TOP > 国内特許検索 > 合成開口レーダ画像処理装置 > 明細書

明細書 :合成開口レーダ画像処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3882086号 (P3882086)
公開番号 特開2006-029979 (P2006-029979A)
登録日 平成18年11月24日(2006.11.24)
発行日 平成19年2月14日(2007.2.14)
公開日 平成18年2月2日(2006.2.2)
発明の名称または考案の名称 合成開口レーダ画像処理装置
国際特許分類 G01S  13/90        (2006.01)
FI G01S 13/90
請求項の数または発明の数 4
全頁数 6
出願番号 特願2004-209165 (P2004-209165)
出願日 平成16年7月15日(2004.7.15)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成16年3月8日 社団法人電子情報通信学会発行の「電子情報通信学会2004年総合大会講演論文集」に発表
審査請求日 平成16年7月15日(2004.7.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】國方 貴光
個別代理人の代理人 【識別番号】100079290、【弁理士】、【氏名又は名称】村井 隆
審査官 【審査官】中村 説志
参考文献・文献 特開2004-198275(JP,A)
特開2004-125592(JP,A)
特開昭62-182881(JP,A)
特開昭61-201180(JP,A)
大内和夫,「リモートセンシングのための合成開口レーダの基礎」,東京電機大学出版局,2004年 1月20日,第1版,p.272-280
土田正芳、外2名,“合成開口レーダ画像の分解能を保持したスペックル雑音低減方法”,電子情報通信学会2003年総合大会講演論文集,2003年 3月 3日,通信1,p.264(B-2-5)
調査した分野 G01S 7/00- 7/42
G01S13/00-13/95
G06T 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
レンジ参照関数を用いて合成開口レーダの信号データをレンジ圧縮するレンジ圧縮部と、アジマス参照関数を用いてレンジ圧縮後の信号データをアジマス圧縮するアジマス圧縮部とを有する合成開口レーダ画像処理装置において、
合成開口レーダの搭載された移動プラットホームの測定速度に対して、異なる速度バイアスを与えた複数の速度データから、複数のアジマス参照関数を生成するアジマス参照関数生成部と、加算処理部とを備え、
前記複数のアジマス参照関数を用いて前記アジマス圧縮部でアジマス圧縮した複数の画像信号データを前記加算処理部で加算することを特徴とする合成開口レーダ画像処理装置。
【請求項2】
前記加算処理部の加算データに対してマルチルック処理を行うマルチルック処理部を更に備える請求項1記載の合成開口レーダ画像処理装置。
【請求項3】
前記速度バイアスが時間によって変化するものである請求項1又は2記載の合成開口レーダ画像処理装置。
【請求項4】
前記速度バイアスが前記移動プラットホームの速度を測定する速度測定装置の測定分解能未満の値である請求項1,2又は3記載の合成開口レーダ画像処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、航空機や人工衛星等の移動プラットホームに搭載して地表や海面の高分解能画像を得る合成開口レーダの画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
合成開口レーダの信号データ(生データ)をレンジ圧縮及びアジマス圧縮した結果をそのまま映像化したものをシングルルック(single-look)画像と呼ぶが、この画像にはスペックル雑音(speckle noise)と呼ばれる輝度の揺らぎが顕著に現れる。
【0003】
このため、従来の合成開口レーダの画像再生処理ではマルチルック(multi-look)と呼ぶ処理を施してスペックル雑音を低減している。マルチルック処理には次の二つの方法がある。
(1) 合成開口長をN区分(Nは2以上の任意の整数)に分け、区分ごとに相関処理を施して画像を作成し、それらを加え合わせる。合成開口長の区分けは周波数領域で分ける。
(2) 隣接するN個(Nは2以上の任意の整数)の空間分解能のパワーの平均値を求め、それをそのN個のセルのパワーとする。
いずれの場合においても、1空間分解能の面積は元画像のN倍となる。
【0004】
図3は従来の合成開口レーダ画像処理装置を表したものである。1は合成開口レーダが搭載された移動プラットホーム(例えば、航空機や人工衛星等の飛行プラットホーム)の測定速度よりアジマス圧縮のためのアジマス参照関数を生成するアジマス参照関数生成部、2は生データ(合成開口レーダの信号データ)に対してレンジ圧縮を行うレンジ圧縮部、3はアジマス圧縮を効率化するためのデータ並び換えを行うコーナターニング部、4はアジマス圧縮を行うアジマス圧縮部、5はマルチルック処理を行うマルチルック処理部、6はレンジ圧縮のためのレンジ参照関数を生成するレンジ参照関数生成部である。
【0005】
次に、図3の画像処理装置の動作を説明する。合成開口レーダは、移動プラットホームに設けられており、観測領域に対して電波を送信するとともに、前記観測領域からのエコーを受信(増幅、復調)して一連の受信信号列を生成する送受信手段を有しており、前記一連の受信信号列がレンジ圧縮部2に生データとして入力される。レンジ圧縮部2はFFT(高速フーリエ変換)及びIFFT(逆高速フーリエ変換)処理機能を具備し、前記生データをFFT処理後、レンジ参照関数生成部6で生成されたレンジ参照関数を用いてレンジ圧縮(レンジ方向のパルス圧縮)のための演算処理を行い、さらにIFFT処理を行う。
【0006】
コーナターニング部3ではレンジ圧縮部2の出力信号を受け、アジマス圧縮を効率化するためのデータ並び換えを行ってアジマス圧縮部4に出力する。
【0007】
アジマス圧縮部4はFFT及びIFFT処理機能を具備し、前記コーナターニング部3の出力信号をFFT処理後、アジマス参照関数生成部1で生成されたアジマス参照関数を用いてアジマス圧縮のための演算処理を行い、さらにIFFT処理を行う。
【0008】
マルチルック処理部5はアジマス圧縮部4の出力信号(シングルルック画像)に対して上述したマルチルック処理を行い、スペックル雑音を低減した画像を生成する。
