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明細書 :菌濃縮殺菌装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5120997号 (P5120997)
公開番号 特開2008-018392 (P2008-018392A)
登録日 平成24年11月2日(2012.11.2)
発行日 平成25年1月16日(2013.1.16)
公開日 平成20年1月31日(2008.1.31)
発明の名称または考案の名称 菌濃縮殺菌装置
国際特許分類 C02F   1/48        (2006.01)
B01J  19/08        (2006.01)
A61L   9/22        (2006.01)
FI C02F 1/48 B
B01J 19/08 C
B01J 19/08 A
A61L 9/22
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2006-194406 (P2006-194406)
出願日 平成18年7月14日(2006.7.14)
審査請求日 平成21年2月27日(2009.2.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
発明者または考案者 【氏名】内田 諭
【氏名】栃久保文嘉
個別代理人の代理人 【識別番号】100151688、【弁理士】、【氏名又は名称】今 智司
審査官 【審査官】金 公彦
参考文献・文献 特開2001-017980(JP,A)
特開2003-000224(JP,A)
特開2004-143519(JP,A)
特開2000-061472(JP,A)
特開平11-333464(JP,A)
特開平01-095751(JP,A)
特開平03-098565(JP,A)
特開2002-174636(JP,A)
特開2003-000223(JP,A)
特開平11-267640(JP,A)
特開昭50-014141(JP,A)
調査した分野 C02F 1/46- 1/48
特許請求の範囲 【請求項1】
基盤と、
基盤上に設置され、流体の流路を形成する流路形成体と、
流体中の菌を誘電泳動により集めて濃縮する菌濃縮部と、
該菌濃縮部で濃縮した菌を物理的に破壊する措置を講ずる物理的破壊手段部と
を備え、
前記菌濃縮部は、流路に設置された平板状の電極を備え、
前記電極は、前記基盤の同一平面上に間隔を置いて配設された第1,第2の電極からなり、前記物理的破壊手段部の一部を構成する
ことを特徴とする菌濃縮殺菌装置。
【請求項2】
さらに該菌濃縮部による菌の濃縮が所定濃度に達したことを検知して検知信号を発する菌濃縮検知部を備え、
前記物理的破壊手段部は、該検知信号が発された時に濃縮した菌を物理的に破壊する措置を講ずるように構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の菌濃縮殺菌装置。
【請求項3】
前記菌濃縮部の前記電極は、交流電源に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の菌濃縮殺菌装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中の病原菌を集めてその濃度を高め(菌濃縮し)、それを物理的に破壊して殺菌する菌濃縮殺菌装置に関するものである。

【背景技術】
【0002】
流体中の病原菌を殺菌する方法としては、大きく分けて薬剤殺菌と非薬剤殺菌とがある。
薬剤による殺菌は、当初は効果があるものの、やがてその薬剤に対する耐性を具えた耐性病原菌の出現を招くことが多かった。すると、次にはそれに効く新たな薬剤の開発を迫られるということになり、結局、病原菌の変身とのイタチごっこに陥ることになる。これでは、新薬開発の度に多額の費用がかかるばかりか、いくら新薬を作ってもきりがないという欠点がある。
【0003】
薬剤によらない殺菌は、加熱殺菌と非加熱殺菌とに分けることが出来る。
加熱殺菌は、病原菌が死滅するまで加熱して殺菌するものである。しかし、加熱殺菌では比較的長時間加熱しなければならないので、加熱により変質し易い商品(例、成分が熱で変質する飲料等の商品)の殺菌に使うのは、望ましくない。なぜなら、確かに殺菌は出来るが、商品が加熱により変質してしまい、商品価値を落としてしまうからである。
