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明細書 :レーザスペックルによるナノメートル変位測定方法と装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4843789号 (P4843789)
公開番号 特開2008-045922 (P2008-045922A)
登録日 平成23年10月21日(2011.10.21)
発行日 平成23年12月21日(2011.12.21)
公開日 平成20年2月28日(2008.2.28)
発明の名称または考案の名称 レーザスペックルによるナノメートル変位測定方法と装置
国際特許分類 G01B  11/00        (2006.01)
G01B   9/02        (2006.01)
FI G01B 11/00 G
G01B 9/02
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2006-219881 (P2006-219881)
出願日 平成18年8月11日(2006.8.11)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成18年3月2日 国立大学法人富山大学主催の「平成17年度機械知能システム工学科 機械情報計測講座 卒業論文発表会」において文書をもって発表
審査請求日 平成21年8月4日(2009.8.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
発明者または考案者 【氏名】田代 発造
個別代理人の代理人 【識別番号】100095430、【弁理士】、【氏名又は名称】廣澤 勲
審査官 【審査官】櫻井 仁
参考文献・文献 特表平07-503547(JP,A)
特開昭60-076604(JP,A)
特開2005-221267(JP,A)
特開2007-071663(JP,A)
調査した分野 G01B 11/00~11/30
G01B 9/02
特許請求の範囲 【請求項1】
レーザ光源と、このレーザ光を1点に収束させるレンズと、前記レーザ光源からのレーザ光を分岐するビームスプリッタと、このビームスプリッタで分岐した一方のレーザ光が照射される参照粗面と、前記レーザ光の他方が照射される測定粗面と、前記参照粗面と測定粗面とから反射した各前記レーザ光が前記ビームスプリッタを介して重なりスペックル干渉した光を受光する光センサと、前記参照粗面を変位させる変位装置を備え、前記参照粗面を所定量ずつ変位させ、前記スペックル干渉光の入射による前記光センサの出力の最大値と最小値の間で、ほぼ直線的に出力値が変化する電圧範囲を測定範囲としてこの測定範囲における検出変位の感度を算出し、前記電圧範囲のほぼ中央の出力値を得る位置に前記参照粗面を固定し、前記光センサの出力電圧の変化により前記測定粗面の変位を求めることを特徴とするレーザスペックルによるナノメートル変位測定方法。
【請求項2】
レーザ光源と、このレーザ光を1点に収束させるレンズと、前記レーザ光源からのレーザ光を分岐するビームスプリッタと、このビームスプリッタで分岐した一方のレーザ光が照射される参照粗面と、前記レーザ光の他方が照射される測定粗面と、前記参照粗面と測定粗面とから反射した各前記レーザ光が前記ビームスプリッタを介して重なりスペックル干渉した光を受光する光センサと、前記参照粗面を変位させる変位装置を備え、前記参照粗面を所定量ずつ変位させ、前記スペックル干渉光の入射による前記光センサの出力の最大値と最小値のほぼ中央値を前記光センサの出力電圧の基準値として、前記光センサの出力電圧が前記基準値となるように前記参照粗面を変位させて、その変位量により前記測定粗面の変位を求めることを特徴とするレーザスペックルによるナノメートル変位測定方法。
【請求項3】
