TOP > 国内特許検索 > ニッケルシリサイド膜の作製方法 > 明細書

明細書 :ニッケルシリサイド膜の作製方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4009719号 (P4009719)
公開番号 特開2004-253606 (P2004-253606A)
登録日 平成19年9月14日(2007.9.14)
発行日 平成19年11月21日(2007.11.21)
公開日 平成16年9月9日(2004.9.9)
発明の名称または考案の名称 ニッケルシリサイド膜の作製方法
国際特許分類 H01L  21/28        (2006.01)
C23C  14/06        (2006.01)
C23C  16/26        (2006.01)
FI H01L 21/28 301S
C23C 14/06 E
C23C 16/26
請求項の数または発明の数 7
全頁数 8
出願番号 特願2003-042270 (P2003-042270)
出願日 平成15年2月20日(2003.2.20)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2002年9月17日~19日開催の「Extended Abstracts of the 2002 International Conference on SOLID STATE DEVICES AND MATERIALS」において文書をもって発表
審査請求日 平成15年2月20日(2003.2.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
発明者または考案者 【氏名】財満 鎭明
【氏名】酒井 朗
【氏名】中塚 理
【氏名】安田 幸夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100147485、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 憲司
【識別番号】100114292、【弁理士】、【氏名又は名称】来間 清志
【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
【識別番号】100100125、【弁理士】、【氏名又は名称】高見 和明
【識別番号】100101096、【弁理士】、【氏名又は名称】徳永 博
【識別番号】100107227、【弁理士】、【氏名又は名称】藤谷 史朗
【識別番号】100124280、【弁理士】、【氏名又は名称】大山 健次郎
【識別番号】100119530、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 和幸
審査官 【審査官】國島 明弘
参考文献・文献 国際公開第02/033738(WO,A1)
特開平02-211622(JP,A)
特開平07-283217(JP,A)
特開平08-102556(JP,A)
特開平03-248562(JP,A)
特許第3876307(JP,B2)
特許第3733424(JP,B2)
特開2001-358333(JP,A)
特開2004-253607(JP,A)
特許第3878997(JP,B2)
特許第3700004(JP,B2)
調査した分野 H01L 21/28
C23C 14/06
C23C 16/26
特許請求の範囲 【請求項1】
所定のシリコン基を準備する工程と、
前記シリコン基上に、所定の不純物および炭素を含有するシリコン下地膜を形成する工程と、前記シリコン下地膜上にニッケル膜を形成して、多層膜中間構造体を作製する工程と、
前記多層膜中間構造体に対して熱処理を施し、ニッケルシリサイド膜を形成する工程と、
を具え、前記不純物を前記シリコン下地膜と前記ニッケルシリサイド膜との界面に偏在させることを特徴とする、ニッケルシリサイド膜の作製方法。
【請求項2】
前記不純物は少なくとも前記シリコン下地膜の表層部分に含有させることを特徴とする、請求項1に記載のニッケルシリサイド膜の作製方法。
【請求項3】
前記不純物は前記シリコン下地膜の、厚さ方向において均一に含有させることを特徴とする、請求項に記載のニッケルシリサイド膜の作製方法。
【請求項4】
前記炭素は、前記シリコン基中において0.001原子%から10原子%の割合で含有させることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一に記載のニッケルシリサイド膜の作製方法。
【請求項5】
前記シリコン下地膜は前記不純物および炭素に加えてさらにゲルマニウムを含有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一に記載のニッケルシリサイド膜の作製方法。
【請求項6】
前記ゲルマニウムの含有量が1原子%から50原子%であることを特徴とする、請求項5に記載のニッケルシリサイド膜の作製方法。