非加熱殺菌は、加熱以外の方法で病原菌を物理的に破壊して死滅させるものであり、例えば、電気パルス,マイクロ波,紫外線,オゾン,超高圧力を利用したものがある。これらによる殺菌は常温で行うことが出来るので、含有成分を変質させることもないという利点を有している。このようなことから、最近、非加熱殺菌が注目されて来ている。
【0004】
例えば電気パルスを利用した殺菌方法としては、高電圧パルスを病原菌に印加する方法が知られている。病原菌を電界強度が約10kV/cm以上という強電界の環境中に置くと、病原菌の細胞膜は破壊され再び元に戻ることはない(不可逆的に破壊される)という事実が、既に解明されている。高電圧パルスによる殺菌はこの事実を利用したもので、電界強度が上記のような値になる高電圧のパルスを、病原菌を含む流体に繰り返し印加して殺菌する。

【特許文献1】特開平1-095751号公報
【特許文献2】特開平3-098565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した従来の非加熱殺菌には、殺菌効率が悪いという問題点があった。高電圧パルスによる殺菌を例にとって説明すると、次の通りである。
病原菌の細胞膜を不可逆的に破壊するのに必要とされるのは、約10kV/cm以上の電界であるが、電極間のギャップ間隔dを小さく製作することがなされていなかったので、上記のような電界を生じさせる必要上、電極間に印加する電圧はどうしても高電圧とならざるを得なかった。
【0006】
一方、流体中の病原菌を殺菌しようとする場合、病原菌は流体中のあちこちに散在しているので、高電圧パルスを印加しても当たり外れがあり、多くの病原菌をまとめて殺すということは出来なかった。そのため、生菌率が所定の値以下になるまで殺菌するのには、多くのパルスを印加する必要があった。
このように、高電圧を要するという事情や印加パルス数を多くしなければならないという事情があるため、どうしても所要電力が多くなり、殺菌効率が悪くなっていた。
またこの他に、高電圧パルスによる放電音は意外と大きく、周囲に耳障りな騒音を撒き散らすという問題点もあった。
本発明は、以上のような問題点を解決することを課題とするものである。

【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の菌濃縮殺菌装置は、基盤と、基盤上に設置され、流体の流路を形成する流路形成体と、流体中の菌を誘電泳動により集めて濃縮する菌濃縮部と、該菌濃縮部で濃縮した菌を物理的に破壊する措置を講ずる物理的破壊手段部とを備え、前記菌濃縮部は、流路に設置された平板状の電極を備え、前記電極は、前記基盤の同一平面上に間隔を置いて配設された第1,第2の電極からなり、前記物理的破壊手段部の一部を構成することを特徴とする構成とした。
さらに該菌濃縮部による菌の濃縮が所定濃度に達したことを検知して検知信号を発する菌濃縮検知部を備え、前記物理的破壊手段部は、該検知信号が発された時に濃縮した菌を物理的に破壊する措置を講ずるようにすることや、前記菌濃縮部の前記電極を交流電源に接続することも出来る。

【発明の効果】
【0014】
本発明の菌濃縮殺菌装置および方法によれば、流体中に散在している病原菌を誘電泳動を利用して集め(菌濃縮し)、集めた病原菌に対し電界の印加やラジカルの散布等の物理的破壊措置を講ずるようにしたので、少ないエネルギーで効率よく殺菌することが出来るようになる。
また、電界印加のためにパルス電圧を使用する場合でも、放電ギャップを微小にすれば低電圧のパルスで済むので、パルス放電の音は小さく、耳障りな騒音を周辺に撒き散らすこともない。特に、電極の表面を保護するため誘電体で覆うようにすると、放電は誘電体を介して行われることになるが、この場合の放電は無声放電とも言われる程、放電音を生じない。

【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、誘電泳動を利用して流体中の病原菌を集め(菌濃縮し)、集めた病原菌に対し物理的破壊措置を講ずるものであるが、物理的破壊措置として電界の印加を採用したものを第1の実施形態で説明し、ラジカルの散布を採用したものを第2,第3の実施形態で説明する。
【0016】
(第1の実施形態)…電界の印加
図1は、本発明の菌濃縮殺菌装置の第1の実施形態を示す図である。図1において、1は菌濃縮殺菌装置、2は基盤、3は交流電源、4,5は電極、6は流路、7,8はスペーサ、9は菌、10は電極、11は流路形成体、12はパルス電源、13は菌濃縮検知部、30は物理的破壊手段部、31は菌濃縮部である。Gは、電極10と電極4(5)との間のギャップ間隔である。