レーザ光源と、このレーザ光を1点に収束させるレンズと、前記レーザ光源からのレーザ光を分岐するビームスプリッタと、このビームスプリッタで分岐した一方のレーザ光が照射される参照粗面と、前記レーザ光の他方が照射される測定粗面と、前記参照粗面と測定粗面とから反射した各前記レーザ光が前記ビームスプリッタを介して重なりスペックル干渉した光を受光する光センサと、前記参照粗面を変位させる変位装置を備え、前記変位装置により前記参照粗面を所定量ずつ変位させ、前記スペックル干渉光の入射による前記光センサの出力の最大値と最小値の間で、ほぼ直線的に出力値が変化する電圧範囲を測定範囲として、この測定範囲における検出変位の感度を算出し、前記電圧範囲のほぼ中央の出力値を得る位置に前記参照粗面を固定し、前記光センサの出力電圧の変化により前記測定粗面の変位を求める処理装置を備えたことを特徴とするレーザスペックルによるナノメートル変位測定装置。
【請求項4】
レーザ光源と、このレーザ光を1点に収束させるレンズと、前記レーザ光源からのレーザ光を分岐するビームスプリッタと、このビームスプリッタで分岐した一方のレーザ光が照射される参照粗面と、前記レーザ光の他方が照射される測定粗面と、前記参照粗面と測定粗面とから反射した各前記レーザ光が前記ビームスプリッタを介して重なりスペックル干渉した光を受光する光センサと、前記参照粗面を変位させる変位装置を備え、前記スペックル干渉光の入射による前記光センサの出力の最大値と最小値のほぼ中央値を前記光センサの出力電圧の基準値として、前記光センサの出力電圧が前記基準値となるように前記参照粗面を変位させて、その変位量により前記測定粗面の変位を求める処理装置を備えたことを特徴とするレーザスペックルによるナノメートル変位測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、部材の表面状態が微小な凹凸を持つような粗面物体に対し、レーザ光を用いたスペックル干渉を利用して非接触で測定可能なレーザスペックルによるナノメートル変位測定方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナノメートルオーダーの測定方法においては、例えばSTM(走査型トンネル顕微鏡)等のように、非接触であることが必須である。また、粗面物体の表面形状は数μmの凹凸があり、この変位を直接ナノメートル(nm)の単位で計ることは困難であった。
【0003】
物体が鏡面であればレーザ測長などの技術でナノメートルの測定は可能であり、粗面物体の変位を直接測定せずに、鏡などを貼り付けるなどの方法が用いられている。
【0004】
一方、表面に微小な凹凸を持つ粗面物体の変位や形状の測定方法として、レーザ光の集光性を利用した非接触の計測方法が知られている。例えばレーザ光をプローブとして被測定対象物の表面に照射し、そのレーザ光の焦点位置を一定として、被測定物を載置したステージまたはレーザプローブ自体を相対的に変位させ、反射光の強度が最大になるステージ位置座標を記録して、被測定物の表面の凹凸を測定している。
【0005】
その他、粗面にレーザ光を照射した場合、スペックルという斑点状の模様が見られ、これを利用したスペックル干渉法による変位測定も従来から行われている。この測定法により物体の変位をミクロンメートル(μm)単位で測定することができる。
【0006】
さらに、特許文献1に開示されているように、光源からの光束を複数の光束に分割し、一つの光束を測定粗面に、他方の光束を参照粗面に照射し、スペックル干渉パターンを得、このスペックル干渉パターンのうちの同位相の領域を抽出する窓を有する空間的なフィルタを光路中に配置し、このフィルタにより同位相のスペックル干渉パターンを選択して、必要とする位相情報を取り出すスペックル干渉装置が提案されている。
【0007】
また、特許文献2に開示されているように、コンピュータによる画像処理を行う電子的スペックル干渉法を利用した測定方法も提案されている。特許文献2には、スペックル干渉計によって形成される測定物から反射されたレーザ光と、測定物を経由しないレーザ光とを重ね合わせたスペックル画像を所定の時間間隔で複数形成して記憶装置に記憶させ、記録されたスペックル画像の中の二枚を取り出して、計算機によって画像の差分をとる測定方法が開示されている。これにより、その二枚の画像が記録された時間に測定物が起こした変形が干渉縞模様として見られる。その干渉縞模様は変形分布を等高線として表わしており、一本の干渉縞は用いたレーザ光の波長の半分の長さに相当する。これを次々とくり返して、それぞれの変形を加算することによって、通常のスペックル干渉法では測定できない大きな変形やスピードの速い変形の分布でも、非接触で、連続に、サブミクロン程度の変形まで測定することが可能となるものである。
