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明細書 :屈折率センサー、屈折率測定装置及び屈折率センサーの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3991072号 (P3991072)
公開番号 特開2004-191110 (P2004-191110A)
登録日 平成19年8月3日(2007.8.3)
発行日 平成19年10月17日(2007.10.17)
公開日 平成16年7月8日(2004.7.8)
発明の名称または考案の名称 屈折率センサー、屈折率測定装置及び屈折率センサーの製造方法
国際特許分類 G01N  21/27        (2006.01)
FI G01N 21/27 C
請求項の数または発明の数 5
全頁数 13
出願番号 特願2002-357530 (P2002-357530)
出願日 平成14年12月10日(2002.12.10)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 日本分析化学会第51年会講演要旨集(第110-111頁)のとおり文書を持って発表
審査請求日 平成17年6月24日(2005.6.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
発明者または考案者 【氏名】満塩 勝
【氏名】肥後 盛秀
個別代理人の代理人 【識別番号】100090273、【弁理士】、【氏名又は名称】國分 孝悦
審査官 【審査官】横井 亜矢子
参考文献・文献 特開平11-223597(JP,A)
特表平10-506712(JP,A)
満塩勝 他,金蒸着光ファイバーを用いる新規屈折計の開発,第6回化学とマイクロ・ナノシステム研究会 講演予稿集,日本,2002年 8月 6日,第28頁
満塩勝 ,光ファイバーとレーザーを利用したセンサーシステムの開発,鹿児島科学研究所研究報告 ,日本,2002年 7月30日,No.12,Page.10-17
調査した分野 G01N 21/00-21/61
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
長さ方向の一部において、被覆層が除去されてコアが露出した光ファイバーを有する屈折率センサーであって、
前記コアの前記被覆層から露出した部分の半周面のみが金膜により覆われていることを特徴とする屈折率センサー。
【請求項2】
前記金膜上に形成された感応膜を有することを特徴とする請求項1に記載の屈折率センサー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の屈折率センサーと、
前記金膜に向けて試料を供給する試料供給手段と、
前記光ファイバー中を伝達する光の量の変化を検出することにより、前記試料の屈折率を特定する検出手段と、
を有することを特徴とする屈折率測定装置。
【請求項4】
光ファイバーの長さ方向の一部において、被覆層を除去することにより、コアを露出させる工程と、
前記コアの前記被覆層から露出した部分の半周面のみを覆う金膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする屈折率センサーの製造方法。
【請求項5】
前記金膜上に感応膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項4に記載の屈折率センサーの製造方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、金を蒸着した光ファイバーを備えた屈折率センサー、屈折率測定装置及び屈折率センサーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開2001-083084号(以下特許文献1という)に光ファイバーによる溶液の屈折率測定法があり、「入射光に角度幅を持たせると、光伝達の原理よりファイバー周囲の液体の屈折率に応じた一定の入射角内の光線しか伝達されず、それ以上の入射角の光線はファイバーから漏れる原理に基づくものである。」という記載がある。
【0003】
学術論文Analytical Sciences、17巻Supplement、i1721~i1723ページ、2001年(以下非特許文献1という)に、露出させたコアを90度ずつ回転させ、金蒸着を4回繰り返した光ファイバーを用いたセンサーによるアルコールの屈折率測定が行われている。