図2は、本発明の菌濃縮殺菌装置の要部の斜視図であり、符号は図1のものに対応している。流路6に病原菌を含んでいる流体を流して殺菌するわけであるが、白抜きで描いてある大きな矢印は、その流体の流れ方向を示している。
【0017】
図1に戻るが、本発明では流路6のギャップ間隔Gは、殺菌しようとしている流体が流れるのを妨げない範囲で、出来るだけ小さく製作することが望ましい(例えば、100μm以下等)。そのように製作することは、近年の進んだ半導体製造技術を応用することにより、実現可能となっている。
先ず、ガラス等の絶縁部材である基盤2の表面に、平板状の電極4,5を並べて形成する。そして、絶縁部材のスペーサ7,8を介し、電極4,5に対向するよう平板状の電極10を形成する。流路形成体11は断面U字型とされ、電極10およびスペーサ7,8を外側から覆うと共に、電極4,5が形成された基盤2との間に流路6を形成する。この流路形成体11も絶縁部材で作る。
【0018】
そして、電極4,5の間には交流電源3を接続する。交流電源3は、流体中の病原菌を誘電泳動するための電源である。電極4,5および交流電源3で、菌濃縮部31が構成される。
ここで誘電泳動による菌濃縮について説明する。誘電泳動は、流体中の誘電体微粒子が電界中に置かれると、分極し、分極と電界との相互作用力により、電気力線の密度が大の部分へと移動させられる現象である。誘電泳動は、交流電源で生ぜしめることが出来る。病原菌は、誘電体微粒子の1種であるから、誘電泳動を利用して、電気力線の密度大の部分に集めることが出来る(つまり、菌濃縮をすることが出来る。)。
なお、誘電泳動に関する特許文献としては、特開2002-174636公報,特開2003-000223号公報等がある。
【0019】
ところで、この菌濃縮は出来るだけ速やかに行われるのが望ましい。速やかに菌を集められれば、速やかに殺菌措置を講ずることが出来、短時間で殺菌を行うことが出来るからである。菌濃縮が速やかに行われるためには、誘電体微粒子に作用する移動力、すなわち誘電泳動力が大である程良い。
誘電泳動力を求める式は理論的に明らかにされているが、それには誘電体微粒子の複素誘電率や、誘電体微粒子を含む流体の複素誘電率等が関係している。そして、それら複素誘電率には、印加電界の角周波数(即ち図1の交流電源3の周波数)が関係している。
従って、誘電泳動力を大にするには、流体の種類や誘電体微粒子の種類に応じて、交流電源3の周波数を適宜選定してやる必要がある(例えば、100KHz~10MHz程度とする等)。
(なお、「誘電泳動」に類似する用語として「電気泳動」があるが、これは誘電泳動とは異なる。電気泳動は、荷電粒子が電界中に置かれると、荷電極性とは反対の極性の電極に向かって移動して行くという現象である。この場合に電極間に印加される電源は、直流電源である。)
【0020】
さて、電極4(5)と電極10との間には、パルス電源12を接続する。このパルス電源12の電圧は、従来のパルス殺菌で印加されていた電圧に比べて低電圧とすることが出来る。なぜなら、パルス放電を行わせるギャップ間隔Gを、半導体製造技術を応用するなどして従来のギャップに比べて小さく作っておけば、従来と同様の電界強度を生ぜしめるのに必要な電圧は、低くて済むからである。
低電圧による放電であるから、放電音は小さなものとなり、周囲に耳障りな騒音を撒き散らすこともなくなる。
第1の実施形態では、病原菌に物理的破壊措置を講ずる手段としてパルス電源12による電界を用いているから、物理的破壊手段部30は、パルス電源12,電極4,5,10等によって構成される。
【0021】
菌濃縮検知部13は、誘電泳動により電極4と5との間に集まって来る病原菌が、どの程度集まっているか(菌濃縮の程度)を検知する部分である。図1に示すように、菌9が電極4と5との間の電気力線の密度が大の部分に集まって電極間を部分的に橋絡し始めるに従い、電極4,5間のインピーダンスは、徐々に低下する。勿論、電極4,5間に流体のみが介在している場合に比べて、小さな値である。電極4,5間を菌9で完全に橋絡してしまう程に集まって来ると、インピーダンスはほぼ最小となり、それ以上集まって来てももはやあまり低下しなくなる。従って、このようなインピーダンスの変化を監視することにより、菌濃縮の程度を検知することが出来る。
【0022】
