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明細書 :投影装置、投影装置の制御方法、複合投影システム、投影装置の制御プログラム、投影装置の制御プログラムが記録された記録媒体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4002983号 (P4002983)
登録日 平成19年8月31日(2007.8.31)
発行日 平成19年11月7日(2007.11.7)
発明の名称または考案の名称 投影装置、投影装置の制御方法、複合投影システム、投影装置の制御プログラム、投影装置の制御プログラムが記録された記録媒体
国際特許分類 G03B  21/00        (2006.01)
FI G03B 21/00 D
請求項の数または発明の数 13
全頁数 50
出願番号 特願2006-553816 (P2006-553816)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 「投影中心固定型パンチルトプロジェクタとそのキャリブレーション手法」、画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2004)講演論文集I、社団法人電子情報通信学会、2004年7月23日、I-57~62ページに発表
国際出願番号 PCT/JP2005/011652
国際公開番号 WO2006/077665
国際公開日 平成18年7月27日(2006.7.27)
優先権出願番号 2005013288
優先日 平成17年1月20日(2005.1.20)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年11月14日(2006.11.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
発明者または考案者 【氏名】満上 育久
【氏名】浮田 宗伯
【氏名】木戸出 正繼
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
審査官 【審査官】佐竹 政彦
参考文献・文献 特開平09-149296(JP,A)
特開平09-197341(JP,A)
特開2001-174915(JP,A)
特開2005-148556(JP,A)
特開2006-080875(JP,A)
特開2004-328321(JP,A)
特開2001-183739(JP,A)
特開2000-081601(JP,A)
特開2004-077545(JP,A)
特開2005-010391(JP,A)
調査した分野 G03B 21/00-21/30
H04N 5/66-5/74
特許請求の範囲 【請求項1】
投影面に対して光を照射し画像を投影する投影部と、この投影部から投影面に対して照射する投影方向を変更するように、該投影部を回転させる駆動部とを備えた投影装置であって
上記駆動部は、上記投影部を回転させるために複数の回転軸を備えており、
上記駆動部によって、上記投影部の回転運動の中心点であり、上記複数の回転軸の交点となる回転中心が1点となるように該投影部が回転され、
上記投影部から投影した光の軌跡として示される、投影方向に平行でかつ水平面と垂直となる面における該光の照射領域と非照射領域との境界をなす境界線、および投影方向に平行でかつ該水平面と平行となる面における該光の照射領域と非照射領域との境界をなす境界線が交わる点を投影中心としたとき、
上記回転中心の位置情報である回転中心位置情報を取得する回転中心位置情報取得手段と、
照射された光の軌跡を示す照射光情報を受付け、該照射光情報に基づき、上記投影中心の位置情報である投影中心位置情報を特定する投影中心位置情報特定手段と、
上記取得された回転中心位置情報と、上記特定された投影中心位置情報とに基づき、投影中心と回転中心とが一致するように、投影部と駆動部との配置関係を調整する調整手段とを備えていることを特徴とする投影装置。
【請求項2】
上記投影部は、上記投影面に対して、上記投影中心から所定の角度で光領域の範囲が広がるように照射しており、
上記回転中心の位置情報を示す回転中心情報を記憶する記憶装置と、
上記投影中心と投影面との間において照射された光の軌跡を示す軌跡情報を取得する軌跡取得部とをさらに備え、
上記回転中心位置情報取得手段は、上記記憶装置から回転中心位置情報を取得し、
上記投影中心位置情報特定手段は、上記照射光情報として、上記軌跡取得部より軌跡情報を受付け、該軌跡情報に基づき投影中心位置情報を特定することを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
上記投影部と上記投影面との間の任意の固定点を通過する光の、該投影面における投影位置情報を、異なる投影方向それぞれについて取得する投影位置情報取得部と、
上記投影位置情報取得部によって取得された上記投影位置情報を受付け、該投影位置情報が上記投影面において1点となる投影中心位置情報を算出する位置調整算出手段と、
上記位置調整算出手段によって算出された結果に基づき、上記特定された投影中心位置情報を変更し、この変更した投影中心位置情報に基づき、上記調整手段により調整された投影部と駆動部との配置関係を微調整する微調整手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の投影装置。
【請求項4】
投影すべき画像データを受付ける画像データ受付け手段と、
上記画像データ受付け手段によって受付けた、点群を配置した画像データに基づき、初期姿勢に設定された投影部により投影された点群を撮影するカメラと、
上記カメラによって撮影された結果に基づき、撮影された点群の投影面における位置情報である投影位置情報を求め、上記点群の位置情報と、この点群の投影面における投影位置情報との関係を算出する第1関係算出手段と、
上記点群を配置した画像データに基づき、初期姿勢から所定角度回転させた投影部によって投影された、投影面における投影点の投影位置情報から、投影部の投影方向と、該投影方向ごとに応じた上記投影点の投影位置情報との関係を算出する第2関係算出手段と、
上記第1関係算出手段と第2関係算出手段との算出結果に応じて、画像データに基づき投影面に投影する画像およびその投影位置を調整するための調整情報を取得する調整情報取得手段とを備えていること特徴とする請求項1に記載の投影装置
【請求項5】
上記調整情報取得手段は、上記調整情報として、投影方向が異なる投影部それぞれについて画像データを共通して扱うことができる平面である正接平面上の位置情報と、投影面上の位置情報との関係を示す第1変換情報と、
上記投影中心から上記投影面における投影点に対する方向を示す方向情報と、
投影面に対する投影可能な範囲を規定する、画像データ中の少なくとも4点以上に対する投影中心からの方向を示す方向情報とを取得することを特徴とする請求項4に記載の投影装置。
【請求項6】
異なる複数の投影面に対して画像を投影する場合において、
上記投影面を規定する4点以上の位置情報と、投影部から該投影面の4点以上に対する方向を示す規定位置方向情報とを取得する投影面情報取得手段と、
上記投影面情報取得手段によって取得された、投影面を規定する4点以上の位置情報と規定位置方向情報とに基づいて、各投影面上の位置情報を上記正接平面上の位置情報に変換するための第2変換情報を算出する外部調整情報算出手段とを備えていることを特徴とする請求項4または5に記載の投影装置。
【請求項7】
上記外部調整情報算出手段によって算出された第2変換情報には、上記投影面を規定する4点以上の位置情報および規定位置方向情報に基づき算出された、隣接する他の投影面との連結関係を示す連結関係情報と、
上記連結関係情報に基づき算出された、連結する投影面同士を2次元平面に展開した際における両者の座標関係を特定する座標変換パラメータと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の投影装置
【請求項8】
投影面に対して光を照射し画像を投影する投影部と、この投影部から投影面に対して照射する投影方向を変更するように、該投影部を回転させる駆動部とを備えた投影装置の制御方法であって、
上記駆動部は、上記投影部を回転させるために複数の回転軸を備えており、
上記駆動部によって、上記投影部の回転運動の中心点であり、上記複数の回転軸の交点となる回転中心が1点となるように該投影部が回転され、
上記投影部から投影した光の軌跡として示される、投影方向に平行でかつ水平面と垂直となる面における該光の照射領域と非照射領域との境界をなす境界線、および投影方向に平行でかつ該水平面と平行となる面における該光の照射領域と非照射領域との境界をなす境界線が交わる点を投影中心としたとき、
上記回転中心の位置情報である回転中心位置情報を取得するステップと、
照射された光の軌跡を示す照射光情報を受付け、該照射光情報に基づき、投影中心の位置情報である投影中心位置情報を特定するステップと、
上記取得された回転中心位置情報と、上記特定された投影中心位置情報とに基づき、投影中心と回転中心とが一致するように、投影部と駆動部との配置関係を調整するステップとを含むことを特徴とする投影装置の制御方法。
【請求項9】
投影すべき画像データを受付けるステップと、
上記受付けた、点群を配置した画像データに基づき、初期姿勢に設定された投影部により投影された点群を撮影するステップと、
撮影された結果に基づき、撮影された点群の投影面における位置情報である投影位置情報を求め、上記点群の位置情報と、この点群の投影面における投影位置情報との関係を算出するステップと、
上記点群を配置した画像データに基づき、初期姿勢から所定角度回転させた投影部によって投影された、投影面における投影点の投影位置情報から、投影部の投影方向と、該投影方向ごとに応じた上記投影点の投影位置情報との関係を算出するステップと、
上記した算出結果に応じて、画像データに基づき投影面に投影する画像およびその投影位置を調整するための調整情報を取得するステップとを含むこと特徴とする請求項8に記載の投影装置の制御方法。
【請求項10】
異なる複数の投影面に対して画像を投影する場合において、
上記投影面を規定する4点以上の位置情報と、投影部から該投影面に対する方向を示す情報とを取得するステップと、
上記取得された投影面を規定する4点以上の位置情報と、投影部から該投影面に対する方向を示す情報とに基づいて、各投影面上の位置情報を上記正接平面上の位置情報に変換するための第2変換情報を算出するステップとを含むことを特徴とする請求項9に記載の投影装置の制御方法。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか1項に記載の投影装置を複数備えたことを特徴とする複合投影システム。
【請求項12】
請求項1~7の何れか1項に記載の投影装置を動作させるための制御プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の投影装置の制御プログラムが記録されたコンピュータの読取り可能な記録媒体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、投影面に投影画像を投影する、投影方向が変更可能な投影装置、投影装置の制御方法、複合投影システム、投影装置の制御プログラム、投影装置の制御プログラムが記録された記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、現実世界と仮想世界とをリアルタイムに融合する技術として、複合現実感(AR;augmented reality,MR;mixed reality)の研究が盛んになりつつある。この複合現実感では、テキストあるいは画像などを、ユーザが存在する空間領域、すなわち実環境に付加させることによって、現実世界と仮想世界とを融合させることができる。
【0003】
ところで、上記テキストあるいは画像などの情報を実環境に付加させるための手段として、次の2つの方法が考えられる。すなわち、HMD(head mounted display)などのユーザ着用型装置を用いる方法と、ユーザが存在する空間領域の壁面などに、直接、映像などを投影するプロジェクタを用いる方法である。
【0004】
上記HMDを用いる方法では、このHMDの表示画面において、実環境に仮想世界の映像を重ねて表示させる。このように、実環境に仮想世界の映像を重ねて表示することにより、HMDを装着したユーザは、実環境に仮想世界が付加された環境を体感することができる。
【0005】
しかしながら、テキストあるいは画像などの情報を実環境に付加させるためにHMDを利用する場合、上記ユーザに対してHMDの常時着用という負担を強いることとなる。また、複合現実感では、ユーザの視点の動きに合わせた、実環境と仮想世界との空間的整合性が求められる。このため、HMDを装着しているユーザの頭部の、実環境における3次元的な配置、または姿勢などの情報を高速且つ高精度に得る必要があるといった問題がある。
【0006】
このような問題に対して、HMDに位置センサを取り付ける方法(非特許文献1;小田島、神原、横矢著「拡張現実感技術を用いた屋外型ウェアラブル注釈提示システム」画像電子学会誌Vol.32 No.6 pp.832-840 Nov.2003.参照)、あるいは、実環境側にマーカを取り付ける方法(非特許文献2;M.Maeda,T.Ogawa,T.Machida,K.Kiyokawa and H.Takemura,“Indoor Localization and Navigation using IR Markers for Augmented Reality”,Adjunct Proc.of 10th International Conference on Human-Computer Interaction,pp.283-284,Jun.2003.参照)などが提案されている。しかしながら、これらの方法では、HMDの装置構成あるいは、複合現実感を体感するために準備すべき環境における設備構成が煩雑となる。さらには、これら提案された方法では、リアルタイムで、実環境と仮想世界との空間的整合性を実現するための十分な精度あるいは処理速度を得ることができないといった問題がある。
【0007】
一方、上記プロジェクタを用いる方法では、プロジェクタによりユーザが存在する空間領域の壁面などに、直接、映像などによって表現される情報などを描画する(非特許文献3;日浦、東城、稗田、森谷、井口、「プロジェクタを用いた3次元遠隔指示インタフェースの構築」、画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2002)論文集I、pp.29-38,Jul.2002.、非特許文献4;向川、西山、尺長、「スクリーン物体への光学パターン投影による仮想光学環境の実現」、信学論D-II、Vol.J84,No.7,pp.1448-1455,Jul.2001.参照)。
【0008】
このように、プロジェクタによって実環境に直接、情報などを描画する場合、ユーザは上記HMDなどのような装置を装着する必要がない。また、ユーザが実際眺めている実環境に対して、プロジェクタにより上記情報が付加されているため、ユーザの観察における負担を低減させることができる。また、複数ユーザによって、実環境に付加された情報を同時に共有することも可能となるという利点を有する。
【0009】
さらにはまた、実環境中に据え付けられるプロジェクタでは、事前に投影領域に対する位置合わせを一度行っておけば、実環境と仮想世界との空間的整合性を実現することができるという利点も有する。
【0010】
なお、上記位置あわせの可能なプロジェクタとして例えば、特許文献1;特開2003-204495号公報(2003年7月18日公開)、特許文献2;特開平10-200836号公報(1998年7月31日公開)、特許文献3;特開2004-177385号公報(2004年6月24日公開)、特許文献4;特開2004-77545号公報(2004年3月11日公開)、特許文献5;特開2001-83949号公報(2001年3月30日公開)が提案されている。
【0011】
すなわち、特許文献1では、投影光学系を通してスクリーンまでの距離を測定する。そして、スクリーンの傾きを算出し投影画像の歪みを補正する画像投影装置が開示されている。
【0012】
また、特許文献2では、画像を投影し、投影された画像を撮像光学系によって撮像する。そして、撮像した結果(ゆがんだ画像)と、もとの画像とを比較し歪み量を計算し、この算出された歪み量に応じてもとの画像を補正する画像投影装置が開示されている。
【0013】
また、特許文献3では、第1および第2ライン型パッシブン型パッシブ測距装置を備え、スクリーン上の水平および垂直方向に沿った複数の位置までの距離を測定することにより、スクリーンの傾斜角度を測定する角度検出装置が開示されている。この角度検出装置は、プロジェクタ正面における平面に対するスクリーン平面の傾斜角度を水平面内および垂直面内において正確に測定することができる。このため、投影画像の歪みを補正することができる。
【0014】
また、特許文献4では、映像投射機構部の垂直方向または水平方向に関する基準位置からの変位角度から、投射面を判断し、その投射面に対応した補正設定値にもとづいて台形補正が行われるプロジェクタが開示されている。
【0015】
また、特許文献5では、次の映像投影装置が開示されている。すなわち、投影された映像を、視点位置に配置されたカメラで撮影する。そして、投影している映像の画像データとカメラによって撮影された画像データとを比較し、投影されている映像の歪み量を算出する。そして、算出した歪み量に基づき、投影する画像データを補正する映像投影装置が開示されている。
【0016】
しかしながら、プロジェクタを利用する場合、このプロジェクタによって描画可能なエリアが限定されるという問題がある。そこで、この問題に対して、上記プロジェクタに、投影面の方向を変更可能とさせる回転機構を備え、ユーザの視聴領域の移動に対して対応可能とし、上記描画エリアの制限を克服する方法がある。
【0017】
また、この回転機構としては、例えば上記プロジェクタの投影方向を、パン軸90によって水平方向に、また、チルト軸91によって垂直方向に回転させる機構(パン・チルト回転機構)がある。なお、水平方向とは、プロジェクタが配置されている面と平行する方向であり、垂直方向とは、この面に垂直となる方向である。
【0018】
ところで、このような回転機構を有するプロジェクタを用いて実環境に映像を投影する場合、実環境と投影された映像との空間的整合性を満たすためには、実環境投影面の座標と、プロジェクタの姿勢およびプロジェクタ投影画像の座標との対応関係を求める必要がある。なお、このプロジェクタ投影画像とは、プロジェクタにおいて保持されている情報であり、入力画像において、投影可能な領域中のどの座標位置にどの映像を配置するかを決めるための情報である。上記座標位置は、入力画像における各画素値と対応するアドレスによって管理される。
【0019】
例えば非特許文献5(S.Borkowski,O.Riff,J.L.Crowley,“Projecting Rectified Images in an Augmented Environment”,ProCams Workshop.IEEE Computer Society Press,Oct.2003.)には、パン・チルト回転機構によるプロジェクタの姿勢変化に応じて生じる、投影画像の形状の歪み補正を行うことが可能なパンチルトプロジェクタが提案されている。
【0020】
また、非特許文献6(中村、平池、「アクティブプロジェクタ:凹凸面上を移動する映像の歪み補正」,FIT(情報科学技術フォーラム)2002講演論文集、pp.423-424,Sep.2002.)では、プロジェクタの前に設けられたミラーによる反射光が360度回転するように構成され、上述したパンチルトプロジェクタと同様により広い投影領域を実現している。また、このプロジェクタでは、投影する画像形状などの制御を行うことができるようになっている。
【0021】
しかしながら、上記従来の技術では、自身が備える回転機構による、プロジェクタの姿勢変化(投影方向の変化)に伴い、投影中心位置が変化する。すなわち、プロジェクタの投影光がある一点から発せられていると仮定した場合におけるその一点の位置が、プロジェクタの姿勢変更ごとに異なる位置となる。このため、上記従来の技術では、設定されたプロジェクタの姿勢位置ごとに実環境における投影面とプロジェクタ投影画像との対応関係を求める必要がある。
【0022】
したがって、回転機構によりプロジェクタの姿勢(投影方向)を変化させる度に、実環境における投影面(実環境投影面R)とプロジェクタ投影画像との対応関係を求め、画像の補正処理を行う必要があり、投影作業が非常に煩雑になるという問題が生じる。また、上記従来の技術では、プロジェクタの姿勢を変化させ連続して画像を投影させることができないといった問題も生じる。
【発明の開示】
【0023】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、投影面に対して、歪みがなく、位置ずれのない画像を描画できるようにするために行う調整作業を容易とする、投影装置、投影装置の制御方法、複合投影システム、投影装置の制御プログラム、投影装置の制御プログラムが記録された記録媒体を実現することにある。
【0024】
本発明に係る投影装置は、上記した課題を解決するために、投影面に対して光を照射し画像を投影する投影部と、この投影部から投影面に対して照射する投影方向を変更するように、該投影部を回転させる駆動部とを備えた投影装置であって、上記投影部が照射する光の光源点を投影中心としたとき、上記投影中心と、上記駆動部による投影部の回転運動の中心点である回転中心とが一致するように上記投影部と駆動部とが配置されていることを特徴とする。
【0025】
上記構成によると、上記回転中心の位置と上記投影中心の位置とが一致するように投影部と駆動部とが配置されている。つまり、駆動部によって回転されるときの投影部の回転運動の中心点と、該投影部の光の光源点とが一致するように投影部と駆動部とが配置されている。このため、本発明に係る投影装置では、駆動部によって上記投影方向が変更させられても、投影中心位置と投影面との物理的な配置関係に変動が生じない。
【0026】
したがって、投影方向が異なる投影部同士において投影面に対して投影する画像の位置関係を、一方投影部の投影方向と他方投影部の投影方向との間の回転角から算出することができる。
【0027】
よって、任意の投影方向となる、異なる姿勢の投影部それぞれについて、投影面において投影する画像の位置を規定するための平面座標を、特定の平面座標に変換することができる。そして、ある特定の平面座標により、投影方向が異なる、すなわち投影姿勢が異なるすべての投影部それぞれの平面座標を統合して扱うことができる。