【0004】
学術論文Analytical Sciences、18巻261~265ページ、2002年(以下非特許文献2という)に、センサーチップ上に被覆膜層を形成した表面プラズモン共鳴センサーによるアミンの高感度検出が行われている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001-083084号公報(第2頁)
【非特許文献1】
満塩勝、他2名、「Construction of a Gold-Coated Optical Fiber System and Analysis of Alcohols」、Analytical Sciences、日本分析化学会、平成14年4月、第17巻、増刊号、PP.i1721-i1723
【非特許文献2】
西村聡、満塩勝、他3名、「Application of a Surface Plasmon Resonance Sensor to Analyses of Amine Compounds with the Use of a Polymer Film and an Acid-base Reaction」、Analytical Sciences、日本分析化学会、平成14年3月、第18巻、第3号、PP.261-265
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1には、複数のレンズを用いて複雑な光学系とし、入射光に角度幅を持たせるという問題点があり、光学系の調整が難しい。その結果、収差等により精度および再現性に問題がある。
【0007】
非特許文献1は光ファイバーへ金を4回蒸着するのに高い技術を要すること、また測定の精度および再現性を更に向上させたいなどの要求がある。
【0008】
非特許文献2は、プリズムや角度を調整するための装置が必要であり、光ファイバーを用いていないため、遠隔分析が不可能であり装置を使用できる場所が制限される。
【0009】
本発明は、精度が高く、高感度で、再現性がよく、好ましくはアミンに対する感度がより高い屈折率センサー、屈折率測定装置及び屈折率センサーの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は、鋭意研究の結果、単純な光学系を利用して、高精度で均一な品質を持ったセンサーとその作製方法の発明を完成し、上記課題を解決した。すなわち、光源にレーザーを使用することにより、容易に平行光が得られ、光ファイバーに光を入射するのに単球面レンズを使用することができ、色収差及び球面収差を最小限に押さえ、更に単色光を使用することにより色収差の影響も排除する。また、蒸着方法を簡略化することにより、測定の高精度化とセンサーの品質の均一性を同時に実現する。更に、金蒸着光ファイバーに感応膜の層を形成することにより、特定の物質に対する感度が飛躍的に向上する。
【0011】
本発明は、金を蒸着した光ファイバーセンサーを構成とし、表面プラズモン共鳴の作用機構によって、センサーと接触している媒体の屈折率を測定する新規な屈折率センサーを実現したものである。
【0012】
本発明は、屈折率の測定及び情報の伝達媒体に光ファイバーを利用することにより、情報の中継及び増幅を必要とすることなく、遠隔地におけるリアルタイムの測定を実現したものである。
【0013】
本発明にいう金蒸着光ファイバーとは、光ファイバーの一部の被覆層を除去し、その上に金薄膜を物理的蒸着法により蒸着したものである。
本発明にいう物理的蒸着法とは、真空蒸着法などである。
【0014】
本発明にいう光ファイバーとは、高屈折率の光伝達媒体を低屈折率のポリマー等で被覆したものであり、いわゆる市販光ファイバーを含む。
【0015】
本発明にいう屈折率測定用センサーとは、金蒸着光ファイバーを使用したセンサーであり、光ファイバー端面を劈開処理したものである。
【0016】
本発明にいう光源部とは、光源およびレンズ系からなり、光源は単色光であって、気体レーザー及び半導体レーザーである。
【0017】
本発明にいう試料部は、試料容器およびポンプとこれらを繋ぐチューブからなり、試料は液体であって、水および/または有機物を溶媒としたものであり、センサーや試料用チューブなどを腐食しないものをいう。
【0018】
本発明にいう検出部は、センサーと試料を接触させた時、光ファイバーを透過する光量の変化を測定し、その変化量から屈折率の決定を行うものである。
【0019】
