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明細書 :真空吸着装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3817613号 (P3817613)
公開番号 特開2005-074551 (P2005-074551A)
登録日 平成18年6月23日(2006.6.23)
発行日 平成18年9月6日(2006.9.6)
公開日 平成17年3月24日(2005.3.24)
発明の名称または考案の名称 真空吸着装置
国際特許分類 B25J  15/06        (2006.01)
H01L  21/683       (2006.01)
FI B25J 15/06 G
H01L 21/68 P
請求項の数または発明の数 6
全頁数 14
出願番号 特願2003-306706 (P2003-306706)
出願日 平成15年8月29日(2003.8.29)
審査請求日 平成15年8月29日(2003.8.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】宇根 篤暢
個別代理人の代理人 【識別番号】100067323、【弁理士】、【氏名又は名称】西村 教光
審査官 【審査官】八木 誠
参考文献・文献 特開平10-128633(JP,A)
特開平10-233433(JP,A)
特開平11-226833(JP,A)
調査した分野 B25J1/00-21/02
H01L21/67-21/683
特許請求の範囲 【請求項1】
上面が同一平面上にある多数の突起のみによって試料を支承し、内部に真空ポンプに接続される真空排気孔を設けた真空吸着器を備えた真空吸着装置において、
真空排気孔に連通する真空吸着部を、突起径の1/2以下の最大気孔径を有する多孔質セラミックス材料で作り、その上面に多数の突起を設けるとともに、この突起の高さを1μm~5μmの高さに設定することにより前記真空吸着部と前記試料との間に微小隙間を形成し、前記真空吸着部の外周部に存在する気孔を、ガラス、金属、無機又は有機材料による前記真空吸着部を形成する材料より緻密な気孔のない材料で封止したことを特徴とする真空吸着装置。
【請求項2】
上面が同一平面上にある多数の突起のみによって試料を支承し、内部に真空ポンプに接続される真空排気孔を設けた真空吸着器を備えた真空吸着装置において、
真空排気孔に連通する真空吸着部を、突起径の1/2以下の最大気孔径を有する多孔質セラミックス材料で作り、その上面に高さが突起径の1/2以下の多数の突起を設けるとともに、この真空吸着部を取り囲む環状のシール部を設け、このシール部をガラス、金属、無機又は有機材料による前記真空吸着部を形成する材料より緻密な気孔のない材料で形成し、且つ、前記突起より低く設定することによって、前記シール部と試料との間に微少な隙間を形成し、さらに前記真空吸着部の外周部に存在する気孔を封止したことを特徴とする真空吸着装置。
【請求項3】
上面が同一平面上にある多数の突起のみによって試料を支承し、内部に真空ポンプに接続される真空排気孔を設けた真空吸着器を備えた真空吸着装置において、
真空排気孔に連通する真空吸着部を突起径の1/2以下の最大気孔径を有する多孔質セラミックス材料で作り、その上面に、真空吸着部を形成する材料より緻密な気孔のない材料からなる多数の突起を固着して設けるとともに、この突起の高さを1μm~5μmの高さに設定することにより前記真空吸着部と前記試料との間に微小隙間を形成し、前記真空吸着部の外周部に存在する気孔をガラス、金属、無機又は有機材料による前記真空吸着部を形成する材料より緻密な気孔のない材料からなる封止材で封止したことを特徴とする真空吸着装置。
【請求項4】
上面が同一平面上にある多数の突起のみによって試料を支承し、内部に真空ポンプに接続される真空排気孔を設けた真空吸着器を備えた真空吸着装置において、
真空排気孔に連通する真空吸着部を多孔質材料で作り、その上面に、真空吸着部より気孔径の小さい多孔質材料からなり、板状の基体の上面に多数の突起が一体に形成された突起板を層状に設け、この突起の高さを1μm~5μmの高さに設定することにより前記真空吸着部と前記試料との間に微小隙間を形成し、前記真空吸着部の外周部に存在する気孔を封止したことを特徴とする真空吸着装置。