【0028】
このように、特定の平面により、全ての投影部の投影姿勢における上記平面座標点それぞれを統合して扱うことができるため、投影面に対して、歪みがなく、位置ずれのない画像を描画できるようにするために行う調整作業を容易とすることができるという効果を奏する。
【0029】
また、本発明に係る投影装置は、上記した課題を解決するために、投影面に対して光を照射し画像を投影する投影部と、この投影部から投影面に対して照射する投影方向を変更するように、該投影部を回転させる駆動部とを備えた投影装置であって、上記駆動部によって上記投影部の回転運動の中心点である回転中心が1点となるように、該投影部が回転され、上記投影部が照射する光の光源点を投影中心としたとき、上記回転中心の位置情報である回転中心位置情報を取得する回転中心位置情報取得手段と、照射された光の軌跡を示す照射光情報を受付け、該照射光情報に基づき、投影中心の位置情報である投影中心位置情報を特定する投影中心位置情報特定手段と、上記取得された回転中心位置情報と、上記特定された投影中心位置情報とに基づき、投影中心と回転中心とが一致するように、投影部と駆動部との置関係を調整する調整手段とを備えていることを特徴とする。
【0030】
上記構成によると、調整手段を備えているため、投影中心位置情報特定手段によって特定された投影中心位置と、回転中心位置受付手段によって受付けた回転中心位置とが一致するように、投影部と駆動部との配置関係を調整することができる。
【0031】
したがって、本発明に係る投影装置では、上記投影中心位置と回転中心位置とを一致させることがでるため、駆動部によって投影部から投影面に対する投影方向が変更させられても、投影中心位置と投影面との物理的な配置関係に変動が生じない。
【0032】
このため、投影方向が異なる投影部同士において、投影面に対して投影する画像の位置関係を、一方の投影部の投影方向と他方の投影部の投影方向との間の回転角から算出することができる。
【0033】
よって、上記投影方向が異なる、すなわち投影姿勢の異なる投影部それぞれについて、投影面において投影する画像の位置を規定するための平面座標を、特定の平面座標に変換することができる。そして、ある特定の平面座標により、投影方向が異なるすべての投影部それぞれの平面座標を、統合して扱うことができる。
【0034】
また、本発明に係る投影装置の制御方法は、上記した課題を解決するために、投影面に対して光を照射し画像を投影する投影部と、この投影部から投影面に対して照射する投影方向を変更するように、該投影部を回転させる駆動部とを備えた投影装置の制御方法であって、上記駆動部によって上記投影部の回転運動の中心点である回転中心が1点となるように、該投影部が回転され、上記投影部が照射する光の光源点を投影中心としたとき、上記回転中心の位置情報である回転中心位置情報を取得するステップと、照射された光の軌跡を示す照射光情報を受付け、該照射光情報に基づき、投影中心の位置情報である投影中心位置情報を特定するステップと、上記取得された回転中心位置情報と、上記特定された投影中心位置情報とに基づき、投影中心と回転中心とが一致するように、投影部と駆動部との配置関係を調整するステップとを含むことを特徴とする。
【0035】
すなわち、本発明に係る投影装置の制御方法では、回転中心位置情報を取得するステップによって取得された回転中心位置情報と、投影中心位置情報を特定するステップによって特定された投影中心位置情報とに基づき、投影中心と回転中心とが一致するように、投影部と駆動部との配置関係を調整するステップによって投影部と駆動部との配置関係を調整することができる。
【0036】
したがって、本発明に係る投影装置の制御方法では、上記投影中心位置と回転中心位置とを一致させることがでるため、駆動部によって投影部から投影面に対する投影方向が変更させられても、投影中心位置と投影面との物理的な配置関係に変動が生じない。
【0037】
このため、投影方向が異なる投影部同士において、投影面に対して投影する画像の位置関係を、一方の投影部の投影方向と他方の投影部の投影方向との間の回転角から算出することができる。
【0038】
よって、上記投影方向が異なる、すなわち投影姿勢の異なる投影部それぞれについて、投影面において投影する画像の位置を規定するための平面座標を、特定の平面座標に変換することができる。そして、ある特定の平面座標により、投影方向が異なるすべての投影部それぞれの平面座標を、統合して扱うことができる。
【0039】
このように、本発明に係る投影装置および投影装置の制御方法は、特定の平面により、全ての投影部の姿勢における上記平面座標点それぞれを統合して扱うことができる。このため、投影領域に対して、歪みがなく、位置ずれのない画像を描画できるようにするために行う調整作業を容易とすることができるという効果を奏する。
【0040】
本発明にかかる複合投影システムは、上記した課題を解決するために、上記した投影装置を複数備えたことを特徴とする。
【0041】
上記した投影装置は、投影中心と回転中心とが一致するように構成されている。このため、正接平面という共通する座標系によって様々な投影部の姿勢における投影の調整を行うことができる。したがって、各投影部の異なる姿勢での投影調整を迅速に行うことができる。
【0042】
また、異なる投影面それぞれに対する調整も容易に行うことができるため、3次元空間内に適切に複数台を設置し、容易に、迅速に調整を行うことができる。すなわち、上記複合投影システムは、迅速にかつ容易にシステムを構築することができるという効果を奏する。
【0043】
さらにまた、本発明に係る複合投影システムは、ある投影部からの投影方向先に、例えば人やテーブルなどの遮蔽物が存在する場合、他の投影部によって代わりに画像などを投影することができる。また、投影部が複数台設置されているため、より広い空間領域の壁などに画像などを投影することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、パンチルトプロジェクタ装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態を示すものであり、パンチルトプロジェクタ装置の駆動装置によって実現される、プロジェクタを回転させる回転機構の概略を示す図である。
【図3】本発明の実施形態を示すものであり、パンチルトプロジェクタ装置が備えるプロジェクタの幾何学的モデルを示す図である。
【図4】本発明の実施形態を示すものであり、プロジェクタの配置位置を変更させるためにスライドさせる方向を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る投影中心の初期位置を算出する方法を示すものであり、同図(a)は、水平方向における、プロジェクタから照射された光領域の軌跡を示す斜視図であり、同図(b)は、鉛直方向における、プロジェクタから照射された光領域の軌跡を示す図である。
【図6】本実施の形態に係る投影中心と回転中心との精密な位置合わせの方法を示す図である。
【図7】本発明の実施形態を示すものであり、キャリブレーション処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態を示すものであり、内部キャリブレーション処理を示すフローチャートである。
【図9】本実施の形態に係るプロジェクタの初期姿勢における画像平面と実環境投影面との関係を示す図である。
【図10】本実施の形態に係るプロジェクタの姿勢変更に伴う正接平面と実環境投影面との関係を示す図である。
【図11】本実施の形態に係るプロジェクタの初期姿勢における入力された画像平面上の座標に対応する4隅の正接平面上の座標と、この各座標点に対応する実環境投影面R上の座標とを示す図である。
【図12】本実施の形態に係るプロジェクタの特定の姿勢における、正接平面と実環境投影面との関係および、正接平面と画像平面との関係を示す図である。
【図13】本発明の実施形態を示すものであり、複数の実環境投影面を示す図である。
【図14】本発明の実施形態を示すものであり、外部キャリブレーションの処理フローを示すフローチャートである。
【図15】本実施の形態に係る外部キャリブレーションの処理を説明する斜視図であり、同図(a)、同図(b)、同図(c)はそれぞれ異なる位置に配置された投影面の4隅の座標位置を取得する状態を説明する図である。
【図16】本発明の実施形態を示すものであり、パンチルトプロジェクタ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の実施形態を示すものであり、投影中心と回転中心とが一致するようにプロジェクタと駆動装置との間で行われる位置合わせに関するパンチルトプロジェクタ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の実施形態を示すものであり、内部キャリブレーションに関するパンチルトプロジェクタ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図19】本発明の実施形態を示すものであり、外部キャリブレーションに関するパンチルトプロジェクタ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の実施形態を示すものであり、複合投影システムの一例を示す図である。
【図21】本発明の実施形態を示すものであり、複数の実環境投影面の配置の一例を示す図である。
【図22】本発明の実施形態を示すものであり、各実環境投影面における座標と該座標に対応する正接平面上の座標との関係の一例を示す図である。
【図23】本発明の実施形態を示すものであり、連結する実環境投影面を1平面に展開した場合の一例を示す図である。
【図24】本発明の実施形態を示すものであり、連結した実環境投影面の組み合わせについて得られた変換パラメータと、実環境投影面の連結位置を特定する識別子(ID)との対応関係を示すリストの一例である。
【図25】本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置による複数の実環境投影面への投影処理を示すフローチャートである。
【図26】本発明の実施形態を示すものであり、主平面上の図形形状と正接平面上の図形形状との対応関係を示す図である。
【図27】本発明の実施形態を示すものであり、連結平面上の図形形状と正接平面上の図形形状との対応関係を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明の一実施形態について図1ないし図20に基づいて説明すると以下の通りである。すなわち本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置(投影装置)1は、所望される実環境投影面Rに映像を投影するためのものであり、図2に示すようにパン軸90およびチルト軸91での回転機構によってプロジェクタ(投影部)2の投影方向を、水平方向および垂直方向に移動させることができるようになっている。
【0046】
このように、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、プロジェクタ2に回転機能を付加しているため、このプロジェクタ2によって投影可能な領域を拡大することができる。なお、この回転機能は、後述する駆動装置(駆動部)3によって実現できる。
【0047】
(プロジェクタの幾何学モデル)
ところで、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1が備えるプロジェクタ2の幾何学モデルは、図3に示すようになる。なお、この幾何学モデルは、いわゆるピンホールカメラモデルと呼ばれる幾何学モデルに基づいて数学的に体系づけられたものである。
【0048】
すなわち、実環境に対して情報を入力するか、あるいは出力するかという観点において、カメラとプロジェクタとは相反するものである。しかしながらその一方で、両者の光学的構造は非常に類似している。そこで、上記カメラと上記プロジェクタとの類似性を考慮し、このプロジェクタについてもモデル化を行うことができる。そして、上記した考えの下、本実施の形態に係るプロジェクタ2をモデル化したものが図3に示す幾何モデルである。
【0049】
図3に示すように、プロジェクタ2は投影中心Fを有しているものと仮定することができる。すなわち、この投影中心Fとは、プロジェクタ2からの投影光がある一点から発せられていると仮定した場合における点である。そして、この幾何モデルでは、この投影中心Fから投影方向J側において、プロジェクタへの入力画像を描画するためのプロジェクタ画像平面Pが存在するものとすることができる。そして、この投影中心Fからの投影光は、このプロジェクタ画像平面Pを通過して実環境における投影領域に投影されているものとすることができる。
【0050】
なお、上記プロジェクタ画像平面Pは、ピンホールカメラモデルにおける画像平面に相当するものであり、これ以降では画像平面Pと称する。また、この画像平面P上における中央の点を画像中心Eと称し、この画像平面Pは、画像中心Eを原点として画像の横方向、縦方向をそれぞれX軸、Y軸とする画像座標系を定義することができる。
【0051】
なお、上記した画像中心Eは、画像の解像度が例えばXGA(Extended Graphics Array)の場合では、その左上端から右に1024/2ピクセル、下に768/2ピクセルの点となる。ただし、本実施の形態において用いる画像中心という用語は、ピンホールカメラモデルにおいて投影中心Fから画像平面Pに下ろした垂線の足と定義される画像中心とは異なることに注意すべきである。
【0052】
また、上記した幾何モデルにおいて、投影中心Fと画像平面Pとの距離を焦点距離Lと定義し、投影中心Fを通り画像平面Pに対して垂直な直線を垂直軸Kとする。なお、投影中心Fから画像中心Eを通り投影領域Sにおける投影画像の中心点に向かう方向(画像中心方向)と、上記垂直軸Kとは大きく異なる。これはつまり、プロジェクタ2は、その設置の都合上、投影領域Sに向かって照射する光の向きが、当該プロジェクタ2が設置されている高さよりもやや上向きとなるように設計されているからである。
【0053】
また、プロジェクタから投影される実環境中の平面を実環境投影面Rと称する。
【0054】
(パンチルトプロジェクタ装置の構成)
次に、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1の概略構成について図1および図16を参照して説明する。
【0055】
上記パンチルトプロジェクト装置は、図16に示すようにプロジェクタ2、駆動装置3、プロジェクタ制御部4、入力装置(軌跡取得部、投影位置情報取得部、調整手段、微調整手段)6、カメラ(軌跡取得部、投影位置情報取得部)5、および情報格納部(記憶装置)7を備えている。
【0056】
上記プロジェクタ2は、実環境投影面Rに対して所望される画像を投影するためのものである。このプロジェクタ2は、プロジェクタ制御部4からの指示に応じて、入力された画像データに基づく画像を実環境投影面Rに投影する。また、上記プロジェクタ2は、駆動装置3上に配置されており、駆動装置3の動きによって投影方向Jを変更することができるようになっている。
【0057】
上記駆動装置3は、上記プロジェクタ2によって照射される光の投影方向Jが、水平方向および垂直方向に移動するように、該プロジェクタ2を移動させるものである。上記駆動装置3は、プロジェクタ制御部4からの指示に応じて、プロジェクタ2の投影方向Jを移動させる。
【0058】
また、上記駆動装置3は、駆動装置3自体とプロジェクタ2との配置関係を調節する手段も備えている。すなわち、図4に示すように駆動装置3は、自装置上において上記プロジェクタ2をα、β、γの3軸方向にスライドさせプロジェクタ2の配置位置を変更することができるようになっている。そして、上記駆動装置3は、プロジェクタ制御部4からの指示に応じてプロジェクタ2の配置位置を変更させる。
【0059】
入力装置6は、例えば、後述する投影中心Fの初期位置を示す情報などをプロジェクタ制御部4に入力するためのものであり、例えば、キーボード、マウス、テンキーなどによって実現できる。
【0060】
カメラ5は、投影領域Sにおいて投影されている画像などの状態を記録するものであり、記録した情報はプロジェクタ制御部4に入力する。
【0061】
情報格納部7は、読み書き可能な記憶媒体であり、例えば、ハードディスクやフラッシュEEPROMなどによって実現することができる。
【0062】
この情報格納部7は、投影中心ずれ量テーブル72、回転中心座標情報73、内部調整情報71、および外部調整情報74を有している。
【0063】
上記投影中心ずれ量テーブル72は、後述する投影中心固定法において生成されるテーブルであって、投影中心F位置と回転中心G位置とが確度よく一致するようにより精密なプロジェクタ2と駆動装置3との位置合わせを行う際に用いられる情報である。
【0064】
この投影中心ずれ量テーブル72は、プロジェクタ2の位置座標と、プロジェクタ2の位置ごとの異なる種類のプロジェクタ2の姿勢による、プロジェクタ2と実環境投影面Rとの間における固定点を通過する光の投影点の軌跡を示す情報が記録されている。
【0065】
回転中心座標情報73は、駆動装置3によって投影方向Jが移動させられるプロジェクタ2の回転運動の中心位置を示す情報である。この情報は予め、駆動装置3の設計段階で求められており、情報格納部7に回転中心位置座標情報として記憶されている。
【0066】
内部調整情報71は、後述する内部キャリブレーション時に記憶される情報であり、具体的には、投影中心Fを原点とする画像中心Eの方向ベクトル、投影領域Sの4隅に対応する正接座標Q上の座標、正接平面Qと実環境投影面Rとの関係を示す情報とが記憶される。なお、この正接平面Qについての説明は後述する。
【0067】
外部調整情報74は、後述する外部キャリブレーション時に記憶される情報であり、具体的には、各実環境投影面R上の位置情報(x,y)と、これらの正接平面Q上の位置情報との関係を示す変換行列HQRである。なお、この外部調整情報74は、第2変換情報と一致する。
【0068】
プロジェクタ制御部4は、プロジェクタ2および駆動装置3の各種制御を行うものであり、説明の便宜上、プロジェクタ制御部4が備える各部を、プロジェクタ2と駆動装置3との位置合わせを行い、後述する投影中心Fを一致させる処理と、後述する内部キャリブレーションと外部キャリブレーションとに分けて説明する。
【0069】
すなわち、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、上記した投影中心Fを、パン・チルト回転機構の回転軸の交点(回軸中心)と一致するように、プロジェクタ2と駆動装置3とが配置されている。なお、非特許文献7(和田、浮田、松山、「視点固定型パンチルトズームカメラとその応用」電子情報通信学会論文誌、Vol.J81-DII,No.6,pp.1182-1193,1998.)にはパン・チルト回転機構を有するカメラの構成が開示されている。
【0070】
このように、上記投影中心Fと回転中心Gとを一致させることにより、プロジェクタ2の姿勢を変化させた場合であっても、プロジェクタ2の投影中心F位置を不変とすることができる。なお、上記プロジェクタ2の姿勢を変化させるとは、上記パン・チルト回転機構により、プロジェクタ2の投影方向Jが変化するように該プロジェクタ2を移動させることである。
【0071】
すなわち、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、姿勢変化に応じてプロジェクタ2の投影中心F位置が変化しない。このため、例えば、2つの異なる姿勢のプロジェクタ2における画像平面Pの任意の点と、画像平面Pの任意の点との間における関係を、一方の姿勢から他方の姿勢に変化させた回転角(θ,θ)から算出することができる。
【0072】
よって、任意のプロジェクタ2の姿勢における画像平面P座標を、特定の平面座標に変換することが可能となる。このため、このような特定の平面によってすべての姿勢における画像平面Pの座標点を統合して扱うことができる。
【0073】
そして、このように特定の平面によって全ての姿勢における画像平面Pの座標点を統合して扱うことができるため、実環境投影面Rに対して、歪みがなく、位置ずれのない画像を描画できるようにするために行うキャリブレーションを容易に行うことができる。
【0074】
なお、上記キャリブレーションは、後述するが、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1において、内部キャリブレーションと外部キャリブレーションとの2段階に分けることができる。また、上記した特定の平面を本明細書において正接平面Qと称する。
【0075】
なお、この正接平面Qは、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、以下のように定義する。すなわち、この正接平面Qは、プロジェクタ2の初期姿勢におけるパン軸90とチルト軸91とによって定まる平面に平行となる平面であり、投影中心Fと実環境投影面Rとの間に配置され、かつ投影中心F(すなわち、回転中心G)からの距離が1となる仮想平面である。
【0076】
以上のようにパンチルトプロジェクタ装置1において投影中心Fと回転中心Gとが一致するようにプロジェクタ2と駆動装置3とが配置されている場合、上記したような利点が得られるため非常に有効である。
【0077】
しかしながら、例えば市販のプロジェクタと、該プロジェクタを360度回転可能とさせる雲台とを組み合わせてパンチルトプロジェクタを実現する場合、投影中心Fと回転中心Gとが一致するように上記プロジェクタと雲台(駆動装置3)との配置関係を調整可能とする構成および方法を備えていることが好ましい。
【0078】
ここで以下において、本実施の形態に係るプロジェクタ2の投影中心Fと回転中心Gとを一致させるようにプロジェクタ2と駆動装置3とを配置するプロジェクタ制御部4が備える各部の構成および方法(投影中心固定法)について説明する。
【0079】
(投影中心固定法に関するプロジェクタ制御部4の構成)
本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、上記した投影中心Fと回転中心Gとが一致するように、プロジェクタ2と駆動装置3との配置関係を調整可能とするために、図17に示す各部を備えている。
【0080】
すなわち、プロジェクタ制御部4は、位置調整部(調整手段)41、微調整部(微調整手段)42、姿勢調整部43、回転中心位置受信部(回転中心位置情報取得手段)44、投影中心位置特定部(投影中心位置情報特定手段)45、および調整位置算出部(位置調整算出手段)46を備えている。また、情報格納部7には、投影中心ずれ量テーブル72および回転中心座標情報73が記憶されている。
