(a)の投射領域PAに比べ、同図(b)の投射領域PAaが掘削土の掘削量分体積が増加して(図中点線の範囲)、空間体積Vaが計測される。
【0041】
この状態から更に掘削して穴12bを形成すると、同図(c)に示すように、投射対象Pbは、穴12aの底面及び内周壁,穴12bの底面及び内周壁,並びに地面となり、同図(b)の投射領域PAaに比べ、同図(c)の投射領域PAbが掘削土の掘削量分体積が増加して(図中点線の範囲)、空間体積Vbが計測される。
【0042】
したがって、同図(b)での掘削体積を計測する場合は、同図(a)と同図(b)との空間体積V,Vaを比較してその差分(V-Va)をとることで計測される。また、同図(c)での掘削体積を計測する場合は、同図(a)と同図(c)との空間体積V,Vbを比較してその差分(V-Vb)をとることで計測される。更に、同図(b)から同図(c)への掘削体積を計測する場合は、同図(b)と同図(c)との空間体積Va,Vbを比較してその差分(Va-Vb)をとることで計測される。
【0043】
これにより、掘削作業中に掘削土の体積を把握することができ、目標とする掘削体積まで正確に掘削することが可能となる。
【0044】
次に、他の例について説明する。本例は、図8に示すように、複数(図では2台)の3次元計測センサ10(10a,10b)を計測対象Wの周囲に、計測対象Wから放射状に等角度で固定配置して計測対象Wの体積を計測する例である。
【0045】
本例の3次元計測センサ10は、平面方程式を用いて仮想的に投影対象面PIを定義する。すなわち、センサ視点Oから仮想投影対象面PIまでをセンサ10の最大投射距離Rmax として予め設定しておき、実際に計測した投射距離Rijが、最大投射距離Rmax を越えると、最大投射距離Rmax に変換処理する。これにより、各3次元計測センサ10a,10bの最大計測空間体積を設定し、投影領域PAをPA1とPA2に分割するようにしている。
【0046】
従って、図8(a)に示すように、床面に計測対象Wが載置されていない場合、一方の3次元計測センサ10aの投射対象P1は、投射された床面と床面から仮想的に垂設する仮想投影対象面PIとなり、空間体積V1が計測される。同様に、他方の3次元計測センサ10bの投射対象P2は、投射された床面と床面から仮想的に垂設する仮想投影対象面PIとなり、空間体積V2が計測される。
【0047】
そして、図8(b)に示すような、円錐台又は角錐台を逆さにした計測対象Wを、両投射領域PA1,PA2に渡るように床面に載置する。そして、この計測対象Wに向けて両センサ10a,10bから投射すると、空間体積V1’及びV2’が計測される。そして、一方のセンサ10a側では、空間体積V1と空間体積V1’の差分により、仮想投射対象面pIを境界にして、計測対象Wの略右半部Waの体積(V1-V1’)が計測される。同様に他方のセンサ10b側で空間体積V2と空間体積V2’の差分により、仮想投射対象面PIを境界にして、計測対象Wの略左半部Wbの体積(V2-V2’)が計測される。この略右半部の体積と略左半部の体積を合計することで、計測対象Wの体積Vを計測することが可能となる。
【0048】
これにより、計測対象Wの周囲から死角のない状態で複数の計測を行うときに、各視野を基準点の位置関係から重複することのないように閉空間で構成し合成することとなるので、複雑な物体認識を必要とせず計測対象Wの体積を計算することが可能となる。
【0049】
図8では、3次元計測センサ10を2台用いた場合について説明したが、図9に示すように、3台用いてもよい。この場合、各センサの仮想投射対象面PI、すなわち平面方程式を各センサ10A,10B,10Cにつき2面定義することで、投射領域PAa,PAb,PAc及びその空間体積を3分割することができ、各投射領域PAに渡るように計測対象Wを載置することで、三方から計測対象Wに投射して体積を計測し、これらを合計することで、上記と同様に計測対象Wの体積を計測することが可能となる。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、計測する座標が多くなっても相互の位置関係から隣接点を探索し境界線を求める必要がなく、センサに応じた規則性のある配列情報に基づいて、順次必要な体積を計算できるので、行程が少なくアルゴリズムも簡素化することができる。また、計測地点の増加による処理速度の低下を回避でき、逆に計測地点数を多くすることが可能となり、計算精度の向上、リアルタイム性の向上も図れる。
【0051】
また、複雑な形状をした物体についても、各計測地点について計測対象の内外のどちらに存在する点かの区別、どの領域が計測対象の表面なのかの認識や、面の方向などの判別が必要なく、アルゴリズムの簡素化と処理速度の向上が図れる。
【0052】
また、実時間処理の可能性から、時々刻々と変化する環境の中で、実時間で判断しなければならない、遠隔操縦や自動化を図った作業機に関する作業プランニングや高速移動を可能とする無人車両等のナビゲーション等への適用も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の体積計測プログラムを示す概略ブロック構成図である。
【図2】本発明の体積計測プログラムにおける体積計測原理を示す図である。
【図3】本発明の体積計測プログラムを示すフローチャートである。
【図4】平面上にある計測対象の体積算出方法の一例を示した図である。
【図5】計測対象の体積計測を示すフローチャートである。
【図6】本発明の体積計測プログラムをパワーショベル機に搭載した例を示す図である。
【図7】本発明の体積計測プログラムをパワーショベル機に搭載したときの掘削体積を計測する概略図である。
【図8】平面上にある計測対象の体積算出方法の他の例を示した図である。
【図9】平面上にある計測対象の体積算出方法の応用例を示した図である。
【図10】従来の計算手法における計測点の扱い方を示した図である。
【図11】対象物が複雑な形状の時に生じる問題点を示した図である。
1…体積計測プログラム
3…データ導出手段
4…要素体積計測手段
5…総体積計測手段
7…比較計測手段
10…3次元計測センサ
(i,j)…注目画素
ij…微小錐体
ij…微小投影面
O…センサ視点
P…投射対象
PA…投射領域
ij…投射距離
ij…微小投影面積
V…総体積
ij…要素体積
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
9
【図11】
10