TOP > 国内特許検索 > 表面情報取得装置及び表面情報取得方法 > 明細書

明細書 :表面情報取得装置及び表面情報取得方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4910131号 (P4910131)
公開番号 特開2008-015280 (P2008-015280A)
登録日 平成24年1月27日(2012.1.27)
発行日 平成24年4月4日(2012.4.4)
公開日 平成20年1月24日(2008.1.24)
発明の名称または考案の名称 表面情報取得装置及び表面情報取得方法
国際特許分類 G02B  21/00        (2006.01)
FI G02B 21/00
請求項の数または発明の数 8
全頁数 18
出願番号 特願2006-187102 (P2006-187102)
出願日 平成18年7月6日(2006.7.6)
審査請求日 平成21年6月24日(2009.6.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
発明者または考案者 【氏名】伊藤 研策
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100092657、【弁理士】、【氏名又は名称】寺崎 史朗
【識別番号】100132090、【弁理士】、【氏名又は名称】飯塚 敬子
審査官 【審査官】殿岡 雅仁
参考文献・文献 特開2000-081382(JP,A)
特開平09-288009(JP,A)
特開2002-022640(JP,A)
特開2005-181085(JP,A)
特開2003-329411(JP,A)
特開2008-014832(JP,A)
調査した分野 G02B 21/00
G02B 21/06 - 21/36
特許請求の範囲 【請求項1】
試料の表面上方においてプローブ粒子を浮遊させ、当該浮遊しているプローブ粒子の像を撮像して得られたプローブ画像に基づいて前記試料の表面情報を取得する表面情報取得装置であって、
前記プローブ画像における前記プローブ粒子の大きさを規定する測定値を求める大きさ規定値特定手段と、
前記プローブ画像における前記プローブ粒子の大きさを規定する値と基準面からの前記プローブ粒子の距離との関係を示す校正データと、前記大きさ規定値特定手段で求められた前記測定値と、に基づいて前記プローブ粒子の前記基準面からの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記プローブ粒子の位置情報に基づいて前記試料の前記表面情報を取得する表面情報取得手段と、を備えることを特徴とする表面情報取得装置。
【請求項2】
前記試料及び前記プローブ粒子は、同符号で荷電していることを特徴とする請求項1記載の表面情報取得装置。
【請求項3】
前記プローブ粒子が球体であることを特徴とする請求項1又は2記載の表面情報取得装置。
【請求項4】
前記プローブ粒子を照射する光を出力する光源をさらに備えることを特徴とする請求項1~3の何れか一項記載の表面情報取得装置。
【請求項5】
試料の表面上方においてプローブ粒子を浮遊させ、当該浮遊しているプローブ粒子の像を撮像して得られたプローブ画像に基づいて前記試料の表面情報を取得する表面情報取得方法であって、
前記プローブ画像における前記プローブ粒子の大きさを規定する値と基準面からの前記プローブ粒子の距離との関係を示す校正データを用意する校正データ準備ステップと、
前記プローブ画像における前記プローブ粒子の大きさを規定する測定値を求める大きさ規定値測定ステップと、
前記校正データと、前記大きさ規定値特定手段で求められた前記測定値と、に基づいて前記プローブ粒子の前記基準面からの位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記プローブ粒子の前記位置情報に基づいて前記試料の前記表面情報を取得する表面情報取得ステップと、を備えることを特徴とする表面情報取得方法。
【請求項6】
前記試料及び前記プローブ粒子は、同符号で荷電していることを特徴とする請求項5記載の表面情報取得方法。
【請求項7】
前記プローブ粒子が球体であることを特徴とする請求項5又は6記載の表面情報取得方法。
【請求項8】
前記プローブ粒子が光源から出力される光によって照射されていることを特徴とする請求5~7の何れか一項記載の表面情報取得方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、表面情報取得装置及び表面情報取得方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、試料の表面情報を取得する方法として、原子間力顕微鏡(Atomic-Force Microscopy;以下、AFMという)を用いる方法、あるいは一対のマイクロ電極を用いる方法などが一般に知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1、2参照)。AFMを用いた取得では、探針を装着したカンチレバーが試料表面を走査し、当該試料表面と探針との間の原子間力による探針の変位を測定することによって試料の表面情報が取得される。また、マイクロ電極を用いた取得では、一対のマイクロ電極が試料表面を走査し、当該マイクロ電極によって得られた電気伝導度から試料表面の電位分布が求められ、試料の表面情報が取得される。

【特許文献1】米国特許第4724318号明細書
【非特許文献1】G.Binning, et al., Atomic Force Microscope, Phys. Rev. Letters, 56,930 (1986)