【0081】
位置調整部41は、駆動装置3とプロジェクタ2との配置関係を調整するように上記駆動装置3に指示するものである。この位置調整部41は、回転中心位置受信部44および投影中心位置特定部45から受信した回転中心G位置および投影中心F位置を示す座標情報に基づき、駆動装置3にプロジェクタ2をスライドさせ移動させるように指示する。
【0082】
回転中心位置受信部44は、位置調整部41からの指示に応じて、情報格納部7から回転中心座標情報73を取得するものである。回転中心位置受信部44は、取得した回転中心座標情報73を位置調整部41に送信する。
【0083】
投影中心位置特定部45は、カメラ5から取得した照射された光の軌跡を示す情報から投影中心F位置を算出するものである。投影中心F位置は算出した投影中心F位置の情報を位置調整部41に送信する。なお、この投影中心位置特定部45によって算出され特定された投影中心F位置は、本明細書では投影中心Fの初期位置と定義する。
【0084】
微調整部42は、調整位置算出部46からの指示に応じて、駆動装置3にプロジェクタ2と駆動装置3との配置関係を投影中心Fの初期位置から修正するように指示するものである。
【0085】
調整位置算出部46は、カメラ5から受信した、プロジェクタ2と実環境投影面Rとの間に設けられた固定点を通過する、異なる姿勢によって照射された光の投影点の軌跡を受信するものである。調整位置算出部46は、受信した光の軌跡を示す情報をプロジェクタ2の位置と対応付けて投影中心ずれ量テーブル72として情報格納部7に記憶させている。
【0086】
そして、この投影中心ずれ量テーブル72に基づき、該光の軌跡が一点に収束する場合におけるプロジェクタ2の位置を算出するものである。調整位置算出部46は算出した結果を微調整部42に送信する。
【0087】
姿勢調整部43は、プロジェクタ2の投影方向Jを変更させるように駆動装置3に指示するものである。例えば、調整位置算出部46が、プロジェクタ2と実環境投影面Rとの間に設けられた固定点を通過する、異なる姿勢によって照射された光の投影点の軌跡を取得する場合は、この調整位置算出部46からの指示に応じて駆動装置3にプロジェクタ2の投影方向Jを変更させるように指示している。
【0088】
また、この姿勢調整部43は、後述する内部キャリブレーションでは、入力装置6からの指示に応じて姿勢を変更させることもできる。
【0089】
(投影中心固定法)
本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、プロジェクタ2を図2に示すようなパン・チルト2軸の回転機構(ジンバル機構)を有する駆動装置3によって、プロジェクタ2の投影方向Jを水平方向および垂直方向に移動させることができるようになっている。
【0090】
なお、本実施の形態に係るプロジェクタ2の回転範囲は、水平方向(パン)に-60度から60度までの範囲、垂直方向(チルト)に-30度から30度まで移動することができる。ただし、この回転範囲はこれに限定されるものではなく、プロジェクタ2によって投影する領域の範囲に応じて適切に設定される。なお、上記パンは右向きの回転角を正、上記チルトは下向きの回転角を負として表すものとする。
【0091】
また、本実施の形態に係るプロジェクタ2は、上述したように上記駆動装置3に対して、α、β、γの3軸方向にスライド可能な機構となっている。なお、上記駆動装置3は、プロジェクタ2が備える照射レンズ部21の下端点を基準として、この点からα軸方向にamm、β軸方向にbmm、γ軸方向にcmmというように移動させるように構成されている。なお、この移動の基準点はこれに限定されるものではなく、例えばプロジェクタ2を形成する筐体の重心を基準としてもよい。
【0092】
本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1における「投影中心固定法」では、まず、投影中心Fのおよその位置である投影中心Fの初期位置を求め、この投影中心Fの初期位置と回転中心Gとを一致させる。なお、回転中心Gの空間的位置(3次元の座標点)は、回転機構の構成から予め求めることができる。本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、この回転中心Gの座標点の情報を予め情報格納部7が記録している。
【0093】
そして次に、投影中心Fの初期位置が回転中心Gと一致するように、駆動装置3上に設置したプロジェクタ2を移動させ、精密な位置合わせを行う。
【0094】
(投影中心初期位置の求め方)
そこでまず、投影中心Fの初期位置の求め方について説明する。
【0095】
まず、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1を、プロジェクタ2が水平面上と平行になるように設置する。そして、図5(a)に示すように、プロジェクタ2の照射レンズ部21の正面に平面板を上記水平面に対して鉛直に設置する。すなわち、上記平面板の平面を上記垂直軸Kに平行であり、かつ水平面に対して垂直に立設する。
【0096】
このような状態においてプロジェクタ2から投影を行うと、上記平面板の平面上に投影された垂直方向における光の軌跡を観察することができる。そこで、上記平面上におけるこの光の軌跡において、照射領域と非照射領域との上下の境界線を記録する。
【0097】
また、続いて図5(b)に示すように、プロジェクタ2の照射レンズ部21の正面に平面板を上記水平面と平行に設置する。すなわち、上記平面板の平面を上記垂直軸Kに平行であり、かつ水平面に対して平行となるように設置する。
【0098】
そして、このように平面板を設置しプロジェクタ2から投影を行うと、図5(b)に示すように、プロジェクタ2の水平方向に光の軌跡を観察することができる。そして、上記平面上におけるこの光の軌跡において、照射領域と非照射領域との上下の境界線を記録する。
【0099】
上記記録した水平方向と垂直方向とにおける光の境界線をそれぞれ延長して得られる交点A,Bが一致する位置を投影中心の初期位置とする。そして、この求められた初期位置と回転中心Gとが一致するようにプロジェクタ2をα軸、β軸、γ軸それぞれにスライドさせて駆動装置3上を移動させる。
【0100】
すなわち、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、上記した2方向における照射領域と非照射領域とをカメラ5によって記録する。そして、この記録された情報は、プロジェクタ制御装置に送信される。プロジェクタ制御装置では、カメラ5から送信された上記記録された情報を投影中心位置特定部45が受信し、上記初期位置の3次元座標の情報を算出する。
【0101】
なお、上記投影中心位置特定部45は、カメラ5によって記録された情報に基づき初期位置を算出する構成であるが、上記した照射領域と非照射領域との記録をユーザが実際に測定し、この測定した結果を、入力装置6を操作してプロジェクタ制御部4に入力する。そして、この入力された測定結果に基づいて上記初期位置の3次元座標の情報を算出する構成であってもよい。このように構成されている場合は、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1は、上記カメラ5を備えていなくてもよい。なお、この場合、上記入力装置6によって投影位置情報取得部を実現する。
【0102】
上記投影中心位置特定部45は、上記初期位置の情報を算出すると、この算出結果(初期位置情報)を位置調整部41に送信する。
【0103】
位置調整部41は、投影中心位置特定部45から初期位置情報を受信すると、回転中心位置受信部44に指示して情報格納部7から回転中心座標情報73を取得する。すなわち、回転中心位置受信部44は、投影中心位置特定部45からの指示に応じて、情報格納部7から回転中心座標情報73を取得すると取得した回転中心座標情報73を駆動装置3に送信する。
【0104】
位置調整部41は、投影中心位置特定部45から初期位置の情報を、一方、回転中心位置受信部44から回転中心座標情報73を受信すると。これらの情報に基づき、プロジェクタ2の配置位置を駆動装置3に指示する。
【0105】
そして、駆動装置3は、位置調整部41からの指示に応じてプロジェクタ2をα軸、β軸、γ軸それぞれにスライドさせて移動させる。
【0106】
ただし、上記において記録した水平方向および垂直方向における境界線を誤差なく記録することは困難である。したがって、上記して得られた投影中心Fの初期位置は誤差を含むものとなっている。そこで、この誤差を修正するための精密な位置あわせ行う。以下において、投影中心Fと回転中心Gとの精密な位置合わせの方法について説明する。
【0107】
(投影中心の精密な位置合わせ)
図6に示すように、プロジェクタ2の投影方向Jの前方かつ、実環境投影面Rと該プロジェクタ2との間に衝立を設置する。この衝立は、矩形形状の平板によって構成されており、この衝立の平面がプロジェクタ2の投影方向Jに対して垂直となるように設置されている。なお、この衝立には一箇所穴が開けられており、この穴を通過した光のみが実環境投影面Rに届くようになっている。そして、この投影される光は全面単色である。
【0108】
一方、実環境投影面R側にはカメラ5が設置されており、実環境投影面R上に投影された光を観察することができるようになっている。
【0109】
このような状態において、プロジェクタ2の投影方向Jを所定範囲の角度で水平方向あるいは垂直方向に移動させ、プロジェクタ2の姿勢を変化させる。
【0110】
ここで、投影中心Fと回転中心Gとが完全に一致するようにプロジェクタ2と駆動装置3とが配置されている場合、このプロジェクタ2の姿勢が変化したとしても、上記衝立に設けられた穴を通過して投影された光は、実環境投影面R上の一点に静止したままとなる。ところが、上記投影中心Fと回転中心Gとがずれている場合、そのずれの大きさに応じて投影された光の点(投影点)は、実環境投影面R上を移動することとなる。
【0111】
そこで、まず、上記で算出した初期値の座標が回転中心Gの座標と一致するようにプロジェクタ2と駆動装置3との位置合わせをする。この状態から上記プロジェクタ2を駆動装置3上でα、β、γ軸の3軸方向それぞれに微小にスライドさせて移動させつつ、移動させたそれぞれの位置ごとにプロジェクタ2の姿勢を変化させる。そして、カメラ5が、上記投影点の実環境投影面R上における軌跡を撮影し、この撮影結果から上記軌跡を計測する。このようにして、この軌跡領域が最小になるような、(すなわち、最終的には実環境投影面R上の一点状態となるような)α、β、γ3軸における位置(座標点)を探索する。
【0112】
つまり、上記初期位置と回転中心G位置とが一致している状態において、プロジェクタ2の投影方向Jを、所定範囲の角度で水平方向あるいは垂直方向に移動させる。すなわち、ユーザが上記初期位置と回転中心G位置とが一致している状態において、入力装置6を操作して、プロジェクタ2の投影方向Jを変更するように姿勢調整部43に指示する。この指示を受けて姿勢調整部43はプロジェクタ2の投影方向Jを変更するように指示する。
【0113】
そして、このように姿勢変更したプロジェクタ2からの照射光が、上記衝立の穴を通過することによって形成される、実環境投影面R上における投影点の軌跡をカメラ5で記録しプロジェクタ制御装置に入力する。
【0114】
プロジェクタ制御装置では、調整位置算出部46が、入力された投影点の軌跡の座標情報から投影点の軌跡によって形成される領域の面積を計算し情報格納部7に記録する。なお、調整位置算出部46は、上記投影点の軌跡によって形成される領域の面積を、現在の投影中心位置(初期位置)の座標を示す情報とともに記録する。
【0115】
続いて、上記初期位置と回転中心G位置とを一致させている状態から、α、β、γ軸それぞれにプロジェクタ2を移動させ投影中心F位置を微小に移動させる。すなわち、ユーザが入力装置6を操作して投影中心Fを移動させる位置についての情報を位置調整部41に送信する。このユーザから入力された情報に基づき位置調整部41は駆動装置3に指示して投影中心Fの位置を微小に変更させる。また、位置調整部41はこの変更した投影中心Fの位置についての情報を調整位置算出部46に通知する。
【0116】
このように、投影中心Fの位置が初期位置から微小に移動させられた位置において、入力装置6を介してユーザからの指示に応じて、姿勢調整部43はプロジェクタ2に姿勢を変更するように指示する。そして、このプロジェクタ2と駆動装置3との配置関係において記録した投影点によって形成される領域の面積をカメラ5が記録し、調整位置算出部46に送信する。この作業を複数のα、β、γ座標位置について行い、それぞれの位置ごとに情報格納部7に投影中心F位置と投影点の軌跡によって形成される領域の面積とを対応付けて記録する。
【0117】
そして、調整位置算出部46は、情報格納部7に記録された複数の投影中心Fの位置と軌跡領域の面積との対応関係を示す投影中心ずれ量テーブル72に基づき、軌跡領域が最小となるα、β、γ軸における座標情報を算出する。そして、調整位置算出部46は、この算出した座標情報を微調整部42に送信する。
【0118】
微調整部42は、この受信した座標情報を駆動装置3に送信し、算出された座標位置にプロジェクタ2が配置されるように指示する。この微調整部42からの指示に応じて、駆動装置3は、プロジェクタ2をα、β、γ軸方向それぞれにスライドさせて移動さる。
【0119】
以上のようにして、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、投影中心Fと回転中心Gとが一致するようにプロジェクタ2と駆動装置3との配置関係を調整することができる。
【0120】
なお、上記調整位置算出部46は、カメラ5によって記録された情報に基づき、上記軌跡領域が最小となる座標情報を算出する構成であるが、以下のように構成されていてもよい。
【0121】
すなわち、上記衝立の穴を通過することによって形成される、実環境投影面R上における投影点の軌跡をユーザが実際に測定する。そして、この測定した結果を、入力装置6を操作してプロジェクタ制御部4に入力する。そして、この入力された測定結果に基づいて上記軌跡領域が最小となる座標情報を算出する構成であってもよい。このように構成されている場合は、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1は、上記カメラ5を備えていなくてもよい。なお、この場合、入力装置6によって軌跡取得部を実現する。
【0122】
ところで、実環境投影面R座標表現による描画を実現する、すなわち、実環境投影面Rにおいて所望される画像の投影領域Sを座標表現により規定するためには、投影面座標系(実環境投影面Rの座標)で表現される座標値から上記プロジェクタ2の姿勢と、投影すべき入力画像の情報(プロジェクタ投影画像の座標値、すなわち入力画像中における画素アドレスを示す情報)との対応関係を求める必要がある。
【0123】
なお、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、実環境投影面Rで表現される座標値を、実環境投影面R上の座標(x、y;Param.1)とし、プロジェクタ投影画像の座標値を画像平面P上の座標(X、Y;Param.2)とする。また、プロジェクタ2の姿勢は、プロジェクタ2の投影方向Jを規定するパン角、チルト角それぞれを(θ,θ;Param.3)として示すこととする。
【0124】
すなわち、Param.1~Param.3それぞれでの関係が求められれば、投影面座標系(実環境投影面Rの座標)で表現される座標値(x、y)から上記プロジェクタ2の姿勢(θ,θ)と、投影する入力画像の情報(画像平面P上の座標値)(X、Y)との対応関係を求めることが可能となる。
【0125】
そこで、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、上記したParam.1~Param.3それぞれの関係を求める作業をキャリブレーションと称し、特にこのキャリブレーションは、内部キャリブレーションと外部キャリブレーションの2段階によって行うように設定されている。
【0126】
すなわち、図7に示すように、投影中心Fと回転中心Gとを一致させた後(ステップS11、これ以降S11のように称する)、内部キャリブレーション(S12)、そして、外部キャリブレーション(S13)を行うようになっている。
【0127】
上記内部キャリブレーション(S12)とは、パンチルトプロジェクタ装置1の設置環境に依存しないプロジェクタ2固有のパラメータを求めることである。なお、このプロジェクタ2固有のパラメータとは、上記プロジェクタ幾何モデルにおいて定義した、焦点距離L、垂直軸Kに対する投影光の方向(傾き)、画像平面Pの大きさなどの値である。
【0128】
本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、内部キャリブレーションにおいて、入力画像の画素アドレス、すなわち画像平面P上の入力画像の座標と、実環境投影面R上の座標との関係と、プロジェクタ2の姿勢と実環境投影面Rとの関係を求める。そして、これら求めた関係から後述する正接平面Q上の座標と実環境投影面R上の座標との変換行列、投影中心Fから投影面に向かう画像中心Eの方向ベクトル、および画像平面Pの範囲を規定する4隅の投影中心F点からの方向ベクトルを求める。なお、この内部キャリブレーションは、所定の実環境投影面Rに対して1台のプロジェクタ2につき1度だけ行えばよい。
【0129】
一方、上記外部キャリブレーション(S13)とは、実環境中におけるプロジェクタ2の位置または姿勢を特定するパラメータを求めることである。この外部キャリブレーションは、プロジェクタ2を設置した場所ごとに応じて行う必要がある作業である。このため、1台のプロジェクタ2に対して複数回行う必要があると予想される外部キャリブレーションはできる限り容易に行うことができることが好ましい。
【0130】
(内部キャリブレーション)
以下において図8~図12、および図18を参照して内部キャリブレーションの処理に関するプロジェクタ制御部4の各部の構成および、内部キャリブレーションの手法についての詳細を説明する。
【0131】
(内部キャリブレーション処理に関する構成)
まず、図18を参照して、内部キャリブレーション処理に関するプロジェクタ制御部4の各部の構成について説明する。
【0132】
図18に示すように、本実施の形態に係るプロジェクタ制御部4は、生成画像データ受信部(画像データ受付け手段)52、画像データ補正部53、調整情報取得部(調整情報取得手段)54、第1関係算出部(第1関係算出手段)55、および第2関係算出部(第2関係算出手段)56を備えている。
【0133】
上記生成画像データ受信部52は、入力装置6または画像データ補正部53から受信した画像データに基づき、プロジェクタ2に対して画像の投影を指示するものである。
【0134】
画像データ補正部53は、カメラ5または入力装置6から入力された実環境投影面Rにおける位置情報(座標)に基づき、内部調整情報71を参照してプロジェクタ2によって画像データの投影調整値を算出するものである。画像データ補正部53は、算出した画像データの投影調整値を生成画像データ受信部52に送信する。
【0135】
すなわち、上記画像データ補正部53は、受付けた投影領域の4点以上の位置情報を取得し、この位置情報に対応する、投影する画像の画像データにおける画像平面上の点と、プロジェクタの投影方向を算出する。そして、この算出した結果を生成画像データ受信部52および姿勢調整部43に入力する。
【0136】
調整情報取得部54は、第1関係算出部55および第2関係算出部56によって算出された結果に基づき、内部調整情報71として、投影中心Fを原点とする画像中心Eの方向ベクトル、投影領域Sの4隅に対応する正接座標Q上の座標、および正接平面Qと実環境投影面Rとの関係を示す情報を取得する。そして、調整情報取得部54は、取得したこれらの情報を情報格納部に記憶させる。
【0137】
第1関係算出部55は、投影された複数の点群の、平面画像P上の座標(X,Y)と、実環境投影面R上での座標(x,y)とに基づき、これら座標の変換を可能とする変換行列HPRを算出するものである。第1関係算出部55は、算出したこの変換行列HPRの情報を調整情報取得部54に送信する。
【0138】
第2関係算出部56は、所定方向に投影方向Jを変更した回転角(姿勢変更後のプロジェクタの姿勢を示す情報)と、この姿勢変更後における所定方向(画像中心方向)における投影点座標から、実環境投影面R上の投影点(x,y)と、正接平面Q上の座標(u,v)との関係を示す変換行列HQRを算出するものである。
【0139】
第2関係算出部56は、算出した結果を調整情報取得部54に送信する。
【0140】
(内部キャリブレーションの方法)
次に内部キャリブレーションの方法について具体的に説明する。
【0141】
先ず、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、図8に示すように、実環境投影面Rに向けて投影できるように、プロジェクタ2を配置する(S21)。そして次に、上記したParam.1~3のうち、Param.1とParam.2との関係を求める(S22)。なお、このParam.1とParam.2との関係を求める際、プロジェクタ2は所定の姿勢に固定させ、この姿勢をプロジェクタ2の初期姿勢とする。そして、この初期姿勢をParam.3;(θ,θ)=(0,0)とする。
【0142】
なお、この所定の姿勢とは、本実施例では、プロジェクタ2から実環境投影面Rに向かう垂直軸Kが、パン軸90、チルト軸90それぞれと垂直となる姿勢である。
【0143】
この初期姿勢においてプロジェクタ2が投影を行った場合、画像平面P上の1点(X,Y)と、この点に対応する実環境投影面R上の点(x、y)とにおいて、同次座標系では以下数式(1)に示す関係が成り立つことが知られている(非特許文献9;R.Hartley and A.Zisserman,“Multiple View Geometry in Computer Vision”,Chapter.12,CAMBRIDGE UNIVERSITY PRESS,2000.、非特許文献10;R.Sukthankar,T.-J.Cham,G.Sukthankar,“Dynamic Shadow Elimination for Multi-Projector Displays”,Proceedings of Computer Vision and Pattern Recognition(CVPR’01),Vol.2,pp.151-157,2001.参照)。
【0144】
【数1】
JP0004002983B1_000002t.gif

