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明細書 :水素製造用触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4465478号 (P4465478)
公開番号 特開2006-281205 (P2006-281205A)
登録日 平成22年3月5日(2010.3.5)
発行日 平成22年5月19日(2010.5.19)
公開日 平成18年10月19日(2006.10.19)
発明の名称または考案の名称 水素製造用触媒
国際特許分類 B01J  27/185       (2006.01)
C01B   3/40        (2006.01)
C01B  25/45        (2006.01)
FI B01J 27/185 M
C01B 3/40
C01B 25/45 Z
請求項の数または発明の数 1
全頁数 13
出願番号 特願2006-066530 (P2006-066530)
出願日 平成18年3月10日(2006.3.10)
優先権出願番号 2005069915
優先日 平成17年3月11日(2005.3.11)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年9月29日(2006.9.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
発明者または考案者 【氏名】永岡 勝俊
【氏名】瀧田 祐作
【氏名】永楽 俊和
【氏名】西口 宏泰
審査官 【審査官】廣野 知子
参考文献・文献 特開平09-132406(JP,A)
特開2002-121007(JP,A)
特開2002-220202(JP,A)
特開平09-010586(JP,A)
特開平06-234696(JP,A)
特開平08-104656(JP,A)
永楽俊和 他,メタンオートサーマル改質反応用リン酸塩担持Ni触媒の開発,第95回触媒討論会討論会A予稿集,2005年 3月30日,p.57
永楽俊和 他,メタンオートサーマル改質反応用リン酸塩担持Ni触媒の開発(2),第96回触媒討論会討論会A予稿集,2005年 9月20日,p.305
調査した分野 B01J 21/00-38/74
C01B 3/00-3/58
25/00-25/46
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
焼成した希土類リン酸塩を担体としこれに、貴金属であるRu、Rh、Pd、Ir、Pt、あるいは非貴金属であるNi、Coの少なくとも1種類または混合物を担持してなる水素製造用触媒。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池等で使用する水素の製造用触媒の関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー問題、環境問題を解決するために、クリーンで高効率な燃料電池システムの早期実用化が望まれている。
低温作動型の固体高分子型の燃料電池を想定した場合、燃料は水素である。そのため、必要に応じて脱硫操作を行った後に、メタン、天然ガスや他の炭化水素(プロパンガス、液化石油ガス、ガソリン、ディーゼル、石油、灯油など)を触媒上で改質し、水素を含む生成ガスに転換する必要がある。燃料電池の効率を上げるためには、この改質による水素製造過程がキーステップであり、高活性、高耐久性を示す水素製造用触媒の開発が求められている。
これに対して中高温で作動する固体酸化物型燃料電池や溶融炭酸塩型燃料電池では炭化水素がそのまま利用できるという特徴がある。しかしながら、この場合にも炭化水素の分解により炭素析出が起こりやすい、炭化水素を用いるよりもH2を用いたほうが発電しやすいなどの理由により、やはり炭化水素を改質するための触媒が必要であることが多い。
炭化水素の改質による水素の製造方法としては部分酸化反応、スチーム改質反応、炭酸ガス改質反応、オートサーマル改質反応がある。
上記製造法のうち、オートサーマル改質は発熱反応である部分酸化反応(もしくは完全燃焼)と吸熱反応であるスチーム改質反応、炭酸ガス改質反応を組み合わせたもので、例えば反応器の触媒層前半で完全燃焼が行われ、そこで生じた熱が反応器の触媒層後半に伝わり、吸熱反応であるスチーム改質や炭酸ガス改質を促進する。そのためエネルギー効率の点においてオートサーマル改質は優れており、吸熱反応のみのスチーム改質と比較して反応速度も非常に速い。また、部分酸化反応のみの場合には完全燃焼によりホットスポットが生成し爆発の危険性があるのに対し、オートサーマル改質ではスチームの存在により爆発の危険性を低減できる。
このような背景により、炭化水素のオートサーマル改質による水素製造用触媒の開発が行われている。

【特許文献1】特開2002-121007号公報