【請求項5】
前記真空吸着部は、多孔質セラミックス材料からなり、前記突起板は、突起径の1/2以下の最大気孔径を有する多孔質セラミックス材料から、気孔の封止材はガラス、金属、無機又は有機材料による前記真空吸着部を形成する材料より緻密な気孔のない材料からなることを特徴とする請求項4に記載の真空吸着装置。
【請求項6】
前期真空吸着部の中心付近に、真空吸着部に吸着する試料を持ち上げる機構を通す穴、もしくは周辺部に切り欠きを設け、その穴もしくは切り欠きの周辺の気孔は、ガラス、金属、無機又は有機材料による前記真空吸着部を形成する材料より緻密な気孔のない材料で封止したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の真空吸着装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、LSI製造装置における、パターン転写装置、描画装置、各種プロセス製造装置、検査測長装置、および研削、研磨、切断などの加工装置の試料保持装置と試料搬送装置に用いられる真空吸着装置に関し、特にその真空吸着器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加工に用いられている一般的な真空吸着装置は、図9(a),(b)に示すようなポーラス型真空吸着器14を備えている。装置は、数10~40%の気孔率を有する多孔質セラミックスからなる真空吸着部1と、その外側に配設された平面状のランド部11をもつ緻密なセラミックスからなる基部5と、真空排気を行う真空排気孔3と、真空吸着部1の下面に設けられ、中心から放射状に延びた真空排気溝4、および外周側に環状に配置された真空排気溝4’から構成される。前記真空排気溝4、4’は真空排気孔3に接続され、さらにその先は真空ポンプ(図示せず)に連結される。真空吸着部1とランド部11は、同一平面上に高精度に仕上げ加工されている。
【0003】
この真空吸着装置の上面に、シリコンウエハなどの試料10を載置した後、真空ポンプを作動させると、真空排気溝4、4’を通って、真空排気孔3から矢印で示すように空気が排出され、真空吸着部1と試料10の間は真空となり、大気圧によって試料10は真空吸着部1上に押さえつけられる。したがって、試料10は真空吸着部1の高精度な平面に倣い、試料の反りや曲がりが矯正される。
【0004】
一方、LSI製造において用いられる、下記特許文献1又は2に記載の真空吸着装置は、図10(a),(b)又は図11(a),(b)に示すような真空吸着器14を備えている。
【0005】
この従来の真空吸着器14の上面には、多数の微小な突起2を一体に有する前述した多孔質セラミックスからなる真空吸着部1と、環状の突部によって形成され真空吸着部1を取り囲むランド部11が設けられている。また、上記真空吸着部1の下面には中心から放射状に延びる真空排気溝4と、外周側に環状に配置された真空排気溝4’が設けられ、中心部で真空排気孔3に接続される。
【0006】
このような真空吸着器14において、真空吸着器14の上面にシリコンウエハ等の試料10を載置した後、真空ポンプ(図示せず)を作動させて試料10の下部の空気を真空排気孔3から排気すると、真空吸着部1が負圧となり、突起2の間の微小隙間12は真空となるので、試料10は突起2およびランド部11(図11(a),(b)では図示せず)上に吸着される。ランド部11の上面は突起2の上面と同一平面を形成し、試料10の裏面外周縁部が密接されることで、真空吸着部1を真空封止する。試料10は、真空吸着されることで突起2およびランド部11の上面に倣い、反りや曲がりが矯正される。

【特許文献1】特開平10-128633号公報
【特許文献2】特公昭62-45696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した図9(a),(b)に示す従来のポーラス型真空吸着器14は、上述したように数10~40%の気孔率のため試料10の裏面との接触率が大きく、したがって、真空吸着部1上にダストが付着する確率が高く、付着した場合には除去しにくく、試料の平坦度を劣化させるという欠点があった。
