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明細書 :共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4461250号 (P4461250)
公開番号 特開2005-024647 (P2005-024647A)
登録日 平成22年2月26日(2010.2.26)
発行日 平成22年5月12日(2010.5.12)
公開日 平成17年1月27日(2005.1.27)
発明の名称または考案の名称 共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡
国際特許分類 G02B  21/06        (2006.01)
G02B  21/00        (2006.01)
G02B  21/36        (2006.01)
FI G02B 21/06
G02B 21/00
G02B 21/36
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2003-187142 (P2003-187142)
出願日 平成15年6月30日(2003.6.30)
審査請求日 平成18年6月28日(2006.6.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504300181
【氏名又は名称】国立大学法人浜松医科大学
発明者または考案者 【氏名】寺川 進
個別代理人の代理人 【識別番号】100075144、【弁理士】、【氏名又は名称】井ノ口 壽
審査官 【審査官】森内 正明
参考文献・文献 特開2000-89124(JP,A)
特開2002-55282(JP,A)
特開2003-29153(JP,A)
特開2000-206412(JP,A)
特開2001-272606(JP,A)
調査した分野 G02B 21/00 - 21/36
特許請求の範囲 【請求項1】
第1の面と第2の面を備え前記第1の面に標本を支持する透明板と、
前記第1の面側に配置される共焦点走査顕微鏡光学系と、
前記第2の面から第1の面に抜ける光の成分がミクロン以下の単位の厚さになるように前記第2の面に全反射角より大きい角度で入射させてエバネッセンス照明光を形成し前記標本を前記エバネッセンス照明光で切断するための照明光を供給するエバネッセンス照明光源と、
前記第2の面側に配置されているエバネッセンス照明像用の走査顕微鏡光学系とから構成し、
前記共焦点走査顕微鏡光学系からの照明を標本の特定の面に照明し、該照明により発生した信号光を受けて撮像される共焦点像と、前記エバネッセンス照明光により標本をミクロン以下の単位の厚さの光で切断してその部分より信号光を受けて撮像されるエバネッセンス照明像とを同時に観察するように構成し、且つ前記エバネッセンス照明光による照明点と前記共焦点走査顕微鏡光学系からの照明による照明点は標本上で重ならない様構成したことを特徴とする、
共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡。
【請求項2】
請求項1記載の走査顕微鏡において、共焦点走査顕微鏡光学系は、光源からの光をレンズつき円板、対応するピンホール円板からなるニプコウ円板組立、前記円板間に配置されているダイクロイックミラー、共焦点走査顕微鏡光学系対物レンズを介して標本の特定の面を照明し、照明により発生した信号光を前記ピンホール円板、前記ダイクロイックミラーで反射して撮像するように構成されている共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡。
【請求項3】
請求項1記載の走査顕微鏡において、
エバネッセンス照明像用の走査顕微鏡光学系は、
エバネッセンス照明により発生した信号光を対物レンズおよび収束レンズを介して信号光発生点に対応するピンホールを有するニプコウ円板を介して撮像するように構成されている共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、標本を光学的に切断した像を与える共焦点光学系と、ガラス‐水(または空気)界面にできるエバネッセンス光による照明を利用したエバネッセンス顕微鏡光学系を備え、同一標本について共焦点像とエバネッセンス照明像情報の両方を同時に取得できる走査顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
共焦点顕微鏡は対象標本のz軸上の1点でこれに垂直な面に沿って切断したような顕微鏡画像が得られ、医学生物学、半導体工学などの領域で使われる。