【非特許文献1】D。L。 Hoang、 S。H。 Chan著「Modeling of a catalytic autothermal methane reformer for fuel cell applications、 Appl。 Catal。 A、 268(2004)207-216。」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明は水素製造用触媒として、貴金属であるRu、Rh、Pd、Ir、Pt、あるいは非貴金属であるNi、Coの少なくとも1種類または混合物を活性金属とし、これまでメタン改質触媒の担体として数例しか報告のないリン酸塩を担体とし、メタンオートサーマル改質による水素製造反応(CH4/O2/Ar/H2O=2/1/4/2)を行い、リン酸塩担体の種類を最適化しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はリン酸塩を担体とした貴金属であるRu、Rh、Pd、Ir、Pt、あるいは非貴金属であるNi、Coの少なくとも1種類または混合物を活性金属とした触媒によるメタンオートサーマル改質反応は、表1、 2に示す如く焼成した希土類リン酸塩担体が他に比し高く安定した活性を示すことを解明したものである。
即ち本発明の特徴とするところは、希土類リン酸塩を焼成したものを担体とし、活性金属として貴金属であるRu、Rh、Pd、Ir、Pt、あるいは非貴金属であるNi、Coの少なくとも1種類または混合物を含むことを特徴とする水素製造用触媒にある。
【発明の効果】
【0005】
即ち、本発明の水素製造用触媒は、貴金属であるRu、Rh、Pd、Ir、Pt、あるいは非貴金属であるNi、Coの少なくとも1種類または混合物を活性金属とし、これまでメタン改質触媒の担体として数例しか報告のないリン酸塩を担体とし、メタンオートサーマル改質による水素製造反応(CH4/O2/Ar/H2O=2/1/4/2)を行い、リン酸塩担体の種類を最適化したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明において希土類リン酸塩を担体とした活性金属として貴金属であるRu、 Rh、Pd、Ir、Pt、あるいは非貴金属であるNi、Coの少なくとも1種類または混合物を含む触媒としては、希土類、好ましくはY、 La、 Ce、 Pr、 Nd、 Sm、 Gd、 Tb、 Dy、 Er、 Yb、より好ましくはY、 La、 Ce、 Prのうち1種類もしくは2種類以上(複合種)を含むリン酸塩、を焼成し触媒担体として、貴金属であるRu、 Rh、Pd、Ir、Pt、あるいは非貴金属であるNi、Coの少なくとも1種類または混合物を活性金属として担持した触媒をいう。さらに希土類としては特にYを用いると担体の比表面積が非常に大きくなり好ましい。そのためYと他の希土類を組み合わせた複合種も好ましい。リン酸塩としては [特許公開平8-104656]に示されているように、オルトリン酸塩類をさしリン酸一水素塩やリン酸二水素塩、縮合リン酸塩も含まれ、ピロリン酸塩(酸性オルトリン酸塩の脱水縮合による)、トリポリリン酸塩、テトラポリリン酸塩、鎖状高分子リン酸塩(ハイポリリン酸塩)、トリメタリン酸塩、テトラメタリン酸塩などの環状リン酸塩も含まれ、通常法により調製のしやすい、オルトリン酸塩が好ましい。活性金属については貴金属であるRu、 Rh、Pd、Ir、Pt を用いると、触媒は非常に高価になるが、改質ガス中の酸化性ガス(H2O、CO2、O2)に対する耐性に非常に優れるという利点がある。また非貴金属であるNiやCoでは触媒が非常に安価であるという利点がある。そのため貴金属(Ru、Rh、Pd、Ir、Pt)と非貴金属(NiやCo)の両方を含む触媒はこれら両方の利点を持つ。
本発明において、担体として用いた希土類リン酸塩焼成温度とは、600~1200℃、好ましくは800~1050℃である。これにより、水素雰囲気下、反応ガス雰囲気下でのリン酸塩担体の化学的安定性が増し、耐久性のある触媒とすることができる。
本発明の触媒は炭化水素を改質し、水素を含む生成ガスを製造する触媒である。ここで、炭化水素とは天然ガスや天然ガスの主成分であるメタン、プロパンガス(プロパン、ブタンなどを含む)、液化石油ガス、ガソリン、ディーゼル、石油、灯油、ナフサなどであるが、特に天然ガスやメタンが好ましい。また改質反応は、炭化水素と水蒸気、 空気、酸素、または二酸化炭素、またはこれらを組み合わせたものとの反応であるが、特に反応速度、安全性を考慮するとオートサーマル改質とよばれる炭化水素と、空気またはO2、およびスチームの混合物との反応が好ましい。さらに酸素源として空気中のO2を用いると、純O2を得る際に必要なN2とO2の分離プロセスを省くことができ、そのコストを削減できるため好ましい。
【0007】
本発明の触媒は下記の手順で調製することができる。