【0008】
一方、上記した図10(a),(b)又は図11(a),(b)に示す、真空吸着部1に突起2を一体に形成した真空吸着装置の真空吸着器14にあっては、真空排気によって試料10を真空吸着部1の突起2とランド部11(図11(a),(b)では図示せず)の上面に吸着することにより、試料10の反りや変形を矯正し平面にすることができる。また、突起2により真空吸着部1と試料10との接触面積を極めて小さくすることができるので、ダスト等による平面度の低下はほとんど生じない。しかし、完全な真空封止を狙ってランド部11を設けているため、このランド部11上にダスト等が付着する可能性が高く、ポーラス型チャックと同様に試料10の外周部を高精度な平面に矯正できないという問題があった。
【0009】
また、図11(a),(b)に示すように、突起2も真空吸着部1と同様の多孔質材料からなるため、その上面に形成された突起表面にも数10μmから数100μmの気孔を持つことになり、突起径より気孔径が大きい場合には突起が形成できない、あるいは形成できても欠け部が多くなり、小さな外力により折損するなどの欠点を有していた。また、突起2と外周部に設けられたランド部11では面積分布が異なるため、加工により突起2はランド部11と比較して低く加工され、平面度を劣化させるという問題を有していた。
【0010】
本発明は上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、突起のみによる支承であるにも拘らず試料を確実に吸着し、ダスト等の影響を受けないで試料を高い平面に矯正することができ、突起全てが欠けることはなく、突起の折損なども生じにくく、微小な多数の極めて高さの低い突起からなる真空吸着部をもつ真空吸着器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、図1(a),(b)及び図2の第1の実施の形態に示すように、上面が同一平面上にある多数の突起2のみによって試料10を支承し、内部に真空ポンプに接続される真空排気孔3を設けた真空吸着器14を備えた真空吸着装置において、真空排気孔3に連通する真空吸着部1を、突起径の1/2以下の最大気孔径を有する多孔質セラミックス材料で作り、その上面に多数の微小突起2を設けるとともに、この突起2の高さを数μm程度の極めて低い高さに設定することにより前記真空吸着部1と前記試料10との間に微小隙間12を形成し、前記真空吸着部の外周部に存在する気孔を、試料外径よりわずかに内側(望ましくは0.5mm~1mm程度)の領域21まで、緻密な材料で封止したことを特徴としている。
【0012】
図3(a),(b)及び図4の第2の実施の形態に示すように、上面が同一平面上にある多数の突起2のみによって試料10を支承し、内部に真空ポンプに接続される真空排気孔3を設けた真空吸着器14を備えた真空吸着装置において、真空排気孔3に連通する真空吸着部1を、突起径の1/2以下の最大気孔径を有する多孔質セラミックス材料で作り、その上面に高さが突起径の1/2以下の多数の突起を設けるとともに、この真空吸着部を取り囲む環状のシール部24を設け、このシール部24をより加工し易いガラス、金属、無機又は有機材料などの緻密な材料で形成し、且つ、前記突起より数μm程度低く設定することによって、前記突起と試料との間にきわめて微少な隙間を形成し、さらに前記真空吸着部の外周部に存在する気孔を試料外径よりわずかに内側(望ましくは0.5mm~1mm程度)の領域21まで、緻密な材料で封止したことを特徴としている。
【0013】
図5(a),(b)の第3の実施の形態に示すように、上面が同一平面上にある多数の突起2のみによって試料10を支承し、内部に真空ポンプに接続される真空排気孔3を設けた真空吸着器14を備えた真空吸着装置において、真空排気孔3に連通する真空吸着部1を多孔質材料で作り、その上面に、真空吸着部1より緻密な材料からなる多数の微小突起2を固着して設けるとともに、この突起2の高さを数μm程度の極めて低い高さに設定することにより前記真空吸着部1と前記試料10との間に微小隙間12を形成し、前記真空吸着部の外周部に存在する気孔を、試料外径よりわずかに内側(望ましくは0.5mm~1mm程度)の領域21まで、緻密な材料で封止したことを特徴としている。