【0145】
なお、上記数式(1)において、HPRは、ホモグラフィ行列と呼ばれる3×3行列であるが、同次座標系においてはこのすべての要素を定数倍しても同一の行列となるため、その自由度は8である。3次元ベクトルも、その定数倍のベクトルは同次座標系で同値なため、自由度は2である。したがって、HPRは、(X、Y)と(x、y)との対応関係が4点以上得られれば算出することが可能である。
【0146】
そこで、図9に示すように、入力装置6からの入力された情報に基づき、生成画像データ受信部52が4点以上の適当な個数の点群を画像平面Pに格子状に配置させ、テスト画像データとする。
【0147】
そして、生成画像データ受信部52は、このテスト画像データに基づき画像を投影するようにプロジェクタ2に指示する。この生成画像データ受信部52からの指示に応じて、プロジェクタ2はこれらの点群を実環境投影面Rに投影する。なお、生成画像データ受信部52は、生成した画像データの画像平面P上における点群それぞれの座標(X,Y;i=1,2,3,4,…)を第1関係算出部55に通知する。
【0148】
また、実環境投影面Rでのこれら点群の位置は、カメラ5によって撮影され、撮影された結果は、プロジェクタ制御部4に入力される。プロジェクタ制御部4では、第1関係算出部55が、撮影された結果に基づき、これら点群の実環境投影面Rにおける座標をそれぞれ割り出す。
【0149】
なお、上記カメラ5によって撮影された画像は、例えばTsaiのカメラキャリブレーション(非特許文献8;R.Y.Tsai,“A efficient and accurate camera calibration technique for 3D machine vision”,CVPR,pp.364-374,1986.参照)などのレンズ歪み補正手法によって歪み補正されている。そして、上記カメラは、実環境投影面R上の座標が既知となっている参照点と、上記点群とを同一画像中に含むように撮影する。そして、この参照点とこれら点群との位置関係から、上記第1関係算出部55は該点群の実環境投影面Rにおける座標を算出する。
【0150】
このようにして、第1関係算出部55が、点群の実環境投影面R上における座標をそれぞれ割り出すと、画像平面P上の各点群の座標(X,Y)と、この点群に対応する実環境投影面R上の各点群の座標(x,y)との値を取得する。そして、第1関係算出部55は、取得した値から上記数式(1)において、HPRの値を求めることができる。
【0151】
以上のようにして第1関係算出部55は、数式(1)により、(x、y)と(X、Y)との関係、すなわちParam.1とParam.2との関係を求めることができる。
【0152】
続いて、Param.1~Param.3におけるParam.1とParam.3との関係を求める(S23)。ここで、これらParam.1とParam.3との関係の算出を容易とするために図10に示すような仮想平面として正接平面Qを設ける。
【0153】
すなわち、この正接平面Qは、プロジェクタ初期姿勢におけるパン軸90とチルト軸91とによって定まる平面に平行となる平面である。そして、この正接平面Qは、投影中心Fと実環境投影面Rとの間に配置され、かつ投影中心F(すなわち、回転中心G)からの距離が1となるような仮想平面である。
【0154】
なお、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1が有するパン・チルト回転機構は、上記したようにパン軸90とチルト軸91とが直角に交差するジンバル機構である。そして、垂直方向に対するプロジェクタ2の姿勢変更に対して、上記パン軸90の位置は不変であり、チルト軸91は、姿勢変更に応じて移動することとなる。しかしながら、上記したように正接平面Qは、パン軸90とチルト軸91とによって規定される平面に平行である。このため、正接平面Qは、プロジェクタ2の水平方向に対する姿勢変更に対して、投影中心Fとの位置関係が変化するものではない。
【0155】
ここで、Param.1とParam.3との関係を求めるために、Param.2の値を固定して算出する。すなわち、画像平面P上の座標(X、Y)を1固定点として定め、その点について複数種類のプロジェクタ2の姿勢で投影面に投影し観察する。
【0156】
本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、画像中心Eをこの固定点とするが、これに限定されるものではなく、この固定点は画像平面P上にある点であり、かつ垂直軸Kからの角度が取得可能な点であればよい。
【0157】
ここで、垂直軸Kと投影中心Fから画像中心Eに向かう方向軸との間の角度を(Φ、Φ)とし、プロジェクタ2の初期姿勢において、画像平面Pと正接平面Qとが一致するものと仮定した場合、プロジェクタ2の初期姿勢における、投影中心Fから画像中心Eへの3次元の方向ベクトルは、(tanΦ,tanΦ,1)で与えられる。なお、この3次元方向ベクトルでは、投影中心Fを原点としている。
【0158】
そして、この初期姿勢からプロジェクタ2の投影方向Jを、水平方向(パン)にθ度、さらにそこから垂直方向(チルト)に-θ度移動させた後の方向ベクトル(u´,v´,w´)は、下記の数式(2)によって表すことができる。なお、上述するように、パンは右向きの回転角を正、チルトは下向きの回転角を正とする。
【0159】
【数2】
JP0004002983B1_000003t.gif