【非特許文献2】青木幸一、森田雅夫、堀内勉、丹羽修共著、「微小電極を用いる電気化学測定法」(電子情報通信学会編)、平成10年発行、第2及び第3章
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらを用いた表面情報の取得においては、試料表面上に液体あるいは気体などが存在して流動している場合に情報の取得が困難となってしまうという問題が発生してしまう。すなわち、AFMを用いた場合、カンチレバーが液体等の流れによる力の作用を受けてしまうため、表面の正確な計測ができなくなってしまう。また、マイクロ電極を用いた場合もやはり、マイクロ電極が液体等の流れによる力の作用を受けてしまうため、正確な計測ができなくなってしまう。
【0004】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、試料表面において液体等が流動している場合であっても表面情報を取得することが可能な表面情報取得装置及び表面情報取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明による表面情報取得装置は、試料の表面上方においてプローブ粒子を浮遊させ、当該浮遊しているプローブ粒子の像を撮像して得られたプローブ画像に基づいて試料の表面情報を取得する表面情報取得装置であって、プローブ画像におけるプローブ粒子の大きさを規定する測定値を求める大きさ規定値特定手段と、プローブ画像におけるプローブ粒子の大きさを規定する値と基準面からのプローブ粒子の距離との関係を示す校正データと、大きさ規定値特定手段で求められた測定値と、に基づいてプローブ粒子の基準面からの位置情報を取得する位置情報取得手段と、プローブ粒子の位置情報に基づいて試料の表面情報を取得する表面情報取得手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
一方、本発明による表面情報取得方法は、試料の表面上方においてプローブ粒子を浮遊させ、当該浮遊しているプローブ粒子の像を撮像して得られたプローブ画像に基づいて試料の表面情報を取得する表面情報取得方法であって、プローブ画像におけるプローブ粒子の大きさを規定する値と基準面からのプローブ粒子の距離との関係を示す校正データを用意する校正データ準備ステップと、プローブ画像におけるプローブ粒子の大きさを規定する測定値を求める大きさ規定値測定ステップと、校正データと、大きさ規定値特定手段で求められた測定値と、に基づいてプローブ粒子の基準面からの位置情報を取得する位置情報取得ステップと、プローブ粒子の位置情報に基づいて試料の表面情報を取得する表面情報取得ステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記表面情報取得装置及び表面情報取得方法では、プローブ粒子は、例えば試料表面と相互作用を及ぼし合って分布する、あるいは試料表面の形状に則って分布する等、試料表面と有機的に関連して位置する。そのため、上記表面情報取得装置及び表面情報取得方法では、プローブ粒子の位置情報から試料表面の情報を取得することが可能となる。また、試料表面上に液体あるいは気体が存在し当該液体等が流動している場合であっても、プローブ粒子は浮遊しているため、流動によって妨げられることなく試料の表面情報を取得することが可能となる。また、プローブ粒子の大きさを変えることで所望のスケールで表面情報を取得することが可能となる。また、マイクロ電極などの電極を用いての計測と異なり、試料に対し電流を流す必要がないため、試料表面が電流による影響を受けることなく取得することができる。
【0008】
試料及びプローブ粒子は、同符号で荷電していることが好ましい。この場合、プローブ粒子は、当該プローブ粒子の電位と試料表面の電位との間の相互作用による影響を受けて位置する。そのため、プローブ粒子の位置情報を得ることで、試料表面の表面電位を取得することが可能となる。
【0009】
プローブ粒子が球体であることが好ましい。この場合、プローブ画像によって得られるプローブ粒子の像は円となるので、プローブ粒子の大きさを規定する値として当該円の直径を採用することができる。これにより、プローブ粒子を撮像する方向に依存せずにプローブ粒子の大きさを規定する値を得ることができ、表面情報の取得が容易になる。
【0010】
表面情報取得装置は、プローブ粒子を照射する光を出力する光源をさらに備えてもよい。あるいは、表面情報取得方法は、プローブ粒子が光源から出力される光によって照射されていてもよい。この場合、自身で光を発しないプローブ粒子を用いて表面情報を取得することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、試料表面において液体等が流動している場合であっても表面情報を取得することが可能な表面情報取得装置及び表面情報取得方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る表面情報取得装置1Aの構成を示す図である。図1に示すように表面情報取得装置1Aは、光源2と、結像装置(結像手段)3と、撮像装置(撮像手段)4と、画像処理装置(画像処理手段)10と、表示装置(表示手段)5とを備え、試料である透明な基板Sの表面情報を複数のプローブ粒子Pを利用して取得する。表面情報取得装置1Aは、透明な基板Sに対する透過型の顕微鏡として構成されている。透明な基板Sは、例えば透明ガラスプレートであり、試料ステージ6上に載置されている。
【0014】