【0014】
上記真空吸着部1は、数10~40%程度の気孔率を有する多孔質セラミックス材料からなる。また、上記突起2は、高さが数μm程度(望ましくは1μm~5μm程度)であって、直径が数10~数100μm程度(望ましくは10μm~200μm程度)のガラス又は金属及び無機又は有機材料のような緻密な構造の他種材料により形成させることができる。又は、上記突起2は、上記と同様の形状の上記真空吸着部1と同質の多孔質セラミックス材料であって、最大気孔径が突起径の1/2以下で気孔率が数10~40%程度の、上記真空吸着部1よりも気孔径が小さい多孔質セラミックス材料により形成させることができる。また、上記気孔の封止材はガラス又は金属及び無機又は有機材料のような緻密な構造の他種材料により形成させることができる。
【0015】
さらに、上記目的を達成するため、本発明は、図6(a),(b)の第4の実施の形態に示すように、上面が同一平面上にある多数の微小突起102aのみによって試料10を支承し、内部に真空ポンプ7に接続される真空排気孔3を設けた真空吸着器14を備えた真空吸着装置において、
真空排気孔3に連通する真空吸着部1を多孔質材料で作り、その上面に、真空吸着部1より気孔径の小さい多孔質材料からなり、薄板状の基体102bの上面に多数の微小突起102aが一体に形成された突起板102を層状に設け、この突起102aの高さを数μm程度の極めて低い高さに設定することにより前記真空吸着部1と前記試料10との間に微小隙間12を形成し、前記真空吸着部の外周部に存在する気孔を、試料外径よりわずかに内側(望ましくは0.5mm~1mm程度)の領域21まで、緻密な材料で封止したことを特徴としている。
【0016】
上記真空吸着部1は、数10~40%程度の気孔率を有する多孔質セラミックス材料からなり、上記突起板102は、上記真空吸着部1よりも気孔径の小さい組成構造を有する多孔質セラミックス材料、すなわち突起径の1/2以下の最大気孔径で数10~40%程度の気孔率を有する多孔質セラミックス材料から、前記真空吸着部の外周部に存在する気孔を封止する緻密な材料は、ガラス又は金属及び無機又は有機材料のような選ばれた材料からなることを特徴としている。
【0017】
さらに、本発明は、図7(a),(b)、図8(a),(b)の第5、6の実施の形態に示すように、上面が同一平面上にある多数の微小突起2のみによって試料10を支承し、内部に真空ポンプ7に接続される真空排気孔3を設けた真空吸着器14を備えた真空吸着装置において、
上記真空吸着部1の中心付近に、真空吸着部1に吸着する試料10を持ち上げるリフト機構を通す穴15、もしくは周辺部に切り欠き16を設け、その穴もしくは切り欠きの周辺23(望ましくは、穴もしくは切り欠き外周端からから0.5mm~1mm程度)、及び前記真空吸着部の外周部21(望ましくは試料外径から0.5mm~1mm程度)に存在する気孔は、ガラス、金属、無機又は有機材料などの緻密な材料で封止したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
上記本発明においては、最大気孔径が突起径の1/2以下の多孔質セラミックス材料からなる真空吸着部1上に、突起2を設けることによって、もしくは多孔質材料からなる真空吸着部1上に、同種もしくは異種の、真空吸着部1より緻密なもしくは気孔径の小さい多孔質材料からなる突起2(102a)を固着して設けることによって、試料10裏面との接触面積を極めて小さくし、ダストの影響を少なくすることが可能となるので、試料10全面を容易に高精度の平面に矯正することができる。さらに、図に示すように前記真空吸着部1の外周部に存在する気孔19を、試料外径よりわずかに内側の領域21まで、緻密な材料で封止することによって、試料の外終端がわずかに面取りをされて丸くなっていても、封止された気孔19から空気がリークすることはなく、前記真空吸着部1となる封止していない気孔20をもつ領域22は高い真空度を保持することができる。