【0160】
またここで、Rot(a,α)という行列表記は、a軸の回りにα回転させる回転行列を表すこととする。したがって、上記数式(2)においてRot(y,θp)は、実環境空間におけるx軸の回りにθ度回転させた回転行列を表し、Rot(x,-θt)は、実環境空間におけるy軸の回りに-θ度回転させた回転行列を表す。
【0161】
なお、上記z軸は、プロジェクタ2の初期姿勢における垂直軸Kに平行な軸であり、x軸は、プロジェクタ2が設置されている水平面と平行でありかつ、上記z軸と垂直に交わる軸である。また、上記y軸は、上記水平面と垂直でありかつ、上記z軸と垂直に交わる軸である。
【0162】
このように、初期姿勢から姿勢変更後におけるパン角とチルト角との関係(Param.3)は上記数式(2)によって表すことができる。
【0163】
ここで、初期姿勢から姿勢変更後におけるプロジェクタ2の投影中心Fから画像中心Eへの3次元方向ベクトル(u´,v´,w´)をz座標が1となるように実数倍すると、下記数式(3)に示すような関係が成り立つ。
【0164】
【数3】
JP0004002983B1_000004t.gif

【0165】
なお、上記(u,v)は、姿勢変更後の画像中心E方向への3次元ベクトルの、正接平面Q上における投影点座標となる(図10参照)。すなわち、上記数式(3)により、姿勢変更後における初期姿勢から水平方向および/または垂直方向に投影方向Jを変更させた際の正接平面Q上の画像中心E点を算出する。したがって、本実施の形態では、上述した(u´,v´,w´)と(u,v,1)とにおけるベクトルの実数倍関係を同値とし、数式(3)のように表すことができる。
【0166】
また、正接平面Qにおける、姿勢変更後の画像中心Eへのベクトルの投影点(u,v)と、この画像中心Eを通って実環境投影面Rに投影された点(x,y)との間においても数式(1)に示す関係と同じ関係が成立する。すなわち、これら(u,v)と(x,y)とは下記に示す数式(4)に示す関係が成り立つ。
【0167】
【数4】
JP0004002983B1_000005t.gif