基板SとカバーガラスGとの間には溶液が満たされており、当該溶液中には複数のプローブ粒子Pが含まれている。プローブ粒子Pは何れも球体であり、それぞれ試料の表面から所定距離離れて溶液中を浮遊している。基板Sは結像装置3の焦点面Fとは一致せず、本実施形態では基板Sは結像装置3の焦点面Fが当該基板SとカバーガラスGとの間に位置するように配置される。プローブ粒子Pとして例えば、径が約1μmのポリスチレンラテックス微粒子を用いる。基板S及びプローブ粒子Pは、同符号で荷電していてもよい。
【0015】
光源2は、試料ステージ6の下方に、すなわち基板Sのプローブ粒子Pが配置されていない側に位置する。光源2は、基板S及びプローブ粒子Pを照射する光lを出力する。
【0016】
結像装置3は、基板Sのプローブ粒子Pが配置されている側に位置する。結像装置3は、結像光学系を有し、光源2から出力された光lによって照射されたプローブ粒子Pの像(プローブ像)を撮像装置4の受光面上に結ぶ。
【0017】
撮像装置4は、結像装置3によって結像されたプローブ像を撮像するCCDカメラである。撮像装置4は、プローブ像を撮像して得られたプローブ画像を画像処理装置10に出力する。
【0018】
画像処理装置10は、撮像されたプローブ画像を撮像装置4から入力する。画像処理装置10は、撮像装置4から出力されたプローブ画像からプローブ粒子Pの位置情報を取得し、当該位置情報から基板Sの表面情報を取得する。画像処理装置10は、取得した基板Sの表面情報を表示装置5へ出力する。なお、画像処理装置10は、必要に応じてプローブ画像を表示装置5へ出力してもよい。
【0019】
表示装置5は、画像処理装置10から入力された基板Sの表面情報あるいはプローブ画像を表示する。この表示装置5としては、例えば、CRTモニタや、液晶ディスプレイなどを用いることができる。
【0020】
次に、図2を参照して画像処理装置10の機能について説明する。図2に示すように、画像処理装置10は、校正データ格納部11と、大きさ規定値特定部12と、位置情報取得部13と、表面情報取得部14とを有する。
【0021】
校正データ格納部11には、プローブ画像におけるプローブ粒子Pの大きさを規定する値とプローブ粒子Pの基板S表面からの距離との関係を示す校正データが格納されている。本実施形態ではプローブ粒子Pは球体であるため、プローブ粒子Pの大きさを規定する値を、画像上におけるプローブ粒子Pの直径とする。
【0022】
図3に校正データによって得られるグラフを示す。図3のグラフの横軸は試料である基板Sの表面に直交する方向(以下、z方向という)での焦点面Fからの距離Z(μm)を表し、縦軸はプローブ画像におけるプローブ粒子Pの直径の大きさd(μm)を表す。結像装置3の焦点面Fは、プローブ粒子の位置を特定するための基準面として機能する。図3のグラフにおける円は実際の測定データを表し、曲線はこれらの測定データに対してフィッティングを行った結果である。校正データ格納部11は、例えばフィッティングによって得られた関係式を校正データとして格納する。あるいは、校正データ格納部11は、例えば実際の測定データを校正データとして格納する。図4に、校正データ格納部11が実際の測定データを校正データとして格納する場合における校正データの表を示す。
【0023】
結像装置3の焦点面Fの基板S表面からの位置は既知である。したがって図3のグラフから理解されるように、校正データによれば、プローブ粒子Pの直径の大きさdを得ることによって、プローブ粒子Pの基板S表面からの距離Zを求めることができる。ここで、焦点面Fからそれぞれ距離Z、Z、Zだけ離れているプローブ粒子P、P、Pの、距離Z、Z、Zとプローブ画像における直径d、d、dとの関係を説明する。説明に際し、図5~6を参照する。
【0024】
図5は、プローブ粒子P、P、Pと焦点面Fとの関係を説明するための図である。図5に示されているように、プローブ粒子Pは焦点面Fに位置し、焦点面FからZ(=0)だけ離れている。プローブ粒子Pは焦点面Fに対しZ(<Z)の位置にある。プローブ粒子Pは焦点面Fに対しZ(>Z)の位置にある。
【0025】
図6は、撮像されたプローブ画像におけるプローブ粒子P、P、Pの画像である。図6(a)はプローブ粒子Pの、図6(b)はプローブ粒子Pの、図6(c)はプローブ粒子Pの画像である。図6に示されるように、焦点面Fに位置するプローブ粒子Pの画像(図6(b))における円の大きさ(直径の大きさ)は、他のプローブ粒子P、Pの画像(図6(a)、(c))における円(直径)に比べて小さくなる。図6(a)に示された二点鎖線T、図6(b)に示された二点鎖線T、図6(c)に示された二点鎖線Tはそれぞれプローブ画像におけるプローブ粒子の中心点を通り、各プローブ粒子の画像を横断する線である。また、図6(a)に示された直径d12、図6(b)に示された直径d10、図6(c)に示された直径d11はそれぞれプローブ画像におけるプローブ粒子の白い輪で表される像の直径である。図6(a)に示された直径d22、図6(b)に示された直径d20、図6(c)に示された直径d21はそれぞれプローブ画像におけるプローブ粒子の黒い輪で表される像の直径である。
【0026】
図7は、プローブ画像における各プローブ粒子P、P、Pの強度を示すグラフである。図7(a)はプローブ粒子Pの、図7(b)はプローブ粒子Pの、図7(c)はプローブ粒子Pのグラフである。各グラフの横軸は図6(a)、(b)、(c)に示された横断線T、T、T上の位置T、縦軸はプローブ画像における強度I(T)を表す。各グラフにおける強度Iは、背景画像の平均強度に相当する。プローブ画像における各プローブ粒子P、P、Pの直径d、d、dは、例えば各横断線上であって画像上のプローブ粒子の円内に位置する強度I(T)の0次のピーク(凸部)の両脇にある1次のピーク(凸部)の頂点間の距離(図6(a)~(c)の各画像における白い輪の直径)d10、d11、d12とする。あるいは、プローブ画像における各プローブ粒子P、P、Pの直径d、d、dは、例えば各横断線上であって画像上のプローブ粒子の円内に位置する強度I(T)の0次のピーク(凸部)の両脇にある凹部の頂点間の距離(図6(a)~(c)の各画像における黒い輪の直径)d20、d21、d22であってもよい。