【0008】
特許文献3には、電子的スペックル干渉法を用いて得られた、動的被観察体の位相情報を担持したスペックルパターン画像に基づき、所定位相範囲に位相ラッピングされた被観察体の位相変化曲線を解析により求め、この後、該位相変化曲線を位相アンラッピングする変位測定方法が開示されている。この測定方法では、所定時間毎に得られた複数のスペックルパターン画像に基づき、画像各点毎の時間領域における強度信号を求め、該強度信号の余弦成分を抽出し、抽出された該余弦成分に、時間領域におけるヒルベルト変換処理を施して前記強度信号の正弦成分を求め、求められた該正弦成分と前記余弦成分の比に基づいて前記画像各点毎の位相変化を求め、被観察体の位相変化曲線を求めて、被観察体の動的な変形、振動、歪み等を高精度に計測している。

【特許文献1】特開平5-196419号公報
【特許文献2】特開平6-94434号公報
【特許文献3】特開2004-109075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、従来の非接触での物体変位の光学的測定装置は、鏡面物体の測定においてはナノメートルオーダーの感度を得ることはできるものの、粗面物体の場合には鏡を貼り付けるなどの間接的な測定であった。
【0010】
また、粗面物体を対象としたレーザスペックル干渉を利用した非接触の光学的測定装置の場合、干渉縞をカウントすることにより計測するものであり、測定精度は光の波長に制限され、この場合は測定精度がサブミクロンメートル程度のものであった。
【0011】
その他、特許文献1に開示された装置は、構成が複雑であり、容易にナノメートルオーダーの測定が可能となるものではない。特許文献2に開示された電子的スペックル干渉法を用いたレーザ光による非接触測定方法においても、干渉縞を利用してものであるためサブミクロン程度の測定精度であり、ナノメートルオーダーでの測定はできないものである。さらに、特許文献3においては、被観察体の位相情報を求めて測定精度を向上させているが、処理における演算が複雑であり処理用のコンピュータも高性能のものが要求される。
【0012】
この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みて成されたもので、簡単な光学系及び装置により、測定精度が高く処理も容易なレーザスペックルによる粗面物体のナノメートル変位測定方法と装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、半導体レーザ等のレーザ光源と、このレーザ光を1点に収束させるレンズと、前記レーザ光源からのレーザ光を分岐するビームスプリッタと、このビームスプリッタで分岐した一方のレーザ光が照射される参照粗面と、前記レーザ光の他方が照射される測定粗面と、前記参照粗面と測定粗面とから反射した各前記レーザ光が前記ビームスプリッタを介して重なりスペックル干渉した光を受光する光センサと、前記参照粗面を変位させる変位装置を備え、前記参照粗面を所定量ずつ変位させ、前記スペックル干渉光の入射による前記光センサの出力の最大値と最小値の間で、ほぼ直線的に出力値が変化する電圧範囲を測定範囲としてこの測定範囲における検出変位の感度を算出し、前記電圧範囲のほぼ中央の出力値を得る位置に前記参照粗面を固定し、前記光センサの出力電圧の変化により前記測定粗面の変位を求めるレーザスペックルによるナノメートル変位測定方法である。
【0014】
またこの発明は、レーザ光源と、このレーザ光を1点に収束させるレンズと、前記レーザ光源からのレーザ光を分岐するビームスプリッタと、このビームスプリッタで分岐した一方のレーザ光が照射される参照粗面と、前記レーザ光の他方が照射される測定粗面と、前記参照粗面と測定粗面とから反射した各前記レーザ光が前記ビームスプリッタを介して重なりスペックル干渉した光を受光する光センサと、前記参照粗面を変位させる変位装置を備え、前記参照粗面を所定量ずつ変位させ、前記スペックル干渉光の入射による前記光センサの出力の最大値と最小値のほぼ中央値を前記光センサの出力電圧の基準値として、前記光センサの出力電圧が前記基準値となるように前記参照粗面を変位させて、その変位量により前記測定粗面の変位を求めるレーザスペックルによるナノメートル変位測定方法である。