共焦点顕微鏡は照明用のレンズを備える板と、像からの信号を透過させるピンホール板を組にしたレンズつきニプコウ円板を用いて実現されている。
【0003】
一方本件発明者は下記の「顕微鏡用極薄照明光発生装置および前記装置を用いた観察方法」の発明により、界面の全反射領域で発生するエバネッセンス光を用いて、極めて薄い光で標本を照明または励起してその結果発生する情報を得る顕微鏡用極薄照明光発生装置を提案している。エバネッセンス照明法では1μmより薄く切れる極薄照明光を発生できる。
【特許文献1】
特願2003-186769号
この装置を用いると、標本である細胞の断層情報、2以上の断層の情報から、細胞等の立体情報を獲得することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記共焦点走査顕微鏡と、前記エバネッセンス光を用いる顕微鏡装置を組み合わせると細胞等に関する情報を同時的に獲得できるのであるが、そのような装置は提案されていない。
本発明の目的は、共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明による請求項1記載の共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡は、
第1の面と第2の面を備え前記第1の面に標本を支持する透明板と、
前記第1の面側に配置される共焦点走査顕微鏡光学系と、
前記第2の面から第1の面に抜ける光の成分がミクロン以下の単位の厚さになるように前記第2の面に全反射角より大きい角度で入射させてエバネッセンス照明光を形成し前記標本を前記エバネッセンス照明光で切断するための照明光を供給するエバネッセンス照明光源と、
前記第2の面側に配置されているエバネッセンス照明像用の走査顕微鏡光学系とから構成し、
前記共焦点走査顕微鏡光学系からの照明を標本の特定の面に照明し、該照明により発生した信号光を受けて撮像される共焦点像と、前記エバネッセンス照明光により標本をミクロン以下の単位の厚さの光で切断してその部分より信号光を受けて撮像されるエバネッセンス照明像とを同時に観察するように構成し、且つ前記エバネッセンス照明光による照明点と前記共焦点走査顕微鏡光学系からの照明による照明点は標本上で重ならない様構成されている。
【0006】
本発明による請求項2記載の共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡は、請求項1記載の走査顕微鏡において、共焦点走査顕微鏡光学系は、光源からの光をレンズつき円板、対応するピンホール円板からなるニプコウ円板組立、前記円板間に配置されているダイクロイックミラー、共焦点走査顕微鏡光学系対物レンズを介して標本の特定の面を照明し、照明により発生した信号光を前記ピンホール円板、前記ダイクロイックミラーで反射して撮像するように構成されている。
【0007】
本発明による請求項3記載の共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡は、請求項1記載の走査顕微鏡において、
エバネッセンス照明像用の走査顕微鏡光学系は、
エバネッセンス照明により発生した信号光を対物レンズおよび収束レンズを介して信号光発生点に対応するピンホールを有するニプコウ円板を介して撮像するように構成されている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下図面等を参照して本発明による装置の実施の形態を説明する。
図1は、本発明による共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡の第1の実施例を示す図、図2は前記顕微鏡の対物レンズと標本部分を拡大して示した図である。
【0009】
この第1の実施例は、マイクロレンズつきレンズ円板2aとピンホール円板2bを含むニプコウ円板組立2と一つの対物レンズ5により共焦点光学系を作る。同時に前記ニプコウ円板組立2の他の領域を利用して、レーザ光の走査系を作りこれを標本の反対側から、もう一つの対物レンズ11の周縁を通して標本10に照射する。これによりエバネッセンス照明光を作る。エバネッセンス場におかれた蛍光物質の発する光を前記対物レンズ11で集める。
エバネッセンス照明光の蛍光像の焦点位置を共焦点系のそれとずらすことにより、2つの光学系を独立して(他の光学系の影響を受けないようにして)動作させることができるように構成してある。
【0010】