本発明に係る屈折率センサーは、長さ方向の一部において、被覆層が除去されてコアが露出した光ファイバーを有する屈折率センサーであって、前記コアの前記被覆層から露出した部分の半周面のみが金膜により覆われていることを特徴とする。なお、屈折率センサーは、前記金膜上に形成された感応膜を有することで更なる性能の向上が可能となる。
【0020】
本発明に係る屈折率測定装置は、上記の屈折率センサーと、前記金膜に向けて試料を供給する試料供給手段と、前記光ファイバー中を伝達する光の量の変化を検出することにより、前記試料の屈折率を特定する検出手段と、を有することを特徴とする。なお、光源部及び記録部等が含まれていてもよい。より詳しくは、光源部としてレーザー及びレンズが含まれていてもよく、試料供給手段としてガラス管に上記の屈折率センサーと試料導入用のチューブを固定したものが含まれていてもよく、検出手段として検出器及びマルチメーターが含まれていてもよく、記録部としてレコーダー及びコンピュータが含まれていてもよい。
また、光源部の光源に単色光のレーザー及び単球面レンズが使用されていてもよく、上記の屈折率センサーとして、光ファイバー端面を劈開処理したものが使用されていてもよい。
【0021】
本発明の感応膜とは、酸塩基反応によりアミン類と強く相互作用し、アミン類に対する感度を向上させるものをいう。一例を挙げれば、金薄膜上にn-オクタデカンチオールの自己集合膜層を形成した後、ポリアクリルアミド水溶液とピバリン酸水溶液とを混合した混合溶液をセンサー表面に塗布した後、真空中で乾燥させたものである。これにより、アミン類がピバリン酸との酸塩基反応により膜内に取り込まれ、膜の屈折率が大きく変わり、感度を著しく向上させるものである。
【0023】
本発明の光源部としてレーザー、センサー部として金蒸着光ファイバーなど、検出部としてSi検出器、記録部としてコンピュータとレコーダーなどによって構成される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の屈折率センサーおよびその使用方法、ならびに装置について図面に則して詳細に説明する。
【0025】
本発明の屈折率センサーの使用方法を実施するための装置の概略構成を図1に示す。本発明はこれに限定されるものではない。ここでは液体の屈折率を測定し、これによって液体の混合比や濃度を求めることができる。
【0026】
本発明は、光ファイバーを使用することによって、中継や増幅を行わずに遠隔地における連続的屈折率測定も可能な屈折率測定装置である。光ファイバーに金薄膜などを形成して表面プラズモン共鳴現象を発生させることによりセンサーにし、単純な光学系で広い範囲の屈折率の測定が行えるものである。
【0027】
基本的な構成としては、光源部1の光をセンサー部2へ入射する。試料部3によりセンサー部2へ試料を流入し排出し、透過光の変化を検出部4にて検出する。検出された透過光変化は記録部5にてコンピュータ及びレコーダーに記録される。
【0028】
光源部1はレーザー11及びレンズ13により構成される。レーザーには、気体レーザーや半導体レーザーを使用することができる。光の入射に使用するレンズは、収差の影響を受け難いレンズ系であればよい。たとえば単球面レンズであれば、単純な構造のため、収差の影響を受けずに効率よく光を入射することができる。
【0029】
光軸は、光ファイバーと平行であり、光ファイバーの端面を劈開処理することにより、効率よく光を入射することができる。更に光ファイバーの交換時における光軸の再調整も容易である。
【0030】
センサー部2は、金蒸着光ファイバー表面とサンプルを接触させる部位である。光ファイバー21は後述する加工を施し、試料流入・排出用のチューブ23、25をガラス管27に固定したものである。ガラス管27は、被覆部を除去した光ファイバーの補強を兼ねている。ガラス管27の内径は1mm程度でも使用可能であるが、注入操作を容易にするため、適度な管径があればよい。本実施例では3mmのガラス管を使用している。なお、製造ラインに直接組み込んで使用する場合は、ガラス管は必要ない。ここでいう製造ラインには、化学工場、酒造工場、食品加工工場等の液体パイプライン及び/又は反応槽等が含まれる。また、この金蒸着光ファイバー表面に感応膜層を形成することにより様々な特性を与えることができる。
【0031】
試料部3は、サンプル31とポンプ33により構成される。一回の測定に必要なサンプル31は1~10ml程度でよい。ポンプ33は、本実施例ではマイクロチューブポンプを使用している。サンプルは、静止状態および流動状態における測定が可能である。流動試料の連続測定の場合、応答速度は流入速度に比例する。より精密な測定を行う場合は、恒温層などを用いて、サンプルの温度を制御する。