【0015】
またこの発明は、レーザ光源と、このレーザ光を1点に収束させるレンズと、前記レーザ光源からのレーザ光を分岐するビームスプリッタと、このビームスプリッタで分岐した一方のレーザ光が照射される参照粗面と、前記レーザ光の他方が照射される測定粗面と、前記参照粗面と測定粗面とから反射した各前記レーザ光が前記ビームスプリッタを介して重なりスペックル干渉した光を受光する光センサと、前記参照粗面を変位させる変位装置を備え、前記変位装置により前記参照粗面を所定量ずつ変位させ、前記スペックル干渉光の入射による前記光センサの出力の最大値と最小値の間で、ほぼ直線的に出力値が変化する電圧範囲を測定範囲として、この測定範囲における検出変位の感度を算出し、前記電圧範囲のほぼ中央の出力値を得る位置に前記参照粗面を固定し、前記光センサの出力電圧の変化により前記測定粗面の変位を求めるコンピュータ等の処理装置を備えたレーザスペックルによるナノメートル変位測定装置である。
【0016】
またこの発明は、レーザ光源と、このレーザ光を1点に収束させるレンズと、前記レーザ光源からのレーザ光を分岐するビームスプリッタと、このビームスプリッタで分岐した一方のレーザ光が照射される参照粗面と、前記レーザ光の他方が照射される測定粗面と、前記参照粗面と測定粗面とから反射した各前記レーザ光が前記ビームスプリッタを介して重なりスペックル干渉した光を受光する光センサと、前記参照粗面を変位させる変位装置を備え、前記スペックル干渉光の入射による前記光センサの出力の最大値と最小値のほぼ中央値を前記光センサの出力電圧の基準値として、前記光センサの出力電圧が前記基準値となるように前記参照粗面を変位させて、その変位量により前記測定粗面の変位を求める処理装置を備えたレーザスペックルによるナノメートル変位測定装置である。
【発明の効果】
【0017】
この発明のレーザスペックルによるナノメートル変位測定方法と装置は、レーザ光のスペックル干渉による干渉縞間の光強度の変化を利用して、光センサの出力変化により変位測定を行っているので、測定感度がレーザ光の波長以下となり、容易にナノメートルオーダーの測定を行うことができるものである。また、光センサの出力を変位に換算するだけであり、コンピュータ等による処理が容易であり、簡単な装置で高速にリアルタイムの計測が可能となる。
【0018】
また、測定粗面の変位にあわせて参照粗面を変位させる場合、測定感度は変位装置の分解能に依存し、測定範囲は変位装置の移動範囲となり、測定範囲が広くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1~図4は、この発明のレーザスペックルによるナノメートル変位測定装置の第一実施形態を示すもので、この実施形態の変位測定装置10は、レーザ光源であるレーザダイオード等の半導体レーザ12と、この半導体レーザ12からの光を集光する1点に収束させる収束レンズ14を備えている。半導体レーザ12は、例えば波長635nmの汎用品を用いることができる。さらに、測定対象側にレーザ光を分岐するビームスプリッタ16を備え、ビームスプリッタ16と対面して配置された表面が粗面の参照粗面18が設けられている。
【0020】
ビームスプリッタ16の一方の側面に対応する位置には、表面が粗面の被測定対象物である測定粗面20が位置し、ビームスプリッタ16の反対側の面に対向してフォトダイオード等の光センサ22が配置されている。
【0021】
この実施形態では参照粗面18には、例えばPZTを用いた圧電素子からなる変位装置24に取り付けられ、ナノメートルオーダーで微小変位が可能となっている。変位装置24は、制御及び処理用のコンピュータ26の制御出力にD/A変換回路28を介して接続されている。
【0022】
光センサ22は、受光処理回路30に接続され、受光処理回路30の出力はコンピユータ26に入力している。また、半導体レーザ12には、レーザ駆動回路32を介して発振器34が接続され、所望の周波数、例えば1kHzで発振駆動される。受光処理回路30は、図2に示すように、光センサ22の出力が交流反転増幅回路36を経て周波数フィルタ回路38に繋がれ、全波整流回路40、平滑化回路42に繋がれている。平滑化回路42の出力は、A/D変換回路44によりA/D変換されて、コンピュータ26にデジタルデータとして入力している。