【請求項7】
前記ニッケルシリサイド膜はNiSi相及びNiSi相の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一に記載のニッケルシリサイド膜の作製方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイス工学などにおける金属/半導体接合を実現するニッケルシリサイド膜の作製方法に関し、さらには前記接合構造を有する多層膜構造体、並びにこの多層膜構造体を実現するための多層膜中間構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
大規模集積回路技術の実現のためには、金属/半導体界面の接触抵抗を低減させることが不可欠である。近年、ニッケルシリサイド膜は、その低抵抗、並びに平坦な界面及び平面を有することから上述した積層構造における金属電極層として注目を浴びている。前記ニッケルシリサイド膜は、例えばp型シリコン基板上にニッケル膜を蒸着などによって形成した後、前記p型シリコン基板及び前記ニッケル膜を含む積層体を所定温度に加熱することにより、前記シリコン基板中のシリコン元素と前記ニッケル膜中のニッケル元素とを相互に拡散させることによって形成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにしてニッケルシリサイド膜を形成する場合、前記p型シリコン基板中のBなどのIII族不純物は、前記ニッケルシリサイド膜中、あるいは前記p型シリコン基板中に再分布してしまう。この結果、前記ニッケルシリサイド膜と前記p型シリコン基板との接合領域である界面近傍には前記不純物がほとんど存在しなくなり、これらの接触抵抗が増大してしまうと言う問題があった。この結果、最終的に得た半導体素子の特性は前記ニッケルシリサイド膜と前記p型シリコン基板との間の大きな接触抵抗に依存して極めて低い素子効率しか示さなくなる。
【0004】
本発明は、金属/半導体界面の接触抵抗を低減させ、このような積層構造を有する半導体素子の効率劣化を抑制することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および作用】
上記目的を達成するため、本発明は、
所定のシリコン基を準備する工程と、
前記シリコン基上に、所定の不純物および炭素を含有するシリコン下地膜を形成する工程と、前記シリコン下地膜上にニッケル膜を形成して、多層膜中間構造体を作製する工程と、
前記多層膜中間構造体に対して熱処理を施し、ニッケルシリサイド膜を形成する工程と、
を具え、前記不純物を前記シリコン下地膜と前記ニッケルシリサイド膜との界面に偏在させることを特徴とする、ニッケルシリサイド膜の作製方法に関する。
【0006】
また、本発明は、
所定の不純物を含むシリコン基材と、
前記シリコン基材上に形成されたニッケル含有膜と、
少なくとも前記シリコン基材と前記ニッケル含有膜との間に介在させた炭素と、
を具えることを特徴とする、多層膜中間構造体に関する。
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を実施した。その結果、所定の不純物を含むシリコン基材上にニッケル含有膜を形成して積層体を作製し、さらに前記積層体の、前記シリコン基材と前記ニッケル含有膜との間に炭素を介在させて多層膜中間構造体を作製し、この多層膜中間構造体に対して熱処理を施すことにより、前記シリコン基材を構成するシリコン元素と前記ニッケル含有膜を構成するニッケル元素とが相互に拡散し、ニッケルシリサイド膜を形成するとともに、前記シリコン基材中に含まれる前記不純物が、前記シリコン基材と得られた前記ニッケルシリサイド膜との接合領域、すなわち界面に偏在することを見出した。
【0008】
この結果、前記シリコン基材と前記ニッケルシリサイド膜との接触抵抗を十分に低減することができ、実用に足る十分小さい接触抵抗の金属/半導体接合を実現できることを見出した。したがって、前記シリコン基材及び前記ニッケルシリサイド膜を含む多層膜積層構造から半導体素子を構成することにより、前記金属/半導体接合の十分に小さい接触抵抗に起因して、その効率を十分に向上させることができる。
【0009】
なお、本発明においては、前記炭素は、少なくとも前記シリコン基材と前記ニッケル含有膜との間に存在していれば良く、具体的な存在形態については特に限定されない。例えば、前記シリコン基材の、前記ニッケル含有膜側に含有させることもできるし、前記シリコン基材の厚さ方向にほぼ均一となるように含有させることもできる。また、前記シリコン基材と前記ニッケル含有膜との間において膜状に存在させることもできる。但し、前記シリコン基材中の不純物を前記シリコン基材と前記ニッケルシリサイド膜との界面に効率良く偏在させるためには、前記炭素は前記シリコン基材中に含有させることが好ましい。