【0027】
また、0次のピークの強度が平均強度Iより小さい場合というのはプローブ粒子が焦点面Fより上に位置することを意味する。一方、0次のピークの強度I(T=0)が平均強度Iより大きい場合というのはプローブ粒子が焦点面Fより下に位置することを意味する。したがって、図7(a)~(c)より、プローブ粒子Pが焦点面Fより上に位置し、プローブ粒子P、Pが焦点面Fより下に位置することが示される。
【0028】
再び図2を参照して画像情報処理装置10の機能についての説明を続ける。大きさ規定値特定部12は、撮像されたプローブ画像を撮像装置4から入力し、プローブ画像における複数のプローブ粒子Pそれぞれの大きさを規定する値の測定値である直径dを求める。すなわち、直径dは、図6に示したような画像に基づいて得られるグラフ(図7参照)に基づき、1次ピーク間の距離として求められる。大きさ規定値特定部12は、直径dを位置情報取得部13に出力する。
【0029】
位置情報取得部13は、大きさ規定値特定部12からプローブ粒子Pの直径dを入力する。位置情報取得部13は、校正データ格納部11に格納された校正データとプローブ粒子Pの直径dとに基づいて、プローブ粒子Pの基板S表面からの位置情報を取得する。すなわち、位置情報取得部13は、校正データ格納部11から得た図3に示す校正データに基づき、大きさ規定値特定部12で求められたプローブ粒子Pの直径の大きさがdの時の焦点面Fからの距離(位置情報)Zを求める。また、焦点面Fの基板S表面からの距離をZFとすると、ZFは既知であるから、位置情報取得部13は必要に応じて、ZFをこうして求められたZに加えることによりプローブ粒子Pの基板S表面からの距離ZPを取得する。
【0030】
さらに、位置情報取得部13は、2次元のプローブ画像から各プローブ粒子の当該2次元上、すなわち基板Sの表面に投影させた場合の位置座標(x、y)を得ることもできる。したがって、位置情報取得部13は焦点面Fからの距離に基づき、所望の位置を原点にとり、各プローブ粒子Pの3次元座標(x、y、z)(例えば、z=Z、あるいはz=ZP)を得ることができる。位置情報取得部13は、こうして得た各プローブ粒子Pの位置情報である3次元座標(x、y、z)を表面情報取得部14に出力する。
【0031】
表面情報取得部14は、位置情報取得部13からプローブ粒子Pの位置情報(x、y、z)を入力する。表面情報取得部14は、複数のプローブ粒子Pの位置情報(x、y、z)から基板Sの表面情報を取得し、表示装置5へ出力する。以下に表面情報を取得する具体的な例を示す。
【0032】
例えば、基板S及びプローブ粒子Pは、同符号で荷電している場合であって、表面情報取得部14が表面情報として基板Sの表面電位を取得する場合について説明する。この場合まず、表面情報取得部14は、複数のプローブ粒子Pの位置情報(x、y、z)から基板S表面上を浮遊している複数のプローブ粒子Pの位置分布関数n(x、y、z)を求める。位置分布関数n(x、y、z)は、基板S表面上であって、座標(x、y、z)の位置におけるプローブ粒子Pの個数の分布を表す関数である。さらに、表面情報取得部14は、プローブ粒子Pの位置分布関数に基づき、以下の式(1)からプローブ粒子Pと基板Sとの間の静電的相互作用φ(x、y、z)を求める。
【数1】
JP0004910131B2_000002t.gif


A:定数
φ(x、y、z):静電的相互作用
:φ(x、y、z)=0におけるプローブ粒子の個数
k:Boltzmann定数
T:絶対温度
【0033】
なお、この場合、表面情報取得部14は、プローブ粒子の位置情報に基づいて浮遊しているプローブ粒子Pの位置分布を求める位置分布算出部を有し、当該位置分布算出部において位置分布関数n(x、y、z)を算出してもよい。
【0034】
表面情報取得部14は、式(1)で求めた静電的相互作用に基づいて、基板S表面の表面情報である表面電位を以下の式(2)により求める。
【数2】
JP0004910131B2_000003t.gif


【0035】
こうして、表面情報取得部14は、表面情報として基板Sの表面電位を算出して取得する。
【0036】
あるいは、例えば基板S及びプローブ粒子Pが荷電していない場合であって、表面情報取得部14が表面情報として基板Sの表面形状(z方向の凹凸)を取得する場合について説明する。プローブ粒子Pは一定の確率分布(密度)に則って溶液中にばらまかれることにより、基板Sの表面形状にしたがって分布される。そのため、表面情報取得部14は、プローブ粒子Pの位置情報である各プローブ粒子Pの3次元座標(x、y、z)に基づいて基板Sの表面形状を算出して取得する。
【0037】
あるいは、例えば基板S及びプローブ粒子Pが荷電していない場合であって、表面情報取得部14が表面情報として基板Sの表面形状(z方向の凹凸)を取得する他の場合について説明する。まず、位置情報取得部13において所定時間間隔をあけてプローブ粒子Pの位置情報を取得する。表面情報取得部14は、所定時間間隔をあけたプローブ粒子Pの位置情報(各プローブ粒子Pの3次元座標(x、y、z))から、基板S上の溶液の流速を求める。これは、例えば所定時間経過後に、特定のプローブ粒子Pについてx座標及びy座標だけでなくz座標も変わっていた場合、当該特定のプローブ粒子Pにはz軸方向に移動する流速が働いたことになり、z座標の変化から基板Sの表面の凹凸を取得することが可能となる。こうして、表面情報取得部14は、プローブ粒子Pの位置情報に基づいて溶液の流速分布を求め、基板Sの表面形状を算出して取得する。