【0032】
検出部4は、Si検出器41及び光マルチメーター43から構成される。Si検出器41により検出された光は、光マルチメーター単体でも数値として検出ことができるため、簡単な測定ならコンピュータを使用しなくても行うことができる。
【0033】
記録部5は、コンピュータ51及びレコーダー53により構成される。コンピュータ51にデジタルデータとしてセンサーからの信号を記録することも可能であり、このデータを利用して表計算ソフトを用いて統計的な解析も可能である。また、レコーダー53を用いてアナログデータの記録を行うこともできる。これらの測定は、すべて連続的に行うことができる。
【0034】
本発明の屈折率測定装置のセンサーとなる金薄膜層を形成した光ファイバーについて以下に詳述する。
【0035】
市販されている光ファイバーの構造を図2に示す。光ファイバーは高屈折率のコア22、クラッド24、ジャケット26の三層構造を有している。通常、光信号は、全反射を繰り返すことによってエネルギーの減衰を防ぎながら、コア22内を伝達される。
【0036】
濃硫酸を用いて、光ファイバーのクラッド24及びジャケット26を除去し、コア22を露出させる。クラッド24、ジャケット26を除去する長さは1~10cmの間であることが好ましい。更に長くすることも可能であるが、光ファイバーから被覆層を除去した場合、強度が極端に低下し、更に、金薄膜の作製時に除去範囲の中心付近と周辺において蒸着のムラが大きくなり、精度に影響を及ぼす。1cm未満になると感度が低下する。5~10cm程度のものが最も扱いやすいセンサーである。
【0037】
次に図3(a)に示すように、コア表面に物理的蒸着法を用いてし、金薄膜層28を形成する。従来は光ファイバーの周囲を被覆するように90度ずつ回転させて金薄膜を4回蒸着していたが、本発明では光ファイバーの半面に1回蒸着する。金薄膜の厚さは水晶振動子式膜厚計を用いて薄膜作製時にモニタリングすることによって制御する。この時の膜厚は、10~70nmの間で制御し、45~50nmにおいて表面プラズモン共鳴現象が最も効率よく起こる。
【0038】
更に、図3(b)に示すように、作製した金薄膜28上に、ポリアクリルアミドとピバリン酸による感応膜層29を形成することにより、アミン類に対する感度を飛躍的に向上させることができる。はじめに、金を蒸着した光ファイバーをガラス管に固定し、セルを構築する。セル内にn-オクタデカンチオールを3時間以上満たし、排出後、ポリアクリルアミドとピバリン酸の混合水溶液を流入する。流入後、すぐに排出し、金の蒸着面を上にして真空中で1時間以上(液滴が消失するまでの時間)乾燥し、感応膜層29を形成する。その後、メタノールおよびエタノールで表面を洗浄し、測定に用いる。
また、金を4回蒸着した光ファイバーにおいても同様の操作により感応膜を作製し、測定に用いる。
【0039】
また、光ファイバー21の両末端は、クラッド24とジャケット26を物理的に除去し、更にコア22を劈開処理し、光を導入しやすくする。光ファイバー末端は研磨を行わず劈開処理のみを行うことにより、作製の簡略化とセンサーの量産を容易にすることができる。
【0040】
金薄膜層を形成した光ファイバーを、試料流入・排出用のチューブ23、25と共にガラス管27内に固定し、センサーを形成する。形成したセンサーの模式図を図4に示す。ガラス管は、外部からの雑光の影響を無視できる場合は透明でよく、影響を受ける場合は遮光する。固定には樹脂を使用することにより、作製の簡略化と強度の確保を同時に行う。
【0041】
光ファイバーは数キロメートルの長さであっても100%近い信号の強度を伝達できるので、光ファイバーを目的に応じた長さにすることにより、遠隔地におけるセンシングも容易に行える。更に、光は電気的ノイズの影響を受けないので、撹拌槽や冷却ファンなどの強い電気的ノイズが発生する場所においても高感度の測定が容易に行える。更に、センサー部は光ファイバー上に直接形成できるので、光ファイバーの接合を行う必要がなく、光の損失を最低限に押さえることができる。従って、パイプライン内にセンサーを固定することによって、製造ラインにおけるサンプルの遠隔管理が可能となる。
【0042】
【実施例】
〔実施例1〕