前記原理による第1の実施例を図1、2を参照してさらに説明する。各図に示すようにカバーガラスなどにより構成される透明板9の第1の面である上側に標本10が配置される。そしてこの前記第1の面側に共焦点走査顕微鏡光学系が配置される。
【0011】
共焦点走査顕微鏡光学系はニプコウ円板組立2を含んでいる。ニプコウ円板組立2はレンズ円板2a、各レンズに対応するピンホールを備えるピンホール円板2bを含み各円板間にダイクロイックミラー6が設けられている。
ピンホールを通過した光源1の窓1aからの光は共焦点走査顕微鏡光学系の鏡筒4に支持されている対物レンズ5を介して標本の特定の面(図2の平面P1 )を照明する。
照明により発生した信号光(励起された蛍光,散乱光等)は前記ピンホール円板2bのピンホール、ダイクロイックミラー6で反射してレンズ7と撮像素子よりなるカメラで撮像される。
【0012】
エバネッセンス照明光源は、前記透明板9の第2の面側から前記標本をエバネッセンス照明光で切断するための照明光を供給する。エバネッセンス照明像用の走査顕微鏡光学系は前記第2の面側に配置されている。図2でL1の示す光束はエバネッセンス照明光L2を形成するための光であってエバネッセンス照明像用の走査顕微鏡光学系の対物レンズ11を介して供給される。
【0013】
前記エバネッセンス照明用光束は、前述の光源の窓1bからの光により形成される。光源の窓1bからの光で前記ニプコウ円板組立2のレンズ円板2aのマイクロレンズを透過した光はピンホール円板2bの対応するピンホールを通過し、レンズ3でコリメートされる。コリメートされた光はプリズム13で曲げられ、エバネッセンス照明像用の走査顕微鏡光学系の光軸中に配置されているダイクロイックミラー14により反射され鏡筒12に支持されている対物レンズ11により透明板9に入射される。
【0014】
本件出願人の前記特許文献1に詳細に記載されているが、図2に示すように水相とカバーガラスのような透明板9との界面を想定し、その中に細胞等の標本10が存在している場合について検討する。その界面の入射光L1 の入射角を臨界角より僅かに大きく取ると、全反射が生じ、光は水側へ抜ける光の成分が発生する。この抜けた光L2 は界面に平行に近く、1μm程度の厚さの光となる。この光により細胞等の標本が切断されることにより、標本の当該部分から信号光(散乱光、蛍光など)が発生させられる。
【0015】
前記信号光は、対物レンズ11をダイクロイックミラー14、レンズ15を介して、信号光発生点と共焦点面にあるニプコウ円板組立16のピンホール位置に結像され、ピンホールを通過した光はミラー19で反射され、レンズ17と撮像装置18からなる撮像手段で撮像される。
【0016】
前述の第1の実施例は、共焦点走査顕微鏡と全反射エバネッセンス光学系の照明を一つのニプコウ円板組立16を用いて実現している。前記全反射エバネッセンス光学系の照明力を向上させるために前記ニプコウ円板組立2に同期して回転するさらに他のニプコウ円板組立を全反射エバネッセンス光学系の照明に利用することができる。
図3に示す第2の実施例は、第1のニプコウ円板組立2に連動する第2のニプコウ円板組立16の斜め下方向からエバネッセンス励起用の光ビームを導入するものである。
図4に示す第3の実施例は、第1のニプコウ円板組立2に連動する第2のニプコウ円板組立16の撮像用(蛍光観察用)に利用される部分の反対側のピンホール等を利用するものである。
図5に示す第4の実施例は、第1のニプコウ円板組立2に連動する第2のニプコウ円板組立16の撮像用(蛍光観察用)に利用されるピンホールの近傍のピンホールを利用するものである。以下各実施例を簡単に説明する。
【0017】
図3は、本発明による共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡の第2の実施例を示す図である。前記実施例と共通の機能をもつものについては同一の数字を付してある。この実施例の、第1の面側に配置される共焦点走査顕微鏡光学系の構成は前述の実施例装置と同じである。そして、エバネッセンス顕微鏡用光源20を下側に配置してニプコウ円板組立16にマイクロレンズを支持するレンズ円板16aとピンホール円板16bを介して照明光を供給するように構成したものである。光源20からの光はニプコウ円板組立16のマイクロレンズを支持するレンズ円板16aのレンズを透過し、レンズ円板16aは16b間に配置されているダイクロイックミラー24を透過し、ピンホール円板16bの対応するピンホールを通過する。ピンホールを通過した光はレンズ15,11を通り、標本10と透明板9の界面に全反射角よりも僅かに小さい角度で入射させられ、エバネッセンス光を発射する。前記エバネッセンス光で、切断された標本の面の発生する信号光は対物レンズ11、レンズ15を介して、信号光発生点と共役な位置にあるピンホールを透過する。前記ピンホールを透過した信号光はダイクロイックミラー24により反射され、レンズ17撮像装置18よりなる撮像手段で撮像される。