【0038】
次に、図8及び図9を参照して、本実施形態に係る表面情報取得装置1Aを用いる表面情報取得方法について説明し、併せて表面情報取得装置1Aの動作についても説明する。図8は、表面情報取得方法の手順を示す図である。
【0039】
まず、撮像装置4によって撮像された画像におけるプローブ粒子Pの大きさを規定する値である直径dと、基準面である焦点面Fからのプローブ粒子Pの距離Zとの関係を示す校正データ(図3及び図4参照)を用意する(校正データ準備ステップS01)。図9は、校正データを求めることについて説明するための図である。校正データは以下の手順で取得される。
【0040】
すなわち、図9に示されるように、2枚のカバーガラスG1、G2の間に溶液と共に挟まれたプローブ粒子Pを試料ステージ6上に配置した上で、試料ステージ6をz方向に移動する。すなわち、焦点面Fと一致する場合を基準(Z=0)とし、当該基準に対して上下方向(Z<0、Z>0)にステージ6をプローブ粒子Pとともに移動する。その際、各位置でのプローブ粒子Pのプローブ像が撮像装置4によって撮像され、プローブ画像におけるプローブ粒子Pの直径dが求められる。こうして、z方向における焦点面Fからの距離に対するプローブ画像におけるプローブ粒子Pの直径dが求められ、校正データが得られる。得られた校正データは、画像処理装置10の校正データ格納部11に格納される。
【0041】
再び図8に戻って、表面情報取得方法について説明を続ける。次に、複数のプローブ粒子Pが含まれた溶液を基板SとカバーガラスGとの間に満たす。これにより、基板Sの表面から所定距離離れてプローブ粒子Pが浮遊するように基板S及びプローブ粒子Pが配置される(プローブ粒子準備ステップS02)。基板Sは、表面情報取得装置1Aの試料ステージ6上に配置される。
【0042】
続いて、結像装置3によって結ばれた複数のプローブ粒子Pの像が、撮像装置4によって撮像される(撮像ステップS03)。プローブ画像には様々な位置座表を有する複数のプローブ粒子Pが撮像されていてもよい。撮像されたプローブ画像は、撮像装置4から画像処理装置10の大きさ規定値特定部12へ出力される。
【0043】
プローブ画像が入力された大きさ規定値特定部12では、撮像装置4で撮像されたプローブ画像におけるプローブ粒子Pの大きさを規定する測定値である直径dが求められる(大きさ規定値特定ステップS04)。複数のプローブ粒子Pが撮像されている場合には、それらについての直径dが求められる。こうして求められた直径の大きさdは、大きさ規定値特定部12から位置情報取得部13へ出力される。
【0044】
直径dが入力された位置情報取得部13では、校正データ格納部11に格納された校正データと、大きさ規定値特定ステップS04で求められたプローブ粒子Pの直径dと、に基づいて、基準面である焦点面Fからのプローブ粒子Pの位置情報(x、y、z)が取得される(位置情報取得ステップS05)。こうして求められた各プローブ粒子Pの位置情報(x、y、z)は、位置情報取得部13から表面情報取得部14へ出力される。
【0045】
各プローブ粒子Pの位置情報(x、y、z)が入力された表面情報取得部14では、位置情報(x、y、z)に基づいて基板Sの表面情報が取得される(表面情報取得ステップS06)。表面情報取得ステップS06では、例えば各プローブ粒子Pの位置情報(x、y、z)から溶液中に浮遊しているプローブ粒子Pの位置分布関数n(x、y、z)を算出して表面情報の取得に用いてもよい。取得される表面情報としては、例えば表面電位、あるいは表面形状などである。本実施形態に係る表面情報取得装置1A及び表面情報取得方法では、こうして基板Sの表面情報が取得される。
【0046】
本実施形態に係る表面情報取得装置1A及び表面情報取得方法では、プローブ粒子Pは、基板S表面と有機的に関連して位置している。したがって、本実施形態に係る表面情報取得装置1A及び表面情報取得方法では、プローブ粒子Pの位置情報(x、y、z)から試料である基板S表面の表面情報を求めることが可能となる。
【0047】
具体的には、例えばプローブ粒子P及び基板Sが何れも同符号に荷電しているときには、プローブ粒子Pと基板S表面とは静電的相互作用を及ぼし合い、この静電的相互作用に影響を受けてプローブ粒子Pは位置することとなる。したがって、プローブ粒子Pの位置分布関数n(x、y、z)を求めることにより、式(1)及び(2)から、本実施形態に係る表面情報取得装置1A及び表面情報取得方法では、試料である基板Sの表面電位を求めることが可能となる。
【0048】
なお、この場合、プローブ粒子の位置分布関数は鋭い立ち上がり部分を有し、この鋭い立ち上がり部分は、わずかな表面電位変化に敏感に応答するため、極微量しか存在しない貴重なバイオ関連分子が特異的に基板S表面に吸着したときのような、表面電位の微小変化を高感度に検出することができ、有効である。また、この場合、バイオ関連分子に標識分子を化学的・物理的に結合する必要がないため、測定のための前処理を省略することが可能となる。さらに、プローブ粒子Pの3次元での位置分布関数n(x、y、z)に基づくため基板Sの表面電位として電位分布を求めることもできる。これにより、基板S上に複数の異なる病変に対応した生体分子を結合しておくことで、一回の測定で複数の項目について検査することが可能となり、医療分野における生化学検査に要する時間の大幅な短縮が実現される。
【0049】
あるいは、例えばプローブ粒子P及び基板Sが何れも荷電していない場合であっても、一定の確率分布でばらまかれたプローブ粒子Pは基板S表面の形状に則って分布する。これにより、本実施形態に係る表面情報取得装置1A及び表面情報取得方法では、試料である基板Sの表面形状を求めることができる。
【0050】