本発明による各種アルコールのメタノール溶液の測定例を図5に示す。縦軸は、溶媒のメタノールを測定したときの透過光強度で規格化している。光源として、He-Neレーザーと半導体レーザーを用いている。本実施例では、溶媒としてメタノールを使用しているが、水溶液やエタノール等の他の有機溶媒を用いた溶液の測定も可能である。図5より、本発明は物質の種類ではなく、屈折率にのみ応答していることが分かる。屈折率1.32~1.44の範囲が金薄膜による表面プラズモン共鳴現象に起因した応答である。この曲線は、金の膜厚の調整や光源の変更により応答特性を変化させることができることを示している。
【0043】
〔実施例2〕
本発明は光ファイバー上に形成する金薄膜の厚さを調節することにより、応答する屈折率範囲をコントロールすることができ、センサーの応用範囲を更に広げることができる。ベンジルアルコールのメタノール溶液の屈折率に対する金の膜厚を変化させた場合の応答の変化を図6に示す。光ファイバー上に蒸着する金の厚さは、10~70nmの範囲で応答が起こり、膜厚によって応答特性を変化させることができる。
【0044】
〔実施例3〕
本発明の同一ロット内のセンサー3本を測定した場合の応答のばらつきを図7に示している。各センサー1本につき3回の測定を行っており、そのときの標準偏差は2%以下であった。各々の測定は、始めに溶媒の蒸留水を測定し、そのときの透過光強度を用いてエチレングリコール水溶液の各濃度の測定結果を規格化している。本発明による同一ロット内のセンサー間の応答の誤差はかなり小さく、均一な特性を持ったセンサーを容易に作製できることが示されている。そのため、本発明が安価で量産が容易なセンサーであることが分かった。
【0045】
〔比較例1〕
非特許文献1の同一ロット内のセンサー3本を測定した場合の応答のばらつきを図8に示している。屈折率はエチレングリコール水溶液を用いて調整した。個々のセンサーは実施例3と同様に一本につき3回の測定を行っており、その標準偏差が2%以下であることを確認している。同一のロットにおいてもセンサー間の応答が大きく異なっており、センサーの量産には不向きであることが分かった。
【0046】
〔実施例4〕
図9に金を蒸着するコアの長さを変化させてセンサーを作製した場合の屈折率に対する応答を示す。屈折率はエチレングリコール水溶液を用いて調整した。長さが短くなると感度が悪くなるが、1cmでも応答が見られており、小型センサーの形成が可能であることが示されている。
【0047】
〔実施例5〕
本発明者は、上記構成の屈折率センサーを使用して、焼酎に含まれるエタノール含有量の測定を行った。まず、試料温度を15℃に保ち、0度から50度までの濃度既知のエタノール水溶液をチューブ23に流し、透過光の強度を測定し、検量線を作成した。次に、焼酎をチューブ23に流し、そのときの透過光の強度から濃度の測定を行った。図10に検量線と測定結果を示す。この焼酎に含まれるエタノール含有量の公称値は25度であり、測定結果が24.0度と公称値とほぼ同じ結果が得られ、濃度測定にも十分に応用できることが分かった。
【0048】
〔実施例6〕
本発明における屈折率の検出限界を検討し、その結果を図11に示す。なお、図11における屈折率1.3265は、従来屈折率の測定に使われているアッベ屈折率計では屈折率変化を観測できなかったため、試料溶液の濃度から屈折率を概算した値を使用した。測定試料はベンジルアルコールのメタノール溶液である。本発明では、コンピュータによる解析を利用して小数点以下4桁の精度で屈折率の変化を検知することができ、非特許文献1に比べて検出限界が著しく向上し、従来のアッベ屈折計を上回る感度を示した。
【0049】
〔実施例7〕
本発明における屈折率に対する検量線の作成を行った。その結果を図12に示す。これらのプロットは、相関係数0.9990と良好な直線性を示し、高濃度においても直線がゆがむことがなく、容易に濃度測定が行えることが分かり、本センサーの実用性を示すことができた。
【0050】
〔比較例2〕
非特許文献1の屈折率の検出限界を図13(a)、(b)に示した。(a)がアナログ出力でデータをレコーダーに記録したもの、(b)が一度コンピュータにデータを蓄積し、プリンターで出力したものである。測定試料はフェネチルアルコールのメタノール溶液である。(a)のアナログで出力を行って解析すると屈折率の変化量(ΔRI)が0.0012、(b)のデータをコンピュータで蓄積し、解析した場合はΔRIが0.0003の変化を検知した。これらの検出限界は、本発明に比較して少し不満足である。
【0051】
〔実施例8〕