(1)、 担体として用いる希土類リン酸塩の調製法には特に制限がないが、好ましくは一般的な沈殿法がよい。例えば希土類硝酸塩とリン酸の混合水溶液に、アンモニア水を滴下して中和沈殿させ、必要に応じて熟成放置する。その後、十分に水洗し、ろ過、乾燥により得られる。用いる希土類に限定はないが、好ましくはY、 La、 Ce、 Pr、 Nd、 Sm、 Gd、 Tb、 Dy、 Er、 Ybであり、より好ましくはY、 La、 Ce、 Prである。希土類は少なくとも1類であり、2種類以上の複合種を用いてもよい。さらに希土類としては特にYを用いると担体の比表面積が非常に大きくなり好ましい。そのためYと他の希土類を組み合わせた複合種も好ましい。複合種の場合にはそれぞれの塩の水溶液を調製し、リン酸と混合する。
(2)、 得られた希土類リン酸塩を焼成する。この操作によりリン酸塩結晶が安定化し、水素による反応前処理や、炭化水素改質を受けても希土類リン酸塩が破壊されにくくなる(化学的安定性の向上)と推察している。結果としてこの焼成により、活性の安定した触媒を得ることができる。焼成雰囲気は、空気、O2、He等の流通下(Ar等不活性ガスで希釈されていてもよい)、または流通ガス無しの大気雰囲気下が好ましい。また焼成温度は、600℃~1200℃であり、好ましくは800℃~1050℃である。
(3)、上記(2)で得られた焼成済希土類リン酸塩に貴金属であるRu、Rh、Pd、Ir、Pt、あるいは非貴金属であるNi、Coの少なくとも1種類または混合物を活性金属として担持させるために、いかなる前駆体を用いてもよい。それぞれの活性金属の担持量((それぞれの活性金属)/(その触媒に含まれる全ての活性金属酸化物+希土類リン酸塩)については貴金属では非常に高価であるため0.01~7重量%、好ましくは0.015~5、より好ましくは0.02~3重量%であり、非貴金属については安価なため0.5~50重量%、好ましくは1~40重量%、より好ましくは10~35重量%である。
これらの前駆体にはいかなるものを用いてもよいが、例えばRu(NO)(NO3)x(OH)y、Rh(NO3)3 2H2O、Pd(NO3)2、C15H21IrO6、Pt(C5H7O2)2、Ni(NO3)26H2O、Co(NO3)26H2Oを用いてよい。このような活性金属を担持させる方法として、含浸法など、より具体的には蒸発乾固法、incipient wetness法等により、活性金属前駆体を溶媒中に溶解させ、希土類リン酸塩に担持させる。また、例えばNi(NO3)26H2O水溶液にリン酸を加えることによりNiリン酸塩水溶液を調製し、これを担持してもよい。活性金属の混合物を担持させる際に担持の順番に特に制限がないが、例えばNiとCoの混合物では、これらを同時に担持すると、NiとCoが原子レベルでよく混合した触媒を調製できるため好ましい。
さらに(1)で、希土類リン酸塩を沈殿法により調製する際に活性金属前駆体を加えておき、担体と共に沈殿させてもよい。この場合にはこれら活性金属が担体の内部にも分散するため、最終的に活性金属微粒子を生成できる利点があるが、活性金属の一部が担体内部に残ってしまう。
(4)、活性金属前駆体に含まれる陰イオンや配位子を焼成により除去する。具体的には、空気、O2、He等の流通下(Ar等不活性ガスで希釈されていてもよい)、または流通ガス無しの大気雰囲気下で、陰イオンや配位子が除去できる温度まで加熱(重量分析法等で確認)し、その温度でそれらを完全に除去し終わるまで保持する。例えば、この温度は後述の実施例のNi硝酸塩では400℃以上であった。なお、これらの処理を行わず、次の活性化過程において、これら陰イオン、配位子を除去してもよい。このようにして得た触媒を必要に応じて成型することが好ましい。乾燥して得られた触媒を粉砕するか、または錠剤成型器を用いてタブレットにしてもよい。
また、(1)~(4)の各段階で得られた固体を蒸留水中に分散させ、そこに多孔質成形体を含浸するなどして、多孔質成形体に担持して用いてもよい。
(5)、 次に、以上のようにして得た触媒を活性化する。(改質ガス中の炭化水素により活性金属が還元される触媒では若干活性は下がるもののこの工程を省略することができる。)この工程では触媒中の活性金属種を還元し、金属状態にする。そのため触媒にH2処理(純H2もしくは不活性ガスで希釈されたH2)を施し金属状態にする。この際、必要な処理温度は前もって熱重量分析法などによって知ることができる。600~1100℃が好ましく、700~1000℃がより好ましい。
(6)、 水素製造反応において、上記触媒を単独で用いても、本特許に含まれる範囲で数種類の触媒を組み合わせて用いてもよい。またこれら触媒をアルミナ等の希釈剤と混合して用いてもよい。反応温度は400~1000℃、より好ましくは十分な炭化水素の転化率の得られる500~950℃であり、反応圧(供給ガスの合計圧)は0.01~3MPaであるが、高圧では炭素の析出が起こり易いため好ましくは0.01~1MPa、さらにより好ましくは0.02~0.35MPaであり不活性ガスを希釈ガスとして用いてもよい。触媒床は固定床、移動床、流動床などから選択できるが、固定床が好ましい。