【0019】
また、薄い試料を真空吸着するためには、突起ピッチが小さく、一定間隔であることが必要であるが、上記従来のように突起径より大きい気孔を有する多孔質材料上に一体に形成された突起では、気孔部の突起が全体もしくは1/2以上欠けることもあり、一定間隔で試料を支持することができなくなるため平面度が劣化する。本発明では、最大気孔径が突起径の1/2以下の多孔質セラミックス材料からなる真空吸着部1上に突起を形成する、もしくは真空吸着部1より緻密な若しくは気孔径の小さい多孔質材料からなる突起2(102a)を、真空吸着部1の多孔質材料上に固着させるようにして形成するので、気孔部にも突起2(102a)を形成することが可能になり、一定間隔の高さの揃った突起を形成することができる。
【0020】
さらに、突起の材料も選択できるので、サンドブラスト加工に替えて、リソグラフィ技術を利用して、例えば数10μm径以下の突起を高さ数μm以下にするなど極めて小さく且つ低く形成することも可能になる。したがって、突起の間隔を小さくしてもウエハとの接触面積を増大することなく、且つ試料10と真空吸着部1との間の微小隙間を極めて小さくできる。また、前記真空吸着部1の外周部に存在する気孔を、試料外径よりわずかに内側の領域まで、緻密な材料で封止するので、気孔からの真空リークはなくなる。以上により真空リークを極限まで抑制することが可能になり、真空をシールするランド部が不要となる。
【0021】
また、図7や図8に示したように、ウエハを持ち上げるためのリフト機構を通す穴15や切り欠き16の周辺に存在する気孔を封止するだけの工程を付加するだけでよく、これらを取り囲む真空をシールするランド部を形成することなく造り上げることができるので、試料10を支承する部分を突起のみとすることができ、突起表面加工時に、工具との接触面積分布がどの部分でも等しくなるので、吸着部全面における平面度を向上することが容易になる。
【0022】
以上述べたように、本発明に係わる真空吸着装置においては、突起の上面と資料の裏面との接触面積が極めて小さいので、ゴミの影響を少なくすることが可能となり、試料全面を容易に高精度の平面に矯正することができる。また、突起の高さを極めて低く、かつ多孔質材料の気孔部上にも形成できるので、突起の強さを数倍も向上でき、耐久性を上げることができると同時に、極めてピッチの小さい一定間隔で並んだ突起の形成により200μmより薄い試料を変形することなく吸着することも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1の実施の形態)
図1(a),(b)は、本発明に係わる真空吸着装置の第1の実施の形態を示す平面図と正断面図である。図2は、同要部の拡大断面図である。
図に示すように、緻密なセラミックスからなる装置の基部5の上部に、数10~40%の気孔率を有し、最大気孔径が突起径の1/2より小さい多孔質セラミックスからなる真空吸着部1がガラス剤などにより溶着される。さらに真空吸着部1の上面に、多数の円形断面をもつピン状の微小突起2が設けられ、微小突起2は真空吸着時に試料10にたわみを生じないように試料10の厚さに応じたピッチにて離散配置され、かつ接触面積を減らすためにできる限り小さく造られている。また、真空吸着部1の外周部に存在する気孔を、試料外径よりわずかに内側(望ましくは0.5mm~1mm程度)の領域21まで、緻密な材料で封止している。
本実施例では、突起2は最大気孔径が突起径の1/2以下の多孔質セラミックス材料からなる真空吸着部1上に造られているので、最大気孔径が突起径より大きい多孔質材料からなる突起と比較して折損し難く、突起に一部欠けを発生することはあるが全体が欠けることはない。したがって、一定間隔で配置された突起を造ることができ、薄い厚さの試料10を変形なく吸着することが可能になる。
【0024】
(第2の実施の形態)
図3(a),(b)は、本発明に係わる真空吸着装置の第2の実施の形態を示す平面図と正断面図である。図4は、同要部の拡大断面図である。