【0168】
したがって、プロジェクタ2の姿勢を変更し、4つ以上のプロジェクタ2の姿勢位置について、(u,v)を算出し、算出された(u,v)それぞれに対応する(x、y)の位置座標それぞれを計測することによってHQRを決定することができる。
【0169】
すなわち、上記数式(2)と数式(3)とに示すようにParam.3;(パン角,チルト角)=(θ,θ)は正接平面Q上の座標(u,v)と表すことができ、またこの(u,v)とParam.1;実環境投影面R上の座標(x、y)との関係は、数式(4)に示すようにHQRと表すことができる。また、このHQRは、上記したように4つ以上のプロジェクタ2の姿勢位置について、(u,v)を算出し、算出された(u,v)それぞれに対応する(x、y)の位置座標それぞれを計測することによって求めることができる。
【0170】
なお、この(x、y)の観察は、Param.1とParam.2との関係を求める場合と同様に、カメラ5によって行われる。
【0171】
すなわち、まず、初期姿勢におけるプロジェクタ2において、入力装置6から画像中心Eとなる画像を投影するようにプロジェクタ制御部4に指示する。プロジェクタ制御部4では、生成画像データ受信部52が、この入力装置6からに指示を受信し、投影中心F位置と一致する画像平面P上の座標に点を描画するようにプロジェクタ2に指示する。この指示に応じてプロジェクタ2は、初期姿勢において画像中心Eと一致する点を投影領域Sに投影する。
【0172】
このように、画像中心Eに沿った位置に画像点を投影している状態において、入力装置6からユーザによって所定のプロジェクタ2の姿勢に変更するように姿勢調整部43に指示が入力される。
【0173】
この入力装置6からの入力指示に応じて、姿勢調整部43は、駆動装置3に上記所定のプロジェクタ2の姿勢に変更するように指示を与える。姿勢調整部43からの指示に応じて、駆動装置3は、プロジェクタ2の投影方向Jを初期姿勢から水平方向(パン)にθ度、さらにそこから垂直方向(チルト)に-θ度移動させるものとする。なお、入力装置6からの上記した指示(水平方向および垂直方向の移動量を示すθ,-θの情報)は、第2関係算出部56にも通知されている。
【0174】
第2関係算出部56は、入力装置6からの通知に応じて、姿勢変更後における画像中心Eに沿った正接平面Qにおける座標位置を算出する。すなわち、上記した数式(2)および数式(3)について演算を行う。
【0175】
また、このプロジェクタ2の姿勢変更後に実環境投影面Rにおける投影点(x、y)をカメラ5が撮影し、撮影結果を第2関係算出部56に入力する。この第2関係算出部56は、カメラ5によって入力されたデータに基づき姿勢変更後における画像中心Eの、実環境投影面Rにおける座標を算出する。
【0176】
また次に、プロジェクタ2をさらに別の姿勢に変更し、この変更後の正接平面Qへの画像中心Eの投影点(u,v)と実環境投影面Rへの投影点(x、y)とを同様に4つ以上の姿勢変更について算出していく。
【0177】
なお、第2関係算出部56は、算出した結果をプロジェクタ2の姿勢位置ごとに情報格納部7に記録する。そして、情報格納部7に記録された4つ以上の姿勢位置に対応する投影点(x,y)と(u,v)とからHQRを算出する。
【0178】
以上のようにして、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1はParam.1とParam.3との関係を求めることができる。
【0179】
次に、初期姿勢における画像平面P上の座標(X,Y)を正接平面Q上の座標(u、v)に変換可能とするために、数式(1)と数式(4)とにより以下に示す数式(5)を求める。すなわち、初期姿勢における画像平面P上の座標(X,Y)と、正接平面Q上の座標(u、v)との関係を示すHPQを導出する(S24)。なお、数式(5)においてHQR-1は、HQRの逆行列を示す。
【0180】
【数5】
JP0004002983B1_000006t.gif

【0181】
このように、上記数式(5)によって、初期姿勢における画像平面P上の座標(X,Y)を正接平面Q上の座標(u、v)に変換できる。このため、図11に示すように、この初期姿勢における画像平面P上の座標(X、Y)に、画像平面P上に形成されている4隅の座標(X,Y)(i=1,…,4)をそれぞれ代入して、各座標点に対応する(u(init),v(init))(i=1,…,4)を取得する(S25)。例えば、画像の解像度がXGAの場合では、座標(X,Y)として、(±1024/2,±768/2)を代入して、対応する(u(init),v(init))を得る。
【0182】
また、垂直軸Kに対する画像中心Eの方向と画像の4隅の方向との間の相対位置は不変である。このため、プロジェクタ2の投影方向Jの回転時には、画像中心Eおよび画像の4隅それぞれに対して同じ回転行列を与えることにより、この回転後のそれぞれの方向ベクトルを得ることができる。
【0183】
そして、これらの方向ベクトルは全てz軸方向の値を正規化することにより正接平面上の座標(u,v)として表現することができる。
【0184】
したがって、上記パンチルトプロジェクタ装置1が、画像中心Eの方向ベクトル(tanΦ,tanΦ,1)と、画像の4隅の方向ベクトル(u(init),v(init),1)と、正接平面Qにおける投影点座標と実環境投影面Rにおける投影点座標との関係HQR(第1変換情報)を保持していれば、与えられる実環境投影面Rの座標軸への投影のためのプロジェクタ2の姿勢およびプロジェクタ2への入力画像を算出することができる。
【0185】
すなわち、第1関係算出部55の算出結果と第2関係算出部56の算出結果とに基づき、調整情報取得部54は、数式(5)の演算を行い、初期姿勢における画像平面P上の座標(X,Y)と正接平面Q上の座標(u、v)との関係を算出する。そして、画像平面P上に形成されている4隅の座標(X,Y)(i=1,…,4)から、各座標点に対応する(u(init),v(init))(i=1,…,4)を算出する。
【0186】
このようにして、調整情報取得部54は、画像中心Eの方向ベクトル(tanΦ,tanΦ,1)と、画像の4隅の方向ベクトル(u(init),v(init),1)と、正接平面Qにおける投影点座標と実環境投影面Rにおける投影点座標との関係HQRを取得し、情報格納部7に内部調整情報71として記憶させておく。
【0187】
以上が図7に示すステップS12の内部キャリブレーションの方法である。そして、このように内部キャリブレーションが完了すると、プロジェクタ2の任意の姿勢位置における画像平面P上の座標と実環境投影面R上の座標との関係を算出することができる。したがって、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1は、プロジェクタ2の投影方向Jを連続的に変更させながら画像を描画する必要がある移動物の描画が可能となる。
【0188】
(投影制御処理)
ここで、この内部キャリブレーションを完了させることによって、具体的に本実施の形態に係るプロジェクタ2による画像の投影制御処理をどのようにして行うかについて説明する。
【0189】
まず、上記パンチルトプロジェクタ装置1は、実環境投影面Rにおける座標系において表される4点(x,y)(i=1,…,4)を頂点とする矩形画像を実環境投影面R上に描画するものとする。つまり、上記パンチルトプロジェクタ装置1が実環境投影面Rの領域に投影する投影領域Sが上記矩形形状となる場合について説明する。
【0190】
上記した矩形画像を描画するためには、例えば図12に示す、プロジェクタ2の姿勢((パン角,チルト角)=(θ(ans),θ(ans))と、プロジェクタ2による投影画像、すなわち上記矩形画像を描画するために画像平面P上に形成する4端点(X(ans),Y(ans))を求めることができればよい。
【0191】
そこでまず、上記プロジェクタ2の姿勢を決定する。上記矩形画像を描画するためのアプリケーションなどに応じて、上記プロジェクタ2の姿勢制御の方針を適切に決めてやることができる。本実施形態では、上記姿勢制御の方針として描画する矩形画像の重心に画像中心E方向を合わせるように制御する。
【0192】
すなわち、実環境投影面Rにおける投影領域Sの4端点(x,y;i=1~4までの整数)の重心(x,y)を算出する。
【0193】
つまり、パンチルトプロジェクタ装置1では、画像データ補正部53が、実環境投影面Rにおける投影領域Sおよび上記矩形画像を描画すべき位置の座標情報を、入力装置6を介してユーザから取得する。あるいは、カメラ5が実環境投影面Rを撮影するように配置されており、そして、このカメラ5が取得した実環境投影面Rの画像データから、画像データ補正部53が投影面領域の4端点の座標を求めるように構成されていてもよい。
【0194】
このようにして、得られた実環境投影面Rの4端点(x,y;i=1~4までの整数)の座標情報から、画像データ補正部53が重心(x,y)を算出する。そして、画像データ補正部53は、算出した重心(x,y)を正接平面Qに下記数式(6)に示す演算により逆投影する。なお、この図4は上記した数式(4)を変形することで得られるものである。
【0195】
【数6】
JP0004002983B1_000007t.gif

【0196】
また、上記した内部キャリブレーションにおいて既に、HQRの関係については求められている。このため、画像データ補正部53は、内部調整情報71を参照して、算出した重心(x,y)に基づき容易に正接平面Qにおける方向ベクトル(u(img),v(img),1)を算出することができる。そして、上記画像データ補正部53は、重心と画像中心Eとを一致させるように制御する。そして、この画像中心Eの方向ベクトルを(u(img),v(img),1)に一致させた場合における垂直軸Kの方向ベクトルは、下記数式(7)に示すようになる。なお、この数式(7)は、上記した数式(2)および数式(3)と同様の考えによって導出できるものである。
【0197】
【数7】
JP0004002983B1_000008t.gif