図14は、本発明によるセンサーの金薄膜上に感応膜層を形成し、低濃度のアニリンのエタノール溶液の測定を行ったものである。感応膜は、ポリアクリルアミドとピバリン酸をそれぞれ0.003wt%の水溶液とし、等量混合したものを金薄膜表面上に塗布し、真空中で8時間乾燥させたものである。本感応膜の使用により、アニリンの10-6v/v%オーダーの濃度まで応答が得られており、極めて高い感度を得ることに成功した。
【0052】
〔実施例9〕
図15は、本発明による感応膜を形成した金薄膜のセンサーを使用した場合、低濃度のn-ブチルアミンのエタノール溶液の測定を行ったものである。感応膜は実施例8と同様のものを使用した。n-ブチルアミンにおいても、アニリンの場合と比較すると勾配は小さいが、10-6v/v%の濃度領域まで応答が得られており、高い感度を得ることができた。
【0053】
〔比較例3〕
図16は、本発明のセンサーによる、感応膜層を形成しない場合の低濃度アニリンとn-ブチルアミンのエタノール溶液の測定結果である。アニリンの10-2v/v%オーダーからわずかに応答を示すのみであり、n-ブチルアミンにおいては、全濃度領域において応答は見られず、実施例8、9のような超低濃度のアニリン及びn-ブチルアミンの検出はできなかった。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、金膜とサンプルを接触させることにより生じる表面プラズモン波と、金薄膜表面で発生するエバネッセント波とを利用して、効率よく共鳴吸収させることにより、容易に屈折率を測定できる。
本発明は、角度依存性のない単純な光学系を有している。そのため、精度が高く、高感度で、再現性が良い。金膜上に感応膜を形成することにより、センサーの特性を自由にコントロールすることもできる。また、センサーの生産性も高く、同一性能のセンサーを安価で容易に量産することができる。測定機器を導入することが難しい場所におけるリアルタイムモニタリングも容易に行え、化学工場、酒造工場、食品加工工場等の化学工業の分野においても多大な応用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の屈折率測定装置の一実施例を示す基本構成図である。
【図2】一般的な光ファイバーの構造を示す図である。
【図3】金蒸着光ファイバーの拡大図であって、(a)はコア上に金薄膜を蒸着した金蒸着光ファイバーを示す図であり、(b)は金薄膜上に感応膜層を形成した金蒸着光ファイバーを示す図である。
【図4】本発明で作製したセンサーの概略図である。
【図5】本発明で様々なアルコールのメタノール溶液を測定した結果を示すグラフである。
【図6】センサー上に形成する金薄膜の厚さの変化による応答の変化を示すグラフである。
【図7】本発明で使用するセンサーの同一ロットにおける応答の違いを示すグラフである。
【図8】従来技術で使用していたセンサーの同一ロットの応答の違いを示すグラフである。
【図9】本発明で使用するセンサーの長さの違いによる応答の変化を示すグラフである。
【図10】本発明を用いた焼酎に含まれるエタノール度数の測定例を示すグラフである。
【図11】本発明の屈折率変化に対する検出限界を示すグラフである。
【図12】本発明の屈折率変化に対する検量線を示すグラフである。
【図13】従来技術によるセンサーの検出限界の比較例を示すグラフであり、(a)はアナログ出力でレコーダーに記録したものを示す図であり、(b)はコンピュータにデータを記録し、プリンターで出力したものを示す図である。
【図14】本発明の金薄膜上に感応膜層を形成したセンサーによるアニリンのエタノール溶液の測定例を示すグラフである。
【図15】本発明の金薄膜上に感応膜層を形成したセンサーによるn-ブチルアミンのエタノール溶液の測定例を示すグラフである。
【図16】本発明による感応膜層を形成しない場合のアニリンおよびn-ブチルアミンのエタノール溶液に対する応答を示すグラフである。
【符号の説明】
1 光源部
2 センサー部
3 試料部
4 検出部
5 記録部
11 光源
13 レンズ
21 光ファイバー
22 コア
23 試料流入用チューブ
24 クラッド
25 試料排出用チューブ
26 ジャケット
27 光ファイバー固定用ガラス管
28 金薄膜
29 感応膜
31 サンプル
33 ポンプ
41 Si検出器
43 光マルチメーター
51 コンピュータ
53 レコーダー
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15