菌濃縮検知部13では、予め所定の菌濃縮の程度に対応したインピーダンスを基準値として定めておき、監視しているインピーダンスがその基準値まで低下して来た時に検知信号を発するようにする。その検知信号によりパルス電源12からパルス電圧を発生させるようにしてやれば、所定の濃度に菌濃縮された段階でパルス電圧による電界が菌に印加されることになるから、多くの菌をまとめて殺菌することが出来、効率の良い殺菌が出来る。このような殺菌処理がなされた流体は次へ送り出され、新たな流体が導入されて殺菌処理がなされる。
なお、上例ではインピーダンスを監視することにより菌濃縮を検知する例を述べたが、電極4,5間のコンダクタンスも菌濃縮の程度により変化するので、コンダクタンスを監視することにより検知するようにしてもよい。
【0023】
図3は、誘電泳動のために使用する電極の他の例を示す図であり、符号は図1のものに対応している。これは電極4,5の部分のみを、上方から見下ろした図(平面図)であり、参考までに流路形成体11が点線で描かれている。
既に説明したように、誘電泳動は電気力線の密度が大の部分へ微粒子が移動する現象であるから、誘電泳動を生ずるための電極4,5の対向部分は、電気力線の密度大の部分が出来るだけ多く出来るような形状となっているのが望ましい。
図3はそのような形状の1例を示したもので、電極4,5の対向部分を櫛の歯状にし、一方の櫛の歯と歯との間に他方の櫛の歯が入り込むように配設したものである。このようにすると、単に長方形状の電極が並べて配置されている図1(図2)のものに比べ、電気力線の密度大の部分を多くすることが出来、菌濃縮能力(菌捕集効果)を大にすることが出来る。
【0024】
図1に示した装置では、流路6の断面は狭く、そこに流し得る流体の量は僅かである。従って、多量の流体について殺菌したいという要望がある場合には、図1に示した装置を1つの単位(ユニット)とし、これを多数積層接続することにより、処理量を大にすることが出来る。
このようにして量の要望にも応え得ることは、以下に述べる他の実施形態の装置についても、同様である。
【0025】
ところで、第1の実施形態の菌濃縮殺菌装置を方法の観点から見れば、流体中の菌を誘電泳動により集めて濃縮する第1の過程と、所定濃度に菌が濃縮されたことを検知して検知信号を発する第2の過程と、該検知信号が発された時より菌に対して強電界の印加という物理的破壊措置を講ずる第3の過程とにより流体中の菌を殺菌するようにした菌濃縮殺菌方法ということになる。
なお、菌濃縮の濃度の検知は、誘電泳動により菌が集められることによって変化する第1,第2電極間のインピーダンス(或いはコンダクタンス)を測定することにより行うことが出来る。
【0026】
(第2の実施形態)…ラジカルの散布
図4は、本発明の菌濃縮殺菌装置の第2の実施形態を示す図である。符号は図1のものに対応し、14は菌混入液、15は空間、16,17は電極、18は放電、19は交流電源である。同じ符号のものは図1の場合と同様のものであるので、それらについての説明は省略する。電極16,17は、流路形成体11の内側であって、電極4,5と対向する側の面に設けられる。電極16と17とは、互いに少し離されて(例えば、数百ミクロン離されて)配置される。
【0027】
第1の実施形態と相違する第1の点は、菌に物理的破壊措置を講ずる手段として、ラジカルを採用した点である。ラジカルとは、電子対を形成していない電子を具えている原子や分子のことであり、例えばO3 ,OH等がある。ラジカルは強力な酸化作用を有しており、これを病原菌に作用させた場合、酸化によりその組織を物理的に破壊してしまう。従って、第1の実施形態と同様に菌濃縮を行った上で、それにラジカルを降り注ぐと、効率的な殺菌をすることが出来る。
【0028】
電極4と5との間には、図1と同様、誘電泳動により菌濃縮するための交流電源3が接続される。一方、電極16と17との間には、別の交流電源19が接続される。これは電極16,17間で図示するような放電18をさせ、その放電によりラジカルを生ぜしめるための電源である。
ラジカルを生じる放電をするために交流電源19に必要とされる電圧や周波数は、電極16と17との間隔、あるいは両者の間に満たされている流体の種類(例、空気,水)等により当然異なって来るが、それらを適宜設定することにより、数100V,数10Hz~数100kHz程度のものにすることが出来る。このような交流電源は、格別の昇圧回路を組み込んだりしなくとも実現出来るから、安価に得ることが出来る。
【0029】
第1の実施形態と相違する第2の点は、流路6の上下のギャップ間隔Gが、それほど微小でなくともよいという点である。第1の実施形態では、流路6の上下の電極間に印加する電圧を低くしても所要の強電界を生ぜしめるようにしようとすると、ギャップ間隔Gを微小にする必要があった。しかし、第2の実施形態ではそのような強電界を生ぜしめようとしているわけではないので、ギャップ間隔Gを第1の実施形態ほどには微小にする必要がない。