(7)、改質器を水素ステーションや、家庭用燃料電池システム(固体高分子形燃料電池、固体酸化物形燃料電池など燃料電池の種類は問わない)内などで用いる場合、システムの起動停止に伴い、改質器の起動停止を行う場合がある。この停止~起動時にはスチームや空気流通下で触媒層の温度をいったん100℃以下まで下げることが想定できる。酸化物を担体とした触媒では、この時スチームや空気により活性金属が担体との反応により複合酸化物を形成し不活性化しやすい。そのため起動時に再還元する必要がある。これに対し、発明した触媒は活性金属が単に酸化物に酸化されるため、起動時に炭化水素により還元され、活性な金属状態になり易いと推察している。このように発明した触媒では水素による還元処理が不必要であるという利点がある。
【実施例】
【0008】
<触媒調製例1 (20wt%Ni/(Yリン酸塩)-1)>
沈殿法によりYリン酸塩を調製した。室温において、2リットルビーカーで硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) (和光純薬工業(株))103.5gを蒸留水1リットルに溶解し水溶液Aを調製した。別の1リットルビーカーで85%リン酸水溶液31.4g(和光純薬工業(株))を蒸留水1リットルに希釈した。調製したリン酸塩水溶液の全量を水溶液Aに加え、攪拌しながら10%アンモニア水を滴下し、30分でpH4.5に調整した。次に、この時できた沈殿を室温で16時間放置熟成した。沈殿に対して蒸留水で濾過洗浄を3回行った。得た固形物を乾燥機に入れ、60℃で20時間乾燥した。さらに焼成炉を用い、1000℃の温度で6時間、空気焼成しYリン酸塩 (B)を得た。
0.3リットルビーカーで4.0gのNi(NO3)26H2O(和光純薬工業(株))を蒸留水に溶解し全量を0.15 リットルとした。またYリン酸塩(B)の3.0gを秤り取り、Ni(NO3)26H2O水溶液を含むビーカーに加えた。12時間、この水溶液を室温で攪拌した後に、このビーカーを加熱攪拌し、水分を除去した。その後、オーブン中、60℃で24時間以上乾燥し触媒前駆体Cを得た。
触媒前駆体(C)を磁性の容器に入れ、横型管状炉にセットし、空気流通下で3℃/分の昇温速度で400℃まで加熱し、4時間保持し、室温まで自然冷却した。その後、錠剤成型器を用いて、939 kg/cm2でディスク成型した後に、金属メッシュを用いて0.3~0.6mmのペレット状に粉砕した。
<触媒調製例2 (20wt%Ni/(Yリン酸塩)-2)>
Yリン酸塩の焼成を1000℃、6時間の代わりに800℃、5時間とした以外は触媒調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例3 (20wt%Ni/(Yリン酸塩)-3)>
4.0gのNi(NO3)26H2Oを65℃で加熱することにより液化させ、そこに3.0gの焼成したYリン酸塩を加え、薬さじでこれらを攪拌し、24時間室温で放置した後に、オーブン中、60℃で24時間以上乾燥し触媒前駆体を得た。これら以外は触媒調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例4 (20wt%Ni/(Yリン酸塩)-4)>
Yリン酸塩の焼成を1000℃、6時間の代わりに800℃、5時間とした。4.0gのNi(NO3)26H2Oを65℃で加熱することにより液化させ、そこに3.0gの焼成したYリン酸塩を加え、薬さじでこれらを攪拌し、24時間室温で放置した後に、オーブン中、60℃で24時間以上乾燥し触媒前駆体を得た。これら以外は触媒調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例5 (20wt%Ni/(Laリン酸塩)-1)>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸ランタン(La(NO3)36H2O)(和光純薬工業(株))92.8gを使用し、85%リン酸水溶液24.9gを用いた以外は触媒調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例6 (20wt%Ni/(Laリン酸塩)-2)>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸ランタン(La(NO3)36H2O)(和光純薬工業(株))92.8gを使用し、85%リン酸水溶液24.9gを用いた以外は触媒調製例4と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例7 (20wt%Ni/(Ceリン酸塩)-1)>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸セリウム(Ce(NO3)36H2O)(和光純薬工業(株))221.5gを使用し、85%リン酸水溶液57.7gを用いた以外は触媒調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例8 (20wt%Ni/(Ceリン酸塩)-2)>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸セリウム(Ce(NO3)36H2O)(和光純薬工業(株))221.5gを使用し、85%リン酸水溶液57.7gを用いた以外は触媒調製例4と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例9 (20wt%Ni/(Prリン酸塩)-1)>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸プラセオジム(Pr(NO3)36H2O)(関東化学(株))100.1gを使用し、85%リン酸水溶液26.8gを用いた以外は触媒調製例4と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例10 (20wt%Ni/(Ndリン酸塩)-1)>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸ネオジム(Nd(NO3)36H2O)(和光純薬工業(株))92.1gを使用し、85%リン酸水溶液24.4gを用いた以外は触媒調製例4と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例11 (20wt%Ni/(Dyリン酸塩)-1>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸ジスプロシウム(Dy(NO3)35H2O)(和光純薬工業(株))34.4gを使用し、85%リン酸水溶液8.96gを用いた以外は触媒調製例2と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例12 (20wt%Ni/(Erリン酸塩)-1>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸エルビウム(Er(NO3)35H2O)(和光純薬工業(株))34.14gを使用し、85%リン酸水溶液8.79gを用いた以外は触媒調製例2と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例13 (20wt%Ni/(Smリン酸塩)-1>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸サマリウム(Sm(NO3)36H2O)(和光純薬工業(株))36.6gを使用し、85%リン酸水溶液9.4gを用いた以外は触媒調製例2と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例14 (20wt%Ni/(Gdリン酸塩)-1>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸ガドリニウム(Gd(NO3)35H2O)(和光純薬工業(株))89.82gを使用し、85%リン酸水溶液23.06gを用いた以外は触媒調製例2と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例15 (1wt%Rh/(Ceリン酸塩)-1>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸セリウム(Ce(NO3)36H2O)(和光純薬工業(株))221.5gを使用し、85%リン酸水溶液57.7gを用い、4.0gのNi(NO3)26H2O(和光純薬工業(株))の代わりに0.078gのRhCl33H2O(和光純薬工業(株))を用いた以外は触媒調製例2と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例16 (1wt%Pt/(Ceリン酸塩)-1>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸セリウム(Ce(NO3)36H2O)(和光純薬工業(株))221.5gを使用し、85%リン酸水溶液57.7gを用い、4.0gのNi(NO3)26H2O(和光純薬工業(株))の代わりに0.081gのH2PtCl66H2O(和光純薬工業(株))を用いた以外は触媒調製例2と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例17 (1wt%Ir/(Ceリン酸塩)-1>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸セリウム(Ce(NO3)36H2O)(和光純薬工業(株))221.5gを使用し、85%リン酸水溶液57.7gを用い、4.0gのNi(NO3)26H2O(和光純薬工業(株))の代わりに0.053gのIrCl4(和光純薬工業(株))を用いた以外は触媒調製例2と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製例18 (1wt%Pd/(Ceリン酸塩)-1>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸セリウム(Ce(NO3)36H2O)(和光純薬工業(株))221.5gを使用し、85%リン酸水溶液57.7gを用い、4.0gのNi(NO3)26H2O(和光純薬工業(株))の代わりに0.051gのPdCl2(和光純薬工業(株))を用いた以外は触媒調製例2と同様の手順で触媒を調製した。