【0010】
また、前記シリコン基材は所定のシリコン膜から構成することもできるし、所定のシリコン基板から直接に形成することもできる。前者の場合、前記シリコン膜を支持するための基板が必要となり、例えばシリコン基板などの基板上に、公知の成膜手法を用いて形成する。
【0011】
前記シリコン基材はゲルマニウムを含むことが好ましい。これによって、ゲルマニウムを含むNi(Si1-αGeα)なる組成のニッケルシリサイド膜を形成することができ、前記ニッケルシリサイド膜の熱的安定性をさらに向上させることができる。なお、前記シリコン基材がゲルマニウムを含まない場合のおいては、前記ニッケルシリサイド膜は特定の熱処理条件下で安定なNiSi相を形成する。
【0012】
なお、上記作製方法及び上記多層膜中間構造体を経れば、本発明の多層膜構造体を得ることができる。本発明の多層膜構造体は、前記シリコン基材と前記ニッケルシリサイド膜とで構成された金属/半導体接合を有しており、両者の界面に偏在する不純物によって、その接触抵抗が低減されている。
本発明の詳細及びその他の特徴については以下に説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本発明のニッケルシリサイド膜の作製方法を説明するための図である。図1に示すように、例えばシリコンからなる基板11を準備し、このシリコン基板11上に、所定の成膜手法により炭素含有シリコン下地膜12を形成する。次いで、シリコン下地膜12に対しイオン注入法などを用いて所定の不純物(B、P、As、Sb、Ga、Alなど)を含有させる。このとき、前記不純物は、シリコン下地膜12の表層部分に局在するようになる。
【0014】
なお、前記不純物の含有は、シリコン下地膜12の形成中に行うこともできる。この場合は、イオン注入の注入条件を適宜に調節することにより、前記不純物をシリコン下地膜12の表層部分に局在するように含有させることもできるし、厚さ方向に亘ってほぼ均一となるように含有させることもできる。また、シリコン下地膜12をCVD法などを用いて形成する場合は、イオン注入法の代わりに前記不純物元素を含む不純物ガスを用いて含有させることもできる。この場合も、前記不純物ガスの導入時機を調節することにより、シリコン下地層12の表層部分に局在するようにして含有させることもできるし、厚さ方向に亘ってほぼ均一となるように含有させることもできる。
【0015】
次いで、シリコン下地膜12上にニッケル膜13を公知の成膜手法を用いて形成し、多層膜中間構造体10を得る。
【0016】
次いで、多層膜中間構造体10に対して熱処理を施し、シリコン下地膜12を構成するシリコン元素とニッケル膜13を構成するニッケル元素とを相互に拡散させ、図2に示すようなニッケルシリサイド膜15を形成する。前記熱処理は、真空雰囲気中や窒素雰囲気中などの不活性な非酸化性雰囲気中で、例えば350℃~850℃に加熱して行う。なお、熱処理時間は、数秒~数十分程度である。
【0017】
このとき、シリコン下地膜12及びニッケルシリサイド膜15の界面16を含む近傍の、シリコン下地膜12の表層部分12Aには、シリコン下地膜12中に炭素を含有させたことによって前記不純物が偏在するようになる。したがって、シリコン下地膜12とニッケルシリサイド膜15との接触抵抗は、前記不純物が界面16近傍に高濃度に存在することにより、低減される。結果として、シリコン下地膜12とニッケルシリサイド膜15とから構成される金属/半導体接合の接触抵抗は十分に低減することができる。
【0018】
したがって、図2に示すような上記金属/半導体接合を有する多層膜積層構造体20から半導体素子を構成した場合において、前記金属/半導体接合の低接触抵抗に基づいてその効率を十分に向上させることができる。
【0019】
ニッケル膜13はシリコン下地膜12と完全に反応してニッケルシリサイド膜15を構成する必要があるが、シリコン下地膜12は、その総てがニッケル膜13と反応する必要はなく、図2に示すように、その下部領域が残存しても良い。また、ニッケル膜13及びシリコン下地膜12の厚さを適宜に調節して、ニッケル膜13及びシリコン下地膜12が完全に反応し、ニッケルシリサイド膜15作製後において、完全に消失するようにすることもできる。
【0020】
なお、ニッケルシリサイド膜15の厚さは特に限定されるものではないが、このニッケルシリサイド膜15を半導体素子の電極層などとして用いる場合、その厚さは5nm~100nmであることが好ましい。
【0021】
シリコン下地膜12中に含有させる炭素の量は特に限定されるものではないが、0.001原子%から10原子%が好ましく、さらには0.1原子%~4原子%であることが好ましい。これによって、ニッケルシリサイド膜15の形成と不純物の界面16近傍での局在とをバランスさせて、より低い接触抵抗の金属/半導体接合を実現することができるようになる。
【0022】