【0009】
上記図3の画像処理フローを記載したものとして下記非特許文献1がある。

【非特許文献1】「地球環境計測」141頁~152頁、岡本謙一 編著、平成11年10月25日第1版第1刷、株式会社オーム社発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上に述べた従来のスペックル雑音低減法であるマルチルック処理の問題点は、1空間分解能の面積は元画像のN倍となる、つまり画像の分解能が劣化することである。
【0011】
本発明は、上記の点に鑑み、画像の分解能を劣化させることなく、あるいは従来よりも劣化の程度を小さくして合成開口レーダ画像のスペックル雑音低減を実現可能な合成開口レーダ画像処理装置を提供することを目的とする。
【0012】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る合成開口レーダ画像処理装置は、レンジ参照関数を用いて合成開口レーダの信号データをレンジ圧縮するレンジ圧縮部と、アジマス参照関数を用いてレンジ圧縮後の信号データをアジマス圧縮するアジマス圧縮部とを有する構成において、
合成開口レーダの搭載された移動プラットホームの測定速度に対して、異なる速度バイアスを与えた複数の速度データから、複数のアジマス参照関数を生成するアジマス圧縮参照関数生成部と、加算処理部とを備え、
前記複数のアジマス参照関数を用いて前記アジマス圧縮部でアジマス圧縮した複数の画像信号データを前記加算処理部で加算することを特徴としている。
【0014】
前記合成開口レーダ画像処理装置において、前記加算処理部の加算データに対してマルチルック処理を行うマルチルック処理部を更に備える構成でもよい。
【0015】
また、前記速度バイアスが時間によって変化するものであってもよい。
【0016】
さらに、前記速度バイアスが前記移動プラットホームの速度を測定する速度測定装置の測定分解能未満の値であるとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る合成開口レーダ画像処理装置によれば、シングルルック画像を得る段階で画像生成に使用する移動プラットホームの測定速度に対して速度バイアス(時間によって変化するバイアスを含む)を与えて画像を複数生成し、これらを加算することで、分解能を劣化させることなく合成開口レーダ画像のスペックル雑音低減を実現することができる。また、マルチルック処理と組み合わせることで、従来のものよりスペックル雑音を効果的に低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、合成開口レーダ画像処理装置の実施の形態を図面に従って説明する。
【0019】
図1は本発明に係る合成開口レーダ画像処理装置の実施の形態1を示し、レンジ圧縮部2、コーナターニング部3、アジマス圧縮部4、レンジ参照関数生成部6の構成は図3の従来装置と同様である。
【0020】
この実施の形態1では、合成開口レーダの搭載された移動プラットホーム(例えば、航空機や人工衛星等の飛行プラットホーム)の測定速度に対して、異なる速度バイアスを与えて複数の速度データを得るための前処理部7が設けられている。そして、前処理部7で作成された複数の異なる速度データから、アジマス参照関数生成部1にて複数のアジマス参照関数を生成してアジマス圧縮部4にそれぞれ出力するようになっている。アジマス圧縮部4は速度バイアス付与による異なる速度データに対応したアジマス参照関数毎にアジマス圧縮信号(シングルルック画像)を出力し、それらが加算処理部8に入力され、ここで加算処理され、これにより画像の分解能を劣化させることなくスペックル雑音を低減した画像生成を行っている。
【0021】
本実施の形態1では、合成開口レーダ画像生成において、シングルルック画像の段階で画像生成に使用する移動プラットホームの速度測定装置の測定分解能をスペックル雑音低減に利用することができる。前記速度測定装置の測定分解能から、速度データの測定誤差範囲が±αm/s未満(αは任意の数)と見積ることができる場合、つまり出力された速度に±αm/s未満の誤差が含まれるとすると、その測定誤差範囲内の速度バイアス(時間によって変化するバイアスを含む)を前記前処理部7にて複数個与えることにより、複数のシングルルック画像が生成できる。このようにして生成した複数の画像をマルチルック処理のように加算処理部8にて加算することで、分解能を劣化させることなくスペックル雑音を低減することが可能である。このとき、前記速度バイアスが移動プラットホームの速度を測定する速度測定装置の測定分解能未満の値であるため、速度バイアスによる精度低下は生じないと考えてよい。
【0022】
また、前記前処理部7において、与える速度バイアス(時間によって変化するバイアスを含む)を前記速度測定装置の測定分解能によらず、任意に設定することもできる。この場合、速度バイアスの選択範囲の制限を無くして、任意の速度バイアスを与えて複数のシングルルック画像を生成して加算処理部8にて加算することで、分解能を劣化させることなくスペックル雑音を低減する。
【0023】
図2は本発明の実施の形態2を示す。この場合、図1の実施の形態1の構成に加えてマルチルック処理部5を設け、加算処理部8の出力信号に対して図3の従来技術で述べたマルチルック処理を行って、さらにスペックル雑音を低減している。
【0024】
なお、その他の構成は前述した実施の形態1と同様であり、同一又は相当部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0025】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る合成開口レーダ画像処理装置の実施の形態1を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2を示すブロック図である。
【図3】従来の合成開口レーダ画像処理装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0027】
1 アジマス参照関数生成部
2 レンジ圧縮部
3 コーナターニング部
4 アジマス圧縮部
5 マルチルック処理部
6 レンジ参照関数生成部
7 前処理部
8 加算処理部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2