図に示すように、緻密なセラミックスからなる装置の基部5の上部に、数10~40%の気孔率を有し、最大気孔径が突起径の1/2より小さい多孔質セラミックスからなる真空吸着部1が形成される。さらに真空吸着部1の上面に、多数の円形断面をもつピン状の微小突起2が設けられ、微小突起2は真空吸着時に試料10にたわみを生じないように試料10の厚さに応じたピッチにて離散配置され、かつ接触面積を減らすためにできる限り小さく造られている。この真空吸着部1を取り囲む環状のシール部24を設け、このシール部24をより加工し易いガラス、金属、無機又は有機材料などの緻密な材料で形成し、且つ、前記突起より数μm程度低く設定することによって、前記突起と試料との間にきわめて微少な隙間を形成し、さらに真空吸着部1の外周部に存在する気孔を試料外径よりわずかに内側(望ましくは0.5mm~1mm程度)の領域21まで、緻密な材料で封止している。
本実施例では、突起2は最大気孔径が突起径の1/2以下の多孔質セラミックス材料からなる真空吸着部1上に造られ、且つ、高さも突起径の1/2以下と低いので、最大気孔径が突起径より大きく、高さも突起径より大きい多孔質材料からなる突起と比較して折損し難く、突起に一部欠けを発生することはあるが全体が欠けることはない。したがって、一定間隔で配置された突起を造ることができ、薄い厚さの試料10を変形なく吸着することが可能になる。
【0025】
(第3の実施の形態)
図5(a),(b)は、本発明に係わる真空吸着装置の第3の実施の形態を示す平面図と正断面図である。
図に示すように、緻密なセラミックスからなる装置の基部5の上部に、数10~40%の気孔率を有する多孔質セラミックスからなる真空吸着部1がガラス剤などにより溶着される。さらに真空吸着部1の上面に、多数の円形断面をもつ異種もしくは同種の真空吸着部1より緻密な若しくは気孔径小さい多孔質材料からなるピン状の微小突起2が固着して設けられ、微小突起2は真空吸着時に試料10にたわみを生じないように試料10の厚さに応じたピッチにて離散配置され、かつ接触面積を減らすためにできる限り小さく造られている。真空吸着部1の外周部に存在する気孔を、試料外径よりわずかに内側(望ましくは0.5mm~1mm程度)の領域21まで、緻密な材料で封止している。
【0026】
上記突起2を真空吸着部1に固着させる方法としては、スピンコーティング法、CVDスパッタ法、ディップ法等の公知の方法により薄膜を形成後、リソグラフ技術やサンドブラスト法等により突起を製作するプロセスを用いることができる。
【0027】
基部5の上面の真空吸着部1と接する部分には、真空排気溝4、4’が設けられている。真空排気溝4は中心から放射状に、真空排気溝4’は真空吸着部1の外周部に環状に配置され、それらは互いに連通している。真空排気溝4は真空排気孔3に連通し、真空排気孔3は真空ポンプ7に連結されている。
【0028】
上記真空吸着器14においては、真空排気孔3から空気を排出することにより、図に示す矢印のように空気が流れ、試料10と真空吸着部1間の微小隙間12の空気が排出される。突起2は極めて低く造られ、且つ、この領域21で示されるポーラス上にある気孔は封止されているので、ランド部が無くても試料外周から空気の流入は抑制され、微小隙間12の圧力が下がり、試料10は大気圧により微小突起2の上面に押さえつけられ、試料10が平面に矯正される。
【0029】
このような真空吸着装置においては、多孔質セラミックスからなる真空吸着部1の上面に、微小突起2を固着して設けているので、微小突起2の上面と試料10の裏面との接触面積は極めて小さく、微小突起2の上面と試料10の裏面との接触率を、従来のポーラス型真空吸着器に比較し10分の1以下に減少させることができる。
【0030】
したがって、ゴミの影響を少なくすることが可能となり、試料10の全面を容易に高精度の平面に矯正することができる。また、微小突起2の間に存在する空気は真空吸着部1の多孔質材料の気孔を通って真空排気溝4、4’に流れ込むので、微小突起2の高さを大きくしなくても真空度分布を均一にすることができる。前記突起2の高さはゴミを落とすことができる高さで十分であり、1μmから5μm程度、すなわちピン径に対し20分の1以下と小さくすることができる。したがって、微小突起2の高さは断面の直径に比べて数10分から100分の一近くまで小さく形成することができるので、微小突起2は破損しにくく、かつ微小突起2の間の溝が浅いので、ゴミなどが付着したとしても容易に洗浄除去することができる。