【0018】
図4は、本発明による共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡の第3の実施例を示す図である。前記他の実施例と共通の機能をもつものについては同一の数字を付してある。この実施例の、第1の面側に配置される共焦点走査顕微鏡光学系の構成は前述の実施例装置と同じである。そして、エバネッセンス顕微鏡用光源21を下側に配置してニプコウ円板組立16にマイクロレンズを支持するレンズ円板16bとピンホール円板16aを介して照明光を供給するように構成されている。ピンホール円板16aのピンホールを透過した光はレンズ22でコリメートされ、プリズム13で反射され、ダイクロイックミラー14で反射されて、対物レンズ11の周縁に入射させられる。この光により、前述した照明用のエバネッセンス光が形成され、エバネッセンス光により信号光が発生させられる。この信号光は対物レンズ11、ダイクロイックミラー14、レンズ15を介して信号光発生点と共役な位置にあるピンホールを透過する。
前記ピンホールを透過した信号光はミラー19により反射され、レンズ17撮像装置18よりなる撮像手段で撮像される。
【0019】
図5は、本発明による共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡の第4の実施例を示す図である。
前記他の実施例と共通の機能をもつものについては同一の数字を付してある。
この実施例の、第1の面側に配置される共焦点走査顕微鏡光学系の構成は前述の実施例装置と同じである。
そして、エバネッセンス顕微鏡用光源21を下側に配置してニプコウ円板組立16にマイクロレンズを支持するレンズ円板16aとピンホール円板16bを介して照明光を供給するように構成されている。
ピンホール円板16bのピンホールを透過した光はレンズ23でコリメートされ対物レンズ11の周縁部分に供給され、前述と同様照明用のエバネッセンス光が発生させられる。
【0020】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明は、標本を光学的に切断した像を与える共焦点光学系と、ガラス‐水(または空気)界面にできるエバネッセンス光による照明を利用したエバネッセンス顕微鏡光学系を備え、同一標本について共焦点像とエバネッセンス照明像情報の両方を同時に取得できる。
2次元的な面の像を得るには、それぞれの点を走査する必要があるが、走査手段を連動させることにより、両照明モードの光の点は重ならないようにすることで、2つの異なる方式によって得られる2つの2次元画像は互いに影響を及ぼすことなく、即ち2つの画像が重畳されることなく、それぞれの方式による2つの2次元画像をそれぞれ別個に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡の第1の実施例を示す図である。
【図2】前記実施例の標本部分と対物レンズ部分を拡大して示した図である。
【図3】本発明による共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡の第2の実施例を示す図である。
【図4】本発明による共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡の第3の実施例を示す図である。
【図5】本発明による共焦点像とエバネッセンス照明像情報を取得できる走査顕微鏡の第4の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 ニプコウ円板組立
3 レンズ
4 共焦点走査顕微鏡用鏡筒
5 共焦点走査顕微鏡用対物レンズ
6 ダイクロイックミラー
7 撮像レンズ
8 撮像装置
9 透明板
10 標本
11 エバネッセンス顕微鏡用対物レンズ
12 エバネッセンス顕微鏡用鏡筒
13 プリズム
14 ダイクロイックミラー
15 レンズ
16 ニプコウ円板組立
17 撮像レンズ
18 撮像装置
19 ミラー
20,21 エバネッセンス顕微鏡用光源
23 コリメータレンズ
24 ダイクロイックミラー
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4