【0198】
一方、プロジェクタ2を初期姿勢からパン方向(右向き)にθ、そこからチルト方向(上向き)にθ回転させたときの垂直軸Kの方向ベクトルは、画像データ補正部53が下記数式(8)を演算することによって取得することができる。なお、上記「右向き」とは、プロジェクタ2の投影方向Jに向かって、水平方向に右向きであるという意味であり、上記「上向き」とは、この水平方向と垂直となる垂直方向において、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1が設置されている水平面とは逆向きとなる方向を意味する。
【0199】
【数8】
JP0004002983B1_000009t.gif

【0200】
すなわち、上記画像データ補正部53が、上記数式(8)において、(θ,θ)について解くことにより、垂直軸Kの方向、すなわち姿勢変更後におけるプロジェクタ2の姿勢(θ(ans),θ(ans))を得ることができる。なお、上記数式(8)において、θ,θについてそれぞれ解くと下記数式(9)および数式(10)に示すようになる。
【0201】
【数9】
JP0004002983B1_000010t.gif

【0202】
このようにして、θ,θについてそれぞれ値が得られれば、この姿勢におけるプロジェクタ2の画像平面Pにおける4隅の方向ベクトルを容易に求めることができる(下記数式(11)参照)。
【0203】
【数10】
JP0004002983B1_000011t.gif

【0204】
また、上記数式(11)における(u(img),v(img))は、画像平面Pにおける4隙の端点を正接平面Q上に投影した点となる。
【0205】
ここで、上記した矩形形状の投影領域S内において矩形画像を描画するものとする。この場合、実環境投影面R上に描画されるこの矩形画像の4端点(x,y;i=1~4までの整数)についても数式(6)と同様にして正接平面Q上に投影することができる。そしてこのとき、正接平面Q上に投影された4端点(u(obj),v(obj);i=1~4までの整数)は、以下数式(12)として得られる。
【0206】
【数11】
JP0004002983B1_000012t.gif

【0207】
以上、数式(11)および数式(12)により正接平面Q上における投影領域Sを形成する4端点の方向ベクトルと、該投影領域S内に描画される矩形画像の4端点の方向ベクトルを得ることができる。すなわち、上記数式(11)および数式(12)によって、正接平面Q上での投影領域S形状および投影オブジェクト形状を得ることができる。
【0208】
次に、プロジェクタ2の姿勢(θ(ans),θ(ans))における画像平面P´を考える。数式(11)によって得られた4点(u(img),v(img);i=1~4までの整数)が、画像平面P´の4隅(例えば、XGAの場合では±1024/2,±768/2)に対応する。このことから正接平面Qから画像平面P´への変換行列HQP´が求められる。このHQP´を上記数式(12)で得られた(u(obj),v(obj);i=1~4までの整数)に対しても下記数式(13)のように適用することによって、画像平面P´上に生成すべき矩形画像の4端点(X(ans),Y(ans);i=1~4までの整数)が決定する。
【0209】
【数12】
JP0004002983B1_000013t.gif

【0210】
そして、上記数式(13)によって算出した4端点による矩形画像を、プロジェクタ2の姿勢(θ(ans),θ(ans))で実環境投影面Rに投影すると、ユーザによって要求された矩形画像を投影させることができる。
【0211】
以上では、実環境投影面Rが一面である場合について説明してきたが、例えば、図13に示すように複数の実環境投影面R…が異なる方向に面している場合もある。この場合、一定の場所に設置されたパンチルトプロジェクタ装置1は、様々な方向に面している実環境投影面R…それぞれに応じて適切に描画を行えるように調整する、すなわち外部キャリブレーションを行う必要がある。
【0212】
以下において、図14、図15(a)~図15(c)、および図19を参照してこの外部キャリブレーションについて説明する。
【0213】
(外部キャリブレーション)
(外部キャリブレーションに関する構成)
まず、外部キャリブレーションに関するプロジェクタ制御部4が備える各部の説明をする。
【0214】
すなわち、プロジェクタ制御部4は、上記外部キャリブレーションを実行するために、図19に示すように、外部調整情報取得部(外部調整情報算出手段)61および投影面情報取得部(投影面情報取得部)62を備えている。
【0215】
外部調整情報取得部61は、投影面情報取得部62から取得した実環境投影面Rの4隅の2次元座標と、プロジェクタから該実環境投影面Rへの方向を示す情報を取得し、実環境投影面Rn上の位置情報(x,y)と、正接平面Q上の位置情報の関係を示す情報を算出するものである。
【0216】
なお、上記実環境投影面Rの4隅の2次元座標とは、例えば、実環境投影面Rが図13のように異なる方向となる複数の面からなる場合、これら複数面を展開し共通の2次元座標上に表現した場合における各面の頂点に対応する各座標である。
【0217】
すなわち、上記実環境投影面Rの4隅の2次元座標は、該実環境投影面R上に任意に定めることができる。例えば、実環境投影面Rが矩形である場合、実環境投影面Rの上辺をx軸、左辺をy軸とすると、実環境投影面Rを形成する4隅の座標を容易に得ることができる。
【0218】
また、上記図13のように、複数の実環境投影面Rから実環境投影面Rが構成されている場合、この実環境投影面Rを、もともと1つの平面であったものを折り曲げて構成したものと捉えれば、この実環境投影面Rを2次元座標で表すことができる。
【0219】
外部調整情報取得部61は、上記算出した情報を外部調整情報74として情報格納部7に記憶させる。
【0220】
また、上記投影面情報受信部62は、画像の投影が所望される実環境投影面Rそれぞれについて、実環境投影面Rの4隅の2次元座標と、プロジェクタから該実環境投影面Rへの方向を示す情報とをカメラ5を介して取得するものである。
【0221】
投影面情報受信部62は入力装置からの指示に応じて、上記した情報を取得する。
【0222】
(外部キャリブレーションの方法)
この外部キャリブレーションは、画像を描画したい実環境投影面Rの4隅の2次元座標と、パンチルトプロジェクタ装置1から該実環境投影面Rに対する方向を示す情報を取得することによって実現できる。
【0223】
具体的には図15(a)に示すように実環境投影面R…それぞれが設置されている方向にパンチルトプロジェクタ装置1を設置する(S31)。そして、次に、プロジェクタ制御部4における投影面情報受信部62が、実環境投影面R…それぞれの寸法、形状および配置関係などを示す投影面情報を取得する(S32)。
【0224】
この投影面情報は、例えば、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ2が配置される空間領域(部屋など)の設計図面、あるいは直接メジャーなどを使って測定することにより得ることができる。そして、この得られた情報は、入力装置6を介してユーザによってプロジェクタ制御部4に入力される。
【0225】
また、投影面情報受信部62は、パンチルトプロジェクタ装置1から各実環境投影面Rに対するそれぞれの4隅の方向を取得する(S33)。
【0226】
このパンチルトプロジェクタ装置1から各実環境投影面Rに対する方向の取得は、プロジェクタ2によって1点を投影し、その点が4隅を向くようにプロジェクタ2の姿勢を操作することで取得することができる。
【0227】
すなわち、入力装置6によって画像平面P上の任意の一点に対応する画像を実環境投影面Rに対して投影する。そして、この投影点が実環境投影面の4隅と一致するように、プロジェクタ2の姿勢を変更させるように、姿勢調整部43が駆動装置3に対して指示する。なお、この姿勢調整部43の駆動装置3への指示は、入力装置6を介してユーザからの指示に応じて行われる。
【0228】
なお、上記取得される方向は、具体的には、プロジェクタ2の姿勢を示すパン角、チルト角の情報であり、初期姿勢からどれだけ水平および垂直方向にプロジェクタ2の投影方向Jを移動させたかについて示すものである。
【0229】
そして、ステップS32およびステップS33によって取得された投影面情報と4隅の方向を示す情報とに基づき、外部調整情報取得部61が、各実環境投影面Ri(本実施例ではiは1~3の整数)に対する変換行列HQRi(第2変換情報)を算出する(S34)。
【0230】
すなわち、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、複数の実環境投影面Rに対して、それぞれの変換行列HQRを算出することで外部キャリブレーションを行う。そして、外部調整部情報取得部61は、この算出した変換行列HQRを、各実環境投影面Rごとに外部調整情報74として情報格納部7に記憶させている。
【0231】
また、投影時には、各実環境投影面Rごとの上記変換行列HQRを利用して、画像データ補正部53が、投影する実環境投影面Rに応じた調整を行い、調整した結果の画像データを生成画像データ受信部52に送信する。
【0232】
上記生成画像データ受信部52は、画像データ補正部53から受信した調整された画像データをプロジェクタ2に送信する。また、この生成画像データ受信部52は、姿勢調整部43に実環境投影面Rに応じた姿勢にプロジェクタ2を移動させるように指示する。
【0233】
なお、この変換行列HQRは、上記したように、上記投影面情報および実環境投影面Rの4隅に対する方向を示す情報のみを取得するだけで容易に算出することができる。
【0234】
よって、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1は、上記外部キャリブレーションを、複数の実環境投影面R…に対して容易に行うことができる。
【0235】
また、上記パンチルトプロジェクタ装置1は、上記外部キャリブレーションを各実環境投影面Rに対して行うことができるため、該実環境投影面R…の任意の位置に任意の形状の画像を歪みなく描画することができる。
【0236】
また以上のように、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、各実環境投影面Rの4隅の方向を示す情報と、上記実環境投影面Rの4隅の2次元座標とに基づき上記外部キャリブレーションを実現することができる。
【0237】
すなわち、従来のように、各実環境投影面Rとプロジェクタ2の相対的な位置および姿勢関係、あるいは、複数の実環境投影面R間の角度関係といった3次元的な情報の計測を必要としない。つまり、従来のような上記3次元的な情報の計測は、煩雑かつ精度向上が困難であり、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1のように、これらの計測が不要であるという点は大きな利点となる。
【0238】
さらにまた、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1は、上記したように実環境投影面Rを2次元座標として扱うことができるため、例えば連結した2つの実環境投影面Rをまたぐ描画の場合であっても正確に行うことができるという利点を有する。
【0239】
上記にて異なる方向に面している、複数の実環境投影面Rに対して適切に描画するための調整方法(外部キャリブレーション)について説明した。そこで、下記においてこの調整方法をさらに詳しく説明する。
【0240】
まず、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1が図21に示すように、互いに連結した平面を含む4平面(R~R)に対して描画を行うものとする。この場合、これら4平面(R~R)それぞれは、独立した任意の2次元座標系を有している。例えば、平面R上の座標系(x、y)は、他の平面R~R上の座標系(x、y)(r=2、3、4)それぞれと互いに独立した関係となる。
【0241】
そこで、上記したように投影面情報受信部62が、規定位置方向情報として、各実環境投影面R~Rに対するそれぞれの4隅の方向を取得する。具体的には、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、画像中心Eが平面R~Rそれぞれの各頂点に向くように調整し、このときのプロジェクタ2の姿勢情報(θ,θ)を投影面情報受信部62が受信する。そして、投影面情報受信部62は、得られた(θ,θ)の値を外部調整情報取得部61に送信する。
【0242】
外部調整情報取得部61は、上記した数式(2)および数式(4)によって、受信した(θ,θ)の値を正接平面Q上に投影した点(u,v)に変換する。そして、外部調整情報取得部61は、例えば図22に示すような、実環境投影面R上の位置情報(x,y)と、正接平面Q上の位置情報(u,v)とを対応付けて、平面登録テーブルとして情報格納部7に記憶する。
【0243】
なお、この平面登録テーブルにおいて、ある実環境投影面Rに属する正接平面Q上の位置情報(una~d,vna~d)は、正接平面Q上に在る領域を形成しており、この領域は、各実環境投影面R全体を正接平面Qに逆投影したものとなる。そして、正接平面Q同士の境界線は、実環境投影面Rの境界線と対応する。なお本実施の形態では、このように実環境投影面Rと対応する領域を、該実環境投影面Rに対する平面対応領域と称する。
【0244】
ところで、図21において、例えば実環境投影面R上の点(x1d,y1d)と、実環境投影面R上の点(x2a,y2a)は実環境中では同一点となる。したがって、パンチルトプロジェクタ装置1からこれらの点に向かう方向は同一となり、(u1d,v1d)と(u2a,v2a)は同一の値となる。また、同様に(u1c,v1c)と(u2b,v2b)ともまた同一の値となる。
【0245】
したがって、これら2組の対応関係から、実環境投影面Rと実環境投影面Rとにおいて各組の2頂点が実環境中で一致しており、実環境投影面Rと実環境投影面Rとが連結していることを把握することができる。
【0246】
そこで、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクト装置1では、外部調整情報取得部61が上記平面登録テーブルの中から、同一の(u,v)値となる組み合わせを探索する。そして、外部調整情報取得部61この探索の結果、2平面間において同一の(u,v)値となる組が2組存在する場合、該2平面が連結していると判定する。なお、この連結していると判定された2平面のうち、一方の平面に対して連結している他方の平面を連結平面と称する。
【0247】
この判定をすべての2平面間において行い、その結果として下記の数式(14)に示す行列を生成する。そして、外部調整情報取得部61は、この生成した行列を情報格納部7に記憶する。なお、本実施形態では、数式(14)に示す行列を連結判定行列(連結関係情報)と称する。
【0248】
【数13】
JP0004002983B1_000014t.gif

【0249】
なお、上記数式(14)に示す連結判定行列おいて、「-」は、負値を示す。また、この行列の要素mijの値は、実環境投影面Rと実環境投影面Rとの連結の有無を示す。そして、このmijが0の場合、実環境投影面Rと実環境投影面Rとは同一平面であることを示す。
【0250】
また、このmijが負値の場合、実環境投影面Rと実環境投影面Rとは連結していない平面であることを示す。このmijが正値の場合、環境投影面Rと実環境投影面Rとは互いに連結する平面であることを示す。
【0251】
なお、この連結判定行列では、各連結した2平面に対して、正値として1、2、3、…と順に番号を割り当てており、この値は、連結する実環境投影面Rと実環境投影面Rとの組を特定するための識別子(ID;identification)としても利用する。
【0252】
以上のようにして、連結する実環境投影面R同士の組み合わせを特定すると、外部調整情報取得部61は連結する実環境投影面Rの組ごとに、その座標系間の変換式を算出する。より具体的には、外部調整情報取得部61はこの座標系間の変換式を下記のようにして算出する。
【0253】
まず、図23に示すように、連結する実環境投影面Rの組を、1つの2次元平面として展開する。そして、この2次元平面上において一方の座標系と、他方の座標系との関係式を求める。
【0254】
例えば、実環境投影面Rと実環境投影面Rとに注目した場合、実環境投影面Rにおける座標(x2n,y2n)(n;a~d)は、実環境投影面Rにおける座標(x1n,y1n)を用いて下記の数式(15)のように表すことができる。
【0255】
【数14】
JP0004002983B1_000015t.gif