【0009】
<触媒調製比較例1 (20wt%Ni/(Caリン酸塩)-1)>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸カルシウム(Ca(NO3)24H2O)(和光純薬工業(株))168.0gを使用し、85%リン酸水溶液57.6gを用いた以外は触媒調製例1と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製比較例2 (20wt%Ni/(Caリン酸塩)-2)>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸カルシウム(Ca(NO3)24H2O)(和光純薬工業(株))168.0gを使用し、85%リン酸水溶液57.6gを用いた以外は触媒調製例4と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製比較例3 (20wt%Ni/(Alリン酸塩)-1)>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりに硝酸アルミニウム(Al(NO3)29H2O)(和光純薬工業(株))62.8gを使用し、85%リン酸水溶液18.9gを用いた以外は触媒調製例4と同様の手順で触媒を調製した。
<触媒調製比較例4 (20wt%Ni/(Zrリン酸塩)-1)>
硝酸イットリウム(Y(NO3)36H2O) の代わりにオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)22H2O)(ナカライテスク(株))37.6gを使用し、85%リン酸水溶液21.2gを用いた以外は触媒調製例4と同様の手順で触媒を調製した。
【0010】
<反応例1>
以下の反応は、常圧固定床流通式反応装置を用いて行った。内径6mmで内側に不活性処理をした金属反応管に触媒調製例1触媒0.05gを充填し、H2(50 ml/分、0.1 MPa)を流通しながら800℃まで昇温(10℃/分)し、その温度で1時間保持することにより活性化処理を行った。次に流通ガスをAr(50 ml/分)に切り替えた。次に、以下の条件で活性測定を行った(反応条件:反応温度800℃、反応圧力0.1MPa、改質ガスCH4/O2/Ar/H2O=2/1/4/2 (モル比)、GHSV=204 l/時間g、全ガス供給速度170 ml/分、触媒量0.05g)。得られた反応生成物をTCD検出器付きガスクロマトグラフ(GC-8A(島津製作所)、カラム充填剤はPPQ及びMS-13X)により分析した。なお、CH4転化率の計算は炭素バランスを用いて行った。計算式は以下の通りである。
【0011】
【数1】
JP0004465478B2_000002t.gif

結果を表1に示す。
<反応例2~18>
触媒調製例2~18触媒を用いて反応例1のように反応を行った。結果を表1に示す。
【0012】
【表1】
JP0004465478B2_000003t.gif
<反応比較例1~4>
触媒調製比較例1~4触媒を用いて反応例1のように反応を行った。結果を表2に示す。
【0013】
【表2】
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<反応例19~20>
活性化処理後にArを流通し、その後、流通ガスをO2/Arの混合ガス(20%O2、全流速100 mL/分)に切り替え800℃で1時間保持し、酸化処理を行った。次に流通ガスを再びAr(50 mL/分)に切り替え60分保持し、その後に活性測定を行った。これら以外は反応例1と同様の手順で反応を行い、触媒調製例8、14触媒を用いて反応を行った。結果を表3に示す。
【0014】
【表3】
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触媒調製比較例1~4触媒は反応初期から低活性、もしくは反応中における著しい活性低下を示し、20時間以内にほぼ完全に失活した。これに対して触媒調製例1~18触媒では反応中に若干の活性低下が観測されたが反応初期、24時間後において高い活性を示した。特にY、 Ce、Pr、Er、Sm、Gdを含むNi触媒は、触媒調製法が適切であると、この様な高い空間速度にも関わらず、24時間反応後にも70%以上のCH4転化率を示し、メタンオートサーマル改質反応用触媒として非常に有望であることが示された。また、全てのCeリン酸塩担持貴金属触媒は高く安定した活性を示した。