また、シリコン下地膜12にはゲルマニウムを含有させることもできる。これによって、上述した熱処理を経て得たニッケルシリサイド膜15中に、例えばNiSi-NiSi相を生成することができ、ニッケルシリサイド膜15の熱的安定性を向上させることができる。ゲルマニウムはシリコン下地膜12中に1原子%~50原子%の割合で含有させることが好ましい。これによって、ニッケルシリサイド膜15及びニッケルシリコン下地膜12から構成される金属/半導体接合の低接触抵抗と、ニッケルシリサイド膜15の熱的安定性とをバランスさせることができる。
【0023】
また、上記作製方法によれば、シリコン下地膜12中にゲルマニウムを含有させない場合においても、ニッケルシリサイド膜15中には安定なNiSi相を生成させることができる。
【0024】
なお、ニッケル膜13は目的に応じてニッケル以外の金属、例えばAu、Ti及びCo、Pt、Pdで置き換えることもできる。
【0025】
図1及び図2においては、シリコン基板11を準備し、このシリコン基板11上に炭素及び不純物を含むシリコン下地膜12を形成しているが、このようなシリコン下地膜12を設けることなく、シリコン基板11内に直接炭素及び不純物を含有させることもできる。この場合においては、所定の不純物がドープされたp型あるいはn型シリコン基板を準備し、このシリコン基板に対してイオン注入法などを施すことにより、前記シリコン基板の少なくとも表層部分に炭素を含有させる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。
(実施例)
最初に、(001)シリコン基板を準備し、このシリコン基板を500℃に加熱するとともに、CVD法を用いることによって、前記シリコン基板上に炭素含有シリコン下地膜を厚さ約400nmに形成した。同時に不純物ガスを導入することによって、前記シリコン下地膜中に不純物としてのBをドープした。なお、前記炭素の濃度は2×1020cm-3であり、前記B不純物の濃度は7×1020cm-3であった。
【0027】
次いで、前記シリコン下地膜上にニッケル膜を電子銃蒸着法を用いることによって厚さ20nmに形成し、多層膜中間構造体を作製した。次いで、前記多層膜中間構造体を窒素雰囲気中において、750℃で30秒間熱処理を実施した。
【0028】
このようにして得た多層膜積層構造に対して、二次イオン質量分析法を施し、厚さ方向における組成分析を実施した。結果を図3に示す。
【0029】
(比較例)
シリコン下地膜中に炭素を含有させず、熱処理温度を850℃にした以外は、上記実施例と同様にして多層膜構造体を作製した。前記多層膜構造体に二次イオン質量分析法を施し、厚さ方向における組成分析を実施した。結果を図4に示す。
【0030】
図3及び図4から明らかなように、本発明に従って、シリコン下地膜中に炭素を含有させた場合においては、ニッケルシリサイド膜及びシリコン下地膜の界面近傍の、前記シリコン下地膜の表層部分においては、含有させたB不純物濃度(7×1020cm-3)を超えて前記B不純物が存在し、前記界面近傍に前記B不純物が偏在していることが分かる。一方、シリコン下地膜中に炭素を含有させなかった場合においては、ニッケルシリサイド膜及びシリコン下地膜の界面近傍の、前記シリコン下地膜の表層部分においては、B不純物の局在は生じることなく、むしろ、界面から表面に向けてB不純物濃度が単調に減少していくことが分かる。
【0031】
したがって、本発明に従って得た上記実施例中の多層膜構造体においては、前記ニッケルシリサイド膜及び前記シリコン下地膜から構成された低接触抵抗の金属/半導体接合が実現されていることが分かる。
【0032】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のニッケルシリサイド膜の作製方法及び多層膜中間構造体によれば、接触抵抗を低減させた金属/半導体接合を有する多層膜構造体を得ることができる。したがって、この多層膜構造体から半導体素子を構成した場合において、前記素子の効率を十分に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のニッケルシリサイド膜の作製方法を説明するための図である。
【図2】 同じく、本発明のニッケルシリサイド膜の作製方法を説明するための図である。
【図3】 本発明の多層膜構造体の、二次イオン質量分析法による厚さ方向の組成分析プロファイルである。
【図4】 炭素含有シリコン下地膜を用いることなく作製した多層膜構造体の、二次イオン質量分析法による厚さ方向の組成分析プロファイルである。
【符号の説明】
10 多層膜中間構造体
11 シリコン基板
12 シリコン下地膜
13 ニッケル膜
15 ニッケルシリサイド膜
16 ニッケルシリサイド膜とシリコン下地膜との界面
20 多層膜構造体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3