【0256】
また、実環境投影面Rと実環境投影面Rとでは、2組の同一点、すなわち、(x1d,y1d)・(x2a,y2a)と、(x1c,y1c)・(x2b,y2b)とを有する。このため、両者の座標系の間における変換パラメータ(α,t,t)は、以下の数式(16)に示すように線形に計算することができる。
【0257】
【数15】
JP0004002983B1_000016t.gif

【0258】
外部調整情報取得部61は、すべての連結した実環境投影面Rの組み合わせについて上記数式(16)を演算し、得られた変換パラメータを、上記したIDとともに、情報格納部7に記憶させる。
【0259】
なお、上記変換パラメータは、具体的には、図24に示すように、各連結位置に割り当てられた識別子と、この識別子により特定される連結位置の実環境投影面Rの組から求めた変換パラメータとが対応付けられた、リストとして記憶されている。
【0260】
すなわち、上記パンチルトプロジェクタ装置1は、外部調整情報74として情報格納部7に、変換行列HQRiの他、上記した変換パラメータ、平面登録テーブル、および連結判定行列もさらに記憶する。
【0261】
以上のようにして、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、複数の実環境投影面Rへの投影処理を実行するための前準備を行う。
【0262】
次に、以下において、図25を参照して、上記パンチルトプロジェクタ装置1による複数の実環境投影面Rへの投影処理についての詳細を説明する。
【0263】
まず、パンチルトプロジェクタ装置1は、上記したように現在のプロジェクタ2の姿勢情報(θ´,θ´)を画像データ補正部53が受信する。そして、画像データ補正部53は、受信した(θ´,θ´)に基づき、現在のプロジェクタ2の姿勢における、画像中心Eと正接平面Qとの交点(u,v)を算出する。そして、画像データ補正部53は、情報格納部7に記憶している平面登録テーブルを参照して、この算出した(u,v)がどの実環境投影面Rの平面対応領域に属するか調べ、この(u,v)が含まれる領域に対応する実環境投影面Rを現在の「主平面」と位置づける。なお、本実施形態では、プロジェクタ2の画像中心Eが投影されている実環境投影面Rが、現時点における主平面であると定義する。
【0264】
ところで、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1において、プロジェクタ2が連続的に姿勢を変化させる場合、このような姿勢変化に応じて主平面Rが途中で変化する可能性がある。
【0265】
また、実環境投影面Rにおける図形形状Dは、現時点における主平面Rの座標系に基づき算出されている。このため、描画中に主平面Rが変化すると、この変化した主平面Rの座標系に基づき図形形状Dの算出が行われてしまう。また、この2平面における座標系の向きの違いに応じて図形の向きも変化してしまうという問題が生じる。
【0266】
そこで、このような問題を防ぐために、本実施形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1は、直前の主平面Rを常に記録するようになっている。
【0267】
すなわち、上記パンチルトプロジェクタ装置1では、画像データ補正部53がまず、算出した(u,v)がどの実環境投影面Rの平面対応領域に属するか上記した平面登録テーブルを参照して調べ、この(u,v)が含まれる領域に対応する主平面Rの存在を確認する(S41)。
【0268】
ここで、現在の主平面Rが存在する場合、記憶している直前の主平面Rと、この現在の主平面Rとを比較する(S42)。ここで現在のRと直前のRとが同じである場合(S42において「現在のR=直前のR」)、画像データ補正部53は、現在の主平面Rを識別する情報を情報格納部7に記憶させておく(S43)。
【0269】
一方、上記ステップS342において、現在のRと直前のRとが異なる場合、画像データ補正部53は、図24に示すリストを参照して、現在の実環境投影面Rに関する変換パラメータを取得する(S48)。そして、画像データ補正部53は、取得した現在の実環境投影面Rに関する変換パラメータを情報格納部7に記憶させ更新する(S49)。このように現在の実環境投影面Rに関する変換パラメータに更新すると、この更新された変換パラメータを参照して描画する図形を回転させる(S50)。
【0270】
例えば、画像中心Eを投影する実環境投影面R(主平面R)が主平面Rから主平面Rに変化したとする。このように主平面Rから主平面Rに変化する場合、主平面Rと主平面Rとの座標系の違いを考慮せず描画をおこなうと、この両者における座標系の向きの違いにより、主平面Rと主平面Rとの境界において、描画される図形の向きが変更してしまうことになる。
【0271】
そこで、画像中心Eを投影する主平面Rが例えば主平面Rから主平面Rに移動する場合、パンチルトプロジェクタ装置1は、主平面Rから主平面Rへの変換パラメータを取得する。ただし、主平面Rと主平面Rとの境界を横切った直後の主平面R2における画像中心E位置は得られている。このため、パンチルトプロジェクタ装置1は、情報格納部7から取得した変換パラメータのうち、向きに関するパラメータ、すなわち回転成分αを、描画する図形に適用する。そして、パンチルトプロジェクタ装置1は、図形を回転して描画する。
【0272】
次に、画像データ補正部53は、図26に示すように主平面上Rの図形形状D;(x,y)を求める。なお、外部調整情報取得部61は、上述した1つの実環境投影面Rにおける正接平面Q上での投影領域S形状および投影オブジェクトを得る処理と同様に数式(12)によって主平面上Rの図形形状Dを求めることができる。このようにして、外部調整情報取得部61は、主平面上R上の部分図形を描画する(S44)。
【0273】
しかしながら、ここでは、上記した1つの実環境投影面Rに対する処理の場合とは異なり、Dをそのまま正接平面Qに投影してはならない。これは、本実施形態のように複数の実環境投影面Rへの投影処理を行う場合、各実環境投影面Rが有限の領域を持つことを考慮しなければならないためである。
【0274】
したがって、ここでは、正接平面Q上の図形形状Dと、主平面となる実環境投影面Rとの積領域Tを算出し、このTのみを正接平面Qに投影する(図26に示すS)。
【0275】
次に、上記画像データ補正部53が、図27に示す連結平面についての処理を行う。すなわち、画像データ補正部53は、上記した連結判定行列を参照して、主平面Rに連結している連結平面Rを探索する(S45)。上記したように、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1では、連結判定行列において、連結した実環境投影面R同士の組を特定するためのIDを割り当てている。
【0276】
そこで、画像データ補正部53は、このIDに基づき、実環境投影面Rにおける連結関係を把握し、情報格納部7に記憶している変換パラメータを参照することにより、RからRへの座標変換式を得る(S46)。そして、画像データ補正部53は、このようにして得た座標変換式を使って、主平面R上の座標を、各連結平面R上の座標に変換することができる。
【0277】
したがって、画像データ補正部53は、実環境投影面R上に記述されている図形形状D;(x,y)を各連結平面R上の座標D;(x,y)に変換することができる。そして、正接平面Qへの投影について上記した図形形状Dと主平面Rとの関係と同様に、上記図形形状Dの座標と主平面Rの座標との積領域Tを算出する。そして算出した積領域Tを正接平面Qに投影する(図27に示すS)。
【0278】
以上の処理によって、正接平面Q上には、これらの領域、すなわち、図26に示すSと図27に示すSが組み合わされた形で図形領域Sallが生成される。この姿勢(θ´,θ´)はすでに求めているので、このSallを画像平面P´に投影することも可能である。
【0279】
以上の処理によって、各実環境投影面Rの連結関係を考慮して、各連結平面上の部分図形をそれぞれ描画し所望の描画結果を得ることができる(S47)。
【0280】
また、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1は、上記したように、直前の主平面Rを常に記録している。このため、例えば描画中に主平面Rが変化した場合、それによる座標系の変化を図形形状に反映させることができる。
【0281】
したがって、上記パンチルトプロジェクタ装置1は、プロジェクタ2を自由に回転させたり、複数の実環境投影面Rにまたがって連続的に移動させたりした場合であっても、まるで紙のポスターが滑らかに複数の実環境投影面Rの表面に沿って移動しているかのような表示を行うことができる。
【0282】
(複合投影システム)
なお、図20において示すように、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1を同一空間領域内に複数備え、複合投影システム100を構成してもよい。
【0283】
本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1は、上記したように、投影中心Fと回転中心Gとが一致するように構成されている。このため、正接平面Q上という共通する座標系によって様々なプロジェクタ2の姿勢における投影の調整を行うことができるため、各プロジェクタ2の姿勢での投影調整を迅速に行うことができる。
【0284】
また、異なる壁面それぞれに対する調整も容易に行うことができるため、3次元空間内に適切に複数台を設置し、容易に、迅速に調整を行うことができる。すなわち、上記複合投影システム100を迅速にかつ容易に構築することができる。
【0285】
また、図20に示すように、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1を複数台同一空間内に設置することによって、下記に示す利点を得ることができる。
【0286】
すなわち、あるプロジェクタ2からの投影方向J先に、例えば人やテーブルなどの遮蔽物が存在する場合、他のプロジェクタ2によって代わりに画像などを投影することができる。また、パンチルトプロジェクタ装置1が複数台設置されているため、より広い空間領域の壁などに画像などを投影することができる。
【0287】
また、複数台のパンチルトプロジェクタ装置1によって異なる画像または色などを重ね合わせより複雑な画像表現を実現することができる。
【0288】
また、上記した複合投影システム100は、下記の技術に応用することができる。
【0289】
例えば、施設などの館内の廊下などに、上記複合投影システム100を設置し、該複合投影システム100全体による投影領域Sが、この廊下の壁面などをカバーできるように設定する。そして、来訪者があった場合、カメラシステムなどによりこの来訪者の位置を把握する。そして、この来訪者に対して、この来訪者が進むべき方向を示す矢印、その他の視覚情報を壁面などに表示する。このように、複合投影システム100は、来訪者に対する館内案内の補助を実現することができる。
【0290】
あるいは、例えば講義室に本実施の形態に係る複合投影システム100を設置し、通常の講義時には、複数台のパンチルトプロジェクタ装置1によって大きな投影領域Sを形成するようにしておく。このように設置された複合投影システム100において、講義内容に応じて投影領域Sを2分割する、もしくは講義室内の壁面もしくは天井などに移動できるようにする。
【0291】
特に本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1は、投影の調整が容易であるため、既存の講義室への設置が容易であり、また設置にかかるコストを、従来のプロジェクタ装置を使ってそれぞれ投影の調整を行う場合と比べて低減させることができる。
【0292】
また、百貨店などのエレベータ乗り場または出入り口付近などにおいて、宣伝広告などの情報を掲示している。この掲示を上記複合投影システム100を用いて行うことができる。このように複合投影システム100によって上記した宣伝広告を行う場合、任意の場所に投影位置を移動させることができるため、人の多く居るエリアに宣伝広告を表示させたりすることができ宣伝効果を向上させることができる。また、ポスターなどのようにとりはずしたりする必要がないため、人的コストを抑制することができる。
【0293】
また、建設現場では,建物を立てる場所にまずコンクリートによる水平面を作り,その上に柱の位置や建物の形状を描画するために墨のついた糸を使って多くの直線を描いておく(「墨出し」)が行われる。この墨出しでは,直線以外の図形を描くことは困難なため、建物の形状に関する非常に抽象的な情報しか描くことができない。そこで、上記した複合投影システム100を建設現場に設置すれば、水平面上に数値や外観画像などといった直線以外の情報を正確な位置に歪み無く描くことができる。しかも、これらは投影光による仮想情報なので、建築現場における水平面を汚すことが無い。
【0294】
なお、投影対象を平面(実環境投影面R)に限定しなくても、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1の利用用途は多く存在する。
【0295】
特に、コンピュータビジョン・ユーザインタフェースなどの研究分野では、プロジェクタを利用した研究が多くなされている。この研究では,プロジェクタ2の画像平面Pと投影領域である3次元空間との対応関係を求めることを基本として成り立っている。これは本実施の形態に係るプロジェクタ2を用いて正接平面Q上の座標と3次元空間との対応関係を求めることに対応している。
【0296】
つまり、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1を用いることによって、既存のプロジェクタに関する研究成果を容易に回転機構付きプロジェクタ2へと拡張することができる。
【0297】
なお、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1は、プロジェクタ2と駆動装置3とプロジェクタ制御部4と、カメラ5と、入力装置6と情報格納部7とがそれぞれ別々に構成されているが、これらの各装置および部材が1つの筐体として構成されていてもよい。
【0298】
また、上記カメラ5は、投影中心と回転中心との位置合わせ、精密な位置合わせ、内部キャリブレーションにおいて使用されていたが、このカメラは同一のものであってもよいし、測定対象に応じて異なるカメラ5が設けられていてもよい。
【0299】
また、上記情報格納部に記憶されている、内部調整情報(調整情報)71、投影中心ずれ量テーブル72、回転中心座標情報(回転中心位置情報)73、および外部調整情報74は、1つの情報格納部7に記憶される構成であった。しかしながら、これらの情報ごとにメモリなどが設けられ、それぞれ別々に記憶されていてもよいし、いくつかに分散して記憶されていてもよい。
【0300】
また、本実施の形態に係るパンチルトプロジェクタ装置1において、プロジェクタ2を回転させる駆動装置3は、パン軸(回転軸)90とチルト軸(回転軸)91との2軸から構成される回転機構であった。しかし、回転機構はこれに限定されるものではなく、回転軸が存在しない回転機構であっても、回転中心が存在するものであればかまわない。すなわち、上記回転機構は、回転中心が1点となるようにプロジェクタを回転させるものであればよい。
【0301】
また、プロジェクタ制御部4では、上記した投影中心固定法に関して、回転中心Gおよび投影中心Fそれぞれの座標情報に基づき、位置調整部41が回転中心Gと投影中心Fとが一致するようにプロジェクタ2の配置を移動させるように構成されていた。
【0302】
しかしながら、この回転中心Gと投影中心Fとをユーザが手動で調整する構成であってもよい。
【0303】
この場合、例えば表示装置または印刷装置等の出力手段(不図示)によって、回転中心Gおよび投影中心Fそれぞれの座標情報をユーザに示す。そして、ユーザがこの示された情報に基づき、入力装置6を操作して駆動装置3にプロジェクタ2を移動させるように指示する。
【0304】
このように構成されている場合、入力装置6によって調整手段を実現する。
【0305】
また、プロジェクタ制御部4では、調整位置算出部42が算出した結果に基づき、微調整部42がプロジェクタ2の配置を微調整する構成であった。しかしながら、調整位置算出部42が算出した結果に基づき、ユーザが手動で調整する構成であってもよい。
【0306】
この場合、例えば、調整位置算出部42の算出結果を不図示の上記出力手段によってユーザに示す。そして、ユーザがこの示された情報に基づき、プロジェクタ2の配置を、入力装置6を操作して駆動装置3に指示して調整する。
【0307】
このように構成されている場合、入力装置6によって調整手段を実現する。
【0308】
また、本実施の形態において説明した内部キャリブレーションにおいて、上記画像データ補正部53は、受付けた投影領域の4点以上の位置情報を取得し、この位置情報に対応する、投影する画像の画像データにおける画像平面上の点と、プロジェクタの投影方向とを算出するように構成されていた。
【0309】
また、外部キャリブレーションにおいて、投影面情報取得部62は、プロジェクタ2と各実環境投影面Rとの関係として実環境投影面Rの4隅の2次元座標を取得する構成であった。しかしながら、上記取得する点の数はこれに限定されるものではなく、少なくとも4点以上であればよい。
【0310】
なお、上記実施形態のパンチルトプロジェクタ装置1が備える、上記プロジェクタ制御部4の各部や各処理ステップは、不図示のCPUなどの演算手段が、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、キーボードなどの入力手段、ディスプレイなどの出力手段、あるいは、インタフェース回路などの通信手段を制御することにより実現することができる。したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体を読取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態のパンチルトプロジェクタ装置1の各種機能および各種処理を実現することができる。また、上記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で上記の各種機能および各種処理を実現することができる。
【0311】
この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理を行うために図示しないメモリ、例えばROMのようなものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することにより読取り可能なプログラムメディアであっても良い。
【0312】
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、プログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0313】
また、上記プログラムメディアとしては、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体等がある。
【0314】
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能な装置構成であれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であることが好ましい。
【0315】
さらに、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。
【0316】
また、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0317】
本発明に係る投影装置は、以上のように、投影面に対して光を照射し画像を投影する投影部と、この投影部から投影面に対して照射する投影方向を変更するように、該投影部を回転させる駆動部とを備えた投影装置であって、上記投影部が照射する光の光源点を投影中心としたとき、上記投影中心と、上記駆動部による投影部の回転運動の中心点である回転中心とが一致するように上記投影部と駆動部とが配置されていることを特徴とする。
【0318】
よって、任意の投影方向となる、異なる姿勢の投影部それぞれについて、投影面において投影する画像の位置を規定するための平面座標を、特定の平面座標に変換することができる。そして、ある特定の平面座標により、投影方向が異なる、すなわち投影姿勢が異なるすべての投影部それぞれの平面座標を統合して扱うことができる。
【0319】
このように、特定の平面により、全ての投影部の投影姿勢における上記平面座標点それぞれを統合して扱うことができるため、投影面に対して、歪みがなく、位置ずれのない画像を描画できるようにするために行う調整作業を容易とすることができるという効果を奏する。
【0320】
また、本発明に係る投影装置は、以上のように、投影面に対して光を照射し画像を投影する投影部と、この投影部から投影面に対して照射する投影方向を変更するように、該投影部を回転させる駆動部とを備えた投影装置であって、上記駆動部によって上記投影部の回転運動の中心点である回転中心が1点となるように、該投影部が回転され、上記投影部が照射する光の光源点を投影中心としたとき、上記回転中心の位置情報である回転中心位置情報を取得する回転中心位置情報取得手段と、照射された光の軌跡を示す照射光情報を受付け、該照射光情報に基づき、投影中心の位置情報である投影中心位置情報を特定する投影中心位置情報特定手段と、上記取得された回転中心位置情報と、上記特定された投影中心位置情報とに基づき、投影中心と回転中心とが一致するように、投影部と駆動部との配置関係を調整する調整手段とを備えていることを特徴とする。
【0321】
また、本発明に係る投影装置の制御方法は、以上のように、投影面に対して光を照射し画像を投影する投影部と、この投影部から投影面に対して照射する投影方向を変更するように、該投影部を回転させる駆動部とを備えた投影装置の制御方法であって、上記駆動部によって上記投影部の回転運動の中心点である回転中心が1点となるように、該投影部が回転され、上記投影部が照射する光の光源点を投影中心としたとき、上記回転中心の位置情報である回転中心位置情報を取得するステップと、照射された光の軌跡を示す照射光情報を受付け、該照射光情報に基づき、投影中心の位置情報である投影中心位置情報を特定するステップと、上記取得された回転中心位置情報と、上記特定された投影中心位置情報とに基づき、投影中心と回転中心とが一致するように、投影部と駆動部との配置関係を調整するステップとを含むことを特徴とする。
【0322】
このように、本発明に係る投影装置および投影装置の制御方法は、特定の平面により、全ての投影部の姿勢における上記平面座標点それぞれを統合して扱うことができる。このため、投影領域に対して、歪みがなく、位置ずれのない画像を描画できるようにするために行う調整作業を容易とすることができるという効果を奏する。
【0323】
本発明にかかる複合投影システムは、以上のように、上記した投影装置を複数備えたことを特徴とする。
【0324】
上記した投影装置は、投影中心と回転中心とが一致するように構成されている。このため、正接平面という共通する座標系によって様々な投影部の姿勢における投影の調整を行うことができる。したがって、各投影部の異なる姿勢での投影調整を迅速に行うことができる。また、異なる投影面それぞれに対する調整も容易に行うことができるため、3次元空間内に適切に複数台を設置し、容易に、迅速に調整を行うことができる。すなわち、上記複合投影システムは、迅速にかつ容易にシステムを構築することができるという効果を奏する。
【0325】
さらにまた、本発明に係る複合投影システムは、ある投影部からの投影方向先に、例えば人やテーブルなどの遮蔽物が存在する場合、他の投影部によって代わりに画像などを投影することができる。また、投影部が複数台設置されているため、より広い空間領域の壁などに画像などを投影することができるという効果を奏する。
【0326】
また、本発明に係る投影装置は、上記した構成において、上記投影部は、上記投影面に対して、上記投影中心から所定の角度で光領域の範囲が広がるように照射しており、上記回転中心の位置情報を示す回転中心情報を記憶する記憶装置と、上記投影中心と投影面との間において照射された光の軌跡を示す軌跡情報を取得する軌跡取得部とをさらに備え、上記回転中心位置情報取得手段は、上記記憶装置から回転中心位置情報を取得し、上記投影中心位置情報特定手段は、上記照射光情報として、上記軌跡取得部より軌跡情報を受付け、該軌跡情報に基づき投影中心位置情報を特定するように構成されていてもよい。
【0327】
また、本発明に係る投影装置は、上記した構成において、上記投影部と上記投影面との間の任意の固定点を通過する光の、該投影面における投影位置情報を、異なる投影方向それぞれについて取得する投影位置情報取得部と、上記投影位置情報取得部によって取得された上記投影位置情報を受付け、該投影位置情報が上記投影面において1点となる投影中心位置情報を算出する位置調整算出手段と、上記位置調整算出手段によって算出された結果に基づき、上記特定された投影中心位置情報を変更し、この変更した投影中心位置情報に基づき、上記調整手段により調整された投影部と駆動部との配置関係を微調整する微調整手段とをさらに備えるように構成されていることが好ましい。
【0328】
ところで、上記投影中心と回転中心とが一致していない場合、投影部から投影面に対して照射される投影方向が異なるたびに、投影部と投影面との間にある固定点を通過する光が投影面に投影される位置がずれる。すなわち、上記投影方向が変更されても上記固定点を通過する光の投影面における投影位置が一点に収束する場合、上記回転中心と投影中心とが一致しているといえる。
【0329】
上記した構成によると、投影位置情報取得部を備えているため、異なる投影方向において、投影部から投影面に対して照射された光の投影位置を確認することができる。また、位置調整手段を備えているため、投影部と駆動部との位置を上記投影面における投影点が1点に収束するように調整することができる。
【0330】
したがって、本発明に係る投影装置は、確度よく精密に投影中心と回転中心とを一致させて、投影部と駆動部とを配置させることができる。
【0331】
また、本発明に係る投影装置は、上記した構成において、上記駆動部は、上記投影部を回転させるために複数の回転軸を備え、上記回転中心は、上記複数の回転軸の交点となるように構成されている。
【0332】
また、本発明に係る投影装置は、上記した構成において、投影すべき画像データを受付ける画像データ受付け手段と、上記画像データ受付け手段によって受付けた、複数の所定位置を示す画像データに基づき、初期姿勢に設定された投影部により投影された、投影面における投影点の投影位置情報から、画像データにおける上記所定位置の位置情報と、該投影位置情報との関係を算出する第1関係算出手段と、上記画像データ受付け手段によって受付けた所定位置を示す画像データに基づき、初期姿勢から所定角度回転させた投影部によって投影された、投影面における投影点の投影位置情報から、投影部の投影方向と、該投影方向ごとに応じた投影点との関係を算出する第2関係算出手段と、上記第1関係算出手段と第2関係算出手段との算出結果に応じて、画像データに基づき投影面に投影する画像の調整情報を取得する調整情報取得手段とを備えていることが好ましい。
【0333】
なお、上記複数の所定位置を示す画像データは、投影面と入力画像データ生成する面との位置関係を得るためには、4点以上あることが好ましい。また、上記画像データの所定位置は、投影すべき画像の画像データの位置を規定する平面座標系における座標によって表現でき、例えば画像データに対応する画素値などによって表現することができる。
【0334】
一方、投影位置情報とは、投影面を表現する平面座標系における座標として表現できるものである。
【0335】
上記構成によると、第1関係算出手段を備えているため、画像データにおける所定位置と、投影位置情報との関係を算出することができる。
【0336】
また、第2算出手段を備えているため、投影部の投影方向と、所定の投影方向において規定される投影点との関係を算出することができる。
【0337】
したがって、上記第1関係算出手段と、第2関係算出手段の算出結果から、上記調整情報取得手段は、投影面における所定の投影位置から、適切な所定位置を示す画像データと、投影部の投影方向とを知ることができる。
【0338】
また、本発明に係る投影装置の制御方法は、上記した方法において、投影すべき画像データを受付けるステップと、上記受付けた、複数の所定位置を示す画像データに基づき、初期姿勢に設定された投影部により投影された、投影面における投影点の投影位置情報から、画像データにおける上記所定位置の位置情報と、該投影位置情報との関係を算出するステップと、上記受付けた所定位置を示す画像データに基づき、初期姿勢から所定角度回転させた投影部によって投影された、投影面における投影点の投影位置情報から、投影部の投影方向と、該投影方向ごとに応じた投影点との関係を算出するステップと、上記した算出結果に応じて、画像データに基づき投影面に投影する画像の調整情報を取得するステップとを含んでいてもよい。
【0339】
本発明に係る投影装置の制御方法によると、画像データにおける上記所定位置の位置情報と、該投影位置情報との関係を算出するステップを含むため、画像データにおける所定位置と、投影位置情報との関係を算出することができる。
【0340】
また、投影部の投影方向と、該投影方向ごとに応じた投影点との関係を算出するステップを含むため、投影部の投影方向と、所定の投影方向において規定される投影点との関係を算出することができる。
【0341】
したがって、これらのステップによる算出結果に応じて、上記調整情報を取得するステップにより、投影面における所定の投影位置から、適切な所定位置を示す画像データと、投影部の投影方向とを知ることができる調整情報を取得することができる。
【0342】
よって、本発明に係る投影装置および投影装置の制御方法は、投影面において描画が所望される投影点に対応した画像データの所定位置および、投影方向を知ることができるため、予め、投影面と該投影面に対して投影する画像データとの調整を行っておくことができる。
【0343】
また、本発明に係る投影装置は、上記した構成において、上記調整情報取得手段は、上記調整情報として、投影方向が異なる投影部それぞれにおける画像データを共通して扱うことができる平面である正接平面上の位置情報と、投影面上の位置情報との関係を示す第1変換情報と、上記投影中心から上記投影面において投影された所定位置の投影点に対する方向を示す方向情報と、投影面に対する投影可能な範囲を規定する、画像データ中の少なくとも4点以上に対する投影中心からの方向を示す方向情報とを取得するように構成されることが好ましい。
【0344】
なお、上記正接平面とは、任意の投影方向となる、異なる姿勢の投影部それぞれについて、投影面において投影する画像データの位置を規定するための平面座標を変換した特定の平面座標である、すなわち、投影方向が異なる、言いかえれば投影姿勢が異なる、すべての投影部それぞれの平面座標を統合して扱うことができるものである。
【0345】
また、本発明に係る投影装置は、上記した構成において、異なる複数の投影面に対して画像を投影する場合において、上記投影面を規定する4点以上の位置情報と、投影部から該投影面の4点以上に対する方向を示す規定位置方向情報とを取得する投影面情報取得手段と、上記投影面情報取得手段によって取得された位置情報と規定位置方向情報とに基づいて、各投影面上の位置情報を上記正接平面上の位置情報に変換するための第2変換情報を算出する外部調整情報算出手段とを備えるように構成されていてもよい。
【0346】
上記構成によると、上記投影面情報取得手段を備えているため、投影対象となる投影面ごとに応じた、該投影面と投影部との関係を規定することができる。また、外部調整情報取得部手段を備えているため、投影面ごとに規定した上記関係を、正接平面上の位置情報として変換することができる第2変換情報を算出することができる。
【0347】
このように、本発明に係る投影装置は、各投影面に対する関係を上記正接平面上の位置情報(座標)に変換することができる第2変換情報を取得している。このため、投影面ごとの位置情報(座標)を統合して上記正接平面上の位置情報(座標)として扱うことができる。
【0348】
また、本発明に係る投影装置は、上記した構成において、上記外部調整情報算出手段によって算出された第2変換情報には、上記投影面を規定する4点以上の位置情報および規定位置方向情報に基づき算出された、隣接する他の投影面との連結関係を示す連結関係情報と、上記連結関係情報に基づき算出された、連結する投影面同士を2次元平面に展開した際における両者の座標関係を特定する座標変換パラメータと、を含んでいることが好ましい。
【0349】
なお、上記連結関係情報とは、連結する投影面の組み合わせを示す情報である。
【0350】
上記構成によると、第2変換情報には、連結関係情報を含んでいるため、該連結関係情報を参照することにより、複数の投影面における連結関係を特定することができる。また、上記座標変換パラメータを含んでいるため、連結する投影面同士を2次元平面に表わすことができる。
【0351】
このため、連結する投影面ごとの位置情報(座標)を統合して上記正接平面上の位置情報(座標)として扱うことができる。
【0352】
また、本発明に係る投影装置の制御方法は、上記した方法において、異なる複数の投影面に対して画像を投影する場合において、上記投影面を規定する4点以上の位置情報と、投影部から該投影面に対する方向を示す情報とを取得するステップと、上記取得された投影面を規定する4点以上の位置情報と、投影部から該投影面に対する方向を示す情報とに基づいて、各投影面上の位置情報を上記正接平面上の位置情報に変換するための第2変換情報を算出するステップとを含んでいてもよい。
【0353】
上記方法によると、上記投影面を規定する4点以上の位置情報と、投影部から該投影面に対する方向を示す情報とを取得するステップを含んでいるため、投影対象となる投影面ごとに応じた、該投影面と投影部との関係を規定することができる。また、上記第2変換情報を算出するステップにより、各投影面上の位置情報を上記正接平面上の位置情報に変換するための第2変換情報を算出することができる。
【0354】
このように、本発明に係る投影装置の制御方法では、各投影面に対する関係を上記正接平面上の位置情報(座標)に変換することができる第2変換情報を取得している。このため、投影面ごとの実環境投影面Rにおける位置情報(座標)を統合して上記正接平面上の位置情報(座標)として扱うことができる。
【0355】
したがって、本発明に係る投影装置および投影装置の制御方法は、異なる投影面に対して画像を投影するための調整を容易に行うことができる。
【0356】
なお、上記投影装置の各手段は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記投影装置をコンピュータにて実現させる投影装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【産業上の利用可能性】
【0357】
本発明に係る投影装置は、回転機構を備えたプロジェクタの投影面に対する調整を容易に行うことができる。このことによって、プロジェクタによって情報を表示する幅広い技術に適用できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26