次に24時間後にも高いCH4転化率を示した20wt%Ni/(Yリン酸塩)-4 (触媒調製例4触媒)、および顕著な活性低下により20時間後に殆ど活性を示さなかった20wt%Ni/(Alリン酸塩)-1 (触媒調製比較例3触媒)において各処理後にXRD(粉末X線回折)パターンを測定した(H2活性化後、および反応後にガスをArに切り替え800℃で十分にパージした後に室温まで冷却した)。図1において、20wt%Ni/(Alリン酸塩)-1ではH2による活性化後に金属NiとともにNi3P相が観測された。このことは担体であるAlリン酸塩の一部が崩壊し、Ni-P結合が生成したことを示唆している。このNi3P相は活性測定後には観測されず、反応後までに大部分の金属NiがNiOへと酸化されていることが分かった。以上の結果からNi/(Alリン酸塩)ではH2活性化処理中および反応中に、リン化Ni相が生成し、これが酸化性ガスによりNiOとなり不活性化したために触媒が失活したと推察している。これに対して、図2において24時間後にも高い活性を示した20wt%Ni/(Yリン酸塩)-4ではいずれの時点でもリン化Ni種は観測されず、活性測定後にもNiは反応に活性な金属Niとしてのみ存在していた。またいずれの状態でもYはYPO4として存在することも示唆された。以上のようにリン酸塩担持Ni触媒ではリン酸塩担体の化学的安定性が活性挙動に大きな影響をおよぼすことが示唆された。希土類リン酸塩は他のリン酸塩(触媒調製比較例1~4触媒)に比して、化学的に安定なため、本発明の触媒が優れた活性挙動を示すものと推察している。
さらに燃料電池システムの停止、再起動を想定し、反応温度で触媒をO2/Arの混合ガスで処理した後に、再活性化処理を行わずに活性測定を行った。表3に示す如く、触媒調製例8 (20wt%Ni/(Ceリン酸塩)-2)、触媒調製例14 (20wt%Ni/(Gdリン酸塩)-1触媒は高く安定した活性を示し、想定した条件でも十分に使用できることが示唆された。図3に示すように、従来の20wt%Ni/Al2O3ではO2/Arの混合ガス処理によりNiOとともに、NiOとAl2O3が反応し難還元性のNiAl2O4が生成したのに対し、発明触媒(20wt%Ni/(Ceリン酸塩)-1(触媒調製例8))では希土類リン酸塩が非常に安定であるために易還元性のNiOが生成した。そのため、発明触媒では再活性化処理を行わなくても、反応ガス中のメタンにより金属Niに還元され、高活性を示したと推察した。

次に調製した触媒上で起こる炭素の析出量を比較した。先ず、反応例1に従って、反応を行った。触媒は触媒調製例4、8、12、14触媒とした。24時間反応後、触媒層にArを0.5時間流通し、その後、室温まで冷却した。次にそれらの触媒を石英製反応管(内径7mm)に充填し、別の常圧固定床流通式反応装置に設置した。そして30 ml/分の5% O2/Arを流通しながら、触媒層を1000℃まで10℃/minで昇温した。このとき、触媒上の含炭素種はCO2やCOとして取り除かれる。これらCO2やCOを市販のNi触媒で、メタン化し、メタンの生成量をFID検出器(GC8APF((株)島津製作所))で定量した。そしてメタンの生成量から、触媒重量あたりの炭素(カーボン)析出量を計算した。表4に、結果を示す。
【0015】
【表4】
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全ての触媒で炭素析出量は極微量であり、発明触媒の優れた炭素析出抑制能が明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の水素製造用触媒は、燃料電池用等の水素を高効率で得るプロセスを確立するものであり、産業上の利用可能性は多大のものがある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】20wt%Ni/(Alリン酸塩)-1 (触媒調製比較例3触媒)のXRDパターンであり、H2活性化前にはAlPO4 とNiOが、H2活性化後にはAlPO4、金属Ni, Ni3P,が、反応後にはAlPO4とNiの大部分はNiOとして一部は金属Niとして存在することを示している。
【図2】20wt%Ni/(Yリン酸塩)-4 (触媒調製例4触媒)のXRDパターンであり、H2活性化前にはYPO4 とNiOが、H2活性化後および反応後にはYPO4、金属Niが存在することを示している。
【図3】20wt%Ni/(Ceリン酸塩)-1(触媒調製例8触媒)と20wt%Ni/Al2O3におけるH2活性化処理後にArを流通し、その後、酸化処理を行った後のXRDパターンである。20wt%Ni/Al2O3ではNiOとともにNiAl2O4が生成した。一方、触媒調製例8触媒ではNiOのみが生成したことを示している。
【符号の説明】
【0018】
図1
● AlPO4
金属Ni
NiO
Ni3P
図2
● YPO4
金属Ni
■ NiO
図3
● CePO4
■ NiAl2O4
▼ Al2O3
□ NiO
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2