【0023】
この実施形態の変位測定装置10は、半導体レーザ12から出射したレーザ光が収束レンズ14により収束され、ビームスプリッタ16を透過して一部は参照粗面18に集光する。またビームスプリッタ16の反射面で直角方向に反射したレーザ光は、測定粗面20に集光する。そして、参照粗面18で反射したレーザ光はビームスプリッタ16の反射面で一部が直角に反射され光センサ22に入射する。また測定粗面20で反射したレーザ光は、一部がビームスプリッタ16を透過して、光センサ22に入射し、参照粗面18からの反射光と干渉して、スペックル干渉である斑点状の干渉縞を形成する。
【0024】
次に、この発明の第一実施形態の変位測定装置10の測定処理方法について、図3を基にして説明する。まず、半導体レーザ12のレーザ光を参照粗面18及び測定粗面20に照射する。その際、測定面の反射率により、光センサ22での光強度が異なるので、キャリブレーションが必要となる。そのために参照粗面18に対して、コンピュータ26により変位装置24の圧電素子を駆動し、50nm程度大きく変位させる(s1)。このとき変位装置24による参照粗面18の移動距離は、圧電素子の変位量が正確に分かることからnmオーダーで既知である。そして、この時の光センサ22から出力をA/D変換し(s2)、コンピュータ26に入力し、コンピュータ26において、最大出力電圧と最小出力電圧を記憶する(s3)。これを順次繰り返して、1000nm程度参照粗面18を移動させ(s4)、その中で、図4に示すように、光センサ22の出力電圧変化がほぼ直線的な測定範囲aの中央値を求める(s5)。そして、直線的な測定範囲aで、上記既知の変位量と出力電圧の比を求めて感度を計算する(s6)。
【0025】
さらに、変位装置24の圧電素子を50nm程度大きく変位させ(s7)、光センサ22からの出力電圧をA/D変換して(s8)、コンピュータ26により演算し、先に求めた中央値か否かを判断し、参照粗面18を中央値へ持って行く(s9)。
【0026】
この後、測定粗面20の変位測定を開始する(s10)。変位測定は、上記と同様に、光センサ22の出力電圧をA/D変換し(s11)、コンピュータ26により、先に求めた感度からセンサ22の出力電圧に対応する変位を算出する(s12)。以上の動作をくり返して、所定の範囲で測定粗面20の変位測定を行い、必要なデータが得られた後、測定を終了する。
【0027】
この第一実施形態の変位測定装置10によれば、測定粗面20の変位測定は、図4に示すように、センサ22に感知された光強度の最大値bと最小値cとの間の、光強度変化が測定粗面20の移動に対してリニアな部分である測定範囲aであり、出力電圧値から容易に演算することができる。この光強度の最大値bと最小値cとの間の変位は、光の明暗が光の干渉によるものであることから、最大で半導体レーザ12の光の波長の1/4である。従って、例えば波長630.5nmのレーザ光の場合、上記最大値bから最小値cまでの変位における測定粗面20の最大測定可能変位は約157.6nmとなり、測定に最も好ましい直線範囲はおよそ50nm程度と考えられる。これにより、光センサ22の感度と出力電圧の分解能からナノメートルオーダーの測定が容易に行うことができ、応答性も良いものである。
【0028】
次にこの発明の第二実施形態について、図1、図5を基にして説明する。ここで、上記実施形態と同様の部材は同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態の変位測定装置10も、上記第一実施形態と同様に圧電素子による変位装置24を参照粗面18に設け、測定粗面20の変位に参照粗面18を追従させるようにして測定する。
【0029】
この第二実施形態の変位測定装置10の測定処理方法について、図5を基にして説明する。まず、上記第一実施形態と同様にレーザ光を参照粗面18及び測定粗面20に照射する。そして、適切な基準位置を得るために参照粗面18に対して、コンピュータ26から変位装置24の圧電素子を駆動し、50nm程度大きく変位させる(s21)。この時の光センサ22からの出力電圧をA/D変換し(s22)、コンピュータ26に入力し、コンピュータ26において、最大出力電圧と最小出力電圧を記憶する(s23)。これを順次繰り返して、1000nm程度測定粗面20を移動させ(s24)、最大出力電圧と最小出力電圧の中央値を求める(s25)。さらに、参照粗面18を移動させ、出力電圧が中央値となるようにする。