あるいは、例えばプローブ粒子P及び基板Sが何れも荷電していない場合であっても、プローブ粒子Pは基板S表面の形状に則った流速によって移動する。本実施形態に係る表面情報取得装置1A及び表面情報取得方法ではプローブ粒子Pの流速分布を求めることができ、これにより試料である基板Sの表面形状を求めることができる。
【0051】
また、本実施形態に係る表面情報取得装置1A及び表面情報取得方法では、基板S表面上に液体である溶液が存在し、当該溶液内に測定を担うプローブ粒子Pが浮遊している。そのため、従来の表面情報取得装置(例えば、AFM)と異なり、溶液の流動によっても表面情報の取得は妨げられることがない。したがって、本実施形態に係る表面情報取得装置1A及び表面情報取得方法では、基板S表面上において溶液が流動している場合であっても基板Sの表面情報を取得することが可能となる。
【0052】
さらに、プローブ粒子Pが浮遊していることから、微弱な力に呼応することができる。これにより、例えば微弱な表面電位の影響も計測することが可能となる。
【0053】
加えて、プローブ粒子Pが浮遊していることから、本実施形態に係る表面情報取得装置1A及び表面情報取得方法によれば、焦点面Fから離れた(例えば数十μm以上)ところに位置するプローブ粒子Pの位置情報を取得することも可能である。したがって、例えば基板S表面が高電位の場合であっても、プローブ粒子Pを捕捉するための外力を加えることなく位置情報を取得することができる。
【0054】
また、プローブ粒子Pの大きさを変えることで所望のスケールで基板Sの表面情報を取得することが可能となる。すなわち、より小さいプローブ粒子Pを選択することで非常にミクロなスケールの表面情報を取得することが可能となる一方、より大きいプローブ粒子Pを選択することでマクロなスケールの表面情報を取得することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態に係る表面情報取得装置1A及び表面情報取得方法では、基板Sに対し電流を流す必要がない。そのため、電流による影響を受けることなく、基板Sの表面情報を取得することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態に係る表面情報取得装置1A及び表面情報取得方法では、プローブ画像における各プローブ粒子の直径さえ算出できればそのプローブ粒子の位置情報(座標)は取得可能である。そのため、プローブ画像に撮像されたプローブ粒子の数が複数であっても、当該撮像された複数のプローブ粒子の位置情報を取得することができる。すなわち、一度の撮像で複数のプローブ粒子の位置情報を取得することが可能となり、表面情報の取得に要する時間を短縮することが可能となる。
【0057】
本実施形態では、プローブ粒子Pは球体であるため、プローブ画像によって得られるプローブ粒子Pの直径(プローブ粒子Pの大きさを規定する値)はプローブ粒子Pを撮像する方向に依存しない。その結果、プローブ粒子Pを如何なる方向からも撮像でき、表面情報の取得が容易になる。
【0058】
本実施形態では、プローブ粒子Pを照射する光lを出力する光源2を備えているため、自身で光を発しないプローブ粒子Pを用いて表面情報を取得することが可能となる。
【0059】
なお、本実施形態に係る表面情報取得装置1A及び表面情報取得方法では、プローブ粒子Pの位置情報に基づいて、基板Sの表面電位及び表面形状以外の情報を表面情報として取得することもできる。
【0060】
(第2実施形態)
図10を参照して、第2実施形態に係る表面情報取得装置1Bの構成について説明する。図10は第2実施形態に係る表面情報取得装置1Bの構成を示す図である。第2実施形態に係る表面情報取得装置1Bは、試料が基板ではなく透明管Sである点で第1実施形態に係る表面情報取得装置1Aと異なる。
【0061】
透明管Sは例えばガラス管であり、試料ステージ6上に管の長手方向が結像装置3の光軸と直交するように載置されている。透明管Sの管内には溶液が満たされており、当該溶液中には複数のプローブ粒子Pが含まれている。プローブ粒子Pは球体であり、何れも試料である管の内壁から所定距離離れて溶液中を浮遊している。結像装置3は、その焦点面Fが透明管Sの内部を横切るように位置する。透明管S及びプローブ粒子Pは、同符号で荷電していてもよい。
【0062】
本実施形態に係る表面情報取得装置1Bを用いる表面情報取得方法も、表面情報取得装置1Aを用いる表面情報取得方法と同様、図8に示すような校正データ準備ステップS01、プローブ粒子準備ステップS02、撮像ステップS03、大きさ規定値特定ステップS04、位置情報取得ステップS05、及び表面情報取得ステップS06を備える。
【0063】
本実施形態に係る表面情報取得装置1B及び表面情報取得方法では、プローブ粒子Pは、例えば透明管S内壁表面と静電的相互作用を及ぼし合って分布する、あるいは透明管S内壁表面の形状に則って分布する等、透明管S内壁表面と有機的に関連して位置している。したがって、本実施形態に係る表面情報取得装置1B及び表面情報取得方法では、プローブ粒子Pの位置情報(x、y、z)から試料である透明管S内壁表面の表面情報(例えば、表面電位、あるいは表面形状等)を求めることが可能となる。
【0064】
特に、透明管Sは管状であるため、内壁の表面情報を取得することは通常の測定方法では困難である。しかし、本実施形態に係る表面情報取得装置1B及び表面情報取得方法では、管状の透明管S内に浮遊するプローブ粒子の位置情報を取得さえすれば当該透明管S内壁の表面情報を取得することができる。すなわち、本実施形態に係る表面情報取得装置1B及び表面情報取得方法では、複雑な形状をした試料についても、その表面情報を取得することが可能である。