【0031】
また、微小突起2の高さを小さくすれば微小突起2の直径をさらに小さくすることができるので、試料10の裏面と微小突起2の上面との接触率を一層小さくすることができ、ゴミの影響を極限まで抑制することができる。さらに、微小突起2のピッチを小さくすることによって薄い試料10を変形させることなく真空吸着することも可能になる。
【0032】
突起2は、真空吸着部1より緻密な異種もしくは同種の材料で造られているので、多孔質材料からなる突起と比較して折損し難く、また、真空吸着部1上に気孔があった場合にも突起を造ることが可能になり、多孔質材料からなる真空吸着部1の上面に一定間隔で配置された突起を造ることができる。
【0033】
真空排気孔3には、接続ホース6を介して真空ポンプ7および清浄空気を供給することができる清浄空気供給装置8に連結され、接続ホース6に切替弁9が設けられている。
【0034】
上記真空吸着装置においては、試料10すなわち半導体ウエハを真空吸着部1に載置し、切替弁9を切り替えて真空ポンプ8と真空排気孔3とを導通すると、真空排気溝4、4’を通って真空排気孔3から矢印で示すように空気が排出され、突起2と試料10の裏面間にある空気は多孔質の穴を通って排出される。このことによって、試料10と真空吸着部1との間の圧力が下がり、試料10は大気圧により微小突起2の上面に押さえつけられ、試料10が平面に矯正される。つぎに、切替弁9を切り替えて真空ポンプ7と真空排気孔3との導通を切り、清浄空気供給装置8と真空排気孔3とを導通し、真空排気孔3に清浄空気を送ると、清浄空気が真空吸着部1の上面から吹き出すから、試料10は空気圧により容易に離脱する。そして、次の試料10が載置されるまで、清浄空気を流し続ける。この状態で、試料10が真空吸着部1の上面に載置されたとき、切替弁9を切り替えて真空ポンプ7と真空排気孔3とを導通すると、試料10は真空吸着される。
【0035】
なお、上述実施の形態においては、突起としてピン状の微小突起2を設けたが、突起として特開平7-302832号公報の図3に示されるような多数の同心円上に配置された環状突起を設けてもよい。また、上述実施の形態においては、断面が円形の微小突起2を設けたが、断面が矩形等の微小突起を設けてもよい。また、上述実施の形態においては、円形の真空吸着部1を設けたが、矩形、楕円等の真空吸着部を設けてもよい。また、上述実施の形態においては、多孔質材料からなる真空吸着部として多孔質セラミックスからなる真空吸着部1を用いたが、多孔質からなる真空吸着部として他の多孔質材料からなる真空吸着部を用いてもよい。
【0036】
(第4の実施の形態)
図6(a),(b)は、本発明に係わる真空吸着装置の第4の実施の形態を示す平面図と正断面図である。
第4の実施の形態では、上記と同様の真空吸着部1の上面に、真空吸着部1より気孔径の小さい多孔質材料からなり、薄板状の基体102bの上面に多数の微小突起102aが一体に形成された突起板102を層状に設けている。真空吸着部1と突起板102とは、ガラス剤による部分溶着、あるいは嵌合などにより固定されている。もしくは、泥奨鋳込法などによって成形されている。また、真空吸着部1の外周部に存在する気孔を、試料外径よりわずかに内側(望ましくは0.5mm~1mm程度)の領域21まで、緻密な材料で封止している。
【0037】
上記突起板102は、上記真空吸着部1よりも気孔径の小さい組成構造を有する多孔質セラミックス材料、すなわち突起径の1/2以下の最大気孔径で数10~40%程度の気孔率を有する多孔質セラミックス材料により形成されている。また、突起102aの高さは、1μmから5μm程度の極めて低い高さに設定されている。また、基体102bのさは、空気の流量抵抗を抑制するために数100μm~数mm以下とされている。

【0038】
上記第4の実施の形態の説明において、上記第1の実施の形態と対応する箇所の図面には、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略した。