図4に示すように、流路6の上下のギャップ間隔Gは、流路6断面の下半分を使って菌混入液14を流し、その上半分は空間15のままとしておくことも出来る。
【0030】
菌濃縮検知部13により菌濃縮が検知されると検知信号が発せられ、交流電源19が電極16,17に印加される。すると、菌混入液14の上空の空間15で放電18が発生する。この放電18によりラジカルが生ぜしめられ、濃縮された菌9の上に降り注がれる。その結果、菌9が物理的に破壊される。
このことからも理解されるように、第2の実施形態では、菌濃縮が行われる位置の上方で放電が行われるように、各電極の位置を決めるのが望ましい。
なお、ラジカルの発生は、空間(気体)中での放電のみならず、液体中での放電によっても行うことが出来るから、図4の流路6の全部を菌混入液14で満たし(つまり空間15を残さずに)、その液中で電極16,17間の放電を行うようにしてもよい。
【0031】
図5は、第2の実施形態の変形例を示す図である。符号は図4のものに対応し、20は誘電体板である。これは、電極16,17の表面を薄い誘電体板20で覆うようにしたものである。電極16と電極17との間では、ラジカルを発生するための放電がなされるが、この放電により電極16,17の表面には放電痕が出来、損傷される。
電極16,17の表面を誘電体板20で覆えば、放電は薄い誘電体板20を介して行われるので、電極16,17の表面が放電痕により損傷されることがない。また、誘電体を介して行われる放電は、無声放電とも言われるように、放電音を生じることがない。従って、周囲に騒音を撒き散らすことがない。
【0032】
第2の実施形態の菌濃縮殺菌装置を方法の観点から見れば、流体中の菌を誘電泳動により集めて濃縮する第1の過程と、所定濃度に菌が濃縮されたことを検知して検知信号を発する第2の過程と、該検知信号が発された時より菌に対してラジカルの散布という物理的破壊措置を講ずる第3の過程とにより流体中の菌を殺菌するようにした菌濃縮殺菌方法ということになる。
なお、菌濃縮の濃度の検知は、誘電泳動により菌が集められることによって変化する第1,第2電極間のインピーダンス(或いはコンダクタンス)を測定することにより行うことが出来る。
【0033】
(第3の実施形態)…ラジカルの散布
図6は、本発明の菌濃縮殺菌装置の第3の実施形態を示す図であり、符号は図4のものに対応している。
これは、図4の第2の実施形態から菌濃縮検知部13を取り除いた構成のものである。菌濃縮検知部13は、菌濃縮がなされたかどうかを検知して、検知した時に初めて交流電源19を印加するために設けられているものである。
【0034】
しかし、放電によりラジカルを発生することは、殺菌作用をする物質を供給することだという観点に立って考えた場合、何も菌濃縮が実現されるまで待たなくともやっていいことである。そこで、この実施形態では、菌濃縮検知部13を省き、未だ菌濃縮が実現されていない間においても、交流電源19を印加するようにしている。
なお、図6の装置の変形例として、図5で示したように、誘電体板20で電極16,17を覆うようにした装置とすることも出来る。
【0035】
第3の実施形態の菌濃縮殺菌装置を方法の観点から見れば、流体中の菌を誘電泳動により集めて濃縮すると共に、菌に対してラジカルの散布という物理的破壊措置を講ずることにより流体中の菌を殺菌するようにした菌濃縮殺菌方法ということになる。

【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の菌濃縮殺菌装置の第1の実施形態を示す図
【図2】本発明の菌濃縮殺菌装置の要部の斜視図
【図3】誘電泳動のために使用する電極の他の例を示す図
【図4】本発明の菌濃縮殺菌装置の第2の実施形態を示す図
【図5】第2の実施形態の変形例を示す図
【図6】本発明の菌濃縮殺菌装置の第3の実施形態を示す図
【符号の説明】
【0037】
1…菌濃縮殺菌装置、2…基盤、3…交流電源、4,5…電極、6…流路、7,8…スペーサ、9…菌、10…電極、11…流路形成体、12…パルス電源、13…菌濃縮検知部、14…菌混入液、15…空間、16,17…電極、18…放電、19…交流電源、20…誘電体板、30…物理的破壊手段部,31…菌濃縮部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5