【0065】
また、本実施形態に係る表面情報取得装置1B及び表面情報取得方法では、透明管S内に液体である溶液が存在する。本実施形態に係る表面情報取得装置1Bでは、プローブ粒子Pが試料である透明管S内を浮遊しているため、溶液の流動によっても表面情報(管内壁の表面情報)の取得が妨げられることはない。したがって、本実施形態に係る表面情報取得装置1B及び表面情報取得方法では、透明管S内壁表面上において溶液が流動している場合であっても透明管S内壁の表面情報を取得することが可能となる。
【0066】
また、プローブ粒子Pの大きさを変えることで所望のスケールで透明管S内壁の表面情報を取得することが可能となる。
【0067】
また、本実施形態に係る表面情報取得装置1B及び表面情報取得方法では、透明管Sに対し電流を流す必要がない。そのため、電流による影響を受けることなく透明管S内壁の表面情報を取得することが可能となる。
【0068】
また、一度の撮像で複数のプローブ粒子について位置情報を取得することができるため、実際の計測が容易となり、表面情報の取得に要する時間を短縮することが可能となる。
【0069】
本実施形態では、プローブ粒子Pは球体であるため、プローブ粒子Pを如何なる方向からも撮像でき、実際の計測が容易になる。その結果、表面情報の取得が容易になる。
【0070】
本実施形態では、プローブ粒子Pを照射する光lを出力する光源2を備えているため、自身で光を発しないプローブ粒子Pを用いて表面情報を取得することが可能となる。
【0071】
なお、本実施形態に係る表面情報取得装置1B及び表面情報取得方法では、プローブ粒子Pの位置情報に基づいて、透明管S内壁の表面電位及び表面形状以外の情報を表面情報として取得することもできる。
【0072】
(第3実施形態)
図11を参照して、第3実施形態に係る表面情報取得装置1Cの構成について説明する。図11は第3実施形態に係る表面情報取得装置1Cの構成を示す図である。第3実施形態に係る表面情報取得装置1Cは、試料が不透明な基板Sであって、当該不透明基板Sに対する反射型の顕微鏡として構成されている点で第1実施形態に係る表面情報取得装置1Aと異なる。
【0073】
不透明な基板Sは、例えば半導体デバイス、あるいは着色されたガラス基板等であり、基板Sの被計測面が結像装置3の光軸と直交するように試料ステージ6上に載置されている。基板SとカバーガラスGとの間には溶液が満たされており、当該溶液中には複数のプローブ粒子Pが含まれている。プローブ粒子Pは何れも球体であり、基板Sの表面から所定距離離れて溶液中を浮遊している。結像装置3は、その焦点面Fが基板S表面上の溶液を横切るように、すなわち基板SとカバーガラスGとの間に位置するように配置される。基板S及びプローブ粒子Pは、同符号で荷電していてもよい。
【0074】
表面情報取得装置1Cは、限外照明系を採用し、結像装置3の光軸と所定角度を有して基板S及びプローブ粒子Pを照射する光lを出力する光源(図11において図示を省略)を備える。また、限外照明系を用いる場合、例えば作動距離の長い高倍率対物レンズを用いる方法、あるいは低倍率対物レンズにズーム光学系を組み合わせる方法、あるいは暗視野対物レンズを用いる方法などがある。
【0075】
本実施形態に係る表面情報取得装置1Cを用いる表面情報取得方法も、表面情報取得装置1Aを用いる表面情報取得方法と同様、図8に示すような校正データ準備ステップS01、プローブ粒子準備ステップS02、撮像ステップS03、大きさ規定値特定ステップS04、位置情報取得ステップS05、及び表面情報取得ステップS06を備える。
【0076】
反射型の顕微鏡に同軸(明視野)照明系を用いると背景反射が対物レンズに入射されてしまいプローブ粒子の像が不明瞭となってしまう。表面情報取得装置1Cでは、限外(暗視野)照明系を用いているため、不透明な基板Sを計測する場合であっても、プローブ粒子Pの像を撮像することができる。これにより、プローブ画像におけるプローブ粒子Pの直径を特定することが可能となるため、基板Sの表面情報を取得することが可能となる。このように、本実施形態に係る表面情報取得装置1C及び表面情報取得方法では不透明な基板Sの表面情報を取得することが可能となる。
【0077】
本実施形態に係る表面情報取得装置1C及び表面情報取得方法では、プローブ粒子Pは、例えば不透明基板S表面と静電的相互作用を及ぼし合って分布する、あるいは基板S表面の形状に則って分布する等、基板S表面と有機的に関連して位置している。したがって、本実施形態に係る表面情報取得装置1C及び表面情報取得方法では、プローブ粒子Pの位置情報(x、y、z)から試料である基板Sの表面情報(例えば、表面電位、あるいは表面形状等)を求めることが可能となる。
【0078】
また、本実施形態に係る表面情報取得装置1C及び表面情報取得方法では、基板S上に液体である溶液が存在する。本実施形態に係る表面情報取得装置1Cでは、プローブ粒子Pが試料である基板S上を浮遊しているため、溶液の流動によっても表面情報の取得が妨げられるない。したがって、本実施形態に係る表面情報取得装置1C及び表面情報取得方法では、基板S表面上において溶液が流動している場合であっても基板Sの表面情報を取得することが可能となる。
【0079】
また、プローブ粒子Pの大きさを変えることで所望のスケールで基板Sの表面情報を取得することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態に係る表面情報取得装置1C及び表面情報取得方法では、基板Sに対し電流を流す必要がない。そのため、電流による影響を受けることなく基板Sの表面情報を取得することが可能となる。
【0081】