【0030】
この後、測定粗面20の変位測定を開始する(s26)。変位測定は、上記と同様に、光センサ22の出力電圧をA/D変換し(s27)、コンピュータ26により、先に求めた中央値との電圧差を算出する(s28)。そして、変位装置24の圧電素子をコンピュータ26により駆動し、求めた電圧差分だけ参照粗面18を中央値側に移動させる(s29)。この動作をくり返して、常に出力電圧が中央値に一致するように参照粗面18の位置を制御する(s30)。
【0031】
測定粗面20の位置が中央値であると判断されると、参照粗面18の移動距離が、測定粗面20の移動距離となる(s31)。以上の動作をくり返して、所定の範囲で測定粗面20の変位測定を行い、必要なデータが得られた後、測定を終了する。
【0032】
この第二実施形態によれば、測定感度は変位装置24の分解能に依存し、測定範囲は変位装置24の移動範囲となり、測定範囲が広くなるとともに、測定粗面20の変位を安定的に測定することができる。
【0033】
なお、この発明のレーザスペックルによるナノメートル変位測定装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、この変位測定装置の光学系において、その他適宜レンズや偏光素子等の光学系を配置しても良く、ビームスプリッタを偏光ビームスプリッタにして、直線偏光した半導体レーザの光を1/4波長板を組み合わせて分岐偏向しても良い。その他、レーザ光の波長や光学素子は適宜選択可能なものであり、光学系の配置も適宜設定可能なもので、装置と被測定物体の距離を任意に変えることができる。
【実施例1】
【0034】
この発明による変位測定装置の一実施例について以下に説明する。ここでは、図4に示すように、光センサ22の出力電圧の変化がリニアな測定範囲aについて、出力の測定電圧と測定粗面20の変位量について、変位の往路と復路について実験したものである。
【0035】
この実験では、図6に示すように、PZT等の圧電素子による駆動装置35により駆動される変位が既知の測定粗面20を、約2nmずつ変位させ、光センサ22による出力電圧を測定した。測定粗面20の変位は、コンピュータ26からの制御出力をD/A変換回路29により変換し、駆動装置35に対して、測定粗面20が約2nmずつ変位するように出力電圧を与えた。なお、図6において上記実施形態と同様の部材は同一の符号を付してある。
【0036】
この結果によれば、往路と復路で若干のずれがあるが、図7に示すような結果が得られ、測定感度としてはほぼ1mV/nmであった。これにより、粗面を有する被測定物体の表面の変位を1nm程度の分解能で測定可能であることが確かめられた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の第一および第二実施形態のレーザスペックルによるナノメートル変位測定装置の概略を示す配置図である。
【図2】第一および第二実施形態の変位測定装置の受光処理回路のブロック図である。
【図3】第一実施形態の変位測定装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】第一実施形態の変位測定装置の光センサによる光強度と測定粗面の変位量の関係を示すグラフである。
【図5】この発明の第二実施形態の変位測定装置の処理を示すフローチャートである。
【図6】この発明の第一実施形態における変位測定装置の一実施例における実験装置の概略を示す配置図である。
【図7】この発明の第一実施形態における変位測定装置の一実施例による光センサの出力電圧と測定粗面の変位量を示すグラフである。
【符号の説明】
【0038】
10 変位測定装置
12 半導体レーザ
14 収束レンズ
16 ビームスプリッタ
18 参照粗面
20 測定粗面
22 光センサ
24 変位装置
26 コンピュータ
30 受光処理回路
32 レーザ駆動回路
34 発信器
35 駆動装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6