【0039】
(第5の実施の形態)
図7(a),(b)は、本発明に係わる真空吸着装置の第5の実施の形態を示す平面図とAOA'断面図である。
第5の実施の形態では、上記真空吸着部1の中心部に試料10を持ち上げるリフト機構を通す穴15が3個設けられている。この穴15を通して試料10は上部に持ち上げられ、側面から挿入された受け渡し用の搬送アームにより試料10は搬出される。従来のセラミックス製の真空ピンチャックでは突起の高さが数100μmと大きかったため、この穴10の周りに真空をシールするランド部を設けて真空漏れを防いでいたが、本発明では穴10の側内面17(AOA'断面に太線で示す)部及び穴の周辺近郊に存在する気孔をガラス剤や高分子樹脂などにより封止するだけでよく、ランド部を新たに設ける必要はない。
【0040】
(第6の実施の形態)
図8(a),(b)は、本発明に係わる真空吸着装置の第6の実施の形態を示す平面図とAOA'断面図である。
第6の実施の形態では、上記真空吸着部1の周辺に試料10を持ち上げるリフト機構を通す切り欠き16が3カ所設けられている。この切り欠き16に下方から上方に向かってリフト機構が上昇して、試料10は上に持ち上げられ、側面から挿入された受け渡し用の搬送アームにより搬出される。従来のセラミックス製の真空ピンチャックでは突起の高さが数100μmと大きかったため、この切り欠き16の周りに真空をシールするランド部を設けて真空漏れを防いでいたが、本発明では切り欠き16の側内面18(AOA'断面に斜めのハッチングで示す)部と切り欠きの周辺近傍に存在する気孔をガラス剤や高分子樹脂などにより封止するだけでよく、ランド部を新たに設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】(a),(b)は本発明の第1の実施の形態に係る真空吸着装置を構成する真空吸着器の一実施例を示す平面図および正断面図である。
【図2】同要部の拡大断面図である。
【図3】(a),(b)は本発明の第2の実施の形態に係る真空吸着装置を構成する真空吸着器の一実施例を示す平面図および正断面図である。
【図4】同要部の拡大断面図である。
【図5】(a),(b)は本発明の第3の実施の形態に係る真空吸着装置を構成する真空吸着器の一実施例を示す平面図および正断面図である。
【図6】(a),(b)は本発明の第4の実施の形態に係る真空吸着装置を構成する真空吸着器の一実施例を示す平面図および正断面図である。
【図7】(a),(b)は本発明の第5の実施の形態に係る真空吸着装置を構成する真空吸着器の一実施例を示す平面図およびAOA'断面図である。
【図8】(a),(b)は本発明の第6の実施の形態に係る真空吸着装置を構成する真空吸着器の一実施例を示す平面図およびAOA'断面図である。
【図9】(a),(b)は従来のポーラス型真空吸着器の正面図および正断面図である。
【図10】(a),(b)は従来の多孔質突起をもつポーラス型真空吸着器の正面図および正断面図である。
【図11】(a),(b)は従来の多孔質突起をもつポーラス型真空吸着器の拡大正面図および拡大正断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1…真空吸着部、2…突起、3…真空排気孔、4,4’…真空排気溝、5…基部、6…接続ホース、7…真空ポンプ、8…清浄空気供給装置、9…切替弁、10…試料、11…ランド部、12…微小隙間、14…真空吸着器、15…リフト機構を通す穴、16…リフト機構を通す切り欠き、17…リフト機構を通す穴側面、18…リフト機構を通す切り欠き側面、19…封止した気孔、20…気孔、21…試料外径よりわずかに内側まで封止した領域、22…真空吸着部となる封止されていない領域、23…穴や切り欠き周辺の気孔を封止した領域、24…シール部、102…突起板、102a…突起、102b…基体。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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