また、一度の撮像で複数のプローブ粒子について位置情報を取得することができるため、実際の計測が容易となり、表面情報の取得に要する時間を短縮することが可能となる。
【0082】
本実施形態では、プローブ粒子Pは球体であるため、プローブ粒子Pを如何なる方向からも撮像でき、実際の計測が容易になる。その結果、表面情報の取得が容易になる。
【0083】
本実施形態では、プローブ粒子Pを限外照射する光lを出力する光源を備えているため、自身で光を発しないプローブ粒子Pを用いて表面情報を取得することが可能となる。
【0084】
なお、本実施形態に係る表面情報取得装置1C及び表面情報取得方法では、プローブ粒子Pの位置情報に基づいて、不透明基板Sの表面電位及び表面形状以外の情報を表面情報として取得することもできる。
【0085】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、プローブ粒子Pの形状は球状に限らず、例えば棒状であってもよい。棒状プローブ粒子を用いた場合における、プローブ画像におけるプローブ粒子Pの大きさを規定する値というのは、プローブ粒子の長手方向の両端での短手方向の長さとなる。すなわち、例えば、プローブ画像においてプローブ粒子の長手方向の両端での短手方向の長さが同じである場合には、棒状のプローブ粒子は、長手方向と試料表面とが平行になるように分布している。一方、プローブ画像においてプローブ粒子の長手方向の両端での短手方向の長さが異なる場合には、棒状のプローブ粒子は、長手方向が試料表面に対して角度を有して分布している。したがって、プローブ画像におけるプローブ粒子の長手方向の両端での短手方向の長さを求めることによって、プローブ粒子Pの試料表面に対する位置情報としてプローブ粒子Pの試料表面に対する傾きが得られる。棒状のプローブ粒子Pは、試料表面と有機的に関連することによりその傾きが決定する。したがって、プローブ粒子Pの試料表面に対する傾きに基づいて、例えば表面電位、あるいは表面形状等の表面情報を取得することができる。
【0086】
また、プローブ粒子Pはポリスチレンラテックスに限らず、他の材料からなるものであってもよい。ただし、ポリスチレンラテックス微粒子を用いると、プローブ粒子Pを真球度の高い球にすることができ、また密度(1.05g/cm)が水(軽水HOと重水DOとの混合液)の密度と略同じであるため好ましい。密度が水も密度と略同じであることにより、プローブ粒子を水中に浮遊させたときの重力の影響を小さくすることが可能となる。
【0087】
また、試料の表面情報として、表面電位及び表面形状以外の情報を取得することもできる。また、プローブ粒子と試料表面との相互作用に基づいて取得される表面情報も、静電的相互作用によって得られる試料の表面電位に限らず、例えば表面が磁気を帯びている場合における磁場強度分布情報、表面が電磁波を発振している場合における電磁波発振情報、あるいは表面が音波(疎密波)を発振している場合における音波発振情報、あるいは表面温度分布などであってもよい。表面が磁気を帯びている場合、帯びている磁気の強度分布に応じてプローブ粒子が分布するため、プローブ粒子の分布(位置情報)から表面が帯びている磁気(磁場)の強度分布が磁場強度分布情報として取得される。表面から電磁波が発振されている場合、発振される電磁波の波長分布及び強度分布に応じてプローブ粒子が分布するため、プローブ粒子の分布(位置情報)から発振される電磁波の波長分布あるいは強度分布が電磁波発振情報として取得される。表面から音波が発振されている場合、発振される音波の波長分布及び強度分布に応じてプローブ粒子が分布するため、プローブ粒子の分布(位置情報)から発振される音波の波長分布あるいは強度分布が音波発振情報として取得される。表面温度分布は、表面温度の違いにより表面と接触した液体又は気体の密度が変化することに応じてプローブ粒子の分布が変わることから求められる。また、プローブ粒子は液体に限らず、例えば気体中に浮遊していても、あるいは真空中に浮遊していてもよい。
【0088】
また、光源を有さず、例えばプローブ粒子P自身が蛍光を発光し、その像を撮像して試料Sの表面情報を取得してもよい。光源に限定はなく、可視光、紫外線、赤外線、X線、電子線、あるいは中性子線など、どのような波長の光を出す光源であってもよい。結像装置としては、光学顕微鏡に限らず、例えば望遠鏡、カメラ、虫眼鏡、あるいは電子顕微鏡等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1実施形態に係る表面情報取得装置の構成を示す図である。
【図2】画像処理部の機能について説明するための図である。
【図3】校正データによって得られるグラフの図である。
【図4】実際の測定データを校正データとする場合における校正データの表を示す。
【図5】プローブ粒子と結像装置の焦点面との関係を説明するための図である。
【図6】撮像されたプローブ画像におけるプローブ粒子の画像を表す図である。
【図7】プローブ画像における各プローブ粒子の強度を示すグラフの図である。
【図8】第1実施形態に係る表面情報取得方法の手順を示す図である。
【図9】校正データを求めることについて説明するための図である。
【図10】第2実施形態に係る表面情報取得装置の構成を示す図である。
【図11】第3実施形態に係る表面情報取得装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1A、1B、1C…表面情報取得装置、S…試料、P…プローブ粒子、2…光源、3…結像装置、4…撮像装置、5…表示装置、10…画像処理装置、11…校正データ格納部、12…大きさ規定値特定部、13…位置情報取得部、14…表面情報取得部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10